めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[2] 言語に関する問題 (1)
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第30号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
[2] 言語に関する問題 (1)
面接、お話作り、類似差異、しりとり、同頭語や同尾語、反対語、復唱、逆唱、
同音異義語、拗音、促音、長音など発音の問題と、言葉に関するだけに、広範
囲にわたっています。
[面 接]
これは親も参加する面接ではなく、制作や絵を描いているテストの中で、
「お名前を教えてください」
「住んでいるところと、電話番号をいってください」
といった質問があります。
面白い話を聞きました。名前を聞かれた子が、
「私の名前は、○○イチロウと申します」
普段、子どもがこのようにいうわけはありませんから、先生は、びっくりした
そうです。
教え込むと、こういった不自然な言葉遣いになりがちですね。 しかし、本当に話せない子ども達がいます。親子の会話が、弾んでいないので
しょうね。
言葉は使わなくては、肝心なときに役に立ちません。お母さんが一方的に話さ
ずに聞き手に回りましょう。お子さんに話をさせることです。
「うちの子は、口が重いのですよ」とおっしゃるお母さん方は、「こうなんで
しょう」「ああいうことなのね」と、お子さんが口を開く前に先回りをして、
話をしきっている場合が多いのではないでしょうか。聞くことの上手なお母さ
んは、話し上手な子を育てます。
緊張して話せない場合は、先生方も無理に話しかけません。雰囲気になれるま
で待ってくれるようですが、限度がありますから、尋ねられた場合は、自分の
思っていることを恥ずかしがらずに話すことを教えてください。
「こんなことを言うと笑われるかな」と思っている子ども達が、案外、多いも
のです。
「そんなことはありませんよ」と自信を持たせることです。
[お話作り]
★(ダンボールの中の捨てられている子猫の絵)
この絵を見て、どんなことを考えますか。お話ししてください。
★この3枚の絵を順番に並べて、お話を作り、先生に話してください。
★「電車」「お父さん」「新聞」の三つの言葉を使って、お話を作ってください。
これも難しいですね、絵を見て話を作るからです。話の内容から、お子さんの
情緒の発達状況もわかります。以前にもお話しましたが、未分化であった「喜
び」「愛情」「恐れ」「心配」「怒り」といった情緒が分化する時期だからで
す。ダンボールの中の捨てられている子猫の絵を見て、子どもはどう思うでし
ょうか。これは情緒の分野ですから、大人の思惑を押し付けずに、子どもの感
性に心を傾けることが大切です。
かなり前の話ですが、この問題の指導には手を焼きました。月齢の差が激しく
出る時期でもありますから、子ども自身の発想を引き出すのは、本当に難しい
ですね。ある国立大学附属小学校で作文の時間に、「『お母さん、あのね!』と、お母
さんに話しかけるように書きましょう」と指導している話を聞き、早速、取り
入れたのですが、これは、効果がありました。お母さんに話しかける気持ちで
作ると、話を聞いてくれる対象が決まりますからリラックスでき、何を伝えた
いかを考え、発想も豊かになるようです。勿論、「お父さん、あのね!」でも、
同じ効果を発揮します。
大人もそうですが、経験していないことはわかりません。それでも大人は、今
まで積んできたよく似たような経験や、本などで読んだことなどから想像して、
何とか答えられます。
しかし、子どもは、まだ経験の範囲も狭く、読書量も少ないものです。ですか
ら、おかしな話になりがちです。そこで、お母さんが教え込むと、大人の考え
が顔を出している話になりがちです。
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにというように、筋道立て
て作らなければいけないのでしょうか」とおっしゃるお母さん方がいますが、
まだ、幼児には無理な注文です。小学校でも、高学年にならないとできません
し、そんなことを強制していると、国語の嫌いな子になります。国語は、すべ
ての勉強の基礎ですから、大変なことになりかねません。
こういった鋳型にはめ込むようなことを無理強いしても、子どもらしい発想は、
湧き上がってきません。お子さんの感性を大切にしてあげましょう。しかし、
どう考えても妥当でないと思える場合は、全部、否定するのではなく、お子さ
