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めぇでるコラム 5ページ目

2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>説明会より

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第56号>
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○説明会情報
 
  聖心女学院初等科 オープンスクール
    期間:8月22日(木)、23日(金)
    時間:午前9時~
    所要時間:30分(各日5回、1回60名)
    申込期間:8月1日(木)~8月22日(日)15時まで
    申込はHPから
 
  成蹊小学校 第2回学校説明会
    期間:8月22日(木)、23日(金)
    時間:午前9時~、11時~、13時~
    申込期間:7月30日(火)~8月30日(金)15時まで
    申込はHPから
 
  ※詳細は各校のHPをご覧ください。
 
 
■説明会より
      
昨年までは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、WEBでの学校説明会にする学校もまだありましたが、今年は多くの学校で、学校での対面方式での説明会に戻っています。みなさん方も、直接学校に行くことで、学校に通うイメージが湧いたのではないでしょうか。
 
今回は、その白百合学園小学校の説明会が、実際にどのように行われたかを紹介しましょう。ただし、文言は、正確ではないことをお断りしておきます。
  
   
 
  めぇでる教育研究所 入試情報
      白百合学園小学校 学校説明会
 
日 時 令和6年6月29日(土) 10:00―11:15
場 所 学園講堂
参加者 約500名
 
座席に置かれた封筒について、学園報(小、中、高の保護者に配布)、大樹に(小学校の保護者)、学校案内、文集しらゆり(毎年、説明会用に作成、小学生の作文、詩、感想文)、募集要項が入っているとの説明があった。
 
  次第
「白百合学園のあゆみ」
校長挨拶 建学の精神と教育方針
映像「一年桜組の一年間」
学校生活を振り返って(6年生児童)
本校の教育活動
3年生の歌
連絡
 
 
1.「白百合学園のあゆみ」(中西 教頭先生)
 
学園の母体であるフランスのシャルトル聖パウロ修道女会は、今年で創立328年を迎える。発祥の地は、ルヴェヴィル・ラ・シュナルという小さな村だ。
17世紀末のフランスの農村では人々は貧しく、子どもの教育が疎かにされていた。その状況に心を痛めた1人の神父が学校を始めることにした。神父の志に共感し、子どもたちに読み書きや手仕事を教えたり、病人の看護を行ったりしたのは修道女たちだった。人々の苦しみに寄り添い、献身的に愛ある活動を行う修道女たちの取り組みが本校の教育の原点。144年前、1878年にフランス人の3名の修道女が函館に派遣され、彼女たちの働きが日本各地に広がった。1881年、東京にも学校が設立され、これが本学園の始まり。関東大震災や東京大空襲などさまざまな困難の中でも、創立当初の修道女たちの思いを受け継ぎ、現在に至っている。
 
 
2.校長挨拶(保倉啓子先生) ~建学の精神と教育方針~ 
 
建学の精神は、設立当初の修道女たちの心を受け継ぎ、子どもたちに神の愛を伝えながら、時代の要請に応えて教育を行うことを使命としている。そして、本校が基盤としているキリスト教の人間観とは、「人間は一人ひとり神に愛されたかけがえのない存在であり、その存在価値は、他者との比較や競争によって優劣が生じるものではなく、この世に生きているだけで、無条件に価値がある」ということだ。これは時代を超えて、宗教を超えて、普遍的なことであると思う。
 
児童には、分かりやすく次のような校訓を掲げて、指導にあたっている。
従順「すすんで みがこう 正しい心」
勤勉「すすんで なんでも いっしょうけんめいに」
愛徳「すすんで しんせつ よろこんで」
 
今年度は、特に『勤勉』に重点を置き、「みんなとともに進んで生かそう自分の力」という白百合生の姿を掲げている。お互いの個性や良さを認め、大切にし合う心を養うこと、どんなことにも誠実に向き合い、一つひとつ丁寧に一生懸命に取り組む心を育むこと、これは修道女たちが大切にしてきた精神の一つだ。
ご両親からたくさんの愛情を受けて育ってきている本校の児童は、とても優しく思いやりがあり、周りに目を配り、助けを必要としている人に思いを寄せて、進んで行動している。正しいこと、良いことを自分なりに考え、力を尽くそうとする白百合生の姿は建学の精神の体現だと思う。
教職員も同じ精神で子どもたちのために一致団結して教育に当たっているので、本校の教室や職員室は大変なごやかで笑顔が溢れており、保護者の皆様にはお子様を安心してお預けいただける学校であると確信している。
 
 
3.映像「1年桜組の1年間」
 
入学式の様子から始まり、「ごきげんよう」の挨拶の練習、授業の様子、上級生との関わりなど日々の生活の様子が伺えた。最後には2年生として入学式で「友だちになるために」を合唱し、新1年を迎えて映像は終了した。ご覧になった保護者は入学後の1年をイメージできたのではないだろうか。
 
 
4.学校生活を振り返って(6年生児童)
 
<一人目>
「夏休みにヨーロッパ旅行に行き、学校で学んでいるフランス語と英語を使って現地の方とコミュニケーションをとったこと。その経験が自分にとって、大きな喜びと自信になったこと。また、自身は中国にルーツを持つことから、日、中、仏、英の4つの言語に日常的に触れているので、将来は多くの言語を使いこなし、世界各国を巡りながら命を救う仕事に就きたい。」と話してくれた。
 
<二人目>
「毎朝の楽しみは、1年生のお世話に行くことだ。授業準備や着替えを手伝い、朝礼までの間おしゃべりをしたり、絵本を読んであげたりしている。自分が1年生の時、6年生と過ごせる朝の時間が大好きだった。6年生になった今、1年生が自分を頼ってくれることがうれしくて、毎朝あたたかい気持ちになる。
また年に数回、1年生から6年生まで30人ほどのグループで、6年生が企画した遊び行う白百合タイムがある。学年を超えて仲良くなれる行事だ。今年は、私がお姉様にしてもらってうれしかったことを下級生にしてあげ、白百合生らしさを受け継いでいきたい。」と話してくれた。
 
<三人目>
「2月に雪の学校に行き、スキーやそり遊び、雪合戦など、自然の中で冬を満喫した。スキーではクラスの枠を超えた友達と過ごしたので、たくさんの友達と仲良くなることができた。スキーで転んだ時や気持ちが落ち込んだ時、友達に温かい言葉をかけられ、その優しさに助けられた。途中で気持ちがすれ違うこともあったが、ミーティングで話し合い、お互いを理解し合うことで、前よりも絆が強まった。雪の学校以外にも、4年生の海の学校、6年生の高原学校など、3年間にたくさんの体験ができたことに感謝している。宿泊学習は私たちにとって一生大切にしたい素敵な思い出だ。」と話してくれた。
 
いずれも児童の視点からの発表ということもあり、非常に参考になった。
 
 
5.本校の教育活動 (清水雅子教頭先生)
 
本校の全ての教育活動の基盤となっているのは宗教教育だ。児童の1日はお祈りで始まりる。日常生活のことや周囲の人への感謝、災害や戦争で苦しむ人々のことを考え、心を込めて祈る。
本校では、児童の学校生活全てを通して、教職員全員でキリスト教を土台とした宗教教育を行っている。いつも、どんな時にも神様の存在があり、ありのままの私たちを受け入れてくださること。その神様を信頼し、感謝して、自分自身の行動へとつなげていく力を育てていきたいと思っている。
本校では、各学年が桜組、菊組、梅組の3クラスに分かれていて、2年ごとにクラス替えがある。学級担任のほかに、専科教諭も各学年に副担任として配属される。1学年6名ずつの教員が学年団として、児童一人ひとりの成長を共に見守る。1年生は併設の幼稚園から60名、小学校から60名でスタートするが、すぐに慣れて、みんな仲良くなるので、安心してほしい。
また、担任、副担任の他に1年生の各クラスには教育補助もついて、幼稚園や保育園から入学する児童の様子をよく見て、支える体制をとっている。学級担任は、児童が自己肯定感を高められるような温かな学級経営を心がけながら、主に国語や算数の授業を行う。専科教諭もそれぞれの専門性を生かして、質の高い授業を行っている。全ての教員が日々研鑽を重ねながら、興味や関心を深め、探求していく喜びを味わうことが大切であると考えて、授業を組み立てている。そのためには、児童の学習状況をていねいに見ることが欠かせない。授業をきっかけに学びの種が芽を出し、成長していく過程を見つめていくことは、私たち教員にとって幸せなことだ。
伝統的な女子高である本校では、ジェンダーバイアス、女性はこうあるべきだという考え方にとらわれることがない。本校には、活発で雄弁な児童も、静かに思考を深める児童もいるが、それは一人ひとりの個性として受け入れられる。
女の子らしさではなく、自分らしさを大切に、どの子にもさまざまな場面でリーダーとなって活躍する機会がある。お互いの絆を深め、成長していくことができる環境は、女子校ならではの良さといえる。経験や思いを共有しながら成長した卒業生は、中高での生活を経て、大人になっても変わらぬ交流をしている様子だ。卒業生が一生の友を得て、白百合生としての誇りを持って社会に貢献できることを願い、私たちは日々の指導に臨んでいる。
 
