めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4]数量に関する問題(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第30号★
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各地区ごとで開催予定だった私立小学校合同相談会ですが、他地区に続き、2
月13日に予定されていた中央線沿線私立小学校合同相談会も中止になりまし
た。
さまざまなイベントがコロナの状況次第で予定変更を余儀なくされています。
学校の情報を得られる機会は逃さず利用していくようにしましょう。
★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(1)
数量の問題というと、「計算ですね!」と勘違いするお母さん方が、かなりい
るようです。確かに計算は算数の一部の領域ですが、それが全てではありませ
ん。学校側が求めている数量は、数や量の概念、図形や空間の分野まで広範囲
にわたっています。
「算数は計算」と考えると、文章題の苦手な子になりがちのようです。計算は
基本ですから、きちんと勉強しなければいけませんが、算数の学習の目標は、
四則算を応用し文章題を解く力を身につけることです。文章題は「文を読み取
る力、読解力」が求められていますから、国語力を充実させることで算数の力
もついてくるといってもよいのではないでしょうか。
ひとつ例をあげましょう。
「年長さんでも、つるかめ算が解けます」というと、「ご冗談を!」と思われる
かもしれませんが、数感のところで紹介しました香川大学名誉教授の小林一宏
先生から教わったもので、加減乗除ができなくても○と爪楊枝だけで解けるの
です。
つるとかめが合わせて5匹いて、足の数は16本です。つるとかめは、
何羽、何匹ずついるでしょうか。
スケッチブックに○を5個描き、爪楊枝を用意しましょう。
幼児とのやり取りは、以下のように進めていきます。
( )内は式で解く場合です。
「つるは、何本足かな」
「2本です」
「では、○の下に2本ずつ爪楊枝を置いてごらん」 (5×2=10)
「先生、6本あまっちゃったよ」 (16-10=6)
「あまった爪楊枝を上に2本ずつ置いてごらん」 (4-2=2)
「先生、なくなっちゃったよ」 (6÷2=3)
「足が4本あるのは」
「かめさんだよ」
「何匹いるかな」(上下に2本ずつ爪楊枝が置かれているのはかめ)
「3匹だよ」
「頭としっぽをかいてごらん」
「先生、残っているのは足が2本だからつるですか」 (5-3=2)
「ピンポン! 正解です」
幼児とのやり取りを図にすると、こうなります。
|| || ||
○ ○ ○ ○ ○
|| || || || ||
このように幼児の数量の問題は、数字を用いた加減乗除で解けませんから、計
算力よりも読み取る力、読解力が大切なポイントになるわけです。
[数の問題]
「数の領域」から説明しましょう。
出題される内容は、
「全部でいくつあるか」(数える)
「どっちが多いか、少ないか」(多少)
「合わせるといくつ」(和)
「いくつ違うか」(差)
「いくつ必要か」(対応)
「分けるといくつずつになるか」(分割)
和・差・対応・分割などの言葉だけをみると、「加減乗除ですね!」となりそ
うですが、それも無理のないことかもしれません。入試問題を用いて、その解
き方を紹介しましょう。
「5個のリンゴと3個のミカンを合わせると、いくつになりますか」
5+3=8ですから、これは足し算ですね。
「5個のリンゴと3個のミカンでは、どちらがいくつ多いですか」
5-3=2となりますから、引き算ですよ。
「5人の子どもにリンゴを1つずつあげるには、いくつのリンゴが必要で
すか」
1×5=5ですから、これは掛け算ではありませんか?
「6個のリンゴを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
6÷3=2、これは割り算、割り算ではないですか!