んの話をよく考えてあげ、修正することが大切です。認めてあげることでやる
気を起こさせ、そこから子どもの力は伸びていくからです。
問題集を買って、「話づくりのテクニック」なるものを教え込む前に、やるべ
きことがあります。本をたくさん読んであげ、子どもの話に耳を傾けることで
す。そして、身の周りのことに、こだわりましょう。花瓶にいけてある季節折
々の花、道端に咲くたんぽぽの花、投げ捨てられた空き缶1個からでも、話を
作るきっかけになります。
「これ、どう思う?」
一緒に考えて、思ったこと、感じたことを話し合うことも大切です。とにかく、
言葉は使わなければどうにもなりません。しかし、遊びの感覚で取り組まなく
ては、子どもは嫌がります。お母さんの顔をチラッチラッと見ながら話すよう
では、止めましょう。お母さんの期待する話に展開しないため、不満気な顔に
なっているはずだからです。
最近は、「話を聞き、どう感じたか」、「その後の展開はどうなるか」といっ
たことを話したり、絵で表現し、描いた絵について質問をされたり、みんなの
前で発表するなどの試験も行われています。ある年の幼稚舎で、ドラえもんの
縫いぐるみを着た先生が、水色のドアの前に来て、ドアを開け、「行きたいと
ころの絵を描きなさい!」といった試験がありました。「どこでもドア」です
ね。学校側は、何を評価したかったのでしょうか。
絵は、心で感じたことを表したものですから、言葉で表現できるはずです。一
枚の絵から、どんな世界が表現されてくるか、耳を傾けてみましょう。絵の巧
拙ではありません。どう感じたか、感性の世界です。感性は、体験を積み重ね
て育まれたものであることを忘れてはならないでしょう。オーバーかも知れま
せんが、ディベート(特定のテーマに関し、肯定側と否定側に分かれ行う論争)
の苦手な私達日本人は、小さい頃から、こういった経験が少ないことに原因が
あるのではないでしょうか。
[類似差異の問題]
★「チューリップと桜を比べて、似ているところと違うところを先生に教えて
ください」
何回もお話しましたが、幼児の頭の働きは、ものを見て、比べ、同じところ、
違うところを見つけることから始まります。大人の観察力と違っているところ
があります。チューリップと桜では、大人は木に咲く花、球根から育つ、花の
大きさなど目で見えるものなど、理科の領域内で考えます。
こういう子がいました。
「チューリップは、親指姫のお話に出てきて、桜は、花さかじいさんに出てく
るから、話に出てくるところが同じです」
童話の世界です、いいではありませんか。
「チューリップは食べられませんが、桜は食べられます」
桜餅のことで、食文化の世界です。食べたときの食感が残っていたのでしょう。 桜の葉は、何ともいえない香りが、ほのかにします。また、落ち葉にも、同じ
ような香りが残っていますが、この子は、それを知っていたのでしょう。おそ
らく、落葉の頃に、公園で拾った桜の葉の匂いをかいだのかも知れません。好
奇心と観察力をほめてあげるべきです。こういう発想は、頭が堅くなった大人
には無理でしょう。これで、いいわけです。
「子どもが考えて、自分の言葉で発表できる」、これは素晴らしいことなので
す。そして話を聞き、なるほどとうなずける内容であれば、正解と認めてあげまし
ょう。
しかし、塩化ビニールの葉っぱでくるまれた桜餅では、こういった発想は生ま
れませんね。
また、落ち込みそうです。
この問題は、自分の考えを言葉で表現しますから、やるべきです。お母さんと
二人でできます。ただし、教え込まないことです。子どもの発想を無視せずに、
きちんと聞いてあげることです。そして、子どもの考え方に妥当性があれば、
それで正解です。しかし、「これはおかしい」と思う場合は、やさしく訂正し
てあげましょう。
かつて、アメリカでベストセラーになった「人生で必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」(河出書房新社 刊)の第1章 私の生活信条?クレド?
(19ページ)に、こう書いてあります。
「『不思議だな』と思う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェー
ンを主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な
意味を持つ言葉。“見てごらん”」 (“ ”は藤本)
「見て、考え、そして類似と差異に気づくこと」、お子さんのこういった感性
を大切にしてあげたいものです。
(次回は、「言語に関する問題2」についてお話ししましょう)