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めぇでるコラム
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第4号>
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お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
前号に続き、第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタート
でつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、
ご家庭で培われるものです。
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、
特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、
けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
長年、幼児教育に携わり、教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影
響力には、計り知れないものがある」ことです。
共働きが増え、子育てもご両親分担される家庭が増えています。
それでも、幼児期はお母さん方の育児の姿勢次第で、子どもは育つといっても、
決してオーバーな表現ではありません。それほど、お母さん方は、絶対的な力
を持っています。そのことを、お母さん方自身が、強く意識してほしいと思い
ます。お子さんのために。
では、どういった子育てが集団生活への適応力を育むのでしょうか。また、育
まないのでしょうか。
以下「お母さん」と書いてありますが、「お母さん」を「お父さん」に置き換
え、ご両親ともにチェックしてみましょう。
◆チェックシート(1)
[チェック方法]
はいの場合[○] いいえの場合[×] どっちともいえない場合[?]
1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。 [ ]
2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。 [ ]
3.他人の子どもはちっとも可愛くない。 [ ]
4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。 [ ]
5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。 [ ]
6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。 [ ]
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、
いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、
おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
[1.過保護型のお母さん]
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも手伝いますか
ら、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力
が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集
団生活への適応力にも、不十分なところがありがちです。
[2.過干渉型のお母さん]
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の
言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちに
くく、何かをするときに、お母さんの指示を待つ消極的な子どもになりやすい
ものです。
[3.溺愛型のお母さん]
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不
安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見
る子になりがちです。大人の前ではよい子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱
い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
[4.自己中心型のお母さん]
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を
取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活
になじめず、孤立する恐れがあります。いわゆる「自己中心型」のお母さんで
す。小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。いわゆる、モンスターペア
レント、モンペですね。
[5.知育偏重型のお母さん]
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するた
めに、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に
取り組む意欲が表れにくい子になりがちです。お母さんは、「何回言ったらわ
かるの!」などの言葉が多くなるようです。
[6.付和雷同型のお母さん]
親が選んだ受験にもかかわらず、「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」
などいった怪情報、噂などに振り回され、「わが子をみてください」といった
信念がないため、親子で受験地獄に陥りやすいといえます。「○○ちゃんは、
できるのに…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残
すことになりがちです。
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てき
ましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お
母さん方の心の中に潜んでいるのではないかと思われる、“潜在的な欲求”を
表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるか
で、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のい
う育児の姿勢なのです。
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢
にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こう
いったお子さんに共通しているのは、社会性や協調性といった集団生活への適
応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心
がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つの
タイプに偏らない育児のことです。
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょ
う。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
今回は、○か×で判定してください。
