めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★私立幼稚園編(6)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第18号
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私立幼稚園編(6)
幼稚園に関する新しい情報は、各園のホームページをご覧ください。ここで紹
介する情報は、説明会や過去のホームページなどから得たものが中心になって
いることをお断りしておきます。(筆者)
東洋英和幼稚園
以前は短期大学でしたが、横浜に四年制大学を、六本木に大学院を設置し、幼
稚園か大学院までの一貫教育制度を持つ総合学園になりました。宗教教育と女
子だけの教育環境ですが、幼稚園には男の子も若干名います。
幼稚園と小学校が同じ敷地内にあり、校門を入って目につくのは、うっそうと
した樹木です。小学部を改築した際、伐採された木もありましたが、表庭には、
樹齢を重ねたいちょうや大王松の大木、花を咲かせる木々、実のなる木々など
が茂り、裏庭には、蛙や小さな虫達を守ってくれる草花が咲いています。
六本木の繁華街が、近くにあるとは信じられないほど、武蔵野の自然を残した
中にある静かな雰囲気のただよう園舎で、東京タワーと六本木ヒルズ森タワー
が、すぐそばにあります。
【幼稚園の基本姿勢】
本園は、1914年(大正3年)に、学院に通う姉を持つ幼い妹や弟、近所の幼い
子ども達のために、キリスト教保育を受けさせたい父母の願いから開設されま
した。
神様の愛と恵みを覚え、喜び、祈り、感謝する生活を大切にし、日々の祈りや
賛美歌を通して、目に見えない真実のものを身辺に感じとる子ども達は、神様
を信頼し、自分自身を信頼するようになります。
そこから、自分を取り巻く社会に目を向け、他者を受け入れ、他者のために行
動できる子に、これが、園の基本姿勢です。
【保育の方針】
・キリスト教による人間形成を重んじます。
土曜日は保育を行わず、日曜日に園児は教会へ出席します。
・自主性と個性を尊重します。
・ご家庭との連携を大切にします。
・自然との出会いを大切にします。
・女子は小学部への進学を原則として認めます。
自主性と個性を尊重する保育方針の中に、
「子どもたちはみな、神様から一人ひとり異なった賜物を授かったかけがえ
のない存在です。子どもたちそれぞれがいろいろな特性を持ち、違っています。
大人たちはそんなごく当たり前のことをつい忘れてしまいがちです。『人より
も少しでもよく、早く』、そうした価値観が、子ども達を苦しめていることは
ないでしょうか。登園してきた子どもたちはみな、思い思いの場所で自由に遊
びはじめます。教師は子どもの個性を尊重して、その子のペースでその子らし
く幼稚園生活が送れるように見守っています。教師が計画した活動を一斉に与
えるより、自由な遊びの中で自らが選び工夫することを尊重しています。当然、
それぞれの内容と練成度は異なりますが、いかにその子らしく充実した時を過
ごせたかを評価したものです。
生活経験の浅い子どもは、自分の立場でしかものを見ることができないので、
あちらこちらでトラブルが発生します。トラブルは避けるものではなく、むし
ろそこから多くを学ぶことができるものです。知的にも社会的・道徳的にも豊
かに成長していきます。
引用が長くなりましたが、幼児を取り巻く環境を考える時、「大人たちはそん
なごく当たり前のことをつい忘れてしまいがちです」の言葉に、耳を傾ける必
要はないでしょうか。
とかく、知的な能力を育むことを考えがちですが、その前にやるべきことがた
くさんあります。今は、自分で考える力、それを実行に移す力、そして、相手
を思いやる心を育てる時期ではないでしょうか。
「入園を希望する皆様へ」と題した園側の要望が願書に同封されています。
○本園に入園なさった場合には、下記の教育方針にそっていただきます。
1.キリスト教による人間形成を重んじておりますので、土曜日は保育を行わ
ず、日曜日には、各ご家庭で選ばれた教会に園児を出席させていただきま
す。
