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めぇでるコラム

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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[9]運動に関する問題

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第42号>
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★説明会情報
昭和学院小学校(第1~3回オープンスクール・説明会)
 2024年5月18日(土)9:00~11:00
      6月12日(土)9:00~11:00
      7月12日(金)18:30~19:30
 
江戸川学園取手小学校
 2024年5月11日(土)10::00~11:30 オンライン
      5月25日(土)10::00~11:30
 
  詳しくは、各校のホームページをご覧下さい。
 
 
「学校情報 HPを読んでみましょう」
各学校のホームページが更新され、今年も読み応えがあります。特に、国語ではどういった授業が展開されているか、興味のあるところです。
昭和学院小学校の視写(名作を原稿用紙に書き込む)、日出学園小学校の書写、「書き取りタイム」、聖学院小学校の「作家の時間」など、面白い取り組みがあります。
聖学院では通常授業の他に、1年生から6年生まで週1時間「表現」の科目を特設、「作家の時間」と呼ばれ、自由なテーマで文章を書き、クラスメートの前で読み上げ、みんなから評価をもらう形式は傑作。先生とのやり取りで終わる作文と違い、多数の読み手を意識し、興味を持ってもらうことがポイント。
英語に力を入れている本校ですが、きちんと国語力を培う姿勢が伝わってきました。
英語や情報教育に注目しがちですが、すべての学問の基本は国語です。どういった授業を進めているか、調べてみませんか。
 
 
 
[9] 運動に関する問題 
 
運動には、集団で行うものと個別に行うものがあります。
 
[集団で行う運動]
 
先生と同じ体操を機敏にこなす模倣体操、タンバリンのリズムに合わせて行進をしながらスキップやケンケン、ケンパー、グーパーなどをするもの。
左右の手を開いて、親指から順番に閉じたり、開いたりする指の屈伸、片足一本で立つ片足バランスや登り棒、縄跳び、ボールをついたり投げたり、ドリブルをするボール遊び、かけっこ、ジグザグ行進などをします。
 
これは試験ですが競争ではありません。
先生のやっていることをよく見て、その通りにできるかどうか、指示行動です。
スキップ、ケンケン、ケンパー、グーパーなどは、幼稚園でやっていて得意だろうと思っていたのですが、そうでもないようです。
また友だちとこういった遊びをすることが、少なくなっているのではないでしょうか。
 
少子化の影響で近所に同年齢の仲間がいない、また、不幸なことですが、幼児を取り巻く屋外での環境は決して安全とはいえず、家での一人遊びが増えているようですが、やはり不自然ですね。                   
 
しかし、やってできないことはありません。
 
ご両親の出番ですね、お子さんも喜びます。
お父さんやお母さんと一緒にやってできるようになっていれば、教室でも簡単にでき、先生方も他のことに時間を有効に利用できます。
 
巧緻性と同様、教室や塾にお任せだけでは、効率のよい受験準備はできません。
 
そして実際の入学試験で、お父さんやお母さんと一緒にやった運動が出たとき、子どもたちは間違いなく一所懸命にやります。
楽しい思い出が残っているはずだからです。
 
かつて、このようなことがありました。
 
ボールを使う運動が出題される男子校の受験で、お父さんは海外へ単身赴任中。
通い始めてから3か月ほどたった時、少し太めであったお母さんがスリムになってきたので、お子さんに聞いたところ、毎日のように近所の公園でボール遊びをしているとのことでした。
見事に合格しましたが、ご挨拶にみえた初対面のお父さんが、一番うれしそうでした。
お父さんができなかった分、お母さんが一所懸命に取り組んだので、お子さんには楽しかったに違いありません。
難しい問題にもギブアップせず、懸命に挑んできたのは、こういったお母さんの頑張り、スキンシップがあったからでした。
 
逆に苦しい思い出しか残っていない場合は、
「先生、これ試験ですか。試験でなかったらやりたくありません」
こうなるのではないでしょうか。
 
前にも紹介しましたが、説明会で聞いた本当にあった話です。
難易度の高い小学校でしたから、かなり厳しい受験準備に追われ、子どもの目にも、日常生活の全てが受験に結びついていると映っていたのでしょう。
話をされたシスターは、悲しそうにおっしゃっていましたが、帰るとき電車で一緒になったお母さん方が、「難しい問題が出るのだから、仕方がないでしょうに!」(この語尾、いやですね)などと、なぜか高い偏差値の話で盛り上がっていました。
 
「準備に適切でないところがあるのでは、とお母さん方は考えないのでしょうか」と言いたくなりましたが、偏差値だけをあげる準備に夢中になっているお母さん方は、聞く耳を持たないものです。
ご両親が心を一つにして受験に取り組んでいるとは、とても思えません。
大人だけが夢中になっているケースが、多いものです。
しかし、子どもにとって負担になるだけの準備は、やがて、壁にぶつかります。
チックの症状などが出てくるようでは、誰のための受験なのでしょうか。
 
また運動は知的な能力と関係ないからと無関心な方がいますが、それは間違いです。
知育、徳育、体育の3つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育っていなければ、偏った発育をしがちです。
 
お薦めしたいのは、縄跳びやボールつきです。
縄跳び、これは全身運動ですから、体重計恐怖症の保護者にも効果があります。
ボールつき、これも全身のバランスが必要ですから、ぜい肉を取り除いてくれ、心地よい汗は、ストレスの解消にもなります。
サッカーが盛んですから、けるのは上手ですが、つくのは苦手ですね。
親が見本を示して、一緒に汗を流しましょう。
繰り返しますが、第三者だけに任せるものではありません。
試験に出るからではなく、これくらいの運動ができないようでは心配です。
 
中には息切れする子がいますね。
スタミナ不足です。
最近、こういった男の子が増えているようですが、持久力を見るテストもあります。「やめ」と言われるまで縄跳びを跳び続ける、などの内容です。
 
スタミナ不足は取り組む意欲にも悪い影響を与えます。 
お子さんと一緒に歩いてみましょう。
5分もしない内に、
「パパ、おんぶ!」
とせがむようでは、お子さんは運動不足です。
         
 「床にかかれた印に従いケンケンパーをしながら進み、乾いた雑巾で敷いてあるマットまで雑巾がけをし、そばに置いてあるかごに雑巾を入れ、箱からドッジボールを取り出し、ラインの前で後向きになり、ボールをつきながら後向きで進み、ボールを箱にしまい、車輪のついた丸い板に正座し、手でこぎながらジグザグにかかれた線の通りに、置かれている椅子にぶつからないように進む」
 
