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めぇでるコラム : 2026小学校受験

2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(1)ペーパーテスト-2

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2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編
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      <第20号
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 さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
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幼児教室では、11月から新年長クラスが始まりました。
お子さんは、お授業を楽しんでいますでしょうか。
 
 
■■[2]5つの試験形式■■ 
 
(1)ペーパーテスト-2
 
正直にいって、下のようなお父さん先生、お母さん先生が恐いのです。
 
何とか力をつけさせようと夢中になってしまい、自分の言っていること、やっていることが、わからなくなってしまうことがあるのです。
例えば、難易度の高い「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていないときに、こういったことが起きがちです。お父さん、お母さん自身は、説明したことでお子さんも理解できたと思い、問題に取り組むのですが、できません。
 
1回ぐらいの間違いは許容範囲ですが、何回も同じ間違いが続くと、親の顔つきも変わり、
 
 「何回、教えたらわかるの!」
 「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
 
と、なりがちなのです。
 
幼児が「わからない」というときは、本当にわからない、理解できていないのです。このことをしっかりと肝に銘じ、親御さんの説明が不十分であることを考え、お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責めるべきではありません。
 
また、昨日教えたことが、今日になるとできない場合もあります。
それはお子さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合が多いからではないでしょうか。子どもは、興味や関心のないことをやっても、すぐに忘れがちなものです。
 
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではありません。やり方が間違っています。
 
それを棚に上げて、思わず子どもの頭を叩いてしまう親御さんもいるようですが、何も悪いことをしていないにもかかわらず、いくらお腹を痛めたからといって、手を上げる権利は、親といえどもありません。子どものためにもいっておきたいことがあります。
 
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、冷静に。お父さんも同様です。
 
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。
しかし、この線を越えて、怒鳴り散らしてまで勉強を続けると、子どもも切れますが、耐えるしかありません。親に見捨てられれば、子どもは生きていけません。
 
 「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
 
昔は「子をもって知る親の恩」といいましたが、最近では、受験準備に熱が入りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」ともいわれるような状況になっているのではないかと感じることがあります。
 
わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。
訂正、鬼もわが子を手にかけなかった話が残っていますから、犬畜生にも劣る親とします。
 
ですから、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になるようでは、受験をする資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ子の魂百まで」を絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、お子さんの性格は築かれていくからです。
 
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。
類似問題を数こなせば、できるようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレーニングです。
 
これで考える力がつくでしょうか。
疑問だと思います。
 
行動観察型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、年月をかけ、試行錯誤を積み重ねながらできたカリキュラムがあり、それをよく理解している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのだからです。
 
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
 
例えば、慶應義塾幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けます。子どもの努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将来のためと考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢はそれ以下といったアンバランスな成長をしている子、かなり見かけます。
 
さらにです。
 
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手をつくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校もあるほどです。
 
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるのも無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがちです。
 
しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。
 
先にもお話ししましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、自分のやっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の二文字に、冷静さを失いがちですが、受験生の親御さん方全部が、こうなるわけではなく、ごく、一部の親御さんであって、熱心すぎるだけで悪気はないのです。
 
ペーパーテストを行わない小学校はこういうことも考慮しているのではないでしょうか。誤解されると困るのでいっておきますが、「ペーパーテストが悪い」といっているのではなく、「準備の仕方」に、とかく問題がありがちだといいたいのです。
 
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけるだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
 
ところで、最近の入試問題を読むと、「幼稚園での生活能力があればできるテストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎すべきですね。
 
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以下のようになっていると思います。
 
まず、手を洗い、ハンカチで拭き、たたんでポケットにしまえるか。
靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」をいえるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マーク付きです。
これがテストです。
何を評価しているのでしょうか。
 
さらに、この話をどう思われますか。
 
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきちんと持って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。
 
テレビを付けっ放しで、もしくはスマートフォンや動画を見ながら食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕けて、姿勢も崩れがちです。
 
特に、朝食です。テレビを聞きながら新聞を読みながらもしくはスマートフォンを見ながら、ご飯を胃袋に流しこんでいませんか。
 
何事も親が、お手本です。
 
これは、しつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事は毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦しむことになります。
 
知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育てている親御さんは、お子さんから尊敬されます。なぜなら、親の手を借りずにできることは、子ども心にも嬉しいからです。間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
 
 
ペーパーテストといっても、知的能力だけを判定しているのではありません。
 
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
 
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、偏った経験しかしていない子になりがちで、被害者は子ども自身です。ペーパーテストが中心になっている学校を受験される場合は、こういった結果が残るような準備だけは、避けてほしいと願っています。
 
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたいのです。
 
年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時であり、人格を形成する重要な時期でもあるからです。
「三つ子の魂百まで」は英語で、“The leopard cannot change his spots”(豹は斑点を変えることはできない)というそうですが、洋の東西を問わず育児の鉄則ではないでしょうか。
 
 
  (次回は、個別テストについてお話しましょう)
 
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(1)ペーパーテスト-1

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■■[2]5つの試験形式■■
 
(1)ペーパーテスト-1
 
有名小学校の入学試験は、5つの試験形式から構成されています。
 
   1. ペーパーテスト
   2. 個別テスト
   3. 集団テスト
   4. 運動テスト
   5. 面接テスト
 
昔は、ペーパーテストだけの小学校もありましたが、今は、ありません。
逆に、ペーパーテストを廃止した小学校もあります。
個別テストのない小学校もあります。
5つ、全部やってしまう小学校もあります。
面接テストをやっていない小学校もあり、いろいろです。
推薦状と面接だけの学校もあります。
それは、私立の小学校ですから、「建学の精神」や「教育方針」に、いろいろな特徴があり、それによって教育が行われていますから、試験にもその学校独自の自前のカラーがあって、当然なのです。
 
しかし、どこの学校も知的な能力だけで、合否の判定をしているわけではありません。育児の集大成、まだ中間報告ですが、そこを見ているのです。その集大成を判定する5つのテスト形式について具体的にお話しましょう。
 
 
1.ペーパーテスト 
 
20人から30人程のグループで、録音音声や動画、または口頭での説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。皆さん方も経験済みの、お馴染みのテスト形式です。しかし、これは大変です。
幼児は、原則として、文字を読めないし書けません。ですから、プリントのどこを見ても、文字で書かれた設問は、ありません。
おかしな話ですが、絵や図形などを使いダミーも含めて、答えが描かれています。そして説明を聞いて、用意された筆記用具を使い、○や△、□や×などの記号を書いたり、線を引いたり、色を塗って答えるわけです。
 
「常識の領域」に、こんな問題があります。
B4判の大きさのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといった四季を代表する行事が描かれていて、解答はクレヨンを使いなさいと指示があり、「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」といったコメントが、スピーカーから流れてきます。
これが、設問です。
 
一回きりで、後は、静かに時は流れるだけです。
当然、時間は限られています。30秒ぐらいで解答します。
「春は、○だったかな?」
などと悩んでいたら駄目です、そんな余裕はありません。
「何かいっていたな?」
などとぼんやりしていると、最悪の状態になってしまいます。
設問を聞き逃せば、それでおしまい、ゲームセットです。
設問は、どこにも書かれていないからです。
前にも紹介しましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題は飛ばしておいて、「後でやろう!」といったことは、絶対にできません。
 
そういったことを考えれば、いちばん厳しい条件の試験ではないでしょうか。
 
指示を正確に聞き取り、できるだけ速やかに解答しなければ得点になりません。
こんなことはないと思いますが、その時に、ちょっと耳がかゆいと気を散らしたら、それまでです。時間がくれば、次の問題に移りますから、まさに「待ったなし」なのです。
 
さらに、テストが始まると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢がわかります。話を静かに聞く姿勢が身についているか、筆記用具を正しく持っているかなど、いろいろな様子が表れるからです。先程お話した「育児の集大成」です。単に、常識や記憶力を見ているのではありません。こう考えると、問題集だけやって「受験準備、こと足れり」とはならないことを、ご理解いただけるのではないでしょうか。
 
ところで、ペーパーテストに問題点はないのでしょうか。
ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することはできませんが、ある面は確実に評価できることでしょう。
しかも手っ取り早いし、試験官の数も少なくて済みますし、ペーパーに答えが残りますから判定も公平です。ですから、ペーパーテストを行う小学校が多いわけです。誤解を招くと困りますから断っておきますが、他の試験は不公平というのではありません。
 
先程もお話ししましたが、ペーパーテストだけを実施している小学校はなくなりました。かつて、ペーパーテストだけを実施していた立教小学校は、現在ではペーパーテストを廃止し、運動テストや制作に加え、シャイな男の子の苦手な「ダンス」まで取り入れています。なぜでしょうか。
 
以前にお話ししましたが、ペーパーテストだけでは、社会性や協調性、自主性、基本的な生活習慣やしつけなどは判定できないからです。逆に、知的能力だけが高い、偏った経験を持つ子の集団になる可能性もあるからです。 
 
あるミッション系の学校の説明会で、こういった話を聞いたことがありました。
 
ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、早生れの子どもが少なくなってしまったので、翌年から月齢を考慮できるように受験番号を生年月日順に切り替えたそうです。当然でしょうね。4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。1年間の差がありますから、早生れの子には、ハンディキャップになります。
 
生年月日順は、その配慮があるわけです。願書の受付順や五十音別に受験番号をつける場合は、年齢の配慮がない学校が多いでしょう。
 
初めて、「年齢への配慮をしている」と公表したのは、桐朋小学校ではなかったでしょうか。「統計的な処理をしている」と年刊雑誌「桐朋教育」に記載があったようです。今では、多くの小学校で月齢への配慮をしていると言っていますし、昭和学院小学校のように3か月毎のグループに分け、各グループが同じ合格率になるようにしていると具体的に説明している学校もありまから、早生れのお子さんも心配はありません。
ただ、募集要項にかかわることですので、説明会へ参加し、きちんと確かめておきましょう。
 
話を戻しましょう。
ペーパーテストにはもう一つ問題があります。
それは、ペーパーテストの対策、受験準備、これが過激になりがちなことです。
試験の難易度が高く、生半可な準備では、とてもクリアできない小学校もあります。きちんとしたカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配ないでしょうが、少し気になる話を耳にします。幼児教室や塾を掛け持ちする子もいるようです。指導方針が違っていれば、お子さんは混乱するだけです。
 
たとえば、こんなことはないと信じていますが、数を数える問題で、A教室では「線などを引かないで数える」と教わり、B塾では「線を引いて数える」といったように、全く相反する数え方を教われば、迷ってしまうのはお子さんです。
 
