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めぇでるコラム : 2026保護者: 2024年11月

2026さわやかお受験のススメ<保護者編>第1章(1)情操教育、難しく考える必要はありません-本を読んであげてください〔1〕

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2026さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第3号-
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第1章 (1) 情操教育、難しく考える必要はありません
 
 - 本を読んであげてください 〔1〕 -
 
本を読んであげる、話の読み聞かせは、とても大切です。
安易に、テレビやDVD、スマートフォンで動画などに、子守をさせてはいけないと思います。確かに、このような教具は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛り上げる音楽や効果音を駆使して、瞬く間に、たくさんの情報を与えてくれます。
 
これほど便利なものはありませんが、送信する側と受信する者は一方通行ですから、疑問を感じても質問できないといった不便な点もあります。
 
わからないままに、話はどんどん進みますから、疑問を残したままになり、消化不良を起こしがちではないでしょうか。しかも、伝える側に感情はありません、このことです……。
 
幼児には、お父さんやお母さんの生の声が何よりです。5歳頃になると、絵が主役だった絵本から、字の多くなったものに変わり、話も筋道を立てて進む物語になっていると思います。
 
ところで、本を読んでもらっている時の子どもの頭は、どうなっているのでしょうか。絵を見ながら読んでもらっていますから、お母さんの読んでくれる言葉を、絵に置き換えるといいますか、映像化する作業がリアルタイムで行われ、絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が、浮かんでいるのではないかと思います。
 
聞いたことのない言葉が出てくると、声がかかります。 
 「お母さん、オニタイジって、どういうこと?」
そこで、お母さんは、お子さんのわかる言葉に置き換えて説明をします。お子さんは、その意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚え、少しずつですが、確実に語彙が増えていきます。
 
そして一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツいいながら、絵本を見ています。あれは、本当に不思議ですね。おそらく、読んでもらった本がおもしろかったので、お父さんやお母さんの言葉を思い出しながら、確かめているのだと思います。絵を見ながら、その状況を記憶した言葉をもとに映像を描き、イメージ化しているのではないでしょうか。
 
つまり、「言葉で考え、想像」しているのです。これは、すごいことだと思います。
 
それが証拠に子どもは、同じ本を、それこそ何回も何回も、飽きもせずに読んでくれとせがみます。それも、読んであげている途中に、
 「お母さん、ありがとう、そこまででいいです。」
といったことが、しばしば起こりがちです。
 
読んでもらったところを忘れてしまったのか、思い出せないのかわかりませんが、話が先に進まなくなってしまったのでしょう。
イメージ化の中断です。
読んでもらい話がつながったので、そこまででいいのでしょう、後は覚えていますから。あれは、話を一所懸命に覚えようとしているのに違いありません。覚えようとする力、「記憶力」がつきます。
 
さらに、繰り返し読んでもらうことで、頭に描かれた映像は、より鮮明に具体的になり、そこから、独自の「想像力や空想力」が培われてきます。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
子どもの読む話は、「起承結」で成り立っています。「起承転結」の「転」はなく、話は複雑になっていないはずです。「起承転結」は、漢詩を組み立てる形式の一つで、転じて、「ものごとの順序・作法を表す言葉」ですが、わかりやすい例えがありますので紹介しましょう。
江戸時代後期の儒学者・詩人・歴史家であった頼山陽が作った「京都西陣帯屋の娘」です。
   京都西陣帯屋の娘    (起)
   姉は十八、妹は十六   (承)
   諸国の大名は刀で殺す  (転)
   姉妹二人は目もとで殺す (結)
「ショコクノダイミョウって、なあに?」
余計なものが入ってくると、イメージ化する作業が複雑になります。帯屋の娘の話は、帯屋の娘で終わらないと、子どもは安心できません。ですから、鬼退治をした桃太郎が、ついでに海賊をやっつけることもなく、すんなりと終わって、「めでたし、めでたし」が昔話に欠かせない決まりです。   
 