かつて、ある名門校で実施された運動テストです。
学校側の出題意図を考えてみましょう。
通学時間に1時間かかる場合、これで息切れするようでは、
「無理ではないでしょうか!」
となるのは当然です。
 
ところで、以前、巧緻性のところでお話ししたことですが、お子さんは筆記用具をきちんと持って、しっかりとした線を書いていますか? 
弱々しく頼りない線を引くようでは、腕の筋肉の発達不足、つまりは運動不足が考えられます。
チェックしてみましょう。
 
 
 
[個別で行う運動]
 
跳び箱、平均台、マットなどを使った運動をいくつか組み合わせて、先生の模範演技を見てから一人ひとり行うものです。
 
  「先ず、ケンパーで平均台の側まで行き、平均台を渡り、真ん中で1回ぐるりと回ってからまた進みます。下りたところの円の中で『やめ!』と言われるまでボールをつきます。次に跳び箱にのぼり、元気に飛び下り、最後にマットの上で芋虫ゴロゴロをしてマットの外に出て、得意なポーズをやって終わりです。先生のやるのを、よく見ていてください」
 
かなり、きついです。
しかも、しっかりと模範演技を見ていないと、どうにもなりません。
指示の理解と積極的に挑戦する意欲、行動力を見ているのでしょう。
こういったことを、いきなり本番でやるのは無理ですし、「お父さんの出番です」などと言われても、マットの代用品はありますが、跳び箱、平均台は、家にないからできないのではと思われがちですが、その心配はありません。
普段から、体を動かし、筋肉に刺激を与えていれば、対応できます。
基礎体力さえついていれば、順応性の高い子どもには、難しいことではありません。
 
ところで素朴な疑問ですが、途中で忘れてしまった場合、どうすればいいのでしょう。
先生に聞いても、いいのでしょうか。
最初の挑戦者は、こういう心配もありますね。
聞くのはまずいでしょうが、自分で覚えている通り、堂々とやるべきでしょう。
 
また、途中で平均台から落ちてしまった場合、やり直ししてもいいのでしょうか。
いいと思いますね。
チャレンジ精神です。
 
失敗を恐れる子など、子どもらしくありません。
落ちて泣く子もいるそうです。
なぜ、泣くのでしょうか。
たかだか平均台から、落ちただけではありませんか。
泣くのは、落ちたら駄目、失敗したら減点されることを知っているからでしょう。
 
悲しくなりますね、こういうことで泣き顔をみせるのは……。
小さいときから失敗するのは、悪いことだなどと教え込まれたら、「失敗は成功のもと」とは言えなくなるではありませんか。
苦手なことが増えるのは、失敗を恐れるからではないでしょうか。
 
平均台から落ちても、
「先生、やりなおしてもいいですか!」
笑っていえる子、絶対に合格すると思います。
信じていますよ、試験監督の先生方!
 
やはり、体を動かすことは、第三者だけに任せっぱなしはよくないと思います。
ゴルフは年を取ってからでもできますが、幼児期は二度と戻ってきません。
夏休みは体力づくりにも考慮してください。
頑張りましょう。
 
スキンシップですよ、お父さん、お母さん!
 
(次回は、「社会性に関する問題」についてお話しましょう。)
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>創刊号 - 年中から挑戦される皆さんへ -

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第1号
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 - 年中から挑戦される皆さんへ -
  
                          
「小学校の受験は、大学受験より難しい」と聞くと、驚かれるかもしれません。
 
では、皆さんは、小学校、中学校、高校、大学の入学試験で、もっとも難しいのは、どの段階だとお考えでしょうか。
 
中学受験で、麻布、開成、武蔵、桜蔭、雙葉、女子学院といったいわゆる御三家へ入るのは容易ではありません。
大学についても、全入時代と言われつつ、難関大や知名度の高い大学には浪人しても合格できるといった保証もありません。
このように考えていくと、大学、高校、中学、そして小学校の順と考えても不思議ではありません。
 
しかし、それでは、正解とはいえません。
もっとも難しいのは、一見やさしそうにみえる小学校なのです。
なぜなら、小学校の受験は、子どもの意志ではなく、親がよかれと思ってはじめるからです。
 
試験場でテストを受けるのは子ども自身ですが、合否を判定されるのは、実は、試験場にはいない、ご両親だからです。
 
「そんな馬鹿な。テストを受けた子どもの点数次第ではないのですか?」
 
偏差値教育の洗礼を受けてこられた皆さんですから、気持ちはわかります。確かに、ペーパーテストのできるお子さんは、知的な能力の点ですぐれているといえます。
 
しかし、ペーパーテストで満点をとっても、わがままな子や手のかかる子かもしれません。そういった子どもの集団であれば、国立や私立の小学校が目指す教育を実践できるのか、成り立つのか、これは難しいでしょう。
 
ペーパーテストだけでは、社会性や協調性といった集団生活への適応力は判定できないでしょう。
 
小学校側の求める子は、「知育・徳育・体育の三つの能力が、バランスよく発達している子」といわれています。
限られた時間内に、ペーパーテストや行動観察、そして、絵画や制作、運動、課題や自由遊びなどを通して三つの能力を評価し、さらに面接で、ご両親の考えを聞き、総合的に判定するもので、
ペーパーテストの点数、知的な能力だけで合否を決めているのではありません。
 
大学入試は本人の努力次第で決まると言っても過言ではありません。しかし、小学校受験は、本人の努力次第とはいえません。
 
保護者とお子さんで受験準備を進めなければ、希望する学校へは入学できないでしょう。
 
つまり、保護者がどういった育児をしてきたか、その育児の方針と学校の教育方針に矛盾のないことがポイントとなるのです。
 
さらに、やっかいなのは、試験の方法です。
 
幼児のテストには、文字や数字を使えませんから、ペーパーテストには、答えは出ていますが、設問は、どこにも書かれていません。このことです……。
 
大学などの試験は、難しい問題があると、後回しにし、時間があれば挑戦できますが、小学校の試験は、これができません。
説明を聞き、すぐに取り組み、「そこまで!」と声がかかれば、そこで止め、次の設問の説明を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると、次の設問の説明を聞き逃し、問題に挑戦できません。
そういったことから考えると、もっとも難しい試験方法ではないでしょうか。
 
