めぇでるコラム
2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(3)集団テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第22号>
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発行者よりお知らせです。
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
は、11月から
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
にタイトル変更してお届けしています。
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(3)集団テスト
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のまねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するものや、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられないで好きな絵を描いたりします。
テストの狙いは、遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いたりすることから表現力や創造力、巧緻性などを見ます。
巧緻性は、きめ細かく上手にできていることで、「手は第二の脳」(11号~14号)で詳しくお話しましたから省略しますが、一言でいえば、普段、両手を使う作業をやっているかを見るわけです。親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自立心ですね。
さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参加する意欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見にも耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて戸惑う子がいます。子どもは遊びが仕事ですから、信じられませんね。
その原因は、日常生活が何から何まで管理されていることにあるのではないでしょうか。
親の指示どおりにしないと、気持ちが済まないようで、その心は、無事に〇〇小学校へ入るためです。これでは、学校側が求めている自発性や自主性は、育たないと思いますね。お子さんの通っている幼稚園は、自由保育です。親の指示通り云々は、管理育児です。こんな言葉はないでしょうけれど、保育の方針に逆らっています。
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいのです。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、何やら不安気に、ボーッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児が過干渉である証拠で、自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われるかもしれません。その心配なしとは言えませんね。
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りしたり、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょうか。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけで、育児が過保護になっている証拠です。
遊ばせると、子どもの育てられている環境はわかります。
幼児の試験に適していますね。子どもたちは、全身で育てられている環境を表します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくるものです。
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいですね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に進みます。まさに、あざらしさんです。
腕力と腹筋を使いますから、かなりきついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴり照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでしょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現する対象をよく観察していないとできません。あざらしを見たことのない子に、まねられるでしょうか。
たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見たことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始めます。幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見つけられれば、素晴らしい学習になります。
大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、「類似差異」の見分けです。そこから、新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれても、あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。このテストの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったものに対する観察力ではないでしょうか。
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見てごらん”」があります。(“ ”は発行者)幼児に大切なのは、教え込むより、疑問や関心の芽を育ててあげることではないでしょうか。
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびがら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しながら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、共同制作です。
以前、日出学園小学校では、4、5人のグループで模造紙1枚とクレヨン1箱だけ用意し、相談しながら絵を描かせる課題が出題されました。ある年は「弁当箱」でした。クレヨン1箱ということは、同じ色は2本ないことです。さあ、どうすれば絵は完成するのでしょうか。
これは、本当に大変です。
考えてください、全員、今日、初めて会ったのです。幼稚園や保育園、幼児教室や近所の気心の知れた友だちではありません。名前も性格も能力も趣味も、全く、わからない集りです。ですから、育てられている環境が、姿を表します。
「自分のことは自分でしなさい!」
と、ご両親が自主性を培う育児に徹していれば、一本しかない黄色のクレヨン、どうすれば使えるかを自分で考えます。
過保護、過干渉な育児では、果たして自分の考えを言い、積極的に参加できるでしょうか。学校側の狙いは、ここにあるのではないでしょうか。
[お絵描き]
かつて幼稚舎の試験に、こういうのがありました。
教室に紙を貼ったイーゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意され、絵を描かせたのです。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。
それもあるかもしれませんが、それよりも挑戦する意欲をみているのではないでしょうか。4、5歳の幼児が、イーゼルを使って絵を描く機会があるでしょうか。ほとんどの子どもは、「何だろう、これは?」となるに違いありません。
新しいもの、未知なるものに挑戦する意欲です。積極的に挑戦する子の好奇心は、旺盛です。これですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるのでしょうか。受験される方は、これを考えましょう。
ところで、「なぜ、イーゼルを使い絵を描かせたのですか」の質問に、「子どもの表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に残っています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き生きとしているからです。
知的能力だけではなく、身体全体から表われる子どもらしい成長の証(あかし)を見ているのです。ここがポイントではないでしょうか。
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。
積極的に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。
協調性は、社会性と共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎するとは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態度で示します。過保護、過干渉の環境では、意欲や集団生活への適応力に問題ありと判定されないでしょうか。
通っている幼稚園や保育園の先生に聞いてみましょう。「集団生活に、少し心配な点がありますね」などの答えがあった場合は、「ものすごく心配な点がある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を総点検する必要があります。
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)
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