めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第50号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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志望校選びの10のチェックポイント(2)
 
★説明会情報★
 6月22日(水)10:00~昭和学院小学校
         13:00~国府台女子学院小学校
 6月24日(金) 8:30~立教女学院小学校(授業参観あり)
          8:30から始まる「朝の礼拝」の少し前に、礼拝堂の
         前で生徒たちの様子を見ておきましょう。ただし、8時以
         前には入校できません。
 6月25日(土)10:00~白百合学園小学校 参加票(パソコンからダウ
         ンロード)持参。
    (詳しくは、各学校のHPで確認をしてからお出かけください)
 
[四]宗教教育について
 第四は「宗教教育に、何を期待しているか」です。
 
「宗教教育について、よく分からないのですけれども」とか「信者にならなけ
ればいけないのでしょうか」とおっしゃる方がいます。宗教教育、例えば、キ
リスト教の場合は、キリストの教えに基づいた教育が行われますから、入学試
験に際しても、信者でなければ不利といった噂のもとになっているようです。
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教することを目的としていますが、だ
からといって、信仰を強制することはありません。「在学中に洗礼を受けなけ
ればならない」といった怪情報もあるようですが、それも単なる噂に過ぎませ
ん。
 
説明会でも、
「信者でなくても結構ですし、お坊さんや神主さんのお子さんもいます。国籍、
宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、日本語がわかる
ことです」
とおっしゃっています。
 
入学後、お子さんは、キリストの教えにしたがった生活を始めます。例えば、食
事の際にお祈りをしますが、その時に、「私は知らん」と、勝手に食事をしても
らっては困るということであり、学校の行事は、イースター、みこころ祭のよう
に、宗教が中心となっていることを了解してほしいといったことなのです。また、
信者でない方のために「宗教講座」などを設けて、親子で学んでほしいといって
いますから、何ら心配はありません。
 
それよりも大切なのは、宗教教育を通して、お子さんに何を学ばせたいかなので
す。
皆さんは、普段から、
「嘘をついてはいけません」
「自分のことは自分でしなさい」
「人に迷惑かけてはいけないよ」
「ありがとうという気持ちを大切にしようね」
と言っているのではないでしょうか。これは全て宗教教育の基礎、基本です。キ
リスト教にしても、イスラム教にしても、仏教にしても、全ての宗教に共通して
いる教えです。キリスト教は愛を、イスラム教は施与(施し与えること)を、仏教
は慈悲の心を教えると考えるとわかりやすいでしょう。こういったことを大切に
していれば、学校側の指摘している「ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が一
致していること」になるのです。
 
最近では、価値観の多様化する世の中で、小さい時から絶対的な価値観、例えば、
幼稚園で、「これは白色です」と教わったことは、大学へ行っても変わらない指
導を受けられる教育、「心の教育」といいますか、そういったブレのない建学の
精神に基づいた教育を受けさせたいと考えるご両親が増えていることも確かです。
知識だけを詰め込む知育偏重型から、感情と意志を育む情意育成型の教育、これ
が私学の大きな特徴でもあるわけです。
     
宗教教育について、非常にわかりやすい話があります。あるミッション系の学校
の説明会で聞いた話で、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
この学校は日記指導に力を入れているのですが、ある年のこと、一年生が絵日記
に、 
「昨日、お父さんとお母さんがけんかして、私は、さみしかったです」
と書いてきたそうです。読んだ先生は、一年生の子が「さみしかった」と表現し
たことに感激して、五重丸の花丸をつけて返しました。喜んだ子どもは、家に帰
って来て、
「ママ、見て!」
と嬉しそうに見せたものです。ほめられると思っていた子どもは、お母さんから、
「あなたは、なぜ、こんなことを書いたの!」
と怒られてしまいました。日記を書くもう一つの目的は、「嘘をついてはいけな
い」ことを教えることなのです。日記を通して、宗教教育を実践しているわけで
す。
「昨日、帰ったら、ママに叱られました」
と、子どもは、あくまでも正直に書くわけです。すると、もっと大きな花丸がつ
いて返ってきたので嬉しいのですが、お母さんには、もう見せません。怒られる
とわかっていますから。
後日の父母会の折り、お母さんは先生から、こう言われたそうです。
「この間、こういうことがあったのではないでしょうか。実は、私たちは、作文
を通して、子どもに嘘をいってはいけないと教えています。正直に書いたお子さ
んを叱るのは、お母さんが、『都合の悪いことは嘘をついてもいいのよ』と教え
ているのと同じではありませんか。『嘘をついてはいけない』というのが私達の
教育の基本ですから、ご家庭でも、きちんと守ってください」
 
いかがでしょうか、これはわかりやすい話だと思います。宗教教育は、学校の礼
拝堂や日曜学校の教会でお祈りをして讃美歌を歌うといった表面的なことではな
く、日常生活に、限りなく密着しているわけです。
                  
