めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★私立幼稚園編(10)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第22号
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私立幼稚園編(10)
幼稚園に関する新しい情報は、各園のホームページをご覧ください。ここで紹
介する情報は、説明会や過去のホームページなどから得たものが中心になって
いることをお断りしておきます。 (筆者)
桐蔭学園幼稚部
幼稚園から大学までの総合学園で、ご存知のように、高校は全国有数の進学校
です。
自然に囲まれたなどと断るのもはばかられるほど広く、敷地内には小高い丘が
あり、園児達が遊んでいます。また、田畑があり、秋の収穫祭には、そこでで
きたものを食べるそうですから、まさしく自然の宝庫に恵まれた幼稚園です。
初等学校教育としての幼稚部
1.遊びを大切にします。小さないさかいを繰り返しながら、友達との交わり
方を覚えていく。自分のクラスだけではなく、上や下の友達とも仲良く遊べ
るようになります。
2.体を動かす楽しさを体験させます。各人の体力・気力にあったペースで、
跳び箱・鉄棒・まりつき・雲悌などに取り組みます。
3.リード楽器や打楽器を、系統的に無理のない指導で、五歳児全員が演奏で
きるようになります。
4.昔話、童話などのお話を聞き、味わい、話せる力を育てます。空想力や想
像力、そして他人への思いやりを体得していきます。
5.文字を読み、書き、数えることを指導します。年度始めに小学部の低学年
と連絡会議を開き、無理のない努力目標を設定します。
やらなくてはならないことを、実際にやってみる、事実をもって考えることを
大切にします。
言いかえれば、遊びと生活を通して、経験によって学んでいくのです。
幼児に何よりも大切なのは、「遊びと生活を通して、経験によって学んでいく
こと」で、机に座って勉強するのではなく、身体全体を使って学ぶ学習です。
それを実践している教育が、ここにあります。私立学校の建学の精神は「独自
の校風を目指し、理想とする教育を行うこと」にありますが、幼稚部にも、独
自の教育があります。(5)に掲げられている「文字・数」の指導です。「早
期教育、先取りの教育」などの誤解があってはいけませんから、かつて説明会
では、どのように話されていたかを紹介しましょう。
「知的学習の指導については、幼稚部と小学校二年生までを考えておりまして、
幼児学校の構想なのです。これは、勿論、制度的には変えるわけにはいきませ
ん。法律上、こういうことは許されませんので、実際に学習をして、発達段階
に応じて指導するといったことにおいては、非常に有効であると私どもは考え
まして、現在、年少組、年長組、一年生、二年生を一つの大きな塊として、カ
リキュラムを作りまして、そこで行っているのは数と言葉、これを生活を通し
ながら、遊びを通しながら、いろいろな形で言葉と数を学ばせております。こ
れらのカリキュラムができておりまして、年長組になりますと、小学校一年生
ぐらいのことを理解できるようになっております。これが小学校に、段々とつ
ながっていくわけです。
(大津 雄史 元園長)
ホームページには、「基本を学ぶ」項目の欄に、以下のような説明がありました。
「年長組では読み・書き・数える、の基本を学びます。これは決して先取りの
詰め込み教育ではありません。子ども達が、遊びを通して自然に学んできた
「数」や「言葉」、そのよりよき理解のための整理、まとめとしての学習です。
また、幼稚部は一貫教育の出発点という以上に、学ぶことの習慣化、姿勢を培
うものです。
学習時間は「言葉」「数」とも1週間で各1、2時間。目標は、ひらがなを使
って短文を書くことができることと、10までの足し算、引き算ができるよう
になることです」
文字、数の指導に関しても、幼稚部と小学部が一貫したカリキュラムのもとに
指導されていることがわかりますが、こういった初等教育学校としての小学部
との連携は、21世紀に活躍する真のエリートを育成する目的で、平成13年
4月開校された桐蔭学園中等教育学校と関連があるようです。
何やら知的な学習の話ばかりになりましたが、保育の方針からもう一つ「元気
に『遊ぶ』」を紹介しましょう。