2.通園の送り迎えは、保護者の方にしていただきます。乗用車での通園は禁
止していますので、特別な事情がない限り、地下鉄、バス、または徒歩な
どで通園していただきます。
3.母の会・父の会・父母の会など協力していただく機会が多く、その折りに
は、小さいお子さんをお連れにならないで参加していただきます。
4.学費等の納付金はかなり高額になって恐縮ですが、四月と五月の二回に分
けて期日までに納付することになっております。
以上の方針に従う旨を記入し、署名、捺印しますから、2と3については、安
易に考えると、入園後に困ったことになります。私学は、経済的な負担の一部
をご家庭に依存していますし、運営にも参加しますから、父母会の幼稚園への
協力も、当然ですが、かなりの時間を割くことになります。特に、本園のよう
に都心に位置し、電車は官庁街を通り抜ける地下鉄日比谷線、大江戸線と南北
線、バスも都心に向かう渋滞路線です。自家用車での送迎禁止と共に、遠距離
からの通園は、子どもだけではなく親にも、かなりの負担になることを考えな
ければいけないでしょう。
また、父母会などにも積極的な協力を求められていますが、私学は人手不足だ
から、父母の手を借りようとするのではありません。幼稚園の様々な行事や催
し物に参加しながら、保育の方針などを学び、キリスト教の教えの一つである
奉仕の精神を実践しているわけです。お母さん方のために毎月1回、「神様の
いる暮らしを生活に取り入れていただきたい」との願いから、聖書の研究会
「つぼみ会」があり、賛美歌を歌い、祈り、牧師の先生から聖書の話を聞いて
います。下に小さなお子さんがいる場合、どう対処しますか。
祖父母と同居している、近所に住んでいる場合は問題ありませんが、核家族化
が進む中で、こういった条件を満たすのも、案外、大変ではないでしょうか。
「保育は本来、ご家庭でお母さん方が、手間隙をかけて行うものです。ですか
ら、通園バスもありませんし、給食もありません。保育時間も短いのですよ」
かつて、幼稚園の三種の神器(送迎バス・給食・長時間保育)の全盛時代に、
説明会で、ことごとく否定されたことがありました。
「育児は、ご両親が手塩にかけて行うもので、十人の子どもがいれば、十冊の
違った育児書があっていいのですよ」
とマニュアル世代の若いお母さん方に、やさしく語りかけているように思えま
したが、皆さん方は、いかがでしょうか。
【募集人員】2年保育 女児 30名 男児 若干名
3年保育 女児 募集はしません 男児 若干名
【Q&A コーナー】はありません
日本女子大学附属豊明幼稚園
幼稚園には男子もいますが、小学校から大学まで16年間、女の園です。女子
だけといっても、ミッション系の学校と違い、宗教色はありません。
学園の創立者、成瀬仁蔵は、キリスト教の信仰から、神・仏・儒(儒教)・基
(キリスト)を統一する宗教的信念に達し、自ら「帰一教会」を立て、海外に
まで広く伝道活動をされた方です。三綱領は、その宗教的な信念によるもので
すが、○○教といった信仰を対象としたものではありません。
雙葉小学校附属幼稚園、東洋英和幼稚園など系列校が別学の場合は、男子は若
干名しか募集しませんが、本園の場合、三年保育84名中、女児60名、男児
24名となっています。
また、保育の充実をはかるために、3年間を一貫して教育する方針に変更、
2011年から3年保育だけとなり、新しくなった園舎での保育が始まってい
ます。
幼稚園、小学校は目白キャンパス内に、中高は横浜の生田キャンパスとなりま
すが、中学生となれば心身ともに成長しますから、もう通学の心配はないでし
ょう。
出願資格のところに、通園時間として、
「およそ45分、公共の交通機関を利用することを原則としております」
と明記されています。
また、テストの内容について、
「遊びの中でごく自然の内に、知的発達・行動の姿をみます。なお、年間の発
達差は、生まれ月別に考慮します」
とありますが、早生まれのお子さんを持つお母さん方には、朗報ですね。
教育方針ですが、これは以前、幼稚園案内にあったもので、わかりやすいので
紹介しておきましょう。
【教育方針】
保育のめあて
目白の丘の上に立つ豊明幼稚園。新しい保育室からは、はるかに富士の姿もな
