めぇでるコラム
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★二、三歳児の心身の発達特徴
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第3号
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二、三歳児の心身の発達特徴
高校や大学受験のように、受験生の成績だけで合否を決められないのが、幼稚
園や小学校の受験です。幼稚園の場合、三年保育のテストは、10月から12
月にかけて行われますから、早生まれのお子さんは、二歳で受験生になります。
桐朋幼稚園を除き、幼稚園で実施されているテストの内容を、具体的に発表し
ていませんが、一つの目安として、文部科学省が公表している資料があります
ので、それを参考に検討してみましょう。そうすれば、幼稚園入試は、子ども
達の発達段階を踏まえて行われていることもわかると思います。
それから、市販されているガイドブックなどをご覧ください。幼稚園側も、二
歳児、三歳児の試験には、いかに苦労しているかがわかります。さらに、うわ
さの一つでもある、「何でもできる、頭のいい子」だけを求めていないことも、
理解していただけるはずです。
幼稚園の入園テストは、子どもの知的な能力だけを見ているのではありません。
妙なうわさに惑わされないためにも、二、三歳児の発育状態を見て、しっかり
と理解してほしいと思います。そうすれば、子どもに無理な準備を押しつける
こともないでしょうし、こんなこともある訳はないのですが、親子で受験地獄
なるものに落ち込み、苦しむこともないからです。
これは、昭和23年3月に、文部省令改正によって、教育課程の基準に定めら
れたもので、保育要領(幼児教育の手引き)の中で紹介されている「幼児の心
身の発達特徴」です。古いものですが内容は、現代にも通じます。戦後の混乱
期に、こういうことをやっていた方々がいたのですから、頭が下がります。国
家の復興の礎は、何と言っても教育だからです。
[身体の運動的発達]
◇二歳児◇
1 倒れないで走れる。
2 一人で階段を昇降できる。
3 大きいボールを蹴る。
4 積み木三個を積み上げて塔を作る。
5 垂直の線を模倣して引く。
6 紙を一枚ずつめくる。
7 さじを上手に使う。
◇三歳児◇
1 両足をそろえてとぶ。
2 脚を交互に踏み出して階段を上がる。
3 円を描いてみせるとまねて描く。
4 積み木で橋を作ってみせるとまねて作る。
5 正方形を模写する。
6 はしを使うことができる。
7 はさみを使うことができる。
8 ボタンの掛けはずしができる。
9 くつをはく。
10 水が半分ぐらい入ったコップを持ち運ぶ。
こういった身体の運動的発達を踏まえ、幼稚園で行われているテストをみると、
なるほどと、うなずけます。標準的な発達から逸脱していないことがわかるか
らです。
[知的発達]
◇二歳児◇
1 見慣れた物の名前を言うことができる。
2 性の区別がわかる。
3 自分の名前を言うことができる。
4 絵の中の物を3つ以上列挙する。
5 過去と現在の区別がわかる。
6 簡単な形の区別がわかる。
7 目の前にない名前を言うことができる。
◇三歳児◇
1 絵を描いて命名する。
2 仮定的な場面を考えることができる。
3 四つの物を数える。
4 短文(二・三語)の反復ができる。
5 空間関係(上、下、前、後)を了解する。
言葉は、二歳児で二百前後、三歳から四歳にかけて千五百以上と飛躍的に増え
てきます。ある幼稚園では、幼児に立て続けに質問をすることから、立て板に
水のごとく、よどみなく答えられなければ合格しないといわれているようです
が、それもおかしなことだとわかります。二、三歳児の知的な発達は、この程
度なのです。しかし、比較してはいけません、これはあくまでも標準データで
すから。
[情緒的発達]
◇二歳児◇
1 恐怖、不安、ちょっとした不快感などのためにもすぐに泣きやすい。
2 新しい場面にはほとんど何時でも恐怖心を示す。
3 かんしゃくを起こしやすく、その時泣いたり、引っ掻いたり、 足踏みしたりする。
4 喜びを表すのに微笑みや笑いをもってする。
5 子どもより大人に対して親愛の情を表す。
6 感情の興奮のためお漏らしをすることがたびたびある。
7 嫉妬心を起こしはじめる。
◇三歳児◇
1 困ったり、非常に不愉快なこと、苦痛があると泣きやすい。
2 だんだん特殊なものを恐がりはじめる。(犬や猫など)
3 まだときどきはかんしゃくを起こすことがある。
4 喜びを言葉で表現することがある。
5 子供どうしの愛情を表わしはじめる。
6 小さいものをかわいがりはじめる。
7 大人の干渉をいやがる。
二歳児は、まだまだ情緒の不安定な時期です。ですから、しっかりとした親の
保護が必要なこともわかります。情緒が不安定なのは、自立の準備が始まって
いて、何だかよくわからないけれど、やってみたいのだが、うまく出来ないも
どかしさや苛立たしさといいますか、今までなかった感情の変化に、幼児自身
も戸惑っている時期ではないかと思います。
三歳児には、大人の干渉を嫌がる兆しが現われています、反抗期です。自立の
準備が、着々と進んでいることがわかります。こういう時期の受験ですから、
親の思い通りにはならないものです。やはり、熟練のスタッフを備えた幼児教
室での適切な指導が歓迎されているのは、こういった状況下での受験だからな
のです。
[社会的発達]
◇二歳児◇
1 簡単な衣服を引っ張って身につける。(ソックス、指なし手袋等)
2 家の中のことのまね遊びをする。
3 一人遊びと並行遊びが多い。
4 反抗期が始まる。
◇三歳児◇
1 手を洗う。
2 他人の注意を引くためによく質問をする。
3 社会活動の中に入りはじめる。
4 順番を待つことがわかる。
5 ごっこ遊びが多くなる。
6 自己主張が強く、反抗的になることが多くなる。
自分でやってみようとする意欲は、模倣、まねとなって現われてきます。「模
倣 まねる」は「学ぶ」につながっていく基本的な学習姿勢であると共に、自
立の始まったことを示しています。お手本は、ご両親、特に、お母さん方です。
しっかり観察されています。お父さん方も、よいお手本を見せておかないと後
悔することになります。
並行遊びが出来るのは、友達と遊ぶための準備も始まっている証で、社会性の
育つ兆しが現われているのです。
二歳児は、第一次反抗期に入っていることがわかります。三歳児の自己主張が
盛んになるのは、自立の時期に入ったことを示しています。心身共に変化期を
迎えたことが、はっきりとわかります。
こういった幼児の心身の発達を踏まえ、生まれ月を考慮しながら、無理のない
入園準備を進めていただきたいと思います。
(次回は、入園テストについてお話しましょう)