めぇでるコラム
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章 七五三でしょうな 霜 月(3)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第49号-
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第13章 七五三でしょうな(3)
【11月に読んであげたい本(2) 終わりにあたり】
◆うばすて山◆ 吉村 輝夫 著
むかし、ある所に、年を取ったおっかあと息子が暮らしていました。その頃、年寄は60歳になると山へ捨て、守らないと殺される掟があったのです。おっかあが60歳になったとき、山の奥までおぶって行ったのですが、捨てることは出来ず、山を下り、家の裏に穴を掘って、隠したのです。
ある時、殿様が村の者に、「灰で縄を作ってこい」といってきました。灰は燃えかすですから、縄などなえません。みんなが困っているのでおっかあに相談すると、「わらで縄をきつく縛って、塩水につけてから燃やしてごらん」というので、やってみると出来たのです。
すると今度は、「きれいに磨いた丸い棒を出して、どっちが根っこか調べてこい」というのです。太さも堅さも同じですからわかりません。また、おっかあに相談すると、「水に入れて、先の沈んだ方が根っこだ」と教わり解決します。
今度は、「玉に糸を通してこい」という。見ると、玉に糸の通る穴があいていますが、曲がっているので、糸など通るわけがありません。そこで、おっかあに聞くと、「小さな蟻を捕まえて糸の先に縛り、穴の口に蜜を塗り、塗っていない方の穴へ蟻を入れると、蟻は蜜の匂いに誘われ穴の中を進むはずだから、糸を通せる」というのでした。やってみると、糸は通ったのです。
喜んだ殿様は、「こういった知恵は、どうして生まれたのか」と尋ねます。そこで、「60を過ぎたおっかあに教えてもらい、年寄は、何でもよく知っているものです」と、震えながら告白したのです。決まりを破っていますから死刑です。しかし、殿様は感心し、掟を改めたのでした。息子は褒美をもらって家に帰り、穴蔵からおっかあを出し、仲良く暮らしたのです。
寺村 輝夫のむかし話 日本むかしばなし 4 寺村 輝夫・文/ヒサ クニヒコ・絵 あかね書房 刊
これと、そっくりな話が、チベットにあります。「賢い大臣」です。中国の唐の時代の話で、皇帝の1人娘をめぐり、7つの国の王子さまが結婚を争うのですが、その知恵比べとして皇帝から出された問題が、この話に出てくる殿様の難題と同じでした。灰で縄をなう代わりに、五百頭の親馬と子馬を放ち、それぞれ親子に分ける課題になっています。チベットの人は、馬の扱いになれているからでしょう。その親子の分け方ですが、チベットの賢い大臣は、親馬においしい牧草をたっぷりと与え、それから子馬を放します。すると親馬は、子馬にむかっていななきます。その声を聞いて、子馬は母馬のところへ、一頭も間違わずに行くのです。後の二題は同じで、見事に解決し、お姫様はチベットへ嫁ぐ話です。
こういう話に出会うと嬉しくなります。遠くチベットから陸を旅し、海を渡り、何百年も時を費やし、日本に伝わってくるのですから、これは大変なことです。
このように、昔話が長く語り継がれるのは、時代が変わっても、共感する心に変わりがないからでしょう。
この話の馬の親子の様子が目に浮かぶ童謡、「おうま」があります。
(1)おうまのおやこは なかよしこよし
いつでもいっしょにポックポックリあるく
(2)おうまのかあさん やさしいかあさん
こうまをみながらポックリポックリあるく
この歌の作曲者、松島彝(つね)は、国府台女子学院の校歌の作曲者で、暁星学園、東洋英和女学院は、北原白秋、山田耕筰の大御所コンビ、日出学園は、西条八十、山田耕筰、聖徳大学附属小学校は、サトウハチローの作詞と、私学の校歌も、有名人の手がけたものがあり、うかつにも見逃していました。
それはさておき、秋も深まってきました。紅葉狩りも、日本の風物詩に欠かせない絶景の一つでしょう。♪秋の夕日に照る山もみじ♪ 童謡「もみじ」の世界ですが、もみじという木があるわけではなく、カエデ科の木、ナラ、クヌギなど赤や黄色に色づく落葉樹をもみじといい、「紅葉狩り」は「梨狩り」「きのこ狩り」「潮干狩り」などと違い、木の枝や葉を取るのではなく、色づいた
木の葉を見て楽しむものです。