ですから、話をきちんと聞き、すばやく対応できる力がなければ克服できません。
 
もっとやっかいなことに、慶應義塾幼稚舎のような行動観察のテストでは、先生の指示を聞き、自分の考えをまとめ、自分の言葉で話したり、思ったことを絵に描いたり、体で表現します。
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った子どもとグループを作り、初めて会った先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動しなければなりません。
機敏に対応する能力が必要なのです。
 
さらに、気になることがあります。
保護者の方の心配の種でもある、面接が多くの学校で実施されています。
保護者がお子さんをバックアップできる、たった一回のチャンスです。 
合格されたお母さんでさえ、
 
「頭が真っ白になって、何が何だかわかりませんでした」
 
などと、苦笑しながら告白されるほど、プレプレッシャーがかかるようです。
 
この面接の比率は、幼稚園の入園テストの場合は、子どもの発達度2割、両親面接が8割、小学校の入学テストの場合は、5対5、五分五分といわており、その比重は高いのです。
 
まだ、あります。
 
願書や面接の資料の記入です。
たとえば、雙葉小学校の面接資料は、内容が詳細に分かれていて、皆さん、書くときに苦労しています。
       
さらに加えて、いろいろな怪情報、うわさが渦巻いています。
根も葉もないうわさに惑わされ、右往左往し、くたびれ果ててしまう保護者の方もいます。第三者から見れば何でもないことでも、当事者になると見過ごせないのがうわさです。
 
驚かしているわけではありませんが、これだけのことを経験し、お子さんにふさわしい学校を選び、早ければ9月下旬から、11月にかけて試験に臨むことになります。
 
これが小学校を受験されるご両親の歩む道です。
 
シルクロードになるか、いばらの道になるか、保護者の考え次第です。
保護者が本気になり、真剣に取り組まなければ、合格の栄冠を獲得することはできません。
 
本メールマガジンは、小学校入試に向けて、学校側は何を求めているかを分析し、そのために、保護者は何をすべきかについて、年中さんから、無理なく挑戦できるように、具体的に解説したも
のです。
 
合格の一助になれば幸いです。
 
 
令和6年7月
めぇでる教育研究所 職員一同
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第52号>
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 建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
 
■ 暁星小学校
 
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校です。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップ等を見ていても、「ここまでやるか!」といったプレーが随所に見られます。ですから、イエローカードやレッドカードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守って戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、11人で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎりぎりのところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決めるチャンスを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」ではありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェアーな戦いとチームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
 
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。
 
以前の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカーに挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合格、共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しましたが、よくわかる話でした。
 
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、ここがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないのではと考えます。
 
以前、佐藤前校長が説明会で、暁星小学校の鍛える教育のイメージは、日本昔話のキャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この比喩はわかりやすいのではないでしょうか。吉川直剛校長からも、同じ話を聞くことができました。
ちなみに、運動会の入退場門、本校の入場門は健闘門、退場門は勇退門となっています。
 
コロナ禍前の面接では、志望理由や育児の方針といった質問ではなく、お子さんとゲームをしながら、その対応の仕方や、そばで見ているお母さん(またはお父さん)にゲームの様子を聞くなど、従来の面接とは違った形で行われる年もありました。
 
模擬面接の入室時にじゃんけんをして席を決めるときがありますが、「最初はグー、じゃんけんぽん!」、わずか数秒のことですが、照れずにじゃんけんに興ずる親子、見ていてもほのぼのとしますね。学校側の目的は、ありのままの親子の姿、家庭を見ることにあったと思います。
 
コロナ禍以降、保護者面接が続いています。本年も「保護者面接」となっていますが、親子面接に戻る日はくるのでしょうか。
 
 
 
■ 青山学院初等部
 
青山学院初等部は、ミッションスクールは別学が多い中で、めずらしく共学です。ランドセルも通信簿もありません。これが青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、3、4がなくて5も勉強です、現代の子どもたちは。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につけなければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
 
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣い、そして情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教育を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表になりがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょうか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料のない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
 
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいいという価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育で、学習指導要領が掲げる“アクティブ・ラーニング”と同じではないでしょうか。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
 
初等部のHPを開き、「教育の特色・紹介」のところの「国内短期留学・止揚学園」をご覧ください。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味を理解できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でもあるのです。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょうか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことから、まとめてみましょう。
 
 
 
■ 国府台女子学院小学部
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がいました。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さもありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。近年、コンスタントに医学部医学科や薬学部への進学者が出ていることからも、「社会で活躍できる女子を育てる」方針が着実に実を結んでいるのではないでしょうか。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を歓迎するムードもありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さい頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
 
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳をみがき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい影響を与えて善に導くこと」だそうです。となると、教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
たいへん難しい言葉です。HPにも解説がありますが、独自に解釈してみると、こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつましく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできます。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親であれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
 
  ひたむきで つつしみぶかく みやびやか
 
などとお母さん方に紹介していたこともありました(笑)。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいないので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」といわれ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。幼児教室対象説明会でも、その時々のデータを提示しながら女子教育の効果を強調しています。
 
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
 
(次回は、「建学の精神、教育方針の理解の仕方(3)」 についてお話ししましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第51号>
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★説明会情報★
 慶應義塾幼稚舎 
  ・学校説明会(動画配信)※WEBからの申込要
    視聴期間:現在配信中で、7月5日(金)16:00まで
 
  ・学校見学会 7月6日(土)受付中
   
 
 
建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)
 
何やら、いかめしいタイトルで恐縮ですが、今回と次回に分け、建学の精神や教育方針を、どのように理解しておかなければならないかについて、例を挙げながらお話ししましょう。 
 
模擬面接では、お父さんに志望理由を伺うことが多いのですが、これでは本番で困ったことになるのではといった回答があります。それは、願書に書かれている志望理由を、そのままおっしゃる場合です。
 
たとえば、白百合学園小学校でいえば、
「御校の校訓である『従順、勤勉、愛徳の三徳』が、我が家の育児の方針とあい通じるところがあり、心から賛同できますので志望いたしました」
と答えたとします。
「では、三徳について、具体的にどのようにお嬢さんに教えていますか」
と尋ねてみると、はっきりとした答えが返ってこないことが起きがちです。これでは、志望理由になりません。説明会でも、三徳について簡単な説明があり、配布されたパンフレットにも書かれています。
 
