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めぇでるコラム 2ページ目

2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試直前の心構え ★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第66号>
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  ★★入試直前の心構え ★★
 
 
既に模擬面接も終え、面接の心構えもできていると思いますが、合否のカギを握るといわれている「志望理由」について、念入りにチェックし、自然に話せるように練習をしてください。プレッシャーをかけるようで申し訳ありませんが、小学校受験合否のポイントは、「保護者(主にお父さん)の志望理由5割、子どもの成長度5割」とも言われていることを思い出し、頑張りましょう。お子さんのためです。
 
 
 ◆ベストコンディションを作る 
 
入試直前、何とかベストコンディションで試験を受けさせてあげたいと、お母さん方は計画を立てることでしょう。例えば、外から帰ってきたときは、手を洗い、うがいをさせることから、栄養のバランスを考えた食事、早寝、早起きをさせ、睡眠時間を十分にとるなど、配慮しなければならないことがたくさんあります。
 
その1つに、時間の管理があります。
朝、8時半から試験が始まる場合、起きてから学校までかかる時間を逆算し、その時間帯に合わせ、生活のリズムを作り直す必要があります。人間の脳は、目を覚ますと、すぐにフル回転するものではなく、スイッチを入れれば、パッと光る電球のようにはいかず、柔軟なお子さんの頭でも、2、3時間かかるともいわれているようです。こういった試験時間に対処できるコンディション作りも親の大切な役目となります。
 
 
 
 ◆家庭学習について 
 
家庭学習をどのように進め、ベストの状態を保っていくかも難しい問題となります。直前のことですから、もう苦手な問題は克服されていると思いますが、「あなたはできる。これだけ頑張ったのだから大丈夫ですよ!」とあたたかい言葉で励ましてください。
 
そして、ここが大切なのですが、得意な問題の場合、お子さんも自信がありますから、保護者が読んでいる設問を、よく聞いていないこともありがちです。
 
「お母さん(お父さん)が読み終わるまでしっかりと聞き、始めといわれたら始め、終わりといわれたら、きちんとやめること」、この約束を徹底することです。点図形、模写、同図形(異図形)発見、系列完成、図形、しりとり等、設問を聞かなくてもできる問題があります。しかし、最後まで聞かないと指示される記号(○、×、//など)がわかりません。皆が出来るやさしい問題であれば、このミスを挽回することは不可能でしょう。そのためには、設問を読んでいる間は筆記用具を持たせず「手はお膝」、「そこまで」と時間がきたら筆記用具は机の上に置き「手はお膝」、を徹底させましょう。
 
さらに、次のページに移る指示があっても、その問題にこだわっていると、明らかにチェックの入る学校もあると聞きます。
また、制作や、ごっこ遊び、運動テストなども、話を聞いていなければ、うまくできません。最後まで聞かずに勝手にやり始めると、当然、「指示の理解」や「約束事を守れるか」などにチェックが入ります。
「先生のいうことを聞いてから始める、そしてやめる」、これを徹底させましょう。
 
「何回、教えたらわかるの!」             
「これができなければダメなの!」           
「そんなことができなければ、小学生になれません!」  
 
メールマガジンをお読みになっていらっしゃる皆さん方は、こういった言葉を使っていないと信じていますが、励ましているつもりが、逆の効果になってしまうものです。
 
試験場でできない問題があると、トイレにいってしまう子どもがいるそうです。
なぜでしょうか。
「先生、トイレ!」                               
と言われれば、先生はトイレに連れて行くしかないでしょう。
「その時間にいなかったから、問題をやれなかった」
と言い訳を作っているとしたら、これは恐ろしいことではありませんか。5、6歳の子どもが言い訳を考える、こんな気持ちに追い込んではかわいそうです。
 
お母さんが怖いのです。最近は、怖いお父さんもいるようですね。
中には、「できない!」といって泣きだす子ども達もいると聞きます。                
保護者の合格をさせたいという気持ちは、痛いほどわかりますが、言葉がけには十分に注意しましょう。不用意な言葉は、自信を失わせます。情緒が不安定になるような言葉は、絶対に使わないでください。
 
また、テスト会場で、隣の子の答案をのぞくお子さんがいるそうです。これは、いわゆるカンニングではありません。正解であるにもかかわらず、隣の子の答えを見て訂正してしまうのです。
なぜでしょうか……。やはり、自信がないのです。                                
 
隣の答案をのぞく子にしないためにも、
「あなたが思ったとおりでいいのですよ」
と、自分の考えたことに自信を持たせましょう。
「お母さんは、一所懸命に考えて頑張る子、大好きなの。それでもわからなければ、仕方がないことなのよ」
と、笑って励ましてください。
ただし、「一所懸命、考えてもわからない場合」と、約束しましょう。
 
よくできるお子さんでも、できない問題にぶつかるとパニックになってしまうケースがあるようです。
できる子だけに、厄介なのです。「できない」ことにこだわり、次の問題に取り組めないのです。こういったことも十分に考えられますから、「あなたが考えてもできないような問題なら、他の子もできませんよ。大丈夫、自信を持って、次の問題に挑戦しましょう」といった言葉がけも必要ではないでしょうか。
 
 
 
 ◆試験についての説明 
 
次に、試験について、どう説明するかです。
以前は、子ども達に試験といったイメージを与えないようにしたものですが、これだけ情報が広がり、いろいろと体験をしていると、そうはいかないでしょう。受験する学校での公開模擬テストやホームグラウンド以外の教室や、他の幼児教室、塾などで試験を受けることから、お子さん自身も心づもりはできているかと思いますが、やはり、プレッシャーはかかります。心身共に強い子どもは、そうはいません。「頑張れ!」といわれれば、本当に頑張る子もいれば、その一言で駄目になってしまう子もいます。
ピアノなどのお稽古ごとの発表会や幼稚園のお遊戯会などの前夜になると、突然、腹痛や発熱する神経過敏なお子さんには、「今日は、いつもの教室と違って、ここの学校でやるのですよ」といった説明がいいのではないでしょうか。
控室でゼッケンをつけ試験場に入り、テストの内容も、ほとんどの場合、教室で受けているのと同じだからです。「パパ(ママ)の言うとおりだ!」と安心し、そして頑張るのが子ども達です。お子さんの性格をよく知っているのはご両親ですから、こういったことにも注意し、当日の朝を迎えてあげましょう。
 
 
 
 ◆怪情報、うわさについて 
 
一時ほどではなくなりましたが、厄介なことが一つあります。それは、怪情報、うわさです。
以前、昭和60年代に開かれた四谷の雙葉小学校の説明会の様子を紹介しましたが、うわさとは、多くの場合、根も葉もない、単なるうわさに過ぎません。
当事者であるお母さん方は、とかくわらをもつかみたくなる心境になりやすいでしょうが、そこにつけ込むのがうわさです。後で思い出すと「ナンダ!」となるものばかりのはずです。
「受験する前に、もう合格者は決まっている!」
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当なら、受験料を取る学校は、まさに詐欺行為ではありませんか。司直が許すわけがないのです。税務署も同様です。
 
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当であれば、暁星小学校の説明会でも、「紹介状や推薦状は必要ありません。本人の実力を第一とする」とおっしゃったことが、うそになります。マリア様が、うそをお見逃しになるわけがありません。
 
また、青山学院初等部のホームページのQ&Aのコーナーには、
Q「紹介状や推薦状の必要はありますか」
A「必要ありませんし、用意されても受け取りません」
とあります。
 
さらに、幼稚舎のホーページのQ&Aコーナーには、
A「入学試験に関して、舎長および教職員との面会は一切できません」
と掲示されていますが、ほとんどの学校で、校長先生はもちろんのこと、教職員の方々が、受験に関する面談に応じることはありませんし、お断りしているはずです。
 
気になるうわさに心を痛めるようでしたら、お父さんに聞いてみましょう。おそらく、一笑されるはずですから。お願いしますよ、お父さん!
 
「暑さ寒さも彼岸まで」とは、猛暑を経験しただけに、ありがたいものですが、お彼岸を過ぎても暑い日が続いたりと初秋はとかく気候が不順になりがちです。
健康管理には、十分、注意してあげましょう。
 
昔の曲ですが、大橋節夫作詞、作曲の「幸せはここに」(YouTubeで聴けます)があります。
    秋の夜は更けて すだく虫の音に
    疲れた心いやす わが家の窓辺
    静かに ほのぼのと 幸せはここに
お子さんの寝顔を見ながら、すだく虫の音に、耳を傾ける余裕を持ちましょう。
 
         
 (次回は、「当日の留意点とご両親の心構え」についてお話しましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章  七五三でしょうな 霜 月(3)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第49号-
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  第13章 七五三でしょうな(3)  
  【11月に読んであげたい本(2) 終わりにあたり】
 
 ◆うばすて山◆   吉村 輝夫 著
 
むかし、ある所に、年を取ったおっかあと息子が暮らしていました。その頃、年寄は60歳になると山へ捨て、守らないと殺される掟があったのです。おっかあが60歳になったとき、山の奥までおぶって行ったのですが、捨てることは出来ず、山を下り、家の裏に穴を掘って、隠したのです。
ある時、殿様が村の者に、「灰で縄を作ってこい」といってきました。灰は燃えかすですから、縄などなえません。みんなが困っているのでおっかあに相談すると、「わらで縄をきつく縛って、塩水につけてから燃やしてごらん」というので、やってみると出来たのです。
すると今度は、「きれいに磨いた丸い棒を出して、どっちが根っこか調べてこい」というのです。太さも堅さも同じですからわかりません。また、おっかあに相談すると、「水に入れて、先の沈んだ方が根っこだ」と教わり解決します。
今度は、「玉に糸を通してこい」という。見ると、玉に糸の通る穴があいていますが、曲がっているので、糸など通るわけがありません。そこで、おっかあに聞くと、「小さな蟻を捕まえて糸の先に縛り、穴の口に蜜を塗り、塗っていない方の穴へ蟻を入れると、蟻は蜜の匂いに誘われ穴の中を進むはずだから、糸を通せる」というのでした。やってみると、糸は通ったのです。
喜んだ殿様は、「こういった知恵は、どうして生まれたのか」と尋ねます。そこで、「60を過ぎたおっかあに教えてもらい、年寄は、何でもよく知っているものです」と、震えながら告白したのです。決まりを破っていますから死刑です。しかし、殿様は感心し、掟を改めたのでした。息子は褒美をもらって家に帰り、穴蔵からおっかあを出し、仲良く暮らしたのです。
  寺村 輝夫のむかし話   日本むかしばなし 4 寺村 輝夫・文/ヒサ クニヒコ・絵  あかね書房 刊
 
 
これと、そっくりな話が、チベットにあります。「賢い大臣」です。中国の唐の時代の話で、皇帝の1人娘をめぐり、7つの国の王子さまが結婚を争うのですが、その知恵比べとして皇帝から出された問題が、この話に出てくる殿様の難題と同じでした。灰で縄をなう代わりに、五百頭の親馬と子馬を放ち、それぞれ親子に分ける課題になっています。チベットの人は、馬の扱いになれているからでしょう。その親子の分け方ですが、チベットの賢い大臣は、親馬においしい牧草をたっぷりと与え、それから子馬を放します。すると親馬は、子馬にむかっていななきます。その声を聞いて、子馬は母馬のところへ、一頭も間違わずに行くのです。後の二題は同じで、見事に解決し、お姫様はチベットへ嫁ぐ話です。
 