<算数教育について>
本校算数科では、「数、量、図形の知識や数学的な考え方を身につけさせ、問題を解決しようとする態度を育てる」「多様な考え方に触れる中で、自らの思考を深めさせ、数学的な良さを感得させる」という2つの目標を掲げて、日々の指導にあたっている。
指導の中では、問題解決に至るまでのプロセスを大切にしている。
低学年の足し算や引き算の学習を例にお話しする。計算方法を習得する前に、絵やブロックを用いて問題場面を表現し、その絵やブロックをくっつける、離す、結びつけるなどの操作を通して、基本的な考え方を身につける。また、長さや重さ、かさに関する内容でも、同様にまずは五感を用いた体験的に理解できるようにしている。
高学年では、体験的に理解する段階からステップアップし、線分図や表、図などを用いて情報を整理し、式に表したり、問題を解いたりすることができるように指導していく。
問題を解くだけではなく、どのようにして解くのか、より良い解き方はないかという思考のプロセスを大切にしており、そのためには、1人で考える時間だけでなく、クラスで話し合う時間も大切にしている。さまざまな考え方に触れたり、伝え合ったりする経験を通して、少しずつ論理的な思考力が養われる。
話し手は「自分が伝えたいことが聞き手に理解してもらえているか、相手意識を持って話す。」、聞き手は「話をしている相手に体を向けて聞く。」という話し方、聞き方の指導から始めている。学年が進むごとに、子どもたちはクラス全体の話し合い、グループやペアでの交流を通して、自らの考えを精錬させる力を高めている。
 
最後に、6年生の少人数制授業について紹介する。学習内容はより高度になり、また発達段階として人前で間違ったことを言ってしまう恥ずかしさから、6年生の児童は発言に躊躇する場面も見られる。そこで、昨年度からクラスを半数にして、担任と算数の専科教員でそれぞれを分担して授業を行っている。人数が少なくなったことで、教師が全児童の考えを理解しやすくなり、子どもたちの間違いがちな点を全員の共通の話題として取り上げやすくなった。間違いについて20人で検討し、より良い考えを皆で作り上げる授業ができていると実感している。
 
<外国語教育について>
本校の外国語教育の特徴は、フランス語と英語の2つの外国語を学習することだ。フランス語は1年から6年生まで週に1回、英語は3、4年生が週に1回、5、6年生は週に2回、少人数授業も取り入れながら、日本人と外国人ネイティブ教師によるチームティーチングの体制で行っている。外国語の強化目標は、6年間で自分の身の回りのことについて聞ける、話せる、読める、書けることだ。また、本校が外国語教育で1番大切にしているのは、言葉の面白さや楽しさを味わうことを第一に、自分の考えを伝えたり、人の思いを受け入れたりして、お互いを尊重し合う心を育てることだ。
6年生では、「私、学校、家族」というテーマを2か国語で文章にまとめている。授業では、児童が理解しながら楽しんで豊かな表現に出会うだけでなく、宗教的、文化的な行事を体験する活動も行っている。
フランス語は学校でのみ学習している児童がほとんどなので、授業内で十分な習熟を図れるように特に丁寧に指導している。そして、併設中学校では、フランス語は必修科目として全員が学習を継続し、高校で第1外国語として選択すると大学受験の科目とすることもできる。
また、定期的に外国語での交流活動も行っている。フランス語では、生活科の「こども祭り」でフランス人学校の方々と一緒に遊ぶ活動や、併設高校の交換留学生とともに行う日本文化についての活動を続けている。英語では、イギリスの小学生とビデオレターやグリーティングカードの交換を行い、フランス語では、スペイン領カナリア諸島の小学生と手紙や映像での交流を行っている。
これらの交流では、学んだ言葉を使う楽しさを味わいながら、生き生きと活動する様子が見られた。
また、カトリック学校ならではの関わりとして、フランス語と英語でお祈りを唱えたり、聖歌を歌ったりする機会がある。フランス語と英語の2つの言語を学ぶことにより、本校の児童は外国語への関心や感度を高めている。言葉は外の世界への窓。その窓がいくつもあることで視野がさらに広がる。外国語の学習を通して、他者に対して開かれた人間に育ってほしいと願いながら、日々の指導を行っている。
 
 
6.3年生の歌
 
『あの空はどうして青い』のほか、フランス語で『アヴィニョンの橋の上で』を元気いっぱいに披露してくれた。
 
 
7.連絡事項
 
出願方法:WEB出願、願書はHPよりダウンロードし、記入後郵送。
     学校での願書の販売はしない。願書のダウンロード期間や郵送期日が決まっているので間違えないように。詳しくは募集要項を参照してほしい。
 
学校見学会:9月7日(土)に実施。7月20日(土)9:00からミライコンパスのサイトより申し込み開始。詳細は後日で確認してほしい。
 
以上で終了。
個別の質疑応答あり。
 
 
 
いかがでしたでしょうか。
文言は正確ではありませんが、説明会の様子が伝わったのではないでしょうか。
 
夏休み講習、元気に通っていますか。毎日、体系的に学ぶことにより、受験に必要な力は確実につくと共に、知らない友とも学べ本番の雰囲気をも体験できます。暑い日々が続いています。室外と室内の温度差などで体調を崩さないように、健康管理には十分に注意してあげましょう。
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(4)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第39号-
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 第10章  終戦記念日、このことです   葉 月(4)
 
 
間もなく終戦記念日。終戦後80年近くになりましたので、保護者の方もなかなかイメージしにくいのではないでしょうか。それにもまして戦争そのものの話は小さな子ども達には難しい話ですから、今回の配信を機に、ウクライナ情勢も参考にして、戦争についてご両親はどう考えているかも話し合ってみましょう。
 
 
【八月に読んであげたい本】
 
昭和20年3月10日、東京大空襲。たった一晩で、10万人もの尊い命が失われました。
その東京大空襲を描いた「東京大空襲ものがたり」は、年長さんでも理解できるのではないでしょうか。当時の世相や風習もわかりやすく解説されています。
ダイジェストにするのはおこがましいと思い、本文を少し紹介することにします。
 
  ◆東京大空襲ものがたり◆   早乙女 勝元 著
 
 「電柱だけが知っている炎の夜のこと。
 ゆかりと進一の家の近くに、真っ黒こげの電柱があります。
 これは、咲子おばさんにとっては、たった一つだけの、大事な目印なのです。
 東京大空襲の炎の夜に、おばさんは、赤ちゃんの螢子ちゃんと、ここではぐれてしまったのです。
 二人は父さんから、その話を聞かされ……」
 
これが物語の始まりで、真っ黒こげの電柱の叫び声で終わります。
 
 亡くなった人は、何も語ることができませんが、どれだけたくさんの、つらく悲しいできごとがあったことでしょうか。焼け残りの電柱は、今も東京下町の、あの町角に立っています。北風の吹く寒い日も、夏のカンカン照りの日も、電柱は亡くなった人たちに変わって、「炎の夜」のできごとを、私に、そしてみんなに語り続けているように思われます。
 でも、その声は聞こえません。ですから、ゆかりと進一は、電柱にかわって、こう呼びかけるのです。
  誰もが、平和を守るための努力を、
  そのための、小さな勇気を、
  わすれてはいけない、と。
     花房ゆかり 眞一
 
