めぇでるコラム
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★★★[2]5つの試験形式 集団テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第23号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
(3)集団テスト
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄
跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のま
ねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するもの
や、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられない
で好きな絵を描いたりします。
遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いたりすることから表
現力や創造力、巧緻性などを見ます。巧緻性は、きめ細かく上手にできている
ことで、「手は第二の脳」で詳しくお話しましたから省略しますが、一言でい
えば、普段、両手を使う作業をやっているかを見るわけです。
テストの狙いは、親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自立心
ですね。さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参
加する意欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の
友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見に
も耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調
性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて、戸惑う子がいます。子どもの仕事は、遊びですから、信じられま
せんね。なぜでしょうか。その原因は、日常生活が何から何まで管理されてい
ることにあるのではないでしょうか。お母さんの指示どおりにしないと、お母
さんの気持ちが済まないようです。その心は、無事に〇〇小学校へ入るためで
す。これでは、学校側が求めている自発性や自主性は、育たないと思いますね。
お子さんの通っている幼稚園は、自由保育です。お母さんのやっていることは、
管理育児です。こんな言葉はないでしょうけれど、保育の方針に逆らっていま
す。
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいの
です。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、お母さんの子だけが、
何やら不安気に、ボーッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児
が過干渉である証で、自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われ
るかもしれません。その心配なしとは言えませんね。
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、
と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に
見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。
とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りした
り、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょう
か。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけ
で、育児が過保護になっている証拠です。
遊ばせれば、子どもの育てられている環境はわかります。幼児の試験は、これ
が最も適切ではないでしょうか。子どもたちは、全身で育てられている環境を
表します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくる
ものです。
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいです
ね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に
進みます。まさに、あざらしさんです。腕力と腹筋を使いますから、かなりき
ついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけ
ではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴ
り照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでし
ょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現す
る対象をよく観察していないと出来ません。あざらしを見たことのない子に、
まねられるでしょうか。たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見た
ことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、
注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始め
ます。
幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見
つけられれば、素晴らしい学習になります。大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、類似差異の見極めです。そこから、
新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれても、
あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。このテス
トの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったものに対
する観察力ではないかと思います。
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思
う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供
の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見
てごらん”」があります。(“ ”は引用者)
幼児に大切なのは、教え込むより、疑問の芽を育ててあげることではないでし
ょうか。発想が兼好法師の「徒然草」とそっくりなことに驚かされましたが、
著者のロバート・フルガムは、牧師であったことから納得したものでした。
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびが
ら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの
接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しな
がら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、
共同制作です。
しかし、これは、本当に大変です。考えてください、全員、今日、初めて会っ
たのです。幼稚園や保育園、近所の気心のわかりあった友だちではありません。
名前も性格も技量も趣味も、全く、わからない集りです。ですから、育てられ
ている環境が、姿を現します。
「自分のことは自分でしなさい」
と、自主性を培う育児に徹していれば、自分からやります。過保護、過干渉な
育児では、積極的に参加出来るでしょうか、出来ないと思いますね。学校側の
狙いは、ここにあるのではないでしょうか。
ある年の、幼稚舎の試験に、こういうのがありました。教室に紙を貼ったイー
ゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意され、絵を描かせたので
す。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。それはないと思います、
挑戦する意欲だと思います。そうでしょう、4、5歳の幼児が、イーゼルを使
って絵を描く機会があるでしょうか。ほとんどの子どもは、「何だろう、これ
は?」となるに違いありません。新しいもの、未知なるものに挑戦する意欲で
す。積極的に挑戦する子の好奇心は、旺盛です。これですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。
こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。
手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、
体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるの
でしょうか、受験される方は、これを考えましょう。
ところで、「なぜ、イーゼルで絵を描かせたのですか」の質問に、「子どもの
表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に残っ
ています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き生き
としているからです。知的能力だけではなく、身体全体から表われる子どもら
しい成長の証(あかし)を見ているのです。大切なポイントです。
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。積極的
に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。協調性は、社会性と
共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは、満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎す
るとは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態
度で示します。過保護、過干渉の環境では、こういう子になりがちではないで
しょうか。
通っている幼稚園の先生や保育園の保育士さんに聞いてみましょう。「集団生
活に、少し心配な点が見られますね」などの答があった場合は、「ものすごく
心配な点がある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を
総点検する必要があります。
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の
入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)