さらに、物語は、「序破急(初め・中・終わり」と快適なテンポで進みます。
 
浦島太郎が、竜宮城で過ごした時間が何十年であっても、何らさしつかえありません。話は、快く聞けるように仕組まれています。
しかも物語は、簡潔明瞭に展開しますから、話の世界へ引き込まれていきます。そこから、話を理解する力、「理解力」が培われてきます。
 
そして、何とも素晴らしいのは、自然と話に引き込んでいく、あの約束事でしょう。
 
イントロダクション、導入部などの言葉が、白々しくなるほど決まっています。「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住んでいました」で始まりますが、これが、実に重大な役目を果たしているではありませんか!などと興奮することもありませんが(笑)。
 
「むかし、むかし」は「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかりません。 
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もありません。
 
みんなあいまいで、そのあいまいなままに「何を、なぜ、どのように」と話は展開していきます。
 
これも、考えてみると大変なことです。
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合はありません。奈良時代だろうが平成時代であろうが、北海道だろうが、はたまた沖縄であろうが、みんな「むかし、むかし、あるところ……」で済ませてしまいます。時代考証も、場所の設定も、人物の履歴も、何も必要ありません。
 
ですから、子どもたちは、何ら抵抗なく、心安らかに、期待に胸を躍らせながら、話の世界へ入っていけるのです。しかも、没我の世界です。
 
これを、几帳面に、「江戸時代の元禄十二年、大晦日を迎える二日前の朝、上総の国、蒲郷郡、大字蒲郷、字大和村の一本杉の側に、山之上太郎左エ門という名の爺さまとお熊という名の婆さまが住んでいました」では、聞いてみようかなとはならないでしょう。
「お母さん、もう眠いから……」、こうなるのに違いありません。
読むお母さん方も疲れてしまいますね。
 
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   何を(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
と文章を書くときの基本である[5W1H]から成り立っていますが、新聞記事やテレビのニュースなどを瞬時に理解できるのは、この原則に従っているからです。
 
ということは、昔話を聞きながら、[5W1H]を小さい時から学んでいることになります。これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
もちろん、子どもたちは「いつ・どこで・だれが」などと意識して聞いているわけではないでしょうが、話は理路整然とセオリーどおりに進んでいきますから、繰り返し話を読んでもらい、話を覚え、絵本を見ながら言葉で表現することで、物事を筋道立てて考える訓練にもなっているのです。物事を組み立てる、考える力、「構成力や思考力」が自ずと身につきます。
 
そして、子どもは話を覚えると話したがります。
それには、自分自身が、話をよく理解していなければできませんから、そのための訓練が自発的に始まります。話の流れをきちんと記憶し、組み立て、味わい、自分の言葉で話す訓練です。それが「表現力」につながります。
 
こんなに大切な能力開発を自ら積極的に挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『ももたろう』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治に行く話だろう」
と無造作に応じてしまうと、折角、積んできたトレーニングの成果を試すこともできません。
「今までの努力は、何だったのだ!」
とは思わないでしょうが、悔しい思いをさせているのではないでしょうか。
 
子どもは覚えた話を、話したいのです、聞いてもらいたいのです。
 
「うん、パパも子どもの頃はよく知っていたけど、どういう話だったかな?」
と、やさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
 
そして話し終えたときに一言、「よく覚えたな、えらいぞ!」と、褒めてあげましょう。褒められて不愉快になるはずはありませんから、さらに、話を覚えようとします。
 
そこから、「物事に取り組む意欲」が芽生えます。
意欲は、新しい能力を開発する起爆剤です。
 
しかも、「覚えなさい!」といわれて覚えたものではなく、「話してみなさい!」といわれて訓練したものでもありません。強制されずに、自発的に、楽しみながら積極的に挑戦し、能力を開発しているのですから、その効果は一石二鳥どころではなく、計り知れないものがあります。
 
このように話の読み聞かせは、
「語彙を増やす」だけではなく、
「イメージをふくらませる空想力や想像力」
「話を聞く力」
「構成力や思考力」
「言葉での表現力」
「物事に取り組む意欲」
といった能力などの開発に、とてつもない大きな影響を与えているのです。
しかも、これだけではありません。
続きは次回お話ししましょう。
 
