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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第6号
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ご家庭で楽しくできる受験準備
 
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
 
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話ししましょう。
 
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
 
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できますが、小学校の試験は、これができません。
 
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がかかればやめて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問題に挑戦できません。
 
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
 
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表現しなければなりません。
 
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければなりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
 
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応できません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話をきちんと聞けるようにする」ことです。
 
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切です。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆に、お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
 
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
 
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せずに、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「○○君(ちゃん)、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても話の仕方の学習にもなっているのです。  
 
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真剣に聞いてほしいのです。
 
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるのです。お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令しているわけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」を学んでいるわけです。お父さんも同様です。
 
これも「教えない教育」の一つの例です。
 
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
 
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
 
お子さんも同じです。
力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
 
お子さんの話を聞けないお父さん、お母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっしゃったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではないでしょうか。
 
お子さんが急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお父さん、お母さんであることに気づいてほしいですね。
 
ところで、特にお母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでしたか。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんからやめますが、選択肢はこんなものではなかったはずです。
 
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませんか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるように心がけましょう。もちろんお父さんもです。
 
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっくり聞いてあげる、これもその時
に最優先すべきことと考えるべきではでしょうか。何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
 
もう一つ、思い出してほしいのです。
 
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまったく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身につかないそうです。
 
ここでも、お父さん、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
 
「ママ(パパ)、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さん(お父さん)は、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話ではありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるようになったわけです。
「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるようになっています。
 
お父さん、お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
 
それは、やはりお父さん、お母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたからです。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなかったからではないでしょうか。 
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であり、これも「教えない教育」であったわけです。
  
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変な学習をしていることです。
 
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、○○ちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、○○くん(さん)!」と話しましょう。
 
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
 
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、○○ちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお父さん・お母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
 
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」
は、使わないことです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
 
「○○くん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのところへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」と、お子さんもわかります。
 
   ◆話を聞いてあげる。 
   ◆きれいな言葉を使う。
   ◆指示をきちんと出す。
      
保護者に、こういった配慮があれば、お子さんも、保護者の願いに応えるはずです。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
 
暑い日が続くようです。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇きをしのぎましょう。
 
 
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用 1」についてお話しましょう)
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第7号
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (1)
 
 
本を読んであげる「話の読み聞かせ」は、とても大切です。
 
動画で見る「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」などのアニメの作品は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛りあ
げる音楽や効果音まで駆使し、瞬く間に物語の世界へ誘い込まれ、楽しいものです。
 
これほど便利なものはありませんが、反面、幼児が疑問を抱いても、教えてくれない不便な点もあります。
 
幼児には、ご両親の「生」の声が何よりです。
 
5歳頃になると、絵が主役であった絵本から、字の多い絵本に変わり、話も筋道立てて進む物語になっていると思います。
 
ここで、お父さんやお母さんに本を読んでもらっていることを少し考えてみましょう。
読んでもらっているときの子どもの頭の中は、どうなっているのでしょうか。
 
絵を見ながらですから、大人が読んでくれる言葉を絵に置き換える、映像化するといった作業が、フルスピードで進んでいるので
はないかと思います。
 
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が浮かんでいるのでしょう。
ところが、聞いたことがない言葉が出てくるとストップがかかります。
「お母さん(お父さん)、オニタイジって、どういうこと?」
やさしいお母さんは、お子さんの言葉に置き換えて説明します。
そこでお子さんは意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚えて、「語彙」が増えます。
 
そして、一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツと言いながら絵本を見ています。
あれは、本当に不思議ですね。
おそらく、読んでもらった本が面白かったから、お母さんの言葉を思い出しながら確かめているのだと思います。
絵を見ながら、記憶した言葉をもとに映像を描き、イメージ化しているのです。
考え、想像しているのです、しかも「言葉」でです。
 
これは、すごいと思いませんか。
 
それが証拠に子どもは、とかく同じ本を何回も繰り返し、飽きもせずに読んでくれとせがみます。
それも読んでいる途中に、
「ママ(パパ)、ありがとう。そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
そこまでのところを忘れてしまったのかどうかわかりませんが、それ以降、話が進まなくなり、イメージ化が中断してしまう、と
大人は考えてしまいます。
 
