めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<保護者編>創刊号
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「めぇでる教育研究所」発行
2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-創刊号-
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情報教育歳時記 日本の年中行事と昔話
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
最近、日本テレビの長寿番組「笑点」以外では、ほとんど聞かれなくなった落
語の話で、「ナンダ?」と思われるかもしれませんが、だまされたと思ってお
読みになってください。その狙いがわかると、今度は「ナヌ!」と、おそらく
舌を巻く思いをするのではないでしょうか。落語「桃太郎」は、こういった話
なのです。
「桃太郎」(要約)
昔の子どもは、親のいうことを聞き、子守唄の代わりに昔話をすると眠ったも
のですが、今の子どもはそうはいきません。
「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいて、おじいさ
んは山へ芝を刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました」
とお父さんが話をすると、子どもは眠るどころか、
「昔っていつの時代、ある所ってどこ。おじいさんおばあさんの名前は何とい
うの。山と川の名前は」
と聞き返してきます。お父さんが答えるのに困っていると、話を聞くはずの子
どもが、作者の意図を解説し始めるのです。
「時代、場所、名前のない理由、おじいさんが山へ芝刈に、おばあさんが川へ
洗濯に行くわけから始まり、鬼が島は、これから生きる社会のことで、そこで
の厳しい修業を鬼退治に例えていること。きび団子は、『粗食に耐えろ』とい
う教えであり、家来の猿、犬、雉(きじ)は“知仁勇”を表し、世間で信用を得
るための大事な心構えであって、社会人となり、信用という宝物をもち、出世
して帰ってくれば、親も幸せになる。これが作者の狙いだ」というのです。
「どう、わかったかい、おとっつあん……」
といって、子どもがお父さんを見ると、何と眠ってしまっているではありませ
んか。
「あれっ、大人なんて、たわいのないものだ!」
(こども古典落語1 あっぱれ! わんぱく編
小島貞二 文 宮本忠夫 画 アリス館 刊)
(YouTubeで故桂米朝師匠の名人芸を聴くことができます)
本書の解説によると、江戸時代の落語家、乾坤坊 良斉(けんこんぼう りょ
うさい)が書いたといわれる古典落語の傑作の一つで、子どもの頃にラジオで
聞いた記憶があります。当時は、大人をからかう面白さに大笑いしたものです
が、原作を読むと作者の意図がよくわかり、「うん、そうだ。その通り!」な
どと年甲斐もなく、肯きながら、納得させられてしまいます。そして、不思議
に思ったのは、なぜか、家来に「犬猿の仲」といわれる犬と猿がいることでし
た。これも訳ありで、聖徳太子の「和の精神」まで盛り込まれているのですか
ら驚きです。詳しくは第5章「なぜ、雛祭りに桃の花を飾るのでしょうか」で
紹介します。
こういった昔話を、子ども達に、あるテーマを持って、一定期間、継続して、
たくさん聞かせることができないかと思っていたのですが、大きなヒントを与
えてくれたのが、永田久先生の書かれた「年中行事を『科学』する」(日本経
済新聞社 刊)でした。平成元年のことでしたが、この本が歩むべき道を示し
てくれました。門松も、菱餅も、クリスマスケーキも、年越しそばも、そのも
とを尋ねてみると、いずれも、自然と共生するための、貴重な教えになってい
ることでした。その心は「感謝」です。
当時、大学まである附属幼稚園の課外保育で、進学教室を担当していましたが、
ある時から、私一人で年中と年長の授業を担当することになり、2年間続けて、
子どもたちを預かる幸運に巡り合えたのです。そこで「年中行事と昔話」を何
らかの形で授業に取り入れられないかと考え、カリキュラムを作り始めました。
今まで、何となく季節折々の行事として、祭りとして、日常生活とあまり関係
のないイベントとして見がちな若いお父さん、お母さん方に、行事の由来やそ
れに関係のある昔話を紹介し、興味を持っていただき、育児に取り入れること
ができれば、幼児期の心をはぐくむ教育に成果があると信じ、土台らしきもの
ができるまで、2年あまりかかってしまいました。今では、「話の読み聞かせ」
や「音読」の素晴らしさは認められていますが、当時は、あまり話題になって
いませんでした。それが、いかに大切なことであるかを教えてくれたのは、こ
の進学教室の子どもたちでした。
本メールマガジンは、その時の経験をもとに構成したものです。四季折々の年
中行事や昔話を楽しむのも、子どもの頃だけです。かつてのコマーシャルでは
ありませんが、「幼児期はものより思い出」、楽しい思い出をたくさん残して
あげる、そういった環境を作るのが、親の大切な役目ではないでしょうか。な
ぜなら、そこから家庭独自の文化は生まれ、お子さんは育っていくからです。
「豊かな心を培う賢い子どもの育て方」とは、何ともオーバーなタイトルです
が、来年の秋に受験する国立、私立の小学校では、情緒の安定した「元気で、
明るく、素直な子」を求めています。季節を肌で感じ、年中行事を楽しみ、話
の読み聞かせをし、お子さんと楽しい1年間を過ごしながら、お子さんの情操
面を育み、合格につながる受験準備のお手伝いの一助になればと願い、配信す
るものです。
平成27年11月吉日
めぇでる教育研究所 所長 藤本紀元