皆さん方は、どちらが正しい指導方法だと思いますか。
 
たくさん受けさせれば効果があるとでも考えているとすれば、それは大きな間違いです。そういったお母さん方は、うわさにも弱いようで、親子で受験地獄に陥りがちです。受験地獄など、あるわけはないのですが……。
 
家に帰ると、お母さんが先生です。最近は、お父さんが力を入れている家庭も増えてきました。このことです……。ペーパーテストに対する過激な受験準備、ここに問題があるようです。
 
次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しましょう。
 
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<小学校受験編>有名小学校の入学試験とは■■[1]求められる四つのパワー■■

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有名小学校の入学試験とは
 
■■[1]求められる四つのパワー■■
 
過去にNHKの「お入学」の放映で、全国区に昇格したかどうかはわかりませんが、私立の名門小学校の受験騒動、話題になりました。過熱気味であった私立志向も、バブル経済が弾けて穏やか
になったように感じたものです。しかし、学習指導要領が「ゆとりの教育」から「心の教育」に改訂されるなど、公教育の指針が安定しないこともあるのか、私立志向は今でも根強く息吹いています。
 
その証といっては何ですが、埼玉県には、私立小学校は浦和ルーテル学院小学校、1校しかありませんでしたが、今では、4-4-4制を導入した開智小学校(岩槻市)、水族館とプラネタリウム
のあるさとえ学園(さいたま市)、英語のシャワーで世界に発信を目指す西武学園文理小学校(狭山市)、中高別学から共学にシフトチェンジした星野学園(川越市)も小学校を開設、そして、
2024年から、開智所沢小学校が加わり6校となりました。
 
さらに、副都心線を利用すると、埼玉の川越から渋谷まで乗り換えなしで50分となり、青山学院初等部、東京女学館小学校、慶應義塾幼稚舎、聖心女子学院初等科などを受験する子どもたちも
増えました。
 
また、東急東横線が副都心線と相互乗り入れを開始し、元町・中華街まで乗り換えなしで行けるようになり、東京と神奈川の県境にある多摩川の下流地域に住む人には不利といわれた横浜雙葉小
学校などへの受験も増えているのではないでしょうか。
 
東京都は55校、神奈川県は31校、千葉県は10校、茨城県南部で3校(茨城県全体で7校)と、私学の受け入れ態勢には、目を見張るものがあります。
 
そして、書店をのぞくと入学試験問題集も、たくさん売られています。中には、「こんな難しい問題、本当にできる子いるのかな?」と、首を傾げたくなるのもあります。しかし、問題集を読ん
いると、学校側がどのような子どもを求めているかがわかってきます。うわさでは、「頭脳明晰成績優秀名門家庭の子女」だけを求めているといわれているそうですが、そんなことはありません。
 
「知力・徳力・体力・気力が、学齢期にふさわしく、バランスよく育っている子」です。この4つの能力は、小学校受験に必要な基本的な力ですが、一朝一夕に身につくものではありません。何
もできなかった赤ちゃんを、根気よく、忍の一字で育ててこられた皆さま方ですから、納得していただけると思います。
 
受験準備は、育児と同様、一歩一歩、確実に前進を目指す、地道な努力が必要です。
 
では、学校側は、この4つの能力を、どのように判定しているのでしょうか。
 
第1は知力です。
 
これについては、わかりやすい解説がありますので紹介しましょう。
 
「知能の定義には、いろいろありますが、ここではその中身を、知覚力・記憶力・言語能力・数能力・思考力としておきましょう。
 知覚力は、見たり聞いたりするものを、注意深く受け止める能力です。
 記憶力は、覚えこむ力・覚えている力・忘れたものを思い出す力で、観察力・弁別力もこの中に入ります。
 言語能力は、語彙力・表現力などです。
 数能力は、数・量・図形・空間に関する能力です。
 思考力は、推理力・構成力・判断力(洞察力・見通す能力)などを含みます。思考力には、答えをいくつも考えられる拡散思考能力(創造的思考力)もあります」
 
 「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」 P.224
   (家庭教育システム研究会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊)
 
「画」とありますようにこの本は漫画です。サブタイトルが「赤ちゃんは親を選べません」と、何とも厳しいのです。このタイトルに惹かれて買ったのですが、内容はわかりやすく、これからマ
マになる方に推薦したい本の一冊です。
 
第2は徳力です。
 
これは言うまでもなく、社会性や協調性といった「集団生活への適応力」です。集団生活は人との関わりの中で培われていくものですから、自主的に取り組む姿勢や自身をコントロールする自己
統制力が養われてきます。
 
家では許されることでも、集団生活では認められないことを、幼稚園や保育園での生活を通して経験し、少しオーバーではありますが、「共生、共に生きること」を学んでいるはずです。
 
グループ別に行われる行動観察系のテストや運動テストなどで、日常の生活環境や体験が姿を現します。過保護であればわがままに、過干渉であれば消極的な態度になりがちです。
 
また、一つの例として、ペーパーテストでも、指示されたことをきちんと守らないと、大きなマイナス点になります。
 
「始め!」 と言われる前に始めてしまったり、「止め!」 と言われても止められなくては、人の言うことを聞く姿勢ができていないと判定されるでしょう。
規則や約束を守ることは、集団生活をスムーズに進めるために、欠くことのできないルールです。
 
公開模擬テストを受けて、「社会性や協調性に問題あり」とチェックが入った場合は、通っている幼稚園や保育園の先生に相談しましょう。
「少し、問題がありますね!」
といった返事があった場合は、「大いに問題あり!」と受け取り、お子さんを取り巻く環境を、ご両親で見直す必要があります。多くの場合、ご両親の育児の姿勢に、その原因があるからです。
 
第3は体力です。
 
指示を理解し体で表現する理解力、機敏性や俊敏性を問う運動能力、どれだけ頑張れるかといった持久力や耐久力などが判定されます。もちろん、通学に必要な体力が培われているかも大切なポ
イントになります。
 
もやしっ子を鍛え直すために始めた暁星小学校のサッカーを持ち出すまでもなく、現代っ子はスタミナ不足です。都会から原っぱが姿を消し、車が子どもの足代わりとなっている生活が、スタミ
ナをつける源を奪っているようです。
 
スタミナ不足は、単に体力的な面だけではなく、持久力や耐久力を培う「頑張る意欲」にも、大きな影響を与えていることを、もっと真剣に考えるべきではないでしょうか。集中力に欠け、すぐ
に飽きてしまうお子さんは、体力不足にも原因があるとも言われています。
 
5分も歩かない内に「おんぶ!」と言うようでは心配です。夏休みから秋の試験当日まで、大変なエネルギーを必要とします。それをクリアしなければ、小学校の試験に挑戦できません。
 
ボールつきや縄跳びは、全身を使いますし、微妙なバランス感覚を養う運動です。目標を立てて挑戦し、続けることで力がつく、「持続こそ力を育む」ことを、体験を通して学習させるべきだと
思います。お子さんの運動能力をチェックし、問題があれば、さあ、お父さん、お母さんの出番です。親子でチャレンジですね。
 
第4は気力です。
 
まだ、実感はわかないかも知れませんが、年長の秋を制する決め手は、「気力」です。 そして、これだけは、何十冊の問題集をこなすだけで身につくものではありません。本人の自覚です。本
人にやる気力がわかなければ、本当に頑張る力はつきません。モチベーションを上げる、これも、ご両親の育児の姿勢と深い関わりがあります。
 
過去の早稲田実業学校初等部の説明会で「学校見学会には、是非、お子様と一緒に来てほしい。この学校へ行きたいとお子さんのモチベーションを上げることができるからです」とおっしゃっていました。オープンスクールなどの機会を利用することも大切ではないでしょうか。
 
ところで、過保護や過干渉な環境で育てられていると、白百合学園小学校、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科のように、ペーパーの枚数が多く、限られた時間内に取り組む試験には、俊敏
に対応できません。
また、かつて慶應義塾幼稚舎が出題した、イーゼルを立てて絵を描くといった、初めて経験することには、手が出ないでしょう。
 
成蹊小学校で出題されたことがある、反復運動を繰り返したり、「止め」と言われるまで続けるような運動テストに耐えられないと思います。
 
ここで言う気力とは、自分一人でやり遂げた体験、体験学習を豊富に積んでいくことから身についた「意慾」のことです。
 
ご両親が失敗を恐れずに、積極的にチャレンジさせ、自立心を身につけるように心がけていれば、自ずと備わってくるものです。
ご両親は、叱ることが少なく、励ます言葉が多く、大らかな心を持っているはずです。お子さんのお手本は、ご両親です。そういったご両親であれば、お子さんもできないからと言い訳をするこ
ともなく頑張ります。むやみに叱らないご両親からは、相手を思いやる心が育ちます。
 
誤解されては困りますが、「何事にも叱ってはいけない」と言っているのではありません。約束を守らない、嘘をついたときなどは、真剣に叱ります。「叱るべきときは叱り、褒めるべきときは
褒める」ご両親のことです。
 
自分でやり遂げた経験がたくさんあると、達成したときの快感を味わっていますから、何かに取り組もうとする意欲が育っています。
 
そして、いろいろなことを体験しているお子さんは、過去に出題された問題集をやってみると、これと同じことを、普段、家庭や幼稚園、保育園で、一人遊びや仲間遊びを通して、何らかの形で
やっていることに気づくはずです。
 
幼児を対象にした試験は、大学などの入学試験とは違います。誤解を恐れずにいえば、必要なのは、記憶だけに基づいた知識の量ではなく、体験をふまえて培われた知恵の量だと思います。
 
すでに、模擬テストを受けられた方でしたら、ご存知のように、テストの出題範囲は、ほとんどの場合、以下の10項目になっているはずです。
 
1話の記憶  2数量   3常識   4推理・思考
5記憶力   6構成力  7巧緻性  8社会性  
9言語    10運動
 
先にあげた4つの力を、ペーパーテストや行動観察、面接を通して、こういった項目に分けて判定しているわけです。小学校側も、この10項目内で判定していると思います。来年の春には発売される今年度の問題集をお買いになると、納得できるでしょう。
10項目については、12月以降に解説する予定です。
 
以上の4つの力に加え、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校などを除き、ご両親には面接があるわけです。その学校を選んだ理由をきちんと話すことで、合否の判定が行われます。
 
小学校の入学試験は、試験を受けるのはお子さん自身ですが、「判定されるのはご両親の育児の姿勢である」と言われるのは、こういった仕組みになっているからです。推薦制度を取り入れる学校も増えてきましたが、その条件は、やはり、育児の姿勢を重視しており、決して安易なものではありません。
 