また、説明会で、讃美歌を歌い、牧師さんの講話(聖書の話)を聞き、お祈りをし、
「アーメン」と唱和する学校があります。教会へ一度も行ったことがなく、ミッ
ション系の学校を希望されるお父さん方に、是非とも参加してほしいのです。
それは、青山学院初等部の説明会です。
第2回目の学校説明会は、9月3日(土)に米山記念礼拝堂で午前9時30分から
行われますが、 セキュリティーの都合上、運転免許証、健康保険証など氏名と
住所を確認できるものを持参することになっています。違和感を覚えたら、志望
校選びを真剣に考え直すべきでしょう。
 
最近では、立教小学校も「開会(閉会)礼拝」を行っていますが、「アーメン」
と唱和される方は少ないですね。今年は2階席の右側にいましたが、私の周り50
名ほどの参加者で、手を合わせ唱和された方はいませんでした。前任のチャプレ
ンは、「宗教の香りのする学び舎」と言っていましたが、説明会会場の上にある
礼拝堂で、しばし時間を過ごすと、何となく思いは伝わってきます。今年は例年
になく多くの方が参加していましたが、実感されたのではないでしょうか。
 
かつて、あるミッション系の説明会で校長先生は、「信者でない方々に宗教上の
儀式、お祈りなどを強制するのはいかがなものか考え、私どもはやりません」と
おっしゃったことがありました。宗教の香りは、入学後から、ほのかに漂ってく
るのが自然ではないでしょうか。
 
[五]通学距離と所要時間
次は、「通学距離と所要時間」についてです。
 
国立大学附属小学校の場合は、地域指定や通学時間に制限がありますから、条件
を満たさない場合は、受験できません。 
私立でも、桐朋小学校は通学地域を指定し、所要時間は60分以内、乗車時間は
40分程度、乗り換えは2つまで、桐朋学園小学校も60分程度、雙葉小学校、
立教女学院小学校は1時間以内、入学後引越しされてもこの条件を守ることにな
っていますが、多くの私学の場合、通学時間、距離は、ご父兄の判断に任せてい
ます。
 
通学に1時間かかるとして考えてみましょう。8時までに登校するには、遅くと
も7時前には家を出ます。その前に食事、着替えなどの準備が必要ですから、お
子さんは6時に起床、お母さんは、朝食の支度のため5時半には起きることにな
るでしょう。週五日制が徹底されても、毎週五日間、この時程が繰り返されます。
さらに、学校が都心にあれば、ラッシュアワーに通学ということも考えられます。
心身共に健康でなければ、通い切れません。
 
ここで、三つだけ質問しておきましょう。
その一、お子さんは、十分ぐらい歩くと、「おんぶして!」と言いませんか。
その二、遊園地などで迷子になった時に、係の人に名前と住所を聞かれたら言え
ますか。
その三、電話をかけられますか。
私が担当している模擬面接で、住所も、電話番号も言えるお子さんに、
「ディズニー・ランドへ行ったとき、迷子になったらどうしますか」
と聞くと、答えられない場合があります。こういったちぐはぐなことが、入試準
備として行われているようです。迷子になったら、制服を着ている係の人に、住
所と名前を言えば、場内に放送して、親に知らせてくれます。何のために住所や
電話番号を覚えておくかを教えずに、面接のために記憶させているから、言える
けれども、それを使って何をするかがわからないのです。これが、記憶だけに頼
る受験準備のマイナス点ではないでしょうか。目的が分からないで知識だけを詰
め込んでしまうと弊害が起きるもとだと思います。「覚えさせておけば事足りる」
といって教え込んだことは、幼児期には余り役に立たないものです。
 
かつて、ある学校の説明会で、「登下校中に、関東大震災級の地震が起きた場合、
学校としては、とるべき手段がありません」と言ったことから、「学校の近くに
住む子が有利、遠方からの通学者は不利」といった噂が流れました。東日本大震
災以降、安全に通学出来ることも、学校選びの重要な条件になったようですが、
近くに住む子が有利といった噂が、再び流れ始めているそうです。9日の立教小
学校の説明会でも、田代教頭から「震災対策」の話がありましたが、私学の小学
校へは、多方面から時間をかけて通学するのですから、各校も万全の体制で臨ん
でいます。
 
そんな噂に心を惑わされる前に、そういった災害が起きた場合を想定し、もし、
電車やバスに乗っている時はどうしたらよいかなど、幼い子どもなりに対処出来
る、そういった育児をしっかりと心がけ、自立心を育てるべきではないでしょう
か。
以前にも紹介しましたが、早稲田実業学校初等部は、保護者が同伴できるのは、
入学式と翌日の始業式だけで、三日目から一人で通学します。安全のために出来
る限り保護者の同伴を望む傾向にあるようですが、それはともかくとして、子ど
も達の自立を妨げる過保護、過干渉の育児は、絶対に止めるべきです。
                        
通学距離、所要時間は、単に物理的な距離、時間ではなく、こういった精神的な
面も考慮すべきではないでしょうか。
 
[六]健康状態
「健康状態」についてですが、これは小学校受験で、もっとも大切なことです。
健康といっても体だけではなく、心身共に健康であることです。
小学校受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入り、
初めて会った先生の指示を聞き、理解し、即座に対応する」ことです。自分だけ
が頼りの戦いです。
 
