めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<保護者編>第2章(2)何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第7号
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第2章 (2)何といってもクリスマスと大晦日ですね  師走
 
やりましたね、紀平梨花さん、GPファイナル初出場で初優勝!
真央さん以来の快挙。今後が楽しみですね。若い選手が育つ、本当にうれしい
ことで、期待しています。それにしても、国技ともいわれている相撲……、情
けない。
  
クリスマスが近づきました。
お子さんへのプレゼント、用意されましたか。娘がサンタに頼んだのは、リカ
ちゃん人形の2代目ボーイ・フレンド「藤原まさと君」。手に入らず、イブの夕
方に東京のデパートでやっと見つけ、冷や汗をかいた経験があるからです、4
0数年前の話ですが(笑)。
 
★★なぜ、七面鳥の受難日なのですか★★
これも、わかりませんでした。七面鳥は高価ですから、庶民はチキンで済ませ
るのではないでしょうか。七面鳥、やはり訳ありでした。
 
オランダの清教徒が1620年に、メイフラワー号に乗ってアメリカのプリマ
ス港に着き、初めて食卓に乗せた肉が野性の七面鳥であった。清教徒は、キリ
スト教を布教するために苦労をしてアメリカを開拓したが、彼らの「生命の支
え」となってくれた七面鳥を神に捧げて感謝した。初心を忘れないようにする
ために、クリスマスには昔の苦労をしのんで七面鳥を食べるのである。もっと
も今日のアメリカでは七面鳥は感謝祭(11月の第4木曜日)に欠かせない料
理となり、クリスマスの食卓にはチキンが運ばれることが多い。       
 〔年中行事を「科学」する P247-248 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
日本でも、これに似た習慣がありました。「ありました」と、またしても過去形
になるのは、今では家で炊くこともないからです。「赤飯」、またの名を「おこ
わ」ともいい、米に赤あずきを加えて蒸したもので、結婚式などのお祝いの席
でしか、お目にかかれません。この赤飯には、「初心を忘れるな」という戒めが
あったのです。米が大陸から日本に伝えられたときは、今のような白米ではな
く、赤米(あかまい・あかごめ)でした。あわやひえ、山芋が主食であったこ
とを考えれば、炊きたての赤米は、本当においしかったに違いありません。ど
の民族も、同じような経験を積んで、歴史を刻んでいることがわかります。若
い皆さん方には信じがたい話でしょうが、戦後の食糧難の時代、銀シャリ(麦も
芋も何も入っていない白米だけのご飯のこと)は、夢にまで見た憧れの食べ物で
した。
余談ですが、敬老の日に町会から赤飯の折り詰めを二箱頂きました。前期高齢
者の仲間入りをした家内は、「エッ……!」といささか憮然としていましたね
(笑)。
 
★★なぜ、クリスマスにケーキを食べるのですか★★
ヴァレンタイン・デーのチョコレートは、何やらこじつけのような気配があり
ます。しかし、ケーキは、何か意味がありそうです。これも、訳ありでした。
 
クリスマスケーキは、はじめ薪(まき)の形をしていたため、ユール・ログ(yule 
log)といわれていた。クリスマスの前夜、果物のなる木の丸太を暖炉に入れ、
前の年の燃え残りから火を移す。新たな火を暖炉にともされる儀式は聖なるも
ので、新しい命が生まれると考えられていた。クリスマスの新しい薪を燃やす
ことによって家は暖かくなり、家族全員集まって神を讃(たた)え、喜びを分
かち合うのである。クリスマス・ログは、公現祭(1月6日)間で12日間、絶
やさず燃やし続け、そのあとは灰を大切にとっておき、やけどや害虫予防に用
いた。聖なる薪を菓子にして喜びを分かち合うしきたりとしたのが、クリスマ
スケーキのそもそもの始まりだったのである。   (注 「たたえ」は引用
者)
 〔年中行事を「科学」する P247 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
初代のケーキは、素朴な味がしたことでしょう。今のケーキは何代目かわかり
ませんが、相当、派手になっています。何といっても「デコレーション・ケー
キ」ですから。やはり、感謝の気持ちをこめて食べなくてはいけません。ちな
みに、デコレーション・ケーキは和製英語で、正しくはfancy cakeだそうです。
このケーキを顔にぶつけ合っておもしろがるギャグがありましたが、最低です。
食べ物がなくて餓死する人々が、世界中にどれほどいるか知らないわけはない
でしょう。こんなことは、絶対に止めてほしい。
ところで、食べ物を残さない習慣は、幼児期にきちんと身につけるべきです。
私が戦後の食料難を経験した昭和15年(1940)生まれのせいでしょうか。
飽食は、忍耐力を育てない気がしてなりません。そして、食事の際には、「いた
だきます」と手を合わせ、食べ物に感謝する気持ちを、しっかりと身につけて
おきたいものです。「蓮如 われ深き淵より」や「親鸞」などの作品を通して、
宗教の世界をやさしく説いてくれる五木寛之氏は、こうおっしゃっています。
 