 従順 すすんでみがこう正しい心
 勤勉 すすんでなんでも一生けんめい
 愛徳 すすんで親切よろこんで
 
これを、このまま願書に書き、口頭で答えるのもどうでしょうか。
 
「従順は素直な心、勤勉は最後まで頑張る子、愛徳は思いやる心」と置き換えれば、皆さんが育児で、大切にしていることではないでしょうか。
 
「私どもでは、素直な心、頑張る心、思いやる心を大切に育ててきました」と答えることができれば、すなわち、「従順、勤勉、愛徳」の三徳を、育児の中心にしてきたことになり、「心から賛同できる」となると思います。
 
こういったように、ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が、限りなく近ければいいのですから、やはり、育児の姿勢に一本の筋がなければ、あやふやな回答になりがちです。
 
そして、学園全体のことも考慮されて、「宗教教育に何を期待しているのか」「女子だけの教育環境になぜ、賛成なのか」「大学までの一貫教育制度に期待することは何か」をまとめることです。
 
先週号で、併設の中高の進路状況を見ておきましょうとお薦めしましたが、大学への進学状況を見ておくことも大切です。白百合学園の中学・高等学校のHPを開いてみると、そのまま大学へ進む生徒は少ないこともわかります。     
              
ところで、平成25年の説明会で、校章の解説がありましたが、デザイン化されたユリの花の中央は「従順」、左側が「愛徳」、そして右側が「勤勉」を表しているそうです。校歌にジャンヌ・ダルクが出てきますし、「清くかんばし白百合の花」で始まり、終わりは「命のしるし白百合の花」……、白百合の目指す女性像は、半端ではありません。
 
もう一例として、日本女子大学附属豊明小学校の「三綱領」についてお話ししましょう。
学校案内には、こう説明してあります。
 
 信念徹底(正しいと考えたことはやり遂げる)
 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
信念徹底とは、はじめたことは途中でギブアップしないで最後まで頑張る子。
自発創生とは、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子。
共同奉仕とは、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子。
 
こう考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
こういったことを大切に考え、子育てをしているご家庭は、日本女子大学附属豊明小学校の教育方針と一致していると思いませんか。
 
それならば、願書に「三綱領に賛同いたしまして志望させていただきました」とお書きになられても、では具体的にと尋ねられた場合、躊躇せずに話せるのではないでしょうか。
そして、「女子だけの教育環境」「大学までの一貫教育に期待すること」をまとめるべきでしょう。
 
次は、面接をやっていない学校ですが、願書は提出しますから、やはり、志望理由は明確にしておかなければなりません。
出願者が、もっとも多いといわれている慶應義塾幼稚舎です。
 
最初の頃に触れましたが、もう一度、紹介しておきましょう。
第一に、教育方針の中に掲げてある独立心と自尊心、「独立自尊」の精神です。
この言葉は、福沢諭吉翁の精神として、明治33年に発表された「慶應義塾修身要領」の中で初めて使われた言葉です。
 
「自分の自由独立を守るためには他人の自由を認め、またその人の独立をも尊重しなければならない。人はすべて自主的、自発的に判断して行動する習慣をつけなければならない」
 
つまり、あることに関して、他人の考えに左右されずに、自分の考えや判断を最も尊ぶ心が自尊心であり、他人はどうあっても、自分はこうだという信念のある態度で生活することが大切であるということでしょう。
 
独立自尊については、この話がわかりやすいと思います。
新入生が入学したときに、三つの約束をします。
 
 一つ、嘘をつかない。
 二つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
 三つ、自分でできることは自分でする。
 
普段から、お子さんにいって聞かせていることを考えると、
「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」
「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。
そして、これらをやらないと叱り、諭しているとします。
お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針と一致していることになりませんか。
 
この三つの教えは、先の諭吉翁の10ヵ条から成る「慶應義塾修身要領」の中から、特に大切な項目を取り上げたもので、通信簿の第1ページにも記されています。
成績をみるよりも前に目を通してほしい大切な事項、という意味からだそうです。
 
第二は、幼少時の者には、身体の健康と品格に重きをおく、「先ず獣身を成して後に人心を養え」の教えですが、これは「福澤諭吉全集」第六巻257ページにあるもので、これをどう解釈するかでしょう。
 
「獣身を成す云々」は、この話がいいでしょう。           
 
 「塾生皆泳というモットーを、日常の教育に文字通り実践しているのは幼稚舎である。幼稚舎を卒業するまで、プールで千メートルを全員で泳ぎ切る見事な成果は、先ず獣身を成せとの教えの端的な一歩であった」
 
卒業までに、千メートル皆泳です。
まだ、あります、冬の寒い時期の縄跳びです。
 
この二つのことに関しては、説明会でも力説されていました。
 
ところで、運動会場には入場門と退場門がありますが、幼稚舎の場合は、入り口は「獣身門」で、出口は「人心門」となっています。「陸の王者慶應」は、幼稚舎時代から鍛えられているわけで納得できました。
 
毎年、「担任の6年間持ち上がり制度」について詳しい説明がありますが、これも大切な教育方針であることはいうまでもありません。それに加え、「大学までの一貫教育に期待すること」「共学の良さ」を考慮されてまとめられてはいかがでしょうか。
 
話を戻しまして、このように、建学の精神や教育方針とご家庭の育児の方針に、どういった接点がうかがえるか、これを見つけだすのがポイントだと思います。
それがきちんと整理できれば、面接は、恐くありません。
 
新約聖書にある「始めに言葉あり」ではありませんが、小学校の受験は、「始めにご家庭の育児の姿勢ありき」でなければいけないといってきた理由は、ここにあるのです。
 
「絵に描いた餅」は、所詮、飾りもので役に立ちません。
面接に臨み、ご自身の考えを、ご自分の言葉で話すには、やはり、「我が家の育児の姿勢」が、しっかりとしていることが大切なのです。
 
古い話になりますが、文明開化を目指した明治時代、文部省から高等小学校(現在の5、6年生)の親に配布された「家庭心得」に、
「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」
とあるそうで、まさに「はじめにご家庭の育児の姿勢ありき」、そのものではないでしょうか。
 
最後に、一言。
 
夏休みの講習会は、心身ともに鍛える絶好の機会です。
その体験を家庭学習に取り入れてほしいのです。継続は、間違いなく力を育みます。
 
「夏を制する者は秋に祝福を受ける」などとあおるようで気が引けますが、今年の夏休みのスケジュールは、お子さん中心に過ごせるようきちんと立て、頑張ってください。
 
また、お父さん方へ、模擬面接をお受けになることをお勧めします。
お父さんはともかく、お母さんやお子さんが、どのくらい緊張するかを知ってほしいのです。
後で悔やんでも始まりませんから、できれば秋に入る前に一度は受けておきましょう。
 