◇元気に「遊ぶ」
◎存分に遊ぶがモットー
この時期の子どもの成長にとって、遊ぶことは大きな比重を占めています。
ですから、元気に楽しく遊ぶことを最も大切に考え、その手助けをします。1
日に一度は必ずアスレチックゾーンに出、思う存分遊ばせます。さわやかな汗
は気持ちを清々しくし、その後の学習への集中力を高めます。
◎遊ぶことが学ぶことの始まり
遊ぶことは子どもの体を鍛え、つくることであり、同時に、ものに触れ、観察
することでもあります。たとえば、いつもその下で遊ぶ木から多くのことを学
びます。
夏繁っていた木が秋に葉を落とすのを見て、自然の営みを体感するでしょう。
また、拾った落葉は子どもたちを数えることに導きます。さらに木や木に棲む
虫にかかわる言葉を自然に覚えていくのです。
大人の遊びは単に遊びですが、子どもの遊びは仕事です。遊びを通して様々な
能力が開発されるわけですが、子どもは遊びだと思っているから、夢中になっ
て取り組めるのです。子どもの無心に遊ぶ姿は、見ている大人にとって、これ
ほど心の和むものはありません。それは、子ども自身が何らの報酬も期待して
いないからではないでしょうか。
登下校はスクールバス、給食ありですが、面白いのは、小学部の5、6年のお
兄さん、お姉さんが、給食配膳の手伝いをしていることです。同じ敷地内、し
かも幼稚部のすぐ前が小学部ですから、こういったことも可能なわけです。
ところで、新しいカリキュラムも実施されていますから、説明会へ参加し、確
かめておきましょう。また、近代設備を駆使して作られたホールでの様々な情
操教育、体力づくりの一貫として行われている「無理のない体力づくり」など、
独特の指導があります。こういったことに関する情報は、説明会でしか得られ
ませんから、いろいろな幼稚園の説明会 へ参加し、情報を収集することも、
幼稚園を選ぶ時の、ご両親の大事な役目です。
【募集人員】 2年保育(4才児) 男女計 約70名
(2016年4月から3年保育開設予定)
【Q&A コーナー】はありません。
湘南白百合学園幼稚園
湘南の夏といえば、片瀬江ノ島の海岸でしょう。湘南白百合学園は、江ノ島の
海岸から少し入った片瀬川のそばにあります。当時、サーフィンは、まだ流行
っていませんでしたから、夏のにぎわいが嘘のような静かな秋に、入園説明会
は行われていました。本家の白百合学園幼稚園が説明会をやっていなかった頃、
東京方面から参加するお母さん方もいましたが、私もその一人で、小田急のロ
マンスカーに乗って出かけたものでした。
幼稚園は、男女計70名の募集ですが、小学校から高校まで、宗教教育を行う、
女子だけの学校になります。
【学園の教育理念】
キリストの愛に基づく全人教育を……
価値観の転換 「壊れた社会」の修復を!
本学園の設立母体であるシャルトル聖パウロ修道女会設立の目的は、17世紀の
フランス、ルイ王朝の華やかな文化の蔭で、貧困に苦しみ・忘れられた人々、
教育の機会に恵まれない子ども達への奉仕でした。
精神的貧困の状況にある日本の「壊れた社会」を変えるのも、この「奉仕」で
はないでしょうか。「奉仕する」に当たる言葉、英語“serve”(仕える、必
要を満たす、人のために尽くすなど)こそ、暗く、不安に満ちた現状から立ち
直るkey-wordだと存じます。本園も、「壊された心」をいやし、「壊れた社会」
を修復する原動力となれる人―「仕えられるためではなく、仕えるために来た」
といわれたキリストの生き方を学べる卒業生―をひとりでも多く社会に送り出
したいと心から願い、努力しております。
【教育方針】
キリスト教の教えに基づいた生活教育を通して、神から与えられた心身の能力
を最大限に生かしながら、愛と責任ある人格形成の基礎作りを目的としていま
す。
個性豊かで主体的に行動できる人間を目指して、個々の発達に即した、自発的
な選択活動を重視するモンテッソーリ教育を取り入れています。
クラスは3歳から6歳までの縦割り編成です。その中でお互いの立場を尊重し
あい、自由と責任、思いやりと協調性を体得し、社会生活に必要な規律を身に
つけていきます。
個別活動、グループ活動として、日常生活の練習、感覚教育、数の教育、言語
の教育、文化の教育があり、子ども達の尽きることない探究心に応えながら、
地図、歴史、自然界、聖書の世界へ導いていきます。
一斉活動では、体操、絵画、音楽リズムを取り入れています。