1.ご両親であいさつをしていますか。 [ ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[ ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。 [ ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。 [ ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。 [ ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[ ]
7.何かお手伝いをさせていますか。 [ ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[ ]
9.本を読んであげていますか。 [ ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[ ]
11.指示はきちんと出していますか。 [ ]
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。 [ ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[ ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。 [ ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[ ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。 [ ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。 [ ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。 [ ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[ ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[ ]
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。
[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、
いかがでしょうか。今度は、どちらともいえない「?」のマークはありません
が、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中で、ご両親が
心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培
われ、学校側の歓迎するお子さんに育つものです。
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集
団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題
がある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書で
すが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、こ
の子に何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを
知らなくてはならない。子どもが、今、成すべきこと、今、成し遂げる
べきことを、自力でさせてあげることだ」
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社)
という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や
集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できる
ように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こ
ういった適正能力は育まれません。
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッ
ソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、
なぜ、本学園の入学試験の難易度が高いかがわかるからです。
注 マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚
教育を実施し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困
層の健常児を対象とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育
法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子ども
の家」と呼ばれるようになった。 ウィキペディア フリー百科
事典より
夏はこれからが本番です。夏休みになっても、通園中と同じようにタイムスケ
ジュールをきちんと守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」
についてお話しましょう)
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2023年7月28日 12:48
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(5) 面接テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第24号>
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■■[2]5つの試験形式■■
(5) 面接テスト
最後は、面接テストです。
ほとんどの学校は親子面接ですが、青山学院初等部、立教小学校、学習院初等科、成蹊小学校のようにお子様の面接のない両親面接のところもあります。
面接は、どの学校でも多くの場合、考査前に行われていますが、国府台女子学院小学部のように考査後に、学習院初等科、成蹊小学校、日出学園小学校のようにお子さんの考査当日に、暁星小学校、早稲田実業学校初等部のように一次試験合格者のみに行う学校もあります。
少し古くなりますが、雙葉小学校は母子面接でしたが、平成20年から父親も参加する親子面接になりました。これでお母さん一人が苦労しなくてよくなりました。
また、保護者面接であった暁星小学校は、平成25年から親子面接になりましたが、当時、試験間近の9月の説明会で公表しただけに、周りの父母の皆さん方から、「エッ!」といった驚きの声も聞こえ、直前講習に面接の講座を設けた教室もあったようです(令和3年度以降、コロナウィルス感染症を契機に保護者面接と作文という形式に変更になっています)。
保護者面接の学校は、形式に変更がないか、ホームページに目を通しておきましょう。
小学校側が面接をする目的は、保護者が考え、実行している育児の方針と小学校の教育方針に、共通認識があるか、限りなく同じ方向に近づいているかどうかを知ることです。
まず、大雑把に分けて説明しましょう。
「私どもは、共学で、宗教色のない小学校を希望します」
の場合は、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成城学園初等学校、成蹊小学校、早稲田実業学校初等部、昭和学院小学校、日出学園小学校、千葉日本大学第一小学校、聖徳大学附属小学校などがあります。
「共学で、宗教教育を行っている学校が、いいですね」