まず、話を聞く姿勢が身についているかです。
前にもお話しましたが、小学校の試験は、中高大学の試験と比べて、著しく異な
ることがあります。
ペーパーテストを考えてみましょう。通常、テストには、設問があり、それを読
んで答えるわけです。ところが、小学校のテストには設問がなく、逆に、答えが
全部、出ています。後は、スピーカーから流れてくる先生の指示を聞いて解答し
ていきます。
中高大の試験では、やっているうちに、「あぁ、これは苦手だから飛ばそう。時
間が余ったら後でやろう!」と自分のペースで挑戦出来ますが、小学校の試験は、
これが出来ません。「用意、ドン!」ではありませんが、始まればそのまま流れ
ていきます。途中であっても、「ハイ、そこまで!」と言われれば、そこでやめ
ないと、次の設問の説明が始まりますから、ついていけなくなります。マイペー
スは、認められません。
話を聞く力を身につける、これは試験だけではなく、何かを学習するためにもっ
とも必要な基本的な態度です。話を聞けなければ、何事も始まりません。話を聞
く姿勢は、親子の対話から、話の読み聞かせから、指示をきちんと出すことから
身についてくることを、くどいほどお話してきた理由は、ここにあるのです。
 
次に、お母さんの手を借りないで、どのくらいのことが出来るかです。
お子さんの一日の行動をチェックしてみましょう。お母さんが、どのくらい手を
貸しているかを知ってほしいのです。衣服の着脱、歯磨き、洗顔、食事、排便、
身辺の整理など、就学前には身につけておかなければならない「基本的な生活習
慣」ですが、いかがでしょうか。こういった生活習慣が身についていることは、
子ども自身が、試行錯誤を積み重ねながら学習をした結果です。幼児期は、この
試行錯誤こそ大切な学習なのです。試行錯誤は、工夫をすることから起こります。
手作業の得意な子の知的な能力が高いのは、試行錯誤を積み重ね、その手順を、
きちんと学習し、覚えているからです。単なる記憶ではありません。
自分の頭と体を使って、
「こうしたらこうなるぞ、こうしたらまずいかな、こうやったらうまくいったぞ!」
と学習しているのです。
オーバーに言えば、「誰にも頼らず、一人で生きていくための生活の知恵」を学
んでいるのです。
 
小学校の受験は、問題集を買って、勉強して、「合格!」とはなりません。その
ことを、ものの見事に表現した言葉があります。この話も何回も紹介しましたか
ら、もう耳にたこができているかも知れませんね。ある年のミッション系の学校
の校長先生のおっしゃったことです。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、こ
と足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気付いてほしい」
日常生活での積み重ねが、5歳か6歳の秋に表れるのです。つまり、ご両親の育
児の姿勢が、そのまま表れます。これが小学校の受験なのです。
 
最後に、社会性や協調性といった集団生活への適応力が培われているかです。
これは幼稚園や保育園の先生方に聞けば、すぐにわかります。先生方は、お母さ
ん方に遠慮して、なかなか本当のことを言ってくれませんが、例えば、
「うちの子、集団生活ではどうでしょうね」
と尋ねたとき、
「多少、問題があるようですよ」
といった返事が返ってきたときは、ものすごく問題があると考えて、日常生活を、
きちんとチェックすべきです。多くの場合、集団生活に問題が起きるのは、ご家
庭の育児の姿勢に原因があります。繰り返しますが、過保護、過干渉の育児です。
 
3歳を過ぎてもお子さんのやっていることを見て、手を貸したくなれば過保護で
あり、口を出したくなれば過干渉の育児と言われています。過保護な育児からは、
わがままで、我慢のできない子に、過干渉の育児からは、消極的で引っ込み思案
な性格の子になりがちです。こういった環境で育てられていると、集団生活への
適応力は、育まれません。困るのは、お子さん自身です。
ちなみに、最近の脳科学者の研究によれば、集団生活への適応力の基本は、6歳
頃までに身につくもので、その時期を逃すと臨界期といって、どうにも修正が効
かなくなり、社会性や協調性を身につけるために、本人が非常に苦労すると言わ
れています。
 
夏休みには「お泊り保育」があると思いますが、どういった状態であったか、必
ず聞くようにしてください。親の元を離れたお子さんの本当の姿を見ることが出
来るからです。最近、行動観察型のテストで、集団生活への適応力を判定する問
題が増えていますが、学校側は、何を見たいのか、おわかりいただけたのではな
いでしょうか。
 
お子さんの心身の健康状態は、いかがですか。
梅雨に入ってやっと雨が降りましたが、関東地方のダムの貯水量が心配な状態に
なっているようです。自然相手では手の打ちようもありませんが、日常生活は、
心がけ次第でコントロールできます。受験準備に無理は禁物、心身共に健康であ
ることに留意し、頑張りましょう。
 
しかし、おかしな言い訳を考えるものですね。「不適切だが違法ではない」、庶
民をコケにした上からの目線。今度は「記憶にない」、「羞恥心」などかけらも
ない。お子さんはどう思っているかな。
(次回は「志望校選びの10のチェックポイント3」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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