めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<保護者編>第8章(2)何にもないのかな 水無月
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第29号-
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第8章(2)何にもないのかな 水無月
★★しみじみとうまいにぎり飯★★
日本人に生まれてよかったなと思うことはたくさんありますが、米の飯を食べ
られるのも、その一つです。米の飯ほどうまいものはありません。寿司や鰻重、
すき焼きなどでは、魚や鰻、肉が主役になり、称賛を浴びがちですが、どっこ
い、縁の下の力持ちは、何といっても「ご飯」です。米が、まずけりゃ話にな
りません。トロだろうが、天然物だろうが、霜降りだろうが、米に袖にされた
ら、もういけません。やっぱり、米は偉い。
この話をすると、何とも貧弱な食生活をと思われるかもしれません。事実、そ
の通りで食も細いのですが、しかし、しみじみと米のうまさがわかるのは、
「にぎり飯」ではないでしょうか。
炊きたてのご飯を、手につけた塩で握り、海苔をまいて食べる。中身は、梅干
しやかつお節があれば、もう、それで十分。こんなに簡単で、安く出来上がり、
満腹感を味わえる食べ物は、他にあるでしょうか。小さく握ると、これが酒の
肴になり、こたえられません。にぎり飯、というよりは「おにぎり」の方がふ
さわしいかもしれませんが、このおにぎりには、忘れがたい思い出がしみ込ん
でいます。
現代っ子には、絶対に味わえない食べ物、それは「おこげのおにぎり」です。
今は電気炊飯器で米を炊きますが、昔はまきを燃やし釜で炊いていましたから、
熱効率の関係で、釜の底に、こげたご飯がへばりついていたものでした。これ
に、少し醤油をかけ、しゃもじでかき集め、握ってもらうのです。何ともうま
かった、絶品でしたね。
戦後の食糧難の時代で、とにかくお腹を空かしていましたから、これが楽しみ
でした。
電気炊飯器では、上手に炊けて、おこげなどできないようですが、便利になり
すぎると、失うものも出てきます。このことを考えるべきではないでしょうか。
何事も工夫しなくなると、受け身になりがちです。コンビニやスーパーなどで
売っているおにぎりを、子どもに食べさせてはいけないと思いますね。
お母さんの手作りだからこそ、「おにぎり」であり美味いのです。手作りだか
らこそ、お母さんの愛情が伝わるのではないでしょうか。何とも不遜な言葉で
嫌いですが、飽食の時代とか、「しみじみとうまい!」などといった味わい方
を、どこかへ置き忘れているようですね。
ちなみに、東日本では「おむすび」、西日本では「おにぎり」と呼ばれている
そうで、私は小学校5年生まで関西に住んでいたためか、「おにぎり」だと思
っていました(笑)。
ところで、お米はいつから日本の主食になったのでしょうか。
稲はもともと中国南部の山岳地帯で生まれたとされています。そこから北へ広
がったものが、現在の日本で食べられているお米の短粒種“ジャポニカ米”で
す。“ジャポニカ米”は縄文時代後期に中国から北九州に伝わり、そこから長
い年月をかけ、明治時代になりやっと北海道まで伝わりました。ということは、
お米が日本全国で主食になったのは、今からおよそ140年前、明治時代から
だったのです。5月は田植えの季節です。美味しいお米ができる秋が楽しみで
すね。
(平成25年5月現在の「聖徳大学附属小学校のホームページ」より)
お米といえば思い出すのが、日本画の巨匠、横山大観のエピソードで、「酒は
米から造るのだから、酒を呑んでいれば飯を食べたことになる」とおっしゃり、
主食は酒だったそうです。まるで仙人のようで、私もあやかりたいのですが、
真偽のほどは、定かではありません(笑)。
巨匠の逸話が出たところで、といっては畏れ多い話ですが、地方には、とてつ
もない立派な美術館があります。
島根県安来市にある足立美術館もその一つです。
大観をはじめ近代日本画と陶芸、彫刻、蒔絵など魅力的なコレクションには堪
能させられますが、日本で初めて女性として、さらに親子で文化勲章を受章さ
れた上村松園画伯の生涯を描いた宮尾登美子さんの小説「序の舞」を読み、一
度は本物にお目にかかりたいものだと願っていただけに、傑作といわれている
