めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2019さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            第51号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)
 
★説明会情報★
18日(月)の第2回目の慶應義塾幼稚舎説明会の予約、いかがでしたか。
10時過ぎにアクセスしたところ、簡単に予約できました。そして、どのような状
況かなと思い、3時30分頃に覗いてみましたら、「4回とも定員になり予約終
了」と出ていました。 
雙葉小学校説明会のはがきでの申し込みも終え、両校ともに参加記録、更
新中です(笑)。
 
22日(金)現在、説明会会場が決まらない暁星小学校、アクセスしたところ、
「ホームページからの申し込み制になります。6月中旬にアップ予定」と出て
いました。
 
何やら、いかめしいタイトルで恐縮ですが、今回と次回に分け、建学の精神
や教育方針を、どのように理解しておかなければならないかについて、拙著
の「おとうさん、おかあさんの受験対策」 シリーズ(全25冊)から選んで、お
話ししましょう。 
 
模擬面接では、お父さんに志望理由をうかがうのですが、これでは本番で困
ったことになるのではといった回答があります。それは、願書に書かれている
志望理由を、そのままおっしゃる場合です。
 
たとえば、白百合学園小学校でいえば、
「御校の校訓である『従順、勤勉、愛徳の三徳』が、我が家の育児の方針とあ
い通じるところがあり、心から賛同できますので志望いたしました」
と答えたとします。
「では、三徳について、具体的にどのようにお嬢さんに教えていますか」
と尋ねてみると、はっきりとした答えが返ってこないことが起きがちです。これ
では、志望理由になりません。説明会でも、三徳について簡単な説明があり、
配布されたパンフレットにも書かれています。
 
 従順 すすんでみがこう正しい心
 勤勉 すすんでなんでも一生けんめい
 愛徳 すすんで親切よろこんで
 
これを、このまま願書に書き、口頭で答えるのもどうでしょうか。
「従順は素直な心、勤勉は最後まで頑張る子、愛徳は思いやる心」と置き換
えれば、皆さんが育児で、大切にしていることではないでしょうか。
「私どもでは、素直な心、頑張る心、思いやる心を大切に育ててきました」と
答えることができれば、すなわち、「従順、勤勉、愛徳」の三徳を、育児の中
心にしてきたことになり、「心から賛同できる」となると思います。
こういったように、ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が、限りなく近けれ
ばいいのですから、やはり、育児の姿勢に一本の筋がなければ、あやふやな
回答になりがちです。
そして、学園全体のことも考慮されて、「宗教教育に何を期待しているのか」
「女子だけの教育環境になぜ、賛成なのか」「大学までの一貫教育制度に期
待することは何か」をまとめることです。
 
先週号で、併設の中高の進路状況を見ておきましょうとお薦めしましたが、
大学への進学状況を見ておくことも大切です。白百合学園の中学・高等学
校のHPを開いてみると、そのまま大学へ進む生徒は少ないこともわかります。
データ中にGMARCHとあるのは、学習院・明治・青山・立教・中央・法政大
学のことで、各校のイニシャルから命名されたものです。                
              
ところで、平成25年の説明会で、校章の解説がありましたが、デザイン化さ
れたユリの花の中央は「従順」、左側が「愛徳」、そして右側が「勤勉」を表し
ているそうです。校歌にジャンヌ・ダルクが出てきますし、「清くかんばし白百
合の花」で始まり、終わりは「命のしるし白百合の花」……、白百合の目指す
女性像は、半端ではありません。
 
もう一例として、日本女子大学附属豊明小学校の「三綱領」についてお話し
しましょう。
学校案内には、こう説明してあります。
 
 信念徹底(正しいと考えたことはやり遂げる)
 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
信念徹底とは、はじめたことは途中でギブアップしないで最後まで頑張る
子。
自発創生とは、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子。
共同奉仕とは、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子。
こう考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
こういったことを大切に考え、子育てをしているご家庭は、日本女子大学附
属豊明小学校の教育方針と一致していると思いませんか。
それならば、願書に「三綱領に賛同いたしまして志望させていただきました」
とお書きになられても、では具体的にと尋ねられた場合、躊躇せずに話せる
のではないでしょうか。
そして、「女子だけの教育環境」「大学までの一貫教育に期待すること」をまと
めるべきでしょう。
 
次は、面接をやっていない学校ですが、願書は提出しますから、やはり、志
望理由は明確にしておかなければなりません。
出願者が、もっとも多いといわれている慶應義塾幼稚舎です。
最初の頃に触れましたが、もう一度、紹介しておきましょう。
教育方針の中に掲げてある独立心と自尊心が「独立自尊」の精神です。
この言葉は、福沢諭吉翁の精神として、明治33年に発表された「慶應義塾
修身要領」の中で初めて使われた言葉です。
 
