めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
第30号
現年中児のお子さまをお持ちの方へ
小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(1)
数量の問題というと、「計算ですね!」と勘違いするお母さん方が、かなりい
るようです。確かに計算は算数の一部の領域ですが、それが全てではありませ
ん。学校側が求めている数量は、数や量の概念、図形や空間の分野まで広範囲
にわたっています。
「算数は計算」と考えると、文章題の苦手な子になりがちのようです。計算は
基本ですから、きちんと勉強しなければいけませんが、算数の学習の目標は、
四則算を応用し文章題を解く力を身につけることです。文章題は「文を読み取
る力、読解力」が求められていますから、国語力を充実させることで算数の力
もついてくるといってもよいのではないでしょうか。
ひとつ例をあげましょう。
「年長さんでも、つるかめ算が解けます」というと、「ご冗談を!」と思われる
かもしれませんが、数感のところで紹介しました香川大学名誉教授の小林一宏
先生から教わったもので、加減乗除ができなくても○と爪楊枝だけで解けるの
です。
つるとかめが合わせて5匹いて、足の数は16本です。つるとかめは、
何羽、何匹ずついるでしょうか。
スケッチブックに○を5個描き、爪楊枝を用意しましょう。
幼児とのやり取りは、以下のように進めていきます。
( )内は式で解く場合です。
「つるは、何本足かな」
「2本です」
「では、○の下に2本ずつ爪楊枝を置いてごらん」 (5×2=10)
「先生、6本あまっちゃったよ」 (16-10=6)
「あまった爪楊枝を上に2本ずつ置いてごらん」 (4-2=2)
「先生、なくなっちゃったよ」 (6÷2=3)
「足が4本あるのは」
「かめさんだよ」
「何匹いるかな」(上下に2本ずつ爪楊枝が置かれているのはかめ)
「3匹だよ」
「頭としっぽをかいてごらん」
「先生、残っているのは足が2本だからつるですか」 (5-3=2)
「ピンポン! 正解です」
幼児とのやり取りを図にすると、こうなります。
|| || ||
○ ○ ○ ○ ○
|| || || || ||
このように幼児の数量の問題は、数字を用いた加減乗除で解けませんから、計
算力よりも読み取る力、読解力が大切なポイントになるわけです。
[数の問題]
「数の領域」から説明しましょう。
出題される内容は、
「全部でいくつあるか」(数える)
「どっちが多いか、少ないか」(多少)
「合わせるといくつ」(和)
「いくつ違うか」(差)
「いくつ必要か」(対応)
「分けるといくつずつになるか」(分割)
和・差・対応・分割などの言葉だけをみると、「加減乗除ですね!」となりそ
うですが、それも無理のないことかもしれません。入試問題を用いて、その解
き方を紹介しましょう。
「5個のリンゴと3個のミカンを合わせると、いくつになりますか」
5+3=8ですから、これは足し算ですね。
「5個のリンゴと3個のミカンでは、どちらがいくつ多いですか」
5-3=2となりますから、引き算ですよ。
「5人の子どもにリンゴを1つずつあげるには、いくつのリンゴが必要で
すか」
1×5=5ですから、これは掛け算ではありませんか?
「6個のリンゴを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
6÷3=2、これは割り算、割り算ではないですか!
問題だけ読めば、こうなりがちではないでしょうか。しかし、このように考え
て指導するのは、幼児には適切ではありません。これでは加減乗除の計算を教
えることになりますから、理解できないでしょう。
年長さんで、九九をそらんじている子もいますが、[2×3]と[3×2]の
違いを説明できなければ、単に記憶しているだけですから、掛け算を理解して
いるとはいえません。[2×3]は、たとえば、りんごが2個入っている皿が3
枚あることで、[3×2]は、りんごが3個入った皿が2枚あることで、答えは
同じでも皿に入っているリンゴの数は違いますから、掛け算の仕組みを理解し
ているとはいえないわけです。ですから、加減乗除の意味をきちんと学習する
ことが大切なのです。以前、「養ってほしい数感覚」でお話しましたが、復習
しておきましょう。
スケッチブックと鉛筆を使いますから用意してください。
[多少(引き算と足し算)]
ここに10個と8個のクッキーがあるとします。
「多い方、食べても、いいよ」
というと、子どもは「1つ、2つ、3つ……」と数えずに、アッという間に多
い方を取るのではないでしょうか。より多くのものを食べたいと思うのは本能
ですから、直感で見分けるわけです。このように直感で多少を見分けることが、
数の概念を理解する出発点です。
しかし、現代っ子は食べ物の取りっこなどしないでしょう。一人っ子では争い
ようがありません。おやつの時にもお母さんがきちんと分けていませんか。こ
れはやめてお子さんに取らせましょう。
数に関しては、数える作業や数の違いを見つける経験をたくさんさせることで
す。そこで磨かれるのが直感力です。
「クッキー、8個、食べてもいいですよ」
8個、自分で数えなければなりませんから、数えることを覚えます。
「お母さんは、これだけ取りましたよ」
わざと多めに、10個ぐらい取ってみましょう。
「お母さん、ずるい。ぼくより多いよ!」
直感力は、順調に育っています。
「お母さんとあなたとでは、いくつ違いますか?」
[10-8=2]と数字を使った計算は、子どもには無理ですし、その必要もあ
りません。「数感を磨こう」でやりましたが、忘れていた場合は、
「違いを見つける方法、やったことがありますよ」
一言つぶやき、考えさせることです。思い出せない場合は、以下のようにやっ
てみましょう。
下のように二列に並べられると、数の違いを見つけることができます。これを
スケッチブックに描き、線を引いて比べてみましょう。
○○○○○○○○○○(お母さんのクッキー)
||||||||
●●●●●●●● (お子さんのクッキー)
「お母さんの方が、2個多いよ」
「ごめんね、取りすぎたわ。お母さんとあなたのクッキーを比べると、あなた
は、いくつ少ないの?」
「2個でしょう」
とわかるはずです。
1つ1つ対応させて数の違い、多少を見つける「1対1対応」で、これが幼児
の引き算の方法です。
注目したいのは、このやり取りだけで、「いくつ違う」「いくつ多い」「いく
つ少ない」という3つの表現を学ぶことができるということです。
また、「全部で、いくつありますか」といって数えさせると、合計が出ます。
お母さんのクッキー10個を覚え、自分のクッキーを11個、12個、…18
個と数えます。多い方の数を覚え、少ない方の数を数える、これが幼児の足し
算の方法です。このように物を数えるときは、必ず数詞をつけるようにしまし
ょう。
数詞は、言語のところでは触れませんでしたが、数えながら学習すると、無理
なく覚えられますから、ここで取り上げてみました。
鉛筆を数えてみましょう。本は本ですが、「いっぽん、にほん、さんぼん」と
全部、違いますし、人は「ひとり、ふたり、さんにん、よにん、ごにん」と
「ひ・ふ・よ」は訓読みで、「さん・ご」は音読みと、実に複雑な読み方にな
っています。皿、手袋、鯨、はし、服、テレビ、とにかく日本語は難しいです
から、数詞をつけて数え慣れるようにしましょう。
数詞には、1個、2個と数量を表す基数詞と、1番、2番と順序を表す序数詞
(順序数詞)がありますが、お父さん、お母さんが知っていればいいことで、
お子さんに教えることはありません。
(次回は、「数量に関する問題(2)」についてお話しましょう)