「娘美雪」を目の前にしたときの感激は、今でも忘れがたい思い出となってい
ます。思わぬ巡り会い、旅の醍醐味ですね。
さらに、主役の美術館に勝るとも劣らぬ脇役の日本庭園が何とも素晴らしく、
米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』
が実施している、全国900ヵ所以上の名所旧跡の日本庭園ランキング
(Shiosai Ranking)では、初回の2003年から2016年まで、連続14
年間日本一の栄耀に輝き、フランスの『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポ
ン』では、3つ星の評価を受けたと同美術館のホームページに出ていました。
☆☆☆は必見、わざわざ旅行する価値がある、☆☆は寄り道する価値がある、
☆は興味深いで評価した外国人観光客向けのガイドブックです。
「足立美術館」と打ち込むだけで、世界が認めた庭園と展示されている作品を
見ることができますから、ご覧になってはいかがでしょうか。四季の庭園の様
子をライブで紹介していますが、「素晴らしい!」の一言ですね。
2016年日本庭園ランキング上位5位までを紹介しておきましょう、いずれ
もパソコンで見ることができます。
1位 足立美術館(島根県)
2位 桂離宮(京都府)
3位 山本亭(東京都)
4位 御所西 京都平安ホテル(京都府)
5位 養浩館庭園(福井県)
それにしても、宮尾登美子さんは、すごい。
「序の舞」の津也、「一弦の琴」の苗、「松風の家」の由良子、「伽羅の香り」
の葵、「きのね」の光乃、「蔵」の烈、「陽暉楼」の房子、「櫂」の喜和、そ
して「天涯の花」の珠子など、凄まじい生き方に圧倒されてしまいます。
御年八十云歳の宮尾さんは、執筆意欲は衰えず、自伝的長編「櫂」「春燈」
「朱夏」「仁淀川」の続編に挑戦する話を新聞で読み、中国からそれこそ着の
み着のままで郷里、土佐に帰ってきた主人公、綾子に、五度、巡り合える日を
楽しみにしていたのですが、冥界へ旅立たれてしまい、再会できませんでした。
(泪)
何かと話題になる慰安婦問題、宮尾さんのお父さんもその種の仕事をしていた
ので、従軍看護婦はいても従軍慰安婦など存在していなかったことがわかるだ
けに、歯がゆい思いをしているのは私だけでしょうか。国と国とが条約で決め
たことを蒸し返され、ひたすら謝るだけでは解決しません。次世代の子ども達
に顔向けできないほど深刻な事態になっていることを、わが子を育てる親の立
場で考える必要があるのではないでしょうか。「水に流す式」の日本独特の解
決策は、日本人だけに通じるもので、外国では「意味不明」となり、「不信感を
与えるだけだろ」と明治生まれの頑固親父は、事あるごとにいっていましたが、
一理あると思います。文章できちんと残しておく、それでも反古にしてしまう
国もあるのですから。(注 反古 一方的に約束を破ること 新明解辞典)
話を元に戻しまして、これまた何かと話題になる給食問題。
その是非は置くとして、お母さんが真心をこめて弁当を作ってあげていれば、
親子の絆は切れることはありません、食べている本人が、お母さんの愛情をか
みしめているからです。給食から、何かが築かれていくのでしょうか。
「男の人にはわかるもんですか。毎日の献立だって大変なんですから、弁当ま
で手の回るわけがないでしょう」。
でも、お母さん方が、弁当を作ってもらった経験があれば、こういった声は出
ないと思います。
千葉県にある日出学園小学校の教育の特色に、こう書かれています。
「お弁当」お昼はお弁当です。
創立者、青木要吉先生の「お昼ご飯は、お母さんの愛情いっぱい詰まったお弁
当…」
ということで、70年以上もの間、受け継がれております。
ところが、働くお母さん方を応援することから、本校でも購買部での販売を検
討中しているそうです。桐朋小学校はすでに実施していますが、「当日、寝坊
したから学校の弁当を」はできない、前月に申し込むシステムになっています。
弁当は、おふくろの味です。
おふくろの味は真心であり、世界に一つしかない専用のレストランで調理され、
しかも好みに合う美味しいメニューしかありません。その弁当ですが、やはり、
ご飯ですね(笑)。
ところで、日本、いや、世界中を探険しているかと思うほど、あちらこちらに
出かけ、面白い探険記を読ませてくれる椎名誠氏といえば、生ビールとかつお