しかし、子どもとしては、読んでもらって全てがつながったから、そこまででいいのでしょう、あとは覚えていますから。
話を一所懸命に覚えようとしていることに違いはありません。
 
そこから「記憶力」がつきます。  
 
さらに繰り返し読んでもらうことで、描かれた映像は、より鮮明になり、そこから、「空想力や想像力」が培われるのではないで
しょうか。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
昔話だけではありませんが、幼児の読む本は、「起承結」で成り立っているのではないでしょうか。
「起承転結」の「転」はなく、話は複雑になっていません。
 
江戸時代の漢学者、頼山陽が、漢詩を説明するために「京都西陣帯屋の娘」と題して、面白い例を残しています。
 
   京都西陣帯屋の娘   (起)
   姉は十八、妹は十六  (承)
   諸国の大名は刀で殺し (転)
   姉妹二人は目もとで殺す(結)
 
「ショコクノダイミョウって、ナンですか?」
余計なものが入ってくると、すっきりしなくなります。
帯屋の娘の話は、帯屋の娘で終わらなければ、子どもは承知しません。
 
桃太郎が、鬼退治をしたついでに、海賊までやっつけるとはなりません。すっきりと終わって、「めでたし、めでたし」が、昔話
には欠かせない決まりです。
 
さらに物語は、「序破急」と快適なテンポで進みます。
 
浦島太郎の竜宮城で過ごしたひと時が、何十年であっても何ら差し支えありません。話は快く聞けるように仕組まれていますし、
簡潔明瞭ですから、「話を理解する力」がついてきます。
 
しかも、話は、「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」で始まります。
 
「むかし、むかし」は、「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかりません。 
 
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
 
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もさだかではありません。
 
みんな「あいまい」です。
 
その「あいまい」なままに、話は、「何を」「なぜ」「どのように」と展開します。
これも考えてみると大変なことです。
 
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合なことはありません。
奈良時代であろうが平成時代であろうと、北海道だろうが沖縄であろうと、みんな、「むかし、むかし、あるところに」で済ませ
てしまいます。
 
時代考証も、場所の設定も、登場する人物像をイメージ化する面倒な説明もありませんから、すっきりとした気持ちで話に入って
いけるのです。
 
これを仮に、
「江戸時代の元禄十五年、大晦日をむかえる二日前の朝、上総の国は蒲郡、大字蒲、字大和村の一本杉の近くに、四代目の山之上
太郎左衛門というじいさまと花というばあさまが住んでいました」
とやられては、聞いてみようかなという気持ちにもなれないでしょう。
 
「ママ、もう眠いから……」
こうなるに違いありません。
                
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   なにを(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
といった[5W1H]から成り立っていますが、これは文章を書くときや情報を伝える時の基本で、小説や新聞、テレビのニュー
スなども、この形式(フォーム)で構成されています。
 
ということは、話を聞きながら[5W1Hのフォーム]を、小さいときから学んでいることになります。
 
これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
もちろん、子ども達が、「いつ、どこで、だれが」などと意識して聞いているわけではないでしょうが、理路整然とセオリーどお
りに話は進んでいきますから、楽しく話を聞き、その話を覚えることで、筋や物事を考える、「思考力や構成力」が、おのずと身
についてきます。
 
そして、子どもは、話を覚えると話したがります。
 
誰かに聞いてもらいたいのです。
それには、自分自身が話をよく理解しなければできませんから、そのための訓練が、自発的に始まります。
 
それが、「表現力」につながります。
 
しかも、「覚えなさい!」といわれて覚えたのでもなく、「話してみなさい!」といわれて訓練したものでもありません。
自ら、積極的に努力して得た力です。
 
こんなに大切な能力開発を、誰にもいわれずに挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『桃太郎』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。桃太郎が猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治にいく話だろう!」
と無造作に応じてしまっては、せっかく積んできたトレーニングの成果を試せません。
 
子どもは、話したいのです。
成果を試したいのです。
 
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」とやさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
そして話し終えた時には一言、「よく覚えたな、偉いぞ!」とほめてあげることです。
 