こういう話に出会うと嬉しくなります。遠くチベットから陸を旅し、海を渡り、何百年も時を費やし、日本に伝わってくるのですから、これは大変なことです。
このように、昔話が長く語り継がれるのは、時代が変わっても、共感する心に変わりがないからでしょう。
 
この話の馬の親子の様子が目に浮かぶ童謡、「おうま」があります。
(1)おうまのおやこは なかよしこよし
    いつでもいっしょにポックポックリあるく
(2)おうまのかあさん やさしいかあさん
    こうまをみながらポックリポックリあるく
 
この歌の作曲者、松島彝(つね)は、国府台女子学院の校歌の作曲者で、暁星学園、東洋英和女学院は、北原白秋、山田耕筰の大御所コンビ、日出学園は、西条八十、山田耕筰、聖徳大学附属小学校は、サトウハチローの作詞と、私学の校歌も、有名人の手がけたものがあり、うかつにも見逃していました。
 
それはさておき、秋も深まってきました。紅葉狩りも、日本の風物詩に欠かせない絶景の一つでしょう。♪秋の夕日に照る山もみじ♪ 童謡「もみじ」の世界ですが、もみじという木があるわけではなく、カエデ科の木、ナラ、クヌギなど赤や黄色に色づく落葉樹をもみじといい、「紅葉狩り」は「梨狩り」「きのこ狩り」「潮干狩り」などと違い、木の枝や葉を取るのではなく、色づいた
木の葉を見て楽しむものです。
 
雑木林を散歩していたときのことですが、ポトンと何か落ちてくる音がしたので探してみると、かなり大きな丸いどんぐりでした。風が吹くたびに、ポトン、ポトンと落ちて来るのでびっくりしましたね。その時に思い出したのは、「どんぐりころころ」の歌でした。私は、「どんぐりころころ どんぐり子」だと思っていたのですが、進学教室の歌姫こと、まいちゃんが、「先生違うよ。
♪どんぐりころころ どんぶりこ♪ですよ」と言って歌ってくれたことでした。
「音を立てて水に落ちるさま」なんですね。だから「お池にはまってさあ大変」となるわけです。向田邦子さんもある随筆で、野口雨情の「赤い靴」の歌詞、「異人さんに連れられて」を「いい爺さんに連れられて」、土井晩翠の「荒城の月」の「めぐる盃」を「ねむるさかづき」と覚えていたと読んだことがありますが、誤って覚えてしまうことは結構あるようですね。
 
 
 
 【最終回にあたり】
 
思い返せば、幼児教育ほど難しく、奥の深いものはないと痛感させられることばかりでした。むずかる子どもたちを、巧みにあやしてしまうお母さん方や保育園、幼稚園、幼児教室の先生方を見るにつけ、「これはかなわない」と何度も弱気になったものでしたが、その度に心の支えとなったのは、この言葉でした。
 
 心に火を点ける
  凡庸な教師はただしゃべる。
  少しましな教師は理解させようと説明する。
  優れた教師は自らやってみせる。
  本当に優れた教師は生徒の心に火を点ける。 
    ウィリアム・アーサー・ワード (19世紀のイギリスの教育学者)
 
おこがましくも、教師の代わりに「親」を、生徒の代わりに「子ども」と置き換えると、「本当に優れた親は子どもの心に火を点ける」となりますが、これこそ育児の究極の目的、ご両親の仕事ではないでしょうか。
 
本メールマガジンの情報の基礎となっている「年中行事を『科学』する」(産経新聞社 刊)の「まえがき」で永田久先生は、「年中行事は民族を象徴する。
年中行事を知ることは民族の歩みを知ることである」と述べています。将来に目を向けることも大切ですが、私たちの祖先が、どのように歩んできたかを、日常生活を通して知ることも、意義があると思います。なぜなら、年中行事やむかし話には、幼い子どもたちが、楽しく生きるために心の糧となるヒントが、たくさん詰まっているからです。
 
思惑通りになったかどうかわかりませんが、お子さんの小さな心に、ささやかな灯火を点火できればと願い挑戦してみました。皆様の育児の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきまして有難うございました。
 
お子さんの健やかな成長を、心からお祈りすると共に、素敵なお父さん、お母さんになっていただきたく、一遍の詩を紹介しましょう。雙葉小学校の説明会で配布されているものです。
 
 
         ★親の祈り★
   神さま
   もっと よい私にしてください。
   子どものいうことを よく聞いてやり
   心の疑問に 親切に答え
   子どもを よく理解する私にしてください。
   理由なく 子どもの心を傷つけることのないように
   お助けください。
   子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
   子どもの小さい間違いには目を閉じて
   よいところを心から褒めてやり
   伸ばしてやることができますように。
   大人の判断や習慣で
   子どもを しばることのないように
   子どもが自分で判断し
   自分で正しく行動していけるよう
   導く智恵をお与えください。
   感情的に叱るのではなく
   正しく注意してやれますように。
   道理にかなった希望は、できるかぎりかなえてやり
   彼らのためにならないことは
   やめさせることができますように。 
   どうぞ 意地悪な気持ちを取り去ってください。
   不平を言わないように助けてください。
   こちらが間違ったときには
   きちんとあやまる勇気を与えてください。
   いつも穏やかな広い心を お与えください。
   子どもといっしょに成長させてください。
   子どもが心から私を尊敬し慕うことができるよう
   子どもの愛と信頼にふさわしいものとしてください。
   子どもも私も 神さまによって生かされ
   愛されることを知り
   他の人々の祝福となることができますように。
 
       
      令和6年10月吉日
 
         めぇでる教育研究所 職員一同
       

 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 4★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第14号
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★★手は第二の脳 4★★
 
 ●模 写●
 
模写は、文字通り、お手本をまねて写すことです。図形と点図形の模写があります。関西では、点図形を点結びともいいます。
 
図形の模写については後で詳しくお話ししますが、幼児にとって、非常に難しく、また面倒な問題でもあり、今の段階で挑戦するのは酷なことですから、○△□の描き方についてだけお話ししてお
きましょう。
 
〇△□といった図形の模写は、文字を書くときの基礎トレーニングです。
 
○は、下から時計まわりに描きましょう。上から左回りに描くのは数字のゼロです。
 
△は、頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から右へ底辺を描きます。頂点から左斜め下へおり、いきなり右方向へ底辺を描き、今度は左斜め上の頂点を目指すのは、大人の使う簡略法で、書写違反です。
 
□は、漢字の国がまえと同じです。左上から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子がいますが、これも書写違反です。
 
今の段階で、○△□を正しく描けるようにしておきましょう。きちんと描ける子は、文字もきれいに書けるようになります。文字には、筆順がありますから、当然なのですが。
 
点図形は、対称図形が多く、きれいですから楽しく取り組めます。
簡単な問題でも、きちんと線を引き仕上げましょう。面白いことに、性格までも姿を表します。直線がよじれたり、点と点をつなぐときに脱線をしたり、通過すべき点を外す子は、何をやっても
雑になりがちです。スピードにこだわっているのでしょうが、描けていればいいのではありません。最初が大切で、ゆっくりと丁寧に、時間をかけて、きれいに描くことです。
 
そして、忘れられがちなことですが、姿勢が悪ければ線も乱れます。背筋をきちんと伸ばし、左手でペーパーを押さえてかく習慣をつけましょう。ローマの哲学者キケロは、「習慣は第二の先生
なり」といっています。「習慣は、いつしかその人の内部に深くしみこみ、生まれつきの性格のようになる」という意味で、とても大切なことです。
何も偉そうに哲学者を引き合いに出すこともありませんが……。
 
点図形は、立体の模写ができれば卒業ですが、大人には簡単に思えても、子どもには難しい作業です。どこから始めればよいのか、わからない問題もあります。必ずしも点と点を結ぶとは限らずに、サードとショートの間を抜くヒットのように、点と点の間を抜けていくものもあります。
 
これは、納得するのに時間がかかります。
 
「点と点を結ぶのに、何で抜かすのですか?」
こう思っている子がいますが、こだわるから仕掛けに気づき間違いません。ですから、じっくりと取り組む根気が必要です。どこがどうなっているのか、試行錯誤をさせた方が、後で効果が表れ
ます。観察力と集中力、そして、持久力や忍耐力も身につきます。
さらに、全体のバランス感覚を養うのにも役立ちます。なぜなら、隅から隅まで、全体をきちんと見なければならないからです。
 
絵を描くときにも、それが生きてきます。
 
ところで、頼りない線を引く子がいますが、鉛筆をしっかり持てていないからで、おそらく箸の持ち方もおかしいでしょう。問題集をやる以前の問題で、これを解決してから挑戦しましょう。
ただし、箸の持ち方は、食事の時に注意をしないことです。三度、三度、同じこといわれていては、気が滅入ります。文句をいわれているお子さんの気持ちを察してあげましょう。キチンとした線が引けるようになれば、箸も正しく持てるはずです。このトレーニングに取り組むのが、先ではないかと思います。
 
Bか2Bの鉛筆で、直線や曲線、円などをなぐり書きをさせると効果が表れます。これは、スピードをあげてもかまいません。なぜなら、速く書くには鉛筆をしっかりと持たねばなりませんし、
どの辺を持てばよいかもわかるからです。
力み過ぎはいけませんが、そのバランスも、やっている内にマスターできます。
そして、指や腕の筋肉を鍛えましょう。鉄棒、雲梯や登り棒、縄跳び、ボールつき、ブランコ、シーソーなどで、楽しく遊びながら握力がつきます。このような、遊びを通した筋肉トレーニング
も必要です。あえていえば、今日まで見過ごしてきた、ご両親の責任ではないでしょうか。
 
12号で、箸を使った問題を紹介しましたが、ああいった問題があるからといって、箸を使い、物を摘まむ訓練をするのは、試験がある以上仕方がないことですが、出題の意図を考えれば、基本
的な生活習慣が身についているか、しつけはきちんとできているかといった、子どもの成長過程を見ることにあるのですから、本末転倒なことをやっていることに気づいてほしいですね。
 
書道の先生が、箸を持ち、その内の1本を抜き取った時、筆を持つ形ができていれば、箸をきちんと持って食事をしていることになるとおっしゃっていましたが、お子さんはいかがでしょうか。
 
ペーパーテストが始まると、先生方が一斉に筆記用具の持ち方を見るのは、育児の姿勢を判定するためといわれるのも、やはり根拠があるのです。
 
大切なことですから、あえて繰り返しますが、立教女学院小学校の学校説明会でこうおっしゃいました。
 
 「あえてこの場で申し上げますが、テストの中で、箸を使う場面がありましたら、箸で物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しい箸の持ち方ができているかを見ていることをご理解いた
 だきたい。テストの趣旨はそこにあります。日本の文化でもある箸の持ち方を、きちんと身につけてほしいと考えています」
 