 
(次回は、暁星小学校、青山学院初等部、国府台女子学院小学部に関してお話しましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(3) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第50号>
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 志望校選びの10のチェックポイント(3) 
 
 
[七]志望理由
 
七番目は「志望理由」です。建学の精神や校訓、設立理念などを、どのように解釈するかでしょう。それが、ご家庭の育児の方針と、どういった接点があるかを、きちんと把握しておくべきです。学校側のいう「共通認識」です。母校を受験される場合は、ご自身の経験されていることですから問題はありませんが、出身者でない場合は、重要なポイントになります。学校側も、なぜ、受験されるのか、聞きたくなるのも当然ではないでしょうか。
 
雙葉小学校の校訓、「徳においては純真に、義務においては堅実に」について考えてみましょう。
これについては、ある年の横浜雙葉小学校の説明会で聞いたもので、文言は正確ではありませんが紹介しておきましょう。
 
「『ママ、これを手伝ったら、何かを買ってくれる?』と、見返りを考えるような子どもに育てるようでは、『徳においては純真に』ではないということで、4歳、5歳の子ができることを、お母さんの手を借りなくてはできないようでは、『義務においては堅実に』とはいえません。そういう子育てをしているご家庭のお子さんを、雙葉は歓迎しません」
 
つまり、「思いやりのある、自分のことは自分でしっかりやろうとする子」がほしいということでしょう。
そういう育児をしていれば、志望理由を聞かれても、私どもの育児の姿勢と一致しているから受験したと、自信を持っていえるのではないでしょうか。これが志望理由で、いちばん大切なことです。
 
聞いた話ですので、正確ではないかもしれませんが、ある学校の面接で、お子さんに、
「お母さんが作ってくれるお料理で、いちばん、おいしいのは何ですか?」
と尋ねたところ、
「電子レンジで、チーンをするカレーライスです!」
と、元気に答えたのです。
そして、お母さんに、
「なぜ、本校を受験されたのですか」
との質問があったのですが、お母さんは、躊躇せずに、
「御校の手作りの教育方針に賛同して、受験させていただきました」
と答えたとのことでした。
 
面接された先生も驚かれたでしょう。電子レンジで温める料理と手作りの教育では、違和感がありますから。
 
「育児の方針」と「学校の教育方針」に矛盾があるような志望理由では、今紹介したようなことになりかねません。絵に描いた餅のようなことをいっても、説得力はないでしょう。学校と家庭の考え方に食い違いがあっては、教育は成り立ちません。
 
コマーシャルになりますが、当研究所の「面接ここがポイント」の一読をお勧めします。詳しくは、ホームページ(https://www.medel.jp)をご覧ください。
 
 
 
[八]ご家庭の教育方針
 
八番目は「ご家庭の教育方針」についてです。学校側がいう「ご家庭の教育方針」とは、「ご両親の育児の姿勢」のことで、難しく考える必要はありません。
 
どんな時に褒め、どんな時に叱るか、箇条書きにしてみましょう。
 
できあがったものが、ご家庭の教育方針です。「嘘をついたら怒るよ」といえば、「嘘をついてはいけません」となるわけです。いろいろと出てくると思いますが、その日の気分次第で怒って、また、あとで怒らなければよかったと後悔するのは、教育方針ではありません。
 
ご両親で、別々に書いてみましょう。
 
一致していれば、ご両親の子育ては、うまく連携が取れているといえます。したがって、怒ったり叱ったりすることも少なくなっているはずです。反対に、異なる点が多ければ、育児の姿勢に問題ありといえるでしょう。被害者は、お子さん自身であることを忘れてはいけないと思います。
 
「叱る」と「怒る」は、全く違うことを知っている賢いお父さん、賢いお母さんになってください。
 
 
 
[九]お子さんの長所と短所
 
九番目は「お子さんの長所と短所」についてです。お子さんの長所と短所を箇条書きにしてみましょう。これも、ご両親で別々に書いてください。
 
お母さん方は、やや主観が入りすぎる傾向にあるように感じますので、注意が必要です。育児でうまくいっているところが長所で、そうでないところが短所として、表われているのではないでしょうか。
 
短所は、ご両親の育児の反省点として、修正していきましょう。子どもの短所を叱る前に、そういう環境で育ててきたことに目を向けるべきです。また、ご両親の性格を受け継いだ、いわゆる遺伝もあるかも知れませんから。
 
 
 
[十]テストの形式
 
最後に、テストの形式です。
小学校の入学試験は、ペーパーテストが中心になっていましたが、平成4年度から導入された幼稚園教育要領で、保育の方針が、従来の一斉保育から自由保育に変わりました。その結果、入学試験にも変化が見られ、ペーパーテストだけではなく、行動観察型のテストもする学校がふえてきたのです。
 
テストの形式を簡単に説明しますと、ペーパーテストは、持ち点百点から始まり、できなかった問題の合計点を引く減点方式であり、行動観察型のテストは、持ち点ゼロから始まり、できた問題の合計を加算していく加点方式といえると思います。
 
大胆な表現ですが、一斉保育は、みんな同じ方向を向き、「こういったことができないから、できるようにしましょう」という保育であり、自由保育は、みんな違った方向を向き、「子ども一人ひとりの個性をのばしましょう」という保育と考えると、一斉保育は減点方式的であり、自由保育は加点方式の保育といえないでしょうか。このように考えると、学校側のテスト形式の変更も納得できると思います。
 
さらに、平成12年度から、東京女学館小学校が、親子面接だけというAO型入試(アドミッション オフィス)を導入、一般入試と2つの方法で入試を行っています。誤った情報から、親子が過激な受験準備に落ち込まないためにも、画期的な方式として評価されています。令和7年度の募集人数は一般約30名、AO型約45名となっています。当初は一般が35名、AO型40名でしたので、この変化からも学校側の考え方を伺うことができます。
 
このように、学校によってテスト形式が違っていることにも目を向け、適切に対応すべきだと思います。
 
 テスト形式                                  
  ・ペーパーテスト中心
    暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部、昭和学院小学校、日出学園小学校、千葉日本大学第一小学校など。
 