 (東京大空襲ものがたり  早乙女勝元著 有原誠治絵  金の星社 刊)
 
今となっては、空襲の辛い体験をされた多くの方々は、すでに冥界へ旅立たれたのではないでしょうか。こういった現実があったことを、しっかりと子どもに伝えることも、親の仕事ではないかと思います。
 
 
 
  ◆長崎のピカ◆
 
 昭和20年の8月6日に、広島に原子爆弾が落とされたの。
 一発で広島中が燃え、何10万の人が死んだの。
 3日後の8月9日、今度は長崎に落ちて、私の家族8人は一人ずつ順々に死んでいったの。
 最初に死んだのは、おばあちゃん。外出中に被爆し、真っ黒になり、はらわたを出して死んだの。次の日に、父さんと母さん、兄ちゃんと死んでいったけれど、上の妹、ゆみ子は、ずうっと見ていたの。次の日の明け方、きれいな船に、父さんと母さんと、おばあちゃんと兄ちゃんが笑って、おいで、おいでしていると、かぼそい声で言うの。「船に乗ったらだめ!」と叫んだけれど、「みんなで迎えに来たよ」と言って亡くなったの。顔はボールのようにはれあがり、歯ぐきはまっ黒にただれ、紫色の斑点が身体中に出て、口も動かないの。でも、そう言って死んだの。気がついたら、弟も死んでいたの。
 下の末っ子の妹、すず子は、防空壕で体を寄せ合っていたら、冷たくなっていくので、マッチをつけてみたら、もう死んでいたの。その身体を、一晩中だいて寝ていたの。冷たくて、皮がべろべろとはげるの。
 次の日、お隣のおじさんがきて、一人ずつ焼いたの。
 私は、12歳でした。
           
  夏休みのはなし
  「海ぼうず」 松谷みよ子/吉沢和夫監修 日本民話の会・編 国土社刊                                          
 
12歳の無残な夏、平和な時代に生かされていることに、ただ感謝するだけです。
もう一冊、戦時下を舞台にした話を紹介しましょう。
 
 
  ◆ホタルになった兵隊さん◆   堀田 貴美 著
 
 前の戦争のとき、九州南端の知覧に陸軍の飛行場があり、戦争末期、そこは特攻基地でした。
 特攻機は人間爆弾で、搭乗員は、二十歳前後の若者達だったのです。基地の近くに、おばさんと二人の娘が手伝う富屋食堂があり、隊員達に親しまれていました。その中に、出撃後に飛行機が故障して、帰ってきた宮川三郎軍曹がいました。再び、出撃しましたが、二度とも機械が故障し、引き返したのです。整備隊長に、いい飛行機をくださいと訴えました。仲間が戦死し生き残るのは辛かったのでしょう。同じ頃、やはり、一人生き残った滝本軍曹が配属され、宮川さんと知り合い、富屋に一緒に顔を見せるようになりました。
 昭和20年6月5日の夕方、二人は、明日出撃するため、富屋へ別れにきたのです。
 娘たちは、出撃の鉢巻きを贈り、話もつきません。帰りがけに宮川さんが娘達に、「明日の晩9時に、ホタルが2匹入ってくるから、中に入れてやってね」と言いました。
 翌日は天気が悪く、富屋の人達は、案じていましたが、夜8時頃、滝本さんが現われ宮川さんは行ったという。2機並んで飛び立ったが、雨雲にさえぎられ、帰ろうと合図しました。宮川さんは、「お前は引き返せ」と、別れの合図をし、雨雲の中へ飛び去ったのです。娘達は、宮川さんの気持ちが、痛いように伝わってきました。
 その時、一匹のホタルが天上にとまり、時計を見ると、9時でした。宮川さんが言った時刻と何秒も違いません。店にいた隊員もよってきて、滝本さん達は、ホタルを見ながら、宮川さんの思い出を話しました。ホタルは、話を聞いているようでした。               
 「宮川さん、やっぱり帰ってきたんじゃねえ。」
 おばさんは、ぽつんと言いました。
   日本むかしばなし 23
     ジェット機とゆうれい 日本民話の会 金沢祐光 絵  ポプラ社刊 
                                         
最後の、おばさんのつぶやきが、悲しく、何とも言えません。多くの人達の犠牲でつかんだ平和を、私達は、無駄遣い、浪費していないでしょうか。
 
 
                                         
戦争の話から離れ、盛夏、真夏に怪談話を一席。 
むかし話にも怪談はありますが、現代っ子は、昆虫を殺しても、「電池、取り替えてよ、お母さん!」と言うそうですから、こんな話、恐がらないかもしれませんね。                
 
 
 ◆あめかいゆうれい◆   中本 勝則 著
 
 ある夏の暑い晩のこと。
 あめ屋のじいさんのところへ、青ざめた顔をした一人の女が、あめを買いにきたのです。
 それからというもの、決まったように、夜遅く、あめを買いに来ます。七日目の晩のことでした。
 「あめをください」と差し出した手に、銭はありません。いつもより、青ざた顔は、悲しそうに見えるのです。じいさんは、何もいわずに、あめをあげました。
 「どこの人だろう」と後をつけると、不思議なことに、山寺の山門まで来ると姿を消したのです。
 すると、寺の中から、赤子の泣き声が聞こえるのでした。驚いたじいさんは、和尚さんに訳を話すと、まだ新しい墓にじいさんを連れていったのです。
 先日、赤子を身ごもったまま女の人が亡くなり、それがこの墓だというのです。掘り出してみると、棺桶の中で、玉のような男の子が、母の胸にしがみつき、見れば男の子は、あめをにぎっているではありませんか。じいさんが売ったあめでした。
 昔、死んだ人には、一文銭を六枚、手に握らせ墓に埋めたそうです。死んだら渡る「三途の川」の渡し賃でした。しかし、母親の手の中には、六文銭はなかったのです。
 和尚さんは、泣いている男の子を抱き上げて、「母さまは、わしが供えた銭で、毎晩、お前のために、あめを買いに行ったのだ」と言って、静かに念仏を唱えたのでした。                     
    海ぼうず  松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
                             日本民話の会・編  国土社刊 
 
妖怪やお化けの話は、たくさんあります。幼児用に、怖くない話が多いですから、お子さんが興味を持ったときは読んであげましょう。無理なく、勧善懲悪を教えるように構成されているからです。
 
     ( 次回は、「お月見です」についてお話しましょう。)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園や保育園で、どのように評価されていますか。

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第4号
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お子さんは、幼稚園や保育園で、どのように評価されていますか。
         
前号に続き、第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタートでつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、ご家庭で培われるものです。
 
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
 
長年、幼児教育に携わり、教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影響力には、計り知れないものがある」ことです。
 
共働きが増え、子育てもご両親分担される家庭が増えています。
それでも、幼児期はお母さん方の育児の姿勢次第で、子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。それほど、お母さん方は、絶対的な力を持っています。そのことを、お母さん方自身が、強く意識してほしいと思います。
お子さんのために。
 
では、どういった子育てが集団生活への適応力を育むのでしょうか。また、育まないのでしょうか。     
 
以下「お母さん」と書いてありますが、「お母さん」を「お父さん」に置き換え、ご両親ともにチェックしてみましょう。
 
 
◆チェックシート(1)
[チェック方法] 
はいの場合[○] いいえの場合[×]
どっちともいえない場合[?]
 
