めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>最近の入学試験の傾向

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
             第16号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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最近の入学試験の傾向 
 
小学校の試験を目指す皆様方ですから、既に、ご承知と思いますが、最近の傾
向として、ペーパーテストを実施しない学校が増えてきたことです。その経緯
については、あとで詳しく紹介するとして、ここ数年間の出題傾向について、
簡単に触れておきましょう。
 
ペーパーテストを行わない学校は、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、学習院
初等科、立教小学校、桐朋学園小学校、川村小学校などで、いわゆる行動観察
型のテストを実施しています。
「ペーパーテストを行わずに、何がわかるのですか?」と、疑問視する方も大
勢いらっしゃるようです。ところが、これがよくわかる仕掛けになっているの
です。仕掛けといっては失礼になるかもしれませんが、ある年の桐朋学園小学
校の学校説明会で、たまたま顔を出された校長先生が、面接についておもしろ
い話をしてくれたのでした。
 
「私どもが面接をしないのは、親御さんに『趣味は何ですか』とうかがっても、
本当は競輪や競馬が大好きでも『読書、音楽鑑賞です』とおっしゃるでしょう。
だから面接をしません。しかし、私どもでは二日間、お子さんを預かりますか
ら、どのような家庭環境で育てられているかわかるからです」
 
文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
その通りではないでしょうか。
子ども達は、育てられた環境を、そのまま正直に、試験会場で見せることにな
ります。基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣いから社会性や協調性といった集
団への適応力など、手に取るようにわかるのではないでしょうか。
 
ですから、「ペーパーテストがないから、受験準備は楽だわ!」などと考える
のは、とんでもない誤解で、行動観察型の試験は、ペーパーテストより難しい
ところがあります。なぜなら、先生方の言葉を聞き取り、理解し、考え、言葉
で、身体で表現したり、絵を描いたり、行動する、それが行動観察型の試験だ
からです。どういった準備が必要だとお考えでしょうか。
 
ペーパーテストを実施した学校は、暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園小学
校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科(一時期、ペーパーテストを
止めていたのですが)、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台女子
学院小学部などです。
このように学校名をあげてみると、何かお気づきのことはありませんか。そう
です、何とも不思議なことに、宗教教育を行っている学校が多いのです。しか
も、いずれも、いわゆる名門校ですから、試験問題の難易度は、高いことも共
通しています。
なぜ、難しい問題が出題されるのでしょうか。
 
おそらく、過去問といわれている、以前に出題された問題を集めた本などを使
い、繰り返し問題を解くといった受験準備ではなく、基礎知識をきちんと身に
つけ、問題を解く力を備えてほしいと、学校側は考えているのではないでしょ
うか。
 
簡単に説明するのは難しいのですが、わかりやすい話だと思いますので紹介し
ましょう。
試験問題の中に、「四方図形」があります。これは、テーブルの上に置かれた
左手をあげた縫いぐるみを、前後左右から見ると、どのように見えるかといっ
た問題です。この場合、四つの方向から見ることになりますから、四つの違っ
た答えがあるわけです。つまり、学校側は、答えは一つだけではなく、いろい
ろな方向、立場からものを見て判断する、そういった力を持つ子どもを求めて
いるのではないでしょうか。 
 
さらに、ここ数年、こういった問題がありました。
 
・雙葉小学校
お皿に入っているプラスチックの玩具の宝石20個ほどを、細かく分かれてい
る箱に、塗り箸でつまんで入れる。
 
・白百合学園小学校
プラスチック製の穴の空いた板に紐が通してあるお手本を見ながら、同じよう
に紐通しをする。
 
・暁星小学校
箱、クーピーペン、筆箱、スモックなどが用意されている。スモックをたたん
だ後、箱の中の左側にスモック、右側にクーピーペンや筆箱などをきちんと置
く。
 
靴を脱いで、机にある折り紙をとってきて、好きなものを折る。
(5個折らせた年もありましたし、少し力の必要な折り方が出題されたことも
あります)
 
・青山学院初等部
靴を脱いで手を洗いにいき、椅子をテーブル代わりにして、煎餅、クッキー、
お茶を自分で用意し、いただく。食べ終えたらゴミを分けて捨て、後片付けを
し、席で待つ。
 