お父さんにほめられて、不愉快になるはずはありません。
「よし、今度は『カチカチ山』を覚えるぞ!」
となり、新しい話に挑戦します。
 
記憶力どころか、「物事に取り組む意欲」を培うことになります。
しかも「自発的」にです。
 
30度越えの日々、自然が相手だけにどうしようもありませんが、お子さんの健康管理には十分に気を付けてください。
 
 
(次回は、「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(2)」についてお話しましょう)
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です。

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 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第5号
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です。
 
 
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
 
模擬親子面接で、こういった質問をするのは控えますが、どのような受験準備をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテストの成績は良いのですが、行動観察型のテス
トでは、それほど点数が取れていない場合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思いながら誘導尋問をします。
 
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「お教室へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
 
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようですね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてしまいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
 
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」といいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
                      
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
 
「1.そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れること。
 2.将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、つらい経験」
   (「新明解国語辞典」三省堂 刊)
 
幼児期には、「つらい経験」はあまりさせたくないものです。
 
一方で、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
 
「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
   (岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
 
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大聖人である孔子の話を思い出します。
 
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様から鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし流」に解釈して紹介しましょう。
文言は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
 
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、息子の鯉に、「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」というと、「ケッキョ!」と不
器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴き方を真似するのであり、習うという
ことは、何回も練習し、失敗を重ねることであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
 
このように、幼児の教育は、「勉強」ではなくて「学習」ではないでしょうか。
 
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、そうあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何であんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでしょう!」
 
そのような声も聞こえてきそうです。ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んでいけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
 
歩けない我が子を、無理やり歩かせようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れる、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間
をかけて見守った、あたたかい愛情があったからではないでしょうか。
 
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、そのために試行錯誤をいとわない意欲や行動
力があったからです。
 
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備えるためではないでしょうか。
 
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによって学習していきます。いわゆる「体験学習」です。
記憶力も大切な能力ですが、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありません。
 
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。ところが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が記憶している中枢神経系統に、記憶は
大脳神経系統に属しているからだといわれています。幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や保育園、近所の友達との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
 
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
 
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ここで言う「遊び」は、ゲームをやっていて、つまらないからやめるといったような遊びとは違います。ですから全力
をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
 
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみましょう。
 
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられています。
番組を撮影する監督も顔負けの映像が、子どもにはリアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょう。
 
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
 
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人しかわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
 
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
 
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
 
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰り返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
まさに大人顔負けのPDCAサイクルですね。
しかも、だれも教えていません。すごいことです。
 
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
 
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものであるべきだと思います。
 
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学んでいる教育のことです。
 
赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、「体験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
 
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるようにしたとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
 
失敗しても怒らない、できるようになるまで「忍の一字」で待ってあげたはずです。
 
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応えて成長したのではないでしょうか。
 
受験準備も同じです。
 
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に考えてあげましょう。
 
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
 
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、苦痛になるだけです。
 
お父さんやお母さんとの学習が面白ければ、そして楽しければ、お子さんは、一所懸命に挑戦するはずです。 
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
 
暑さに負けず、昆虫採集や外遊びをする子ども達を見かけます。
水筒を持っていますが、帽子をかぶっていない子がいます。お子さんはいかがですか。元気なことは良いのですが、熱中症対策はしっかりしてあげましょう。
 
また、外から帰ってきた時は、手洗い、うがいを励行してください。良い習慣は、毎日の積み重ねから身につくものだからです。
 
 
 (次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう。)
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園や保育園で、どのように評価されていますか。

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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
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 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第4号
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お子さんは、幼稚園や保育園で、どのように評価されていますか。
         
前号に続き、第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタートでつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、ご家庭で培われるものです。
 
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
 
長年、幼児教育に携わり、教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影響力には、計り知れないものがある」ことです。
 
共働きが増え、子育てもご両親分担される家庭が増えています。
それでも、幼児期はお母さん方の育児の姿勢次第で、子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。それほど、お母さん方は、絶対的な力を持っています。そのことを、お母さん方自身が、強く意識してほしいと思います。
お子さんのために。
 
では、どういった子育てが集団生活への適応力を育むのでしょうか。また、育まないのでしょうか。     
 
以下「お母さん」と書いてありますが、「お母さん」を「お父さん」に置き換え、ご両親ともにチェックしてみましょう。
 
 
◆チェックシート(1)
[チェック方法] 
はいの場合[○] いいえの場合[×]
どっちともいえない場合[?]
 