問題だけ読めば、こうなりがちではないでしょうか。しかし、このように考え
て指導するのは、幼児には適切ではありません。これでは加減乗除の計算を教
えることになりますから、理解できないでしょう。
年長さんで、九九をそらんじている子もいますが、[2×3]と[3×2]の
違いを説明できなければ、単に記憶しているだけですから、掛け算を理解して
いるとはいえません。[2×3]は、たとえば、りんごが2個入っている皿が3
枚あることで、[3×2]は、りんごが3個入った皿が2枚あることで、答えは
同じでも皿に入っているリンゴの数は違いますから、掛け算の仕組みを理解し
ているとはいえないわけです。ですから、加減乗除の意味をきちんと学習する
ことが大切なのです。以前、「養ってほしい数感覚」でお話しましたが、復習
しておきましょう。
スケッチブックと鉛筆を使いますから用意してください。
[多少(引き算と足し算)]
ここに10個と8個のクッキーがあるとします。
「多い方、食べても、いいよ」
というと、子どもは「1つ、2つ、3つ……」と数えずに、アッという間に多
い方を取るのではないでしょうか。より多くのものを食べたいと思うのは本能
ですから、直感で見分けるわけです。このように直感で多少を見分けることが、
数の概念を理解する出発点です。
しかし、現代っ子は食べ物の取りっこなどしないでしょう。一人っ子では争い
ようがありません。おやつの時にもお母さんがきちんと分けていませんか。こ
れはやめてお子さんに取らせましょう。
数に関しては、数える作業や数の違いを見つける経験をたくさんさせることで
す。そこで磨かれるのが直感力です。
「クッキー、8個、食べてもいいですよ」
8個、自分で数えなければなりませんから、数えることを覚えます。
「お母さんは、これだけ取りましたよ」
わざと多めに、10個ぐらい取ってみましょう。
「お母さん、ずるい。ぼくより多いよ!」
直感力は、順調に育っています。
「お母さんとあなたとでは、いくつ違いますか?」
[10-8=2]と数字を使った計算は、子どもには無理ですし、その必要もあ
りません。「数感を磨こう」でやりましたが、忘れていた場合は、
「違いを見つける方法、やったことがありますよ」
一言つぶやき、考えさせることです。思い出せない場合は、以下のようにやっ
てみましょう。
下のように二列に並べられると、数の違いを見つけることができます。これを
スケッチブックに描き、線を引いて比べてみましょう。
○○○○○○○○○○(お母さんのクッキー)
||||||||
●●●●●●●● (お子さんのクッキー)
「お母さんの方が、2個多いよ」
「ごめんね、取りすぎたわ。お母さんとあなたのクッキーを比べると、あなた
は、いくつ少ないの?」
「2個でしょう」
とわかるはずです。
1つ1つ対応させて数の違い、多少を見つける「1対1対応」で、これが幼児
の引き算の方法です。
注目したいのは、このやり取りだけで、「いくつ違う」「いくつ多い」「いく
つ少ない」という3つの表現を学ぶことができるということです。
また、「全部で、いくつありますか」といって数えさせると、合計が出ます。
お母さんのクッキー10個を覚え、自分のクッキーを11個、12個、…18
個と数えます。多い方の数を覚え、少ない方の数を数える、これが幼児の足し
算の方法です。このように物を数えるときは、必ず数詞をつけるようにしまし
ょう。
数詞は、言語のところでは触れませんでしたが、数えながら学習すると、無理
なく覚えられますから、ここで取り上げてみました。
鉛筆を数えてみましょう。本は本ですが、「いっぽん、にほん、さんぼん」と
全部、違いますし、人は「ひとり、ふたり、さんにん、よにん、ごにん」と
「ひ・ふ・よ」は訓読みで、「さん・ご」は音読みと、実に複雑な読み方にな
っています。皿、手袋、鯨、はし、服、テレビ、とにかく日本語は難しいです
から、数詞をつけて数え慣れるようにしましょう。
数詞には、1個、2個と数量を表す基数詞と、1番、2番と順序を表す序数詞
(順序数詞)がありますが、お父さん、お母さんが知っていればいいことで、
お子さんに教えることはありません。
(次回は、「数量に関する問題(2)」についてお話しましょう)