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めぇでるコラム 4ページ目

2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 2

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第8号
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(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 2
 
前回お話しましたように、話の読み聞かせは、「語彙」を増やし、「イメージをふくらます空想力や想像力」「話を聞く力」「構成力や思考力」「表現力」「物事に取り組む意欲」といった能力の開発に、はかりしれない影響を与えています。
しかも、誰かに命令され、要求されて、やっているわけではありません。
子どもは、自発的に、積極的に楽しみながら能力を培っているのです。
 
これだけではありません。
さらにもっとすばらしい能力の開発に貢献しているのです。
しかもそれは、小学校の入学試験で、重要なものばかりなのです。
 
「竜宮城って面白い所だな。絵に描いてみようかな?」
となると、絵画の領域です。
ファンタジーの世界で夢もふくらみます。
絵を描こうとする動機は純粋です。
幼児にとって、この「……かな?」と思ったときが、好奇心の芽を育む、絶好のチャンスなのです。
「小学校の入学試験に、絵を描かせる学校があるから、絵画教室へ行きましょう」
 
これでは、動機が不純です。
 
絵を描くことが好きになれるとは思えません。
これは何も絵だけではなく、ピアノや英会話といった早期教育にも同じことがいえるのではないでしょうか。
応接間の飾りものになっているピアノを見かけますが、ショパンやリストの名曲を弾いてほしいと、怒っているかもしれませんね。
 
ところで、最近、絵を描くことを、嫌がる子どもが増えていると聞きます。
その原因は、想像力が培われる前に、大人の求める望ましい上手な絵を描くことを、期待するからではないでしょうか。
感性が磨かれていなければ、絵は描けません。
 
[(環境+五感が受けた刺激)×(好奇心+観察力)÷そしゃく力=描かれた絵]
 
妙な式らしきものですが、冗談です。
専門家の先生方に、叱り飛ばされますね。
でも、感性は、子ども自身が、与えられた環境の中で、自らの力で養ってきた自前の性能ではないかといいたいのです。
親が、注文をつけ始めると、面白くない絵になると思います。
そこには、子どもにはない、大人の感性が入り込むからではないでしょうか。
どなたがおっしゃったのかわかりませんが、大人の手垢のついた絵です。
 
まだ、あります。
 
昔話をはじめ、子どもの読む本の多くは、善いことを勧め、悪いものを懲らしめる「勧善懲悪」から成り立っています。
正義は、必ず勝ちます。
倫理、道徳、善悪について、襟を正して教えなくても、きちんと学習しています。
いってみれば、お子さま用の「修身、道徳講座」です。
「情操教育の基礎、基本」を学習しています。
このことです……。
 
これからは、わたしども流の勝手な解釈ですから、深く詮索なさらずにさらっと読み流してください。
 
3歳頃から、自立が始まります。
そして、毎日、いろいろな経験をしながら、さまざまな感情も培われてきます。
これが、情緒です。
未分化であった情緒が、5歳頃から分化されます。
 
今までは、いってみれば、玩具箱の中に乱雑に入れられていた玩具が、「自動車はここ」、「縫いぐるみはこっち」、「ままごと道具はあっち」というように、次第に整理される状態になるので
す。
まだ、整然とはいきませんが。
つまり、未分化だった情緒が分化され、大人にみられる情緒が現れてきます。
喜び、悲しみ、怒り、恐れ、心配、快いといった情緒です。
ついこの間までは、嬉しくても、悲しくても、お腹がすいても、泣くしか表現できなかったことを思えば、格段の進歩です。
 
ですから、いろいろな話を聞き、喜怒哀楽など心の動きを誘い起こされ、幼いなりに、自我を作っていると思います。
大胆にいえば、正しいこと、悪いことの分別を学習しているのです。
修身、道徳講座のシミュレーション学習ではないでしょうか。
 
まだ、あります。
これがもっとも大切だと思います。
 
お父さんやお母さんが感情をこめて読んであげると、子どもは真剣に聞きます。
気持ちをこめて聞くものです。
 
そこから、人の話を静かに、行儀よく聞く姿勢が身につきます。
 
これは、小学校へ入って勉強するために、きちんと身につけておきたい「基本的な学習態度、心構え」です。
話が聞けないようでは、いくら漢字が読めても、足し算や引き算ができ、九九をそらんじていても、学習効果をあげることはできません。
小学校の先生方に聞いてみると、みなさん、そうおっしゃっています。
 
それほど、話を聞く姿勢を身につけることは、大切なのです。
 
小学校の入学試験も、同じです。
大切なことですから繰り返しますが、ペーパーテストには、答えは書いてありますが、どこにも設問はありません。
話を聞いていなければ、何も答えられません。
行動観察型や他の試験も同じです。
話をきちんと聞き、理解していなければ、どうにもなりません。
 
合否の鍵は、「話を聞く姿勢ができているかどうか」にかかっているのです。
 
それを、あまり本を読んであげずに、
「人の話はきちんと聞きなさいと、いつもいっているでしょう!」
恐い顔をして、厳しく、何十回いっても、無駄です。
 
子どもは、自分の好きな本を読んでもらい、静かに聞くことで、話を聞く姿勢を、意識することなく、身につける訓練になっているのです。
話を聞けない子になる原因の一つに、話を聞きたがる大切な時期に、読み聞かせが少なかったことも、あるのではないでしょうか。       
 
さらにすごいと思うのは、前にも少し触れましたが、
「言語能力を高めるためのお勉強ですよ!」
といった意識は、ご両親にも子どもにも、まったくないはずです。
自主的に、積極的に、しかも楽しく学習しています。
 
これこそ「教えない教育」のもっとも効果的な方法ではないでしょうか。      
 
「教えない教育」とは、誤解を恐れず、わたし流にいえば、「本人は勉強だと思わないのに、ものすごい勉強をしている」ことです。
何かを学ぼうとする気持ち、「学習意欲」が身につきます。
 
しつこいですけれども、まだ、あります。
 
ご両親、特にお母さんの表情豊かな、優しい語りかけが、何よりのスキンシップとなります。
ですから、子どもの好きな本をたくさん読んであげるお母さんは、子どもに慕われます。
それは、お母さんとお子さんが、同じ土俵に上がり、同じ気持ちで、物語の世界を楽しんでいるからです。
お母さん方は、こんな荒唐無稽な話などありえないと思っても、また、少し抵抗を感じる言葉があっても一切、無視して、子どものレベルに合わせて読んであげています。
 
視線は同じ高さですから、心が通うのです。
視線の高さが違ってくると、命令と忍従の関係になりがちで、そこには、教えてあげるという姿勢が表われ、子どもがもっとも嫌う母親に変身するからです。
 
しかし、一つだけいっておきましょう。
 
いくら本の読みきかせがすばらしいといっても、お子さんが興味を示さない本では、あまり効果はありません。
「少年少女 世界名作全集 全十巻」など買いそろえても、無駄かもしれませんね。
「本当は、『かちかち山』の話をしてほしかったのに……」
こういったずれは、小さいときからありがちです。
気をつかってください、無神経は駄目です。
(お断り 実際に「少年少女 世界名作全集 全十巻」が発売されていたとしても、その本とは一切関係ありません)
 
一緒に図書館へ行って、最初は、お父さんやお母さんが選んであげ、あとは、お子さんに任せてみましょう。
そして、お子さんが選んだ本は、たとえ年齢にふさわしくない幼い内容であっても、いやな顔をせずに読んであげ、自分で選べたことをほめましょう。
それから、お父さん、お母さんの勧める本を選んであげる、こういった手続きも必要です。
読書の芽は、自主的に育まれなければ、親が期待するように育たないからです。
 
また、図書館には、紙芝居がたくさんあります。
本に興味を示さない場合は、これを利用しましょう。
動画と違い紙芝居は、親子で向き合いますから、お子さんの表情がよく見え、話を理解しているかだけではなく、どういったことに感情が刺激されるか、何に興味があるかなどがわかるからです。
 
このように幼児期は、知識を詰め込み、文字や数字を使った計算を教えるより、心をこめて本を読んであげ、心の通った会話がたくさんできる環境を作るべきです。
そういう時期なのです。
 
小学校受験でもっとも重視されるのは、「話を聞く姿勢ができているかどうか」なのです。
 
そこから、ご両親の育児の姿勢がわかります。
普段から、会話が弾み、本をたくさん読んであげる環境であれば、自ずと培われてくる能力だからです。
これは、塾や幼児教室だけに任せて身につく力ではありません。
ご両親が、ご家庭で育てていくものです。
  
