めぇでるコラム
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第36号-
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第10章 終戦記念日、このことです 葉 月(1)
物の本によれば、葉月のいわれは、季節は秋になり、木の葉が落ちる「葉落月」の略されたものが親しみやすいですね。この他に、稲穂の「発月」、雁が渡ってくるので「初来月(はっきづき)」、南から台風の風が吹きはじめるので「南風月(はえつき)」などの説があるそうです。
★★終戦記念日★★
8月といえば、終戦記念日です。8月15日、戦争体験が無くても忘れてはならない日です。これは、季節の行事と違いますから、おかしな話と思うかもしれません。しかし、私たち日本人は、この日を忘れてはならないのです。とにかく、大勢の人が亡くなりました。戦場で230万人、原爆、空襲で70万人、およそ300万人の命が奪われたといわれています。この中には、戦場となったアジアをはじめ、他国の人々は含まれていませんから、犠牲者はさらに増すはずです。この事実だけでも、戦争は絶対に許せません。
最近、「なぜ、日本は世界を相手に戦争をしなければならなかったのか」、その真相を明らかにする書物も多く出版され、知らなかった経緯を知る機会も増えてきました。その最たるものは、「あの戦争は、日本の自衛戦争であった」といった、日本と戦った連合国最高司令官、ダグラス・マッカーサー元帥の言葉でしょう。
その他、真珠湾攻撃の前に日本の暗号が解読されていた、など当時の書類が公開されてきました。原爆についてのことなど、今までの通説とは異なる事実が出てくるのではないでしょうか。
それらの内容はともかくとして、戦争は、人間の引き起こす最も愚劣な罪悪です。そして、戦時中は、全国民が真剣に戦争をしていたのも事実です。国家権力は絶対で、国民は逆らえません。これが恐い。たとえば、赤紙1枚で、たった1つの生命を交換させられたのです。その赤紙は、わずか1銭5厘(当時の葉書の値段)、1銭5厘です……。今ではドラマでしか見ることができない、という世の中でよかったです。
※赤紙 兵を集める召集令状のこと、淡赤色の紙を用いたもので、俗に赤紙という。(広辞苑)
浅はかにも、人間は万物の霊長などと表現されますが、その人間だけではないでしょうか、殺し合うのは。
それも、憎しみをこめて、徹底的に……。
他の動物も同じ仲間同士、争いますが、負けのサインを出すと、攻撃しないものです。満腹のライオンは、しま馬がそばを通っても襲いません。本当に、人間って、不思議な動物です。極限状態になると、何をしでかすかわからないのですから。
そして、ウクライナやイスラエルのように宗教と民族の問題がからむと、必ず、泥沼に落ち込みます。
ニューヨークにある世界でも有数なブロンクス動物園には、鉄格子をはめ込んだ檻、「鏡の間」があり、その前に立つと、人間の上半身が鏡に映り、その鏡の上には、こう書かれてあるそうです。
THE MOST DANGEROUS ANIMAL IN THE WORLD
(世界で最も危険な動物)
そして、世界ではともかく、日本では戦争も原爆も、何やら遠い昔の出来事として、風化されているのではないでしょうか。しかし、忘れてはならないことです。事実は事実として、きちんと語りつがれなければ、戦争のために亡くなった人たちは浮ばれませんし、申し訳ないではありませんか。これこそ、「現代の民話ではないだろうか」と、今月に紹介する本の解説者、米屋陽一氏はおっしゃっています。また、山崎豊子さんの「不毛地帯」のように、外地で苦労された人々の話も読んでおきたいものです。
戦争は、ゲームと違います。リセット、やり直しはできません。ゲーム・オーバーで、本当に「ゲーム・セット」ですから、子どもに戦争の悲惨なこと、二度と繰り返してはならないことを、しっかりと伝えておきたいのです。人間は、お互いに、労わりあう心がなければ生きていけません。「共生」「ともいき」ということを、責任をもって教えるのは、ご両親の大切な仕事です。
たびたび申し上げていますが、幼児期に必要なのは、知識を詰め込むのではなく、情操豊かな子に育つ環境を作ることです。
そこから、自分自身で考え、行動する力が身につくからです。
価値観が多様化し、「何でもありの人生観」をもつのも自由ですが、「共に生きる」意識がぜい弱では、やはり、偏った考えしか身につきません。「共生の反対は自己中心」ではないでしょうか。自己中は、恥じることを知らない人のことです。
(次回は、「なぜ、鳩は平和のシンボルなのでしょうか」などについてお話ししましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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