最後に、東日本大震災は、電車通学する子ども達に大きな課題を与えました。
 
暁星小学校の説明会では、生徒全員の寝袋を用意していることや、慶應義塾幼稚舎では、プールの水を飲料水に還元できる機器や、自家発電装置を設置した話などもあり、どこの学校も十分な対策を立てていると説明していますから、心配はないでしょう。
 
今、子どもたちに求められているのは、災害時に対応できる気力と体力です。
 
東日本大震災が起きた年、成蹊小学校の説明会で8時間かけて自宅にたどり着いた、1年生の書いた作文を披露しましたが、親切な女性3名の温かい応援があったとはいえ、まさに、幼いなりに、気力と体力を振り絞った「自奮、自励」(成蹊小学校の教育理念の一つ)の体験談でした。
 
10年以上経っていますが、心にとめておく必要があるでしょう。
 
来年の学校選びには、登下校時に地震が起きたことを想定して、それに対処できる気力と体力を充実させる育児を心がけることも、学校選びの大切な条件になるのではないでしょうか。
 
次回からは、実際に行われている入学試験についてお話します。
かなり、すごいことをやっています。しかし、きちんと段階を踏んで学習し理解していけば、そんなに心配するものではありません。
 
そのためにも、まず、試験の形式から説明しましょう。
 
(次回は、試験の形式についてお話ししましょう)

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか

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なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか
 
古い話で恐縮ですが、平成4年の秋のことです。
慶應義塾幼稚舎の試験を受けてきた子ども達が、こういったのです。
 「先生、ペーパーは1枚だけでした」
事実、その年のペーパーテストは、「話の記憶」1枚だけでした。
 
同じ年の12月のことです。
今度は、お茶の水女子大学附属小学校の試験を受けてきた女の子が、
 「先生、試験はありませんでした」
正しくは、「ペーパーテストはありませんでした」ですが、入試形式の突然の変化がありました。
その原因を探してみると、新しい保育の形が影響していることが分かってきました。
 
この年から新しい学習指導要領が実施され、同時に幼稚園の保育も「幼稚園教育要領」の改訂が行われ、今までの一斉保育から自由保育となり、一人ひとりの個性を伸ばしていく保育に変わりま
した。ですから、皆さんのお子さんが通っている幼稚園の保育は自由保育で、ここに注目してみると、おぼろげながら、ペーパーテストを廃止した理由の一端がわかってきたのです。
 
ご存知のように、自由保育といっても自由奔放、何でもありの保育ではありません。簡潔に言えば、みんなで一斉に同じことを強制的にやるのはやめ、自発的に活動できるように導く保育のことです。例えば、知識や理解力を培うにも、自分自身で考えたり、工夫する機会や経験をたくさん持たせたり、自分勝手な考えではなく、客観的なものの見方や考え方を身につけるように指導する保育のことです。
 
つまり、一斉保育は他律の保育で、自由保育は自律の保育のことです。他律と自律の保育については、わかりやすい歌があります。
童謡「雀の学校」(清水かつら 作詩 広田龍太郎 作曲)です。
 
 チイチイパッパ チイパッパ  雀の学校の 先生は 
 むちを振り振り チイパッパ  チイチイパッパ チイパッパ
 生徒の雀は 輪になって    お口をそろえて チイパッパ
 まだまだいけない チイパッパ もう一度一緒に チイパッパ
 チイチイパッパ チイパッパ
 
先生がムチを振りながら、「こっちを向きなさい!」とやるのが他律の保育で、自由保育にはムチを持った先生はいません。こういった保育内容をふまえ、ここからは独自の解釈ですから、深くお考えにならずに、読み流してください。
 
当時の新指導要領の狙いは、偏差値教育の弊害などを見直すことでした。大胆に言えば、今までの学習指導の基本的な考え方は、ペーパーテストのように持ち点を100として、「これもできな
い、あれもダメ」と点数を引く減点方式であり、主に知力だけを判定したものでした。改訂された「幼稚園教育要領」では、持ち点ゼロから始め、子ども一人ひとりの個性を見極め、「これもで
きた、あれもいいぞ」と点を積み重ね、合計で何点取れたかと点数を積み重ねていく保育に変えましたが、ペーパーを使わない行動観察型のテストは、この加点方式なのです。
 
ペーパーテストは、取れた点数で子どもの限られた能力を評価しますから、個性の出る幕はありませんが、行動観察型のテストは、絵を描いたり、自分の意見を発表したり、課題に取り組む子ども達の様子を観察し採点しますから、プロセスを重視し個々の能力を評価します。つまり、個性の尊重です。
 
また、こんな定義はありませんが、計算の問題から考えてみました。ヒントになったのは、「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」(家庭教育システム研究会 著 横山ふさ子 画 サンマ
ーク出版 刊)の育児の本で、「画」とあるように漫画です。
 
1+9=□は、答えは1つしかありませんから、全員で同じことに取り組む集中思考型保育、□+□=10は、答えが11通りありますから、一人ひとりを育てていく拡散思考型保育と考えると
  一斉保育(他律の集中思考型保育)
   →減点方式→ペーパーテスト
  自由保育(自律の拡散思考型保育)
   →加点方式→行動観察型テスト
となり、幼稚園の保育の方針が、他律の一斉保育から自律の自由保育に変わったことから、小学校の入学試験の形式も減点方式だけではなく、加点方式を加えたと言えるのではないでしょうか。
 
ペーパーテストを実施している学校も、課題遊び、自由遊びなどの行動観察テストや制作、運動テストなどを通して、社会性や協調性など集団生活への適応力を評価、採点し、バランスの取れた
成長をしているかを判定しています。ですから、入試に必要な知識なるものを、記憶だけに頼って詰め込む知育偏重型の受験対策は、どこの学校からも歓迎されないと言えるわけです。
 
前回でもお話ししましたが、現在、国立大学附属校では、お茶の水女子大学附属小学校、東京学芸大学附属竹早小学校等はペーパーテストをやっていません。
私立校では、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成城学園初等学校、桐朋学園小学校、川村小学校などもやっていません。(令和6年10月現在)
 
おもしろいのは、以前は運動テストもなく、ペーパーテストしかやっていなかった立教小学校が、今ではペーパーテストを廃止して行動観察型に切り替え、運動テストはもちろんのこと、男の子
が苦手とするダンスまで取り入れていることです。以前の学校説明会で、文言は正確ではありませんが、「私学がよい子を取り合った時期があったが、それは間違いでした」と指摘され、「取り
っこではなく分けっこの時期に入った」とおっしゃっていました。
 
「ペーパーテストを廃止した理由」を公表した学校があります。
かなり前になりますが、慶應義塾幼稚舎の舎長が、以前、こうおっしゃったのです。これはわかりやすい話ですから紹介しておきましょう。余談になりますが、舎長は校長のことで、東洋英和女
学院小学部、青山学院初等部は部長、学習院初等科は科長、光塩女子学院初等科は校長、国府台女子学院小学部は副学院長の名称となります。
 
「受験という現象がある以上、その競争の社会の中で、人より抜きん出て勝利を占めようと、どんどんエスカレートします。競争社会は、結果を争うわけです。だから、私たちは、結果を争うよ
うなテストをしません。結果を点数に直して、点数で序列をつけるような教育をしていない。点数で子どもの序列をしないということは、ペーパーテストはしませんというのが、一番わかりやす
いということです」(週間ポスト 平成6年4月3日号)
 
辞任されて教員に復帰された加藤三明元舎長は説明会で、毎年のように「幼稚舎の教育目標は、他人との競争ではなく自分との戦いである」とおっしゃっていました。
 
さらに注目したいのは、東京女学館小学校です。
平成12年に就任された田浦桂三校長(同15年に退任)は、面接と推薦状だけで入学を決めるAO方式(アドミッションズ オフィス)を始めました。文言は正確ではありませんが、「受験の
ために子ども達に大きな負担をかけたのは、塾や親の責任ではなく、そういう環境を作った学校にある」と言い切った方です。募集人員80名中、AO方式20名からスタートし、令和6年10
月現在、募集人員72名中、AO方式約40名(内約3名「国際枠」)、一般入試30名程度になっています。「やがてはすべて、この方式に変えていきたいと」先生は抱負を語っていましたが、もし、これが実現すると、「私学もやがて抽選で!」といった夢のような話……まあ、夢でしょうけれど。子ども達のために頑張ってほしいと期待しています。残念ながら大学は、在学生全員が卒業した2016年3月に閉鎖されました。
 
ところで、「ゆとりの教育」を目指した平成14年度から実施された学習指導要領から、私学の大きな特徴であった週五日制、英語教育が公立でも始まりました。少人数制に至っては、私立の小
学校は都心の公立校にかなわなくなっている学校もあるでしょう。
この状態を「公立校の逆襲が始まった」と、東洋英和女学院小学部の寺澤東彦元部長は説明会でおっしゃっていました。ですから、私学には脅威でもあったわけです。
 
事実、日本女子大学附属豊明小学校、立教女学院小学校、東洋英和女学院小学部、青山学院初等部、成蹊小学校、昭和学院小学校、日出学園小学校、国府台女子学院小学部など、最近の私学の環境整備には、目を見張るものがあります。
 
また、桐朋小学校は1クラス24人、成蹊小学校では3年生まで1クラス28人、日出小学校は2年生まで25、26人編成の少人数制を実施するなど、私学ならではの対策が顕著になっているのも事実です。
 
また、学校も増えています。2013年に慶應義塾横浜初等部、2014年4月には茨城県取手市に江戸川学園取手小学校、そして2015年4月には神奈川県藤沢市に日本大学藤沢小学校が、
茨城県つくばみらい市には開智望(のぞみ)小学校が開校され、2016年4月には千葉県流山市に国際暁星流山小学校が、2019年4月には東京農業大学稲花小学校が開校しました。北海道
にも私立小学校が開設されたり、2024年には開智所沢小学校が開校となりました。
 
受験者が減る中で、なぜ新しく私学が創立されるのでしょうか。
誤解を恐れずに言えば、画一的な教育よりユニークな教育環境で、わが子を学ばせたいと希望する保護者が増えているからではないでしょうか。
 
なお、2022年4月に東京都立立川国際中等教育学校附属小学校が開校しました。公立も小中高12年間通しての教育、一貫教育に参入です。「公立校の逆襲」第2弾になるのでしょうか。今
後も注目ですね。
 
