めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>2、3歳児の心身の発達特徴 

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第3
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2、3歳児の心身の発達特徴 
 
高校や大学受験のように、受験生の成績だけで合否を決められないのが、幼稚
園や小学校の受験です。幼稚園の場合、3年保育のテストは、10月から12月
にかけて行われますから、早生まれのお子さんは、2歳で受験生になります。
 
桐朋幼稚園を除き、幼稚園で実施されているテストの内容を、具体的に発表し
ていませんが、一つの目安として、文部科学省が公表している資料があります
ので、それを参考に検討してみましょう。そうすれば、幼稚園入試は、子ども
達の発達段階を踏まえて行われていることもわかると思います。
 
それから、市販されているガイドブックなどをご覧ください。幼稚園側も、2
歳児、3歳児の試験には、いかに苦労しているかがわかります。さらに、うわ
さの一つでもある、「何でもできる、頭のいい子」だけを求めていないことも、
理解していただけるはずです。
 
繰り返しますが、幼稚園の入園テストは、子どもの知的な能力だけを見ている
のではありません。妙なうわさに惑わされないためにも、2、3歳児の発育状
態を見て、しっかりと理解してほしいと思います。
 
これは、昭和23年3月に、文部省令改正によって、教育課程の基準に定めら
れたもので、保育要領(幼児教育の手引き)の中で紹介されている「幼児の心
身の発達特徴」です。古いものですが内容は、身長や体重といった身体の発達
以外は現代にも通じます。戦後の混乱期に、こういうことをやっていた方々が
いたのですから、頭が下がります。国家の復興の礎は、何と言っても教育だか
らです。
 
[身体の運動的発達]
 ◇2歳児◇
 1.倒れないで走れる。
 2.一人で階段を昇降できる。
 3.大きいボールを蹴る。
 4.積み木三個を積み上げて塔を作る。
 5.垂直の線を模倣して引く。
 6.紙を一枚ずつめくる。
 7.さじを上手に使う。
 
 ◇3歳児◇
 1.両足をそろえてとぶ。
 2.脚を交互に踏み出して階段を上がる。
 3.円を描いてみせるとまねて描く。
 4.積み木で橋を作ってみせるとまねて作る。 
 5.正方形を模写する。
 6.はしを使うことができる。
 7.はさみを使うことができる。
 8.ボタンの掛けはずしができる。
 9.くつをはく。 
 10.水が半分ぐらい入ったコップを持ち運ぶ。
 
こういった身体の運動的発達を踏まえ、幼稚園で行われているテストをみると、
「なるほど」と肯けますし、積み木を使った模倣構成なども標準的な発達から
逸脱していないこともわかります。
 
[知的発達]
 ◇2歳児◇
 1.見慣れた物の名前を言うことができる。
 2.性の区別がわかる。
 3.自分の名前を言うことができる。
 4.絵の中の物を3つ以上列挙する。
 5.過去と現在の区別がわかる。
 6.簡単な形の区別がわかる。
 7.目の前にない名前を言うことができる。
 
 ◇3歳児◇
 1.絵を描いて命名する。
 2.仮定的な場面を考えることができる。
 3.四つの物を数える。
 4.短文(二・三語)の反復ができる。
 5.空間関係(上、下、前、後)を了解する。
  
言葉、話し言葉が急激に伸びていく時期で、語彙も2歳児で二百前後、3歳児
で八百から千、4歳児では千五百以上と飛躍的に増えてきます。名前を呼ばれ
ると返事をし、「いくつですか」と尋ねられると「ふたっつ」といえるように
もなります。
ある幼稚園では、幼児に立て続けに質問をすることから、立て板に水のごとく、
よどみなく答えられなければ合格しないといわれているようですが、それもお
かしなことだとわかります。2、3歳児の知的な発達は、この程度なのです。
空間認知能力といわれる上下、前後のほか、大小、高低、長短もわかり始め、
数も3~4個のものを数えられるようになります。しかし、比較して「うちの
子は?」などと思い悩むことはありません。これはあくまでも標準データで、
まもなくできるようになります。
 