1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。[  ]
2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。[  ]
3.他人の子どもはちっとも可愛くない。        [  ]
4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。[  ]
5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。   [   ]
6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。    [   ]
 
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
 
 
[1.過保護型のお母さん]
 
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも伝いますから、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集団生活への適応力にも、不十分なとこ
ろがありがちです。
 
 
[2.過干渉型のお母さん]
 
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちにくく、何かをするときに、お母さんの
指示を待つ消極的な子どもになりやすいものです。
 
 
[3.溺愛型のお母さん]
 
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見る子になりがちです。大人の前ではよ
い子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
 
 
[4.自己中心型のお母さん]
 
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活になじめず、孤立する恐れがあります。
いわゆる「自己中心型」のお母さんです。小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。いわゆる、モンスターペアレント、モンペですね。
 
 
[5.知育偏重型のお母さん]
 
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するために、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に取り組む意欲が表れにくい子になりが
ちです。お母さんは、「何回言ったらわかるの!」などの言葉が多くなるようです。
 
 
[6.付和雷同型のお母さん]
 
親が選んだ受験にもかかわらず「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」などいった怪情報、噂などに振り回され、「わが子をみてください」といった信念がないため、親子で受験地獄に陥
りやすいといえます。「○○ちゃんは、できるのに…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残すことになりがちです。
 
 
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てきましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お母さん方の心の中に潜んでいるのでは
ないかと思われる、“潜在的な欲求”を表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるかで、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のいう育児の姿勢なのです。
 
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こういったお子さんに共通しているのは、
社会性や協調性といった集団生活への適応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つ
のタイプに偏らない育児のことです。
 
 
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょう。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
 
 
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
 今回は、○か×で判定してください。
 
1.ご両親であいさつをしていますか。       [  ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[  ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。 [  ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。 [  ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。 [  ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[  ]
7.何かお手伝いをさせていますか。 [  ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[  ]
9.本を読んであげていますか。   [  ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[  ]
11.指示はきちんと出していますか。 [  ]  
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。 [  ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[  ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。   [  ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[  ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。    [  ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。  [  ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。      [  ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[  ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[  ]
 
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、いかがでしょうか。今度は、どちらともいえ
ない「?」のマークはありませんが、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
 
 
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中でご両親が心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培われ、学校側の歓迎するお子さんに育つ
ものです。
 
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題がある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
 
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書ですが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
  
 「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、この子に何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを知らなくてはならない。子どもが、今、成すべき
 こと、今、成し遂げるべきことを、自力でさせてあげることだ」
       
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社)という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できるように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こういった適正能力は育まれません。
 
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、なぜ、本学園の入学試験の難易度が高
いかがわかるからです。
 
 注 マリア・モンテッソーリ
   イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
    ウィキペディア フリー百科事典より
 
夏はこれからが本番です。夏休みになっても、通園中と同じようにタイムスケジュールをきちんと守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
 
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しましょう)

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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第55号>
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◯受験情報◯
 
■学習院初等科
学校見学会
 開催日 2024年9月7日(土)
 申込  8月下旬よりWEBから申し込み
 
■白百合学園小学校
学校見学会
 開催日  2024年9月7日(土)
 開催時間 (1)9時~、(2)10時~、(3)11時~
 申込期間 2027年7月20日(土)
  ※7月26日発行時には各回とも満席
   キャンセルが出ることがありますので、ご希望される方はこまめに確認されることをお勧めします。
  
 
 
夏休みの過ごし方(2)
 
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
 
3.観る力をつける
 
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ることで名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほどよく知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいます。
 
本物を見せてあげてください。
 
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッコってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字がついたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だからです。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と当時の舎長はおっしゃっていました。夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるからです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないからです。自分で考えたことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のとき、「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」といった子がいましたが、お父さん、お母さんはどう対処されますか。
 
「テレビのせいだ!」と怒りをあらわにする前に、とりあえず間違いではありませんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らない外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえる保護者になってほしいのです。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていくことが大切です。
 
皆さん「花火と雪だるまの似ているところ」について、子どもがどんな答えを言うのか想像してみてください。
 
さて、話を戻しましょう。
 
朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づく目が育ちます。
 
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみましょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょうか。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
 
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビン、フタがしてあって中に何も入っていないビンの実験など、興味を示すはずです。
 
磁石につくものも探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」となるはずです。砂場で磁石を入れるのも面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さないで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
 
前号で取り上げた「折り紙を磁石で持ち上げる問題」ですが、折り紙の下にクリップなどを置くと持ち上げることができます。
 
 
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
 
「絵は心の窓」ともいわれています。
 
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
 
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描いていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
 
 
5.ものを作る意欲を育てる
 
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本ですから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょうか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きません。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタになります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろと丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つです。
 
スティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみましょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズにできないと、制作は面白くないでしょう。
 
得意な子ども達は、お父さんやお母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こまめに自分で扱う機会を作っていると思います。
 
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
 
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校の入学試験で5個作らせたことがありました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、それが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いているといえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおもしろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手のようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
 
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に作ってください。
 
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれたことがありました。
     
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1になりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の基本です。「量の保存」を思い出してください。
 
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れているときなど、気分転換にもなります。
 
 
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
 
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。目標を決めて、できるだけ長くできるように挑戦させましょう。お父さん、お母さんと共に頑張ったことが試験に出れば、一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
 
加えて、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活では、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
そして、教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。
スマホをほしがる小学生に聞くと、「パパ(ママ)だって、見てるもん!」と答える子が多く、「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。
「何が面白いの?」と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲームなどすることは極力控えたいですね。
 
しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、親が手本です。
 
また、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。お父さんでもいいですね。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さんも一所懸命にやります。
 
男女問わず必修科目と考えましょう。
盆踊り大会があると思いますが、お父さん、お母さん照れないでお子さんと一緒に踊ってください。特に男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切ってあげましょう。
 
親子で「動物変身ごっこ」をしてみるのも良いですね。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意してください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことです。
 
夏休みの講習会も始まってきています。楽しく通えることが第一で、そういった雰囲気を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家庭でも楽しくできるように、うまく利用することです。
 
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的にならずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さんと共に頑張ってください。
 
 
先ほど3でお話しした「花火と雪だるまの似ている点」ですが、子どもから、「花火は消えて、雪だるまはとける。両方とも形が残らない」という答えがありました。素晴らしい着眼点ですね!
 
 
(次回は、「今年の説明会」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(3)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第38号-
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 第10章  終戦記念日、このことです   葉 月(3)
 
 
★★日本に富士山はいくつあるでしょうか★★
 
皆さんの住む街に「○○銀座」と命名されている所はありませんか。かなり、あるはずです。なぜ、全国、至る所に銀座があるのでしょうか。
 
銀座は、江戸幕府が銀貨の鋳造や発行をした役所のあった所で、明治を迎えて廃止されましたが、文明開化のもと洋風建築の商店街がつくられ、以来、東京随一の繁華街と発展し、「銀座」の名前は残ったのです。後発の新宿や池袋に押され気味でしたが、現在では1丁目から8丁目まで、大人の街として東京の観光スポットに欠かせない存在となっています。その繁栄にあやかろうと、各地の中心街の地名に用いられるようになり、そこから人のにぎわう場所を表す言葉ともなって、全国に300もの「○○銀座商店街」が生まれたのでした。
その栄光の第一号は、東京都品川区にある「戸越銀座商店街」だそうです。
 
文化遺産に登録された富士の名も、銀座と同じように全国に見られます。
いうまでもなく富士山は、山梨と静岡の両県にまたがる日本の最高峰、標高3776メートルの活火山です。宝永4年(1707年 徳川吉宗の時代)の噴火で宝永山ができて、以来、活動を中止していますが、いつ噴火しても不思議ではない、歴然とした火の山です。
 
ちなみに、日本には111の活火山があます。
 
一番多いのは北海道の31(北方領土に11)、二番目は何と東京都で、三原山から最南端の日光火山に至る伊豆、小笠原諸島に21、三番目は鹿児島で11、近畿、四国には活火山はありません。史上最悪の災害となった御岳山の噴火、霧島山系の硫黄山周辺、箱根大涌谷、桜島など、地震と同様、自然災害には穏便に願いたいものです。
 
富士山の話に戻りましょう。
 
古くから霊峰とあがめられ信仰登山が盛んで、頂上には浅間(せんげん)神社が祭られ、富士、不二、不二山、不尽山、富岳(ふがく)、芙蓉峰(ふようほう)、ふじやま、ふじのやま、富士の高根、といった名称で親しまれ、桜と共に日本のシンボルとして、世界の人々にも知られています。  
 