となると、ミッション系の青山学院初等部、玉川学園小学部、聖学院小学校、仏教の淑徳小学校などでしょう。
「男子だけの学校を考えています」
となれば、立教小学校か暁星小学校です。
「女の子で一人っ子ですから、女子だけの宗教教育をやっている学校が、合っていると思います」ということであれば、たくさんあります。
ミッション系では、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、白百合学園小学校、湘南白百合学園小学校、聖心女子学院初等科、東洋英和女学院小学部、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、仏教系では国府台女子学院小学部、この辺で勘弁してください。
「女の子だけの学校で宗教教育をおこなっていない学校を希望します」
の場合は、日本女子大学附属豊明小学校、東京女学館小学校、川村小学校でしょう。
東京女学館大学は、残念ながら2017年の11月16日をもって閉校、高校までになりました。
「私どもの子は、一人っ子ですから、受験で苦労させたくないのですが」
となると、大学まである小学校を選ぶことになります。この発想は、あまり歓迎できませんが、過保護にならないことを祈っています。
「それがいやなんですよ。生きることは競争です。社会人になる前に、自分の能力を確かめられる受験を体験させておきたいのです!」
となれば、高校まである小学校を選べばいいですね。暁星小学校、日出学園小学校、昭和学院小学校(短大まであります)、桐朋小学校、桐朋学園小学校、森村学園初等部でしょう。桐朋は、小学校は共学ですが、中学から国立にある桐朋中学校は男子校に、調布市仙川にある桐朋女子中学校は女子校と別学になります。
国立市にある国立学園小学校は、幼稚園と小学校だけの特殊な学園です。
こういった、大雑把な希望から方向を定めて、それから、それぞれの小学校の教育方針と我が家の育児の方針が、合っているかどうかを検討するわけです。
幼稚舎の教育方針がわかりやすいので、紹介しておきましょう。作文も面接もなくなりましたが、願書には、志望理由を書きますから参考にしてください。
幼稚舎の徳育の根本は、独立自尊の精神にあります。その規範となるものが、「幼稚舎修身要領」(10ヶ条)です。これは通信簿の第1ページにも記してあります。成績よりも前に目を通してほしい大切な事項だという意味です。新1年生になった時に3つの約束をしますが、「幼稚舎修身要領」の中から特に大切なものを取り上げたものです。
1つ、うそをつかない。
2つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
3つ、自分でできることは自分でする。
これは福沢諭吉の精神を表した「幼稚舎修身要領」(10ヶ条)の中から、特に大切な項目を選んだものです。
(「子どもと向かい合う教育」元慶應義塾幼稚舎長 川崎悟郎著 リヨン社刊)
普段、子どもにいって聞かせていることを考えると、
「うそをついてはいけません!」
「約束は、守りなさい!」
「自分でできることは自分でしなさい、お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。これを破ると、叱り、諭しているとします。そうであれば、お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針は、一致していることになります。
そして、共学が自然だと思っているとします。
宗教教育は、両親共に経験がないので、なじめないものがあると考えていたとします。
大学まであって、受験戦争に参加しなくて済みますし、学部がたくさんありますから、将来、目指す道が広いのも魅力だと思っているとします。
通学に約1時間、しかし、体力、気力ともに心配ないとしましょう。
前提となる学費は自己解決か、頼れる祖父母に助けてもらえるとしましょう。
こういう図式ができていれば、面接があったとしても、幼稚舎を選んだ理由を、きちんと胸を張って説明できます。これが、面接の目的です。
幼稚舎の他にも、面接を実施していないのは、桐朋小学校、桐朋学園小学校で、その理由ですが、以前にも紹介しました、桐朋学園小学校の鈴村元校長の話です。文言は正確ではありませんが、次のような内容でした。
「大人は、趣味を尋ねられると、本当は、競馬、競輪などの博打が大好きでも、『趣味は、読書と音楽鑑賞です』と平気でいうものです。演技もできます。ですから、やっても無駄なのです。本音をおっしゃいませんから。しかし、子どもを2日間預からせてもらうと、子どもは正直ですから、みんな本当の姿を見せてくれます。育てられている環境は、わかります。ですから、私どもでは、面接をしないのです。」 (注 3年度入試は一日)
その通りではないでしょうか。大人は、猫をかぶりますから、面接は、ニャーニャー大会かもしれません。子どもは正直で、演技をしませんから、育てられている環境を、そのまま見せてくれます。
ですから、面接で、つけ焼刃は効かないのです。
また、慶應義塾幼稚舎では、紋切り型のステレオタイプ的な回答が増え、面接をやる意味がないと考え、廃止したと伺ったことがあります。
面接では、付け焼刃は効かないとお話ししましたが、入学試験そのものも、メッキでは駄目なのです。メッキは、はげるものです。以前、紹介しました、あるミッション系の校長先生の言葉です。
「入学試験に必要な知識や礼儀作法なるものを、泥縄式に詰め込み、『受験準備、事足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい。」
繰り返しますが、その通りではないでしょうか。赤ちゃんを育てたとき、あれこれと泥縄式に詰め込みましたか。そんなばかげたことは、しなかったはずです。子どもの成長に合わせ、一歩一歩、ゆっくりと、一緒に、階段をのぼってきたのではありませんか。
その心は、「できるまで待ってあげよう、忍の一字」ではなかったでしょうか。
小学校は、無理やり受験戦士に育てられた子を望んでいません。
子どもの知育は、子ども自身が、「知りたい、識りたい」と、身体全体から、ふつふつと湧き出るときに、与えるものであることが大切なのです。モンテッソーリの「その時期に最も活動が盛んになり成長する敏感期」です。お子さんの成長を見極め、学習するためにふさわしい環境を作ってあげるのが、親の役目です。主導権は、子ども自身にありです。それを、親が握り締めていないでしょうか。勉強だけではなく、遊びまでも……。
やはり、親は、教育に関して信念というか哲学を持つべきだと思います。しかし、これを言うのには、勇気が必要です。小学校の受験にしても早期教育にしても、私たち親は、子どものためによかれと思って始めますから、「そんなことは、余計なお世話だ!」となりがちです。
しかし、学校選びは「はじめに我が家の育児の姿勢(方針)ありき」であるべきです。古い話で恐縮ですが、明治初期に、小学校の高等科(現在の5、6年生)の家庭に配布されたものだそうですが、
「教育の道は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実が成る」
これは含蓄のある言葉ではないでしょうか。
「ご家庭で育てた芽に、どういった花を咲かせるか。そのためにはどういった教育がふさわしいのか」、学校選びは、こうあってほしいものです。
来年1月から、国立、私立小学校の入試問題を紹介し、小学校の受験に何が必要なのかをお話ししましょう。誤った受験準備をしないことが、お子さんのためだからです。(面接に関する情報は令和5年度入試のものです。)
冬休みの講習会が始まります。まだ、入会されていない方、挑戦してみましょう。今、この時期に、学ぶべきことがたくさんあるからです。
(次回は、「よくある質問」についてお答えしましょう)
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2023年12月14日 12:48
