めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(3)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2024さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2024年度入試(2023年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第46号★
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学校説明会で確かな情報を (3)
★紹介したい説明会でのエピソード(2)
[入試情報]
雙葉小学校説明会
日 時 7月21日(金)、23日(日)
場 所 雙葉小学校
申 込 6月19日(月)午前10時から申し込みサイトよりお申
し込みください。
詳しくはホームページをご覧ください。
東日本大震災を受け、平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報
立教小学校(6月9日)」で次の話を紹介していました。数年後には、いわゆ
るコロナ禍に関するエピソードが出てくるかもしれませんね。
震災に対していろいろと対応を考えている。
校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が
校内に流れるようになっている。
乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下
には井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パ
ンを配り、学生食堂では炊き出しをした。池袋周辺にいれば安全を確保で
きるので心配いただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急
メールを準備している。
大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放
射能値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心でき
る体制にある。
(緊急メールは、現在完備されている)
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありま
すが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかな
ければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もあ
りますから、子どもは退屈します。
ある学校の説明会、体育館で行われたため、後ろの所に子ども達が遊べるよう
な空間があったのです。そこで、子ども達が走り回りはじめました。うるさい
のですが、親が注意をしません。
見かねた校長先生が、
「元気な子と不作法な子は違います」
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方
針と違うことをやっているにもかかわらず……、もっとも、出るに出られなく
なってしまったのかも知れません。
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊
下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないよう
に」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5
分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の
様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終わ
って廊下に出た時、何と同じ所にお母さんがいるではありませんか。約1時間
半、大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心の
やさしい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
育児ないないづくし
暖房きかせて寒さがない 冷房きかせて暑さがない
おやつが過ぎて空腹がない 歩かせないので疲れがない
おもちゃのやり過ぎで興味がない テレビの見過ぎで考えない
何でもホイホイ我慢がない 点数以外に関心がない
わかっているけど行わない これではまともに育たない
育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自する
お母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせ
ば、その根拠はここにあるのです(笑)。
次の話は、あるミッション系の学校で伺った話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核
家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任で
はありません。しかし、バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、考えさせ
られてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、
むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人と
いえば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージ
が強くなるばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる
私たちの使命です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かに
なり過ぎ、お金が評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからで
す。教育の危機は、心を大切にしないことから発しています。
学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子
が少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与
えることに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると
過干渉になりがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は
屈折してしまうのです。
30年以上前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘してい
ます。これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではな
いでしょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をして
いない状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえま
せん。
では、幼児期にふさわしい教育とはどういうものでしょうか。
立教小学校の田中司元校長の話を、文言は正確ではありませんが紹介しましょ
う。
0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最
も大切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことを
しっかりとつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれ
ることで、子どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なも
のはありません。対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で
対話が成立する、これが育児でいちばん大切だと思います。
次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る
想像性が欠如していく気がします。読み聞かせをする母親の、話しかける
父親の言葉を聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間
にとっていちばん重要な能力だと思います。イメージする力を育てること
は、文学的な分野と考えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータ
をもとに発展させ、それぞれの世界をイメージすることでできたわけです。
分子や原子は、どんな格好をしているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はど
のようになっているか見た者はいません。わずかな情報から科学者が創っ
たイメージの世界です。読み聞かせは、子どものイメージする力を育てる
とともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊かな時間でもあるのです。
3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が
創った自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと
思います。気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活するこ
とが可能な時代になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、
葉っぱ、虫、砂といった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じるこ
とが大切です。休日に、森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って
出かけ、自然って美しいな、風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、
石ころにはいろんな形があって面白いな、何もプログラムを作らずに、ゆ
ったりと、そこにいるだけで素晴らしい、そういう自然の楽しみ方、それ
は非常に高い文化ではないかと思います。
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、特
にお母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと
実行していたはずです。
お子さんの赤ちゃん時代です。
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。
赤ちゃん言葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。
こういった姿は、無償のほほ笑みと共に、この世で最も美しい姿といわれてい
ます。
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがち
です。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止
しました。
男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、思わず
笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからです。運
動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さん方も
何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
2021年度から校長に就任した田代校長が副校長の時には、脳科学者の話を
例に、18歳を超えると脳の成長の差はなくなるが、それまでは女子の成長が
速いので、小中高が別学で、大学は共学が理想的な教育環境、「手前みそなが
ら」と自慢されており、なるほどと納得できました。別学が禁止されていたア
メリカでは、2006年に法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるよ
うになっているそうです。
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開
催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方
への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイル
ームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講
堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓
である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感
期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、
次のように話されたのでした。
私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、
面接テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、
お父さま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それ
から年齢相応に基本的な生活習慣が、これは、まだ完全にできませんから、
ある程度、身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子
さま、そういう子ども達を期待しております。
いかがでしょうか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、
幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親
の育児の集大成を判定しているということです。
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話し
ましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手
に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学
志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。
「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない
学校があるなら、行かなくても一向に差し支えない」
というように考えられないものであろうか
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児に
ついての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われて
いることが、おわかりいただけたと思います。問題集だけを頼りにし、机の上
だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきま
す。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家
庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハ
ウの指導を受けても身につかないでしょう。
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊
敏性を求めるテストに対応できません。
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波大学附属小学校や昭和学院小学校の
ような熊歩き(四足歩き)をやれといってもできないでしょう。
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立った
ままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければなら
ない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことで
す。
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就
学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能
力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある
子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定さ
れているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て
方」や「おとうさん、おかあさんの受験対策」(私のお勧めは、他校を受験さ
れる方々にもお役に立つと自負しています慶應義塾幼稚舎編)の一部を紹介し
たもので、説明会へ参加する前にお読み頂き、万全の態勢で秋に向かってほし
いと願っています。詳しくはめぇでる教育研究所のホームページ、「出版物・
問題集のご案内」をご覧ください。
(次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)
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