(次回は、「本を読んであげてください 2」
                 についてお話しましょう)
    
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中
行事と昔話 情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本紀元
 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2026さわやかお受験のススメ<保護者編>事の始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2026さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第2号-
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-事の始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした-
 
私は、長い間、幼児教育のパイオニアである大手教育研究所でお世話になっていました。「情操を育むために、年中行事と昔話が大切な役目を果たしているのではないか」と模索していたのは、幼児教育の本質が少しわかりかけてきた、50歳になった頃ではなかったでしょうか。「年中行事を『科学』する」という素晴らしい本にめぐり合い、進むべき道が見えてきました。
 
そして、この考えに「間違いはない」と自信らしいものが出てきたのは、ある経験からでした。
約10年間にわたり、板橋区にある淑徳幼稚園の課外保育であった進学教室を担当していたのですが、後半の5年間は、一人で年中組と年長組を指導することになりました。この間の子ども達のやり取りとお母さん方の反応から、年中行事と昔話を組み合わせた「情操教育歳時記」といった何とも大仰なタイトルですが、気軽に読んでいただける本を作ってみようと思い始めていたのです。
 
私どもの研究所の教室へやってくる子ども達は、全員、「受験のために勉強にきている」といった意識が、しっかりと培われていましたから、授業もやりやすかったのです。「幼児教室は、こういうものだ」と思っていた私には、この進学教室は、まさに青天の霹靂で、勝手が違い、思わぬ苦労をしました。
 
その日の保育が終わった後に、同じ教室でやるのですから、子ども達にとっては、「自分たちの土俵に変な先生が入ってきた、エイリアン!」といった感じだったのでしょう、いつものように授業を始めることができなかったのです。そのために、まず、授業に集中できる雰囲気を作ることからはじめました。
 
試行錯誤を積み重ねながらできあがったのは、授業の前に、その月の行事、11月でしたら七五三をテーマに、昔からの言い伝えを子ども達にわかるように話し、その月に関係ある昔話をするといった方法でした。
 
回を重ねる内にわかったのは、子ども達は「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」を知っていても「一寸法師」や「花さか爺さん」などの昔話を、あまり知らないことでした。しかし、話をしてみると、熱心に聞いてくれるのです。それならばと、徹底的に昔話をすることにしたのですが、年長組は週2回で月8回、1年間で、ざっと96の話をすることになり、少々心配になりました。「絵本を見ながら読んであげればいいか!」と気軽に考えていた私は、子ども達から思わぬしっぺ返しを食い、悪戦苦闘が始まったのです。
 
それは、本を見ながら話す時と見ないで話す時では、子どもの興味を示す様子が、微妙に違うことでした。話を覚えている場合は、子ども達の目を見ながら話をしますから、目をそらす子はいません。「目をそらさない」は、話をしっかりと聞く基本的な姿勢です。本文でも紹介しますが、「大勢の子ども達に、話を読み聞かせる重要なポイントは、話を記憶することだ」と教えてくれたのは、進学教室の子ども達でした。
 
毎週2つの話を記憶するのは大変でしたが、子ども達は私の話を楽しみに待ってくれ、授業にもスムーズに入れるようになりました。見つけた時には私も驚きましたが、「シンデレラ物語」とそっくりな話である「ぬかふくとこめふく」を話した時の、子ども達の驚いた顔を忘れることができません。
 
ある時、椋鳩十の動物の話をしてみました。すると、次の時間にもとリクエストがあり、動物達の話に興味があることもわかりました。そこで、長編でもある「丘の野犬」をアレンジして話したところ、何と熱心に聞いてくれ、涙さえ浮かべる子も出てきたのです。この時ばかりは、今、思い出しても、ぞくぞくするほど感激したものです。
 
進学教室の役目は、併設する淑徳小学校での勉強に、スムーズに対応できる力を身につけることでした。小学校へは、受験勉強をし、力をつけてきた大勢の子ども達が入学してきます。そういった子ども達に共通しているのは、「話を聞く姿勢」が身についていることで、小学校の受験でもっとも大切なのは、この「話を聞く力」なのです。ペーパーテストを例にとっても、プリントの上にダミーを含めて、答はすべて出ていますが、「設問」はどこにも書かれていませんから、話を聞き逃すと、解答できないわけです。
 