1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。[  ]
2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。[  ]
3.他人の子どもはちっとも可愛くない。        [  ]
4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。[  ]
5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。   [   ]
6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。    [   ]
 
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
 
 
[1.過保護型のお母さん]
 
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも伝いますから、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集団生活への適応力にも、不十分なとこ
ろがありがちです。
 
 
[2.過干渉型のお母さん]
 
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちにくく、何かをするときに、お母さんの
指示を待つ消極的な子どもになりやすいものです。
 
 
[3.溺愛型のお母さん]
 
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見る子になりがちです。大人の前ではよ
い子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
 
 
[4.自己中心型のお母さん]
 
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活になじめず、孤立する恐れがあります。
いわゆる「自己中心型」のお母さんです。小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。いわゆる、モンスターペアレント、モンペですね。
 
 
[5.知育偏重型のお母さん]
 
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するために、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に取り組む意欲が表れにくい子になりが
ちです。お母さんは、「何回言ったらわかるの!」などの言葉が多くなるようです。
 
 
[6.付和雷同型のお母さん]
 
親が選んだ受験にもかかわらず「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」などいった怪情報、噂などに振り回され、「わが子をみてください」といった信念がないため、親子で受験地獄に陥
りやすいといえます。「○○ちゃんは、できるのに…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残すことになりがちです。
 
 
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てきましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お母さん方の心の中に潜んでいるのでは
ないかと思われる、“潜在的な欲求”を表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるかで、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のいう育児の姿勢なのです。
 
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こういったお子さんに共通しているのは、
社会性や協調性といった集団生活への適応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つ
のタイプに偏らない育児のことです。
 
 
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょう。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
 
 
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
 今回は、○か×で判定してください。
 
1.ご両親であいさつをしていますか。       [  ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[  ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。 [  ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。 [  ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。 [  ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[  ]
7.何かお手伝いをさせていますか。 [  ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[  ]
9.本を読んであげていますか。   [  ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[  ]
11.指示はきちんと出していますか。 [  ]  
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。 [  ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[  ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。   [  ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[  ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。    [  ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。  [  ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。      [  ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[  ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[  ]
 
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、いかがでしょうか。今度は、どちらともいえ
ない「?」のマークはありませんが、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
 
 
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中でご両親が心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培われ、学校側の歓迎するお子さんに育つ
ものです。
 
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題がある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
 
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書ですが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
  
 「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、この子に何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを知らなくてはならない。子どもが、今、成すべき
 こと、今、成し遂げるべきことを、自力でさせてあげることだ」
       
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社)という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できるように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こういった適正能力は育まれません。
 
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、なぜ、本学園の入学試験の難易度が高
いかがわかるからです。
 
 注 マリア・モンテッソーリ
   イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
    ウィキペディア フリー百科事典より
 
夏はこれからが本番です。夏休みになっても、通園中と同じようにタイムスケジュールをきちんと守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
 
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しましょう)

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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第3号
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
 
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年齢にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱の5つが基本といわれています。
 
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
 
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児になりがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
 
下に20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけないということではありません。
 
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室の新学期が始まる、今年の11月を目
安にして頑張ってみましょう。
 
目的は、自立心を養うことです。
 
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られることもあるからです。
 
 1.毎朝一人で起きられますか。
 2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
 3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
 4.衣服の着脱はできますか。
 5.ボタンの掛け外しはできますか。
 6.食事は一人でできますか。
 7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
 8.食事に時間はかかりますか。
 9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやティッシュペーパーを使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かた結び)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝、決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
        ※は無理をしないことです。
 
3の洗髪は、幼児には大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけてすばやく洗ってあげると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰ってきたわが子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからやらせなかった場合が多いものです。
 