何年間も繰り返し同じ話をするということは、筆記用具のおかしな持ち方をする子がいるということでしょうか。しかも、受験生は女の子です。お子さんは大丈夫でしょか。箸をきちんと持てて
いれば、筆記用具も正しく持っていることになります。
 
正しい持ち方ができれば、次です。
 
小学校の国語の授業は、正しい筆順で文字を書くことから始まります。国語は、すべての教科の基礎、基本です。
 
なぜ、入学試験に、図形や点図形の模写があるか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
「たかが、○△□の書き方など」と侮っていると、お子さんは小学校のスタートでつまずきかねないことをしっかりと考える、賢いお父さん、お母さんになってほしいですね。
 
(次回は、「受験までの1年間のスケジュール」についてお話しいたしましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは「志望理由」(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第65号>
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合否のカギを握るのは「志望理由」(2)
 
 
今回は、地元千葉県の4校を取り上げてみました。国府台女子学院小学部は、第52号「志望理由の決め方(2)」で紹介しましたので割愛しました。
 
 
■日出学園小学校 
 
教育理念と目標 
 ここから大きく育つ、生きる力。
 自主性  向上心  想像力  好奇心
 小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、人間教育の実践をしています。
 
 「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断できること。
 「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組むこと。          
 「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。
 
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校の目標です。具体的な内容に関しては、学校長のあいさつを参考にしてください。 
         
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市川在住の有志によって創設されました。その中心になった青木要吉は若い日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点をおいた私塾的な雰囲気をもつ寺小屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いています。
人間形成の土台づくりは、児童期の体験で決まると思います。小学校では、学校行事の関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、その都度いろいろなことを考えて前に進んでほしいと願っています。そのために、異学年交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につけてほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注ぎ、現在、約54、000冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」とも言われているように、正しい「書写力」を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変え、ネットで注文し、購買部で購入できるシステムが導入されています。また、学内で学童保育とアフタースクールが開かれ、働くお母さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、ホームページの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
 
 
 
■聖徳大学附属小学校
 
以前は、中学から女子校でした。
そのため、男子は中学受験する必要がありました。かなりの進学実績をあげていましたので、その進学体制は充実したものであったのではないでしょうか。
幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことがあります。
2021年4月より、光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高等学校と校名を変更し共学の進学校となりました。大学は女子だけですから、男子は受験となりますが、「共学でゆとりのある教育環境で学び、自分の進む道を選ぶ」をあげてもいいのではないでしょうか。
これで小学校がある女子だけの別学校は、国府台女子学院だけになりました。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「アフタースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょう。
 
登下校についても車での送迎ができるようになりましたので、お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。また、車でのコミュニケーションが貴重な親子の時間になっている、というお父様の声もあると聞いています。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」としたそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように期待するかをまとめてみましょう。
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧をしている女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのではないでしょうか。
 
 
 
■千葉日本大学第一小学校
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になりました。大学までの一貫教育校ですから、受験を考えなければ、16年間のゆとりのある教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約70%(受験等で外部の中学への進学が30%)、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでいます。
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わたし流に、心を表す言葉として考えると、真は「飾り気のない、偽りのない心」 健は「すこやかな精神」 和は「おだやかな心」となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「大学との連携」「学習習慣の定着と学力向上」などがあります。
大学との連携では、近年、生産理工学部との連携も始まり、大学までの一貫校の強みを発揮しています。
学習については、6年間の自学が特長的です。1年生から課題を設定するのは、子どもたちにとっても自主性を身につけることができるツールではないでしょうか。また、創立以来、英語教育に力を入れ、卒業時に6年生「全員」が実用英語技能検定5級合格を目指していると、話しています。そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょう。
こういったことからまとめてみましょう。
 
なお、本校もアフタースクールを始めました。
 
 
 
■昭和学院小学校
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育)」を掲げていますが、開校以来、少数の児童に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には、「明敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明されています。
 
2020年の入試から1学年105名募集となりました。
 
青木伸生校長先生は、説明会のとき、次のようにお話しされました。
「我々が育てたい子ども像は、『どのように時代が変わっても、その中で生き抜く力を持つ子ども』。そのために、教育目標として『高い学力』と『やさしい心』を掲げている。
『やさしい心』を育てるために、日々の教育活動の中で、教師が子どもの小さなやさしさを見逃さず、それを価値づけるという活動を積み重ねていく。それがやがて、子ども同士でやさしさを認められるようになっていくと考えている。
次に『高い学力』。本校で言う「高い学力」というのは、いわゆる受験対策のような知識やテクニックだけではない。それらを包括しているが、『未知の問題に立ち向かうことができる力、試行錯誤しながら何とか解決していこうとすることができる力』を高い学力と位置付けている。」
 
また、鈴木祐子元校長は以前、
「『明敏謙譲』の建学の精神のもとに、心と体と頭を磨き、謙虚さを備えた心身ともに健康な子を育ていく」とおっしゃっていました。
 
「心と体と頭を磨き」、響きのいい言葉ですね。「頭を磨き」が先行すると、頭でっかちな子になりがちです。子どもが望むのではなく、親がそう仕向けることに問題ありですね。
 
建学の精神である「明敏謙譲」については、例によって、育児の姿勢として私ども流に考えるとこうなります。
 
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の図書館教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないでしょうか。当然、やっていると思いますが、音読を加えれば効果抜群、などとおこがましい限りですが。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついていけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考えるのも当然ではないでしょうか。
それについて鈴木祐子元校長は、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちまちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する差はなくなります」
とおっしゃっていますから、心配ないようです。
   注 ESL(English as a Second Language)英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには英語の授業が3講座設けられており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではないでしょうか。
本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、ホームページで進学状況の実績を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りしておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っていても、言う必要はありません。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎません。こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。
それは、幼稚舎が作文をやめ、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思います。
 
暑かった夏の疲れが出る頃です。家庭学習は無理をせず、体調を崩さないように、ゆったりと構えて取り組みましょう。無理は禁物です。
 
 
    (次回は「直前の心構えについて」を予定しています)

 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章  七五三でしょうな 霜 月(2)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第48号-
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第13章 七五三ですね 霜月(2)
 
 
9月17日(火)の十五夜の満月をご覧になった方、10月15日(火)の十三夜も見ておきたいものです。「両方見ないと縁起が悪い」と言われていたそうですが、これは江戸時代の遊里、吉原の客寄せのキャッチフレーズで、「両日ともいらっしゃい!」が狙いだったとか。考えたものですね(笑)。
 
「箱根、仙石原のすすきが色づき始めました」とテレビで放映されていましたが、絶景です。お子さんに、満月とすすき、日本の秋の風物詩を肌で感じさせたいものです。
 
 
 ★★むかし話と伝説の違い★★
 
孫引きで気が引けるのですが、「昔話と伝説」について、わかりやすい解説がありますので、紹介しましょう。
 
昔話と伝説には区分がある。
「昔、昔、あるところにお爺さんとお婆さんがいました」と始まるのは昔話のほうである。いつ、どこで、だれが……を特定していない。いつでも、どこでも、だれでもかまわない。
そこへ行くと伝説のほうは、「伊吹山と浅井岳は古くから高さを競い合っていたが、あるとき浅井岳が一夜にして背を高くした。伊吹山の神タダミヒコはおおいに怒って浅井岳の神アサイヒメの首を斬った。首は琵琶湖に落ちて島となり、これが竹生島である」といったぐあいに、まことしやかである。いつ、どこで、だれが、といった事情がそれなりにはっきりとしている。とりわけ土地との結びつきが深い。どこで起きたことなのか具体的に記されている。
柳田國男 (1875-1962)の言葉を借りれば、
「伝説と昔話とはどう違うか。それに答えるならば、昔話は動物のごとく、伝説は植物のようなものであります。昔話は方々をとび歩くから、どこに行っても同じ姿を見かけることができますが、伝説はある一つの土地に根を生やしていて、そうして常に成長してゆくのであります。雀や頬白(ほおじろ)はみな同じ顔をしていますが、梅や椿は一本一本に枝ぶりが変わっているので見覚えがあります」(「日本の伝説」はしがき)
とあって、このたとえ話はわかりやすい。
伝説は土地との関わりにおいていろいろな枝葉をつけ、人々の願望を反映して成長していく。昔話はどこにでも移っていく。同じような話があちこちにある。
多少姿がちがっても「同じものだな」と見当がつく。                       
(集英社文庫 「ものがたり風土記」P23  阿刀田 高 著 集英社 刊)   
                         
「さすが、柳田國男先生」などとおこがましい限りですが、「昔話は動物のごとく、伝説は植物のようなものであります」の一言ですね。
 
 
 
【十一月に読んであげたい本 (1)】
 
七五三は、親が子どもの健やかな成長を祈る日です。しかし、かけ過ぎる愛情は、子どもの成長を妨げがちです。七五三は、親の子どもに対する愛情チェックの節目ではないかと思います。子を思う親の素朴な愛情を描いた昔話は、心があたたまります。
 
蛇というと、嫌われものの代名詞のようで、昔話でも悪役が多いのですが、この話は違います。もともと蛇は、水の霊、水の神さまのお使いと信じられていました。この話は、自然の恐ろしさと、お母さんの子を思う姿を伝えた話ですが、嫌われがちな蛇だからこそ、説得力があります。親子の愛情、特に母親の見返りを求めない無償のほほ笑み的な子を思う心は、理屈を越えた素晴らしいものです。
 
 ◆へびのよめさま◆   丸山 邦子 著
 
 むかし、あるところに、一人のお百姓さんが住んでいました。
 ある時、子どもたちがいじめていた蛇を助けてあげると、その晩、美しい女性が、一晩泊めてほしいと訪ねてきました。次の日、お百姓さんが仕事を終えて帰ってくると、その美しい女性が食事の支度をしていたのです。そうこうしている内に夫婦になり、子どもができ、お産の時は見てはいけないと言われましたが、心配のあまりのぞいたのです。すると、部屋の中には大きな蛇がいて、とぐろの上に赤ん坊を乗せ、なめていたのです。
 やがて、赤ん坊を抱いて出て来て、
「私は、助けてもらった蛇で恩返しに嫁になりましたが、姿を見られては、とどまることは出来ません」と言い、赤ん坊が泣いたら、しゃぶらせてほしいと美しい玉を渡すと、沼に姿を消したのです。赤ん坊は、玉をしゃぶり、健やかに育ちました。
 ところが、話を聞いた殿様は玉が欲しくなり、家来に言いつけて、取り上げてしまったのです。腹を空かせた赤ん坊は、泣きやみません。途方に暮れたお百姓さんは、沼の淵で、ことの次第を話しました。すると、大きな蛇が、口に玉をくわえて現れたのです。一つの目から血が流れ、もう一つの目は、ふさがっていました。美しい玉は、蛇の片目だったのです。取られたのなら仕方ないと、もう片方の目玉をくれたのでした。
 しかし、この玉も殿様に奪われてしまうのです。
 お百姓さんが、このことを告げると、蛇は怒り、
 「子どもを連れて山へ逃げてください!」
と言ったので、お百姓さんは、子どもを背負って駆け出しました。頂上に着いたとき、沼の水が盛り上がり、城に向かって流れ出したのです。恐ろしい力で向かってくる水の力に、城は、ひとたまりもありません。みんな流されたその後は、湖になってしまったのでした。 
 九月のはなし きのこのばけもの  松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修 日本民話の会・編 国土社 刊 
 