昔話や年中行事のいわれなどを聞きながら、子ども達は意識することなく、「話を聞く姿勢」を身につけてきたのです。こうなるとしめたもので、授業は私の仕事でしたから、後は楽なものでした。集中さえできれば、問題を解く力もつき、面白くなりますから、取り組む意欲も違ってきます。難易度の高い問題にも挑戦し始め、当時、毎月1回行われていた2,000名近くの子どもが参加する公開模擬テストで、10番以内に入る子も出てきたのです。
 
さらに、思わぬ収穫になったのは、お母さん方の反応でした。授業終了の5分ほど前に、お母さん方に集まっていただき、今日取り組んだ問題を解説しながら、家庭学習の要点を説明し、今月の行事とその日に話した昔話を紹介していました。
 
すると、「先生、ママが菱餅を買ってきて、何で三色なのか、先生と同じ話をしてくれたんだよ」と、女の子がいない家庭にもかかわらず、「おひな様を飾るわけや、菱餅の色」について、子どもに話をするお母さんも出てきたのです。
話してくれる子ども達の顔は、みんなうれしそうでした。四季折々の行事の意味を説明してきたことが、話だけで終わらずに、各ご家庭で祝ってくれるようになったのです。このことです……。
 
ここからは「わたし流の解釈」ですから、軽い気持ちで読み流してください。
話を聞こうとしなかった子ども達が、なぜ、楽しみに授業を待ってくれるようになったのか、それは子ども達の心の中に、幼いながらも、何らかの刺激を求める小さな芽が、しっかりと培われてきていたからだと考えました。後で詳しくお話しますが、その小さな芽は、分化され始めた「情緒」だったのです。
 
「情緒とは、喜怒哀楽の感情の表れたもの」と考えていただければ、わかりやすいと思います。きっかけを与えたのが、昔話であり年中行事であったわけです。育まれてきた小さな芽である情緒に刺激を与えてあげれば、素直に反応をすることもわかりました。
そうでなければ、あれほど真剣に話を聞くはずがないからです。
 
私の話でさえ一所懸命に聞くのですから、ご両親の話であれば、もっと歓迎するはずです。「パパがね、先生が話してくれた『おぶさりてえのおばけ』の本を買ってきてくれたんだよ!」と嬉しそうに話してくれる子ども達も増えてきました。話を聞く姿勢は幼児教室や塾で身につくものではなく、ご両親の「本の読み聞かせ」や「対話」から育まれるものです。
 
こういった体験を何とか記録に残し、皆様方に読んでいただきたいと考え、できあがったのが、このメールマガジンです。話を聞く姿勢さえ身につけば、小学校の受験は、決して難しくありません。また、年中行事を、ご家庭で楽しむことにより、楽しい思い出がたくさん残り、それが豊かな情操を育む礎になっていることも否めない事実です。
 
小学校の入試に季節の行事が出題されるのは、なぜでしょうか。
知識として知っているかを判断しているのではありません。四季折々の行事を楽しむ、ご家庭の文化があるかどうかを見ているのではないでしょうか。家庭の文化は、ご両親の育児の姿勢であり、それが受験する小学校の建学の精神や教育方針と限りなく近ければ、それが志望理由になるわけです。
 
新年長さんであれば、この1年間、お子さんは受験勉強に励むわけですから、保護者にも勉強をしていただき、ご家庭の文化を築き上げてほしいと思います。
 
話を聞く姿勢が身につくのも、豊かな情操が育まれるのも、ご両親の育児の姿勢次第です。
 
小学校の受験で必要な能力の基礎、基本は、「ご家庭で培われる」ことを学習していただき、お子さんと二人三脚、もしくは三人四脚、状況によっては四人五脚、五人六脚のこともあると思いますが、ゴールを目指して頑張ってほしいと願っています。
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中
行事と昔話 情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本紀元
 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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