  ・行動観察
    慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等部、成城学園初等学校、立教小学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校、川村小学校など。
    ※青山学院初等部は令和3年度よりペーパーテストも行われています。
 
   
  ・個別テスト
    成城学園初等学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校など。
 
  ・体験入学方式
    横浜雙葉小学校
    ※コロナ禍で内容が変更されましたので、現在では体験入学方式ではなくなっています。ただし、今までの経緯から敢えて掲載しております。
 
  ・AO方式
    東京女学館小学校(一部)
 
 
 
 
さて、改めてまとめますと、今までお話ししてきたのは以下の10項目になり
ます。
 
[10項目のチェックの方法]
 
  [一]一貫教育制度       [六]健康状態
  [二]共学制度         [七]志望理由
  [三]別学制度         [八]ご家庭の教育方針
  [四]宗教教育         [九]お子さんの長所と短所
  [五]通学距離と所要時間    [十]テスト形式
 
以上の10項目を、以下のようにチェックしてみましょう。
 
  [九]お子さんの長所と短所
  [八]ご家庭の教育方針
  [七]志望理由
  [五]通学距離と所要時間
  [六]健康状態
  [一]一貫教育制度
  [二]共学制度
  [三]別学制度
  [四]宗教教育
 
私たちの子どもには、こういう長所があり、こういった短所がある。
それは私たちが、こういう家庭の教育方針で育ててきたからだ。
そこで[一][二][三][四]のチェックポイントを基に、学校を調べると、○○小学校が、わが子にはふさわしい教育環境であることがわかる。
1時間以上かかり、電車を2回乗り換えるけれど、自力で通学できるか。
このような答えが出てくると思います。
 
参考までに、[一]~[四]のチェックポイントに該当する学校の一部を紹介しておきましょう。
 
共学で大学までを希望すれば慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、早稲田実業学校初等部、成蹊小学校、成城学園初等学校、千葉日本大学第一小学校、桐蔭学園小学校、慶應義塾横浜初等部など。
昭和女子大学附属昭和小学校は、中高大は別学。聖徳大学附属小学校は大学が別学。
 
共学で高校までの学校は、森村学園初等部、日出学園小学校など。
 
共学で短大まである学校は、昭和学院小学校(姉妹校の昭和秀英は中高一貫教育)
 
別学で大学までならば、日本女子大附属豊明小学校、川村小学校など。
 
宗教教育がいいとなれば、共学で大学までならば青山学院初等部、玉川学園小学部、聖学院小学校(中高は別学)、淑徳小学校など。
 
別学の男子で高校までを望むなら暁星小学校、大学までなら立教小学校。
 
女子では高校までならば、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、光塩女子学院初等科、東京女学館小学校(東京女学館大学は2016年3月で廃校)、国府台女子学院小学部など。
 
大学までとなると白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科など。
 
小学校だけでいいとなれば国立学園小学校。聖徳大学附属小学校は、男子は小学校まででしたが、2021年からは高校までの共学となりました。
桐朋小学校(仙川)、桐朋学園小学校(国立)は、小学校は共学ですが、中高は別学。
 
ただし、かつて白百合学園小学校の説明会で「併設中学には、ほとんど進学していることを一言申し添えておきます」とおっしゃっていましたが、一貫教育制度だからといって、無条件に進学できるわけではなく、お子さんの努力しだいとなることを改めてお伝えしておきます。
 
また、聖心女子学院初等科の説明会で、「私どもの学校は文系ですから、理系に進む場合は受験になりますが、最近、増える傾向にあります」とおっしゃっていました。大学に学びたい学部がなければ、高校までの学校と同様、受験することになります。
 
さらに、中学進学の際に他校へ受験するケースも多く、併設校への進学と外部受験の状況については、小中高のホームページに詳しく掲載されていますので、ご覧になることをお勧めします。
 
なお、聖心女子学院は4-4-4制の導入により中学での募集はなくなりましたが、ファーストステージは1クラス32名3学級で96名、セカンドクラスは1クラス40名3学級で120名編成のため、不足となる24名は、5年生の転入・編入試験で募集しています。応募資格は「原則国公立小学校在籍」です。詳しくはホームページをご覧ください。
 
最後に結論として、[六]から[九]までが、きちんとできあがらなければ、学校選びは、お子さん中心になっていないと思います。特に、[六]の健康状態、心身共に健康でなければ、小学校の受験は、無理であると断言しておきましょう。
 
さらに、私立を受験される方には、言わずもがなのことですが、公立の学校は、無理のない時間内で、幼稚園や近所の友達と一緒に通えますが、私立の場合は、友達と別れて、時間をかけ、しかもたいへんなお金をかけて通学させるわけです。本当に、お子さんのことを考えて選んだのでしょうか。自信を持ってうなずけるご両親であるように、よく話し合ってほしいと思います。
 
そして、しつこく繰り返しますが、ご家庭の教育方針と学校の教育方針に違和感のないことが、ベストの学校選びとなるのです。
 
次回から3回に分けて、志望理由の決め手となる学校の建学の精神や校訓、教育方針について簡単な解説をしてみたいと思います。
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第49号>
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 志望校選びの10のチェックポイント(2)
 
 
 ★説明会情報★
  雙葉小学校
   日時 7月19日(金)、20日(日)
      (22日~28日に動画配信)
   場所 雙葉小学校
   申込 6月17日(月)10:00~ WEBにて申込   
   対象 保護者の方1名のみ
     
 
  国府台女子学院小学部 第2回学校説明会
   日時 7月6日(土)10:00~ 
   申込 WEBにて受付中   
   備考 人数制限はありません。
   
  詳しくは各校のホームページをご覧ください。
 
 
 
[四]宗教教育について
 第四は「宗教教育に、何を期待しているか」です。
 
「宗教教育について、よくわからないのですが」
「信者にならなければいけないのでしょうか」
などとおっしゃる方が、少なくなったとはいえ、時々、こういった質問を受けることがあります。
宗教教育、例えば、キリスト教の場合は、キリストの教えに基づいた教育が行われますから、入学試験に際しても、信者でなければ不利といったうわさの流れた時期もありましたが、今では、そう信じる方はいないのではないでしょうか。
 
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教することを目的としていますが、だからといって、信仰を強制することはありません。「在学中に洗礼を受けなければならない」といった怪情報があるようですが、それも単なるうわさに過ぎません。
 
説明会でも、
「信者でなくても結構ですし、お坊さんや神主さんのお子さんもいます。国籍、宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、日本語がわかることです」
とおっしゃっています。
 