小学校受験の第一歩は、ここから始まり、合格を勝ち取る力となることを忘れないでいただきたいと思います。
 
まだまだ暑い日が続きます。健康管理には十分、注意してあげましょう。
 
 (次回は「数感をみがこう」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>願書の書き方

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第59号>
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◇説明会情報◇
 桐朋小学校
  学校説明会・学校体験会
  日時:8月31日(土)
   ※本メルマガ発行時点で説明会は満席、体験会は受付中
 
 光塩女子学院初等科
  日時:9月7日(土)10時15分
   ※当日8時20分から授業公開も行われます。
 
 ※満席の場合でも空きがでることがありますので、こまめにHPを確認して
  ください。
  
 
 
★★願書の書き方★★
 
志望校も決まれば、願書の記入となります。
 
願書は、保護者の考え方や性格など、いろいろなことが浮かび上がってくるものです。
面接される先生方は、この願書を読まれて面接に臨むわけですから、いってみれば、学校側が知ることのできる唯一の情報であり、書き方によっては、それが決め手となりかねません。
志望理由やご家庭の教育方針、お子さんの性格や育児の留意点、職業、通学経路など、記入されたデータをもとに質問が始まるのですから、親としての責任は、限りなく重いものです。
 
簡潔で、的を射た表現から、面接は和やかな雰囲気で進み、お互いのコミュニケーションが成り立ちます。
逆に、要領を得ない、冗漫な表現では、悪い印象を与えかねません。
 
WEB出願の場合は問題ないですが、手書きの願書の多くは、「楷書で丁寧に記入し、使用する筆記用具は黒の万年筆かボールペン」と注意を促しています。
達筆な草書で書かれた願書は、注意を無視することになり、見た目はきれいであっても、簡単に読み切れませんから、何百通の願書を読む立場になれば、これほど思いやりの欠けた願書もないでしょう。
また、記入欄いっぱいに小さすぎる字で書き込むのもどうでしょうか。
もし、あなた自身が面接を担当する先生の立場でしたら、どういった願書を歓迎するか考えましょう。
やはり、一点一画を丁寧に、読みやすく書くことが大切だと思います。
 
また、書き慣れているからと、サインペンを使用することは避けましょう。
サインペンは水に弱く、にじんで願書を汚したり、字、そのものが消えたりしがちだからです。
 
このことは、面接資料や参考票、アンケートといったものも同様です。
 
●願書記入に関しての留意点
 
・氏名で齋(斎、斉)、澤(沢)、邊(辺)、壽(寿)など、普段、略字で書き慣れている方は注意しましょう。
 氏名の「ふりがな」は、ひらがなで書かれている場合は「ひらがな」で、カタカナの場合は「カタカナ」で記入します。
 
・現住所は、住民登録票に記載されている通りに記入します。
 やりがちなミスは、
 〔東京都新宿区○○町4ー5ー6 メゾン△△△△ ××号〕
 といった住所の記入です。
 住民登録票には、以下のように表記されているはずです。
 〔東京都新宿区○○町4丁目5番地6-メゾン△△△△ ××号〕
 
・職業は、簡潔に記入しますが、説明をしなければわからない場合もあります。
 記入欄は限られていますから、面接の折りに質問を受けることを考え、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。
 自営業の方は、年収や従業員数等を尋ねられたケースもありましたから、まとめておきましょう。
 私学はご家庭の経済力に依存しており、経済的な基盤が安定しているかを確認していると考え、的確に応じることが大切です。
 
 職業を持っている母親は不利といわれているので、書くことを躊躇されるお母さん方がいると聞きますが、これもうわさの一つです。
 学校によっては共働きのご家庭の方が多いのでは、という現状です。
 入学後の送迎や、緊急時のお迎え、学校の行事や参観授業など、きちんと出席し、協力できれば問題ありません。
 
 都内でも、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科などには学童保育があり、仕事を持つお母さん方を応援しています。
 
 ただし、緊急時のお迎えについては、東日本大震災以後、速やかに対応できることも求められています。
 学校側に不安を与える条件がなければ、専業主婦より、苦労をするわけですから、もっと自信を持ってください。
 
・通学方法、所要時間は、電車の場合は、各駅停車を利用した時間を、乗り換えがある場合は、それに要する時間、自宅から最寄りの駅、駅から学校まで歩く時間は、子どもの足でかかる時間を記入します。
 駅から学校までの時間は、学校側から○○分と指定している場合もありますので、読み落とさないように注意しましょう。
 
 通学時間は、多くの場合、ラッシュアワーを避けるようにはなっていますが、お住まいによっては、その時間帯になることもありますし、バスの場合は渋滞などから、時間がかかることもあります。
 正確な時間を知るためにも、登校時間に合わせて出かけ、所要時間を把握しておきましょう。
 乗り換えがある場合、特に地下鉄などは、迷路のような所もありますから、注意が必要です。
 
・写真は、カラーでも白黒でも可、写真屋さんで撮らなくてもスナップ写真でも可、といっている学校もあります。
 制限があるとすれば、3ヵ月以内に撮影されたもので、本人と確認できるものです。
 「○○写真館ご用達の写真でなければ合格しない」は、単なるうわさですが、気になさる方は、ご利用ください。
 ホームページに受験用の家族写真を載せている写真館がありますから、参考にされると良いでしょう。
 最終的にはご家庭の判断でお願いします。
 
・性格、長所、短所は、正直に書きましょう。
 子どもは、演技できませんから、試験場のどこかで、あらわれるものです。
 短所の表現には、十分に気をつけてください。
 「気が短くて飽きやすい」などと書かれる方はいないと思いますが、これでは、保護者として失格でしょう。
 
 「だれが、そのように育てたのか」と思われるだけです。
 
 親の愛情の伝わる表現の仕方があるものです。
 短所は、育児でうまくいかなかったところが表われているといえますし、遺伝もあると考えられますから、お子さんだけの責任ではありません。
 
・誤字や略字に注意が必要です。
 働(仂)、卒(卆)、言(云)、その他 問、職、点、第など。
 
 
願書の記入上の注意に関しては、9月から始まる説明会でお話がある学校があります。また、WEBでも公開している学校もありますので、ホームページ等でご確認ください。
 
学習院初等科、青山学院初等部では、記入例を細かく記した資料も同封されていましたが、今年はどうでしょうか。
それでも、印鑑の押し忘れや、記入漏れなどがあると注意を促していますから、記入例や注意書きにしたがって、慎重に書くべきです。
 
書き損じた場合は、修正液を使用してもよいという学校もありますが、やはり、願書は「お願いの書」ですから避けるべきで、そのためにも何部かコピーを取り、下書きをすべきでしょう。
 
WEB出願の学校も増えてきています。出願登録後に願書等のダウンロードという学校の場合は、「予備の願書を購入しなければ」ということがなくなりました。
暁星小学校も願書だけを販売していましたが、出願サイト「miraicompass」からの出願となり、学校での願書発売はしません。出願サイトの案内は、8月下旬に本校のホームページにアップする予定。今年もテーマ作文がありますが、テーマタイトル、気になるところです。
 
慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部などの願書のように、志望理由などを書く欄に線の引いてあるものは書きやすいのですが、雙葉小学校や白百合学園小学校(両校ともにWEB出願併用となり、今後変更されるかもしれません)、昭和学院小学校、日本女子大学附属豊明小学校の面接書類のように、白紙で線がなく、書く欄も広い場合は、あらかじめ鉛筆で薄く線を引き、万年筆かボールペンで記入した後、完全にインクが乾いてから消しゴムで線を消せば、字も揃い、読みやすくなります。
 
なお、こういった願書に関する情報は、昨年以前のものであることをお断りしておきます。
 
最後に、「夫は字が下手なものですから、私が書いた方がよいでしょうか」といった質問をよく受けますが、一点一画、丁寧に書けば、決して読みづらい願書にはならないと思います。
また、「父親が書かなければ合格しない」ともいわれているようですが、これもおかしな話で、どうやら、願書の最後のところなどに、雙葉小学校のように「記入者」と書かれているところから、こういったうわさが流れているようです。
 
「字が下手」「主人が書く」などは、どうでもよいとはいいませんが、一点一画、丁寧に書かれ、志望理由などが要領を得たものであれば、それで十分ではないでしょうか。
 
「形を繕うより心」です。
 
わが子のために心から、その学校への入学を希望されているならば、そこには、自ずとご両親の心意気が表われているはずです。
 
「願書は、ご家庭の顔」といわれる理由は、ここにあるのです。
 
猛暑が続いています。体調を崩さないように、お子さんの健康管理には十分に注意してあげましょう。入試直前講座も始まります。頑張ってください!
 
