めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[2]5つの試験形式(4) 運動テスト
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
第23号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
■■[2]5つの試験形式■■
(4) 運動テスト
みんなで一斉にする集団テストと、一人ひとりでする個別テストがあります。
集団テストには、先生のお手本を見て、その通りにする模倣体操や、タンバリ
ンなどのリズムに合わせて行進をする、片足で三十秒間ほど立つバランス感覚、
指の屈伸などがあります。
個別テストは、ケンケン、ケンパー、くま歩き、ボール遊び、ゴム段、跳び箱、
平均台といった運動をいくつか組み合わせて、先生の模範演技の後に一人ひと
りが挑戦するものです。
たとえば、こういった組み合わせです。
「床に引かれた真っすぐな線の上をケンケンで進み、平均台を渡り、次に
跳び箱に登り、元気よく跳び降り、得意なポーズをする」
ほとんどの学校でやっています。しかし、これは技を競う「競技大会」ではあり
ません。ボールを投げたり、ついたり、走ったりしながら、年齢にふさわしい運
動機能の発育状態を見ているだけです。ですから、難しいものはありません。ウ
ルトラなんとかなどは、オリンピックの話で、一所懸命、子どもらしく、挑戦で
きれば、いいのです。
これも生活体験が、そのまま出ます。ボールをついたことのない子にボールをつ
けといっても、絶対にできません。運動は、身体全体で学習するものですから、
正直に表れます。これは、誰の責任でしょうか。ご両親です。運動器官に、何ら
かの障害がある場合はともかく、普通の発育状態で、みんなができる運動もでき
ないのは、親がさせていないからと言えないでしょうか。こういう子は、比較的
に頭が、よいそうです。頭だけよくても、みんなができることができないと、い
やな言葉ですが、いじめの原因になったりもします。
逆も、あるのだそうです。スポーツ教室に通って、きちんと技をみがき、それは、
それでいいのでしょうが、
「みんな、下手だな……! こうやるのだよ!」
見下しているのです。態度がでかいのです。ボール遊びなどでこういうこともあ
るそうですが、これも駄目ですね。
早期教育にも、こういう欠点が、現われがちではないでしょうか。
「九九もできないの!」
これと同じです。見下していたかめさんに抜かれるうさぎさん、たくさんいるそ
うです。うさぎさんは、ひらめき型で、かめさんは、じっくり考えるタイプです。
繰り返し試みるかめさんを、あたたかく見守ってあげるお母さんになりましょう。
かめさんは、小学校の4年生頃から、うさぎさんを追い抜きはじめます。その理
由は、選択肢が2つか3つの場合、直感力がすぐれているひらめき型のうさぎさ
んは、あまり苦労することなく答えを選び出せますが、選択肢がふえてくると、
直感力だけでは解決できなくなります。じっくり考えるかめさん型は、選択肢が
少なくても、一つひとつ検証しながら答えを出すので、時間はかかりますが、試
行錯誤、“trial and error”を積み重ね、きちんと考えて答えを出す習慣を身
につけているからです。イソップの寓話「うさぎとかめ」は、油断を戒めたもの
ですが、こういった解釈も可能ではないでしょうか。
余談になりますが、負けたうさぎはどうなったかご存知でしょうか。かめに負け
た駄目うさぎとして、うさぎ村から追放されますが、「子うさぎを餌に差し出せ!」
と脅迫する狼をやっつけ、無事、うさぎ村に復帰します。子どもから聞いた話で、
真偽のほどは定かではありませんでしたが、図書館でやっと見つけました。狼を
やっつける方法が、用心深いウサギらしく、傑作です。
(「それからのうさぎ」 読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話(上)
筑摩書房 刊)
話を戻しまして、問題点は、まだ、あります。指示されたとおりにできるかです。
先程のいろいろな運動を組み合わせたものや、模範演技を、しっかり見て、理解
し、同じようにできるかです。指示の理解と的確な行動力を判定していると思い
ます。
まだ、あります、待っている間です。自分の番が来るまでは、緊張していますか
ら心配ありませんが、自分の番が終わると、ゆるみがちです。他の子どもがやっ
ている間、キチンと体操座りで待っていられるかです。本当は、これが学校側の
狙いだと思うのですが……。
最後に、一言。これは、笑えない話ですね。あるミッション系の小学校の説明会
で聞いた話です。
先生が模範演技をして、さて始めようとしたとき、一人の女の子が聞いたのでし
た。
「先生、これテストですか?」
「………!」
先生は、何とも言えません。どこの学校も、子どもたちには、テストというプレ
ッシャーをかけないように気をつかっていますから、「試験です!」とは、言い
がたいのです。
「試験でないなら、やりたくありません!」
子どもの正直な告白です。毎日、やること、全て、試験のための訓練になってい
るのでしょう、悲しくなりますね。しかし、体を動かすことをいやがる子どもな
ど、いるのでしょうか。「お子さんを追い込むような準備はしないでほしい」と、
シスターはおっしゃっていました。やはり、おかしいです。
おかしくしているのは、誰でしょうか。ほんの一部の猛烈受験ママの話でしょう
が、こういったことからマスコミの言う「受験戦争の低年齢化」となり、針小棒
大に騒がれてしまうのでしょうけれど、お子さんのためです、こういったお母さ
んにはならないでいただきたいとお願いしておきましょう。
昔の話ですが、お父さんが海外へ単身赴任しているお子さんの志望校は、ボール
を使った運動テストが行われる暁星小学校でした。盛んに話しかけてくるので、
やはり、寂しいのだなと耳を傾け、時には叱ったりしたものでした。子どもから
聞いた話ですが、お母さんと近所の公園で、毎日のようにボール遊びや縄跳びを
していたそうです。試験のためではなくても、親子で汗を流すのは、大変なスキ
ンシップになっています。少し太めであったお母さんが、スリムになってきたの
で、絶対に合格するだろうと思いました。親子が心を一つにして目標に向かえば、
望みはかなえられるものです。入学式の帰りに挨拶に見えましたが、一番うれし
そうだったのは、何と初対面のお父さんでした。遠く海外にいて手を貸せなかっ
たお父さん……、涙腺の緩い私は、困ってしまったことを覚えています(笑)。
何から何まで、塾や教室の先生方にお任せだけでは、よい結果は出ないことも覚
えておいてください。
(次回は、「面接テスト」についてお話しましょう)