富士山の山頂にある浅間神社には、古事記によれば、絶世の美女といわれている木花之佐久夜昆売命(コノハナノサクヤヒメミコ)が主神として祀られています。また、富士山麓には、日蓮宗を崇める寺院があり、神道と仏教が仲良く共存しています。一神教では想像できないことではないでしょうか。
 
さて、銀座が繁栄にあやかろうと普及したものなら、富士山は、その秀麗な姿を愛する私たちの心に、いわく言いがたいやすらぎを与えてくれることから、「おらが故郷の富士」と自賛する富士の名称が、全国に生まれたのではないでしょうか。 
北は北海道から南は鹿児島まで、全国各地に富士の名山ありなのです。
 
おらが故郷の富士を紹介しておきましょう。
 
蝦夷富士(羊蹄山)標高 1,989m
   北海道には、この他に富士に似た山が16山あります。          
 
津軽富士(岩木山)標高 1,625m
   津軽の人々は、岩木山こそ日本一の美しい山で、本家を「駿河富士」と呼ばせたい思いがあるそうです。         
  
南部富士(岩手山)標高 2,038m
   静岡県から見た富士山に似ており、片側が削げているように見えることから南部片富士ともいわれています。   
  
吾妻富士(吾妻山)標高 1,707m
   浄土平のシンボル、別名吾妻小富士山、本家と同様、摺り鉢状の火口には水はたまっていません。初めて訪れたとき、山頂から見上げる一切経山は、霧がかかり、地獄のような姿を見せてくれました。
  
榛名富士(榛名山)標高 1,391m
   榛名山中央にある火口丘で榛名湖の東にそびえ、湖畔に映る姿は美しく、頂上にある神社は縁結び、安産の神として信仰されています。
 
信濃富士(黒姫山)標高 2,053m
   黒姫山は妙高、戸隠、飯綱、斑尾山と並ぶ信越五山の一つで、野尻湖へのびた裾野には世界中から集められたコスモスが咲く黒姫高原があります。 
   
伊豆富士(大室山)標高 581m
   お碗を伏せたようなやわらかな曲線の山で、山麓には35種3000本の桜を栽培した「さくらの里」があり10月から翌年5月まで咲いているそうです。  
 
八丈富士(八丈島 西山)標高 854m
   ひょうたん型に似た八丈島の北川にそびえる伊豆七島の最高峰、晴れていれば、ご本家を眺望できます。
  
近江富士(三上山)標高 432m 
   湖国のシンボル、俵藤太の「百足伝説退治」で知られています。   
  
都富士(比叡山)標高 848m
   天台宗総本山延暦寺のある山で、西側の宝が池公園から見ると「ふるさと富士」に見えます。     
  
有馬富士(角山)標高 374m 
   北摂・三田(さんだ)八景の一つで、「有馬富士 ふもとの海は霧に似て波かと聞けば 小野の松風」と花山法皇が詠んだ花山院からの展望が絶景。
     
伯耆富士(大山)標高 1,711m
   鳥取西部にある火山、中国地方の最高峰。中腹に大山寺があり伯耆(ほうき)富士、出雲富士ともいわれています。
  
安芸富士(広島 似島)標高 278m
   広島市の沖に浮かぶ似島で、原爆投下後、1万人もの被爆者が運びこまれた島。安芸富士は8月6日を忘れません。
  
讃岐富士(飯野山)標高 421m 
   台形型の代表である屋島、奇峰型の代表五剣山と共に香川県の山の典型。  
 
小富士(愛媛 興居島)標高 282m 
   霊峰富士を思い切って縮小すると、こうなるという見本のようなミニ富士で、興居島「ゴゴシマ」と読みます。
  
筑紫富士(浮岳)標高 805m
   浮岳は、越前と肥前を分ける背振山地の西端にある山で、唐津焼きで有名な唐津側から見ると富士の形に見えます。
  
豊後富士(由布岳)標高 1,584m
   日本を代表する温泉地湯布院町にあり、西峰で360度の展望を楽しめ、独立峰のため風が強く、冬は霧氷の名所として知られています。
 
薩摩富士(開聞岳)標高 922m          
   三方を海に囲まれた裾野がきれいな山で日本百名山の一つ。特攻隊員が目に止めた最後の内地の山。
 
 
インターネット等で検索すると、標高2000メートルから300メートルに満たないミニ富士まで、四季折々の富士の山を見ることができます。いずれも見慣れたコニーデ、円錐状の山で、あるものだなと感心してしまいます。
 
富士山の語源は、日本語説、アイヌ語説、南方語説などあり決め手はないそうですが、日本語説は、「『万葉集 巻3』の山辺赤人が詠んだ富士の歌に『不尽山』と書いてあるところから、永久に尽きることない、千古万古にそびえ立つ山という意味を込めて、あて字をしたものであろうと解釈する説」だそうです。
 
  田子の浦うち出でて見れば真白にそ 不尽の高嶺に雪は降りける
                         万葉集巻3(318)
(「つい誰かに話したくなる雑学の本」P65 講談社文庫 刊 より要訳)
 
 
 
(次回は、「8月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 

【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第3号
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
 
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年齢にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱の5つが基本といわれています。
 
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
 
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児になりがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
 
下に20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけないということではありません。
 
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室の新学期が始まる、今年の11月を目
安にして頑張ってみましょう。
 
目的は、自立心を養うことです。
 
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られることもあるからです。
 
 1.毎朝一人で起きられますか。
 2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
 3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
 4.衣服の着脱はできますか。
 5.ボタンの掛け外しはできますか。
 6.食事は一人でできますか。
 7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
 8.食事に時間はかかりますか。
 9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやティッシュペーパーを使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かた結び)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝、決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
        ※は無理をしないことです。
 
3の洗髪は、幼児には大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけてすばやく洗ってあげると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰ってきたわが子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからやらせなかった場合が多いものです。
 
7の箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に集団生活でも最も大切なことです。
 
立教女学院小学校の説明会で以前、「今年も箸を使うような問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っているのではなく、生活習慣としてみせていただきます」とお
っしゃっていましたが、箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てていますから、お父さん方、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる大切な適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はここにあるのです。
 
11は幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見せることが大切です。
インフルエンザの予防のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な習慣です。
 
13の整理整頓ですが、男の子は苦手な場合が多いですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるようになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けていると、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいます。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いものです。
 
文句を言う前に、なぜできないのか、その原因を考えてあげましょう。
 
我が家の長男も片付けが苦手でしたが、長女が「こうするのよ!」と言ってはやらせていました。女の子は、小さい時からお母さんをしっかり観察して、真似をしていますね。ままごと遊びをしているお子さんを見て、赤面することはありませんか(笑)。
 
そして、お父さん方に一言、「置きっ放しにしないで!だらしがないんだから」などとお母さん方から苦情が出ていませんか。出ている場合は、反省してください。
 
お母さん方へも一言。お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わないでください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
 
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。
言われたお父さんより、聞いている子ども達の方が、大いに傷つくことを忘れないでください。
同様に、お父さん方、お母さんに乱暴な言葉を投げつけるのは、やめましょう。
 
14は男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
 
15のこういった手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るといった作業は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるのです。
 
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への適応力を育むもとにもなっているので
す。
 
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親が率先して行うことで、きちんと身に
つくものです。
 
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定しています。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
 
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
 
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った同じ年の子ども達の中に入り、初めて会った先生の言うことを聞き、適切に対応できるか」を判定されることであり、頼りになるのは
自分自身だけで、誰も助けてくれません。
 
「子離れできない保護者」「お母さんやお父さん離れのできないお子さん」では、入学試験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
 
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といっているのは、「適応能力」が身についているかを知りたいからです。
 
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むことになるのです。
 
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視することは、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと思います。
 
もうすぐ夏本番です。お子さんの健康管理には十分に気をつけてください。
 
   (次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第54号>
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☆説明会等情報
 ≪白百合学園小学校≫
   学校見学会
    日  時:9月7日(土)
    申込方法:WEBからの申込
    申込期間:7月20日(土)9時~
     ※詳しくは学校のHPをご覧ください。
 