がめられます。ここの保育は、学園最初の教育の場となり、人間形成の基礎を
培う、もっとも大切なものです。
いつも心がけていることは、
・健康で、明るく、元気な子
・活き活きとした新鮮な心で物事に接し、工夫したり、つくり出す喜びが感じ
られる子 (自発創生)
・お互いのよさを認め合い、仲よく協力していく子 (共同奉仕)
・自分のことは自分でし、自主的な生活態度を身につけ、最後までやりぬく子
(信念徹底)
ということです。
そのためには、少人数の組編成とし、ひとりひとりの可能性の芽を伸ばしてい
くことに、力を注いでいます。
遊びは体をきたえ心をはぐくむ
友だちとの遊びの中で
○じょうぶなからだ
○つよい心
○つくりだすよろこび
○協調する態度
がつちかわれます。
創立者、成瀬仁蔵が、一生をかけた女子教育の基本精神として残された言葉が、
「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」の三綱領です。
わたし流に置き換えると、以下のようになると思います。
これは育児の基礎、基本ではないでしょうか。
「信念徹底」は、正しいと考えたことはやり遂げることから、途中であきらめ
ないで頑張る子、「自発創生」は、自ら考え、工夫し、実行することから、遊
びに熱中し楽しく遊ぶ工夫のできる子、「共同奉仕」は、何事も友だちと心を
合わせて行うことから、仲良く遊べ精神の安定している子、と言えるのではな
いでしょうか。
成城学園幼稚園、立教女学院短期大学附属幼稚園天使園などと同様、制服はあ
りません。
平成4年に施行された、新しい「幼稚園指導要領」以前から、自由保育……、こ
のことです。
どう思いますか、お母さん方。
本学園の建学の精神は、ヒューマニズムによる女子教育で、その理念として三
点あげています。
1 女子を人として教育すること
2 女子を婦人として教育すること
3 女子を国民として教育すること
「母親」としての教育が手薄になっている時代です。
花嫁には簡単になれても、「お母さんのライセンス」を取るには、大変な努力
が必要です。
肝心な時に切れるヤング・ママが増えているようで、わが子を虐待し、殺す親
さえいる時代です。
育児は、「忍の一字」の連続です。
耐えて、忍ばねばならない時期があります。
あなた方のお父さんやお母さんが、そうであったように……。
「育児は育自」であることを、肝に銘じておきましょう。
「育自」は誤植ではありません、自らを育てることです。
理想的な奥さんは、「良妻賢母」ではなく「料裁健母」と皮肉られた時期があ
りましたが、どうやら、今も続いているようです。料理が上手で、裁縫ができ、
健康な母親を「料裁健母」というそうですが、昔の母親は、こうであったので
はないでしょうか。
金平牛蒡(きんぴらごぼう)を作れないヤング・ママもいますが、コンビニや
スーパーで、いろいろな惣菜が準備されていますし、電子レンジさえあれば、
食事もでき、料理をする手間が省けますから、無理な注文でしょうか。しかし、
みんな同じ味で、味気なくありませんか。良き妻、賢い母は、どこへ行ってし
まったのでしょう。こんなことを言うと、「強くて、たくましい父親は、どこ
へ消えたの!」と逆襲されそうですね。
「料理や家事が好きな女の子に、非行少女はいない」といわれています。
料理や家事は、その家庭の文化です。お母さん方が、子ども達にきちんと伝え
ていくものだと思います。小さい時から、知的な能力ばかり身につけることに
熱心過ぎて、こういった大切な家庭の文化を、子ども達に伝えることが、等閑
(なおざり)になっていないでしょうか。もちろん、お母さん方だけの責任で
はなく、家庭の文化を作る柱であるお父さん方の姿が、ぼやけている気がして
なりません。制服のないのも、何かを暗示しているとは考えられないでしょう
か。服装のセンスと料理の腕前は、お母さん方が子ども達に伝える宝物だと思
います。これは私の勝手な思い込みで、本園の保育の方針とは、何ら関係あり
ません。
【募集人員】 女児 60名 男児 24名 計84名
【Q&A コーナー】はありません。
(次回は、淑徳幼稚園、宝仙学園幼稚園についてお話しましょう)