めぇでるコラム

2026さわやかお受験のススメ<保護者編>第2章(1)何といっても、クリスマスと大晦日ですね -師走-

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2026さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第6号-
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第2章
(1)何といっても、クリスマスと大晦日ですね -師走-
 
 
暦の上では11月に立冬がありますが、幼児教室では冬は12月からとしています。
その冬ですが、物の本によると、冬という読み方は、「冷(ひ)ゆ」からといわれていますが、他にも、冬が威力を「振るう」、寒さに「震(ふる)う」、動物の出産の時期である「殖(ふ)ゆ」の意との説もあるようです。
 
師走(しわす)のいわれは、文字通り、1年の終わりである12月は、何かとあわただしい日が続き、普段、どっしりと構えている師匠といえども趨走(すうそう:ちょこちょこ走る意)するので、師趨となり、これが「師走」となったという説が有力だそうですが、全てのことを「為果す(しはす)月」というのもあるそうです。
 
季節の読み方と陰暦のいわれについては、「子どもに伝えたい年中行事・記念日」(萌文書林 編集部編 萌文書林 刊)を参考にさせていただきました。
 
12月といったら、何といっても大晦日です。「ちょっと待った!」と、さえぎる声が聞こえそうです。
 
クリスマスですね、わかっています。子どもたちが、もっとも楽しみにしている日ですから。しかし、クリスマスはキリスト教の祭りで、12月だけ、にわか信者になってお祝いするのも、おかしな話ではありませんか、という声も聞こえてくるかもしれません。
 
それはさておき、北は北海道から南は沖縄まで、全国的に展開され、いや、世界的な規模でのお祝いですが、実はよく知らないことや、なぜ、なぜ、どうしてと思う素朴な疑問は、数々あります。
 
 
 
★★12月25日は、キリストの誕生日ではない!?★★
 
「ナヌ……!?」
この歳時記には、筆者の不勉強から「……!?」が再三、姿を見せますが、第1号は、キリストの誕生日です。
 
読んだときはびっくりしました。例の、といっては不敬に当たると思いますが、馬小屋でお生まれになったあのお話は、どうなるのでしょうか。いろいろと探っていく内に、何と小さなお子さん用の歳時記に、実にわかりやすく、説明されているではありませんか。
 
クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝うお祭りですが、聖書の中では、キリストの誕生日は特定されていません。4世紀頃、キリスト教が広まるにつれて、統一された聖誕祭が必要となりました。
その頃、力を持っていたミトラ教のお祭りに対抗するために、12月25日に決められたといわれています。
 (えほん百科 ぎょうじのゆらい 講談社 刊)
 
ミトラ教とは、ユーラシア大陸(ヨーロッパとアジアの総称、亜欧州)で信仰されていた太陽の神ミトラスのことで、12月25日はローマの冬至祭にあたり、この日を境に短かった昼間が次第に長くなる、不滅の太陽の生まれ変わる日と考えられていました。
4世紀になり、この慣わしを取り入れ、「キリストこそ、私たちの太陽」とあがめ、キリストの誕生日として祝うようになったのです。
 
信者の皆さま方には不敬になるのをお詫びしながら申し上げますが、「イエス・キリストが、この世に生まれたことをお祝いする日」であり、「キリストが、神からこの世に送られてきたことを感謝する日」なのですね。「きよし、この夜」は、やはり、心静かに感謝の心を込めて過ごす日なのです。
 
ところで、我が国にも馬小屋の前で生まれた方がいらっしゃいます。厩戸皇子(うまやどのおうじ)こと、聖徳太子です。厩戸の名前の由来は、お母さまが宮中を見回っていた時に産気を催し、馬小屋の前で出産したからだそうですが、当時(574年 敏達3年)、キリスト教の一派であった景教が、既に中国に来ていたため、日本にもその話が伝わり、キリスト降誕説話と同じ伝説が生まれたのでした。この話は黒岩重吾の歴史小説を読み覚えているのですが、本が見つかりません。(陳謝)
 
 
 
★★ なぜ、クリスマスには「赤、緑、白」の三色になるのですか ★★ 
 
このことです。どうしてクリスマスになると、「赤、緑、白」の三色になるのでしょうか。12月になると、ジングルベルのメロデイーが流れ、この三色が街にあふれます。デパートでこの色にお目にかからない売場は、ほとんどありません。私は子どもたちに、「赤はサンタさんの着ている服の色、緑はクリスマス・ツリーの樅の木、白は雪です」といい加減な説明をしていました。ハワイで見たサンタさんは裸足でしたし、常夏の国ですから「白は雪」とはいえません。これも、当然のごとく訳ありでした。
 