 
日常生活を快適に過ごすために、やってはいけないことを定め、それを破ると破局を招く発想は、「古事記」の上巻に、豊玉姫(トヨタマヒメ)の出産をのぞいたことで離別する神話があります。姫の正体はふかでしたが、その他にも、機を織る仕事場をのぞいてしまった「鶴の恩返し」や、魚や貝が恩返しをする話などでよく知られています。「見ないでください」といわれると見たくなるのは、「怖いもの見たさ」と同様、人間の悪しき性(さが)のようですね。
 
これとよく似た話があります。
 
両目を失った蛇から、「私は盲目となってしまい、わが子の姿を見ることができなくなりました。三井寺の鐘を毎日撞(つ)いて、子どもの無事を知らせてください。年の暮れには、1年過ぎたことがわかるように、多くの鐘を撞いてください。お返しに人々に幸運を授けましょう」という滋賀県の伝説「三井寺の晩鐘」です。以来、三井寺では、除夜の鐘に際し、多くの燈明を献じ、目玉餅を供え、108に限らず、できるだけ多くの人に、できるだけ多く鐘を撞いてもらう特別の儀式が行われています。(www.shiga-miidera.or.jpより)
       
 
 
ところで、最近、落語を聞く機会がほとんどなくなりましたが、「寿限無(じゅげむ)」という噺があります。子どもがけんかをして、寿限無にぶたれた子が、こぶを寿限無の親に見せるのですが、名前があまりにも長いために、文句をいっているうちに、こぶがへこんでしまった噺です。名前の長さは、この話に出てくる名前の五倍ほどあり、それをきちんと覚えている噺家さんは、すごい記憶力だなと、感心させられます。
YouTubeで若き日の故立川談志師匠の「寿限無」を聞くことができます。
 
気持ちはわかるのですが、親の愛情が行き過ぎると、妙な具合になる話です。
名前は、一生の付き合いですから、あまりこったものでは、本人が大変です。
 
 ◆長い名まえ◆   浜田 廣介 著
 
むかし、ある村外れに、「やぶん中」と呼ばれる家がありましたが、どうしたわけか、子どもが無事に育たず、3、4歳になると、あの世に行ってしまうのです。ある年に、男の子が生まれ、心配したおじいさんは、長生きできるように、長い名前をつけることにし、和尚さんにお願いしたのです。
つけた名前は、「一丁ぎりの丁ぎりの、丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山こえて谷こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう長助」でした。これで、長生きできると、おじいさんは安心して帰るのです。
ある日のこと、長助は川へ菖蒲をとりにいき、丸太の橋を渡ったときに、足を滑らせ落ちてしまったのでした。友達は、おじいさんに知らせました。
「やぶん中のおじちゃん、大変だぁ。おじいちゃんちの、一丁ぎりの丁ぎりの、丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山こえて谷こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう長助ちゃんが、落っこちたぁ、落っこちちゃったぁ、川ん中へ!」
声を聞いて、出てきたおじいちゃんは、
「おおい、子どもしゅう。一丁ぎりの丁ぎりの、丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山こえて谷こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう長助が、どうしたって。どうしたぁ?」
「川ん中へ落っこちたぁ!」
「そいつは、たいへん」
おじいさんは飛び出していき、近所の人も駆けつけ、間一髪のところで助かったのでした。
    世界民話の旅 9  日本の民話 浜田 廣介 著  さ・え・ら書房 刊
 
「長い名前で助かった」と思いたいのが人情ですね。原作では、井戸に落ちて死んでしまうことになっているそうです。再話で命を救ったのは、作者、浜田廣介の愛情ではないでしょうか。
 
 
 (次回は、「11月に読んであげたい本(2)と最終回にあたり」についてお話ししましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 3★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第13号
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★★手は第二の脳 3★★
 
●絵 画●
 
お絵描きは、歌や踊りと同様、子どもにとって大切な表現方法です。子ども達はお絵描きが大好きですが、これも生まれ月、月齢差が表れますから、このことを考えてあげなければ、発育状況に
そぐわない要求をしがちで、子ども達には困ったことになります。
 
まず、お子さんの絵の描き方を、思い出してみましょう。
 
2歳頃は、点や線のなぐり書きでした。
 
3歳頃から、円や四角らしきものが表われて、ある日、突然、頭から手足がニョキニョキ出ている絵を描き、やがて頭と体が分かれ、一応、人間らしくなりますが、手は電信柱のように、横に真
っすぐ伸びたままで、年長になった頃から手も下におり、やっと人間と認められる絵になったのではないでしょうか。
 
そして、必ずといっていいほど、お日さまが輝いています。
 
ここまで来るのに、4、5年かかる子もいますから、子ども達には大変な仕事でもあるわけです。
しかも、絵を描く作業は、促成栽培的に腕をあげることはできません。お子さんの生育史が、そのまま表れてくるのではないかと思います。
 
なぜ、小学校の入学試験に絵を描かせる課題があるのでしょうか。
 
ただ、単に、絵の巧拙を評価するためとは、考えにくいことです。
大人は、自分の考えを相手に伝えるのに言葉だけで足りますが、幼児は、それだけでは十分とはいえません。
言葉で足りなければ、体全身で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの手段ですが、絵も、その一つです。
 
自分の思っていることを、絵で表したいのです。
 
ですから、子どもは、絵の巧拙にこだわらずにせっせと描きます。
そばで見ていると、本当に楽しそうで、こういうときの子どもの目は輝いています。
 
以前、慶應義塾幼稚舎が、イーゼルを立てて絵を描かせたことがありました。
評価のポイントは、初めてのことに積極的に取り組む意欲や行動力だと考えましたが、舎長は、ある雑誌のインタビューで「子どもの顔を見たかったから」と答えていました。
 
第8号でも紹介しましたが、思い出してください。
絵は、子どもの感性が、そのまま表れるものだと思います。
 
感性= 
(環境+五感が受けた刺激)×(好奇心+観察力)÷そしゃく力
 
また出てきました。おかしな式だと思われた方、私ども流ですのでご容赦ください。
しつこいようですが、感性とは、子ども自身が、与えられた環境の中で、自らの力で培ってきた、自前の能力だと言いたいのです。
ですから、親の思惑で、絵についていろいろと注文をつけ始めると、面白くない絵になるのではないでしょうか。それは、お子さんの自前の感性で描いた絵ではなく、第三者に教えこまれた絵だ
からです。どなたがおっしゃったのか定かではありませんが、それを「大人の手あかのついた絵」というそうです。
 
受験のためのお絵描き教室も、その一つではないでしょうか。
絵を描かせる学校が増えていますから、対策用のお絵描きです。
これもうわさの一つで真偽の程はわかりませんが、「テーマは秋」だとすると、10人が10人とも枯葉の舞う絵を描き、しかも全員、申し合わせたように葉っぱを黄色に描くそうです。
 
こんなことをしていると、子どもの感性は、おかしくならないでしょうか。
第一、子どもが落葉を見て、ホッとため息をついて、「人生、無常ですね!」などと枯葉の舞う様子を描いているとは、考えられないことです。
 
秋であれば、子どもが楽しみにしていることは、たくさんあるのではないでしょうか。
お月見、遠足で出かけた芋掘り、ぶどう狩りや運動会など、楽しい思い出が残っていれば描くはずです。
こういった噂は、本当に噂であってほしいものです。
 
自分の描きたいことを、自分流儀で描ければ、いいのではないでしょうか。ウルトラマンと戦う怪獣が、ものすごい勢いで、真っ赤な炎を口から吐き出している絵を見たことがあります。
 
画用紙全体を使って、迫力がありました。
 
子どもに聞くと、
「どんな武器を持っていても、ウルトラマンは、絶対に、負けないんだよ!」と興奮気味に話していましたが、「これだ!」と思いました。    
何だかよくわからない怪獣でしたが、口から出る怪しげな炎の色といい、鋭いつめの形といい、「あやうし、ウルトラマン!」の感じが、よく表れていました。
その子は、ウルトラマンは、天下無敵だと信じているから、こういう絵になったのでしょう。
ウルトラマンは、絶対に負けないと信じている子どもの気持ちが、素直に伝わってきます。
 
画用紙全体を使って描いているのも、いいですね。
 
これが、左右の端っこに、細かくコチョコチョと、何やらわからないように描かれているようでは、心配です。
しかも、色が黒や灰色などで、暗い感じのする絵では、真剣に、お子さんの置かれている環境を、早急にチェックする必要があると思います。
 
「絵は心の窓」ともいわれているように、子どもの感性は、鏡に映るように表れるからです。
 
また、絵を描きたがらない子が増えていると聞きますが、絵を大人の思惑で、評価しているのではないでしょうか。
そうだとすれば、かわいそうです。
子どもの描く絵に口を出さずに、のびのびと描かせてあげることが大切です。もし、お父さんやお母さんが、絵を描くのを苦手としていたら、なおさらのことです。
 
小学校側も、大人が考えるような、巧い絵を期待していないと思います。
その子に育まれている感性をみたいのです。
ですから、一つの話を聞いた後で、
「この話は、どのようになっていくと思いますか。それを絵に描いてみましょう」
といった問題に発展させ、子どもの頭の中をのぞきたいのです。
 
絵の巧拙だけを、見ているのではありません。
 
百人の受験生がいたら、百枚の違った絵が描かれるのではないかと思います。
 
逆を考えてみましょう。
もしも、百枚とも同じ絵だとしたら、マインドコントロールされていることではないでしょうか。
これは、恐ろしいことです。
過保護、過干渉では、子どもの感性まで、コントロールすることにもなりかねません。
 
「個性を伸ばしてあげたい」とお考えなら、子どもの感性を磨ける環境を作ってあげましょう。
専門家の先生にお叱りを受けるかもしれませんが、子どもの描く絵は、写生ではなくイメージ、想像力の集結されたものだと思います。
五感のアンテナを刺激してあげれば、感性は育まれるものです。
 
本を読んであげることからも、たくさんの刺激を与えることができます。また、日本には、恵まれた自然があり、四季折々の自然の変化を、五感を通して、きちんと身体にしみ込ませておきまし
ょう。
 
絵を描くテクニックより、ものを観る心の眼を育てることです。
小さい時こそ、本物に触れる機会をたくさん持つことが、大事ではないでしょうか。
そこから感性は育ってきます。
感性は、ご両親の作る環境で培われるものです。 
 
「お母さん、ぼく、絵描きさんになりたい!」
心の準備ができてからの絵画教室は、最高の教場になるはずです。
 
お断りしておきますが、「絵画教室が駄目だ」などと、そんなだいそれたことをいっているのではありません。プロの先生方に叱り飛ばされます。皆さん、お子さんの感性を大切にして指導され
ていますから、何ら心配ありません。
 
