めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 言語に関する問題(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
第30号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
[2] 言語に関する問題 (2)
奄美大島に115年ぶりの雪! 日本列島、すっぽりと冷蔵庫に入った感じで
すね。
雪が降ると思い出すのは、童謡「雪」を子どもの頃から、間違って覚えていた
ことです。教えてくれたのは、淑徳幼稚園の課外保育の一つであった進学教室
の歌姫ことマイちゃん。雪の日に教室で、“雪やこんこん、あられやこんこん”
と歌ったところ、「先生、違いますよ。“雪やこんこ、あられやこんこ”です
よ」と。園の先生に童謡歌集を見せてもらうと、その通りでした。「こんこ」
は、「正確な意味、語源は不明で、『来む』(来い=降れ)と関係があること」
(世界の民謡・童謡 World folksong.Comより)だそうで、作詞、作曲者も
不明です。確か、向田邦子さんも、ある随筆に「瀧廉太郎の『荒城の月』の歌
詞、♪巡る盃♪を“眠る盃”と聞き、どういう盃なのか不思議に思った」と書
かれていましたが、思い違いはあるものですね。(安心)
[しりとり]
★「左上の四角から、右下の三角まで、しりとりでつながるように線を引きな
さい」
しりとりは、子どもも得意ですし、いつでも、どこでもできます。
「りんご・ゴリラ・らっぱ・パイナップル・ルビー」といった、しりとりの定
番のようなものがありますが、ゴリラ以外の「ご」で始まるものに切り替えな
ければ、マンネリでだれてしまいますね。遊びも適度の緊張感がないと面白く
ありません。「ごま、ゴルフ、ゴム、ごみ、ゴキブリ、ゴンドラやゴーグル」
は、どうでしょうか。お子さんと一緒に探してみましょう。
いつもお母さんが主導権を握っていると、お子さんは緊張の連続で息抜きがで
きず、つらいものです。一緒に考えるのは、同じ土俵にいることになりますか
ら、お子さんもリラックスできるのです。
「お母さんも、思いつかないのだけど……?」
などとつぶやいてあげると、お子さんは真剣に考えるはずです。これを「つぶ
やきの教育」とか「ささやきの教育」などといっていますが、「教えこむ教育」
ではなく「考えさせる意欲を育てる教育」です。
正解なるものをひたすら求めてばかりいると、模範解答だけしかいえない、こ
んな言葉はないでしょうが、「マニュアル受験生」になる心配もあります。以
前にもお話ししましたが、こういった弊害をなくすためにペーパーテストを廃
止し、行動観察型のテストを取り入れる学校が増えたわけです。
[同頭語・同尾語]
★絵の中で「あ」で始まるものに〇、「ん」で終わるものに△をつけなさい。
同頭語は言葉の頭の音ですから間違いも少ないようですが、問題は言葉の終わ
りの音、同尾語です。プリントの絵を見ながらの場合は何とかなるでしょうが、
口頭試問ではどうでしょうか。
★「『ん』で終わるものを、できるだけたくさんいってください」
こうなると、パニックになりがちではないでしょうか。
「あんパン、ジャムパン、カレーパン」では、あまり発想が豊かとはいえませ
ん。疲れているお父さんは「グロンサン、リポビタン、アリナミン」というか
もしれません、冗談ですが(笑)。
動物の名前や台所で使うものに見当りますね。出てこない場合には、「動物」
「台所」などとヒントを与えましょう。
ところで、言語の問題では、マッチ、風鈴、うちわ、扇子(せんす)、はたき、
竹箒(たけぼうき)、ちりとり、氷柱(つらら)などが出題されていますが、
普段、見かけないものもありますね。家にないものは、見かけた時にきちんと
説明してあげることです。臼(うす)や杵(きね)は昔話の世界ですから、出
てきたときに注意を促しましょう。
先週は雪が積もり、川越では氷柱を見ましたが、いかがでしたか。その時のこ
とですが、雪合戦や雪だるまを作る子ども達がいないので、家内に聞いたとこ
ろ、「ご近所に、小さいなお子さんがいないからですよ」といわれてがっくりし
たものです。我が家の周辺も、高齢者集団になっていることを実感しました。
(笑)
[反対言葉]
★「先生がいう言葉と反対の言葉をいってください。『高い』……」
こういった問題です。
「『高い』の反対は、イ・カ・タです!」
これは笑えませんね。初めての問題に取り組むときに起きやすい勘違いで、こ