[情緒的発達]
◇2歳児◇
 1.恐怖、不安、ちょっとした不快感などのためにもすぐに泣きやすい。
 2.新しい場面にはほとんど何時でも恐怖心を示す。
 3.かんしゃくを起こしやすく、その時泣いたり、引っ掻いたり、 足踏み
   したりする。
 4.喜びを表すのに微笑みや笑いをもってする。
 5.子どもより大人に対して親愛の情を表す。
 6.感情の興奮のためお漏らしをすることがたびたびある。
 7.嫉妬心を起こしはじめる。
 
◇3歳児◇
 1.困ったり、非常に不愉快なこと、苦痛があると泣きやすい。
 2.だんだん特殊なものを恐がりはじめる。(犬や猫など) 
 3.まだときどきはかんしゃくを起こすことがある。     
 4.喜びを言葉で表現することがある。
 5.子供どうしの愛情を表わしはじめる。
 6.小さいものをかわいがりはじめる。
 7.大人の干渉をいやがる。
 
2歳児は、まだまだ情緒の不安定な時期ですから、しっかりとした親の保護が
必要なこともわかります。情緒が不安定なのは、自立の準備が始まっていて、
何だかよくわからないけれど、やってみたいのだが、うまくできないもどかし
さや苛立たしさといいますか、今までなかった感情の変化に、幼児自身も戸惑
っている時期ではないでしょうか。
 
3歳児には、大人の干渉を嫌がる兆しが現われています、反抗期です。自立の
準備が、着々と進んでいることもわかります。こういう時期の受験ですから、
親の思い通りにはならないものです。やはり、熟練のスタッフを備えた幼児教
室での適切な指導が歓迎されているのは、こういった状況のもとでの受験だか
らです。
 
[社会的発達]
◇2歳児◇
 1.簡単な衣服を引っ張って身につける。(ソックス、指なし手袋等)
 2.家の中のことのまね遊びをする。
 3.一人遊びと並行遊びが多い。
 4.反抗期が始まる。
 
◇3歳児◇
 1.手を洗う。
 2.他人の注意を引くためによく質問をする。
 3.社会活動の中に入りはじめる。
 4.順番を待つことがわかる。
 5.ごっこ遊びが多くなる。
 6.自己主張が強く、反抗的になることが多くなる。
 
自分でやってみようとする意欲は、模倣、まねとなって現われてきます。「模
倣 まねる」は「学ぶ」につながる基本的な学習姿勢であると共に、「自分で
やろうとする意欲」も芽生え、自立の始まったことを示しています。この時期
のお手本は、ご両親、特に、お母さん方で、しっかりと観察されています。そ
の結果が、ままごと遊びにきちんと姿を現すものです。お父さん方も、よいお
手本を見せておかないと、後悔することになりかねません。
 
複数の幼児が同じ場所にいて、同じ遊びをしながらも、お互いにかかわりを持
たない状況を「並行遊び」といいますが、これができるのは、友達と遊ぶため
の準備も始まっている証(あかし)で、社会性の育つ兆しであり、それが、3
歳になると、仲間と一緒に何かをする「ごっこ遊び」となり、遊びの幅もぐん
と広がってきます。
 
2歳児は、第一次反抗期に入っていることもわかります。
3歳児の自己主張が盛んになるのは、自立の時期に入ったことを示しています。
心身共に、赤ちゃんから子どもに成長してく変化期を迎えていることを、毎日
の生活を通して、お母さん方自身も感じ、納得されているのではないでしょう
か。
 
こういった幼児の心身の発達を踏まえ、生まれ月を考慮しながら、無理のない
入園準備を進めていけば、「ママ、大好き!」と歓迎される、賢いお母さんに
もなれるわけです。頑張ってください。
(次回は、入園テストについてお話しましょう)

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