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(4) 運動テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第23号>
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■■[2]5つの試験形式■■
(4) 運動テスト
みんなで一斉に行う集団テストと、一人ひとりで行う個別テストがあります。
集団テストには、先生のお手本を見て、その通りにする模倣体操や、タンバリンなどのリズムに合わせて行進をする、片足で30秒間ほど立つバランス感覚、指の屈伸などがあります。
個別テストは、ケンケン、ケンパー、くま歩き、ボール遊び、ゴム段、跳び箱、平均台といった運動をいくつか組み合わせて、先生の模範演技の後に一人ひとりが挑戦するものです。
たとえば、こういった組み合わせです。
「床に引かれた真っすぐな線の上をケンケンで進み、平均台を渡り、次に跳び箱に登り、跳び降りて、得意なポーズをする」
こういったテストは多くの学校でやっています。しかし、これは技を競う「競技大会」ではありません。
先ほどのような課題のほかにも、ボールを投げたり、ついたり、走ったりなどをしながら、年齢にふさわしい運動機能の発育状態を見ているだけです。ですから、難しいものはありません。何とか難度などは、オリンピックの話で、一所懸命、子どもらしく、挑戦できれば、いいのです。
これも生活体験が、そのまま出ます。
ボールをついたことのない子にボールをつけといってもできません。運動は、身体全体で学習するものですから、正直に表れます。これは、誰の責任でしょうか。ご両親です。運動器官に、何らかの障害がある場合はともかく、普通の発育状態で、みんなができる運動ができないのは、親がさせていないから、といえるのではないでしょうか。こういう子は、比較的に頭が良いそうです。頭だけ良くても、みんなができることができないと、いやな言葉ですが、いじめの原因になったりもします。
逆もあるそうです。スポーツ教室に通って、きちんと技をみがき、それは、それでいいのでしょうが、「みんな、下手だな……! こうやるんだよ!」見下しているのです。態度が大きいのです。ボール遊びなどでこういうこともあるそうですが、これも駄目ですね。
早期教育にも、こういう欠点が、表れがちではないでしょうか。
「九九もできないの!」
これと同じです。見下していたカメさんに抜かれるウサギさん、たくさんいるそうです。ウサギさんは、ひらめき型で、カメさんは、じっくり考えるタイプです。繰り返し試みるカメさんを、あたたかく見守ってあげるお母さんになりましょう。カメさんは、小学校の4年生頃から、ウサギさんを追い抜きはじめます。その理由は、選択肢が2つか3つの場合、直感力がすぐれているひらめき型のウサギさんは、あまり苦労することなく答えを選び出せますが、選択肢がふえてくると、直感力だけでは解決できなくなります。じっくり考えるカメさん型は、選択肢が少なくても、一つひとつ検証しながら答えを出すので、時間はかかりますが、試行錯誤、“trial and error”を積み重ね、きちんと考えて答えを出す習慣を身につけているからです。イソップの寓話「うさぎとかめ」は、油断を戒めたものですが、こういった解釈も可能ではないでしょうか。
余談になりますが、負けたウサギはどうなったかご存知でしょうか。カメに負けた駄目ウサギとして、ウサギ村から追放されますが、「子ウサギを餌に差し出せ!」と脅迫する狼をやっつけ、無事、ウサギ村に復帰します。狼をやっつける方法が、用心深いウサギらしく、傑作です。(「それからのうさぎ」読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話(上) 筑摩書房 刊)
話を戻しまして、問題点は、まだあります。指示されたとおりにできるかです。
先程のいろいろな運動を組み合わせたものや、模範演技をしっかり見て、理解し、同じようにできるかです。指示の理解と的確な行動力を判定しているのではないでしょうか。
まだ、あります。待っている間です。自分の番が来るまでは、緊張していますから心配ありませんが、自分の番が終わると、ゆるみがちです。他の子どもがやっている間、キチンと体操座りで待っていられるかです。これも学校側の狙いでしょう。
最後に、一言。これは、笑えない話ですね。あるミッション系の小学校の説明会で聞いた話です。
先生が模範演技をして、さて始めようとしたとき、一人の女の子が聞いたのでした。
「先生、これテストですか?」
「………!」
先生は、何ともいえません。どこの学校も、子どもたちには、テストというプレッシャーをかけないように気をつかっていますから、「テストです!」とは、いいがたいのです。
「テストでないなら、やりたくありません!」
子どもの正直な告白です。毎日、やること、全て、試験のための訓練になっているのでしょう。悲しくなりますね。しかし、体を動かすことをいやがる子どもなど、いるのでしょうか。「お子さんを追い込むような準備はしないでほしい」と、シスターはおっしゃっていました。やはり、おかしいです。
おかしくしているのは、誰でしょうか。「ほんの一部」の猛烈受験ママの話でしょうが、こういったことからマスコミのいう「受験戦争の低年齢化」となり、針小棒大に騒がれてしまうのでしょう。小学校受験はお子さんのためですから、こういったお父さんやお母さんにはならないでいただきたいとお願いしておきましょう。
昔の話ですが、お父さんが海外へ単身赴任しているお子さんの志望校は、ボールを使った運動テストが行われる暁星小学校でした。盛んに話しかけてくるので、やはり、寂しいのだなと耳を傾け、時には叱ったりしたものでした。子どもから聞いた話ですが、お母さんと近所の公園で、毎日のようにボール遊びや縄跳びをしていたそうです。試験のためではなくても、親子で汗を流すのは、素晴らしいスキンシップになっています。少し太めであったお母さんが、スリムになってきたので、絶対に合格するだろうと思いました。親子が心を一つにして目標に向かえば、望みはかなえられるものです。入学式の帰りに挨拶に見えましたが、一番うれしそうだったのは、何と初対面のお父さんでした。遠く海外にいて手を貸せなかったこその喜びでしょう。
何から何まで、塾や教室の先生方にお任せだけでは、良い結果は出ないことも覚えておいてください。
(次回は、「面接テスト」についてお話しましょう。)
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2023年12月 7日 12:48
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(3)集団テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第22号>
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(3)集団テスト
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄
跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のま
ねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するもの
や、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられない
で好きな絵を描いたりします。
テストの狙いは、遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いた
りすることから表現力や創造力、巧緻性などを見ます。巧緻性は、きめ細かく
上手にできていることで、「手は第二の脳」(11号~14号)で詳しくお話