さて、そこで問題になるのは、志望校の選び方です。
 
それは何かと言えば、小学校選びは聖書の「始めに言葉ありき」ではありませんが、「始めにご家庭の教育方針ありき」であるべきです。これが「始めに名門校ありき」では、かつてバブル経済
全盛期の頃、マスコミがお受験騒動と指摘したように、ブランド志向によって起きた「受験戦争の低年齢化」、「幼い子どもを受験戦士に仕立てていいのか」などと批判の対象になりかねないか
らです。
本当は、こういったことが起きること自体、異常なのですが、いわゆる「受験地獄」に陥らないためには、ご両親でよく話し合いをし、受験に取り組むことが大切です。
 
「教育は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、社会の教えで実がなる」
 
これは明治初期に文部省から高等科(現在の5、6年生)の家庭に配布されたものですが、「どんな花を咲かせたいのか」、これこそ学校選びの基本ではないでしょうか。
 
小学校の受験は、前々回説明しましたスケ―ジュールをもとに、慎重に計画を立て、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と、ゆとりをもって挑戦するものであることを、肝に銘じて頂きたいので
す。
 
 
(次回は、「求められる4つのパワー」についてお話しましょう)
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>入学試験の傾向

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第16号
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入学試験の傾向 
 
小学校の試験を目指す皆様方ですから、既に、ご承知と思いますが、ペーパーテストを実施しない学校も増えました。また、ペーパーテストを行う学校でも行動観察型のテストを併用しています。
その経緯については、あとで詳しく紹介するとして、学校側が試験を通して何を見ているのか、何を求めているのかについて、簡単に触れておきましょう。
 
ペーパーテストを行わない学校は、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、立教小学校、桐朋学園小学校、川村小学校などで、いわゆる行動観察型のテストを実施しています。(青山学院初等部は以前
はペーパーテストを行っていませんでしたが、コロナウィルス感染症拡大を機にペーパーテストを行うようになっています。)
 
「ペーパーテストを行わずに、何がわかるのですか?」と、疑問視する方も大勢いらっしゃるようです。
 
ところが、これがよくわかる仕掛けになっているのです。
仕掛けといっては失礼になるかもしれませんが、ある年の桐朋学園小学校の学校説明会で、たまたま顔を出された校長先生が、面接についておもしろい話をしてくれたのでした。
 
「私どもが面接をしないのは、親御さんに『趣味は何ですか』とうかがっても、本当は競輪や競馬が大好きでも『読書、音楽鑑賞です』とおっしゃるでしょう。だから面接をしません。しかし、
私どもでは二日間、お子さんを預かりますから、どのような家庭環境で育てられているかわかるのです」
 
文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
その通りではないでしょうか。
 
子ども達は演技ができませんから、育てられた環境を、そのまま正直に、試験会場で見せることになります。
 
基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣いから社会性や協調性といった集団への適応力など、手に取るようにわかるのではないでしょうか。
ですから、「ペーパーテストがないから受験準備は楽だわ!」などと考えるのは、とんでもない誤解で、行動観察型の試験は、ペーパーテストより難しいところがあります。
 
なぜなら、先生方の言葉を聞き取り、理解し、考え、自分の言葉で表現したり、絵を描いたり、行動する、それが行動観察の試験だからです。
どういった準備が必要だとお考えでしょうか。
 
次にペーパーテストを実施している学校ですが、暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科(一時期、ペーパーテストをやめていたのですが)、
立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部などです。
 
このように学校名をあげてみると、何かお気づきのことはありませんか。
 
そうです、何とも不思議なことに、宗教教育を行っている学校が多いのです。しかも、いずれも、いわゆる名門校ですから、試験問題の難易度は、高いことも共通しています。
なぜ、難しい問題が出題されるのでしょうか。
 
おそらく、過去問といわれている、以前に出題された問題を集めた本などを使い、繰り返し問題を解くといった受験準備ではなく、基礎知識をきちんと身につけた上で、問題を解く力を備えてほしいと、学校側は考えているのではないでしょうか。
 
簡単に説明するのは難しいのですが、わかりやすい話だと思いますので紹介しましょう。
 
試験問題の中に、「四方図」、「四方観察」と呼ばれるものがあります。これは、テーブルの上に置かれた左手をあげた縫いぐるみを、前後左右から見ると、どのように見えるかといった問題で
す。この場合、四つの方向から見ることになりますから、四つの違った答えがあるわけです。
 
つまり、学校側は、答えは一つだけではなく、いろいろな方向、立場からものを見て判断する、そういった力を持つ子どもを求めているのではないでしょうか。 
 
さらに、ペーパーテストではなく、こういった問題もありました。
 
・雙葉小学校
 お皿に入っているプラスチックの玩具の宝石20個ほどを、細かく分かれている箱に、塗り箸でつまんで入れる。
 
・白百合学園小学校
 プラスチック製の穴の空いた板に紐が通してあるお手本を見ながら、同じように紐通しをする。
 (暁星小学校でも出題されました。)
 
・暁星小学校
 机の上に弁当箱、弁当箱のふた、弁当袋、箸、箸箱、箸箱のふた、校内着、 半袖のポロシャツ、ハンカチ、ティッシュ、本、靴下などがバラバラに置かれ、それをファスナー付きのカバンの中にきれいに詰める。
 
 靴を脱いで、机にある折り紙をとってきて、好きなものを折る。
 (5個折らせた年もありましたし、少し力の必要な折り方が出題されたこともあります)
 
・青山学院初等部
 靴を脱いで手を洗いにいき、椅子をテーブル代わりにして、煎餅、クッキー、お茶を自分で用意し、いただく。食べ終えたらゴミを分けて捨て、後片付けをし、席で待つ。
 
・日本女子大学附属豊明小学校
 いろいろなビーズの入ったトレーから、自分のお皿にできるだけ多くのビーズを塗り箸で移す。
 細い紐にビーズを通して端を結びネックレスを作る。
 クーピーで絵を濃淡に塗り分ける。
 
・東洋英和女学院小学部
 机に置いてあるカゴの中から、弁当箱とハンカチをとってくる。
 次にテスターが持っているカゴから、ピンポン玉2個と豆を箸で取り、弁当箱に入れる。そして、テスターの手本どおりにハンカチで箸と弁当箱を包み、指示された机に置く。
 
・立教女学院小学校
 塗り箸で、さいころの形をしたキューブを隣の紙のお皿に移す。
 
・千葉日本大学第一小学校
 教室の後ろのテスターのところに並び、洋服をハンガーごと持ってくる。ハンガーから洋服を取り、着ている服の上からきる。
 ボタンを1つかける。ボタンを外し、着た服を脱ぎ、ハンガーにかけテスターのところへ持って行く。
 
・早稲田実業学校初等部
 靴を脱いでじゅうたんに上がり、お手本を見て封筒を作る。作り終えたら机の中から雑巾を出して手を拭いたあと、机を拭き、たたんで机の中にしまう。
 
・田園調布雙葉小学校
 持参した服に着替え、着ていた服を風呂敷で包む。
 
・横浜雙葉小学校
 お友達と床に正座して、おしゃべりをせずに、持参した弁当を食べる。
 
・日出学園小学校
 ふわふわボール6個を箸でつかみ、弁当箱に入れナフキンで包む。
 
 
学校側は、何を見ているか、おわかりいただけたと思います。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを知りたいわけです。
基本的な生活習慣はしつけであり、それは、ご家庭の育児の姿勢でもあるわけです。
 
東洋英和女学院小学部の寺澤東彦元部長は、「しつけや言葉遣いは、生まれる前に刷り込まれているわけではないから、強制的に教え込まなければならない」とおっしゃっていますし、国府台女
子学院の平田史郎学院長は、「訓練されていない個性は野性である」とさえいっています。
 
両校とも宗教教育を行う女子だけの学校です。
ご家庭の教育に何を求めているのでしょうか、受験準備のポイントは、ここにあると思います。
 
つまり、知識だけ身についた偏った子どもではなく、知・徳・体の三つの能力が、年齢相応にバランスよく育った気力のある子を望んでいるのです。
 
ですから、小学校受験でもっとも大切なことは、就学前の子どもにふさわしい基本的な生活習慣やしつけ、挨拶、言葉遣いなどを、きちんと身につけておくことなのです。
 
今からしっかりと計画を立てて、一つ一つ階段を上るように、地道な努力を積み重ねていくことが求められています。
 
いわゆる、付け焼き刃などは、絶対に効きません。
 
かつてのバブル経済全盛期の頃で、私立志向が過熱気味な状態にあったときでした。
あるミッション系の学校説明会で、校長先生は、こうおっしゃったものです。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、受験準備、こと足れりとお考えになるのは、間違いであることに気づいてほしい」
 
これも昔の話ですから文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
このことではないでしょうか。
泥縄式とは、「泥棒を見てから縄をなうことで、事が起こってからあわてて、その対策に手をつけることをあざけていう言葉」ですが、特に、幼児の受験の場合、泥縄式は、絶対に通用しません。
 
これからの毎日の生活の積み重ねが、来年の秋に実を結ぶことを、肝に銘じていただきたいのです。
 
(次回は、「なぜ、ペーパーテストを廃止する学校が増えたか」についてお話しましょう)
 
 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>受験までの1年間のスケジュール

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第15号
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受験までの1年間のスケジュール
 
 
「入試の準備は、いつ頃から始めるのがよいのでしょうか」
よく受ける質問です。
年少の11月から2年間かけて、無理なく進めていくのが理想ですが、皆さん方は、来年の秋に受験されるわけですから、この1年間、どのような予定で進めていくかを考えてみましょう。
 
ほとんどの幼児教室は、11月が新学期で、次年度受験の新年長クラスはここから第一歩が始まります。  
11月から7月まで、基礎知識を身につける講座が続きます。
           
この月から、年長向けの模擬テストも始まります。
年中から準備をはじめているお子さんは、模擬テストを受けていますから、既にご存じのことですが、多くのテストの結果表には、得点から総合順位、偏差値まで、ある時期から、志望校への合否判定も添付されてきます。
 
結果表にある男女別の順位は、男子校、女子校を受ける際の判定の基準に、男女の総合評価は、共学の学校の判定基準としても利用できます。
 
テストの内容は、2月頃から始まる「合否を判定する10項目」で、詳しく解説する予定です。
 
また、幼児テスト特有の生活習慣や、しつけ、社会性などの判定もついてきます。「意外に、内弁慶だった」などと、普段、皆さん方が気づかないお子さんの素顔を見ることもできます。
 
