めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★ [7] 記憶に関する問題
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「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
第38号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
寒中での開花宣言後、4月上旬の陽気に一気に開花。
川越には和船に乗り、桜のトンネルくぐりを楽しめる氷川神社裏の新河岸川の桜並木があ
りますが、行列ができるほど混雑し、いまだ乗ったことがありません。島崎藤村のゆかりの地
として知られる中院(星野山無量寿院 喜多院の直ぐ側)には、樹齢百年といわれるしだれ
桜があり、「ひさかたの光のどけき春の日に しず心なく花の散るらむ」を味わうことができま
す。今年はコロナのせいで観光客も少なく、静かな春を過ごせるのではないでしょうか。
[7] 記憶に関する問題
プロジェクターを使い、スクリーンに映し出された映像を何十秒か見て、どれだけ覚えてい
るかをみる問題で、映像は、イラスト、色、図形、位置などがあります。
上映されている間、問題用紙は裏返しにし、本人には見えないようになっています。問題が
スクリーンに映っている間に、覚えなくてはならないのですが、裏返しにされている答案用
紙を、そっと見る子がいるそうです。そんな暇はないのですが……。
こういった態度には、どんなチェックが入るのでしょうか。まさか、「カンニングの行為でマイ
ナス5点!」などはないでしょう。ただ、不安なのです。不安の種は、どうやら子どもの頭に
浮かぶお母さんの顔のようです。
できないと、怒られるからなのでしょうか。
もし、そうだとすれば、こういったところに、普段の育児の姿勢である「満点主義の教育マ
マ」の顔が、表われかねませんね。結果ばかりにこだわらないで、どうしてできないのだろう
と、そのプロセスを考えてあげる賢いお母さんになってほしいのです。
「私どもは、試験でさえもプロセスを大切に見極めています」
文言は正確ではありませんが、かつて、桐朋小学校の説明会で聞いた話です。「プロセス
重視」、これは家庭学習で忘れてはならない大切な心構えです。
◆絵の記憶
公園で動物たちが遊んでいる絵を20秒ぐらい見て、うさぎがいたところに○、たぬきがいた
ところに×、りすがいたところに△をつける問題です。
スクリーンをボーッと見ていたら、
「動物が遊んでいたなぁ……!」
でおしまいですね。
◆色の記憶
四角や、三角、丸などの図形に、三色から多くても五色ぐらいの色を塗ったものを見て、そ
れと同じところに同じ色を塗る、同じ色のシールを貼るなどの問題です。
「きれいだな!」
気持ちはわかりますが、感心している場合ではありません。
あっという間に終わります。
集中力です。
◆形の記憶
☆△□○といったように、形が並んでいるものを見た後に、下の中から同じものを選んで印
をつける問題です。
形は、難しいですね。
抽象的で、つかみどころがないからです。
◆位置の記憶
ます目の中に、動物や昆虫、花や果物、記号や図形がかかれているものを見て、右側の解
答用紙の同じ所に印をつけたり、おはじきを置いたり、シールを貼って答える問題です。
動物や花などは、覚えやすいようですが、図形は抽象的だけに難しいのです。
◆音の記憶
例えば、太鼓が6回たたかれた音を聞き、その数だけ○を書くとか、映像を使って、動物た
ちが順番に楽器を鳴らし、だれが、どの楽器であったか、動物と楽器を線で結ぶ問題など
があります。
記憶の問題は、やった経験がなければ、ほとんどできないでしょう。
テストは、このように行われるからです。
(スクリーンには、動物たちが公園で遊ぶ様子が映されています)
★スクリーンを見てください。………………………(20秒経過)
「くまさんがいたところに○、うさぎさんのいたところには×をかきましょう。」
「記憶の問題です」などといった説明もなく、スクリーンに問題が映り、しばらく沈黙が続きま
す。
「スクリーンを見てください」と言っていますから、説明なしとは言えませんが、ボーッと見て
いたら、それまでですね。人間の脳は、「覚えなさい!」との明確な指示があって、初めて
記憶する作業が始まりますから、これは、心構えが必要です。
登場する動物も多く、公園の様子も複雑な問題がありましたね。