しましたから省略しますが、一言でいえば、普段、両手を使う作業をやってい
るかを見るわけです。親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自
立心ですね。
さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参加する意
欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の
友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見に
も耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調
性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて戸惑う子がいます。子どもは遊びが仕事ですから、信じられません
ね。
その原因は、日常生活が何から何まで管理されていることにあるのではないで
しょうか。
お母さんの指示どおりにしないと、お母さんの気持ちが済まないようで、その
心は、無事に〇〇小学校へ入るためです。これでは、学校側が求めている自発
性や自主性は、育たないと思いますね。お子さんの通っている幼稚園は、自由
保育です。お母さんのやっていることは、管理育児です。こんな言葉はないで
しょうけれど、保育の方針に逆らっています。
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいの
です。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、何やら不安気に、ボー
ッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児が過干渉である証拠で、
自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われるかもしれません。そ
の心配なしとは言えませんね。
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、
と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に
見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。
とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りした
り、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょう
か。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけ
で、育児が過保護になっている証拠です。
遊ばせると、子どもの育てられている環境はわかります。
幼児の試験に適していますね。子どもたちは、全身で育てられている環境を表
します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくるも
のです。
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいです
ね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に
進みます。まさに、あざらしさんです。腕力と腹筋を使いますから、かなりき
ついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけ
ではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴ
り照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでし
ょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現す
る対象をよく観察していないとできません。あざらしを見たことのない子に、
まねられるでしょうか。たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見た
ことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、
注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始め
ます。幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見
つけられれば、素晴らしい学習になります。
大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、「類似差異」の見分けです。そこか
ら、新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれて
も、あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。この
テストの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったもの
に対する観察力ではないでしょうか。
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思
う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供
の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見
てごらん”」があります。(“ ”は発行者)幼児に大切なのは、教え込む
より、疑問や関心の芽を育ててあげることではないでしょうか。
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびが
ら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの
接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しな
がら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、
共同制作です。
以前、日出学園小学校では、4、5人のグループで模造紙1枚とクレヨン1箱
だけ用意し、相談しながら絵を描かせる課題が出題されました。ある年は「弁
当箱」でした。クレヨン1箱ということは、同じ色は2本ないことです。さあ、
どうすれば絵は完成するのでしょうか。
これは、本当に大変です。
考えてください、全員、今日、初めて会ったのです。幼稚園や保育園、幼児教
室や近所の気心の知れた友だちではありません。名前も性格も能力も趣味も、
全く、わからない集りです。ですから、育てられている環境が、姿を表します。
「自分のことは自分でしなさい!」
と、ご両親が自主性を培う育児に徹していれば、一本しかない黄色のクレヨン、
どうすれば使えるかを自分で考えます。
過保護、過干渉な育児では、果たして自分の考えを言い、積極的に参加できる
でしょうか。学校側の狙いは、ここにあるのではないでしょうか。
[お絵描き]
かつて幼稚舎の試験に、こういうのがありました。
教室に紙を貼ったイーゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意さ
れ、絵を描かせたのです。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。
それもあるかもしれませんが、それよりも挑戦する意欲をみているのではない
