めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>」
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第6号★
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
ご家庭で楽しくできる受験準備
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話しまし
ょう。
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出
ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できま
すが、小学校の試験は、これができません。
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がか
かればやめて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問
題に挑戦できません。
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行
動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自
分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表
現しなければなりません。
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグル
ープを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければ
なりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応で
きません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話を
きちんと聞けるようにする」ことです。
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切で
す。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆
に、お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せず
に、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「○○君(ちゃん)、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても、話の仕方の学習にもなっているのです。
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真
剣に聞いてほしいのです。
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるので
す。お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令して
いるわけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」
を学んでいるわけです。お父さんも同様です。
これも「教えない教育」の一つの例です。
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を
披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
お子さんも同じです。
切れますが、力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
お子さんの話を聞けないお父さん、お母さんは、命令と要求が多くなりがちで
す。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっし
ゃったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではない
でしょうか。
お子さんが急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命
令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお父さん、お母さんであることに気づいてほしい
ですね。
ところで、特にお母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでした
か。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんからやめますが、選択肢はこんなものでは
なかったはずです。
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適
切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませ
んか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるよ
うに心がけましょう。もちろんお父さんもです。
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは
何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっく
り聞いてあげる、これもその時に最優先すべきことと考えるべきではでしょう
か。何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
もう一つ、思い出してほしいのです。
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまっ
たく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身
につかないそうです。
ここでも、お父さん、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
「ママ(パパ)、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さん(お父さん)は、どのように対応されたか覚えているでしょう、それ
ほど昔の話ではありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるよ
うになったわけです。
しかも、「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞
が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるよ
うになっています。
お父さん、お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
それは、やはりお父さん、お母さんが、話ができるように、やさしく対応して
あげたからです。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなか
ったからではないでしょうか。
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であ
り、これも「教えない教育」であったわけです。
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も
教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変
な学習をしていることです。
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身
が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、○○ちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、○○くん(さん)!」と
話しましょう。
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、○○ちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお
父さん・お母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」は、使わないこ
とです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」
です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
「○○くん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのところ
へ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、「いい加減に聞いたら
まずいことになるぞ!」と、お子さんもわかります。
◆話を聞いてあげる。
◆きれいな言葉を使う。
◆指示をきちんと出す。
ご両親に、こういった配慮があれば、お子さんも、ご両親の願いに応えるはず
です。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
暑い日が続くようです。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇き
をしのぎましょう。
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用 1」についてお話しましょう)