めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>ご健闘をお祈りいたします

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第67号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★ご健闘をお祈りいたします★★
 
★アフターケアも慎重に★ 
昨年の7月から始まった「さわやかお受験のススメ 小学校受験編」も、最終回を
迎えました。
長い間、拙い連載を読んでいただいた方に、お願いをしておきたいことがありま
す。
いうまでもなく小学校の受験は、お兄さんやお姉さんが在学している場合はともか
く、ご両親が我が子のためによかれと考えてはじめたことです。
もとより、子ども達が、
「ぼくは、幼稚舎へ行きたい」
「私は、雙葉へ……」
と、希望されたわけではありません。
にもかかわらず、子ども達は、一所懸命に頑張りました。
年中の頃から、受験勉強をはじめ、そして今、直前の講習会を終え、最終特訓を
経て、試験を迎えようとしています。
 
考えてみると、これはたいへんなことです。
基礎指導から実践指導、集団指導や個別指導、冬、春、夏の講習会、毎月行わ
れた公開模擬テスト、絵画教室などなど、同年代の子ども達が、ほとんど経験しな
いことをやってきたことになります。
それに加えて家庭学習があります。
これが、子ども達には、もっとも厳しかったのではないでしょうか。
とかく、お母さん方は、合格の二文字のために熱くなりがちです。
「なぜ、ぼくだけ、勉強しなくてはいけないのかな?」
と子ども達に疑問を持たせてしまったことも、あったのではと思います。
でも、お母さん方の気持ちに応え、頑張りました。
子ども達は、本当にえらいと褒めてあげたい。
 
ですから、全員に、希望された学校から招待状が送られて来て欲しいと思わざる
を得ません。
それほど子ども達は頑張り、頑張り続けたのですから。
しかし、残念ながら、すべての子ども達に、招待状が送られてくるわけではありま
せん。
「試験前なのに縁起でもない!」とお腹立ちの方も、心を静めてお読みください。
 
都心の幼稚園によっては、全員が受験というところもありますが、そういった環境
であれば、幼稚園側の配慮もあるでしょうし、ご両親もお子さんも、それなりの指
導をきちんと受けられていると思います。
しかし、普通の幼稚園や保育園からの受験の場合は、そうはいかないのではない
でしょうか。
わが子、一人だけが受験といったことも考えられます。
 
一昔前は、受験を意識させないで済ませるように、また、合格しなかったことを、
子ども達にわからないように配慮したものです。
しかし、現状では難しいのではないでしょうか。
数校受験する子ども達もたくさんいますから、わかっているはずです。
合格すれば何ら問題はありませんが、結果が出なかった場合は、傷つく恐れもあ
るでしょう。
このことです……。
 
今は、学校内で合格を発表せずに郵送やWebで知らせるところが増えてきました
が、以前は、ほとんどの学校が校内に掲示していたものです。
私は、できる限り発表を見に行きました。
合格された方は、掲示板の前からいつまでも去ろうとしません。
不合格の方は、悄然と去っていきます。
気障で申し訳ありませんが、「倍率十倍の難関校」の文字からは浮かばない、厳
しい現実を実感させられたものでした。
 
そんなときに、ある学校で、とんでもない親子を見てしまったのです。
お母さんが早足で出口に向かい、お子さんが、
「ママ、ごめんね!」
と、泣きながら追いかけていくのです。
若いお母さんは、一言も口をきかず、むっとした顔をして出ていってしまいまし
た。
こんな残酷な仕打ちは、いくら親でも許せません。
いちばん傷ついているのはお子さん自身であることに気づかない親であれば、受
験などする資格はないと思いました。
 
最近は、携帯電話で、大声で知らせている母親もいます。
気持ちは分かりますが、ぐっと喜びをかみしめて、そっと知らせる配慮も必要で
す。
立場が逆であった場合のことも考えましょう。
 
ところで、不合格のときはお子さんに、どのように説明するか決めているでしょう
か。
残念ながら合格しなかったご両親からは、
「公立の小学校から通知は来ますから、子どもには、私学の合否については知ら
せないことにしています」
と、答える方が多いものです。
みなさん、お子さんにあった方法で対処なさることと思いますが、注意してほしい
のは、ちょっとした言葉なのです。
 
「○○ちゃんは入ったのに、何で、あなたは駄目なんでしょう」
お母さんは、わが子をかわいそうに思い、つぶやいたこの一言で、お子さんは、
深く傷つき、劣等感を持ちがちなのです。
不用意な言葉が、お子さんに与える影響を考えてあげましょう。
とにかく、お子さんは、頑張ったのですから。
 
頑張ったことは、必ず、将来、芽を吹きます。
正しい指導を受けてさえいれば、子ども達は、同年代の子が体験しなかったこと
を、たくさん学習しています。
国語の領域でいえば、「話の記憶」は、小学校の中学年から高学年にかけて学習
する長文読解の問題を、文字を使わず、耳から聞き取るだけで挑戦してきまし
た。
算数の領域では、「数」の問題で、1年生で習う足し算、引き算、2年生で習う掛け
算、3年生で習う割り算、4年生で習う分数まで、数字や+-×÷などの記号を使
わずに学習してきました。
さらに、話を聞く姿勢、指示を理解し迅速に対応する行動力、自分で頑張る意欲
などを身につけたはずです。
 