心配なのは素人の方、特に、お父さんやお母さん方が、お子さんの描く絵に注文をつけることです。
 
繰り返しますが、感性はご両親の作る環境で培われるものです。
 
最後に、お願いしておきたいことがあります。
 
それは、描いた絵について、何を描いたか聞いてあげることです。
それらしく見えなくても、何を描きたかったのかわかりますから、そこを褒めてあげましょう。
幼児が描いた絵は、その時点で、お子さん自身の最も優れた作品であることを忘れないでください。
 
 
 (次回は、「鍛えてほしい第二の脳4」についてお話しましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは「志望理由」(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第64号>
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合否のカギを握るのは「志望理由」(1)
 
 
志望理由のまとめ方について、模擬面接をしていて少し気にかかることがありましたので、付け加えておきましょう。それは何かと言いますと、志望理由にあまり説得力がないことが多いなと感じます。
 
例えば、雙葉小学校を志望されるご家庭との面接を再現すると、こうなりがちです。
 
「お父さんにお伺いします。本校を志望される理由をお聞かせください」
「はい、校訓である『徳においては純真に、義務においては堅実に』に賛同して受験しました」
「では、お子さんに、普段の生活で、どのように教えていますか」
と尋ねると具体的な説明がありません。
 
小学校の案内書やガイドブックに書かれている建学の精神や校訓を、そのままおっしゃる方が多いのですが、これでは学校側を納得させることは不可能ではないでしょうか。
既に、志望理由も明確になっているはずですが、もう一度、原点に戻り、以下のように、学園全体の教育体制について考えてみましょう。
ただし、ここでいう共学は小学校の場合で、中高は別学の学校も含まれていることをお断りしておきます。
 
また、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校は、面接はありませんが、志望理由をまとめる参考にしてください。
 
白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科、立教小学校、立教女学院小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
1から4について、どういったことを期待しているかを書いてみましょう。
4については、例えば、白百合学園小学校の場合、学園の校訓である三徳、 勤勉・従順・愛徳について、
  従順…すすんでみがこう正しい心
  勤勉…すすんでなんでもいっしょうけんめい
  愛徳…すすんで親切よろこんで
ということですが、これをわたしども流に、従順は「素直」、勤勉は「一所懸命頑張る」、愛徳は「思いやり」と置き換えると、いずれも皆さん方が育児で大切にしていることではないでしょうか。
 
青山学院初等部、淑徳小学校、聖学院小学校、玉川学園小学部など。
1.宗教教育 2.共学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
4について、青山学院初等部のスクールモットー「あなた方は世の光、あなた方は地の塩である」は、幼児の場合ですから、「世の光」は自立していること、「地の塩」は協調性や社会性といった集団生活への適応力と考えると、「5つの約束」の意味がよく理解できるのではないでしょうか。
 
   5つの約束
    ・しんせつにします
    ・しょうじきにします
    ・れいぎただしくします
    ・よくかんがえてします
    ・じぶんのことはじぶんでします
 
「『しんせつにしよう』ではなく『しんせつにします』と自ら発信していることだ。ここに初等部教育の原点がある」と説明会でも当時の部長は言っていましたが、ポイントは、自立と自律、そして集団生活への適応力ですが、育児で大切にしていることではないでしょうか。
さらに、ランドセルなし、通信簿もありませんが、こういったことも視野に入れる必要はないでしょうか。
ホームページの「国内短期留学 止揚学園」を見てください。「すべては教場」、初等部はこういった教育をする学校でもあるのです。
 
慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成蹊小学校、早稲田実業学校初等部、千葉日本大学第一小学校、桐蔭学園小学部など。
1.共学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 慶應義塾幼稚舎
   独立自尊について   
   一年生が入学した時に「三つの約束」をします。
    ・うそをつかない。
    ・お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
    ・自分でできることは自分でする。
この三つの約束こそ、独立自尊の精神を身につけるための第一歩です。
皆さん方は、普段からお子さんに、
「うそをついてはいけません」「約束は守りなさい」「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」と言ってきかせ、実践しているのではないでしょうか。
お母さんの教えこそ、まさに「独立自尊の精神」そのものではありませんか。
 
日本女子大学附属豊明小学校、川村小学校など。
 1.別学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 日本女子大学附属豊明小学校
   三綱領 信念徹底・自発創生・共同奉仕について、 
     ○ 信念徹底(正しいと考えたことはやりとげる)
     ○ 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
     ○ 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
わたしども流に解釈すれば、
     ○ 信念徹底は、はじめたことは途中でギブアップせずに、最後まで頑張る子
     ○ 自発創生は、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子
     ○ 共同奉仕、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子
となりますが、こういったことを大切にしていれば、三綱領を育児に取り入れていると言えるのではないでしょうか。難しく考える必要はないと思います。
 
雙葉小学校 田園調布雙葉小学校 横浜雙葉小学校 光塩女子学院初等科 暁星小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.高校までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
 
雙葉小学校については、しばしば紹介してきましたので、ここでは暁星小学校を取り上げますが、雙葉小学校に対して一点付け加えておきましょう。それは「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。自分で自由に学び、決定することができ、責任のとれる人に育てていく」という言葉です。前校長の河野先生が例年おっしゃっていましたので参考にしてください。
ちなみに子ども達には、「置かれた場所で咲きなさい。」と都度お話があったそうです。
 
例 暁星小学校
「鍛える教育」の究極の目的は、日本昔話のキャラクターである「気は優しくて力持ち」の男子の育成です。
もやしっ子を解消するために始めたサッカーを考えてみましょう。サッカーは11人で戦いますが、ボールをキープした選手は、相手を自分に引きつけておき、ギリギリのところでパスをして味方にボールをつなぎ、最後にゴールへ蹴りこめるのは、たった一人です。旺盛なファイトとフェアーな精神、チームワークの育成、しかし、学業をおろそかにしていると、優秀な選手でも練習に参加させてもらえない「練停」があり、文武両道、ここに暁星学園の教育目標が表れていないでしょうか。
 
以前の話になりますが、平成27年の説明会では、現役で東京大学と早稲田大学に入った二人の出身者の小学校時代の体験をつづった作文を朗読、東大生は聖歌隊、早大生はサッカー部の話でしたが、いつもの校長の話を裏付ける厳しい「文武両道」の話は参考になりました。
特に運動の得意な子でなくてもやればうまくなる話は、自ら挑戦する意欲こそ、鍛える教育の原点であることや、部員のすべてが東大をはじめ難関校を目指す中での切磋琢磨する話は、説得力がありました。
 
模擬面接でも、「小学校は親が良かれと選んであげるが、大学は自らの力で挑戦すべきだ」とおっしゃるお父さん方が多く、二人の話はこれを裏づける頼もしいもので、こういったことも参考にされてはいかがでしょうか。
 
「れんてい」という言葉は、サッカー部出身の学生さんの話にあったので、「練習参加停止」のことではないかと思い、勝手に「練停」と当て字を書きましたが、説明会で先生に伺ったところ、「練停」でいいそうです。
 
 
 (次回は、「合否のカギを握るのは「志望理由」(2)」 についてお話しましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章  七五三でしょうな 霜 月(1)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第47号-
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第13章  七五三でしょうな 霜 月(1)
 
9月17日の十五夜をご覧になった方、10月15日の十三夜も見ておきたいものです。「両方見ないと縁起が悪い」と言われていたそうですが、これは江戸時代の遊里、吉原の客寄せのキャッチフレーズで、「両日ともいらっしゃい!」が狙いだったとか。考えたものですね(笑)。
 
十五夜と言えば、お月見団子とススキを連想しますが、そのススキはネットによると「箱根、仙石原のススキが見頃」だそうです。お子さんに、ススキや月見団子など日本の秋の風物詩を肌で感じさせたいものです。
 
ちなみに今年の十五夜は満月ではなく「ほぼ満月」でした。次に十五夜が満月なのはなんと2030年だそうです。
 
さて、物の本によると、霜月(しもつき)のいわれは、文字通り「霜が降る月」という意味だそうです。
その他に、「凋(しぼ)む月」や「末つ月」がなまった説もあるそうですが、あまりいわれていないようですね。
 
 
 ★★なぜ、11月15日なのですか★★ 
 
11月といえば七五三でしょう。11月15日は、七五三のお祝いです。三歳になった男の子と女の子、五歳になった男の子、七歳になった女の子が、新しい着物をきてお宮へお参りし、神様に子どもの健康と成長をお祈りして、普段、ご無沙汰の限りをつくしている氏神さまへ、ご報告に出かけるわけです。氏神さまとは、その土地に生まれたものを守る神様で、鎮守の神、産土(うぶすな)の神のことです。これも、当然ながら、訳ありです。
     
 七五三は、もともとは徳川幕府の三代将軍家光の四男徳松(後の五代将軍綱吉)の身体が虚弱体質だったので、五歳の祝いを慶安3年(1650)11月15日に執(と)り行ったのがはじめといわれている。
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P200)
 
その理由ですが、昔の暦には、いろいろと暦注があり、それぞれの「吉凶」が記されていますが、その暦注の中に「きしく」があります。「きしく」は、「鬼宿日(きしゅくにち)」のことで、鬼の宿る日と書きますから、何やら大凶のような感じがしますが、江戸時代の初期に使われていた暦、唐から入ってきた「宣命暦」(せんみょうれき)によると、「よろずよし、ただし婚礼には
忌むべし」の日になるのです。宣命暦は、インドの宿曜経(すくようきょう 人々の吉凶を知る方法を説く経典)に基づいて作られており、本家のインドでも、鬼宿を尊んでいます。お釈迦様が生まれた紀元前463年4月8日は、鬼宿でした。インドでは、鬼宿を最善の日としているのもうなずけますね。
 
そして、日本は、何といっても農耕民族です。古くより田の神さまは、春には山から下りて田畑を守り、秋には山に帰るものと信じられていましたし、そのために人々は、春には稲が順調に育つようにと祈り、秋には豊かな実りを感謝するしきたりがありました。
 
11月15日は霜月の祭りで、収穫を終えた稲や穀物と酒を供え、神さまのお恵みに感謝をする日だったのです。人々も、一年間の労働から開放された喜びの日です。
 
後の五代将軍の五歳のお祝いが11月15日に行われた理由は、ここにあったわけです。権力の頂点に君臨する将軍ですから、そのご威光とお祭りの日が重なった鬼宿日こそ、祝日に最もふさわしい日だったのです。こうして、11月15日が、七五三の日と決められたのでした。
 
 
 
 ★★七五三の本来の意味★★
 
今の七五三は、美しく着飾って神社へお参りし、千歳飴をもらい記念写真を撮って、食事をして帰る、一見、楽しそうですが、子どもにとっては何とも不自由な日、という感じもしないわけではありません。
      
女の子に聞いてみると、着物をきて、お化粧するのは嫌いではないのですが、この日だけは例外らしいのです。帯を何本も巻かれ苦しい思いをして、のどが渇いてジュースを飲むにも、わき目もふらずに飲むことに集中し、ソフトクリームなどとんでもない話で、もう、クタクタになるそうです。女の子の着物は購入する場合ももちろんですが、レンタルでも大変高価です。奮発してお金をかけますから、汚すと大変です。親中心のお祝いでは、こうなりがちですね。
 