 
 
夏休みの過ごし方(1)
 
 
東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、学校によっては2ヵ月半です。「夏を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否の鍵があるといっても過言ではありません。
 
大切な日々を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。
うがい、手洗い励行、お子さんだけではなく、ご両親こそ率先垂範を。
 
保育園の場合は、日々の生活は変わりませんが、幼稚園の場合、夏休みになると、生活のリズムが狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリハリのある生活を送りましょう。ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余裕を持って、計画を立てることです。
 
遊び時間もきちんと配慮してあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のようです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
 
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることです。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応できません。
 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。
 
一所懸命に頑張る意欲や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さんのリフレッシュにも役立ちます。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が不足しがちです。受験一色になると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、それは間違いです。
 
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも歓迎されません。行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でもあるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
 
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が子どもの遊ぶ相手や時間、内容も全て管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。
 
遊びを通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを忘れないようにしてほしいのです。
 
任期満了前に辞任し、現場の教師に復帰した慶應義塾幼稚舎の加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で「5歳のわが子を受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃっていました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
 
ここで一言。
 
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を先生に伺っておきましょう。
 
家族から離れて生活した時、今まで気づかなかったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉、自由放任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあげましょう。
 
特に、過干渉になりがちな方は、口を挟む前に「1,2,3,4,5,6」と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えていることに気づいてほしいのです。
 
この「6まで数える」というのは、感情的になりそうになったときのアンガーマネジメントとしても知られています。
 
 
 
★家庭でできる具体的な受験準備 
 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われるでしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
<1> 聞き取る力をつけるには
 
本を読んであげましょう。
 
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話を聞かなければ、何もできません。
 
本を読むことを通して、耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業がフル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。
一人になったとき、本を見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
 
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきます。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を説明会で最初に力説されたのは、平成14年に就任した立教小学校の田中司校長(当時)でした。
 
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげましょう。言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言葉のキャッチボールを楽しんでください。
 
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中先生でした。含蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
 
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
 
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持ってきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びとして、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
 
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話せるからです。そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っていることを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手は、二の次と考えることです。
 
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかしら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
 
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついてくるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
 
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始めます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげましょう。
 
 
<2> 考える力をつける
 
最初のころでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかいてありますから、数感を養うすぐれた教材です。
 
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきます。これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではないのですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
 
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いものなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのように数えていますか。
(1)1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
(2)2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
(3)3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
(4)4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
(5)5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
(5)は最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえるのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
 
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、(2)からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。
これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応できます。
 
15の場合、10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、それに余った1を加えれば15となることを教えます。
 
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、(3)、(4)にも取り組みたいのですが、(3)をマスターできれば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理をさせないで下さい。
 
そして、(5)の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわかります。いきなり(5)の数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげましょう。
 
大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわかります。
 
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわかります。
 
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずです。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□
         □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねることで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習できます。
 
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となりがちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分転換にもなります。 
   
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える夏休み期間にこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
 
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習(2)」についてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(2)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第37号-
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 第10章 終戦記念日、このことです  葉 月(2)
 
 
★★なぜ、鳩は平和のシンボルなのでしょうか★★
 
神社、仏閣、さらに大きな公園には、なぜか鳩がいます。
いないと何か物足りない気がする不思議な存在でしたが、最近では、糞害などで問題になり、駅などでは「餌を与えないで!」といった看板が目立ちます。
しかし、オリーブの枝をくわえた鳩は、依然として、平和のシンボルとなっています。
 
なぜ、鳩なのでしょうか。
 
事の起こりは、聖書物語でおなじみの「ノアの方舟」なのですから驚きです。
   
 「人間の邪悪さにあきれた神エホバは、大洪水を起こしてすべてを一掃しようと考えました。しかし、正しい人、ノアだけは救おうと、神は彼に方舟をつくるように命じました。
  ノアは人々に馬鹿にされながら巨大な方舟を作り、そこに家族と動物のつがいを乗せました。やがて神が予告したとおり大雨が降りはじめ、陸地はすべて海に沈みました。          
  数日後、水が引いたことを確かめるため、ノアはまずカラスを放ちました。
 しかし、カラスはどこにも羽を休める場所を見つけることができないまま戻ってきました。
  それから一週間後、ノアは鳩を放ちました。やがて鳩はオリーブの小枝をくわえて戻ってきました。そこでノアは洪水が引いたことを知りました」
 
この物語から、「鳩+オリーブの小枝=平和」という図式ができあがったのである。そして、「オリーブの小枝をくわえた鳩」が平和の象徴として世界中に広まったきっかけは、1949年にパリで開催された「国際平和擁護会議」に、パブロ・ピカソが鳩のポスターを描いたからだといわれている。
 (「今さら誰にも聞けない555の疑問」    平川 陽一 編 株式会社 廣済堂出版 刊 P348)
 
歴史に「If」はありませんが、しかし、あえて「もしも」です、最初に栄誉ある偵察の任務を与えられたカラスが、オリーブの小枝をくわえて帰還していれば、カラスが平和の使者として、君臨していたことになります。
 
でも、悪食のカラスには、オリーブの小枝は似合いませんし、イベントなどで鳩のかわりに真っ黒なカラスが一斉に飛び立つのでは、黒い稲妻のようで、何やら不吉なムードに包まれそうです。
 
鳩は、一時、情報を伝える貴重な鳥として、脚光を浴びた時代がありました。
伝書鳩です。
足に情報を括り、さっそうと目的地へ向かった、貴重な鳥でもあったのですが、電信技術の進歩にはかなわず、いまでは引退し、伝書鳩レースとして、昔の面影を残すだけになりました。帰巣本能を利用したものといわれていますが、そのメカニズムは、解明されていないそうです。 
 
しかし、まだ、主役として活躍している鳩もいます。手品で使われている、あの鳩です。マジシャンの使う白い小型の鳩は銀鳩と呼ばれ、観賞用としても人気があるそうです。
 
豆知識を一つ。
 
以前、五輪憲章にある開会式の項で「聖火への点火に続いて、平和を象徴する鳩が解き放たれる」と記載されていました。ところが、ソウル五輪で、聖火台で羽を休めていた鳩が焼け死んでから、その文言は削除されたそうです。
 
ところで、鳩の鳴き方ですが、実際に聞いてみると、「ズズーポッポー ズズーポッポー」と妙な鳴き方です。これを「ポッポ ポッポ」と表現したのは、童謡「鳩ポッポ」で、作詞は東くめ、作曲は瀧廉太郎、明治23年(1899)のことでした。それまでの童謡は、文語体で難しかったのですが、子どもが楽しく歌えるよう口語体にした童謡の第1号だそうです。現在、ほとんど歌われていません。
「えっ」と思うかもしれませんが、現在よく歌われている ♪ポッポッポ 鳩ポッポ♪は「鳩」という題名で、この歌とは全く違う曲です。「鳩ポッポ」は、音は悪いですがYouTubeで聞くことができます。
   (大人の雑学 日本雑学研究会編 幻冬舎 刊P225より要約)
 
 
 
★★海水浴は治療の一種だった!★★
 
昔から、夏になれば、川や海で泳ぐものだと思っていましたら、これは、とんでもない間違いだそうです、ご存知でしたか。そういわれてみれば、時代劇で、子どもたちが泳ぐ姿を見たことがありません。「水練」といって武芸の一つでした。こういうことだそうです。
 
 海水浴は、病気を治す方法の一つとして始まりました。はじめは海に入っても泳がずに、波打ちぎわで遊ぶだけでした。海水の塩分が体を刺激し、食欲が出て体重が増えるので、健康にいいといわれていたのです。1885年に神奈川県の大磯に、日本で最初の海水浴場が作られて、次第に泳いで遊ぶ海水浴となりました。
(心をそだてる 子ども歳時記12か月 監修 橋本裕之 講談社刊 P64)
 
 
 