「私たちは、イワシやサンマを食べるとき、うまいと思う反面、人間は何と残
酷な生き物だろう、お許しくださいと無意識のうちに考える感覚がどこかに残
っている。しかし、ハンバーガーを食べているときは、そういった感覚はほと
んどない。ましてやカロリーメイトだったりすると、まったくありません。食
生活がバーチャル・リアリティ化しているのです。その結果、私たちはまだし
も、子供たちは、食生活の上でも、生命の重さとそれを消費して生きている自
分という存在の残酷さを実感するチャンスがなくなっています」
  (「他力」 五木寛之 著 講談社 刊 P144)
注 バーチャル・リアリティ(virtual reality)
 コンピュータの作り出す仮想空間を現実であるかのように知覚させる
こと。(広辞苑)
 
イワシやサンマにとって、人間は殺魚犯です。感謝の気持ちを忘れたときから、
人は傲慢になるようですね。
 
★★なぜ、サンタさんは、世界共通なのですか★★
白いひげを生やし、丸々と太った、明るく、笑顔のやさしい、とっても善良な
おじいさんで、プレゼントをいっぱい積んだトナカイの引くそりに乗り、雪の
上どころか、空まで飛んでみせ、なぜか、煙突から入ってくるサンタさんのイ
メージは、世界共通です。これも、訳ありでした。  
 
サンタクロースは、1822年に、聖書学者、アメリカのクレメント・クラー
ク・ムーアー(1777ー1863)が作った、[ 'T was the Night before 
Christmas](クリスマスイブのこと)の詩の中で生まれた。聖ニコラウスを原
像としたサンタクロースは、ムーアーの詩の中で、白い鬚を生やし、丸々と太
った明るい善良なおじいさんとして生まれたのである。(中略) 1863年に
アメリカの風刺画家、トーマス・ナスト (1842ー1902)による絵が評判
をよんで、白い鬚 、赤い帽子に赤い服、長靴をはき、大きな袋をかついだサ
ンタクロースというイメージが定着したのである。        
〔年中行事を「科学」する P242・248 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
サンタさんのモデルである聖ニコラウスは、十二使徒の一人で、毎年、クリス
マス・プレゼントを配りにやってきますが、本来の意味は、キリスト自身が、
この世の光として、神様から人々に、プレゼントされたのです。それが、いつ
頃かわかりませんが、キリストからの贈り物となって、サンタさんが配達人と
なり、さらに、サンタさんに自分の欲しいものを頼めば、直接、枕元まで配達
してくれるようになったのです。親が、サンタさんの代理人とわかり、がっか
りするまで、長い子では、もの心ついてから小学校の高学年ぐらいまで、夢を
与え続けるのですから、これはすごいものです。
 
親が困るのは、サンタさんにお手紙を書きたいとせがまれることでしょう。私
は、知りませんでしたが、サンタさんの本部は、フィンランドにあります。1
961年に、フィンランドの郵政省は、正式にサンタさんの住所を、次のとお
りに決めたのです。「サンタのおじさん、日本語、わかりますか?」、心配あり
ません。ただし、返信用の切手を同封しなければ、返事はもらえません。「サン
タの住所」で検索すると、手紙の書き方などの詳しい情報を得ることができま
す。検索してお子さんにプレゼントしてみませんか。
 
