めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<保護者編>第2章(2)何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2023さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第7号-
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
第2章 (2)何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
★★なぜ、七面鳥の受難日なのですか★★
これも、わかりませんでした。七面鳥は高価ですから、私のような庶民はチキ
ンで済ませています。七面鳥、やはり訳ありでした。
オランダの清教徒が1620年に、メイフラワー号に乗ってアメリカのプリマ
ス港に着き、初めて食卓に乗せた肉が野性の七面鳥であった。清教徒は、キリ
スト教を布教するために苦労をしてアメリカを開拓したが、彼らの「生命の支
え」となってくれた七面鳥を神に捧げて感謝した。初心を忘れないようにする
ために、クリスマスには昔の苦労をしのんで七面鳥を食べるのである。もっと
も今日のアメリカでは七面鳥は感謝祭(11月の第4木曜日)に欠かせない料
理となり、クリスマスの食卓にはチキンが運ばれることが多い。
〔年中行事を「科学」する P247-248 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
日本でも、これに似た習慣がありました。「ありました」と、またしても過去
形になるのは、今では家で炊くことがあまりないからです。「赤飯」、またの
名を「おこわ」ともいい、米に赤あずきを加えて蒸したもので、結婚式などの
お祝いの席でしか、お目にかかれません。この赤飯には、「初心を忘れるな」
という戒めがあったのです。米が大陸から日本に伝えられたときは、今のよう
な白米ではなく、赤米(あかまい・あかごめ)でした。あわやひえ、山芋が主
食であったことを考えれば、炊きたての赤米は、本当においしかったに違いあ
りません。
★★なぜ、クリスマスにケーキを食べるのですか★★
ヴァレンタイン・デーのチョコレートは、何やらこじつけのような気配があり
ます。しかし、ケーキは、何か意味がありそうです。これも、訳ありでした。
クリスマスケーキは、はじめ薪(まき)の形をしていたため、ユール・ログ
(yule log)といわれていた。クリスマスの前夜、果物のなる木の丸太を暖炉に
入れ、前の年の燃え残りから火を移す。新たな火を暖炉にともされる儀式は聖
なるもので、新しい命が生まれると考えられていた。クリスマスに新しい薪を
燃やすことによって家は暖かくなり、家族全員集まって神を讃(たた)え、喜
びを分かち合うのである。クリスマス・ログは、公現祭(1月6日)間で12
日間、絶やさず燃やし続け、そのあとは灰を大切にとっておき、やけどや害虫
予防に用いた。聖なる薪を菓子にして喜びを分かち合うしきたりとしたのが、
クリスマスケーキのそもそもの始まりだったのである。
(注 「たた」は引用者)
〔年中行事を「科学」する P247 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
初代のケーキは、素朴な味がしたことでしょう。今のケーキは何代目かわかり
ませんが、相当、派手になっています。何といっても「デコレーション・ケー
キ」ですから。やはり、感謝の気持ちをこめて食べなくてはいけません。ちな
みに、デコレーション・ケーキは和製英語で、正しくはfancy cakeだそうです。
★★なぜ、サンタさんは、世界共通なのですか★★
白いひげを生やし、丸々と太った、明るく、笑顔のやさしい、とっても善良な
おじいさんで、プレゼントをいっぱい積んだトナカイの引くそりに乗り、雪の
上どころか、空まで飛んでみせ、なぜか、煙突から入ってくるサンタさんのイ
メージは、世界共通です。これも、訳ありでした。
サンタクロースは、1822年に、聖書学者、アメリカのクレメント・クラー
ク・ムーアー(1777ー1863)が作った、[ 'T was the Night before
Christmas](クリスマスイブのこと)の詩の中で生まれた。聖ニコラウスを原
像としたサンタクロースは、ムーアーの詩の中で、白い鬚を生やし、丸々と太
った明るい善良なおじいさんとして生まれたのである。(中略) 1863年に
アメリカの風刺画家、トーマス・ナスト (1842ー1902)による絵が評判
をよんで、白い鬚 、赤い帽子に赤い服、長靴をはき、大きな袋をかついだサ
ンタクロースというイメージが定着したのである。
〔年中行事を「科学」する P242・248 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
サンタさんのモデルである聖ニコラウスは、十二使徒の一人で、毎年、クリス
マス・プレゼントを配りにやってきますが、本来の意味は、キリスト自身が、
この世の光として、神様から人々に、プレゼントされたのです。それが、いつ