 
     (次回は、「面接について」お話ししましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です 長月(3)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第42号-
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第11章  お月見です   長 月(3)
 
  
★★江戸時代の時の数え方★★
 
何かないものかと探していましたら、やはり、ありました。
江戸時代の「時の数え方」です。当時は、午前零時、午後零時(正午)を「九つ」といい、「2時間を一時(いっとき)」とし、そこから2時間ずつ、ずらして八つ、七つ、六つ、五つ、四つという数え方をしていました。面白いことに、「九つ」から始まって、「八つ」 「七つ」と減っていくのですから、現代人の感覚だと戸惑います。しかし、これにはきちんとした理由があるのです。
掛け算の九九のお出ましです。
 
まず、鐘を9つ打つ時刻、午前零時、午後12時を「九つ」どきとして、次に9の2倍の18を打つのですが、真夜中に18も鐘を打たれては、おちおち寝ていられません。18では多すぎるので、十の位を除いて、2時間後の午前2時に8つ打ち「八つ」として、以下、
   9×3=27で、十の位を除いて午前4時に7つ打ち「七つ」、
   9×4=36で、十の位を除いて午前6時に6つ打ち「六つ」、
   9×5=45で、十の位を除いて午前8時に5つ打ち「五つ」、
   9×6=54で、十の位を除いて午前10時に4つ打ち「四つ」、
元に戻って、午前12時が「九つ」、午後2時が「八つ」、午後4時が「七つ」、午後6時が「六つ」、午後8時が「五つ」、午後10時が「四つ」、そして午前零時が「九つ」と、こういう仕掛けなのです。
 
素朴な疑問ですが、なぜ10から始めなかったのでしょうか。
その理由は、陰陽思想では十を完全な数として数の頂点と考え、十は最上のため満ち足りると次はなくなってしまう、満月が欠けていくのと同じで、九を陽(奇数)の最上、八を陰(偶数)の最上の数と考え神聖視していたことによるものです。
 
余談になりますが、聖徳太子の「十七条の憲法」は陰と陽の最上の数を足したもので、陰陽思想の影響を受けてできたと言われているそうです。
 
また、時刻の決め方も世界標準時間などない頃ですから、こういったことで決めていました。
 
 江戸の時刻は、太陽の上るのを明(あけ)六ツとして、日没を暮六ツとして、その間を六等分して昼の一刻を決める。夜は日の入りから翌朝の日の出までをやはり六等分して夜の一刻は決められた。従って、夏は日が長いので、昼の一刻が夜の一刻より実際には長くなった。
 (御宿かわせみ 16 八丁堀の湯屋 P250 平岩弓枝 著 文春文庫刊)
 
ところで、東京地方の民謡に、この時を表した「お江戸日本橋」があります。
「七つ」を現代の時刻7時と考えると、おかしな歌になってしまいます。東海道五十三次を歌った長い歌で、全部残っている資料もあるそうで、興味のある方、インターネットで調べてみてください。
 
   お江戸日本橋 七つ立ち
   初のぼり
   行列そろえて アレワイサノサ
   コチャ 高輪`
   夜明けて 提灯(ちょうちん)消す
   コチャェ コチャェ
              
大名の参勤交代の行列を表した歌で、七つ(午前4時)に日本橋を出発、「下に~、下に~」の掛け声でゆっくりと進み、高輪で明け六つ(午前6時)を迎えて提灯の火を消す、のんびりとした行列であることがわかります。正月恒例の箱根駅伝、スタートの有楽町から高輪まであっという間ですから。
歌詞に「初のぼり」とありますが、江戸時代は京都へ行くのを上りといい今とは逆になっています。当時の都は京都で、明治に東京へ遷都されて東京が都となり、東京へ行くのが上りになりました。
 
日本橋は現在のコンクリートの橋を架けてから百年以上になりますが、橋の上を高速道路が走り、窮屈で無残な姿になっています。あの関東大震災や東京大空襲にも耐えた橋であり、親柱には「東京市の守護神・獅子像」と「15代将軍徳川慶喜の揮毫(きごう)した銘板」が設置されている由緒ある橋で、もっと優しく保存してあげるべきではないでしょうか。
 
所変わって、小江戸と呼ばれる川越には、江戸時代の風情を今に残す蔵造りの家並みを見下ろすように「時の鐘」がそびえたっています。鐘楼の高さは15.9メートル、トタン屋根三層作りの木造で、階段はありますが上れません。毎日6時、正午、15時、18時の4回、時を告げ、平成4年(1996年)に環境庁(現環境省)主催の「残したい日本の風景百選」にも選ばれています。
時の鐘は、今から約400年前に創建されたといわれ、現在建っているのは4代目。明治26年に起きた川越大火災後に再建されたもので、耐震診断の結果、「倒壊の恐れあり」と判明。明治27年の再建当時の姿に戻す復元工事も実施され、平成29年1月、工事は無事終了。
                              
さて、「時」つながりで、最近、きかれなくなった落語に、「時そば」と題した噺があります。
 
ちょうど九つどきに、屋台のそば屋で勘定を払う男が、細かい銭で済まないがと、数えながらおやじさんに渡します。
「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ」
ここまできたとき男が、いきなり、時間を聞きます。
「何どきだい?」
「へぇ、ここのつで…!」
とおやじがいうと、九文目を払わないで、
「とお、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく、ごちそうさん!」      
と、九をうまくとばして、お客さんが一文、見事にごまかします。 
これをまねた男が、今度は時を間違えて、多く払うはめになる話です。
 
この噺は、関西では「時うどん」になりますが、薄く透き通った関西風の味も、こたえられません。やはり、この時の数え方も、訳ありでした。
 
「ひい、ふ、みい」は、漢字の訓読みですが、これを覚えておくと、日付の読み方に役に立ちます。
 
一日を除き、「ふつか、みっか、よっか、いつか、むいか、なのか、ようか、ここのか、とおか」となっています。十一日、十二日、十三日と音読みになり、十四日は「じゅうよっか」と音訓読みになり、二十日は「はつか」となり、幼児には、難しい読み方になっています。「ついたち」は、一月に紹介しました「十二支の話」を思い出してください。毎日、カレンダーを見ながら、「今日は、9月4日、金曜日」とやっていると、無理なく覚えらます。以前、「日づけの歌」を紹介しましたが、お役に立ちましたか。お読みにならなかった方、YouTubeで見ることができます。
 
 
 
★★防災の日★★
 
9月1日は防災の日です。
ご存知のように、大正12年(1923年)に、関東大震災が起きた日です。
「災害は、忘れた頃にやってくる」と言いますが、平成23年(2011年)に東日本大震災が起きました。当時、防災非常袋などに、飲料水や非常食、着替え、乾電池などを用意し、万が一に備えていた方は、少なかったのではないでしょうか。用意した飲料水などの消費期限(Use by date)をチェックし、想定外の災難に遭わないように心がけましょう。
 
幼稚園や小学校でも避難訓練をやっていますが、小さい子ども達は、自分で身を守るすべを知らないものです。幼稚園、小学校にいる場合は、万全の態勢で臨んでいますから心配ありませんが、一人で外にいる場合どうしたらよいか、しっかりと教えておきたいものです。
 
東日本大震災が起きるまでの学校選びは、「子どもの足で通える学校」でしたが、「子どもが安心して通える学校」ということも考慮されるようになっています。
 
私立小学校は、埼玉県は5校、神奈川県では31校、茨城県では7校あります。
千葉県は9校です。東京は、平成31年4月に東京農業大学稲花(とうか)小学校(世田谷)が開校するなど、現在では56校となっています。
なお、私立ではありませんが、令和4年に全国初の「公立」小中高一貫校として東京都立立川国際中等教育学校附属小学校が開校しました。
 
就学児童が減っている中で開校する学校側の狙いは、「安心して通える近くの学校」ではないでしょうか。「教育は国家百年の計」ともいわれていますが、地方の教育が充実するのは、長い目で見れば、わが国の教育のためにも歓迎すべきことだからです。
 
最後になりましたが、今年の二百十日(立春から数えて210日目)は、8月31日。この時季に、稲は花開き実を結びますが、台風が日本列島を襲い、農作物が被害を受けるため、お百姓さんには厄日といわれており、奈良県大和神社の「風鎮祭」、富山県の「おわら風の盆」など、各地で台風に暴れられないように、風雨を鎮めるお祭りが行われています。
 
 
  (次回は、「9月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第7号
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (1)
 
 
本を読んであげる「話の読み聞かせ」は、とても大切です。
 
動画で見る「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」などのアニメの作品は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛りあ
げる音楽や効果音まで駆使し、瞬く間に物語の世界へ誘い込まれ、楽しいものです。
 