「自分の自由独立を守るためには他人の自由を認め、またその人の独立をも
尊重しなければならない。人はすべて自主的、自発的に判断して行動する
習慣をつけなければならない」
 
つまり、あることに関して、他人の考えに左右されずに、自分の考えや判断を
最も尊ぶ心が自尊心であり、他人はどうあっても、自分はこうだという信念の
ある態度で生活することが大切であるということでしょう。
 
独立自尊については、この話がわかりやすいと思います。
新入生が入学したときに、三つの約束をします。
 
 一つ、嘘をつかない。
 二つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
 三つ、自分でできることは自分でする。
 
普段から、お子さんにいって聞かせていることを考えると、
「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」
「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。
そして、これらを破ると叱り、諭しているとします。
お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針と一致していることになりません
か。
この三つの教えは、先の諭吉翁の10ヵ条から成る「慶應義塾修身要領」の中
から、特に大切な項目を取り上げたもので、通信簿の第1ページにも記され
ています。
成績をみるよりも前に目を通してほしい大切な事項、という意味からだそうで
す。
 
第二は、幼少時の者には、身体の健康と品格に重きをおく、「先ず獣身を成
して後に人心を養え」の教えですが、これは「福澤諭吉全集」第六巻257ペ
ージにあるもので、これをどう解釈するかでしょう。
「獣身を成す云々」は、この話がいいでしょう。           
 
 「塾生皆泳というモットーを、日常の教育に文字通り実践しているのは幼稚
舎である。幼稚舎を卒業するまで、プールで千メートルを全員で泳ぎ切る見
事な成果は、先ず獣身を成せとの教えの端的な一歩であった」
 
卒業までに、千メートル皆泳です。
まだ、あります、冬の寒い時期の縄跳びです。
この二つのことに関しては、説明会でも舎長が力説されていました。
ところで、運動会場には入場門と退場門がありますが、幼稚舎の場合は、入
り口は「獣身門」で、出口は「人心門」となっていますが、今年の説明会でも
見ることができると思います。「陸の王者慶應」は、幼稚舎時代から鍛えられ
ているわけで納得できました。
 
毎年、「担任の6年間持ち上がり制度」について詳しい説明がありますが、こ
れも大切な教育方針であることはいうまでもありません。それに加え、「大学ま
での一貫教育に期待すること」「共学の良さ」を考慮されてまとめられてはい
かがでしょうか。
 
話を戻しまして、このように、建学の精神や教育方針とご家庭の育児の方針
に、どういった接点がうかがえるか、これを見つけだすのがポイントだと思いま
す。
それがきちんと整理できれば、面接は、恐くありません。
新約聖書にある「始めに言葉あり」ではありませんが、小学校の受験は、「始
めにご家庭の育児の姿勢ありき」でなければいけないといってきた理由は、こ
こにあるのです。
「絵に描いた餅」は、所詮、飾りもので役に立ちません。
面接に臨み、ご自身の考えを、ご自分の言葉で話すには、やはり、「我が家
の育児の姿勢」が、しっかりとしていることが大切なのです。
 
古い話になりますが、文明開化を目指した明治時代、高等小学校(現在の5、
6年生)から親に配布された「家庭心得」に、「教育の道は家庭の教えで芽を
出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」とあるそうで、まさに
「はじめにご家庭の育児の姿勢ありき」、そのものではないでしょうか。昨年4
月に亡くなられた渡部昇一先生に哀悼の意を捧げた致知出版社長、藤尾秀
昭氏の「渡部昇一先生と私」の追悼文の中にあったものですが、先生のご母
堂の教育方針であったと紹介されていました。何故、今まで、50数冊の本を
読んで気づかなかったのか、唖然としました。尊敬してやまない先生から、
「何をやっているのだ!」と叱責されたようで、深く反省しました。が……、間
違ってはいなかったと自信もつきました。(感謝)
 
最後に、一言。夏休みの講習会は、心身ともに鍛える絶好の機会です。
その体験を家庭学習に取り入れてほしいのです。継続は、間違いなく力を育
みます。
「夏を制する者は秋に祝福を受ける」などとあおるようで気が引けますが、今
年の夏休みのスケジュールは、お子さん中心に過ごせるようきちんと立て、
頑張ってください。
また、お父さん方へ、模擬面接をお受けになることをお勧めします。
お父さんはともかく、お母さんやお子さんは、どのくらい緊張するかを知って
ほしいのです。
後で悔やんでも始まりませんから、夏休み中には受けておきましょう。
 
天候不順な日が続いています。健康管理には、手を抜かないように気を付
けてください。
 
天災は予測不可能ですから、備えだけはしっかりとやっておきたいものです。
防災グッズ、電池や飲料水、食べ物などチュエックしておきましょう。
(次回は、暁星小学校、青山学院初等部、国府台女子学院小学部に関して
お話しましょう)

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