めぇでるコラム
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です 長 月(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第40号-
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第11章 お月見です 長 月(1)
8月はまだまだ「夏」という感覚(小学校受験としても夏)ですが、暦の上では、今月から秋です。
秋の読み方は、「黄熱(あかり 稲が成熟する)からとの説が一般的ですが、秋空が「あきらか(清明)」である、収穫が「飽き満る」、草木の葉が「紅(あか)く」なるなどの説もあるようです。
長月(ながつき)のいわれは、秋も深まり、次第に夜が長くなっていくから「夜長月」の略が、わかりやすいですね。
これにもいろいろな説があり、「稲刈月(いねかりづき)」の「い」と「り」を略して「ねかづき」が「ながつき」となったものや、「稲熟月(いねあかりつき)」が略されたという説もあるそうです。
★★お月見ですね★★
9月といったら、お月見ですね。
天保暦でいうと、8月15日にあたり、今のグレゴリオ暦では、9月の15日から20日頃が見頃です。今年は9月17日です。
秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く満月を観賞する習慣は、古くから中国にあり、それが平安時代に貴族の間に伝わり、やがて、武士や庶民にも広まったものです。昔は、「中秋の名月」といい、月を眺めながら、和歌を詠み、お酒を酌み交わし、秋の夜を過ごしました。何やら風流な趣が伝わってきそうですが、お百姓さんは、それどころではありません。何しろ日本は、農耕民族でしたから、とにかく自然が頼みの綱です。
お月さまは、お百姓さんにとって、お日さまと同様、大変な存在でもあったのです。
ご存知のように月は、およそ1ヵ月の間に丸くなり、また、だんだんと欠けていきます。新月から1週間程で半月になり、15日程で満月に、1週間後には半月となり、再び新月に、これの繰り返しです。そこで昔の人は、満ち欠けする月の形から、1ヵ月のおよその日にちを知ることができ、それをもとに農作業の時期、段取りを行っていました。
また、月の明かりで、夜遅くまで農作業ができたのです。言ってみれば、お月さんは暦であり、時計であり、夜間の照明器具でもあったわけですから、感謝の心は、現代では考えられないほど、深かったに違いありません。
さらに、旧暦の8月といえば、稲にとっては、夏の暑いお日さまを、さんさんと受け、しっかりと実をつける時です。しかし、台風が来ると、折角、丹精を込めて育ててきた稲は、強風と豪雨でメチャメチャになってしまいます。台風一過の秋晴れのもとで、すっかり水を被ってしまった田んぼを、お百姓さんはぼう然と眺めるしかありません。ですから、お月さまに、すすきや秋の花とおだんごや果物芋などを供えて、自然が荒れないようにお祈りを捧げたのです。
なお、十五夜を見た場合には、旧暦の9月13日(現在の10月10日~30日頃)の十三夜も見なければならないといわれています。1回しか見ないお月見を「片見月」といい、不吉なことが起こると嫌われていたからだそうです。
十三夜は、栗や豆を備えることから「栗名月」「豆名月」ともいい、十五夜が中国から伝来したものに対し、十三夜は日本のオリジナルな風習です。
また、「十三夜に曇りなし」ともいわれ、晴れの夜が多く、秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く月を見ることができます。丁度、10月の下旬にあたり、秋たけなわの頃だからです。お子さんと一緒に「片見月」とならないように、確かめてみましょう。こういった話をするだけでも、お子さんには、楽しい思い出となるものです。
★★なぜ、すすきを飾るのでしょうか★★
すすきは、姿、形から見ても稲科の仲間だとわかります。
あの白い花穂が、いいですね。別名「尾花」といいますが、本当に漢字は説得力があります。これは、お百姓さんから聞いた話ですが、なぜ、お月さまにすすきを飾るのか、その理由は、すすきの尾花は、細くて長く、まるでほうきのようですから、秋風に揺れながら、その穂で、しっかりと神さまを捕まえ、豊作をお願いしたいからだ、といっていました。
★★なぜ、お月さまにうさぎが…?★★
今の小学生は、笑ってばかにするかもしれませんが、昔は、宇宙ステーションや月面探査など想像外のことでしたから、月にうさぎが住んでいると信じられていました。満月を見ると、うさぎが跳ねているように、また、杵(きね)を持ち、餅をついているようにも見えていたようです。
うさぎ うさぎ なに見て跳ねる
十五夜お月さん見て 跳ねる
文部省唱歌です、牧歌的で、いいではありませんか。
うさぎの住んでいる満月を見ながら、すすきやおだんごを飾り、自然に感謝する心は、小さい時に、きちんと育んでおきたいものだと思います。これも情操教育に欠かせない、大切な行事ではないでしょうか。
満月を、星を、しみじみと眺めたことはありますか。お子さんと一緒に、夜空を探索してみましょう。
澄んだ秋の空には、お子さんと共有できるロマンがあふれています。星座にまつわる伝説を知る機会になるかもしれません。まずは、分かりやすく、3つの星が並ぶオリオン座、ですね。
ところで、外国の人々も、うさぎだと見ているのでしょうか。天の川と同じく、いろいろな見方があるもので、想像のつかないものもあり、見る位置により、こんなに違うものかと驚かされました。
中国では、うさぎが薬草を作っているとも、ひきがえるやかにがすんでいるともいわれています。ヨーロッパや北アメリカでは、女の人の横顔やロバ、インドや南アメリカではワニ、中東ではライオン、アフリカではうさぎがひっかいた傷に見えるそうです。
(心を育てる 子ども歳時記12ヵ月 監修 橋本裕之 講談社 刊 P83)
やはり、世界中の人々も、こうこうと輝く満月に、いろいろな思いを抱いていたのですね。
海外へ出かけたとき、お月さまがどのように見えるか、お子さんと一緒に眺めてみるのも、いい思い出になるかも知れません。満天の星の主役は、北斗七星や南十字星、オリオン座などのようですが、お月さまも加えてみてはいかがでしょうか。手軽に出かけられませんが、南極では、逆さまに見えるそうです。
そして子どもから、「お父さん、どうしてうさぎさんは、いつも同じ格好をしているのかな」とかなり大人を困らせる質問があるかもしれません。裏側はどうなっているかなんですね。言われてみればその通りで、大人は不思議に思いませんが、そこは探求心の旺盛な子ども。良い質問です。
「月の自転周期と月が地球の周り回る公転周期が一致しているから、常に表しか見えない」ということのようですが、子どもにどう説明すれば良いか、悩みますね。
皆さんなら、どう説明しますか。
(次回は、「秋の七草」などについてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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