これほど便利なものはありませんが、反面、幼児が疑問を抱いても、教えてくれない不便な点もあります。
 
幼児には、ご両親の「生」の声が何よりです。
 
5歳頃になると、絵が主役であった絵本から、字の多い絵本に変わり、話も筋道立てて進む物語になっていると思います。
 
ここで、お父さんやお母さんに本を読んでもらっていることを少し考えてみましょう。
読んでもらっているときの子どもの頭の中は、どうなっているのでしょうか。
 
絵を見ながらですから、大人が読んでくれる言葉を絵に置き換える、映像化するといった作業が、フルスピードで進んでいるので
はないかと思います。
 
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が浮かんでいるのでしょう。
ところが、聞いたことがない言葉が出てくるとストップがかかります。
「お母さん(お父さん)、オニタイジって、どういうこと?」
やさしいお母さんは、お子さんの言葉に置き換えて説明します。
そこでお子さんは意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚えて、「語彙」が増えます。
 
そして、一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツと言いながら絵本を見ています。
あれは、本当に不思議ですね。
おそらく、読んでもらった本が面白かったから、お母さんの言葉を思い出しながら確かめているのだと思います。
絵を見ながら、記憶した言葉をもとに映像を描き、イメージ化しているのです。
考え、想像しているのです、しかも「言葉」でです。
 
これは、すごいと思いませんか。
 
それが証拠に子どもは、とかく同じ本を何回も繰り返し、飽きもせずに読んでくれとせがみます。
それも読んでいる途中に、
「ママ(パパ)、ありがとう。そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
そこまでのところを忘れてしまったのかどうかわかりませんが、それ以降、話が進まなくなり、イメージ化が中断してしまう、と
大人は考えてしまいます。
 
しかし、子どもとしては、読んでもらって全てがつながったから、そこまででいいのでしょう、あとは覚えていますから。
話を一所懸命に覚えようとしていることに違いはありません。
 
そこから「記憶力」がつきます。  
 
さらに繰り返し読んでもらうことで、描かれた映像は、より鮮明になり、そこから、「空想力や想像力」が培われるのではないで
しょうか。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
昔話だけではありませんが、幼児の読む本は、「起承結」で成り立っているのではないでしょうか。
「起承転結」の「転」はなく、話は複雑になっていません。
 
江戸時代の漢学者、頼山陽が、漢詩を説明するために「京都西陣帯屋の娘」と題して、面白い例を残しています。
 
   京都西陣帯屋の娘   (起)
   姉は十八、妹は十六  (承)
   諸国の大名は刀で殺し (転)
   姉妹二人は目もとで殺す(結)
 
「ショコクノダイミョウって、ナンですか?」
余計なものが入ってくると、すっきりしなくなります。
帯屋の娘の話は、帯屋の娘で終わらなければ、子どもは承知しません。
 
桃太郎が、鬼退治をしたついでに、海賊までやっつけるとはなりません。すっきりと終わって、「めでたし、めでたし」が、昔話
には欠かせない決まりです。
 
さらに物語は、「序破急」と快適なテンポで進みます。
 
浦島太郎の竜宮城で過ごしたひと時が、何十年であっても何ら差し支えありません。話は快く聞けるように仕組まれていますし、
簡潔明瞭ですから、「話を理解する力」がついてきます。
 
しかも、話は、「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」で始まります。
 
「むかし、むかし」は、「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかりません。 
 
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
 
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もさだかではありません。
 
みんな「あいまい」です。
 
その「あいまい」なままに、話は、「何を」「なぜ」「どのように」と展開します。
これも考えてみると大変なことです。
 
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合なことはありません。
奈良時代であろうが平成時代であろうと、北海道だろうが沖縄であろうと、みんな、「むかし、むかし、あるところに」で済ませ
てしまいます。
 
時代考証も、場所の設定も、登場する人物像をイメージ化する面倒な説明もありませんから、すっきりとした気持ちで話に入って
いけるのです。
 
これを仮に、
「江戸時代の元禄十五年、大晦日をむかえる二日前の朝、上総の国は蒲郡、大字蒲、字大和村の一本杉の近くに、四代目の山之上
太郎左衛門というじいさまと花というばあさまが住んでいました」
とやられては、聞いてみようかなという気持ちにもなれないでしょう。
 
「ママ、もう眠いから……」
こうなるに違いありません。
                
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   なにを(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
といった[5W1H]から成り立っていますが、これは文章を書くときや情報を伝える時の基本で、小説や新聞、テレビのニュー
スなども、この形式(フォーム)で構成されています。
 
ということは、話を聞きながら[5W1Hのフォーム]を、小さいときから学んでいることになります。
 
これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
もちろん、子ども達が、「いつ、どこで、だれが」などと意識して聞いているわけではないでしょうが、理路整然とセオリーどお
りに話は進んでいきますから、楽しく話を聞き、その話を覚えることで、筋や物事を考える、「思考力や構成力」が、おのずと身
についてきます。
 
そして、子どもは、話を覚えると話したがります。
 
誰かに聞いてもらいたいのです。
それには、自分自身が話をよく理解しなければできませんから、そのための訓練が、自発的に始まります。
 
それが、「表現力」につながります。
 
しかも、「覚えなさい!」といわれて覚えたのでもなく、「話してみなさい!」といわれて訓練したものでもありません。
自ら、積極的に努力して得た力です。
 
こんなに大切な能力開発を、誰にもいわれずに挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『桃太郎』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。桃太郎が猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治にいく話だろう!」
と無造作に応じてしまっては、せっかく積んできたトレーニングの成果を試せません。
 
子どもは、話したいのです。
成果を試したいのです。
 
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」とやさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
そして話し終えた時には一言、「よく覚えたな、偉いぞ!」とほめてあげることです。
 
お父さんにほめられて、不愉快になるはずはありません。
「よし、今度は『カチカチ山』を覚えるぞ!」
となり、新しい話に挑戦します。
 
記憶力どころか、「物事に取り組む意欲」を培うことになります。
しかも「自発的」にです。
 
30度越えの日々、自然が相手だけにどうしようもありませんが、お子さんの健康管理には十分に気を付けてください。
 
 
(次回は、「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(2)」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よく受ける質問から

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第58号>
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★説明会情報★
 
<東洋英和女学院小学部>
 入試説明会
  日時 9月7日(木)13時
  申込 HPから申込
  備考 本年度入学希望者の保護者限定
     
 詳しくはホームページをご覧ください。
 
 
 
雙葉小学校の説明会は、今年は対面と動画配信と2本立てとなり、渡部祐子校長、武宮和慶教頭から教育方針や入試について説明がありました。
 
さて、その雙葉小学校の河野久仁子前校長の話で、受験される方には参考になるのではという話がありますので、紹介しましょう。ただし、文言は正確ではないことをお断りしておきます。
 
 学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び、助け合う場です。
 「先生と子ども」「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の信頼関係を築き、自分が愛されることを感じながら、子どもの人間としての成長を助けていくようにと考えています。一人ひとりの子どもが、人との関わりの中で自己を表現しながら、その人らしく生きることができるように祈っています。バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、自分で自由に学び、決定することができる、責任の取れる人に育てていこうといったように、子ども達が、これからの世界を支えていく人に育っていくように願っています。
 
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる」。「その人らしく」は、自己中心ではなく、幼稚舎の「独立自尊」と同様「共生他尊」の心です。
 
 
 
 ■よく受ける質問から
 
 
暑い夏休み、元気でお過ごしでしょうか。
この時期によくある質問からいくつかを紹介しましょう。
 
Q.慶應義塾幼稚舎の試験では、絵がうまく描けなければ合格しないそうですね。
 
A.「うまく描けなければ」という文言は、大人の考える絵に対する評価でしょう。
  この考えが、子ども達を苦しめているようです。
  入試で絵を描かせるのは、絵の巧拙、上手、下手だけを見ているのでありません。
  大人は自分の考えを相手に伝えるのに、言葉だけで足ります。
  しかし、幼児は、言葉だけでは不十分です。
  言葉で足りなければ、体全体で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの方法で、絵もその一つです。
  自分で思っていること、考えていることを絵で表現したいのです。
 
  子どもの絵は写生ではなく、イメージ、感じたことを描いていると思います。
 
  ですから子どもは、絵の巧拙にこだわらず、思い通りに、せっせと描きます。
  そばで見ていると、本当に楽しそうです。
  以前、幼稚舎が、画家が絵を描くときに使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、当時の舎長は、その目的を「子ども達の表情を見たかった」とおっしゃっていました。
 