この時にうかがった「教師の役割」「環境設定」「運動」「感覚教育」の話が、
新米時代でしたから、新鮮な響きを持っていました。例によって、文言は正確
ではありませんが、以下のような話でした。
当園は、モンテッソーリの教育理念を重視した保育を行っており、子ども達の
自己発達の助成、内的生命の発達を基本とし、「子どもが生まれつき持ってい
る自立心と人格形成の力を助長してあげることが、私たち教師の役割」と考え
ています。
子ども達には、その年齢に適した、よりよい環境を整えてあげることが大切です。これは主に、人的な環境の問題で、当園では環境設定を大切にし、大人の頭で考
えるのではなく、子ども達をよく観察し、子どもに適したように、子どもが物事
をやりやすくなるように、配置設定をしています。
運動は、非常に大切で、脳から中枢、中枢から筋肉へと、意思の伝達により、運
動が行われますから、運動は、知能の発達に欠かすことができないもので、心の
形成を助けるものです。
子ども達の発育の段階をおって運動を行っていくことが基本であり、子どもが動
かなければならないように、子どもがしたいと思っていることを与えていくこと、常によく観察し、大人の考えでいじらないこと、画一的に扱わないことが大切で
あり、当園が縦割りの保育を行っているのも、年少から年長まで一つのクラスに
入れることによって、子ども達の世界の中で自立の芽を育て、社会性を身につけ
させるためなのです。子ども達は成長の過程で互いに影響し合い、その人的な環
境から善いこと悪いことも学んでいくので、子ども達の物事を吸収する意欲を、
教師がいかに導いていくかが重要なのです。
一斉保育全盛の頃でしたから、「大人の考えでいじらないこと、画一的に扱わな
いこと」が、何とも刺激的な言葉でした。「手は第二の脳」を実感したのもこの
時でした。そして、モンテッソーリ教育について、今では白百合学園幼稚園で、
詳しく聞くことができますが、当時は、説明会をやっていませんでしたから、本
から得た知識は若干ありましたが、実際の説明を聞いたのは初めてでした。
以下少し長くなりますが、当時のメモを紹介しましょう。
環境を整備すると共に、「感覚教育」を大きな柱と考えています。それぞれの子
どもに合わせた教具を使い、脳に刺激を与え、それが脳に伝わり、感覚の発達を
促し、知性につながり、感覚から入って概念に結びつき、やがて、言語、数など
を理解できるようになります。聞くことから話すこと、読むことにつながり、言
葉を身につけ、文章を書くようになるのと同じです。(納得しました!)
以上が、当園の保育の基本ですが、その保育の一例として、
○静粛遊び 静かにすることの大切さを気づかせる。そのために静かとは何かを
言語活動や行動の中で教えていく。
○線上歩行させる。つま先とかかとを合わせ、正しい姿勢で線の上を歩く。
○文化について 教室内での地図の配列や位置など、かなり高度な知識を子ども
達が自由に学べるように配置していること。
その時に、願書と共に配布されていた案内書に詳しく書かれていましたが、その
一部を紹介しておきましょう。
【日常生活における活動】
子ども達が最初に興味を示す活動で、子どものサイズにあった魅力あふれる用具
があります。
○環境への配慮 (運ぶ、洗濯、アイロンかけ、食卓の準備、片付けなど)
○自己自身への配慮 (衣服の着脱、手を洗う、髪をとかすなど)
○社会性を身につける(ご挨拶、物の受け渡し、戸の開閉など)
○洗練された指先を身につける (通す、分ける、切る、折る、貼るなど)
○グループ活動による運動調整の力を身につける (静粛の練習、線上の歩行な
ど)
様々な活動は、白百合学園幼稚園の説明会で見ることができました。子ども達は
「お仕事」といって、楽しく取り組んでいました。びっくりしたのは、地図の配
列のお仕事で、アフリカの地図の上に、カタカナで書かれた国名をきちんと間違
わずに置いていくことでした。年長さんが、カタカナを読めるなど信じられませ
んでしたし、知らない国名がたくさんあって赤面しました(笑)。モンテッソー
リ教育については、本幼稚園、もっと知りたい方は白百合学園幼稚園のホームペ
ージで詳しく紹介されていますから、ぜひ、ご覧になってください。
【募集人員】 3年保育 男女計70名
【Q&A コーナー】はありません。
(次回は、森村学園幼稚園についてお話しましょう)