★★なぜ、海の水は塩辛いのでしょう★★
 
それでは、海の水が塩辛いのにも理由があるのでしょうか。
 
有史以前の地球は、火山が爆発し続ける、灼熱地獄でした。やがて火山活動も沈静化し、豊富な水から植物が生え、動物が生息し、人間も地球の住民として存在するようになったのです。火山活動により、いろいろな物質や鉱物が、地上にばらまかれましたが、塩分もその一つで、地表からしみ込んだ塩分や岩石に含まれている塩分が雨に流され、河川の水に溶け込み、海に流れ着いたために塩辛くなったのです。
 
この海水ですが、ではどこから出てきたのでしょうか。
 
 海水ができたのは、今から38億年前、地球上に生物(バクテリア)が生まれたころで、地球誕生から約7億年たっていました。
 当時の海水は、塩酸を含む酸性で、岩石に含まれるカルシウムやナトリウムを溶かし、ナトリウムは海水中の塩素と一緒になって食塩になりました。
 海水の成分はその頃から現在までほとんど変わっていません。
  (「雑学特ダネ新聞 読売新聞大阪編集局 著 PHP研究所刊 P283)
 
最近の説では、溶岩は地球の内部にあるマグマがかたまったもので、その内部には10%ほどの水が含まれており、それが火山活動の時に地表や海に吹き出し、38億年かけてしみ出した結果、今の海になったそうです。
 
当時から成分は変わらないそうですから、驚かされますね。
人間は、生物の生態系や地形などを、地球に相談することなしに変えていますが、しっぺ返しを食うことはないでしょうか。
 
ところで、海水が太陽に温められ、蒸発して雲となり、それが雨となって地上に戻ってくる原理を知ったとき、「なぜ、雨は塩辛くないのかなぁ?」と母に尋ねたところ、塩水を入れた鍋を七輪(土製のこんろ)に乗せて沸騰させ、その蒸気を割り箸にあて、ついた水滴をなめさせてもらったことを覚えています。まったく辛くはないのですが、その割り箸で鍋の中の湯につけて口へ運ぶと辛いのです。塩分は海に残り、水だけが蒸発することがわかりました。
 
科学の話はここまで。
 
「海水が、どうして辛いのか」と、その経緯を語るおもしろい民話が残されています。図書館の紙芝居で見たのですが、廃館されてしまい、著者と出版社がわかりません。確か、青森から沖縄まで、広い範囲で残っている民話ではなかったかと思います。四国の場合は、阿波の鳴門となって、今も回り続けているとなっていたような記憶があるからです。
 
◆塩吹き臼◆
 金持ちで欲張りの兄と、貧乏で正直な弟がいました。
 ある年越しの晩、弟が兄のところへ米を借りにきますが、断られます。家に帰ろうと山道を歩いていると、白いひげを生やしたじいさんに会い、尋ねられます。
  「この夜ふけに何をしているのだ」
  「年神様に備える米がない」
 といったところ、小さなきび饅頭をくれ、こういったのです。
 「そこの森の神様のお堂の裏にいくがよい。そこに穴があり、住んでいる小人が饅頭を欲しがるから、石の引き臼となら交換してもよいといいなさい。必ず、欲しがるから」
 そこで、弟は出かけていくと、小人はしきりに饅頭を欲しがり、二つとない宝物だが仕方がないといって、交換したのです。もと来た道へ引き返してみると、まだ、じいさんはいて、こういったのです。
 「その引き臼を右に回せば欲しいものが限りなく出てきて、左に回すと止まるものだ」
 家に帰って、むしろの上に臼を置き、
 「お米よ、出ろ! お米よ、出ろ!」
 といいながら右に回すと、米が出てくるではありませんか。
 そこで、餅や塩鮭などを出し、よい年越しをしたのです。
 翌日には、屋敷や土蔵、お祝いの料理やら酒を出し、親戚や知り合いを招き、盛大な祝い事をしたのでした。驚いた兄は、これには何か訳在りと探りを入れ、石臼の秘密を見つけ、盗み出したのです。兄は、遠くで長者になろうと船で逃げ出します。途中で腹が減り、臼と一緒に盗んできた菓子や餅を食べたのですが、甘いものばかりなので、塩気が欲しくなりました。そこで、「塩、出ろ!」といって臼を右に回すと、塩があふれ出てきました。これで十分だと思い、止めようとしましたが、その方法がわかりません。臼は、勝手に回り続け、塩でいっぱいになってしまった船は、兄を乗せたまま、海の底へ沈んでいったのでした。臼は、今も続けて塩を出しているので、海の水は辛いのです。
 
こういった話であったと思います。
金持ちだが欲張りの兄、貧乏だが正直な弟も、むかし話の約束事ですね。
よく似ている話が、グリム作の「うまい粥」です。
塩の代わりに出すものはお粥で、止め方がわからず困り果てて、持ち主に返す結末が異なっています。
 
  (次回は、「日本に富士山はいくつぐらいあるでしょうか」 などについてお話しましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>先手必勝といっても、あおっているのではありません

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第2号
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先手必勝といっても、あおっているのではありません
             
創刊号を含めて10月まで20回近く配信できますが、この間に家庭でやらなければならないことをしっかりと行い、身につけることができれば、11月から始まる幼児教室の新年長クラスでの
学習は、お子さんにとって楽しい教場となるはずです。
 
これから6つのことについてお話しますが、どれから始めるかといった優先順位はありません。
 
子ども達は幼稚園や保育園で、国語、算数、社会といったように、教科別に時間を区切って学習しているわけではありませんが、あらゆる事柄に、先生や友達と様々な関わりを持ちながら学んでいますから、ご家庭でも臨機応変に取り組んでいただきたいと思います。
 
★お子さんは、自力でどのくらいのことができますか。
 基本的な生活習慣のことです。
 朝起きてから夜寝るまで、お母さんはどのくらい手を貸しているでしょうか。
 「自力でできることがたくさんあるお子さんの知的な能力は高い」といわれています。
 また、3歳過ぎてお子さんのやっていることを見て手を貸し、口を出すのは、過保護、過干渉の育児といわれ、お子さんの自立を妨げます。
 皆さん方はいかがでしょうか。
 
★お子さんは幼稚園や保育園へ通うことを楽しみにしていますか。
 社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
 光塩女子学院初等科の説明会では、社会性のお手本はご両親とおっしゃっていました。
 「少し元気がありすぎるようですね」などといわれていませんか。
 「元気な子と無作法な子は違う」「明るい子とけじめのない子も違う」ともいわれていますが、お子さんはいかがですか。
 
★お子さんはお父さん、お母さんの目を見て話を聞き、話をしていますか。
 話の聞ける子は相手の目を見ていますが、その瞳は輝いています。
 話をする子の表情は、いつも楽しそうです。
 幼稚園や保育園、外から帰ってきたときに、「ママ、あのね!」と話しかけてきますか。
 そして、きちんと聞いてあげていますか。
 後で詳しくお話ししますが、「小学校の入試でもっとも大切なこと」と覚えておいてください。
 
★折り紙やあやとり、点図形やお絵描きに興味を持っていますか。
 色を塗る、紙を切る、折り紙を折る、紐を結ぶ、糊で貼る、箸で摘むなどの手作業は、その年齢にふさわしい発達を遂げるもので、その時期を逃すと苦手意識を持ち、手をださなくなると
 もいわれています。
 また、点図形は、書写の基本練習にもなっており、多くの学校で出題されている訳は、ここにあるのです。
 絵は心の窓ともいわれ、描かれた1枚の絵からお子さんの情緒の発達状態もわかります。
 入試問題に絵を描かせる学校が増えていますが、絵はスケッチブックとクレヨンを与えて、すぐ描けるものではありません。 
 また、「手は第二の脳」ともいわれ、知的な能力の発達と深い関わりを持っています。
 お子さんは、「塗る・切る・折る・結ぶ・貼る・摘む・書く・描く」といった手作業に興味を示していますか。
 