子どもは、どのようにして覚えるのでしょうか。
大人は、「ブランコにくまがいて、滑り台にパンダが、砂場にはうさぎが……」と理詰めに記
憶しようとしますから、これでは覚えきれません。
ところが、子どもは、全体をパシッと頭に収めてしまうそうです。
カメラを考えれば、いいようです。
全体を、頭に写し撮ってしまうらしいのです。
子どもの頭は柔軟ですから、記憶できるそうです。
子どもの記憶力には、驚かされることがあります。
電車の好きな子が、山手線の全部の駅の名前を覚えた話など聞きませんか。車博士から
鉄道博士、昆虫博士と、よくぞ覚えたものだと感心させられます。
そういえば、3年間分のカレンダーを覚えている年長の子に会ったことがありました。
「平成〇○年の12月31日は、何曜日?」
「水曜日!」
なぜか、去年と今年と来年分の3年間なのです。話を聞いてみると、お父さんのもらってき
た手帳が、余ったのでもらったそうです。そのカレンダーを見ていて覚えたらしいのです。
前後3年間というのも面白いですが、どの年の、月日と曜日を尋ねても、ピタリと当たるもの
ですから不気味でしたね。どうなっているのでしょうか、子どもの頭は。
しかし、記憶の範囲は前後3年間であることから仕組みがわかりました。来年の12月31日
は水曜日と当てるのですが、再来年の1月1日は、何曜日かがわからないのです。次の日、
翌日のことです。素晴らしい記憶力には感心しましたが、単に覚えているだけでは、余り役
に立たないということです。
こういった問題があるからといって、問題集を買い、ひたすら繰り返し訓練するのは、考えも
のです。第一、面白くありません。20秒ぐらい絵を見せられて、サッと隠して、
「今、何がありましたか!」
「こんなことして、何になるの、お母さん?」
こういわれて説得できなければ、やっている親の立場がなくなりますね。
お気に入りの絵本の、1ページに描かれている情景をいわせてみると、驚くほど細部にわた
り記憶しているものです。こういったものを利用しながら、記憶するという意識を刺激してみ
ましょう。
トランプを使った「神経衰弱」なども、絶好の教材となります。
こういったステップを十分に踏み、それから問題集を利用すれば、お子さんもやる気十分
に挑戦するはずです。問題意識が芽生えないと、興味を示しませんから、意欲もわきませ
ん。
記憶は、本当に気ままなものです。
自分の好きなことは覚えますが、嫌いとなると、もういけません。
やはり、出発点は好奇心ですね。
そこから、注意力や集中力が働いて、記憶するのでしょう。
普段から、注意力の散漫な子は、やはり、覚えるのも苦手ではないでしょうか。
身辺の整理ができない、おもちゃ箱が乱雑な子も、どうでしょうか。
過保護、過干渉な育児も駄目でしょうね。
何でも自分でやらなければ、段取りがわかりません。
段取りは、前にやった時の経験が生きてきます。
経験は記憶されますから、自分でやることが大切です。
記憶力も試行錯誤を積み重ねて身につくもので、子どもの生活体験と深い関わりがありま
す。
自発性にとみ、自立心の身についている子の記憶力は、すぐれているはずです。
それは、いろいろなことに自力で挑戦しているからです。
小学校側も、単に記憶する能力をみているのではないでしょう。
五感を刺激されていれば、記憶力もつきます。
このことです。
ですから、机の上で、問題集だけで覚えた知識は、あまり役に立ちません。
単に、大脳神経の回路を刺激して記憶するだけですから、忘れやすいのです。
しかし、頭と体が一体となって覚えたものは、忘れません。
それは、知識ではなく知恵だからです。
身についた知恵の主語は、自分自身です。
詰め込まれた知識の主語は、多くの場合、第三者やお母さん、お父さんではないでしょう
か。
記憶力を培うのは、五感に刺激を与える環境だと思います。
お子さんが、夢中になって取り組む遊びはありますか。
好奇心の旺盛な子は、やはり、記憶力も順調に発達しているといえるのではないでしょう
か。
春休みの講習会、元気に通っていますか。冬の講習会と同様、短い期間ですが、毎日通
い学習することで、学ぶことの面白さを体験していると思います。この意欲と学習習慣を、4
月以降にうまく活かしたいものです。頑張ってください。
競泳の池江璃花子選手、406日ぶりのプールに「言葉に表せないくらい嬉しくて、気持ち
よくて、幸せです」。死ぬほど苦しい思いをしただけに、順調な回復に期待したいですね。
頑張れ!
(次回は、「構成力・観察力1」についてお話しましょう)