でしょうか。4、5歳の幼児が、イーゼルを使って絵を描く機会があるでしょ
うか。ほとんどの子どもは、「何だろう、これは?」となるに違いありません。
新しいもの、未知なるものに挑戦する意欲です。積極的に挑戦する子の好奇心
は、旺盛です。これですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。
こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。
手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、
体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるの
でしょうか。受験される方は、これを考えましょう。
ところで、「なぜ、イーゼルを使い絵を描かせたのですか」の質問に、「子ど
もの表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に
残っています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き
生きとしているからです。知的能力だけではなく、身体全体から表われる子ど
もらしい成長の証(あかし)を見ているのです。ここがポイントではないでし
ょうか。
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。
積極的に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。協調性は、社
会性と共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎する
とは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態度
で示します。過保護、過干渉の環境では、意欲や集団生活への適応力に問題あ
りと判定されないでしょうか。
通っている幼稚園の先生や保育士さんに聞いてみましょう。「集団生活に、少
し心配な点がありますね」などの答えがあった場合は、「ものすごく心配な点
がある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を総点検す
る必要があります。
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の
入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)
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2023年11月30日 12:48
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(2) 個別テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第21号>
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発行者よりお知らせです。
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
は、11月から
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
にタイトル変更してお届けしています。
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■■[2]5つの試験形式■■
(2) 個別テスト
文字通り、先生と一対一、個別で行われるテストです。口頭試問と考えたらい
いでしょう。
しかし、幼児のことですから、言葉だけでは答え切れません。おはじきやプレ
ート、絵、時には本物や、それに近い物を使って出題され、おはじきを置いた
り、絵に指を差して答えたり、プレートで指示された形を作ったりします。学
校によっては、いくつもの部屋を回り、何人もの先生とお話しする場合もあり
ます。
この形式では、ペーパーテストと異なり、設問を聞き逃しても、「それまで!」、
ゲームセットとはなりません。勇気があればの話ですが、聞き直しができます。
幼児のテストは、こういった個別テストが適しているのかもしれませんが、答
える子どもたちには、つらいことになります。口頭試問の場合、問題を聞き、
考え、言葉で答えるからです。ペーパーテストでは、答えがわからなくても、
適当に印をつけても正解になる場合もあります。時には、偶然が支配する幸運
もあります。個別テストには、それがなく、全部、自分でやらなければなりま
せん。
育てられている環境そのものが、ズバリ顔を見せます。
育児が過保護や過干渉になっていると、親離れができていませんから困るでし
ょう。
「ママ、手伝って!」
「どうしたらいいの、ママ!」
そんなことをいっても、誰も手を貸してくれません。態度も、オドオドとして
落ち着きがないでしょう。
こういった子育てをしているお母さん方は、臆面もなくおっしゃるそうです。
「私となら何でもできるのに。やっぱり、コネなんだわ!」
少し解説が必要ですね。その子は、お母さんと一緒であれば、何でもできる抜
群の能力の持ち主だそうです。しかし、試験を受けたのですが、合格しません
でした。ですから、落ちたのは成績ではなく、出身者ではないから、また、紹
介者、つまり、コネクションがないために、合格しなかったとおっしゃりたい
らしいのです。出身者だけを入学させたくても収容人員は限られていますし、
紹介者がいれば合格するのであれば、受験料を取ることは詐欺行為と言われて
もおかしくありません。
ですから、こういった怪情報は、単なるうわさに過ぎません。
慶應義塾幼稚舎や青山学院初等部のホームページには、「推薦状や紹介状は必
要ない」、「用意しても受け取らない」と公表していますし、暁星小学校の説
明会でも「紹介状や推薦状は必要ない。本人の実力を第一とする」とおっしゃ
っていました。
小学校の入学試験の狙いは、お母さんのもとを離れて、「一人で、どれだけの
ことができるか」であり、頼りになるのは自分だけです。こういうお母さん方
が、面接で、
「お子さんを育てるにあたって、どういったことに気をつけていますか」
と聞かれたとします。すると、お母さんが、格好よく、
「子どもの自主性を育てることに留意しています」
と答えたら、先生方は「……!?」となるでしょうね。
個別試験に対して、入学試験問題集を買い込んで試験に備えるのは、試験があ
る以上、やらねばなりませんが、子どもの発育状態、生まれ月、これを考えず
にやってしまうと、困ったことになりかねません。
例えば、一枚の絵を見て自分で話を作る問題があります、創作です。うまくで
きないと、お母さんが作った話を記憶させるようです。大人の考えた話や発想
は、大人のものですから、子どもは抵抗を感じるのではないでしょうか。うま
くでき過ぎているからです。それを覚えさせるそうですが、自分で考えたもの
ではなく、お母さんの創作ですから、ついていけません。そして、記憶させら
れた話は、忘れやすいものです。しかし、お母さんの前では、大丈夫なのです。
何回も繰り返し教え込まれるのですから、覚えるでしょう。
ところが、小学校の入学試験は、生まれて初めて入った場所で、初めて会った
先生のいうことを聞き、いろいろなことをしなければなりません。場所が変わ
り相手が変わると、うまくいかないものです。プレッシャーが、かかるからで
すね。大人の世界でもあるでしょう、ブルペン(野球場にある投球練習所)エ
ースです。練習では豪速球、生きたボールを投げるのですが、マウンドに立つ
と平凡なボールを投げては、ノックアウトされるピッチャーのことです。
さらに、問題集にあるとおりの絵が出てくる幸運は、ほとんどありません。た
