めぇでるコラム
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
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「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第6号>
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話ししましょう。
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できますが、小学校の試験は、これができません。
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がかかればやめて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問題に挑戦できません。
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表現しなければなりません。
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければなりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応できません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話をきちんと聞けるようにする」ことです。
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切です。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆に、お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せずに、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「○○君(ちゃん)、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても話の仕方の学習にもなっているのです。
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真剣に聞いてほしいのです。
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるのです。お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令しているわけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」を学んでいるわけです。お父さんも同様です。
これも「教えない教育」の一つの例です。
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
お子さんも同じです。
力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
お子さんの話を聞けないお父さん、お母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっしゃったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではないでしょうか。
お子さんが急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお父さん、お母さんであることに気づいてほしいですね。
ところで、特にお母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでしたか。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんからやめますが、選択肢はこんなものではなかったはずです。
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませんか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるように心がけましょう。もちろんお父さんもです。
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっくり聞いてあげる、これもその時
に最優先すべきことと考えるべきではでしょうか。何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
もう一つ、思い出してほしいのです。
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまったく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身につかないそうです。
ここでも、お父さん、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
「ママ(パパ)、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さん(お父さん)は、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話ではありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるようになったわけです。
「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるようになっています。
お父さん、お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
それは、やはりお父さん、お母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたからです。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなかったからではないでしょうか。
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であり、これも「教えない教育」であったわけです。
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変な学習をしていることです。
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、○○ちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、○○くん(さん)!」と話しましょう。
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、○○ちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお父さん・お母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」
は、使わないことです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
「○○くん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのところへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」と、お子さんもわかります。
◆話を聞いてあげる。
◆きれいな言葉を使う。
◆指示をきちんと出す。
保護者に、こういった配慮があれば、お子さんも、保護者の願いに応えるはずです。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
暑い日が続くようです。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇きをしのぎましょう。
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用 1」についてお話しましょう)
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