これは、非常に大切なことですが、案外、軽く見られている傾向にあります。
 
チェックが入った場合、保護者の責任と考え、お子さんを取り巻く環境を、真剣に考えてあげましょう。
なぜなら、多くの場合、ご家庭の育児の姿勢に原因があるからです。
 
12月の後半には冬期講習会が、3月の後半には春期講習会があり、2月頃から志望校別講座など、さまざまな目的を持った講座も始まります。
教室によっては、レベルの高い特別講座を設け、難関校への準備も始まります。
 
例年であれば、5月の後半から7月中旬にかけて、学校見学会や説明会が始まります。普段、校内に入れませんから、できるだけ多くの説明会へ参加することをお薦めします。
 
ミッション系の学校に関心がなくても、ぜひ、一度は参加しておきたいものです。宗教教育の目的がわかるからです。お勧めは青山学院初等部です。
 
「別学の学校はどうも」とお考えの方も、別学の学校を訪ねてみましょう。立教小学校の校長の「男子だけの良さ」の話は面白く、共学にはないものを見つけることもできるからです。
 
授業参観をかねている場合は、とかく1年生の教室が注目の的になりがちですが、上級生の教室もこの機会に参観してみましょう。
参加者も少なく、思ったより厳しい学習風景に出くわすこともあります。
 
雙葉小学校、学習院初等科、聖心女子学院初等科、暁星小学校、慶應義塾横浜初等部、日出学園小学校など多くの学校でWebでの予約システムや参加用紙をダウンロードして持参、もしくは予約
画面を提示するようになってきました。
 
受験を考えている小学校のホームページで説明会の日程や予約の有無などを見ることができますので、こまめにチェックしましょう。学校によっては、説明会を1回しか開催しないところもあり
ますので、しっかりと確認し、うっかり忘れたなどのミスは禁物です。
 
説明会の他に、学校見学会や運動会、文化祭などの行事に参加できるところもありますので、こういった情報も、各学校のHPに紹介されていますから、しっかりと調べておきましょう。
 
面接で、説明会や行事に関して印象を尋ねられる場合もあります。
普段、入れない校舎に入り、子どもたちの遊ぶ様子から、意外な側面を見ることもでき、学校選びの重要なポイントにもなります。
そして、トイレの場所も確認しておきたいものです。後で、役に立ちますから。
 
なお、最近は、東京女学館小学校の「AO型入試」、日出学園小学校の「第一志望入試」といったように推薦や単願制度を設ける学校が増えています。各学校の本年度の入試要項がHPで公開さ
れていますから、どういった形式になっているかチェックしておきましょう。
 
ところで、夏になると、ほとんどの幼稚園でお泊まり保育があると思います。親のもとを離れて生活することで、どのくらい自立心が培われているかもわかります。一人っ子の場合は、とかく、
過保護、過干渉の環境となりがちです。
 
また、幼稚園や保育園の先生から保護者会の折りなどに、「少し、社会性に問題があるようです」などといわれている場合は、大いに問題があると考え、日頃の育児の姿勢をチェックする必要もあるでしょう。
 
7月の後半から、夏期講習会が始まります。
「夏を制するものは、秋を制する」といわれているほど大切な時期で、幼稚園の休みを、いかに計画的に利用するかがポイントとなってきます。保育園に通わせている方は、日々の時間のやりく
り、休日の使い方など、より計画的に過ごす必要があります。
 
基本的な生活習慣は、この時期までにきちんと身につけておくべきです。かなりハードなスケジュールになりがちですから、旅行や里帰りなどはお子さんを中心に計画しておきたいものです。
 
ご両親、特に、お父さん方の意識を高めるために、模擬面接指導も始まります。
この指導は、できるだけ早い時期に受けておくべきです。
 
「たかが、面接!」などと侮っていては、失敗します。ほとんどの教室で6月頃から始めていますが、ここ数年、申し込みが9月に集中する傾向にあるようです。毎年、お子さんの普段では考え
られない応答、態度を見て、びっくりされるお父さん方がいます。
模擬面接は、どういった答えをするかのテストではなく、お子さんが、初めての先生方とどういった話ができるかを見てもらうのが大きな目的です。
 
9月では、マイナス面がわかっても、わずかな期間では修正の効かないのが幼児です。
 
特に難関校の場合は、夏休みの前に済ませ、マイナス点を修正し、9月に再度挑戦されることをお勧めします。
 
8月の後半から9月にかけて、直前講座が始まり、中断していた説明会も開始されます。
9月の後半から10月にかけて、願書の受け付けが始まります。
日程の関係で、出願してみないと併願が可能かどうかわからない場合がありますので、何校も出願する場合もあることを、頭に入れておいてください。
 
また、雙葉小学校や白百合学園小学校の出願もWebで行うようになったように、多くの学校でWebで出願を導入するようになってきましたので、HPで確認しておきましょう。来年度の状況
がわかるからです。
 
早いところでは、9月の中旬から面接が始まります。
そして、お子さんは直前の特別講習や個別の指導などを経て、ご両親は面接に備えて心を一つにして、試験に臨むことになるわけです。
 
幼児教室や塾の選び方は、保護者で研究されることです。
 
お母さん任せでは、手に負えないかもしれません。
お父さんも一緒になって考えましょう。
 
そして、任せたからには、先生方のアドバイスに従い、家庭学習などもこなしていくべきで、幼児教室の掛け持ちはさけるべきです。
指導の方針に違いがあれば、迷ってしまうのはお子さん自身だからです。
 
教室で実施されるテストは、指導の結果をチェックできる大切な試験ですから、毎月1回は受けるべきでしょう。
 
理解できていないところは、体験不足の結果と冷静に受けとめ、対応することが大切で、偏差値や順位に一喜一憂し、感情的にならないことです。
 
直前になれば、他の教室への「他流試合」も、本番に慣れるために必要ですが、あまり早くから挑戦するのは、お子さんにとっては、会場が変わるたびに緊張感を強いられることになりがちです
から、慎重な対応が求められます。
 
全統オープン等、小学校を会場とする模擬テストも上手に利用しましょう。
 
こういったスケジュールで1年間を過ごすことになります。
メールマガジンもこれに従って、ご両親で取り組むべきことを説明していきますが、メールマガジンの進め方として、面接と志望校選びについては、どうしても来年の8月以降になりますので、
ご両親の心の準備として、当研究所で発行している次の本、冊子もお薦めいたします。
 
最も大切な学校選びのポイントと願書の書き方、面接に関しては、「面接、ここがポイント 小学校編」(書籍) 志望理由についてのアドバイスは、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(冊子)で解説しています。参考にしていただければ幸いです。
詳しくはHPをご覧ください。
 
 
 (次回は「最近の入試の傾向」についてお話しましょう)

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 4★★

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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
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 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第14号
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★★手は第二の脳 4★★
 
 ●模 写●
 
模写は、文字通り、お手本をまねて写すことです。図形と点図形の模写があります。関西では、点図形を点結びともいいます。
 
図形の模写については後で詳しくお話ししますが、幼児にとって、非常に難しく、また面倒な問題でもあり、今の段階で挑戦するのは酷なことですから、○△□の描き方についてだけお話ししてお
きましょう。
 
〇△□といった図形の模写は、文字を書くときの基礎トレーニングです。
 
○は、下から時計まわりに描きましょう。上から左回りに描くのは数字のゼロです。
 
△は、頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から右へ底辺を描きます。頂点から左斜め下へおり、いきなり右方向へ底辺を描き、今度は左斜め上の頂点を目指すのは、大人の使う簡略法で、書写違反です。
 
□は、漢字の国がまえと同じです。左上から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子がいますが、これも書写違反です。
 
今の段階で、○△□を正しく描けるようにしておきましょう。きちんと描ける子は、文字もきれいに書けるようになります。文字には、筆順がありますから、当然なのですが。
 
点図形は、対称図形が多く、きれいですから楽しく取り組めます。
簡単な問題でも、きちんと線を引き仕上げましょう。面白いことに、性格までも姿を表します。直線がよじれたり、点と点をつなぐときに脱線をしたり、通過すべき点を外す子は、何をやっても
雑になりがちです。スピードにこだわっているのでしょうが、描けていればいいのではありません。最初が大切で、ゆっくりと丁寧に、時間をかけて、きれいに描くことです。
 
そして、忘れられがちなことですが、姿勢が悪ければ線も乱れます。背筋をきちんと伸ばし、左手でペーパーを押さえてかく習慣をつけましょう。ローマの哲学者キケロは、「習慣は第二の先生
なり」といっています。「習慣は、いつしかその人の内部に深くしみこみ、生まれつきの性格のようになる」という意味で、とても大切なことです。
何も偉そうに哲学者を引き合いに出すこともありませんが……。
 
点図形は、立体の模写ができれば卒業ですが、大人には簡単に思えても、子どもには難しい作業です。どこから始めればよいのか、わからない問題もあります。必ずしも点と点を結ぶとは限らずに、サードとショートの間を抜くヒットのように、点と点の間を抜けていくものもあります。
 
これは、納得するのに時間がかかります。
 
「点と点を結ぶのに、何で抜かすのですか?」
こう思っている子がいますが、こだわるから仕掛けに気づき間違いません。ですから、じっくりと取り組む根気が必要です。どこがどうなっているのか、試行錯誤をさせた方が、後で効果が表れ
ます。観察力と集中力、そして、持久力や忍耐力も身につきます。
さらに、全体のバランス感覚を養うのにも役立ちます。なぜなら、隅から隅まで、全体をきちんと見なければならないからです。
 
絵を描くときにも、それが生きてきます。
 
ところで、頼りない線を引く子がいますが、鉛筆をしっかり持てていないからで、おそらく箸の持ち方もおかしいでしょう。問題集をやる以前の問題で、これを解決してから挑戦しましょう。
ただし、箸の持ち方は、食事の時に注意をしないことです。三度、三度、同じこといわれていては、気が滅入ります。文句をいわれているお子さんの気持ちを察してあげましょう。キチンとした線が引けるようになれば、箸も正しく持てるはずです。このトレーニングに取り組むのが、先ではないかと思います。
 
Bか2Bの鉛筆で、直線や曲線、円などをなぐり書きをさせると効果が表れます。これは、スピードをあげてもかまいません。なぜなら、速く書くには鉛筆をしっかりと持たねばなりませんし、
どの辺を持てばよいかもわかるからです。
力み過ぎはいけませんが、そのバランスも、やっている内にマスターできます。
そして、指や腕の筋肉を鍛えましょう。鉄棒、雲梯や登り棒、縄跳び、ボールつき、ブランコ、シーソーなどで、楽しく遊びながら握力がつきます。このような、遊びを通した筋肉トレーニング
も必要です。あえていえば、今日まで見過ごしてきた、ご両親の責任ではないでしょうか。
 
