めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<保護者編>創刊号
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-創刊号-
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私立小学校の受験は、NHKで放映された「お入学」などで、多くの人に知ら
れるようになりました。受験の際、学校側は受験生の保護者の皆さん方に、
「建学の精神」や「教育方針」、入学試験などに関する説明会を行っています
が、私が情報を得るために参加し話を聞き始めてから、大手幼児教室の幼児教
室にかつて在籍していたころを含めると、30数年になります。
室にかつて在籍していたころを含めると、30数年になります。
慶應義塾幼稚舎の教育理念である「独立自尊」や雙葉小学校の校訓である「徳
においては純真に、義務においては堅実に」など、文字だけ見ていると、何や
ら近寄りがたい雰囲気がありますが、先生方の解説を伺っていると、いずれも
育児に関する具体的なアドバイスであることに、新鮮な驚きを感じたものでし
た。もっとも、受験生は5,6歳の幼児であり、参加されている保護者の皆さ
ん方は子育て奮闘中とあってみれば、こういった話になるのも当然ですが、後
で役に立つと考え、できるだけメモを残すようにしました。
幼児教育に関する私自身のコンセプトは「手作りの教育」で、最も力を入れて
いたのは、「話を聞く姿勢を身につけること」でした。本文で詳しくお話しし
ますが、そのきっかけとなったのは、淑徳幼稚園の課外保育であった「進学教
室」での貴重な経験でした。そして、「やってきたことに間違いはなかった!」
と実感できたのは、立教小学校の田中司元校長先生から、同校の説明会で伺っ
たお話でした。文言は正確ではありませんが、「幼児期にふさわしい教育」に
ついて、こうおっしゃったのです。
「ゼロ歳から6歳までの幼児期は、人間の一生で一番大切な教育が行われる時
です。最も大切なのは「対話」です。子どものいうことをよく聞き、やりたい
ことをしっかりとつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受け止めてく
れることで、子どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なもの
はありません。「対話の反対は沈黙ではなく命令と要求」です。家庭内で対話
が成立する、これが育児で大切だと思います。
次は、「本の読み聞かせ」です。現代の情報は、映像で入ってきます。映像は
視覚と聴覚を通して、瞬時に分かる半面、頭の中でイメージをつくる想像性が
欠如していく気がします。読み聞かせる母親の、話しかける父親の言葉を聞き
ながら、情景や動物、人間の姿を思い浮かべることが、人間にとって一番重要
な能力だと思います。イメージする力を育てることは、文学的な分野と考えら
れがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータをもとに発展させ、それぞ
れの世界をイメージ化できたわけです。分子や原子はどんな格好をしているの
か、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのようになっているかを見た者はいません。
わずかな情報から、科学者が創ったイメージの世界です。読み聞かせは、子ど
ものイメージする力を育てると共に、子どもの世界を一緒に楽しむ、豊かな時
期でもあるのです」
「その通り!」と叫びたい気持ちになったことを、昨日のように覚えています。
「子どものイメージする力を育てる」、これではないでしょうか。「対話と読
み聞かせ」は、幼児期における育児の原点と考え実践していた私は、「やはり、
間違っていなかった」と自信を持ったものです。「言葉のキャッチボールを楽
しみ、昔話を読んであげ、そして年中行事を楽しむ家庭」から、間違いなく情
操豊かな子どもが育ちます。これが家庭の文化です。
価値観が多様化し、“anything goes”何でもありの世の中から、
家庭の文化を築くことがないがしろにされているために、家庭教育の低下が始
まったのではないでしょうか。こういった傾向に歯止めをかけるには、子ども
達が小さい頃から、家庭の文化を築き上げることが大切だと考えました。「三
つ子の魂百まで」は、幼児期に体験したことを土台に人格が形成されることを
教える先人の知恵です。
知識を詰め込むことに熱心な親より、豊かな情操を培うことに心を注ぐ賢いご
両親こそ、子ども達にとっては、そうあってほしい親の姿です。子どもと一緒
に年中行事を楽しみ、話を読み聞かせるご両親のもとから、「元気で、明るく、
素直な子」が育ちます。これは国立、私立小学校の求める子ども像でもあり、
知識を詰め込まれた偏った指導を受けた子どもではありません。
本メールマガジンは、小学校を受験される子ども達の情操面を育み、合格の決
め手となる話を聞く姿勢を身につけるために、どのようなことが大切であるか、
悪戦苦闘した進学教室での体験をもとに構成したものです。合格の一助となれ
ば幸いです。
平成28年11月吉日
めぇでる教育研究所 所長 藤本紀元