れでは説明不足です。
「『大きい』の反対の言葉は『小さい』ですね。わかりましたか。では、『高
い』の反対は……」
こういう説明があれば間違わないでしょう。初めての問題は、きちんと説明し
ないと誤解が起きやすいものです。私たち親は、わかっているだろうと先入観
を持ちがちですが、子どもにとって迷惑な話となる場合もあるものです。最初
の一歩は親切、丁寧に、二度目、三度目からは少しずつ簡略化し、きちんと理
解できた後は問題文を読むようにしましょう。
いつまでも懇切、丁寧では、お子さんも「説明はこういうものだ」と誤解しや
すいですから注意が必要でしょう。
しかし、考えてください。
頭の中で言葉を引っ繰り返し、懸命に考えて答えているのですから、笑ってし
まうと子どもの自尊心は傷つきます。お子さんが急に黙りこんだり、プッとふ
くれる時は、自尊心を傷つけられている場合が多いですから、やさしく対応し
てあげましょう。もう、そういった時期に入っているからです。
また、こう答える場合もあります。
「『大きい』の反対は、大きくない」、間違いではありませんね。「長くない。
重くない。明るくない。広くない」と答えた子がいました。言葉としては通用
しますが、これは教えてあげましょう。
反対語は、小学生になると二字熟語として習います。勿論、「大小」を「だい
しょう」、「上下」を「じょうげ」、前後を「ぜんご」、「左右」を「さゆう」と
音読みで教える必要はありませんが、面白がって覚える子も出てきます。そう
いった場合は、「言葉の遊び」として教えてあげましょう。
「赤い」「長い」「広い」「多い」「寒い」「弱い」「明るい」「美しい」などの形容詞は、形
容動詞、副詞などと共に、作文を書くときに生きてきます。ですから、語彙を
増やしてあげることが大切なのですが、前回にもお話ししましたように、文字
を書きたがる場合は、正しい筆順を教えることも忘れないでください。何事も
最初の一歩が大切だからです。
[復唱・逆唱]
★「先生のいったとおりにいってください。
1、3、5、7、9、ハイ、どうぞ」
★「次は、逆からいってください。3、5、7といったら7、5、
3というのですよ。 2、9、7、ハイ、どうぞ」
★「今度は、文をいいますから、同じようにいってください。昨日
私は、幼稚園の遠足で、動物園に行き、パンダを見ました」
こういった問題です。確かに記憶力ですが、大人の考える記憶力ではありませ
ん。リズム感覚の遊びです。
5ケタの数の復唱を、「1………、3………、5………、7………、9」
などとやっては、だれてしまいます。これを、「1、3、5、7、9!」とリ
ズミカルにやると、子どもはついてきます。
面白いのは、逆唱の問題ですね。「1・3・5」なら「5・3・1」となるわ
けですが、これは練習しなければできません。やっかいなのは、言葉の逆唱で
す。「りんご・バナナ・トマト」を「トマト・バナナ・りんご」と言い換えま
すが、かなり難しい問題です。ところが、この3つの組み合せの中へ、子ども
達に人気のあるものをはさむと、完璧に答えますから不思議なものです。
以前、タマゴッチがはやった時のことですが、こんなことがありました。
「りんご・バナナ・タマゴッチ」とやれば「タマゴッチ・バナナ・りんご」で
す。
「バナナ・ドラえもん・りんご」では「りんご・ドラえもん・バナナ」となり
ます。
全部、人気者にすると模範的な回答になります。
「ドラえもん・のびた・静ちゃん」は「静ちゃん・のびた・ドラえもん」です
ね。子どもの笑顔が浮かんできませんか、やはり、遊びの感覚です。頭の体操
と考え、お子さんと一緒に楽しく遊んでください。
[数詞]
これも厄介な問題です。
ウサギのように、一羽、二羽、三羽と数える場合もあり、幼児には難しい数え
方です。数によっては、「いっぽん、にほん、さんぼん」「いっぴき、にひき、
さんびき」と読み方が変わるものや、花のように「一本、一輪、一束、一株、
一鉢」と、数や植えられている様子から変わるものもあります。よく出題され
ている数詞を紹介しておきましょう。
シャツ(一枚) かまきり(一匹) うさぎ(一羽) ぶどう(一粒、一房)
バナナ(一本、一房) 靴(一足) 椅子(一脚) 自転車(一台)
飛行機(一機) 豆腐(一丁)
家(一軒、一戸) はし(一膳) 手紙(一通) バラ(一本、一輪、一束)
折り紙(一枚)
くじら、馬、象(一頭)
数量の問題をはじめ問題集に取り組むときには、ものを数える機会はたくさん
ありますから、必ず、「一個、二個」「一杯、二杯」と、数詞をつけて数える