しかし、本来の七五三の目的は、素朴で厳粛な祝いだったのです。
 
昔の赤ちゃんは、ほとんどが頭をつるつるにそっていました。三歳になって、初めて髪の毛を伸ばし、「もう赤ちゃんではありません」というお祝いをしました。これを髪置(かみおき)といいます。
 
男の子は、五歳になると初めて袴をはくお祝いをしました。これを袴着(はかまぎ)といいます。
 
七歳の女の子は、それまでの、ひものついた着物から、ひものついていない新しい着物に代えて、初めて帯を結ぶお祝いをしました。これを帯解(おびとき)といいます。
 
この三つのお祝いを一つにまとめたのが、七五三の行事でした。 
 
昔の人たちは、子どもは神さまの子どもで、七歳になったとき、初めて人間の子どもになると思っていました。ですから、こういうお祝いをして、早く人間の子どもになることを神さまにお願いしたのです。「これで一人前の子どもになった!」と祝うのが、本来の七五三の意味なのです。
 
ですから、昔は、七歳までは、社会の一員として認められていませんでしたし、罪を犯してもとがめられず、また、喪に服することもなかったのです。一人前としての生存権を認められるのは、七歳からでした。今の義務教育が七歳になる年から始まるのも、やはり、訳ありなのです。
 
また、七五三は、それぞれ子どもの成長過程の節目にもあたります。
三歳は、親の手を借りずに自分でできるようにする自立の始まるときです。
五歳は、集団生活への適応力を身につける自律の始まるときです。
七歳は、学校教育が始まり、独り立ちの始まるときです。
 
七五三、やはり奇数がめでたい数ですから、こうなるのでしょうが、こうして見ると、その歳々に意味のあることがわかります。成長に伴い、自分でしなくてはならないことが増えるのですから、親が過保護にならないための戒めでもあったのです。しかし、今は子離れのできないお父さん、お母さんが、増えていると思えてなりません。
 
4月の「花祭りですね」でも触れましたが、子どもの成長過程をこう考えています。                         
一歳は、五感を通して受ける刺激に反応して成長する条件反射の時期。
二歳は、ご両親のお手本を見ながら学習する模倣の時期。
そして三歳は、自分の力で生きていくための自立の時期だということです。
 
ですから、やっていることをみて、口をはさみむようでは過干渉であり、手を貸したくなるようでは過保護だと思います。三歳過ぎても、何かにつけて口をはさみ、手を貸していると、いやな言葉ですが超過干渉であり超過保護です。
 
五歳を過ぎれば、一人前の人間になる修行の始まるときです。何でもお子さん自身にやらせるべきで、試行錯誤を積み重ねながら、自立心は育まれるもので、ここでも「失敗は成功のもと」です。いつまでもお母さんが口を出し、「早くしなさい!」「何をグズグズしているの!」などといわれ続けていると、自分でやろうとする意欲など育ちません。
 
子ども達がいちばん嫌いな言葉は、「早くしなさい!」です。
 
できないから早くできないのであって、どれだけ無理な注文をしているか、真剣に考えてください。そして、しなやかな気持ちで、お子さんと接するお父さん、お母さんになってあげましょう。主にお母さん方が得意とする料理、なぜ、レシピを見ないで素早く、上手に、美味しく作れるのでしょうか。試行錯誤を積み重ねた結果ではありませんか。
 
七歳は、独り立ちして育っていくことを願う前祝いです。きれいに着飾るのもお祝いですから結構ですが、それだけではなく、親が精神的に子離れをする最後の時期だと思います。
 
お父さん、お母さんの自立を見守る温かい眼差しは、子どもの自立心を培い、そこから自律心も育まれます。先にもお話ししましたが、義務教育が始まる時であることも、成長の理に適っているわけです。
 
 
 
 ★★千歳飴★★
 
七五三といえば千歳飴。記念写真を見ると、千歳飴と印刷された袋を持っていますね。
「千歳」とは千年のことですから、長寿への願いがこめられているわけです。
袋には、縁起物のシンボル松竹梅や、長寿の代表であるつるやかめ、それに翁や婆の絵をあしらった、これ以上はない、めでたいデザインが用意され、その中に、これでもかと紅白のあめの棒が入っています。めでた尽くめの千歳飴は、江戸の宝永時代のころ、観音様で有名な浅草寺のある浅草で、豊臣家の残党の一人であった平野陣九郎重政が、甚右衛門と名を改め、あめ屋となって始めたものといわれているそうです。千歳飴は長く伸びるので、子どもがぐんぐん大きくなって、いつまでも長生きできるようにと食べたのでした。
同じ飴で、今でも覚えているのは金太郎飴です。不思議でしたね、どこを切っても、同じ顔の金太郎さんが出てくるのですから。
現代の子は、食べているのでしょうか。
 
 
 
 ★★人の一生の祝い★★
 
お宮参り、七五三、成人式、還暦などは、今でもお祝いされていますから、耳新しい言葉ではないでしょう。しかし、三日祝、卒寿となると、「……?」となるかも知れません。
 
いずれも、人が生まれてから年をとり、老いて亡くなるまで、その年齢に応じた、さまざまな通過儀礼といわれているお祝いがあります。昔は、今のように医学が進歩していませんでしたから、病魔から命を守るために行った儀式でもあったのです。本来、祝いの対象となる年齢は、生まれた年を1歳とする数え年でしたが、今日では、生まれた年は0歳で翌年の誕生日の前日終了で1歳とする満年齢で行われています。さて、皆さんは、どのくらいご存知でしょうか。
 
[三日祝] 
湯始めを行い、三日衣裳という袖のある産着を着けさせる日で、お母さんは産後ですし、お父さんは新米のパパですから、ここはおばあちゃんの独壇場です。
                        
[お七夜] 
生後7日目、名前を付ける命名式を行う日で、昔は神棚に名前を飾り、家の神様に報告したものです。 
 
[お宮参り] 
地方によって異なりますが、男子は生後31日か30日、女子は32日か31日に産土神(うぶすながみ)にお参りをします。そんな昔のことではありませんから、覚えているでしょう。産土とは、その人が生まれた土地のことで、産土神とは、その人の生まれた土地を守る神さまで、鎮守(ちんじゅ)の神、氏神ともいいます。この頃のお母さん、輝いていますし、お父さんもファイト満々です。
 
[お食い初め](おくいぞめ)
生後100日目または120日目に初めてご飯を食べさせる内祝ですが、まだ、ご飯は無理ですから、実際は食べさせる真似をするだけです。離乳食を経て自分の手で食事のできるようになるまで、本当に大変な時期でした。
 
[初節句]
生まれて初めての節句、女の子のひな祭り、桃の節句と男の子の端午の節句です。初孫であれば、おじいちゃん、おばあちゃんの存在を有り難く思い、感謝する日です。
 
[七五三]
省略しますが、この間に入園、入学の内祝いがあります。「幼児にはシックスポケットあり」といわれていますが、お父さん、お母さん、ご両親の祖父母を入れると6つのポケットがあり、幼児にとって強力なスポンサーとなるという意味です。七五三も両祖父母の楽しみな祝になっているようです。
                          
[十三参り]
4月13日に初めての厄年の13歳の子どもが、福徳と知恵と健康を授けていただくために虚空菩薩様にお参りする日です。13歳は、精神的にも肉体的にも、子どもから大人へ成長する途中の不安定な過渡期で、最初の厄年にあたるところから、厄除けする意味もあります。中学生がこの時期にあたるわけです。
 
[成人式]
今は成人は18歳。お祝いは地域によって18歳または20歳に祝いますが、本来は、男子は15歳、女子は13歳が一般的でした。奈良時代に起きた元服から始まった儀式で、ヨーロッパやアメリカにはないそうです。成人の年齢を迎えても、自由と権利だけを主張し、義務を無視している自己中心の子どもに育てるのは、親の責任不履行の結果ではないでしょうか。
心したいものです。
 
 注 元服とは、奈良時代以降の男子の成人を示す儀礼、頭に冠を付ける意味。
   女子は裳着(もぎ)といって、平安時代以降、女子の成人を示す儀礼、初めて裳をきせるもの。裳とは、表着(うわぎ)や袿(うちき)の上に、腰部から下の後方だけをまとった服。
   (「ウィキペディア フリー百科事典」より)
 
[厄年]
厄年とは、「人の一生の内、何かの災いにあいやすい年齢をいい、医学の発達した現代においても、何事においても慎まなければならない年」で、男子42歳、女子33歳が大厄です。本人に災いがなく周りに起こる場合もあり、心意現象として片付けるわけにいかない、不思議な現象といえます。
                       
[還暦]
60歳、生まれた年の干支に返ることから「還暦」と呼ばれています。昔は、赤い帽子をかぶり、ちゃんちゃんこを着て祝ったものですが、最近はどうでしょうか。「ちゃんちゃんこ」とは、子どもの着る袖のない羽織のことです。
 
[古稀]
70歳のお祝いです。古稀の由来は、「国破山河在 城春草木深…」でおなじみの唐代随一の詩人、朴甫の『曲江詩』の中にある「人生七十古来稀」の句で、この前文に「酒債は尋常行く処に有り」、「酒代のつけは私が行くところ常にある。70年生きるのは稀であるから、今のうちに酒をたくさん飲んで楽しんでおこう」という意味だそうです。
     (注「稀」は当用漢字にはなく「希」と書く場合が多い)
 
[喜寿]
77歳、「喜」の草書体が、七を三つ書き七十七と読めるところから、喜寿の祝いとなりました。以降の命名と由来は、文字から起きたものです。
 
[傘寿]
80歳、「傘」の略字が、八と十から成り立っていることから。
 
[米寿]
88歳、6月にも紹介しましたが「米」の字を分解すると「八十八」になることから、米寿の祝いとなりました。
 
[卒寿]
90歳、「卒」の略字体が「卆」で、九十と読めるから。
 
[白寿]
99歳、「百」から上の一字を取ると白になるからで、百の下は99ですから、白寿とはしゃれています。
 
[茶寿]
108歳、茶という字を分解すると、十、十、八十八となり、足すと108になることと、古来「八」は、末広がりで縁起のよい数であることから、108歳の祝に。
 
また、年齢に関する異称には、次のものがあります。
弱冠をのぞき、出典は「子曰(しいわく)」で始まる孔子の「論語」です。
 
 [志学]15歳のこと。論語(為政)吾十有五而志於学 十有五にして学に志すから。
  [弱冠]20歳のこと。古代中国で20歳を「弱」といい、元服の冠をかぶることから。
 [而立](じりつ)30歳のことで、論語(為政)三十而立から。学問が備わって自分の立場ができあがる年。
 [不惑]40歳のことで、論語(為政)四十而不惑から。
     人生の方向が定まって迷わなくなる年。
 [知命]50歳のことで、論語(為政)五十而知天命から。
     天から与えられた使命を知る年。
 [耳順](じじゅん)60歳のことで、論語(為政)六十而耳順から。
     修業を積んで他人の言葉を素直に受け入れられるようになる年。
 