12号で、箸を使った問題を紹介しましたが、ああいった問題があるからといって、箸を使い、物を摘まむ訓練をするのは、試験がある以上仕方がないことですが、出題の意図を考えれば、基本
的な生活習慣が身についているか、しつけはきちんとできているかといった、子どもの成長過程を見ることにあるのですから、本末転倒なことをやっていることに気づいてほしいですね。
 
書道の先生が、箸を持ち、その内の1本を抜き取った時、筆を持つ形ができていれば、箸をきちんと持って食事をしていることになるとおっしゃっていましたが、お子さんはいかがでしょうか。
 
ペーパーテストが始まると、先生方が一斉に筆記用具の持ち方を見るのは、育児の姿勢を判定するためといわれるのも、やはり根拠があるのです。
 
大切なことですから、あえて繰り返しますが、立教女学院小学校の学校説明会でこうおっしゃいました。
 
 「あえてこの場で申し上げますが、テストの中で、箸を使う場面がありましたら、箸で物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しい箸の持ち方ができているかを見ていることをご理解いた
 だきたい。テストの趣旨はそこにあります。日本の文化でもある箸の持ち方を、きちんと身につけてほしいと考えています」
 
何年間も繰り返し同じ話をするということは、筆記用具のおかしな持ち方をする子がいるということでしょうか。しかも、受験生は女の子です。お子さんは大丈夫でしょか。箸をきちんと持てて
いれば、筆記用具も正しく持っていることになります。
 
正しい持ち方ができれば、次です。
 
小学校の国語の授業は、正しい筆順で文字を書くことから始まります。国語は、すべての教科の基礎、基本です。
 
なぜ、入学試験に、図形や点図形の模写があるか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
「たかが、○△□の書き方など」と侮っていると、お子さんは小学校のスタートでつまずきかねないことをしっかりと考える、賢いお父さん、お母さんになってほしいですね。
 
(次回は、「受験までの1年間のスケジュール」についてお話しいたしましょう)
 

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 3★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第13号
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★★手は第二の脳 3★★
 
●絵 画●
 
お絵描きは、歌や踊りと同様、子どもにとって大切な表現方法です。子ども達はお絵描きが大好きですが、これも生まれ月、月齢差が表れますから、このことを考えてあげなければ、発育状況に
そぐわない要求をしがちで、子ども達には困ったことになります。
 
まず、お子さんの絵の描き方を、思い出してみましょう。
 
2歳頃は、点や線のなぐり書きでした。
 
3歳頃から、円や四角らしきものが表われて、ある日、突然、頭から手足がニョキニョキ出ている絵を描き、やがて頭と体が分かれ、一応、人間らしくなりますが、手は電信柱のように、横に真
っすぐ伸びたままで、年長になった頃から手も下におり、やっと人間と認められる絵になったのではないでしょうか。
 
そして、必ずといっていいほど、お日さまが輝いています。
 
ここまで来るのに、4、5年かかる子もいますから、子ども達には大変な仕事でもあるわけです。
しかも、絵を描く作業は、促成栽培的に腕をあげることはできません。お子さんの生育史が、そのまま表れてくるのではないかと思います。
 
なぜ、小学校の入学試験に絵を描かせる課題があるのでしょうか。
 
ただ、単に、絵の巧拙を評価するためとは、考えにくいことです。
大人は、自分の考えを相手に伝えるのに言葉だけで足りますが、幼児は、それだけでは十分とはいえません。
言葉で足りなければ、体全身で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの手段ですが、絵も、その一つです。
 
自分の思っていることを、絵で表したいのです。
 
ですから、子どもは、絵の巧拙にこだわらずにせっせと描きます。
そばで見ていると、本当に楽しそうで、こういうときの子どもの目は輝いています。
 
以前、慶應義塾幼稚舎が、イーゼルを立てて絵を描かせたことがありました。
評価のポイントは、初めてのことに積極的に取り組む意欲や行動力だと考えましたが、舎長は、ある雑誌のインタビューで「子どもの顔を見たかったから」と答えていました。
 
第8号でも紹介しましたが、思い出してください。
絵は、子どもの感性が、そのまま表れるものだと思います。
 
感性= 
(環境+五感が受けた刺激)×(好奇心+観察力)÷そしゃく力
 
また出てきました。おかしな式だと思われた方、私ども流ですのでご容赦ください。
しつこいようですが、感性とは、子ども自身が、与えられた環境の中で、自らの力で培ってきた、自前の能力だと言いたいのです。
ですから、親の思惑で、絵についていろいろと注文をつけ始めると、面白くない絵になるのではないでしょうか。それは、お子さんの自前の感性で描いた絵ではなく、第三者に教えこまれた絵だ
からです。どなたがおっしゃったのか定かではありませんが、それを「大人の手あかのついた絵」というそうです。
 
受験のためのお絵描き教室も、その一つではないでしょうか。
絵を描かせる学校が増えていますから、対策用のお絵描きです。
これもうわさの一つで真偽の程はわかりませんが、「テーマは秋」だとすると、10人が10人とも枯葉の舞う絵を描き、しかも全員、申し合わせたように葉っぱを黄色に描くそうです。
 
こんなことをしていると、子どもの感性は、おかしくならないでしょうか。
第一、子どもが落葉を見て、ホッとため息をついて、「人生、無常ですね!」などと枯葉の舞う様子を描いているとは、考えられないことです。
 
秋であれば、子どもが楽しみにしていることは、たくさんあるのではないでしょうか。
お月見、遠足で出かけた芋掘り、ぶどう狩りや運動会など、楽しい思い出が残っていれば描くはずです。
こういった噂は、本当に噂であってほしいものです。
 
自分の描きたいことを、自分流儀で描ければ、いいのではないでしょうか。ウルトラマンと戦う怪獣が、ものすごい勢いで、真っ赤な炎を口から吐き出している絵を見たことがあります。
 
画用紙全体を使って、迫力がありました。
 
子どもに聞くと、
「どんな武器を持っていても、ウルトラマンは、絶対に、負けないんだよ!」と興奮気味に話していましたが、「これだ!」と思いました。    
何だかよくわからない怪獣でしたが、口から出る怪しげな炎の色といい、鋭いつめの形といい、「あやうし、ウルトラマン!」の感じが、よく表れていました。
その子は、ウルトラマンは、天下無敵だと信じているから、こういう絵になったのでしょう。
ウルトラマンは、絶対に負けないと信じている子どもの気持ちが、素直に伝わってきます。
 
画用紙全体を使って描いているのも、いいですね。
 
これが、左右の端っこに、細かくコチョコチョと、何やらわからないように描かれているようでは、心配です。
しかも、色が黒や灰色などで、暗い感じのする絵では、真剣に、お子さんの置かれている環境を、早急にチェックする必要があると思います。
 
「絵は心の窓」ともいわれているように、子どもの感性は、鏡に映るように表れるからです。
 
また、絵を描きたがらない子が増えていると聞きますが、絵を大人の思惑で、評価しているのではないでしょうか。
そうだとすれば、かわいそうです。
子どもの描く絵に口を出さずに、のびのびと描かせてあげることが大切です。もし、お父さんやお母さんが、絵を描くのを苦手としていたら、なおさらのことです。
 
小学校側も、大人が考えるような、巧い絵を期待していないと思います。
その子に育まれている感性をみたいのです。
ですから、一つの話を聞いた後で、
「この話は、どのようになっていくと思いますか。それを絵に描いてみましょう」
といった問題に発展させ、子どもの頭の中をのぞきたいのです。
 
絵の巧拙だけを、見ているのではありません。
 
百人の受験生がいたら、百枚の違った絵が描かれるのではないかと思います。
 
逆を考えてみましょう。
もしも、百枚とも同じ絵だとしたら、マインドコントロールされていることではないでしょうか。
これは、恐ろしいことです。
過保護、過干渉では、子どもの感性まで、コントロールすることにもなりかねません。
 
「個性を伸ばしてあげたい」とお考えなら、子どもの感性を磨ける環境を作ってあげましょう。
専門家の先生にお叱りを受けるかもしれませんが、子どもの描く絵は、写生ではなくイメージ、想像力の集結されたものだと思います。
五感のアンテナを刺激してあげれば、感性は育まれるものです。
 
本を読んであげることからも、たくさんの刺激を与えることができます。また、日本には、恵まれた自然があり、四季折々の自然の変化を、五感を通して、きちんと身体にしみ込ませておきまし
ょう。
 
絵を描くテクニックより、ものを観る心の眼を育てることです。
小さい時こそ、本物に触れる機会をたくさん持つことが、大事ではないでしょうか。
そこから感性は育ってきます。
感性は、ご両親の作る環境で培われるものです。 
 
「お母さん、ぼく、絵描きさんになりたい!」
心の準備ができてからの絵画教室は、最高の教場になるはずです。
 
お断りしておきますが、「絵画教室が駄目だ」などと、そんなだいそれたことをいっているのではありません。プロの先生方に叱り飛ばされます。皆さん、お子さんの感性を大切にして指導され
ていますから、何ら心配ありません。
 
心配なのは素人の方、特に、お父さんやお母さん方が、お子さんの描く絵に注文をつけることです。
 
繰り返しますが、感性はご両親の作る環境で培われるものです。
 
最後に、お願いしておきたいことがあります。
 
それは、描いた絵について、何を描いたか聞いてあげることです。
それらしく見えなくても、何を描きたかったのかわかりますから、そこを褒めてあげましょう。
幼児が描いた絵は、その時点で、お子さん自身の最も優れた作品であることを忘れないでください。
 
 
 (次回は、「鍛えてほしい第二の脳4」についてお話しましょう)
 

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 2 ★★

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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
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 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第12号
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★★手は第二の脳 2 ★★
 
 
 ●切る●
 
「切る」は、はさみの場合、ナイフのように押して切るのではなく、文字通りチョッキン、チョッキンと音がするように、上下の刃をしっかりと開閉させて切るようにします。
最初は、5センチほどの細長い紙を切らせ、はさみの操作をマスターしましょう。
できるようになれば、はじめは直線からです。
これもスピードは、必要ありません。 
チョッキン、チョッキンと音がリズミカルになったら、曲線や円、三角、そして複雑な形に挑戦しましょう。
 
新聞に挟まれてくる広告やダイレクトメールには、上質紙を使い、デザインの凝ったものがありますから、利用させてもらいましょう。
「ママが、後で使うから切り取っておいてください!」
お母さんのお手伝いだと聞けば、子ども達は頑張ります。
ただし、はさみは、操作を誤ると危険な道具になりますから、必ず、一緒にやりましょう。
 