ようにしましょう。
ところで、なぜ、うさぎは、鳥のように一羽、二羽と数えるのでしょうか。江
戸時代には、四本足の獣を食べなかったのですが、「うさぎは、ピョン、ピョ
ンと跳ねるから、あれは鳥だ!」といって食べていました。ですから、うさぎ
は、一羽、二羽と数え、それが今も残っているのですが、小さな子ども達には、
よく理解できない数え方になっています。哺乳類を食べなかった仏教の影響で
しょうが、とんだところで、子ども達を悩ませているようです。
[日にち]
「日にち」、これも幼児にとって難しいですね。
「いち・に・さん…」は音読みですが、訓読みでは「ひと・ふた・み・よ・い
つ・む・なな・や・ここの・とお」となりますが、これを「ひ・ふ・み・よ・
いつ・む・なな・や・こ・とお」と覚えると、一日を除き十日まで訓読みにな
っていますから、わかりやすいのではないでしょうか。
そして、十一日、十二日、十三日と音読みになり、十四日が音訓読み、十五日
から音読みに戻り、二十日が特殊な読み方で、あとは二十四日が音訓読み以外、
音読みになります。
こんな複雑な読み方を、日常、使っているのですから、日本語はすばらしい言
語であることを、子ども達に教えてあげたいものです。そのためにも、毎日カ
レンダーを見ながら「日にち」と「曜日」をいう習慣をつけましょう。また、
祝日の場合は、そのいわれを説明し、家族で祝うことも大切です。そこから自
前の家庭の文化が、築かれるのではないでしょうか。拙著のメールマガジンの
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」を参考にしてください。今週の歳
時記第12号に紹介しましたが、「日付の歌」で検索する「日付の歌」と
「Days of the month in Japanese」の2曲を続けて視聴できます。お子さん
に聞かせてみてはいかがでしょうか。子ども達は、興味を持てば、すぐ覚える
ものだからです。
言語の問題は問題集を使わなくても、内容さえわかっていれば、楽しみながら、
どこでもできます。読者の中にはいらっしゃらないとは思いますが、子どもに
とってあまり無口なお母さんでは困ります。しかし、しゃべり過ぎはいけませ
ん。大切なのは、言葉のキャッチボールですね。プロ野球の中継を見た時に、
キャッチャーの投球に注意してください。
キャッチャーは、ピッチャーの胸のところへボールを返しますが、その訳は、
いちばん取りやすく、次の投球にすぐ入れるからです。いいキャッチャーにな
ってあげましょう。
そういった時は、お子さんにも、答えやすい質問になっているはずです。そこ
から、話をきちんと聞き取る力、何事にも一所懸命に取り組もうとする意欲が
育ってきます。とにかく、お子さんに話をさせることが大切です。そういった
ことから、なぞなぞもいいですね。
お子さんは、案外、面白いものを作るものです。こういった「言葉遊び」は、
お父さん、お母さんが相手ですから、スキンシップをかねた楽しい学習になっ
ており、効果をあげることもできるのです。
この他にも、同音異義語(はし-橋・箸 かける-帽子をかける・電話をかけ
る・腰をかける)などの問題や、様子を表す言葉(春風がそよそよと吹く 北
風がぴゅうぴゅうとふいている)、「バット」や「葉っぱ」等のつまった音
(促音)や、「汽車」「キュウリ」等のねじれた音(拗音)、「おとうさん」
や「ケーキ」のように伸ばす音(長音)に関する問題などもありますが、文法
としてではなく、普段使っている言葉として、楽しく学習することが大切です。
小学校で習ったとき、「パパやママと遊んだことがある!」と思い出し、それ
が学習意欲につながるからです。「さすがお父さん、お母さん!」と間違いなく
尊敬されます。
このように、言語の領域は広範囲ですが、毎日の生活の中で、遊びながら学習
できますから、いろいろと工夫してあげることが大切です。
来週は節分です。豆まきをして、恵方巻を食べ、鬼の話をしてあげましょう。
「パパ、どうして鬼は豆に負けるの。だって、豆なんか投げられても痛くない
でしょう?」と年長になった長男に聞かれ困ったことを思い出しました、今で
はきちんと答えられるのですが(笑)。パソコンで「なぜ、鬼は豆を嫌うのか」
で検索すると、いろいろと出ています。こういった子どもの疑問に手を抜かな
いお父さんは、子どもに尊敬されます。頑張ってください。
(次回は、「(3)話の記憶の問題」についてお話しましょう)
(次回は、「言語に関する問題2」についてお話ししましょう)