とえ幸運に恵まれても、先生は、お母さんに教えられたとおりに、聞いてくれ
る保証もありません。同じような問題でも、ちょっとひねられると、それで、
おしまいです。先生方も、そこを見ていると思います。子ども自身の考えかど
うかですね。ですから、単に記憶させるだけでは駄目なのです。
ペーパーテストは、答えがあっていても、子ども自身の考えかどうか、わから
ない場合もあります。
個別テストは、ここが、はっきりとわかります。これが、いいですね。子ども
が自信を持って答えられるのは、日常生活で、きちんと体験していることだか
らです。
また、親の教育に対する姿勢も、はっきりと表れます。
「うちの子、引っ込み思案で、消極的だから、個別テストに向いていないわ」
とおっしゃるお母さんがいますが、子どもが好き好んでそうなったのではなく、
お母さんの育児の姿勢がそのまま表れているだけです。試験の形式だけで学校
を選ぶようでは本末転倒な話で、出発点から誤りです。
私学には、独自の建学の精神、教育理念があります。ご両親の教育に対する考
え方と、学校の教育方針に共通認識があり、限りなく近いことが、学校選びの
条件です。小学校の教育は、家庭と学校とお子さんの三人四脚で行われるもの
であり、決して忘れてはならないことです。
ところで、女の子で、一人っ子であると、消極的になりやすいものです。しか
し、過保護から身についた甘えん坊や、過干渉からなってしまった消極的な性
格から出る引っ込み思案とは、違います。一人っ子でも、自分でやるべきこと
をきちんとさせているお母さんに育てられていると、一所懸命に取り組みます。
わからない問題にぶつかっても、簡単にあきらめません。精一杯、挑戦したの
ですが、できなかったとしても、
「わかりません」
という顔に、悔しさこそあれ、明るいそうです。普段の生活が、そのまま出て
いるからです。
失敗を恐れずに、一所懸命に考え、頑張り、挑戦する意欲のある子に育てたい
と考えているご両親の姿が、そこにあるからです。
学校側の求めている子は、こういう子です。自分で考えていることを、自分の
言葉で話せる子です。
前にもお話しましたが、最近は、こういった問題が増えています。
◇机の上に半そでのYシャツと、近くの箱に500mlのペットボトルとプ
ラスチックのコップ3個、黄色と赤色のリボンが入っている。
・Yシャツを着て、ボタンを留めましょう。
・箱からペットボトルを出し3個のコップに同じになるように水を入
れましょう。
・終わったらペットボトルに黄色いリボンでちょう結びをしましょう。
・最後にYシャツを脱いで、たたんでください。
基本的な生活習慣やしつけ、自立心までわかります。個別テストからは、子ど
もの生育史をみることができるのです。それが、ご両親の育児の姿勢であり、
学校側のいう「ご家庭の教育方針」です。こういったことを理解していないと、
ご両親が面接で、どんなに格好のいいことをいっても、そうでないことをお子
さんが、きちんと見せるものです。
個別テストでは、自立心や自律心がどの程度、培われているかもはっきりと表
れます。「自分の考えを言葉で表す」のは、幼い子どもたちには、とても難し
いことですが、基本は、ご両親との対話から培われるものです。「対話の反対
は沈黙ではなく、命令と強制です」とおっしゃったのは、立教小学校の元校長
であった田中司先生で、ペーパーテストを廃止した方です。「こうしなさい!」
「それはだめ!」などと一方通行では、対話は成り立ちません。お子さんとの
対話を弾ませることから、言葉で考え、表現する力は培われます。
お子さんは、ご両親の目を見ながら楽しく話をしているでしょうか。
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2023年11月23日 12:48
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■ペーパーテスト(2)
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幼児教室では、11月から新年長クラスが始まりました。
お子さんは、お授業を楽しんでいますでしょうか。
■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト (2)
正直にいって、下のようなお父さん先生、お母さん先生が恐いのです。
何とか力をつけさせようと夢中になってしまい、自分の言っていること、やっ
ていることが、わからなくなってしまうことがあるのです。
例えば、難易度の高い「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていない
ときに、こういったことが起きがちです。お父さん、お母さん自身は、説明し
たことでお子さんも理解できたと思い、問題に取り組むのですが、できません。
1回ぐらいの間違いは許容範囲ですが、何回も同じ間違いが続くと、親の顔つ
きも変わり、
「何回、教えたらわかるの!」
「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
と、なりがちなのです。
幼児が「わからない」というときは、本当にわからない、理解できていないの
です。このことをしっかりと肝に銘じ、親御さんの説明が不十分であることを
考え、お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責め
るべきではありません。
また、昨日教えたことが、今日になるとできない場合もあります。それはお子
さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合が多
いからではないでしょうか。子どもは、興味や関心のないことをやっても、す
ぐに忘れがちなものです。
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではあり
ません。やり方が間違っています。
それを棚に上げて、思わず子どもの頭を叩いてしまうお母さんもいるようです
が、何も悪いことをしていないにもかかわらず、いくらお腹を痛めたからとい
って、手を上げる権利は、母親といえどもありません。子どものためにもいっ
ておきたいことがあります。
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、
冷静に。お父さんも同様です。
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。しかし、こ
の線を越えて、怒鳴り散らしてまで勉強を続けると、子どもも切れますが、耐
えるしかありません。親に見捨てられれば、子どもは生きていけません。
「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
昔は「子をもって知る親の恩」といいましたが、最近では、受験準備に熱が入
りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」ともいわれるような
状況になっているのではないかと感じることがあります。
わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。訂正、鬼も
わが子を手にかけなかった話が残っていますから、犬畜生にも劣る親とします。
ですから、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になるようでは、受験を
する資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ子の魂百まで」を
絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、お子さんの性格は築
かれていくからです。