ご両親も、心を一つにして、お子さんをバックアップしてきました。
学校を選んだ段階で育児をふりかえり、やはり間違っていなかったと確認し、この
ことには反省しなければいけないと、話し合われたのではないでしょうか。
受験をしなければ、こういった経験をすることはなかったはずです。
驚かすようで申し訳ありませんが、これから先、ご両親が、これ程までに心を一つ
にして、何かに取り組むということは、あまりないのではと思います。
まさに、育児のゴールデンアワーでもあったわけです。
 
文言は正確ではありませんが、慶應義塾幼稚舎の舎長を辞任され教諭に戻られ
た加藤三明先生は、説明会でこうおっしゃっていました。
 
 「受験に合格しなかった方は、もしかすると親子ともども、敗北感を味わうことに
なるかもしれま
 せん。しかし、これはあくまでも幼稚舎の受験に限ったことで、人生の敗北では
ありません。ま
して、子どもがそういうことを思い続けていたら、本当に恐ろしいことです。わ
れわれが5歳の子に、本来は行うべきではない入学試験という罪なものを施し
ていて、言うのもなんですが、小学校受験をぜひ、最終目的だと思わないで
いただきたい。まだまだ、ほんの人生の始まりです。小学校の受験で、お子様
をスポイルしないでほしいというのが、私の願いです」
 
5歳の秋は、お子さんの人生の終着点ではなく、通過点と考えましょう。
不合格という結果を、お子さんが背負っていくことのないようにしてあげてくださ
い。
小学校の受験は、ご両親がお考えになり始めたことですから、終わりもきちんと対
処していただきたいと思います。
 
この連載を通して、ご両親、特にお母さん方にわかっていただきたかったのは、
「過保護や過干渉な育児から、子ども達を解放する」ことでした。
過保護な育児では、わがままな子になりがちで、相手を思いやる気持ちは育まれ
ません。
過干渉な育児では、消極的で依頼心の強い子になりがちで、積極的に物事に取
り組む意欲は育ちません。
これから、小学校での集団生活を通して、共に生きる「共生」を学んでいくことが
大切です。
それには、相手を思いやる気持ちが育まれていなければ、スムーズに対応できま
せん。
また、学校生活を楽しくすごし、学習面で好奇心という触角を張りめぐらせ、いろ
いろなことを学んでいくには、積極的に取り組む意欲が育まれていることが大切
です。
 
家庭学習で、お母さん方は、この2つのことを教えてきたと思います。
できない問題があっても、明日できればいいと励ましませんでしたか。
できるようになったとき、一緒に喜び、褒めてあげたでしょう。
子ども達は、お母さん方のやさしい気持ちに応え、ステップアップしてきたのでは
ないでしょうか。
お母さん方の頑張れと励ます言葉とやさしい気持ちから、子ども達の心に「思い
やりの気持ち」と「できるまで頑張る意欲」が育ってきたのです。
 
この2つが育っていれば、たとえ不合格になっても、子ども達は大きく成長してい
るはずです。
同年代の子どもで、こういったことを経験できるのは、私学の小学校が最も多い東
京都でさえ、毎年、就学児童およそ60万人の内、約3%程度に過ぎません。
しかし、正しい指導を受けられた子ども達は、十分にエキスを与えられた根と同じ
ように、必ず、芽を出し、ご両親が期待する花を咲かせます。
子ども達を信じて、試験場に送り出してあげてください。
運悪く、結果が出なくても、あたたかく見守ってあげるご両親であって欲しいと思
います。
 
「あしたは、今日より、きのうより」は、今は亡き、いずみたく氏の作曲された某財団
法人の社歌の題名で、断りもなく私の座右の銘にさせていただいています。
また、「育児しながら育自するお母さん」であれば、親子の絆は、生涯、ほころびる
ことはありません。
この二つこそ、子育ての鉄則ではないでしょうか。
 
さらに一言、拙著のメールマガジン「日本の年中行事と昔話」の4月に出てきまし
た、剣豪、塚原卜伝の作とも言われている剣の極意を紹介しましょう。
「映るとも 月も思はず 映すとも 水も思はぬ 広沢の池」
これは理想的な親子関係をあらわしているのではないでしょうか、私の勝手な解
釈ですが。「子は親の背を見て育つ」、口でうるさくいうより、良いお手本を見せる
ことが大切だと思います。
 
皆さま方に、希望された小学校から、招待状が届くことを、心からお祈り申し上げ
ます。
ベストを尽くせるように頑張ってください。
ご健闘を祈ります。
 
最後まで、拙文をお読みいただきまして有難うございました。
平成29年10月吉日
 めぇでる教育研究所
 所 長 藤本紀元

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