入学後、お子さんは、キリストの教えにしたがった生活を始めます。例えば、食事の際にお祈りをしますが、その時に、「私は知らん」と、勝手に食事をしてもらっては困るということであり、学校の行事は、イースター、みこころ祭のように、宗教が中心となっていることを了解してほしいといったことなのです。
 
また、信者でない方のために「宗教講座」などを設けて、親子で学んでほしいといっていますから、何ら心配はありません。
 
それよりも大切なのは、宗教教育を通して、お子さんに何を学ばせたいかなのです。
 
皆さんは、普段から、
「嘘をついてはいけません」
「自分のことは自分でしなさい」
「人に迷惑かけてはいけないよ」
「ありがとうという気持ちを大切にしようね」
と言っているのではないでしょうか。これは、どれ一つを取り上げても、宗教の基本的な倫理です。キリスト教の愛、イスラム教の施与(施し与えること)、仏教の慈悲など、すべての宗教が唱える教えの礎(いしずえ)となるものです。
こういったことを大切にしていれば、学校側の指摘している「ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が一致していること」になるのです。
 
価値観の多様化する世の中で、小さい時から絶対的な価値観、例えば、幼稚園で、「これは白色です」と教わったことは、大学へ行っても変わらない指導を受けられる教育、「心の教育」といいますが、そういったブレのない建学の精神に基づいた教育を受けさせたいと考えるご両親が増えていることも確かです。
 
知識だけを詰め込む知育偏重型から、感情と意志を育む情意育成型の教育、これが私学の大きな特徴でもあるわけです。
     
宗教教育について、非常にわかりやすい話があります。あるミッション系の学校の説明会で聞いた話で、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
 
この学校は日記指導に力を入れているのですが、ある年のこと、一年生が絵日記に、「昨日、お父さんとお母さんがけんかして、私は、さみしかったです」と書いてきたそうです。読んだ先生は、一年生の子が「さみしかった」と表現したことに感激して、五重丸の花丸をつけて返しました。
 
喜んだ子どもは、家に帰ると、「ママ、見て!」と嬉しそうに見せたものです。
 
ほめられると思っていた子どもは、お母さんから、「あなたは、なぜ、こんなことを書いたの!」と怒られてしまいました。日記を書くもう一つの目的は、「嘘をついてはいけない」ことを教えることなのです。日記を通して、宗教教育を実践しているわけです。
 
「昨日、日記を見せたら、ママに叱られました」
 
と、子どもは、あくまでも正直に書くわけです。すると、もっと大きな花丸がついて返ってきたので嬉しいのですが、お母さんには、もう見せません。怒られるとわかっていますから。
 
後日の父母会の折り、
「日記指導についてですが、私たちは作文を通して、子どもたちに嘘をいってはいけないと教えています。正直に書いたお子さんを叱るのは、お母さんが、『都合の悪いことは嘘をついてもいいのよ』と教えているのと同じではありませんか。『嘘をついてはいけない』というのが私達の教育の基本ですから、ご家庭でも、きちんと守ってください」
と先生はおっしゃったそうです。
 
いかがでしょうか、これはわかりやすい話だと思います。宗教教育は、学校の礼拝堂や日曜学校の教会でお祈りをして賛美歌を歌うといった表面的なことではなく、日常生活に、限りなく密着しているわけです。
                  
また、説明会で、賛美歌を歌い、牧師さんの講話(聖書の話)を聞き、お祈りをし、「アーメン」と唱和する学校があります。教会へ一度も行ったことがなく、ミッション系の学校を希望されるお父さん方に、是非とも参加してほしいのです。
 
それは、青山学院初等部の説明会です。今年も例年通り米山記念礼拝堂で行います。
 
参加されて、違和感を覚えたら、志望校選びを真剣に考え直すべきでしょう。
 
最近では、立教小学校も「開会(閉会)礼拝」を行っていますが、「アーメン」と唱和される方は少ないですね。以前のチャプレンは、「宗教の香りのする学び舎」と言っていましたが、説明会会場の上にある礼拝堂で、しばし時間を過ごすと、何となく思いは伝わってくるものです。
ただし、2024年は新校舎建設事業の関係で、説明会が仮校舎で行われるため、礼拝堂に入ることができず残念です。
 
かつて、あるミッション系の説明会で校長先生は、「信者でない方々に宗教上の儀式、お祈りなどを強制するのはいかがなものかと考え、私どもはやりません」とおっしゃったことがありました。いずれにしても、宗教の香りには、入学後、ほのかにただよう中で、自然と馴染んで行くようです。
 
 
 
[五]通学距離と所要時間
 
次は、「通学距離と所要時間」についてです。
 
国立大学附属小学校の場合は、地域指定や通学時間に制限がありますから、条件を満たさない場合は、受験できません。 
 
私学でも、桐朋小学校は通学地域を指定し、所要時間は60分以内、乗車時間は40分程度、乗り換えは2つまで、桐朋学園小学校も60分程度、雙葉小学校、立教女学院小学校は1時間以内、入学後引越しされてもこの条件を守ることになっていますが、多くの場合、通学時間、距離は、保護者の判断に任せています。
 
通学に1時間かかるとして考えてみましょう。8時までに登校するには、遅くとも7時前には家を出ます。その前に食事、着替えなどの準備が必要ですから、お子さんは6時に起床、お母さんは、朝食の支度のため5時半には起きることになるでしょう。週五日制が徹底されても、毎週五日間、この時程が繰り返されます。さらに、学校が都心にあれば、通勤ラッシュの時間帯に通学ということも考えられます。心身共に健康でなければ、通い切れません。
 
ここで、3つだけ質問しておきましょう。
 
その1、お子さんは、十分ぐらい歩くと、「おんぶして!」と言いませんか。
その2、遊園地などで迷子になった時に、係の人に名前と住所を聞かれたら言えますか。
その3、電話をかけられますか。
 
模擬面接で、住所も、電話番号も言えるお子さんに、
「ディズニー・ランドへ行ったとき、迷子になったらどうしますか」
と聞くと、答えられない場合があります。こういったちぐはぐなことが、入試準備として行われているようです。
 
迷子になったら、制服を着ている係の人に、住所と名前を言えば、場内に放送して、親に知らせてくれます。何のために住所や電話番号を覚えておくかを教えずに、面接のために記憶させていると、言えるけれども、それを使って何をするかがわからないのです。
 