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集
を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。類似問題を数こなせば、
できるようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレー
ニングです。
これで考える力がつくでしょうか。
疑問だと思います。
行動観察型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、
年月をかけ、試行錯誤を積み重ねながらできたカリキュラムがあり、それをよ
く理解している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのだからです。
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
例えば、慶應義塾幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けます。
子どもの努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将来の
ためと考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性
もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢はそれ以下といったアンバランスな成長
をしている子、かなり見かけます。
さらにです。
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手を
つくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳
しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強
く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校も
あるほどです。
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるの
も無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがち
です。
しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。
先にもお話ししましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、
自分のやっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の
二文字に、冷静さを失いがちですが、受験生のお母さん方全部が、こうなるわ
けではなく、ごく、一部のお母さん方であって、熱心すぎるだけで悪気はない
のです。ペーパーテストを行わない小学校はこういうことも考慮しているので
はないでしょうか。誤解されると困るのでいっておきますが、「ペーパーテス
トが悪い」といっているのではなく、「準備の仕方」に、とかく問題がありが
ちだといいたいのです。
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方
がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければ
ならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけ
るだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、
言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
ところで、最近の入試問題を読むと、「幼稚園での生活能力があればできるテ
ストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎すべき
ですね。
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓
子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、
「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以
下のようになっていると思います。
まず、手を洗い、ハンカチで拭き、たたんでポケットにしまえるか。
靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」をいえるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マーク付きです。
これがテストです。
何を評価しているのでしょうか。
さらに、この話をどう思われますか。
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、
子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両
親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきち
んと持って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。
テレビを付けっ放しで食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕
けて、姿勢も崩れがちです。これは、お父さんにも責任の一端、ありです。特
に、朝食です。テレビを聞きながら新聞を読みながらもしくはスマートフォン
を見ながら、ご飯を胃袋に流しこんでいませんか。
親が、お手本です。
これは、しつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事
は毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦
しむことになります。知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育て
ているお母さんは、お子さんから尊敬されます。
なぜなら、お母さんの手を借りずにできることは、子ども心にも嬉しいからで
す。間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
ペーパーテストといっても、知的能力だけを判定しているのではありません。
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、
偏った経験しかしていない子になりがちで、被害者は子ども自身です。ペーパ
ーテストが中心になっている学校を受験される場合は、こういった結果が残る
ような準備だけは、避けてほしいと願っています。
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたい
のです。
年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時であり、人
格を形成する重要な時期でもあるからです。
「三つ子の魂百まで」は英語で、“The leopard cannot change his spots”
(豹は斑点を変えることはできない)というそうですが、洋の東西を問わず育
児の鉄則ではないでしょうか。
(次回は、個別テストについてお話しましょう)
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2023年11月16日 12:48