めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー(8)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2019さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第42号
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面接ケース・スタディ編(8)
「違うでしょって、何が……?」
面接の中で、お子さんにパズルや積み木の模倣構成(手本を見て同じ物を作る
問題)をさせる場合があります。パズルなら3分割、積み木も3個から5個ぐ
らいです。
こういうお母さんがいました。
「先生が作ったのと同じものを作りましょう」
お子さんが、チラッとお母さんを見ます。
「早くやらなくては駄目でしょう!」
お母さんの顔は、そういっています。
言葉に出さなくてもわかります。
お子さんはお母さんの顔を時々見ながら、不安そうに取り組んでいるからです。
完成したのですが、1つだけ積み木が裏返しになって、私の方から色が見えま
せん。
「どこか、おかしくないかな?」
こう聞こうとした、その時です。
裏返しになっている積み木を指差しながら、
「ほら、左の積み木、先生から色が見えないでしょ!」
年長さんでも、左右をはっきり理解できていないお子さんがいます。
先生方の面前で間違いを指摘したことと合わせて、このお母さんを、どう思わ
れますか。
こういうテストの目的は、先生の指示を聞き取る力、お手本をしっかり見る観
察力、構成力、そして、自分自身の力で取り組む意欲など、2、3歳児にふさ
わしい能力が培われているかを見るわけです。
極端にいえば、やってみようとする意欲です。
とにかく、初めての場所で、初めて会った先生の指示を聞き行動できるかどう
かでしょう。
できないと泣き出す子もいます。
お子さんは、頑張ったではありませんか。
自分で一所懸命に取り組めたのにもかかわらず、「何ですか、お母さんは」と、
叱りたくなります。
この一言で、普段の育児の姿勢がわかるではありませんか。
「子どもの自主性を尊重した育児を心がけて……」
とおっしゃっても、信じられませんね。
メッキが、はげただけではないでしょうか。
幼児の知的能力とは、記憶された知識の量ではなく、体験を通して身につけた
知恵の量です。
知恵は、試行錯誤を積み重ねながら、身体全体で覚えるものです。
そこには、自分で考えながら取り組める、たのしい環境があるはずです。
うまくできなくても、失敗しても、
「そこまでできたのだから、頑張ってごらん!」
と励まされていれば、頑張るのが子どもです。
何とかしようと考えることから工夫力が、夢中になって取り組むことから集中
力が、できたことから次の課題に挑戦する意欲などが培われます。
「違うでしょう、こうでしょ!」
口を出し過ぎ、手を貸し過ぎていると、過保護、過干渉になりがちで、
「ママがやってくれるからやめよう!」
「間違えると怒られるからやぁめた!」
となりがちです。
自分からやろうとせずに指示を待つ子が増えているのは、こういった育児の姿
勢や、環境が、大きく影響しているのではないでしょうか。
お母さん方の大好きな考える力や、できるまで頑張る意欲や集中力、お母さん
の手助けを嫌う自主性などが育たないことを知ってほしいですね。
幼児のテストは、結果だけを評価するのではありません。
どのように取り組んだか、その過程、プロセスを見ている場合が多いものです。
結果だけにこだわるお母さん方には、幼児期に培う大切なものを失っているこ
とに気づいてほしいといいたいですね。
「ボクが、気づくまで教えないで!」
そんな叫び声が聞こえませんか。
聞こえていたら、絶対に手を出しませんし、口をはさまないと思います。
しつこく繰り返しますが、3歳になっても、お子さんのやっていることを見て、
口を出したくなるのは過干渉、手を貸したくなるのは過保護と考えましょう。
年長さんになっても、口を出し、手を貸すお母さんがいる時代です。
いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉ですね。
まだ、危険なことをしますから、監視の目は緩めてはいけませんが、あたたか
く見守ってあげ、待ってあげるお母さんになってほしいと思います。
モンテッソーリ教育を解説した相良敦子氏の著書に「ママ、ひとりでするのを
手伝ってね!」(講談社 刊)がありますが、3歳は、そういう時期に入ってい
るからです。
夏の疲れが出る頃ですね。お子さんの昼寝には、お母さんも付き合いましょう。
(次回は「ケース・スタディの最終回」についてお話しましょう)