7の箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に集団生活でも最も大切なことです。
 
立教女学院小学校の説明会で以前、「今年も箸を使うような問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っているのではなく、生活習慣としてみせていただきます」とお
っしゃっていましたが、箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てていますから、お父さん方、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる大切な適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はここにあるのです。
 
11は幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見せることが大切です。
インフルエンザの予防のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な習慣です。
 
13の整理整頓ですが、男の子は苦手な場合が多いですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるようになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けていると、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいます。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いものです。
 
文句を言う前に、なぜできないのか、その原因を考えてあげましょう。
 
我が家の長男も片付けが苦手でしたが、長女が「こうするのよ!」と言ってはやらせていました。女の子は、小さい時からお母さんをしっかり観察して、真似をしていますね。ままごと遊びをしているお子さんを見て、赤面することはありませんか(笑)。
 
そして、お父さん方に一言、「置きっ放しにしないで!だらしがないんだから」などとお母さん方から苦情が出ていませんか。出ている場合は、反省してください。
 
お母さん方へも一言。お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わないでください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
 
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。
言われたお父さんより、聞いている子ども達の方が、大いに傷つくことを忘れないでください。
同様に、お父さん方、お母さんに乱暴な言葉を投げつけるのは、やめましょう。
 
14は男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
 
15のこういった手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るといった作業は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるのです。
 
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への適応力を育むもとにもなっているので
す。
 
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親が率先して行うことで、きちんと身に
つくものです。
 
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定しています。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
 
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
 
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った同じ年の子ども達の中に入り、初めて会った先生の言うことを聞き、適切に対応できるか」を判定されることであり、頼りになるのは
自分自身だけで、誰も助けてくれません。
 
「子離れできない保護者」「お母さんやお父さん離れのできないお子さん」では、入学試験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
 
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といっているのは、「適応能力」が身についているかを知りたいからです。
 
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むことになるのです。
 
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視することは、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと思います。
 
もうすぐ夏本番です。お子さんの健康管理には十分に気をつけてください。
 
   (次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>先手必勝といっても、あおっているのではありません

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第2号
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先手必勝といっても、あおっているのではありません
             
創刊号を含めて10月まで20回近く配信できますが、この間に家庭でやらなければならないことをしっかりと行い、身につけることができれば、11月から始まる幼児教室の新年長クラスでの
学習は、お子さんにとって楽しい教場となるはずです。
 
これから6つのことについてお話しますが、どれから始めるかといった優先順位はありません。
 
子ども達は幼稚園や保育園で、国語、算数、社会といったように、教科別に時間を区切って学習しているわけではありませんが、あらゆる事柄に、先生や友達と様々な関わりを持ちながら学んでいますから、ご家庭でも臨機応変に取り組んでいただきたいと思います。
 
★お子さんは、自力でどのくらいのことができますか。
 基本的な生活習慣のことです。
 朝起きてから夜寝るまで、お母さんはどのくらい手を貸しているでしょうか。
 「自力でできることがたくさんあるお子さんの知的な能力は高い」といわれています。
 また、3歳過ぎてお子さんのやっていることを見て手を貸し、口を出すのは、過保護、過干渉の育児といわれ、お子さんの自立を妨げます。
 皆さん方はいかがでしょうか。
 
★お子さんは幼稚園や保育園へ通うことを楽しみにしていますか。
 社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
 光塩女子学院初等科の説明会では、社会性のお手本はご両親とおっしゃっていました。
 「少し元気がありすぎるようですね」などといわれていませんか。
 「元気な子と無作法な子は違う」「明るい子とけじめのない子も違う」ともいわれていますが、お子さんはいかがですか。
 
★お子さんはお父さん、お母さんの目を見て話を聞き、話をしていますか。
 話の聞ける子は相手の目を見ていますが、その瞳は輝いています。
 話をする子の表情は、いつも楽しそうです。
 幼稚園や保育園、外から帰ってきたときに、「ママ、あのね!」と話しかけてきますか。
 そして、きちんと聞いてあげていますか。
 後で詳しくお話ししますが、「小学校の入試でもっとも大切なこと」と覚えておいてください。
 