  ですから、一つの話を聞いたあとに、「この続きの絵を描いてみましょう」といった問題に発展させ、子どもの感性を見ているのではないでしょうか。
 
  「うまい」に越したことはありませんが、それが、子ども自身の感性ではなく、誰かに教え込まれたものであれば、評価されないと思います。
  どなたがおっしゃったかわかりませんが、そういった絵を「大人の手垢のついた絵」というそうです。
 
  「お子さんは、楽しく絵を描いていますか」
 
  そうであれば、子どもらしい絵が描けていると思います。
  学校の狙いも、そこにあるのではないでしょうか。
  
  最近の傾向として、例えば、5~6人のグループに、模造紙1枚とクレヨン1箱が用意され、「弁当の絵」「水槽の絵」などのテーマが与えられ、相談しながら描くといった形式で出題されていますが、使いたいクレヨンを他の子が使っている場合、何もしないで使い終わるまで待っている子がいると聞きます。ポイントは「相談して」にあるのですが、お子さんは積極的に参加できますか。
 
 
Q.1枚の絵を見て話を作るのが苦手なのですが、うまくなる方法はないでしょうか。
 
A.「うまくなる方法」などありません。
  技術的なことを教えても、お子さんは、おそらく理解できないと思います。
  1枚の絵から話を作るのは、本当に難しいものです。
  絵を見ても、自分で体験をしたことがなければ、話せないのが幼児です。
 
  まず、4枚ほどの絵からできている「お話作り」の問題からやってみましょう。4枚の絵であれば、どういった状況か把握できるからです。
 
  そこから話を作る方法を、自分なりに考え始めるものです。
  最初は、つたない話になりがちです。
  最後まできちんと聞いてあげ、できたことを褒め、それからおかしなところは、「ママは、こう思うけれど、どうかな?」と、お子さんに考えるヒントを出してあげることです。
  「違うでしょ、こうなの!」では、お母さんの作品になってしまいます。
  これを十分にやった後に、3枚の絵、2枚の絵に進み、そして1枚の絵に挑戦しましょう。
 
  苦手なお子さんには、「お母さん(お父さん)、あのね!」方式がいいでしょう。
 
  お母さんやお父さんに話しかけるように作ることです。
  幼児の経験は、まだ狭いものですから、体験していないことを表現するのは苦手です。
  日常生活で、「ママ(パパ)、あのね!」と話しかけてきたときは、必ず、聞いてあげましょう。
  自分で体験したことを話す、これが話作りの基本でもあるわけです。
  話すチャンスをたくさん作ってあげることが大切です。
  なお、「お母さん、あのね!」方式は、某国立大学附属小学校で、作文の時間に実践していた学習方法です。
 
 
Q.問題に取り組む時に時間がかかり過ぎるのですが心配ないでしょうか。
 
A.幼児には、問題集をやるときにも、さっさと答えるタイプと、じっくりと考えて答えを出す二つのタイプがあるようで、イソップ物語の「ウサギとカメ」の話から、前者を直感が働くウサギ型、後者をじっくりと考えるカメ型と考えることもできます。
 
  難しい対称図形や回転図形の問題でも、ウサギ型は、4つの答えから正解を選び出すのにも時間がかからず、カメ型は、慎重に取り組みますから時間がかかります。一つ一つ検証して、答えを出しているからです。
  おそらくお子さんは、カメ型のタイプではないでしょうか。
  一つ一つ比べ、「これは、ここが違う」と納得しなければ、次の答えに手を出せないのですから、むやみに急がすことはありません。
  一度、仕組みや方法が理解できれば、スピードもアップします。
 
  思考派のカメさん型は、小学校の中学年を過ぎる頃から、力を発揮し始めます。
  考える力が育まれ、基礎学力がしっかりと身についているからです。
 
  直感派のウサギさん型は、この頃に、一度つまずきますが、頭の回転の速さから立ち直れます。
 
  ですから、カメさんの場合は、時間がかかってもあせらせることなく、問題は時間内に解くことを、少しずつ教えてあげましょう。
  ウサギさんは、ひらめきだけに頼らず、正解であっても、他の答えはどうして駄目なのか、その説明をさせましょう。
  どちらもお子さんの大切な能力ですから、良いところを伸ばしてあげる、賢いお父さん、お母さんになってほしいですね。
 
 
Q.文字や数字の読み書きは、できた方がいいと友達は言うのですが、やった方がいいのでしょうか。              
 
A.小学校の入学試験には、文字の読み書き、数字を使った計算はありません。
  ただし、答えをイラストではなく、書いてある文字に印をつけるテストを実施している学校もありますが、それは、その学校の方針ですから、受験する方は、そのための準備が必要です。
 
  また、暁星小学校でも、かつて年中行事と関係のある数字、例えば母の日は5月ですから5に○をつける、記憶の問題でスクリーンに映った数字と同じものに○をつける問題がありましたから、1月・正月、2月・節分、3月・雛祭り、4月・花祭り、5月・子どもの日、母の日、6月・父の日、7月・七夕、9月・お月見、10月・お祭り、運動会、11月・七五三、12月・クリスマスなど、その月と数字がわかるようにしておきましょう。
 
  やっていると思いますが、毎朝、カレンダーを見て、「今日は8月15日、日曜日」というだけで、月日と曜日も無理なく覚えるものです。
  ただし、数字を書く必要はなく、読めればいいでしょう。
 
  文字は問題用紙に氏名を書きますし、靴を脱ぎ、試験が終わった後で靴を履くときなど、書かれた名前を見て判断することもありますから、名前の読み書きはできるようにしておきたいものです。
 
  年長になる頃から、文字と数字を書きたがるようになりますが、その場合は、正しい書き順を教えましょう。
 
  自己流で覚えると、直すのに苦労するからです。
 
  文字を書くことの得意であった子が、小学校へ入ってからことごとく直され、自信を失う話をよく耳にします。
  数字は「0・5・7・8・9」、文字は「と・も・や・よ」、書きにくい「あ・お・そ・ぬ・む・め」などです。
 
  ただし、教える場合でも、テストで数字や文字で答えては得点にならないことを教え、約束してください。
 
  ところで、お子さんは、ブツブツとつぶやきながら、昔話や童話の本を読んでいませんか。「話の読み聞かせ」の効果です。話を記憶することで、教えなくても、文字が読めるようになるのです。本を読んであげるのは、大切な学習になっていることを忘れないでください。
 
 
以上の「Q&A」は当研究所発行の「さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A」からピックアップしたものです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
夏はまだ続きます。「夏を制する者は秋を制する」ともいわれています。
無理は禁物ですが、頑張りましょう。
 
 
  (次回は「願書の書き方」についてお話ししましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です 長月(2)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第41号-
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第11章  お月見です   長 月(2)
  
★★秋の七草★★
 
春の七草は、色彩的には黄色が多く、それに食べられるものばかりでした。
正月の7日に食べる七草粥には、春の七草が入っています。今年1年間、息災で病気にならないようにと、払いの意味で食べたものですが、正月にご馳走を食べすぎて、弱った内蔵をいたわる意味でも食べたのでしょう。これも昔の人の生活の知恵です。
 
秋の七草は、どうでしょうか。
                
萩(はぎ)、薄(すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)をいいます。見るとわかりますが、紫色が多くて観賞用です。葛は、根は解熱剤として使われていますし、粉にした葛粉は食べられますが、春の七草とは、大変な違いです。                                       
 
事の起こりは万葉集で、山上憶良が秋の七種の草花を詠んだことから、秋の七草といわれるようになったのです。
 
 秋の野に 咲きたる花を 指(おゆび)折り かき数ふれば 七草の花 芽子(はぎ)の花 尾花 葛花(くずばな) 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花(おみなえし)また藤袴 朝貌(あさがお)が花
                                  
 (万葉集八巻 山上憶良)
                               
朝貌の花は、現在では桔梗のことです。
芽子といい瞿麦といい朝貌といい、昔の字は、秋の七草にしてはゴツゴツした感じを受けませんか。何だか花の名前の感じがしません。今の方が、親しめます。いや、もっと現実的な秋の七草があります。
 
昭和10年、菊池寛、高浜虚子などの文人や学者の推薦によって新聞社が選んだ「新秋の七草」があります。菊、葉鶏頭(はげいとう)、秋桜(コスモス)、彼岸花、赤飯(あかまんま)、白粉花(おしろいばな)、秋海棠(しゅうかいど
う)の七草です。山上憶良と比べると、色彩豊かで華やかで、人手がかかっている感じがします。
 