そして慣れてきたら、チョッキンと歯が閉じ切る前に開き、前に進んでまた切るという風にできるようにしましょう。
 
成蹊小学校や学習院初等科では、2本の線で囲まれた中心をはさみで切る問題がありましたが、これは難しいですね。きちんと操作できるようになってから、挑戦してみましょう。
 
そして、はさみを相手に渡す場合、どうすればよいかを教えてください。
聞いた話ですが、新入社員がはさみを渡すときに、相手に刃の方を向けているのに驚き、その訳を聞いたら、
「だって、私が刃の方を持つと危ないではないですか!」
といったそうです。
しつけやマナーは、小さい時から身につけさせるべきで、これは家庭の文化だと思いますが、いかがでしょうか。
 
 
 ●貼る●
 
次は、「貼る」です。
貼るは、現代っ子の苦手とする作業の一つと言われていますが、そうならざるを得ないでしょう。
家で糊を使っているでしょうか、主役はセロテープでしょうね。
リップスティック型の糊は、あるかもしれませんが、少しつけただけでピタリと貼れますから、幼児用の糊とは、接着力も使い方も違います。
 
幼児の使う「つぼ型の容器」に入った糊には、いろいろと教育的な配慮がなされています。
 
ふたを開けることを考えてみましょう。
右利きの子なら、左手に糊の入った容器を持ち、右手でふたについている取っ手を持ち上げ開けます。
両手を使っていますから、目も手元の作業を監視しています。 
司令塔からの命令です。
 
次に、使う量ですが、これが難しいですね。
 
適量を取れるようになるには、ある程度の経験をつまなければなりません。貼る面積を計算し、分量を計りで量るわけではなく、目分量、勘です。
 
分量を間違うと、多ければベタベタに、少なければ直ぐにはがれます。
数を見極める直感と同じです。
 
まだ、あります、糊のつけ方です。
 
左手で糊をつける紙をしっかりと押さえ、右手人差し指は、表面全体に、のりが滞りなく行き渡るよう、ノビロ、ノビロとつけていきます。
これは練習が必要ですし、根気がいります。
このことです……。
 
根気のいる作業を丁寧に続けることで、持久力や忍耐力も培われてきます。
 
ところで、作業に時間がかかるお子さんや、器用ではないお子さんに、言ってほしくない言葉があります。
 
「ハヤクシナサイ!」、この一言です。
 
子ども達が、お母さんから言われたくない嫌な言葉の第一位といっていいのは、これです。
子ども自身は、一所懸命にやっているにもかかわらず、うまくできないからです。
苦戦している時に、せかされるのですからあせります。
あせるとプレッシャーがかかり、うまくできません。
こんなことが続くと、やがて、苦手意識を持ちはじめ、手作業を嫌がるようになります。
 
第二の脳の発達は、これでとまります。
お子さんにとって大変な損失であることを、肝に銘じて下さい。
 
お子さんには、大雑把に分けると「ウサギ型」と「カメ型」があります。
 
「ウサギ型」は、器用に物事をこなしますが、根気に欠けます。
「カメ型」は、作業の一つ一つを納得しながら取り組みますから、時間はかかりますが、根気があります。
「ウサギ型」は、小学校の低学年までは光り輝いています。
「カメ型」は、中学年頃から光りはじめ、やがて、立場は逆転します。「カメ型」は、試行錯誤を積み重ねていますから、じっくりと考える習慣が身についてくるからです。
 
カメ型のお子さんは、せかさないことです。
ウサギ型のお子さんには、「うちの子、頭がいいわ!」で安心せずに、考えさせる工夫をしましょう。
 
ところで、イソップ物語にある「ウサギとかめ」の話、明治時代の教科書では、どのようなタイトルがついていたと思いますか。
「油断大敵」です。
明治時代の漢字文化が生きていますね。
 
「面倒だな。お母さんのを借りよう!」
楽をしようとしていますが、これだから不器用になるのでしょう。
はっきりと言わなくても、これは手抜きです。
「手が汚れるから、セロハンテープにしようかな!」
こういった発想は、いただけませんし、この場合の「かな!」は、子どもらしくありませんね。
 
最後は、事後処理です。
 
手を拭き、糊の容れ物にふたをして、終わりです。
糊で汚れた手を拭く作業までも含まれていますが、「汚れたらきれいにする」は幼児にとって清潔感を身につける、大切な、大切な学習です。私が手の汚れない糊が気にいらない理由は、これで
す。
 
このように、糊を使う一連の手作業には、深い教育的な配慮がなされていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
 
ですから、だじゃれのようですが、使わない手はありません。
こういった手順を踏んだ作業は、子どもの成長に欠かせない大切な経験です。
手順は記憶され、作業に流れのあることがわかり、やがて、手際よく進める工夫をする、基本的な訓練になっているのです。
 
使いやすく、便利になるのは結構ですが、子どもの発育段階を考え、今は面倒でも、糊を使うべきだといった見識を持つのも、親の役目ではないでしょうか。
 
幼児教室では、授業時間の関係で「つぼ型の容器」に入った糊を使う代わりにリップスティック型の糊を使うことがありますが、ご家庭では「つぼ型の容器」に入った糊を使う機会を多く持って
ください。
 
また、糊を使うのを嫌がる子は、泥んこ遊びをやらせていないと思います。
砂場で遊べない子は、糊を使うのを嫌がるはずです。
お子さんは、いかがですか。
 
最後に貼る練習ですが、切るところで紹介しました新聞に入ってくる広告など切り取ったものを、スケッチブックに貼ってみましょう。
 
初めは少量の糊で貼れる面積の狭いものを選び、中心に糊をつけ、ノビロ、ノビロと満遍なく伸ばす練習をすることです。
同じ大きさのものを扱うことで、適量をとるコツもわかってきます。そして、次第に大きなものへといった段階を踏むことが大切です。
 
最後に、セロテープについて、気にかかることをお話ししておきましょう。
 
なかなか適切な長さに切れないものです。
これも難しい作業ですから、少し無駄になりますが、2,3センチの長さに切れるように練習することです。
練習しなければ、何ごともうまくなりません。
うまくできない時は、切り取るぎざぎざの部分にセロテープを固定させ、右端から少し斜め下へ引っ張るように切ってみましょう。
ねじる動作ですね。
慣れてくれば、必要な数だけ切り、テーブルの端などに軽く貼っておくと「切る」と「貼る」の作業が、スムーズにできます。
 
 
 ●結ぶ●
 
「ひも」もそうですね。
昔は、寝巻でしたから、毎日、ひもと付き合っていました。
結ばなければ、格好がつきません。
パジャマはボタンですが、ボタンかけにも苦労している子、いますね。
お父さん、お母さんが、いつまでも手を貸しているからではないでしょうか。
お子さんにさせましょう。
過保護からは、自立心は育ちません。
 
箱にひもをかけて、結び方を練習しておきましょう。
あやとりもいいですね。
 
巧緻性ばかりか記憶力も刺激されます。
複雑な作品では、手順を忘れるとどうにもなりません。
ところが不思議なもので、遊びとなるとかなり複雑なものでも、積極的に練習をし、覚えてしまうものです。
おばあちゃんに教わったといって、三段梯子をこしらえたお子さんがいましたが、お子さんが、どのような環境で育てられているかわかりますね。
 
お母さんが作って見せ、お子さんに好奇心を持たせることです。
「ママ、すごい!」と間違いなく賞賛され、お子さんの知的な能力も開発されます。
一石二鳥ではありませんか!
 
 
●摘まむ●
 
「箸を使った問題」
 
 :お椀の中のものを、別のお椀に箸を使って、一つずつ移してください。
 
これが試験です。
立教女学院小学校や白百合学園小学校などで出題されています。
豆を買ってきて、割り箸を使い、懸命に練習する話を聞きますが、何かおかしくないでしょうか。
これは練習をして身につけるものではなく、身体の運動機能的な発達にかかわることですし、基本的な生活習慣の一つですから、しつけと関係あります。
 
一応の目安として、箸は3歳頃から使えるようになり、5歳頃には巧みに使えるようになるといわれています。
練習用の工夫された箸がありますから、もっと早く使えるようになっているかもしれません。
問題集を読むと、箸でカラーボールや玩具のミニチュアの果物、大豆、ビー玉、落花生、金平糖を摘まむ、積み木をハンカチで包むなどの課題があります。
 
なぜ、学校側がこんな試験をするのでしょうか。
 
手先の器用な子は頭もいいから、箸を持たせて選抜しようとは、考えにくいことです。
 
しかし、箸を満足に持てない子が多いからとすれば、これこそ問題です。
園児がペーパーテストに強くても、箸を使って食事をできない方が、よほど恐ろしい話ではありませんか。
こんなことまで試験で調べるのは、幼き戦士たちは、頭が良くても、こういったことが苦手なのでしょうか。
 
誤解を招いてはいけませんから、立教女学院小学校の学校説明会での話を紹介しておきましょう。
 
「あえてこの場で申し上げますが、テストの中でお箸を使う場面がありましたら、お箸で物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しい箸の持ち方ができているかを見ていることをご理解
いただきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化でもある箸の持ち方を、きちんと身につけてほしいと考えています。」
 
五感に刺激を与え、脳を鍛えましょう。
言葉は使わなければ進歩しないと同様、手作業もやらなくてはうまくできません。
しかも、この二つの能力は、ご家庭で楽しみながらできることです。
 
例えば、もっとも得意とする料理を作るとき、レシピを見ながら作るでしょうか。
素材選びから料理の手順、味付けまで、きちんと頭に入っているはずです。
司令塔の脳と実戦部隊の手との共同作業がスムーズに行われるのは、積み重ねた経験が、頭脳にしっかりと記憶され、手が指示通りに反応しているからです。
 
失敗を恐れず、試行錯誤を積み重ねながら挑戦することで、第二の脳は鍛えられます。
 
鍛えられると同時に、自力でできるようになることで、自立心が育まれます。
 
「手は第二の脳」といわれるのは、こういった仕組みになっているからです。
家庭でやらないとは、もったいない話ではないでしょか。
 
以上が、ご家庭でやってほしい基礎トレーニングです。
 
しかし、手作業は、月齢差が無残なほど表れますから、その点をきちんと判断しながら、あせらずに頑張ってください。
これまでのトレーニングだけでも、脳の活性化はかなり進み、お子さん自身、物を作ることに興味を持ち始めているのではないでしょうか。
 