クリスマスの色は、赤と緑と白である。キリストが人類のために十字架に流した血の色は赤である。キリストの純潔を表す色は白、そしてキリストの永遠の命を象徴する色が緑である。
〔年中行事を「科学」する P245 永田久 著  日本経済新聞社 刊〕
 
 
 
★★なぜ、クリスマス・ツリーは、樅の木ですか★★
 
日本では、松の木でしょう。常緑樹は、いつも、みずみずしい姿ですから縁起物には欠かせません。門松もその一つです。では、なぜ樅の木になったのでしょうか、これも訳ありでした。
 
クリスマス・ツリーは不滅のシンボルとして永遠の生命を表す常緑の木である。12月24日は「アダムとイブ」の日といわれている。アダムは楽園を追われたとき、生命の木から実を一つとってきた。その実から木が育ち、キリストの十字架が作られたという。クリスマス・ツリーはアダムの持ってきた「善意を知る木」であり、キリストを表す不滅の生命の木である。
〔年中行事を「科学」する P244 永田久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
クリスマス・ツリーは、アダムが楽園から持ってきた実から生まれたとは、これまた驚きです。では、いつ頃からクリスマス・ツリーは、飾られるようになったのでしょうか。
 
プロテスタントでは、クリスマス・ツリーは、マルティン・ルーテル (1483~1546)が、初めて採用したのです。
1529年のクリスマスの前夜、ルーテルが凍りついた雪の道を歩きながら、澄み切  った夜空を見上げると、無数の星が、美しく輝いていた。この星の輝きを、キリストの愛と感じたルーテルは、樅の木を一本切り取り、木の枝にたくさんのろうそくを灯し、感激した夜の情景を家の中に再現したのである。ギリシャ正教ではケルラリウスによって、1054年にクリスマス飾りとして採用された。
〔年中行事を「科学」する P244~245 永田 久 著  日本経済新聞社 刊〕
 
では、当時のクリスマス・ツリーは、どのようなものだったのでしょうか。
 
樅の木は、はじめは、ろうそくと林檎(りんご)で飾られていた。人々は、キリストの光を表すろうそくと、豊穣を示す林檎によって、明日の命、永遠の命を讃(たた)え、祈った。さらに樅の木は天使が飾りつけをする意味を象徴して、一本の銀の糸を「天使の髪」といって、飾りつけの最後に何気なく木にかけておく習わしがある。 (ふり仮名は引用者)
〔年中行事を「科学」する P245 永田久 著 日本経済新聞社 刊〕
 
本来の飾りは、ろうそくとりんごだけで、質素なものでした。
今の樅の木は、華やかです。靴までぶらさげ、物欲の権化のようになってはいますが、子どもの夢ですから仕方がないでしょう。
ところで、樅の木の天辺に飾ってある星は、キリストが生まれたときに輝いた星といわれ、「ベツレヘムの星」と呼ばれていますが、それがどの星に当たるかは、定かではないそうです。
 
 
 
★★なぜ、クリスマス・リースは、柊なのですか★★ 
 
クリスマスといえば、樅の木が主役だと思っていましたが、玄関やプレゼントの飾りつけにするクリスマス・リースも外せません。
しかし、あれは柊(ひいらぎ)の葉です。柊は、日本では鬼から身を守る魔除けの一つですが、これも訳ありでした。
 
クリスマスシーズンに赤い実をつけ、緑の葉を持つ柊(holly)は、古くから、ローマ人によって魔除けとして、また長寿の木として、サトゥルナリア、冬至祭にも用いられていたが、キリスト教がこの習慣を引き継ぎ、棘(とげ)はキリストの受難、赤い実はキリストの血という解釈を与え、クリスマスの愛の木としたのである。英語で(holly)がholy(神聖な)に通じる縁起もあるのだろう。
〔年中行事を「科学」する P245 永田久 著  日本経済新聞社 刊〕
 
サトゥルナリアは、12月17日から25日まで祝われた古代ローマの祭りで、農耕神サトゥルナリアを祀り、闇を追い払う冬至祭のことです。ただし、リースに使う柊は「ひいらぎもち(Chinese holly)」と呼ばれ、赤い実をつけ、葉っぱもトゲの形も異なり、節分に使う柊とは同じではありません。
 
まだまだクリスマスについてありますが、今回はここまでにしましょう。
 
 
(次回は、クリスマスと大晦日の(2)についてお話しましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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