平成に行われたインターネット投票による「秋の七草」は、春の七草でご紹介した左大臣四辻善成(平安時代)の真似をするとこうなります。
 
  ハギ キキョウ コスモス ススキ ヒガンバナ
                リンドウ ナデシコ 秋の七草
 
しかし、本来の七草は、人の手にかかることをこばむ野草という感じが伝わってきますが、いかがでしょうか。                                     
 
話は変わりますが、秋桜(コスモス)、漢字で書くと日本産まれのようですが、何とメキシコ産です。
コスモスは、一見、葉もきゃしゃで弱々しく、花もたおやかですから、責任をもって、きちんと保護してあげなくてはと思いがちですが、茎は太く、本当は、強いのです。台風でなぎ倒されても、いつのまにか窮屈な姿勢ながらも、花を咲かせます。
 
 
 
★★重陽って、五節句の一つではないのですか★★
 
9月といえば重陽の節句、とならないのが不思議です。
3月の「ひな祭りですね」を思い出してください。9月9日を重陽といい、陰暦9月9日の節句で、「9」は陰陽道では、陽の数とされており、この2つの数を重ねた日で、菊の節句ともいわれていると紹介しました。陰陽道では、このように奇数を尊び、「9」を最高の数と考え、天の数、天子様の数として、神聖視されていました。それでしたら、大変な日ではありませんか。
しかし、何かお祝いをした記憶がないのです。
 
 この日は菊の節句である。平安時代に菊は「翁草」「千代見草」「齢草(よわいぐさ)」などといわれ、重陽の節句に寒菊の酒宴が催された。「菊酒」といって、酒に菊の花をひたして飲むと、長生きできるといわれ、また「菊の着せ綿」といって、前の晩に菊にかぶせて露にしめらせた綿で身体を拭くと長寿を保つといわれた。
 (年中行事を「科学」する 永田久 著 日本経済新聞社 刊 P180-181)
 
このように菊は、古くから薬用植物として珍重されていましたが、菊の芯を集めて作る枕を菊枕や幽人枕(ゆうじんちん)ともいって、香りが高く、頭痛を治し、邪気を払うといわれ珍重されていたそうです。
 
日本の国花は、桜と菊です。
桜に始まり菊で終わる、自然に恵まれた日本を象徴する花であり、国花にふさわしい花であることも肯けます。
 
菊は、その姿が、端整で、美しく、香りにも、何ともいえない気品があります。
古くから菊は、竹、梅、蘭と合わせて四君子(しくんし)といわれ、水墨画の画材によく使われていました。
菊の品評会などで見る菊は、華やかなムードに包まれ 十分に手間暇のかかっている感じが、匂い出ています。菊人形も、ここまでやるかと、文句のつけようのない作品もあり、うならされます。
いずれも、秋の風物詩として欠かせません。
                   
しかし、人里離れた山あいに、ひっそりと咲く、小さな野菊、あれも、いいですね。
香もふくいくとして、観賞用の人工菊に、絶対に負けません。寒さに強く、晩秋から初冬にかけて、けなげにも咲き続けています。花、ひっそりと咲いているからこそ、もののあわれを誘います。
 
ところで、皇室の菊の御紋章、あれは十六葉八重表菊で、後鳥羽上皇が、特に菊を好まれたために定められたものです。
そして、欲しい人には最高の価値がある勲章、舌をかみそうですが、大勲位菊花大綬章は、朝日と菊の花を表しています。
 
そして五十円硬貨の表のデザインは、何と菊です。さらに、兵庫県の県花は、野路菊(のじぎく)です。ご存知のことと思いますが、菊は献花に用いますから、病気の見舞いには、タブーの花となっています。
 
最後に、ことわざを一つ。
  「春蘭秋菊 ともに 廃すべからず」(両者ともに優れており捨てがたい)
 
蘭と菊は、先ほども出てきた四君子の二つです。 
 
 四君子(しくんし)とは東洋絵画の画題の一つで、蘭・竹・梅・菊を指します。これらの植物が好まれたのは、蘭は深山幽谷で人知れず香る奥ゆかしさ、 竹は真っすぐに伸びて風に折れない節操、梅は雪の中でも寒さに耐えて花を咲かせる健気さ、菊は厳しい晩秋の霜にも屈せず咲き誇る気概というように、それぞれの特徴が俗に交わらず知性や礼節を兼ね備えた理想的な人物(君子)と重ねられたためです。
        
  (福岡市博物館のホームページ
    https://museum.city.fukuoka.jp/sp/exhibition/572/)
 
5月にも紹介しました「六日の菖蒲」、それに加えて「六日の菖蒲、十日の菊」があります。菖蒲は5月5日の端午の節句に、菊は9月9日の重陽の節句に用いるもので、6日と10日では間に合わないことから、「時期に遅れて役に立たないこと」のたとえです。類義語としては「後の祭り」「夏炉冬扇」、ちなみに英語では“a day after fair”だそうです。
         (kotowaza-all guide com 故事ことわざ辞典より)
 
  (次回は、「江戸時代の時の数え方」などについてお話しましょう)

【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第6号
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ご家庭で楽しくできる受験準備
 
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
 
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話ししましょう。
 
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
 
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できますが、小学校の試験は、これができません。
 
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がかかればやめて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問題に挑戦できません。
 
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
 
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表現しなければなりません。
 
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければなりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
 
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応できません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話をきちんと聞けるようにする」ことです。
 
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切です。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆に、お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
 
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
 
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せずに、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「○○君(ちゃん)、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても話の仕方の学習にもなっているのです。  
 
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真剣に聞いてほしいのです。
 
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるのです。お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令しているわけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」を学んでいるわけです。お父さんも同様です。
 
これも「教えない教育」の一つの例です。
 
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
 
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
 
お子さんも同じです。
力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
 
お子さんの話を聞けないお父さん、お母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっしゃったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではないでしょうか。
 
お子さんが急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお父さん、お母さんであることに気づいてほしいですね。
 
ところで、特にお母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでしたか。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんからやめますが、選択肢はこんなものではなかったはずです。
 
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませんか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるように心がけましょう。もちろんお父さんもです。
 
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっくり聞いてあげる、これもその時
に最優先すべきことと考えるべきではでしょうか。何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
 
もう一つ、思い出してほしいのです。
 
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまったく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身につかないそうです。
 
ここでも、お父さん、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
 
「ママ(パパ)、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さん(お父さん)は、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話ではありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるようになったわけです。
「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるようになっています。
 
お父さん、お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
 
それは、やはりお父さん、お母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたからです。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなかったからではないでしょうか。 
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であり、これも「教えない教育」であったわけです。
  
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変な学習をしていることです。
 
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、○○ちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、○○くん(さん)!」と話しましょう。
 
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
 
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、○○ちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお父さん・お母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
 
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」
は、使わないことです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
 
「○○くん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのところへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」と、お子さんもわかります。
 
   ◆話を聞いてあげる。 
   ◆きれいな言葉を使う。
   ◆指示をきちんと出す。
      
保護者に、こういった配慮があれば、お子さんも、保護者の願いに応えるはずです。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
 
暑い日が続くようです。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇きをしのぎましょう。
 
 
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用 1」についてお話しましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>過去の説明会より

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第57号>
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○説明会情報○
 昭和学院小学校 オープンスクール・入試説明会
   9月7日(土)
      
 国府台女子学院 学校説明会
   9月14日(土) 
 
 千葉日本大学第一小学校 学校説明会
   9月7日(土) 
      
 いずれもHPでご確認ください。
 
 
 
 ■過去の説明会より
 
今回も、過去に行われた説明会での情報を紹介しましょう。
 
「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが立教小学校の田代現校長です。具体的な話は教頭時代でしたので、教頭時代の数年の話をまとめてみました。教頭は、その容貌と話し方から、大変な熱血漢である印象を受けます。おそらく、子ども達からも親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締まりがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
 脳科学者の話では、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそうだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々が教えていてもそれは感じる。
 アメリカでは1932年に公立校の男女別学を禁止していた。しかし、2006年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになった。脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育したことに問題があるということで、別学が増えていく。
 イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩しやすいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ずかしがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校では今はやりの『リケジョ(理系女子)』ではないが、数学や科学を好む学生が増えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのではといわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れている中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というのは理想的な教育制度で、手前みそながら何ですが……」(会場から笑い声が起こりました!)
 
