めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★志望理由のまとめ方(4)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第42号
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志望理由のまとめ方(4)
日本女子大附属豊明幼稚園
幼稚園には男の子もいますが、小学校から大学まで女子だけの学園ですから、
別学と16年間の一貫教育校についてまとめてみましょう。
女子だけといっても、ミッション系の学校と違い、川村学園と同様、宗教色は
ありません。
学園の創立者、成瀬仁蔵は、キリスト教の信仰から、神・仏・儒(儒教)・基
(キリスト教)を統一する宗教的な信念に達し、自ら「帰一協会」を立て、海
外にまで広く伝道活動された方です。
三綱領は、その宗教的な信念によるものですが、○○教といった信仰を対象と
したものではありません。
創立者が、一生をかけた女子教育の基本精神として残された言葉が、「信念徹
底」「自発創生」「共同奉仕」の三綱領です。
これをどう解釈するか、例によってわたし流ですが、こうなるのではないでし
ょうか。
「信念徹底」は、
「正しいと考えたことはやり遂げる」ことから「途中であきらめない子」、
「自発創生」は、
「自ら考え、工夫し、実行する」ことから、「遊びに熱中し、楽しく遊ぶ工夫
のできる子」、
「共同奉仕」は、
「友達と仲良く遊べる」ことから、「情緒の安定している心の優しい子」
といえるのではないでしょうか。
こういったことをお子さんに教える育児をしていれば、豊明幼稚園の目指す保
育と一致しているわけですから、これで志望理由になるわけです。
女子だけの教育環境については、前回の別学のメリット、デメリットを参考に
してください。
16年間の一貫教育制度のよいところは、中学、高校は横浜の生田キャンパス、
大学は目白と環境が変わるとはいえ、受験勉強のない、ゆとりのある環境で、
将来、自分の進むべき道を模索できることでしょう。
成城学園幼稚園、立教女学院短期大学附属幼稚園天使園などと同様、制服はあ
りません。
本園とお茶の水大学附属幼稚園は、平成4年から施行された、新しい「幼稚園
指導要領」以前から自由保育です。
この2点については、どうお考えでしょうか。
学園の建学の精神は、ヒューマニズムによる女子教育で、その理念として、
1. 女子を女として教育する
2. 女子を婦人として教育する
3. 女子を国民として教育する
をあげています。これが学園の基本的な方針です。
こういった点を中心に、まとめられてはいかがでしょうか。
ところで、「神・仏・儒・基を統一する云々」とありますが、仏は釈迦、儒は
孔子、基はキリストですが、神はアマテラスオオミカミでしょうか(笑)。
学習院幼稚園
幼稚園から大学までの総合学園に期待することは何でしょうか。初等科は共学で
すが、中高は別学、こういったことも頭に入れて考えてみましょう。
教育の狙いは、少し長くなりますが、紹介しましょう。
「遊びを通して豊かな基礎づくりを」
幼児期における教育は、生涯に渡る人間形成の基礎を培う重要なものです。
学習院幼稚園では、幼稚園から大学までの一貫した教育理念のもとでの、教育組
織の出発点として、正しく、明るく、健やかに幼児を育てることを目的といたし
ます。
このため、子どもとしての自然な生活、遊びを大切にしながら、次のことを心掛
けた教育を行っています。
・正直で思いやりのある心。
・正しい生活の習慣と態度。
・自ら育とうとする力。
・社会性と基礎づくり。
かつて説明会で、このように言われたことがありました。
「幼稚園での教育は、花にたとえれば、根っこのところを培っているのです。子
ども達に、正しい心、たくましい心、ゆたかな心を育てたい、そういった思いで、
毎日の保育に取り組んでいます」
小学校の説明会では、低学年に求められる教育姿勢として、18代 安倍能成院
長の、
・嘘をついてはいけない。
・素直な人間になりなさい。
・他人に思いやりのある人間になりなさい。
幼稚園から小学校低学年の目指す教育方針ですが、皆さん方が、こういったこと
を大切に育児に取り組んでいれば、共通認識になるはずです。
また、模擬面接で志望理由をうかがうと、「共学の良さ」に触れないのですが、
皆さん、共学の経験者が多いものですから、うっかり落としてしまうようです。
初等科が共学であることも大切な志望理由になると思います。
参考までに、共学のメリット、デメリットを上げておきましょう。