★数量に関して直感力は働きますか。
 入学試験というと数量の問題が重視されているようですが、子ども達は数字を使い加減乗除で答えを出すわけではありません。
 直感で多少を見極めることから始め、○を使って答えを求めます。
 お子さんに、クッキーが3つと5つの入った皿を見せ、「多い方を食べていいですよ」といったとき、数えることなく5枚のクッキーの入った皿を取ることができるでしょうか。
 また、容量が同じ2つのコップの一方に、少しだけ多く入れておき、「多い方を飲んでいいですよ」といったとき、さっと多い方のコップを取れるでしょうか。
 これは、決して卑しいことではなく、「about(アバウト)おおよその感じ=直感力」で判断した結果で、数量に関しては、まず、こういった直感力が働くことから始まります。
 お子さんは、いかがでしょうか。
 
★5分も歩かないうちに「おんぶ!」などといいませんか。
 現代の子は、スタミナ不足といわれています。
 なぜ、赤ちゃんは「はいはい」を繰り返し、繰り返しするのでしょうか。
 ご存知のように、やがて歩き始めるための筋肉の鍛錬になっているのです。
 幼児期には、敏感期といわれる「もっとも著しく発達する時期」があります。
 言葉の敏感期を逃すと、映画に出てくる動物に育てられた子供のように話のできない人間になってしまいます。
 筋肉も同じで、身体全体を使い、遊ぶことで発達するものです。
 小学校に入ると余分なエネルギーをかけない省エネ運動を覚えますが、幼稚園、保育園時代は全力で身体を動かします。
 お子さんは、部屋で一人だけで遊ぶ省エネ運動に入っていませんか。
 
以上6つの項目を挙げてみました。
 
問題がなければ、ご両親の育児の姿勢にぶれはなく、お子さんは順調に育っているといえます。
 
「入学試験を控えている子どもにとって、知的な能力を鍛える項目がないように思えますが」と心配なさる方もあるかもしれません。
 
ご安心ください。
 
こういったことがきちんとできるお子さんの知力は、十分に発達しているものです。
なぜなら、こういったことはすべて、自力でやらなければ身につかないことばかりで、そのためには、試行錯誤を積み重ね、考え、工夫し、自発的に挑戦し、自分のものにしているからです。
 
「自分のものにする」、これは幼児が自力で身につけた知恵です。
その知恵を土台にして、知的な能力は発達していくものです。
 
お母さん方、もしくはお父さん方も得意な料理は、レシピを見ないで、調味料も計量カップを使わずに、作っているのではないでしょうか。
試行錯誤の結果、お子さんやご家族が好む料理にできあがっているはずです。
それと同じです。
 
知的な訓練だけを先行させるのは、ともすると、その時期に必要な成長を支える、大切な手順を抜くことになり、なかなか理解できないことが起きがちで、そこから苦手意識が幅を利かせること
になるのです。
 
「プロセスの重視」、幼児の学習は育児と同様、プロセスをなおざりにすることはできません。
 
かつて桐朋小学校の説明会で、「私どもは試験といえどもプロセスを重視しています」とおっしゃったことがありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
 
来週から、6つの領域の基本的な学習のプロセスについてお話していきたいと思います。
 
  (次回は、「基本的な生活習慣」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(3) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第53号>
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建学の精神と教育方針の理解の仕方(3)
 
 
今回は、地元千葉県の私立小学校を取り上げます。国府台女子学院小学部は、前回第52号でお話ししましたので、4校について紹介いたしましょう。
 
 
≪ 日出学園小学校 ≫
 
教育理念と目標 
 
   ここから大きく育つ、生きる力。
   自主性  向上心  想像力  好奇心
 
  小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、人間教育の実践をしています。
 
  「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断できること。
  「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組むこと。          
  「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。 
           
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校の目標です。具体的な内容に関しては、荻原巌校長のあいさつを参考にしてください。(現掲載との相違点があるかもしれませんが、本質に変更はありませんので、ご承知おきください。)
         
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市川在住の有志によって創設されました。
その中心となった青木要吉は若き日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点を置いた私塾的な雰囲気を持つ寺子屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いています。
当初は幼稚園、小学校のみでしたが、昭和22年中学校を、25年には高等学校を開設して現在に至っています。
 
人間形成の土台づくりは、児童期の体験数で決まると思います。小学校では、学校行事での関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、その都度いろいろなことを考えて前に進んで欲しいと願っています。そのために、異学年交流・異年齢交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につけていってほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注いでいます。図書室には現在約54、000冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」ともいわれているように、正しい「書写力」を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変え、弁当をネットで注文し、購入できるシステムをはじめました。
また、令和4年度、アフタースクール「ひのキッズ」が開校しました。
注文弁当とアフタースクール、働くお母さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。
なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、HPの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
令和6年度からは進路指導部を作り、中学受験に対する応援体制が強化されました。
 
 
 
≪ 聖徳大学附属小学校 ≫
 
2021年度から、高校(光英VERITAS中学校・高等学校)までの共学となりました。それまでは、男子は中学受験する必要があり、かなりの進学実績をあげていましたから、充実した進学体制をあげても良いのではないでしょうか。幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことがあります。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、千葉県の私立小学校でも学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「聖徳アフタースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょう。お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。
 
朝の登校時も車での送迎ができるのですが、お父さんと子どものコミュニケーションの場になっているという声も聞こえる、と説明会でお話がありました。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」としたそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように期待するかをまとめてみましょう。
 
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧をしている女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのではないでしょうか。
 
 
 
≪ 千葉日本大学第一小学校 ≫
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になり、大学までの一貫教育校です。共学が自然で、受験を考えなければ16年間のゆとりのある教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約70%、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでいます。(令和6年7月のHPより)
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わたしども流に、心を表す言葉として考えると、
 真は「飾り気のない、偽りのない心」
 健は「すこやかな精神」
 和は「おだやかな心」
となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「学習習慣の定着と基礎学力定着」とあります。その一環として「自学」に1年生から取り組んでいることも特長です。
また、創立以来、英語教育に力を入れています。ステップアップタイムの活用などで、6年生「全員」が実用英語技能検定5級合格を目指しています。高学年では英語日記にも挑戦し、5年生では英語劇も行えることも大学付属ならではでしょう。
 
大学付属ならでは、といえば、近年大学との連携も積極的に行っており、これも魅力の一つとなっているようです。
 
そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょう。
こういったことからまとめてみましょう。
 
 
 
≪ 昭和学院小学校 ≫
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育)を掲げていますが、開校以来、少数の児童(現在は1学年3クラス)に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には「明敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明されています。
 
山本良和前校長は、就任の挨拶でこうおっしゃっていました。
 
「『人が未来』という言葉が本校の教育観を表した言葉です。人が、つまり、子どもが未来。今日の学びが子どもの未来を作っていくんだという思いで取り組んでいます。」
 
また、教育目標である「高い学力とやさしい心」については、
「高い学力というのは所謂受験のための学力ではなく、未知のものに立ち向かっていく力、『学ぶ力』です。 <中略> 悩みながら試行錯誤した結果、これまでできなかったことができた瞬間、全ての子どもは必ず笑顔になります。
この笑顔こそ、学校教育で目指すべき、実現すべき子どもの姿だと我々は考えています。」
「『やさしい心』とは、相手の事を自分事として捉え、一緒に感動したり、助け合ったり、分かち合ったりできることです。道徳教育として、全ての教育活動の中で、人の気持ちがわかる、共感するということを大事にしています。」とおっしゃっていました。
 
青木伸生現校長も同様のことをおっしゃっていました。
 
「明敏謙譲」、例によって、育児の姿勢としてわたしども流に考えるとこうなります。
 
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の読書教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないでしょうか。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついていけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考えるのも当然ではないでしょうか。
 
それについて鈴木祐子元校長が以前、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちまちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する差はなくなります」
とおっしゃっていましたので、心配ないようです。
 注 ESL(English as a Second Language)
     英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには12講座の内、英語の授業が3講座設けられており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではないでしょうか。本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、HPを見ると進学状況を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りしておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っていても、あえて言う必要はありません。
 
なお、令和3年度入試から105人募集に増え、それに伴い、校舎(ウェスト館)が増設されました。木造の校舎で、入ると木の良い香りがします。
 
 
3回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎません。
こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思います。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立てて、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張ってください。
 
 
 (次回は「夏休みの過ごし方」を予定しています。)
 

 
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