理系に進む女子については、国府台女子学院の平田史郎学院長は、進学実績からその傾向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学にする考えはありません」と力説していました。やはり科学的な根拠があったわけです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外早い時期に実現するかもしれませんね。
 
ところが、聖徳大学附属女子中学、高校は、2021年4月より共学の進学校を目指し、学校名を「光英(こうえい)VERITAS(ヴェリタス)中学校高等学校」に変更、生まれ変わりました。これで益々、国府台女子学院は貴重な存在になりました。
 
話を戻しましょう。
どんな家庭のお子さんが欲しいかについて田代先生は、次のようにおっしゃっていました。
 
「最後に、いつもお願いしていることだが、どんな家庭のお子さんがほしいか、メモをとるような話ではないが、訓練によって鍛えられた子どもではなく、話の読み聞かせや自然の中で五感を使った遊びの体験やお手伝いを重視する家庭。
それらを基にして、豊かな会話をもっている家庭、そういう日常生活を大切にしている家庭で、社会のルールを守る社会性や協調性を厳しくしつけられている家庭の男の子が欲しい。なぜなら、学校は社会性を訓練する場、男が成長して父親になった時、知性を発揮できるように、キリスト教の精神に基づき行える心の豊かさ、自分に対して優しさという知性を身につける場であり、こういったことを理解し協力してくれるご家庭の子、男の子なら誰でも結構」
 
学校選びの基本は、「ご両親がどんな大人に育てたいのか、そのためにはどういった教育、環境が必要であるかではないでしょうか」とおっしゃっていました。私どもも、「はじめにご家庭の教育方針ありき」と言ってきましたので、素直に受け入れることができました。
 
以前、紹介しました「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」、明治時代、高等小学校(現在の5、6年生)の親に配られた「家庭心得」ではありませんが、そのとおりですね。
 
高学歴者の不祥事が伝えられるたびに、「世間の教え」をないがしろにした結果ではないかと考えますが、今までの努力は何だったのだろうと、他人事ながらもったいないと思いますね。
 
次は、早稲田実業初等部の求める子ども像です。
 
『どんな子どもに来てほしいか、いろいろとあるが主だったことを言うと、第1に早実大好き、早稲田大学に進んで勉強したいと思う子。2つ目に規則正しい生活ができる。もう一つ大切なことは、自分のことは自分でできるお子さん。
これができていないと宿泊学習が始まると辛くなる。中学で体験したことだが、宿泊合宿のときの荷物作り、親御さんが詰めてしまう。忘れ物が出ても名前が書いていないからわからないので処分するしかない。自分でやらないからわからない。3つ目は人の話を最後までしっかりと聞くことができる。4つ目は物事に最後まで取り組むことのできる子を期待している。
 基本的な生活習慣は、ご家庭で教えて頂きたい。しつけの問題になるが、教え方に問題があるのではないか。ご両親共に子どもと接する時間が少なくて忙しい。うまくできないと早くしなければならないから、お母さん方はすぐに手を貸してしまう。そうではなく言葉をかける。言葉を理解し自分でやることが大切。だから時間はかかる。手を貸すと「また貸してくれる」と子どもは考える。その時はスムーズに通過できるが、後々それが癖になる。言葉を主体にして見守り、時間をあげて言葉で考えさせて、自分でできることを中心に考え、できたところでしっかりと褒める。その繰り返しが大切。褒められると次に生きてくる。また褒められたいという気持ちになる。そういうことを大切にしてほしい。幼い時に身に付いたしつけ、習慣は、子どもにとって大切な宝物になる」
 
そして、モチベーションの上げ方について。
 
「学校見学会が行われるが、初等部を見学できるのはこの日だけ。是非ともお子さんと一緒に来てほしい。お子さんが自分の目で見ることが大事。私の願いは、お子さんが『この学校に来て学びたい、勉強したい、一緒に友だちと遊びたい』と思うだけでも、これからの受験勉強の励みとなり、お子さんのモチベーションも上がる。それを狙っている部分もあるので、『勉強しなさい!』と言ってもモチベーションは上がらず、そのへんはなかなか難しい。そのためにも是非、一緒に来てほしい」(2018年説明会)
  (早稲田実業学校初等部 橋詰敏長元部長  )
 
また、森国前部長は、「早稲田実業学校の伝統と歴史は、校是『去華就実』のもとで形成されてきた。上辺だけの華やかさではなく実をとる、外面より内面の美しさを求める精神を大切にし、社会の各方面で貢献できる人材の育成を目指している。校訓の『三敬主義』は、他者を、自己を、事物を敬うことの大切さを説いてきた。謙虚で優しく、自重自立し、全てのことに敬う心をもって取り組む誠実な姿勢を示すもの。こういった理念を受け継ぐ初等部6年間は、一人ひとりの個性を尊重し、確かな学力を身につけ、自ら学び、考え、創り出し、表現する力を育て、人間性豊かな児童を育てることを目標に掲げている」とおっしゃっていました。
星現部長も同じようにおっしゃっています。
 
 
最後に、慶應義塾幼稚舎です。
幼稚舎の教育の特徴「6年間担任に持ち上がり制と教科別専科制」について、大島誠一元舎長の話を紹介しておきましょう。
 
「幼稚舎教育を通じて、子ども達にどういった人になって欲しいかというと、『人生を楽しむ人になってほしい』『社会を肯定的に見る人になってほしい』『自分の能力を生かして人の役に立つ人になってほしい』と私は願っている。
人生を楽しむといっても、ただ、その場その場を面白おかしく生きるというのではない。日々、辛い努力を積み重ねることも大切で、辛いことに辛抱することも大事だ。しかし、究極的には『自分の仕事を楽しむ』ことだ。
福澤諭吉が示した慶應義塾の目的に、『社会の先導者たらんとすることを欲するものなり』という語句がある。しかし、始めからリーダーになることを目指すのではない。仕事に喜びを感じ、自分の好きなことをやっている内によい仕事ができる。その結果として周りに支えられリーダーになっていくという考えだ。もちろん、自分が嫌なこともやらなくてはならないだろう。しかし、やっていることが楽しくなければ継続することは難しく、ましてやよい仕事ができるとは思わない。楽しいからこそ人から見れば辛いことも、たいして辛いと思わずにできるのだろう。会社の組織の中で高い位置につくことができなくても、あるいは先導者となり得なくても、年老いた時に、『自分の人生はよかった』と思えるような生き方を私は大切にしたいと考えている。
こういった考えは、福澤諭吉の生き方そのものだと思う。福澤の生き方は、最初から立身出世位を目指したものではない。『知りたい、見てみたい、やってみたい』という気持ちが凝縮した人生だったと思う。幼稚舎という学校を理解していただくには、ここで私がくどくど申すより、福澤が自らの人生を振り返った『福翁自伝』を読んでいただければご理解いただけるものだと考える。是非、一読されることをお薦めしたい。そして『福翁自伝』は、幼稚舎を受験するだけではなく、自分の生き方を考える上でも素晴らしい書物だと思っているので、多くの方々に読んでほしいと思っている」
 
『福翁自伝』はわかりませんが、明治初期に発売された「学問のすすめ」は、300万部以上売り上げ、超ベストセラーになっています。ちなみに、世界一のベストセラーは「聖書」で、約3880億冊だそうです。
      (「マナビゲート 2016」P39 大学通信 発行より)
 
雙葉小学校の説明会は、公開行事がない本校で唯一校内に入ることができる機会です。校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた上皇后美智子様が、ご成婚の記念に植樹されたメタセコイヤの3本の内の1本が、校舎と頭を揃えるほどに成長した姿を見ることができます。
といっても、校庭に入ることはおそらくできませんので、会場へ移動の際に階段から見ることができる大きな木、と思っていただければよいでしょう。
 
夏になり、入試に向け家庭学習も一段とペースが上がってきたのではないでしょうか。夏期講習会で身につけたリズムを崩さないように、頑張りましょう。
一点、休養を取ることもお忘れなく。
 
    (次回は「よくある質問について」お話ししましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です   長 月(1)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第40号-
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第11章 お月見です   長 月(1)
 
 
8月はまだまだ「夏」という感覚(小学校受験としても夏)ですが、暦の上では、今月から秋です。
秋の読み方は、「黄熱(あかり 稲が成熟する)からとの説が一般的ですが、秋空が「あきらか(清明)」である、収穫が「飽き満る」、草木の葉が「紅(あか)く」なるなどの説もあるようです。
長月(ながつき)のいわれは、秋も深まり、次第に夜が長くなっていくから「夜長月」の略が、わかりやすいですね。
これにもいろいろな説があり、「稲刈月(いねかりづき)」の「い」と「り」を略して「ねかづき」が「ながつき」となったものや、「稲熟月(いねあかりつき)」が略されたという説もあるそうです。
 
 
 