それぞれの通過儀礼は、人生の節目と考えられますし、それなりに意味があり、昔から伝えられてきた英知であり、哲学ではないでしょうか。お子さんだけではなく、ご両親のお祝いは、感謝をこめて行いましょう。そして、「育児」しながら、自らを育てる「育自」を心がけ、「わが人生を楽しむ、賢いお父さん、お母さんになってほしい」と思います。ご両親の生きがいは、お子さんだけに託するものではありません。なぜ、七五三のお祝いをするのか、もう一度、考えてみましょう。
 
ところで、日光の東照宮にある「三猿」の彫刻は、猿を通して人間の一生を8面で表したもので、その2番目には「幼年期の3匹の猿」がありますが、こういった教えであるとは知りませんでした。
 
 いわゆる「見ざる、言わざる、聞かざる」の教えは、物心のつく幼年期には、悪いことを見たり、言ったり、聞くことをしないで、良いものだけを受け入れ、素直なままに成長させよという教えが暗示されている。      (「三猿の教え」東照宮ホームページより)
 
「三猿」でクリックすると教訓を読むことができます。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ともいいますが、英語では簡単に“Ask much,know much”(「故事ことわざ辞典」より)だそうで、子どもにしっかりと教えたい教訓の一つではないでしょうか。
 
(次回は、「11月に読んであげたい本(1)」についてお話ししましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 2 ★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第12号
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★★手は第二の脳 2 ★★
 
 
 ●切る●
 
「切る」は、はさみの場合、ナイフのように押して切るのではなく、文字通りチョッキン、チョッキンと音がするように、上下の刃をしっかりと開閉させて切るようにします。
最初は、5センチほどの細長い紙を切らせ、はさみの操作をマスターしましょう。
できるようになれば、はじめは直線からです。
これもスピードは、必要ありません。 
チョッキン、チョッキンと音がリズミカルになったら、曲線や円、三角、そして複雑な形に挑戦しましょう。
 
新聞に挟まれてくる広告やダイレクトメールには、上質紙を使い、デザインの凝ったものがありますから、利用させてもらいましょう。
「ママが、後で使うから切り取っておいてください!」
お母さんのお手伝いだと聞けば、子ども達は頑張ります。
ただし、はさみは、操作を誤ると危険な道具になりますから、必ず、一緒にやりましょう。
 
そして慣れてきたら、チョッキンと歯が閉じ切る前に開き、前に進んでまた切るという風にできるようにしましょう。
 
成蹊小学校や学習院初等科では、2本の線で囲まれた中心をはさみで切る問題がありましたが、これは難しいですね。きちんと操作できるようになってから、挑戦してみましょう。
 
そして、はさみを相手に渡す場合、どうすればよいかを教えてください。
聞いた話ですが、新入社員がはさみを渡すときに、相手に刃の方を向けているのに驚き、その訳を聞いたら、
「だって、私が刃の方を持つと危ないではないですか!」
といったそうです。
しつけやマナーは、小さい時から身につけさせるべきで、これは家庭の文化だと思いますが、いかがでしょうか。
 
 
 ●貼る●
 
次は、「貼る」です。
貼るは、現代っ子の苦手とする作業の一つと言われていますが、そうならざるを得ないでしょう。
家で糊を使っているでしょうか、主役はセロテープでしょうね。
リップスティック型の糊は、あるかもしれませんが、少しつけただけでピタリと貼れますから、幼児用の糊とは、接着力も使い方も違います。
 
幼児の使う「つぼ型の容器」に入った糊には、いろいろと教育的な配慮がなされています。
 
ふたを開けることを考えてみましょう。
右利きの子なら、左手に糊の入った容器を持ち、右手でふたについている取っ手を持ち上げ開けます。
両手を使っていますから、目も手元の作業を監視しています。 
司令塔からの命令です。
 
次に、使う量ですが、これが難しいですね。
 
適量を取れるようになるには、ある程度の経験をつまなければなりません。貼る面積を計算し、分量を計りで量るわけではなく、目分量、勘です。
 
分量を間違うと、多ければベタベタに、少なければ直ぐにはがれます。
数を見極める直感と同じです。
 
まだ、あります、糊のつけ方です。
 
左手で糊をつける紙をしっかりと押さえ、右手人差し指は、表面全体に、のりが滞りなく行き渡るよう、ノビロ、ノビロとつけていきます。
これは練習が必要ですし、根気がいります。
このことです……。
 
根気のいる作業を丁寧に続けることで、持久力や忍耐力も培われてきます。
 
ところで、作業に時間がかかるお子さんや、器用ではないお子さんに、言ってほしくない言葉があります。
 
「ハヤクシナサイ!」、この一言です。
 
子ども達が、お母さんから言われたくない嫌な言葉の第一位といっていいのは、これです。
子ども自身は、一所懸命にやっているにもかかわらず、うまくできないからです。
苦戦している時に、せかされるのですからあせります。
あせるとプレッシャーがかかり、うまくできません。
こんなことが続くと、やがて、苦手意識を持ちはじめ、手作業を嫌がるようになります。
 
第二の脳の発達は、これでとまります。
お子さんにとって大変な損失であることを、肝に銘じて下さい。
 
お子さんには、大雑把に分けると「ウサギ型」と「カメ型」があります。
 
「ウサギ型」は、器用に物事をこなしますが、根気に欠けます。
「カメ型」は、作業の一つ一つを納得しながら取り組みますから、時間はかかりますが、根気があります。
「ウサギ型」は、小学校の低学年までは光り輝いています。
「カメ型」は、中学年頃から光りはじめ、やがて、立場は逆転します。「カメ型」は、試行錯誤を積み重ねていますから、じっくりと考える習慣が身についてくるからです。
 
カメ型のお子さんは、せかさないことです。
ウサギ型のお子さんには、「うちの子、頭がいいわ!」で安心せずに、考えさせる工夫をしましょう。
 
ところで、イソップ物語にある「ウサギとかめ」の話、明治時代の教科書では、どのようなタイトルがついていたと思いますか。
「油断大敵」です。
明治時代の漢字文化が生きていますね。
 
「面倒だな。お母さんのを借りよう!」
楽をしようとしていますが、これだから不器用になるのでしょう。
はっきりと言わなくても、これは手抜きです。
「手が汚れるから、セロハンテープにしようかな!」
こういった発想は、いただけませんし、この場合の「かな!」は、子どもらしくありませんね。
 
最後は、事後処理です。
 
手を拭き、糊の容れ物にふたをして、終わりです。
糊で汚れた手を拭く作業までも含まれていますが、「汚れたらきれいにする」は幼児にとって清潔感を身につける、大切な、大切な学習です。私が手の汚れない糊が気にいらない理由は、これで
す。
 
このように、糊を使う一連の手作業には、深い教育的な配慮がなされていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
 
ですから、だじゃれのようですが、使わない手はありません。
こういった手順を踏んだ作業は、子どもの成長に欠かせない大切な経験です。
手順は記憶され、作業に流れのあることがわかり、やがて、手際よく進める工夫をする、基本的な訓練になっているのです。
 
使いやすく、便利になるのは結構ですが、子どもの発育段階を考え、今は面倒でも、糊を使うべきだといった見識を持つのも、親の役目ではないでしょうか。
 
幼児教室では、授業時間の関係で「つぼ型の容器」に入った糊を使う代わりにリップスティック型の糊を使うことがありますが、ご家庭では「つぼ型の容器」に入った糊を使う機会を多く持って
ください。
 
また、糊を使うのを嫌がる子は、泥んこ遊びをやらせていないと思います。
砂場で遊べない子は、糊を使うのを嫌がるはずです。
お子さんは、いかがですか。
 
最後に貼る練習ですが、切るところで紹介しました新聞に入ってくる広告など切り取ったものを、スケッチブックに貼ってみましょう。
 
初めは少量の糊で貼れる面積の狭いものを選び、中心に糊をつけ、ノビロ、ノビロと満遍なく伸ばす練習をすることです。
同じ大きさのものを扱うことで、適量をとるコツもわかってきます。そして、次第に大きなものへといった段階を踏むことが大切です。
 
最後に、セロテープについて、気にかかることをお話ししておきましょう。
 
なかなか適切な長さに切れないものです。
これも難しい作業ですから、少し無駄になりますが、2,3センチの長さに切れるように練習することです。
練習しなければ、何ごともうまくなりません。
うまくできない時は、切り取るぎざぎざの部分にセロテープを固定させ、右端から少し斜め下へ引っ張るように切ってみましょう。
ねじる動作ですね。
慣れてくれば、必要な数だけ切り、テーブルの端などに軽く貼っておくと「切る」と「貼る」の作業が、スムーズにできます。
 
 
 ●結ぶ●
 
「ひも」もそうですね。
昔は、寝巻でしたから、毎日、ひもと付き合っていました。
結ばなければ、格好がつきません。
パジャマはボタンですが、ボタンかけにも苦労している子、いますね。
お父さん、お母さんが、いつまでも手を貸しているからではないでしょうか。
お子さんにさせましょう。
過保護からは、自立心は育ちません。
 
箱にひもをかけて、結び方を練習しておきましょう。
あやとりもいいですね。
 
巧緻性ばかりか記憶力も刺激されます。
複雑な作品では、手順を忘れるとどうにもなりません。
ところが不思議なもので、遊びとなるとかなり複雑なものでも、積極的に練習をし、覚えてしまうものです。
おばあちゃんに教わったといって、三段梯子をこしらえたお子さんがいましたが、お子さんが、どのような環境で育てられているかわかりますね。
 
お母さんが作って見せ、お子さんに好奇心を持たせることです。
「ママ、すごい!」と間違いなく賞賛され、お子さんの知的な能力も開発されます。
一石二鳥ではありませんか!
 