頃かわかりませんが、キリストからの贈り物となって、サンタさんが配達人と
なり、さらに、サンタさんに自分の欲しいものを頼めば、直接、枕元まで配達
してくれるようになったのです。親が、サンタさんの代理人とわかり、がっか
りするまで、長い子では、もの心ついてから小学校の高学年ぐらいまで、夢を
与え続けるのですから、これはすごいものです。
それから、サンタさんにお手紙を書きたいとお子さんにせがまれたことはあり
ませんか。安心してください。サンタさんの本部は、フィンランドにあります。
1961年に、フィンランドの郵政省は、正式にサンタさんの住所を決めたの
です。「サンタのおじさん、日本語、わかりますか?」、心配ありません。た
だし、返信用の切手を同封しなければ、返事はもらえません。「サンタの住所」
で検索すると、手紙の書き方などの詳しい情報を得ることができます。検索し
てお子さんにプレゼントしてみませんか。
★★なぜ、サンタさんは、煙突から来るのですか★★
こう聞かれて、困ったことはありませんか。これも、やはり訳ありでした。
北欧では、長い冬を前にして、心地よく暖かい日を送るために、煙突掃除が必
要欠くべからざるものであった。サンタクロースが煙突からやってくることに
よって子供たちに煙突掃除を手伝わせる大義名分が立ち、子供たちも喜んで手
伝いをするというわけである。
〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
「サンタさんが、気持ち悪がって入れませんよ、こんなに汚れていては!」
子どもは、必死で、快く、真面目に、掃除を手伝います。それはそうでしょう、
自分の家だけサンタさんが来なかったら大変です。寒い地方に住む人々の、生
活の知恵でしょう。これは、嘘をついてだますのではなく、問題意識を持たせ
ることです。
ところで、「なぜ、サンタさんは、トナカイのひくそりに乗ってくるのかな?」
と尋ねられたことはありませんか。先に紹介しました聖書学者クレメント・ク
ラーク・ムーアが、自分の子どものために書いた「サンタクロースが来る」の
中で、「サンタは8頭のトナカイの引くそりに乗り、世界中の子どもたちにプ
レゼントを配る」と書かれており、これを踏まえて、ロバート・L・メイとい
う通販会社の社員の書いた詩がもととなり、童話「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」
が発表され、アニメ映画となり、例の「真っ赤なお鼻のトナカイさんは♪……」
の曲が生まれ、世界中に広がったそうです。
(Santaxus.comより要約)
★★クリスマス・カードのルーツ★★
最後に、クリスマス・カードですが、これは、外国の人には、とても楽しみの
ようです。
1843年に、イギリスのヘンリー・コールが、知人の画家ホーレスーに絵を
描かせ、クリスマスを祝して知人に送ったのが始まりという。そして、イギリ
スのヴィクトリア女王が3年後の1846年にクリスマス・カードを送ったこ
とをきっかけとして、この習慣が世界中に広まったといわれている。
〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
ところで、日本でクリスマスが始まったのは、何と永禄4年(1561)。と
いってもピンとこないかもしれませんが、上杉謙信と武田信玄が川中島で戦っ
た年です。ポルトガルの宣教師ビレラが、大阪の堺から本国に送った手紙に、
「堺のキリシタンらは、大いなる喜びと満足とをもって、クリスマスを祝した
り」とあり、これがクリスマスに関するもっとも古い文献といわれています。
今のように、人々の間に広がるのは、大正時代まで待つことになります。
★★なぜ、冬至に柚子(ゆず)湯に入り、かぼちゃを食べるのですか★★
「12月25日はローマの冬至祭にあたり、この日を境に短かった昼間が次第
に長くなる、不滅の太陽が生まれ変わる日」と紹介しましたが、日本では「物
事が悪いことから善い方へ向かっていく」と考えられ、冬至のことを「一陽来
復」という別名があります。神社では「一陽来復」のお札を配ります。
この日柚子湯に入ると風邪をひかない、かぼちゃを食べると中風(ちゅうぶう
半身不随、腕または足の麻痺する病気)にかからないともいわれています。柚
子湯は体が温まり、風邪や神経痛などに効くことや、柚子にはビタミンCとカ
ルシウムを多く含むため、食べても風邪の予防になり、かぼちゃはビタミンA
が多く含まれ、目や体の健康に役立つと科学的にも立証されている優れもので
す。また、語尾に「ん」のつくたべもの、にんじん、れんこん、ぎんなん、か
んてん、なんきん(かぼちゃのこと)、みかん、きんかん、ぽんかんなどには、
食物繊維やビタミンが多く含まれ、野菜不足になる冬の食材、果物として欠か
せません。これも昔から受け継がれてきた生活の知恵でしょう。子どもたちに
はハロウィンでおなじみになったかぼちゃですが、食べる方はどうでしょうか。
(次回は、クリスマスと大晦日の(3)についてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】