★折り紙やあやとり、点図形やお絵描きに興味を持っていますか。
 色を塗る、紙を切る、折り紙を折る、紐を結ぶ、糊で貼る、箸で摘むなどの手作業は、その年齢にふさわしい発達を遂げるもので、その時期を逃すと苦手意識を持ち、手をださなくなると
 もいわれています。
 また、点図形は、書写の基本練習にもなっており、多くの学校で出題されている訳は、ここにあるのです。
 絵は心の窓ともいわれ、描かれた1枚の絵からお子さんの情緒の発達状態もわかります。
 入試問題に絵を描かせる学校が増えていますが、絵はスケッチブックとクレヨンを与えて、すぐ描けるものではありません。 
 また、「手は第二の脳」ともいわれ、知的な能力の発達と深い関わりを持っています。
 お子さんは、「塗る・切る・折る・結ぶ・貼る・摘む・書く・描く」といった手作業に興味を示していますか。
 
★数量に関して直感力は働きますか。
 入学試験というと数量の問題が重視されているようですが、子ども達は数字を使い加減乗除で答えを出すわけではありません。
 直感で多少を見極めることから始め、○を使って答えを求めます。
 お子さんに、クッキーが3つと5つの入った皿を見せ、「多い方を食べていいですよ」といったとき、数えることなく5枚のクッキーの入った皿を取ることができるでしょうか。
 また、容量が同じ2つのコップの一方に、少しだけ多く入れておき、「多い方を飲んでいいですよ」といったとき、さっと多い方のコップを取れるでしょうか。
 これは、決して卑しいことではなく、「about(アバウト)おおよその感じ=直感力」で判断した結果で、数量に関しては、まず、こういった直感力が働くことから始まります。
 お子さんは、いかがでしょうか。
 
★5分も歩かないうちに「おんぶ!」などといいませんか。
 現代の子は、スタミナ不足といわれています。
 なぜ、赤ちゃんは「はいはい」を繰り返し、繰り返しするのでしょうか。
 ご存知のように、やがて歩き始めるための筋肉の鍛錬になっているのです。
 幼児期には、敏感期といわれる「もっとも著しく発達する時期」があります。
 言葉の敏感期を逃すと、映画に出てくる動物に育てられた子供のように話のできない人間になってしまいます。
 筋肉も同じで、身体全体を使い、遊ぶことで発達するものです。
 小学校に入ると余分なエネルギーをかけない省エネ運動を覚えますが、幼稚園、保育園時代は全力で身体を動かします。
 お子さんは、部屋で一人だけで遊ぶ省エネ運動に入っていませんか。
 
以上6つの項目を挙げてみました。
 
問題がなければ、ご両親の育児の姿勢にぶれはなく、お子さんは順調に育っているといえます。
 
「入学試験を控えている子どもにとって、知的な能力を鍛える項目がないように思えますが」と心配なさる方もあるかもしれません。
 
ご安心ください。
 
こういったことがきちんとできるお子さんの知力は、十分に発達しているものです。
なぜなら、こういったことはすべて、自力でやらなければ身につかないことばかりで、そのためには、試行錯誤を積み重ね、考え、工夫し、自発的に挑戦し、自分のものにしているからです。
 
「自分のものにする」、これは幼児が自力で身につけた知恵です。
その知恵を土台にして、知的な能力は発達していくものです。
 
お母さん方、もしくはお父さん方も得意な料理は、レシピを見ないで、調味料も計量カップを使わずに、作っているのではないでしょうか。
試行錯誤の結果、お子さんやご家族が好む料理にできあがっているはずです。
それと同じです。
 
知的な訓練だけを先行させるのは、ともすると、その時期に必要な成長を支える、大切な手順を抜くことになり、なかなか理解できないことが起きがちで、そこから苦手意識が幅を利かせること
になるのです。
 
「プロセスの重視」、幼児の学習は育児と同様、プロセスをなおざりにすることはできません。
 
かつて桐朋小学校の説明会で、「私どもは試験といえどもプロセスを重視しています」とおっしゃったことがありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
 
来週から、6つの領域の基本的な学習のプロセスについてお話していきたいと思います。
 
  (次回は、「基本的な生活習慣」についてお話しましょう)
 
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