 
●摘まむ●
 
「箸を使った問題」
 
 :お椀の中のものを、別のお椀に箸を使って、一つずつ移してください。
 
これが試験です。
立教女学院小学校や白百合学園小学校などで出題されています。
豆を買ってきて、割り箸を使い、懸命に練習する話を聞きますが、何かおかしくないでしょうか。
これは練習をして身につけるものではなく、身体の運動機能的な発達にかかわることですし、基本的な生活習慣の一つですから、しつけと関係あります。
 
一応の目安として、箸は3歳頃から使えるようになり、5歳頃には巧みに使えるようになるといわれています。
練習用の工夫された箸がありますから、もっと早く使えるようになっているかもしれません。
問題集を読むと、箸でカラーボールや玩具のミニチュアの果物、大豆、ビー玉、落花生、金平糖を摘まむ、積み木をハンカチで包むなどの課題があります。
 
なぜ、学校側がこんな試験をするのでしょうか。
 
手先の器用な子は頭もいいから、箸を持たせて選抜しようとは、考えにくいことです。
 
しかし、箸を満足に持てない子が多いからとすれば、これこそ問題です。
園児がペーパーテストに強くても、箸を使って食事をできない方が、よほど恐ろしい話ではありませんか。
こんなことまで試験で調べるのは、幼き戦士たちは、頭が良くても、こういったことが苦手なのでしょうか。
 
誤解を招いてはいけませんから、立教女学院小学校の学校説明会での話を紹介しておきましょう。
 
「あえてこの場で申し上げますが、テストの中でお箸を使う場面がありましたら、お箸で物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しい箸の持ち方ができているかを見ていることをご理解
いただきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化でもある箸の持ち方を、きちんと身につけてほしいと考えています。」
 
五感に刺激を与え、脳を鍛えましょう。
言葉は使わなければ進歩しないと同様、手作業もやらなくてはうまくできません。
しかも、この二つの能力は、ご家庭で楽しみながらできることです。
 
例えば、もっとも得意とする料理を作るとき、レシピを見ながら作るでしょうか。
素材選びから料理の手順、味付けまで、きちんと頭に入っているはずです。
司令塔の脳と実戦部隊の手との共同作業がスムーズに行われるのは、積み重ねた経験が、頭脳にしっかりと記憶され、手が指示通りに反応しているからです。
 
失敗を恐れず、試行錯誤を積み重ねながら挑戦することで、第二の脳は鍛えられます。
 
鍛えられると同時に、自力でできるようになることで、自立心が育まれます。
 
「手は第二の脳」といわれるのは、こういった仕組みになっているからです。
家庭でやらないとは、もったいない話ではないでしょか。
 
以上が、ご家庭でやってほしい基礎トレーニングです。
 
しかし、手作業は、月齢差が無残なほど表れますから、その点をきちんと判断しながら、あせらずに頑張ってください。
これまでのトレーニングだけでも、脳の活性化はかなり進み、お子さん自身、物を作ることに興味を持ち始めているのではないでしょうか。
 
物を作る楽しさを体験させる、絶好のチャンスです。
 
市販されている幼児用もしくは小学校低学年用の制作、折り紙、お絵描き等の本を参考に、お子さんと一緒に取り組みましょう。
 
季節折々の年中行事も、格好の教材になります。
門松、鬼の面、ひな人形、かぶと、紫陽花、朝顔、七夕飾りなどを作り、楽しい思い出をたくさん残してあげましょう。
その思い出から、独特の家庭の文化が間違いなく築かれていくのです。
 
ところで、お勧めしたい手作業は折り紙で、お金をかけずに、これほど楽しめる遊びはありません。
 
模擬テストを受けたお子さんには、12枚や30枚の折り紙で作ったくす玉をあげることがあります。このくす玉、一度ご家庭で挑戦してみてはいかがでしょうか。糊を使わずに組み立て
るのでやりがいがあります。(笑)
 
 
(次回は、「鍛えてほしい第二の脳3」についてお話しましょう。)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編4

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第63号>
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面接編4
 
今回は、ご両親の面接についてお話をしましょう。
 
◆父親編◆
 
ほとんどの学校で、お父さん方には、志望理由と職業を尋ねられています。
ですから、合否の鍵を握っているのは、お父さん方といっても過言ではないでしょう。
責任重大です、何しろお父さんは、一家を代表して面接に臨むわけですから。
 
「なぜ、この学校を選んだのか」をきちんとおっしゃってください。
 
そして、私学の運営は、ご家庭に経済的な負担をかけることで成り立っていますから、学校側は、その基盤がしっかりと築かれているかを確認しなければなりません。
職業を尋ねられるのも、このためです。
会社名と所属課、仕事の内容によっては簡単な説明も必要です。
しかし、専門家でなければわからない言葉を使うべきではありません。今では普通に使っていますが、模擬面接で「システムアナリストです」と言ったお父さんがいましたが、これだけでは不親切で、誠実とはいえません。簡単な説明も必要です。
自営業の場合は、仕事の内容がわかるようにまとめておきましょう。
時には、営業年数、年商、従業員数など必要になる場合もあるかもしれません。
 
お父さんの応答で気になることがあります。
仕事柄、人と接する機会の多い方、営業関係の方は、話に如才のない分、長くなりがちです。
面接は、限られた時間内で、手際よく済ませるべきです。
1分間で、相手にどのくらい情報を伝えることができるか、一度、録音し、聞いてみましょう。
すると、聞く人には、どのくらい負担がかかるかがわかります。
そうすれば、簡潔明瞭な回答こそ、思いやりのある、誠実な態度であることが理解できるはずです。
 
制限時間のあることを、常に頭に入れておきましょう。
 
最後に、お子さんの姿勢が崩れたときに、恐い顔をして「駄目!」を出すお父さんもいますが、前にお話したお母さんのように、「やわらかくたしなめるサイン」を考えておきましょう。
 
 
 
◆母親編◆
 
「あがって話せなかったらどうしよう!」
などと考える必要はありません。
参加しているお母さん全員が、同じ不安な気持ちでいるのですから。
そんな心配をせずに、「私は保護者です!」と言い聞かせることです。
男には、よくわかりませんが、「出産のことを考えれば恐いものなし」とおっしゃったお母さんがいました。
 
それはともかく、一所懸命、お話しできれば、道は開けます。
誠意です。
 
ただし、その学校を選んだことに自信がなければ、不安になり、緊張しますから、あがります。
そこがポイントであり、全てです。
 
お父さんのところでも触れましたが、話がくどくて、長く、まとまりに欠ける場合があります。それを避けるために、例えば、お子さんの長所、短所を話すことを想定して、話し言葉で文を書き、録音し、聞いてみましょう。
ご自身で聞き、長いと思えば、相手にとっては、とてつもなく長いものです。
質問事項にもよりますが、あまり長く話すのは、私学の求めているであろう謙虚さにふさわしいでしょうか。
 
また、言葉遣いも、気になるところでしょうが、普段、あまりなじみのない敬語や、「……参りました」「……存じます」などの謙譲語を使って話すのは、かえって緊張のもとになりますから考えものです。
何事も、不自然な感じを与えない、自然体がいいのではないでしょうか。
ところで、最近、気になるのですが、若いお母さん方の中には、「そういったこととかにぃー、興味を持ち始めましたぁー」といったように、語尾をのばし、妙なアクセントで話す方がいます。
お母さん同士ではいいでしょうが、やはり、初対面の学校の先生方と話をするには、ふさわしいとはいえません。
 
また、自分のことしか考えずに、お子さんやお父さんが話されたことを、よく聞いていないお母さん方がいます。
 
例えば、面接の先生に、
「お子さんの言っていることは、こういうことですか」と確認を求められるかもしれませんし、「お父様がおっしゃったことについて、どう思いますか」と聞かれることもあるようです。
そんなときに困った顔をするようでは、保護者とはいえないでしょう。
質問事項を想定し、うまく言えるだろうかなどと心配していると、「心、ここにあらず」といった状態になり、お子さんやお父さんの回答を聞き逃すことになりがちです。
お母さん自身も、気を静め、落ち着くためにも、しっかりと話を聞きましょう。
 
そして、お父さんが、例えば、間違ったことを言っても、即座に訂正しないことです。「お子さんが、成長したと感じられることはありますか」といった質問に、「去年の秋、予防接種に行ったとき、泣かずに頑張ったときのことです」と答えたお父さんに、少し顔をしかめて、「パパ、今年の春でしょ!」と、静かに、きっぱりと訂正したお母さんがいました。
お父さんは、気分を害されたような表情をして、お母さんの方を見ましたが、二人の間に、なにやら気まずいムードが漂いはじめたのは、言うまでもありません。
予防接種の時期を間違えたから、育児に関心のない父親で減点などされるわけがないでしょう。
即座に訂正をしたお母さんの態度こそ問題です。
私学には、古い道徳観念が残っているとはいいませんが、やはり、初対面の人の前で、どうでもいいようなことで、お父さんの間違いを訂正するのは、私学の求めているであろう「謙虚なお母さん」としていかがでしょうか。
もっとも、お父さんが同様なことをするのも、言わずもがなですね。
 
 
 
◆退室◆ 
 
「本日は、ご苦労さまでした」
「失礼します」
立ち上がり、礼をして退室するわけですが、お父さんが先頭で、お子さん、お母さんという順が良いでしょう。
そして、出口で、立ち止まり、面接官の方を向いて、「失礼します」とあいさつをしましょう。
この時、お子さんは、一刻も早く外へ出たい気持ちから、あいさつどころではありません。
しかし、ここは面接の最後の場ですから、「お世話になりました」といった気持ちを伝えたいものです。
お父さんが一言、声をかけ、あいさつを促しましょう。
入室の時と違い、これから始まる面接にプレッシャーをかけるわけではありませんから、お子さんも、あいさつできるはずです。
「ごあいさつは」より「さよならしようね」といった言葉がけの方が、お子さんにも抵抗がなく、自然にできると思います。
最後に、お母さんがあいさつをし、ドアを閉めて、部屋を出ます。
 
これで終わったわけですが、うまく進んだ場合は、緊張から開放され、ほっとされたお母さんから、
「ご苦労さまでした」
などと、ねぎらいの言葉がかかるのですが、結果が思わしくないときは、部屋を出たとたんに、
「なぜ、私が願書に書いたとおりに言ってくれなかったの!」
などと、非難をするお母様もいるそうです。
「壁に耳あり、障子に目あり」ではありませんが、先生方が見ていないとは限りません。
 
しかし、聞いているお子さんが、どんな気持ちになるかを考えられない母親であるなら、受験はやめるべきでしょう。
面接の後にお子さんの試験があり、もう一度、学校へ来る場合、悪い印象を与えると、同じ場所へ行きたがらないものです。
本番の入試にも影響しかねません。
 
また、お子さんが、うまく応答できなかったとしても、そのことには触れずに、嘘でもいいですから、次につながる言葉がけを忘れないことです。
 
「初めての先生と、よくお話できていたね。お父さんもびっくりしたほどだったよ。今度はね、一人でどんなことができるか、お友達と楽しく遊べるかを見てくれるんだって。お父さんは来ないけれど、頑張るんだよ。ママ、今夜は、ユキの好きな焼肉がいいね」ユキちゃんが、好んで挑戦した受験ではないことを、保護者は、決して、忘れてはなりません。 
 
掛け持ち受験について、まだわかりませんが、10月に入ると、受験日と面接の日が決まり、学校から通知も来ますし、出願してみなければわからなかった、受験可能な学校も判明します。
どういったスケジュールになるか作戦を立てることになりますが、掛け持ち受験は、お子さんにとって大変な負担になります。
精神的にも、肉体的にもタフなお子さんばかりとは限りません。
ご両親で、しっかりと話し合いましょう。
 
また、試験のために早朝に家を出なければいけない場合もあります。
少しずつ、起きる時間を早めてみるとか、ベストコンディションで臨めるように工夫しましょう。
 
幼稚園も始まりました(保育園はいつも通りですね)。元気に通っていますか。
生活のリズムが戻るまで、あまり無理されないことです。心身ともに健康第一です。
 
そして、お母さん方へ。妙なうわさなどに心を惑わされない、賢いお母さんになりましょう。
もうあとわずかです、頑張ってください。
 
 
(次回は、「鍵を握るのは志望理由」についてお話します)

 
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