★★なぜ、サンタさんは、煙突から来るのですか★★
こう聞かれて、困ったことはありませんか。これも、やはり訳ありでした。
 
北欧では、長い冬を前にして、心地よく暖かい日を送るために、煙突掃除が必
要欠くべからざるものであった。サンタクロースが煙突からやってくることに
よって子供たちに煙突掃除を手伝わせる大義名分が立ち、子供たちも喜んで手
伝いをするというわけである。
〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
北欧は、なにしろ北極の近くですし、冬ともなれば、お日さまは南の方へ行っ
てしまいますから、昼は短いし、夜は長いし、とにかく寒いし、冬は長いし、
何やら「……し、」ばかりで、元気が出なくなります。そんな長い冬を、暖かく、
快適に過ごすには、何といっても暖炉です。熱効率を妨げるのが、煙突にへば
りつく、煤(すす)です。そうです、煙突掃除は、冬の生活に備えて、欠かせ
ない仕事でした。
「サンタさんが、気持ち悪がって入れませんよ、こんなに汚れていては!」 
子どもは、必死で、快く、真面目に、掃除を手伝います。それはそうでしょう、
自分の家だけサンタさんが来なかったら大変です。寒い地方に住む人々の、生
活の知恵でしょう。これは、嘘をついてだますのではなく、問題意識を持たせ
ることです。日本には、煙突のある家は少ないですから、あまり心配はありま
せんけれど。        
 
問題意識、育児でも大事です。命令と指示と強制だけでは、子どもは動きませ
ん。子ども自身に意識的にやろうとする意欲をもたせる方が大切で、それには、
ご両親が良いお手本を見せることです。「率先垂範」、響きのいい言葉ですね。
四字熟語は、悠久の時の流れがしみ込んでいるような気がします。ちなみに英
語では、“example by leadership”だそうです。(四字熟語データバンクより)
 
そして、サンタさんは、夜に来るのがいいですね。
「パパ、今晩は寝ないで、サンタさんの来るのを見るのだから!」
こういう頃の子どもは、本当に、かわいいものです。マンションでは、ベラン
ダから入ってくることになっているようですが、窓際で寝込んでしまった子を
見ましたけれど、あどけない寝顔が印象的でした。「施し」、言い方によっては、
あまり響きのいい言葉ではありませんが、ボランティアと同じように、贈り物
という好意は、密かに行われるところに意義があるのですから、夜更けに、そ
っと来るのが、いいですね。
 
 ところで、「なぜ、サンタさんは、トナカイのひくそりに乗ってくるのかな?」
と尋ねられたことはありませんか。先に紹介しました聖書学者クレメント・クラー
ク・ムーアが、自分の子どものために書いた「サンタクロースが来る」の中で、「サ
ンタは8頭のトナカイの引くそりに乗り、世界中の子どもたちにプレゼントを配
る」と書かれており、これを踏まえて、ロバート・L・メイという通販会社の社員
の書いた詩がもととなり、童話「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」が発表され、アニメ
映画となり、例の「真っ赤なお鼻のトナカイさんは♪……」の曲が生まれ、世界中
に広がったそうです。(Santaxus.comより要約)
 作詞者の仕事が通販であることが、何やらわけありで、面白いではありませんか
(笑)。
 
★★クリスマス・カードのルーツ★★
最後に、クリスマス・カードですが、これは、外国の人には、とても楽しみの
ようです。
日本の年賀状にあたるのでしょうか。しかし、「謹賀新年」とか「賀正」しか書
かれていない年賀状は、味気ないものです。「メリー・クリスマス」だけのクリ
スマス・カードもあるのでしょうか。もうメールに変わっているかもしれませ
ん。
 
1843年に、イギリスのヘンリー・コールが、知人の画家ホーレスーに絵を
描かせ、クリスマスを祝して知人に送ったのが始まりという。そして、イギリ
スのヴィクトリア女王が3年後の1846年にクリスマス・カードを送ったこ
とをきっかけとして、この習慣が世界中に広まったといわれている。 
       〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞
社 刊〕
 
ところで、日本でクリスマスが始まったのは、何と永禄4年(1561)。とい
ってもピンとこないかもしれませんが、上杉謙信と武田信玄が川中島で戦った
年です。ポルトガルの宣教師ビレラが、大阪の堺から本国に送った手紙に、「堺
のキリシタンらは、大いなる喜びと満足とをもって、クリスマスを祝したり」
とあり、これがクリスマスに関するもっとも古い文献といわれています。今の
ように、人々の間に広がるのは、大正時代まで待つことになります。
 
★★サンタさんは、お父さんの愛情です★★
子どもの夢を破るのは、いい年をした大人のやることではありません。これを
先生がやってしまった話を池波正太郎の随筆にあったと第5号で紹介しました
が、こういう話です。
 