・日本女子大学附属豊明小学校
いろいろなビーズの入ったトレーから、自分のお皿にできるだけ多くのビーズ
を塗り箸で移す。細い紐にビーズを通して端を結びネックレスを作る。
 
・東洋英和女学院小学部
机に置いてあるカゴの中から、弁当箱とハンカチをとってくる。次にテスター
が持っているカゴから、ピンポン玉2個と豆を箸で取り、弁当箱に入れる。そ
して、テスターの手本どおりにハンカチで箸と弁当箱を包み、指示された机に
置く。
 
・立教女学院小学校
机の前に立ち、そこに置いてある箸を使い、お椀の中のスーパーボール、フワ
フワした紐、ビーズ、小さな円柱の積み木、短く切ったストローを右のお茶碗
に移す。全部移したら左のお椀に戻す。お椀やお茶碗に手を添えてもよいが、
持ち上げてはいけない。
 
・成蹊小学校
机の上に大豆が入ったプラスチックの器があり、お箸を使い大豆を隣のカップ
に移す。
器やカップに手を添えてはいけない。
 
・早稲田実業学校初等部
靴を脱いでじゅうたんに上がり、お手本を見て封筒を作る。作り終えたら机の
中から雑巾を出して手を拭いたあと、机を拭き、たたんで机の中にしまう。
 
・田園調布雙葉小学校
持参した服に着替え、着ていた服を風呂敷で包む。
 
・横浜雙葉小学校
お友達と床に正座して、おしゃべりをせずに、持参した弁当を食べる。
 
・日出学園小学校
ふわふわボール6個を箸でつかみ、弁当箱に入れナフキンで包む。
 
・千葉日本大学第一小学校
教室の後ろのテスターのところに並び、洋服をハンガーごと持ってくる。ハン
ガーから洋服を取り、着ている服の上から着る。ボタンを1つかける。ボタン
を外し、着た服を脱ぎ、ハンガーにかけテスターのところへ持って行く。
 
学校側は、何を見ているか、おわかりいただけたと思います。基本的な生活習
慣が、きちんと身についているかを知りたいわけです。基本的な生活習慣はし
つけであり、それは、ご家庭の育児の姿勢でもあるわけです。
 
東洋英和女学院小学部の寺澤東彦前部長は、「しつけや言葉遣いは、生まれる
前に刷り込まれているわけではないから、強制的に教え込まなければならない」
とおっしゃっていますし、国府台女子学院の平田史郎学院長は、「訓練されて
いない個性は野性である」とさえ言っています。
両校とも宗教教育を行う女子だけの学校です。
 
ご家庭の教育に何を求めているのでしょうか、受験準備のポイントは、ここに
あると思います。知識だけ身についた偏った子どもではなく、知・徳・体の三
つの能力が、年令相応にバランスよく育った子を望んでいるのです。
 
ですから、小学校受験でもっとも大切なことは、就学前の子どもにふさわしい
基本的な生活習慣やしつけ、挨拶、言葉遣いなどを、きちんと身につけておく
ことなのです。今からきちんと計画を立てて、一つ一つ階段を上るように、地
道な努力を積み重ねていくことが求められています。いわゆる、つけ焼刃など
は、絶対にききません。
 
もう20数年ほど前の話になりますが、バブル経済全盛期の頃で、私立志向が
過熱気味な状態にあったときでした。あるミッション系の学校説明会で、校長
先生は、こうおっしゃったものです。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法を泥縄式に詰め込んで、“受験準備、事足れり”
とお考えになるのは、間違いであることに気づいてほしい」
 
昔の話ですから文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
泥縄式とは、ご存知のように、「泥棒を捕まえてから縄をなうことで、事が起
こってからあわてて、その対策に手をつけることをあざけていう言葉」ですが、
特に、幼児の受験の場合、泥縄式は、絶対に通用しません。
これからの毎日の生活の積み重ねが、来年の秋に実を結ぶことを、肝に銘じて
いただきたいのです。
 
(次回は、「なぜ、ペーパーテストを廃止する学校が増えたか」についてお話しましょう)
 

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