が大好きなことは、よく知られているようですが、何を隠そう、ご飯、大好き
人間なのです。
簡単明瞭に、エイ、ヤァ!と一刀両断にした傑作な文章があります。
コメ、というのも非常にすぐれた携帯食料である。
1食べるときに3倍以上に増える
2常温でいつまでも腐りにくい
3水と火さえあればいつでも食べられる。
この3項目だけでもつくづく素晴らしい。
これに対してパンはどうか。
1中身がたいしてないくせにかさばる
2ほうっておくとパサパサ化してカビがはえる
3原料からつくるとなるとやれイースト菌はどこだとか、7時間はネカセロだ
とか、オーブンはどこだ! トースターを持ってこい! とかできたら早くく
え、などとうるさいことはなはだしい。
(「でか足国探険記」 椎名誠 著 新潮社 刊 P153)
1ヵ月以上、旅に出るときの必携3点セットは、何と、ショーユ、コメ、カツ
オブシで、これに海苔があれば、我々いくところ無敵であるそうな。
「これに梅干しを加えていただきたいと、私は断固、主張したい!」
などと、東海林さだお氏風に言い張ることもないのですが。
この後、脆弱で傲慢なレタスを俎上にあげ、玉ねぎを尊敬し敬愛し嘆賞するの
ですが、これもおかしい。
もっとおかしいのは、ペンギンの話。歳時記に関係がありませんから省略しま
すが、この本は電車内など人目のあるところでは、絶対に読めないと、しみじ
みと思ったものです。突然、顔の筋肉が意志に関係なくゆるみ、押さえるのに
苦しい思いをするからです(笑)。
★★衣替え★★
幼稚園児から学生さん、そしてOL嬢の制服からお父さん方のスーツまで、見
事に様変わりする衣替えは、ご存知のごとく6月1日と10月1日です。
衣替えの起こりは、宮中の行事として始まったもので、平安朝では、旧暦の4
月1日と10月1日に行われていましたが、室町時代から複雑になり、江戸時
代のお武家さんの世界では、何と年4回も衣替えをしていたのです。
4月1日から5月4日までと9月1日から9月8日までは袷(あわせ-裏地の
ついた着物)、
5月5日から8月末日までは帷子(かたびら-裏地のない単衣仕立ての着物)、
9月9日から3月末日までは綿入れ(表布と裏布の間に綿を入れた着物)を着
るように定められていました。
冷暖房の施設もなかった時代ですから、衣替えで対処するのが生活の知恵だっ
たのでしょう。
現在のようになったのは明治以降で、学校や官公庁、銀行やデパートなど制服
を着る業界では、この日を境に冬装束から夏装束に改めます。
かつては、夏服に変わると、梅雨の湿った陽気にうんざりする心に、さわやか
な涼風を肌に送り10月には冬服に着替え、やってくる冬将軍に備えて気を引
き締めたものですが、今は、通勤、通学も冷暖房完備の電車ですし、家に帰れ
ばクーラー、ヒーターと至れり尽くせりですから、ファッションとしての要素
が強くなっているのではないでしょうか。
しかし、今年も節電を心がけ、今まで便利すぎた生活から無駄を省き、原子力
発電だけに頼らない社会を構築する心構えを持ちたいものです。
ところで、お母さん方には、衣類を虫やかびから守る大切な仕事が待ち受けて
います。女の子には、お手伝いをさせましょう。防虫剤を入れて、収納する仕
事です。小さいときから、このような季節を肌で感じることが出来る仕事は、
なおさらです。整理整頓を苦手とする女性が増えているようですが、その原因
は、幼児期の体験の差にあるのではないでしょうか。
衣類だけではなく、部屋の模様替えも一緒にやって、気分転換をしましょう。
子ども心にも、親の手伝いをするのはうれしいものです。そして、何よりの収
穫は、お母さんがこういった家事を、笑顔でテキパキと片付けていく姿を見て、
子ども達はたくさんのことを学んでいます。「子は親の背を見て育つ」は、ま
さに名言ではないでしょうか。
以前に紹介した、世界的なベストセラーになったドロシー・ロー・ノルトの
「子どもが育つ魔法の言葉」を思い出してください。この本こそ、親になる前
に出会いたかった数々の著書の一冊ですね。
確か皇太子様も、この魔法の言葉を紹介されていたと記憶しています。
21日、22日は真夏日に、1週間前は4月中旬に戻るなど、不安定な気候が
続いていますが、間もなく梅雨前線は、日本列島を覆い尽くします。そんな時、
お母さんの笑顔こそ、うっとうしい季節を乗り越える清涼剤であることを、忘
れないでほしいですね、お父さんも同じですが(笑)。
(次回は「父の日、その他」についてお話しましょう)