「サンタクロースは、本当はいない。プレゼントは、君のお父さんとお母さん
が入れておいてくれるのだ」などと、余計なことをいって、(先生が)子どもの
夢をぶち壊してしまうのだそうな。「まったく怪しからん話です」と、友人は憤
慨した。(中略) 平常は会社の激務に追いまくられ、それを癒す深酒で、帰宅
が深夜におよぶ父親がクリスマスの夜には、サンタクロースのプレゼントを決
して忘れずに、会社の帰りに一人息子のプレゼントを買ってくる。これを子ど
もの枕元の靴下へ入れてやるときの友人の姿を思いみれば、口が腐っても「サ
ンタクロースはいない」とはいえまい。この世、このとき、彼はサンタ翁その
ものであって、他の何者でもないのだ。なればこそ、「サンタクロースは実在す
る……」のである。「ね、だから、やっぱりサンタクロースはいるのだよ。そう
だろう」と、私がいうと、友人は泪ぐんだ。   (日曜日の万年筆 P287-288  
池波正太郎 著 新潮社 刊)
 
全国のお父さん方は、この日は子どもの夢をかなえてあげるサンタさんです。
これこそ見返りを考えない親心ではないでしょうか。「無償のほほえみ」は、お
母さん方の専売特許ではありません。蛇足ですが、「泪」、いい字ですね。
  
★★なぜ、冬至に柚子(ゆず)湯に入り、かぼちゃを食べるのですか★★
「12月25日はローマの冬至祭にあたり、この日を境に短かった昼間が次第
に長くなる、不滅の太陽が生まれ変わる日」と紹介しましたが、日本では「物
事が悪いことから善い方へ向かっていく」と考えられ、冬至のことを「一陽来
復」という別名があります。神社では「一陽来復」のお札を配りますが、私が
子どもの頃には、早稲田大学の近くにある穴八幡神社のお守りには「金銀融通
のご利益がある」といわれ賑わっていましたが、今はどうでしょうか。
この日柚子湯に入ると風邪をひかない、かぼちゃを食べると中風(ちゅうぶう 
半身不随、腕または足の麻痺する病気)にかからないともいわれています。柚子
湯は体が温まり、風邪や神経痛などに効くことや、柚子にはビタミンCとカル
シュームを多く含むため、食べても風邪の予防になり、かぼちゃはビタミンA
が多く含まれ、目や体の健康に役立つと科学的にも立証されている優れもので
す。また、語尾に「ん」のつくたべもの、にんじん、れんこん、ぎんなん、か
んてん、なんきん(かぼちゃのこと)、みかん、きんかん、ぽんかんなどには、
食物繊維やビタミンが多く含まれ、野菜不足になる冬の食材、果物として欠か
せません。これも昔から受け継がれてきた生活の知恵でしょう。子どもたちに
はハロウィンでおなじみになったかぼちゃですが、食べる方はどうでしょうか。
 
「12月に読んであげたい本」は、構成の都合上、来春の始めになりますので、
クリスマスに関する話を紹介しておきましょう。
さすがに、日本の昔話には登場しませんが、外国には、ご存知の「マッチ売り
の少女」など、子どもたちの心を揺さぶる話がたくさんあります。王さまや大
金持ちが頼んでも鳴らなかった教会の鐘が、幼い兄弟の善意から鳴る話は、仏
さまの教えを学ぶ進学教室の子ども達にも大いに受け、毎年、紙芝居で紹介し
ていました。以前、お話ししましたが、紙芝居には素晴らしい作品がたくさん
あります。アニメーションと違い動きがない分、自力でイメージをふくらまさ
なければならないだけに、想像力を培う優れ物です。図書館で探して、やって
みましょう。きっと、お子さんの喜ぶ姿を見ることができるからです。
 
昨年の漢字は「北」でしたが、今年は何になるでしょうか。世相も自然の変化
も、かなり過激ですから、私の予想は「災」としたかったのですが、2004
年にありましたから、見送りました。
近所の雑木林、落ち葉の絨毯に仔犬がもぐりこみ日向ぼっこ、子どもたちは落
ち葉の布団に座り、ゲームを楽しんでいました。「子どもは風の子」、黙ってゲ
ームに興じているのが、現代っ子らしいですね。(寒い!)
 (次回は、「大晦日(1)」についてお話しましょう)

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