メリットは、小さい時から、自然に男子は女子を、女子は男子を理解するように
なり、男子は男らしさ、女子は女らしさを身につけることができることでしょう。
つまり、お互いに助け合い、特性を生かし、それぞれの領域を分担することで、
競争心が芽生え、負けないように頑張ることができます。
デメリットは、男子に優しさが育まれる反面、男子を厳しく指導したくても、女
子がいることで徹底しにくい点や、女子は言葉がきつくなり、敬語や丁寧語が、
あまり使われなくなることではないでしょうか。
こういったことを参考にまとめてみましょう。
日出学園幼稚園
共学で、高校までの12年間の一貫教育制度をとる学園の幼稚園です。学園は校
舎を新築し、それに伴い平成21年(2009)夏、元中高の跡地に新築され園
舎に移転。園舎は、これまでの雰囲気であった木のぬくもりを残し、園庭も従来
と同様、木々に囲まれたか砂地で、芝生、池など、園児たちの心を育む園のキャ
ッチフレーズ「太陽と自然と友だち、遊びを通して生きる力を育む保育」に欠か
せない環境となっています、
学園の校訓
誠(なおく)至誠を基とし中正の道を尚ぶこと。
明(あかるく)明朗快活にして、責任を重んずること。
和(むつまじく)和衷協同して、苦楽を共にすること。
中正(ちゅうせい)は立場が偏らず正しいことで、和衷協同は心を同じくしてと
もに力を合わせることですが、幼稚園ではやさしい言葉で、より具体的に以下の
ような目標を掲げています。
教育目標
・じょうぶで、生き生きとした子ども。
・自分から進んだ遊びに取り組み、工夫して発展させる子ども。
・友だちと力を合わせて活動できる子ども。
・物事を素直に感受し、喜びや悲しみを共感できる子ども。
土の感触を楽しみながら体を鍛え、夢中になって遊べる環境から、共生の心を育
む保育の姿勢がうかがえますが、それを裏付ける園長の言葉があります。
「太陽と土と友だち」に恵まれた幼稚園生活の中で、幼児期の体と心を育みます。
日々の遊びや生活を通して、基本的な生活習慣を身につけさせ、様々なことにチ
ャレンジする意欲を育てます」
共学については、設立当時、共学の良さを強調していました。
「男女の理解協力は、人間本来の姿である。本学園は、潤いのある教育環境の中
で、円満な社会性を身につける人間関係を理想としている」
(昭和62年版 東京・横浜・千葉・埼玉学校案内 梧桐書院 刊)
ところで、体験保育の新たな取り組みである「わくドキプロジェクト(英語を含
む5つのプログラム)」や小学校教育につながる基礎力を見据えた「幼小連携カ
リキュラム」も始まります。入園説明会で詳しい説明があるとホームページに出
ていましたが、「新しい取り組みについていかがお考えでしょうか」といった質
問があるかもしれません。
一貫教育についてですが、東日本大震災以降、小学校からの受験を控え、精神力
も体力も培われた中学生になれば、都内の学校へも無理なく通えると、中学受験
に期待する皆さんが増えているようです。学園も一時、小中高一貫教育で大学を
目指すことを目標にしていましたが、現在では、過去の実績でもある中学受験の
ノウハウを生かし、進学指導にも力を入れ、成果を上げています。
12年間のゆとりのある教育環境で、じっくりと勉学に励み、自力で大学の門を
叩くか、中学で受験するかは、まだ先のことですが、こういった選択もあること
を頭に入れ、ゆとりある教育環境のよいところも考えておきましょう。
併設の小学校は、平成26年度の1年生より定員を102名とし、3年生以上は
平成28年度より、順次3クラス制に移行することになりました。従来の募集人
員は140名でしたから狭き門になるわけで、もしも、「幼稚園から入れてしま
おう」と考える保護者が増えた場合、これは推測ですが、幼稚園の狭き門になる
のではと懸念されています。
以上3回に分け、「志望理由のまとめ方」についてお話しましたが、基本的には、
まず志望する幼稚園の保育に賛成していること。そして、学園全体の教育制度、
共学か別学か、高校までか大学までかを考慮されて、総合的に組み立てていくこ
とが大切です。
9月に入ると説明会も開催されますから、志望園の決まっている方は最後の確認
を、迷っている方はできるだけ参加され、いろいろな保育の方針があることを研
究し、的を絞るべきでしょう。
朝夕、散歩に出かける雑木林の側には、川越名物の芋畑も葉が青々と茂り、間も
なく、園児たちの芋ほりで賑わいますが、気温が下がった途端、ホバリングする
赤とんぼが姿を現しました。夏も、もう一息でしょう。頑張ってください。
(次回は、「こういった質問に、どのように答えられますか」についてお話しし
ましょう)