これが、記憶だけに頼る受験準備のマイナス点ではないでしょうか。目的が分からないで知識だけを詰め込んでしまうと弊害が起きるもとだと思います。
 
「覚えさせておけば事足りる」といって教え込んだことは、幼児期には余り役に立たないものです。
 
かつて、ある学校の説明会で、「登下校中に、関東大震災級の地震が起きた場合、学校としては、とるべき手段がありません」と言ったことから、「学校の近くに住む子が有利、遠方からの通学者は不利」といったうわさが流れました。
東日本大震災以降、安全に通学できることも、学校選びの重要な条件になったようですが、学校側も、校舎の耐震性や飲料水、食料品の備蓄など災害対策には万全を期しています。
 
問題は、登下校時に起きたときの対策でしょう。幼いなりに対応できる、そういった育児をしっかりと心がけ、自立心を育てるべきではないでしょうか。
 
早稲田実業学校初等部は、保護者が同伴できるのは、入学式と翌日の始業式だけで、3日目から一人で通学します。しかも、携帯電話を持つことも禁じられています。
 
安全のために出来る限り保護者の同伴を望む傾向にあるようですが、それはともかくとして、子ども達の自立を妨げる過保護、過干渉の育児は、絶対にやめるべきです。
                        
通学距離、所要時間は、単に物理的な距離、時間ではなく、こういった精神的な面も考慮すべきではないでしょうか。
 
また、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科も始めましたが、アフタースクール、学童保育も充実してきました。最長19時までの学校もあります。児童の安全を考慮し、自家用車でのお迎えを認めている学校もありますが、厳しい約束事もあり、説明会へ参加された時に確認しておきましょう。
 
 
 
[六]健康状態
 
「健康状態」についてですが、これは小学校受験で、もっとも大切なことです。
健康といっても体だけではなく、心身共に健康であることです。
 
小学校受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入り、初めて会った先生の指示を聞き、理解し、即座に対応する」ことです。自分だけが頼りの戦いです。
 
まず、話を聞く姿勢が身についているかです。
 
前にもお話しましたが、小学校の試験は、中高大学の試験と比べて、著しく異なることがあります。
 
ペーパーテストを考えてみましょう。通常、テストには、設問があり、それを読んで答えるわけです。ところが、小学校のテストには設問がなく、逆に、答えが全部、出ています。後は、スピーカーから流れてくる先生の指示を聞いて解答していきます。
 
中高大の試験では、やっているうちに、「あぁ、これは苦手だから飛ばそう。時間が余ったら後でやろう!」と自分のペースで挑戦出来ますが、小学校の試験は、これが出来ません。
 
「用意、ドン!」ではありませんが、始まればそのまま流れていきます。途中であっても、「ハイ、そこまで!」と言われれば、そこでやめないと、次の設問の説明が始まりますから、ついていけなくなります。マイペースは、認められません。
 
話を聞く力を身につける、これは試験だけではなく、何かを学習するためにもっとも必要な基本的な能力です。話を聞けなければ、何事も始まりません。話を聞く姿勢は、親子の対話から、話の読み聞かせから、指示をきちんと出すことから身についてくることを、くどいほどお話してきた理由は、ここにあるのです。
 
次に、保護者の手を借りないで、どのくらいのことが出来るかです。
 
お子さんの一日の行動をチェックしてみましょう。保護者が、どのくらい手を貸しているかを知ってほしいのです。衣服の着脱、歯磨き、洗顔、食事、排便、身辺の整理など、就学前には身につけておかなければならない「基本的な生活習慣」ですが、いかがでしょうか。
 
こういった生活習慣が身についていることは、子ども自身が、試行錯誤を積み重ねながら学習をした結果です。
 
幼児期は、この試行錯誤こそ大切な学習なのです。試行錯誤は、工夫をすることから起こります。手作業の得意な子の知的な能力が高いのは、試行錯誤を積み重ね、その手順を、きちんと学習し、覚えているからです。単なる記憶ではありません。
 
自分の頭と体を使って、
「こうしたらこうなるぞ、こうしたらまずいかな、こうやったらうまくいったぞ!」
と学習しているのです。
大げさに言えば、「誰にも頼らず、一人で生きていくための生活の知恵」を学んでいるのです。
 
小学校の受験は、問題集を買い、勉強して、「合格!」とはなりません。
 
そのことを、ものの見事に表現した言葉があります。この話も何回も紹介しましたから、もう耳にたこができているかも知れませんね。ある年のミッション系の学校の校長先生のおっしゃったことです。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、こと足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気付いてほしい」
日常生活での積み重ねが、5歳か6歳の秋に表れるのです。つまり、ご両親の育児の姿勢が、そのまま表れます。これが小学校の受験なのです。
 
最後に、社会性や協調性といった集団生活への適応力が培われているかです。
 
これは園の先生や保育士の方に聞けば、すぐにわかります。先生方は、保護者の方に遠慮して、なかなか本当のことを言ってくれませんが、例えば、「うちの子、集団生活ではどうでしょうか」
と尋ねたとき、「多少、問題があるようですよ」といった返事が返ってきたときは、ものすごく問題があると考えて、日常生活を、きちんとチェックすべきです。多くの場合、集団生活に問題が起きるのは、ご家庭の育児の姿勢に原因があります。繰り返しますが、過保護、過干渉の育児です。
 
3歳を過ぎてもお子さんのやっていることを見て、手を貸したくなれば過保護であり、口を出したくなれば過干渉の育児と言われています。
 
過保護な育児からは、わがままで、我慢のできない子に、過干渉の育児からは、消極的で引っ込み思案な性格の子になりがちです。こういった環境で育てられていると、集団生活への適応力は、育まれません。困るのは、お子さん自身です。
   
ちなみに、脳科学者の研究によれば、集団生活への適応力の基本は、6歳頃までに身につくもので、その時期を逃すと臨界期といって、どうにも修正が効かなくなり、社会性や協調性を身につけるために、本人が非常に苦労すると言われています。
 
夏休みには「お泊り保育」があると思いますが、どういった状態であったか、必ず聞くようにしてください。親の元を離れたお子さんの本当の姿を見ることが出来るからです。
 
最近、行動観察型のテストで、集団生活への適応力を判定する問題が増えていますが、学校側は、何を見たいのか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
 
お子さんの心身の健康状態は、いかがですか。    
 
 
(次回は「志望校選びの10のチェックポイント(3)」についてお話しましょう)

 
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