物を作る楽しさを体験させる、絶好のチャンスです。
 
市販されている幼児用もしくは小学校低学年用の制作、折り紙、お絵描き等の本を参考に、お子さんと一緒に取り組みましょう。
 
季節折々の年中行事も、格好の教材になります。
門松、鬼の面、ひな人形、かぶと、紫陽花、朝顔、七夕飾りなどを作り、楽しい思い出をたくさん残してあげましょう。
その思い出から、独特の家庭の文化が間違いなく築かれていくのです。
 
ところで、お勧めしたい手作業は折り紙で、お金をかけずに、これほど楽しめる遊びはありません。
 
模擬テストを受けたお子さんには、12枚や30枚の折り紙で作ったくす玉をあげることがあります。このくす玉、一度ご家庭で挑戦してみてはいかがでしょうか。糊を使わずに組み立て
るのでやりがいがあります。(笑)
 
 
(次回は、「鍛えてほしい第二の脳3」についてお話しましょう。)
 

 
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2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>★★手は第二の脳 1★★

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      <第11号
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
★★手は第二の脳 1★★
 
 
ペーパーテストの対策は、ご家庭でも問題集などを使い、十分過ぎるくらい行われているようですが、ものを作る作業、制作やモールにおはじきを通す、糸を結ぶ、箸を使うといった手作業の問
題に関しては、教室や塾の指導にお任せの場合が多いのではないでしょうか。
 
いわゆる、巧緻性の問題です。
 
辞書を引くと、「きめこまかく上手にできていること」となっています。
聞き慣れない言葉ですが、小学校の入学試験では、きちんとやっておかなければならない重要な項目の一つです。
 
「塗る、折る、切る、貼る、結ぶ、摘む」などの手作業の他に、制作や絵を描く、手本と同じものを書く模写の問題などがあります。
 
なぜ出題されるのかというと、このような手作業からは、誰かに手伝ってもらわずに自分で思っているように作らなければならないので、自立の状態がわかります。筆記用具の持ち方からは基本
的な生活習慣やしつけの状態が、制作やお絵描きからは、幼児が自分の考えを表す大切な方法、手段ですから情緒の発達状況が、模写からは、観察力、模写力、集中力が判定できるので、出題さ
れるわけです。
 
こういった作業は、子どもの発育段階と密接な関係があり、その年令にふさわしい経験を積んで身につくものですから、手を抜くとできません。
学校側は、年令にふさわしい経験を積んでいるかを見たいのです。
 
さらに、もう一押ししておきましょう。
 
なぜ、筆記用具の持ち方から基本的な生活習慣やしつけがわかるのでしょうか。
それは、食事をするように箸を持ち、一本抜くと、正しい筆記用具の持ち方になっているからです。
 
妙なボールペンの持ち方で字を書いている人がいますが、小学校の勉強が始まる前に、身についてしまう場合が多いようです。
「名は体を表す」ともいいますが、字もそうではないでしょうか。
メールではわからなくても、書いた字を見れば一目瞭然です。
 
かなり先の話ですが、履歴書を書く時にあわてても間に合いません。デジタルの時代ですが、まだまだアナログ、ペンで字を書くということは残るのではないでしょうか。
「たかが筆記用具の持ち方」などと思う前に、お子さんのための大切なしつけと考え、取り組みましょう。ご両親もお子さんと一緒に、今一度、正しい持ち方を確認してみましょう。
 
巧緻性の問題が、「ご両親の育児の姿勢を評価している」といわれる理由は、ここにあるからです。
年中から年長にかけて、たいへん重要なことですから、4回に分けてお話しましょう。
 
ただし、巧緻性は、子どもの発育状態と密接な関係がありますから、お子さんの月齢を十分に考慮しながらお読みください。
 
 
 
◆基礎作業編◆
 
 ●塗る●
まず、「塗る」から考えてみましょう。
簡単なようですが、子ども達は、大変な作業をやっているのです。
たとえば、クレヨンで、円の中をはみ出さないように塗ることを考えてみましょう。
まず、左手で紙を押さえます。
そして、右手でクレヨンを持ち、はみ出さないように注意しながら、できるだけ丁寧に、白い部分が残らないように、まんべんなく塗ります。この一連の作業を、試験の場合を想定し分析してみ
ましょう。
 
まず、最初に、先生の模範演技を見て、頭脳の司令塔にある何とかいう神経に、目と耳から情報がインプットされます。
説明終了と同時に、きちんと理解した脳から指示が出ます。
 
 「右手で赤のクレヨンを持って、左手は、画用紙が動かないように、しっかりガードしなさい。
 まず、黒く印刷されている円の内側を、円に沿って、はみ出さないように描きなさい。 
 次に左から右へ塗る反復作業を根気よくやりなさい。
 左上の方、少し塗りが足りません、至急、補足しなさい。
 残り時間は、あと30秒程です。
 スピードを上げなさい」
 
目は手元を、指示どおりにやっているか見ています、監視カメラですね。
リアルタイムで、次々と正確な報告が届きます。
それに従い、即座に指示が出ます。
話を聞き取る力が備わっていないと、こうはいきません。
きっちりとした指示が出ないことには、手の方も、動きません。
このことです……。
 
手先の器用な子の知的な能力は高いといわれています。
それは、持って生まれたものではないと思います。
頭も使わなければ、よくなりません。
試行錯誤を積み重ねることで手順を覚え、その度に司令塔から指示が出、手先もそれに応えて頑張ります。
記憶する力がつき、手先も器用になるのです。
 
いってみれば、頭と目と耳と手の合同訓練ですね。
 
これがバラバラでは、おかしなことになります。
目がきちんと見ていないと、状況がわかりません。
耳がしっかりと聞いていないと、指示されていることが理解できません。
わからない状態ですから、脳からの指示も、不正確になります。
この意味不明、「……わかりません」の状態で作業が始まると、どうなるでしょうか。
 
色を塗れば線からはみ出します。
折り紙を折れば、グチャグチャに折ります。
はさみで切れば、ギザギザだらけです。
糊を使えば、量を無視してベタベタに貼ります。
紐を結べば、ユルユルです。
 
こうなるでしょうね、合同練習不足です。
最近、こういう子が増えているそうです。
この責任の一端は、ご家庭の教育にありではないでしょうか。
過去問などを買い求めて知的なトレーニングは、積極的になさっているようですが、こういったことこそ、ご家庭で時間をかけ、ゆっくりと、じっくりやってほしいのです。
お子さんと一緒にやりましょう、簡単にできますから。
それに、問題集を使っての勉強と違い、腹を立てないで済みます。
 
たとえば、色塗りです。
5センチの正方形を縦、横4個ずつ作って、色を塗らせましょう。
色を決めて、斜めに塗ると、きれいな模様ができます。 
最初は、この程度から始めて、ます目を増やしてあげましょう。
後で出てくる系列完成の学習にもなります。 
 
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・ 赤 ・ 緑 ・ 青 ・ 赤 ・
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・ 緑 ・ 赤 ・ 緑 ・ 青 ・
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・ 青 ・ 緑 ・ 赤 ・ 緑 ・
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・ 赤 ・ 青 ・ 緑 ・ 赤 ・
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こういった遊びから、脳も手先も鍛えられ、美醜の感覚も育ってきます。
塗り絵の苦手な男の子は、こういった遊びをしていないのではないでしょうか。
大人には何でもないことが、幼児にはとてつもなく難しいということがたくさんあります。
何事もそうですが、基本的な作業をおろそかにしないことです。
 
塗る問題でも難しいものがあります。
 
★鉛筆を使い、一番目の四角を最も濃く塗り、二番目は少し薄く、三番目はそれより薄く塗りなさい。
 
日本女子大学附属豊明小学校で、よく出題されています。
今の段階では、まだ難しいですが、こういった問題もあることを覚えておきましょう。
 
 
 
●折る● 
 
「折る」は、折り紙の登場です。
これから折り紙には、いろいろな領域でお世話になりますから、常備しておきましょう。
折ってみるとわかりますが、メーカーにより色が微妙に違い、厚さにも変化があり、硬いもの、柔らかいものがあります。
柔らかいものだけ使っていると、硬いものは折りにくくなります。
最初は柔らかいものを使い、うまく折れるようになれば硬いものも使ってみましょう。
 
折り紙は、楽しいものです。
何しろ、1枚の紙から、立体作品ができるのですから、すぐれものです。
簡単なものから始めましょう。
 
大切なのは、最初の一折りで、ここを、キチンと押さえましょう。 
スピードは、必要ありません。
 
丁寧に、しっかりと折ることが大切で、一つ一つの作業は、まさに巧緻性そのものです。
さらに、折り紙は、手順を忘れると完成しませんから、記憶力もつき、一石二鳥の効果を期待できます。
基本は、折り紙の角をきちんと揃えて半分に折り、長四角と三角を作ることです。
 
正確にきれいに折るには、指先の力も鍛えなければなりません。
うまく折れない場合には、紙をちぎりましょう。
 
新聞紙で十分です。
最初はうまくちぎれなくても心配ありません。
きちんとちぎれるようになるには、いろいろと工夫する必要があります。
これは、とても大切なことで、教える前に挑戦させてください。
 
「子どもが、考え、工夫する前に、教え込んでしまう」のは、決してよいことではありません。
育児が過保護や過干渉のタイプのお母さん方は、とかく教えがちですが、まず、子どもにさせることです。
 
うまくちぎれるようになるには、工夫が必要です。
工夫してできるようになれば、やる意欲も育ちます。
できたことから達成感を味わえるからです。
 
大人から見れば「何だ!」と思えることが、子どもにはすばらしい発見でもあるのです。
ちぎった紙を使って、1つに丸めた後折り紙などで包み、ボールを作ってみましょう。
はさみを使わずに、紙をちぎってものを作るテストがあることも覚えておいてください。
なお、「千切る」であって、「裂く」ではないのでご注意ください。
 
また、機会があれば、お母さんが折ったものを広げて、どういった線ができているか見せてあげましょう。
あまりにもきれいな幾何学的な模様に、きっと驚くと思います。
左右、上下が対称になっているなどと難しい説明はいりませんが、やがて挑戦しなければならない対称図形の学習に役に立ちます。
 
以前、暁星小学校では、少し工夫しないと難しいと思える折り方をさせました。
日本女子大学附属豊明小学校では、座布団に正座をして折り紙をしたこともありました。
 
ところで、最近では、鶴を折れない保護者がいるようです。 
お子さんは、さみしがりませんか。
お子さんばかりに要求せず、練習し、お子さんの期待を裏切らないようにしてください。
 
    (次回は「手は第二の脳 2」についてお話しましょう)

 
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