★★お月見ですね★★
 
9月といったら、お月見ですね。
天保暦でいうと、8月15日にあたり、今のグレゴリオ暦では、9月の15日から20日頃が見頃です。今年は9月17日です。
 
秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く満月を観賞する習慣は、古くから中国にあり、それが平安時代に貴族の間に伝わり、やがて、武士や庶民にも広まったものです。昔は、「中秋の名月」といい、月を眺めながら、和歌を詠み、お酒を酌み交わし、秋の夜を過ごしました。何やら風流な趣が伝わってきそうですが、お百姓さんは、それどころではありません。何しろ日本は、農耕民族でしたから、とにかく自然が頼みの綱です。
 
お月さまは、お百姓さんにとって、お日さまと同様、大変な存在でもあったのです。
 
ご存知のように月は、およそ1ヵ月の間に丸くなり、また、だんだんと欠けていきます。新月から1週間程で半月になり、15日程で満月に、1週間後には半月となり、再び新月に、これの繰り返しです。そこで昔の人は、満ち欠けする月の形から、1ヵ月のおよその日にちを知ることができ、それをもとに農作業の時期、段取りを行っていました。
 
また、月の明かりで、夜遅くまで農作業ができたのです。言ってみれば、お月さんは暦であり、時計であり、夜間の照明器具でもあったわけですから、感謝の心は、現代では考えられないほど、深かったに違いありません。
 
さらに、旧暦の8月といえば、稲にとっては、夏の暑いお日さまを、さんさんと受け、しっかりと実をつける時です。しかし、台風が来ると、折角、丹精を込めて育ててきた稲は、強風と豪雨でメチャメチャになってしまいます。台風一過の秋晴れのもとで、すっかり水を被ってしまった田んぼを、お百姓さんはぼう然と眺めるしかありません。ですから、お月さまに、すすきや秋の花とおだんごや果物芋などを供えて、自然が荒れないようにお祈りを捧げたのです。
 
なお、十五夜を見た場合には、旧暦の9月13日(現在の10月10日~30日頃)の十三夜も見なければならないといわれています。1回しか見ないお月見を「片見月」といい、不吉なことが起こると嫌われていたからだそうです。
十三夜は、栗や豆を備えることから「栗名月」「豆名月」ともいい、十五夜が中国から伝来したものに対し、十三夜は日本のオリジナルな風習です。
 
また、「十三夜に曇りなし」ともいわれ、晴れの夜が多く、秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く月を見ることができます。丁度、10月の下旬にあたり、秋たけなわの頃だからです。お子さんと一緒に「片見月」とならないように、確かめてみましょう。こういった話をするだけでも、お子さんには、楽しい思い出となるものです。
 
 
 
★★なぜ、すすきを飾るのでしょうか★★
 
すすきは、姿、形から見ても稲科の仲間だとわかります。
あの白い花穂が、いいですね。別名「尾花」といいますが、本当に漢字は説得力があります。これは、お百姓さんから聞いた話ですが、なぜ、お月さまにすすきを飾るのか、その理由は、すすきの尾花は、細くて長く、まるでほうきのようですから、秋風に揺れながら、その穂で、しっかりと神さまを捕まえ、豊作をお願いしたいからだ、といっていました。
 
 
 
★★なぜ、お月さまにうさぎが…?★★
 
今の小学生は、笑ってばかにするかもしれませんが、昔は、宇宙ステーションや月面探査など想像外のことでしたから、月にうさぎが住んでいると信じられていました。満月を見ると、うさぎが跳ねているように、また、杵(きね)を持ち、餅をついているようにも見えていたようです。
 
うさぎ うさぎ なに見て跳ねる     
十五夜お月さん見て 跳ねる     
 
文部省唱歌です、牧歌的で、いいではありませんか。
 
うさぎの住んでいる満月を見ながら、すすきやおだんごを飾り、自然に感謝する心は、小さい時に、きちんと育んでおきたいものだと思います。これも情操教育に欠かせない、大切な行事ではないでしょうか。
 
満月を、星を、しみじみと眺めたことはありますか。お子さんと一緒に、夜空を探索してみましょう。
澄んだ秋の空には、お子さんと共有できるロマンがあふれています。星座にまつわる伝説を知る機会になるかもしれません。まずは、分かりやすく、3つの星が並ぶオリオン座、ですね。
             
ところで、外国の人々も、うさぎだと見ているのでしょうか。天の川と同じく、いろいろな見方があるもので、想像のつかないものもあり、見る位置により、こんなに違うものかと驚かされました。
 
 中国では、うさぎが薬草を作っているとも、ひきがえるやかにがすんでいるともいわれています。ヨーロッパや北アメリカでは、女の人の横顔やロバ、インドや南アメリカではワニ、中東ではライオン、アフリカではうさぎがひっかいた傷に見えるそうです。
(心を育てる 子ども歳時記12ヵ月 監修 橋本裕之 講談社 刊 P83)
 
やはり、世界中の人々も、こうこうと輝く満月に、いろいろな思いを抱いていたのですね。
 
海外へ出かけたとき、お月さまがどのように見えるか、お子さんと一緒に眺めてみるのも、いい思い出になるかも知れません。満天の星の主役は、北斗七星や南十字星、オリオン座などのようですが、お月さまも加えてみてはいかがでしょうか。手軽に出かけられませんが、南極では、逆さまに見えるそうです。
 
そして子どもから、「お父さん、どうしてうさぎさんは、いつも同じ格好をしているのかな」とかなり大人を困らせる質問があるかもしれません。裏側はどうなっているかなんですね。言われてみればその通りで、大人は不思議に思いませんが、そこは探求心の旺盛な子ども。良い質問です。
 
「月の自転周期と月が地球の周り回る公転周期が一致しているから、常に表しか見えない」ということのようですが、子どもにどう説明すれば良いか、悩みますね。
皆さんなら、どう説明しますか。
 
 
   (次回は、「秋の七草」などについてお話しましょう)
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です。

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第5号
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です。
 
 
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
 
模擬親子面接で、こういった質問をするのは控えますが、どのような受験準備をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテストの成績は良いのですが、行動観察型のテス
トでは、それほど点数が取れていない場合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思いながら誘導尋問をします。
 
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「お教室へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
 
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようですね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてしまいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
 
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」といいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
                      
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
 
「1.そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れること。
 2.将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、つらい経験」
   (「新明解国語辞典」三省堂 刊)
 
幼児期には、「つらい経験」はあまりさせたくないものです。
 
一方で、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
 
「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
   (岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
 
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大聖人である孔子の話を思い出します。
 
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様から鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし流」に解釈して紹介しましょう。
文言は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
 
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、息子の鯉に、「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」というと、「ケッキョ!」と不
器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴き方を真似するのであり、習うという
ことは、何回も練習し、失敗を重ねることであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
 
このように、幼児の教育は、「勉強」ではなくて「学習」ではないでしょうか。
 
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、そうあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何であんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでしょう!」
 
そのような声も聞こえてきそうです。ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んでいけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
 
歩けない我が子を、無理やり歩かせようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れる、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間
をかけて見守った、あたたかい愛情があったからではないでしょうか。
 
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、そのために試行錯誤をいとわない意欲や行動
力があったからです。
 
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備えるためではないでしょうか。
 
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによって学習していきます。いわゆる「体験学習」です。
記憶力も大切な能力ですが、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありません。
 
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。ところが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が記憶している中枢神経系統に、記憶は
大脳神経系統に属しているからだといわれています。幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や保育園、近所の友達との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
 
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
 
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ここで言う「遊び」は、ゲームをやっていて、つまらないからやめるといったような遊びとは違います。ですから全力
をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
 
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみましょう。
 
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられています。
番組を撮影する監督も顔負けの映像が、子どもにはリアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょう。
 
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
 
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人しかわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
 
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
 
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
 
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰り返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
まさに大人顔負けのPDCAサイクルですね。
しかも、だれも教えていません。すごいことです。
 
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
 
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものであるべきだと思います。
 
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学んでいる教育のことです。
 
赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、「体験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
 
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるようにしたとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
 
失敗しても怒らない、できるようになるまで「忍の一字」で待ってあげたはずです。
 
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応えて成長したのではないでしょうか。
 
受験準備も同じです。
 
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に考えてあげましょう。
 
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
 
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、苦痛になるだけです。
 
お父さんやお母さんとの学習が面白ければ、そして楽しければ、お子さんは、一所懸命に挑戦するはずです。 
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
 
暑さに負けず、昆虫採集や外遊びをする子ども達を見かけます。
水筒を持っていますが、帽子をかぶっていない子がいます。お子さんはいかがですか。元気なことは良いのですが、熱中症対策はしっかりしてあげましょう。
 
また、外から帰ってきた時は、手洗い、うがいを励行してください。良い習慣は、毎日の積み重ねから身につくものだからです。
 
 
 (次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう。)
 
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