雑木林を散歩していたときのことですが、ポトンと何か落ちてくる音がしたので探してみると、かなり大きな丸いどんぐりでした。風が吹くたびに、ポトン、ポトンと落ちて来るのでびっくりしましたね。その時に思い出したのは、「どんぐりころころ」の歌でした。私は、「どんぐりころころ どんぐり子」だと思っていたのですが、進学教室の歌姫こと、まいちゃんが、「先生違うよ。
♪どんぐりころころ どんぶりこ♪ですよ」と言って歌ってくれたことでした。
「音を立てて水に落ちるさま」なんですね。だから「お池にはまってさあ大変」となるわけです。向田邦子さんもある随筆で、野口雨情の「赤い靴」の歌詞、「異人さんに連れられて」を「いい爺さんに連れられて」、土井晩翠の「荒城の月」の「めぐる盃」を「ねむるさかづき」と覚えていたと読んだことがありますが、誤って覚えてしまうことは結構あるようですね。
【最終回にあたり】
思い返せば、幼児教育ほど難しく、奥の深いものはないと痛感させられることばかりでした。むずかる子どもたちを、巧みにあやしてしまうお母さん方や保育園、幼稚園、幼児教室の先生方を見るにつけ、「これはかなわない」と何度も弱気になったものでしたが、その度に心の支えとなったのは、この言葉でした。
心に火を点ける
凡庸な教師はただしゃべる。
少しましな教師は理解させようと説明する。
優れた教師は自らやってみせる。
本当に優れた教師は生徒の心に火を点ける。
ウィリアム・アーサー・ワード (19世紀のイギリスの教育学者)
おこがましくも、教師の代わりに「親」を、生徒の代わりに「子ども」と置き換えると、「本当に優れた親は子どもの心に火を点ける」となりますが、これこそ育児の究極の目的、ご両親の仕事ではないでしょうか。
本メールマガジンの情報の基礎となっている「年中行事を『科学』する」(産経新聞社 刊)の「まえがき」で永田久先生は、「年中行事は民族を象徴する。
年中行事を知ることは民族の歩みを知ることである」と述べています。将来に目を向けることも大切ですが、私たちの祖先が、どのように歩んできたかを、日常生活を通して知ることも、意義があると思います。なぜなら、年中行事やむかし話には、幼い子どもたちが、楽しく生きるために心の糧となるヒントが、たくさん詰まっているからです。
思惑通りになったかどうかわかりませんが、お子さんの小さな心に、ささやかな灯火を点火できればと願い挑戦してみました。皆様の育児の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきまして有難うございました。
お子さんの健やかな成長を、心からお祈りすると共に、素敵なお父さん、お母さんになっていただきたく、一遍の詩を紹介しましょう。雙葉小学校の説明会で配布されているものです。
★親の祈り★
神さま
もっと よい私にしてください。
子どものいうことを よく聞いてやり
心の疑問に 親切に答え
子どもを よく理解する私にしてください。
理由なく 子どもの心を傷つけることのないように
お助けください。
子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
子どもの小さい間違いには目を閉じて
よいところを心から褒めてやり
伸ばしてやることができますように。
大人の判断や習慣で
子どもを しばることのないように
子どもが自分で判断し
自分で正しく行動していけるよう
導く智恵をお与えください。
感情的に叱るのではなく
正しく注意してやれますように。
道理にかなった希望は、できるかぎりかなえてやり
彼らのためにならないことは
やめさせることができますように。
どうぞ 意地悪な気持ちを取り去ってください。
不平を言わないように助けてください。
こちらが間違ったときには
きちんとあやまる勇気を与えてください。
いつも穏やかな広い心を お与えください。
子どもといっしょに成長させてください。
子どもが心から私を尊敬し慕うことができるよう
子どもの愛と信頼にふさわしいものとしてください。
子どもも私も 神さまによって生かされ
愛されることを知り
他の人々の祝福となることができますように。
令和6年10月吉日
めぇでる教育研究所 職員一同
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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