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めぇでるコラム : 2020小学校受験 7ページ目
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第6号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話しまし
ょう。
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出
ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できま
すが、小学校の試験は、これができません。
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がかか
れば止めて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問
題に挑戦できません。
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行
動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自
分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表
現しなければなりません。
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグル
ープを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければ
なりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応で
きません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話を
きちんと聞けるようにする」ことです。
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切で
す。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆に、
お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せず
に、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「ケンイチ君、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても、話の仕方の学習にもなっているのです。
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真剣
に聞いてほしいのです。
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるのです。
お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令しているわ
けではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」を学ん
でいるわけです。
これも「教えない教育」の一つの例です。
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を
披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
中には、切れるお母さんもいるようです。
お子さんも同じです。
切れますが、力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
お子さんの話を聞けないお母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっしゃ
ったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではないで
しょうか。
お子さんが、急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命
令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお母さんであることに気づいてほしいですね。
ところで、お母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでしたか。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんから止めますが、選択肢はこんなものでは
なかったはずです。
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適切
な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませ
んか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるよう
に心がけましょう。
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは何
かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっくり
聞いてあげる、これもその時に最優先すべきことと考えるべきではでしょうか。
何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
もう一つ、思い出してほしいのです。
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまっ
たく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身
につかないそうです。
ここでも、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
「ママ、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さんは、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話で
はありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるよ
うになったわけです。
しかも、「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞が、
副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるように
なっています。
お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
それは、やはりお母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたから
です。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなかっ
たからではないでしょうか。
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であ
り、これも「教えない教育」であったわけです。
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も教
えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変な
学習をしていることです。
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身
が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、ケンちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、ケンジくん!」と話しまし
ょう。
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、ケンちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお
母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」は、使わないこ
とです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」
です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
「ケンジくん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのとこ
ろへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、
「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」
と、お子さんもわかります。
◆話を聞いてあげる。
◆きれいな言葉を使う。
◆指示をきちんと出す。
ご両親に、こういった配慮があれば、お子さんも、ご両親の願いに応えるはず
です。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
台風12号は、西の方へ行って災害をもたらしました。また猛暑が戻ってきま
したが、清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇きをしのぎましょ
う。
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用1」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第5号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
模擬親子面接で、こういった質問をするのは控えますが、どのような受験準備
をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテストの成
績は良いのですが、行動観察型のテストでは、それほど点数が取れていない場
合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思い
ながら誘導尋問をします。
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「お教室へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようで
すね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてし
まいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」と
いいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り
組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉
が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
「1.そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身
を入れること。
2.将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、つらい経験」
(「新明解国語辞典」三省堂 刊)
この勉強という字から、思い出すのは、先に紹介した「すずめの学校」の歌で
す。
本当は、こういう歌なのです。
♪チイチイパッパ チイパッパ
雀の学校の先生は むちを振り振り チイパッパ
生徒の雀は輪になって お口をそろえて チイパッパ
まだまだいけない チイパッパ もう一度一緒に チイパッパ
チイチイパッパ チイパッパ♪
何か暗い感じがしませんか。
発展途上国の日本が、先進国に追いつけ追い越せと、国をあげて教育に熱を入
れた、お国のための教育の姿です。
先生がむちを振り、先生のように鳴けと問答無用です。
「命令と要求」そのものではないでしょうか。
かつて、バブル経済全盛期の頃には、こういった指導をする教室もあったと聞
きます。お母さん方は、「もっと鍛えてください」などと、空恐ろしいことをい
って、子どもを預けたそうです。幼児は肉体的にも精神的にも、鍛える指導に
対処できる成長などしているわけでもなく、また、そのような時期ではありま
せん。これでは、幼子にとって勉強とは、まさに「つらい経験」になりがちで
す。
そうではないでしょうか。
しかし、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
(岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大
聖人である孔子の話を思い出します。
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様か
ら鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の
誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし流」
に解釈して紹介しましょう。
文言は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、
息子の鯉に、
「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」
というと、「ケッキョ!」と不器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り
返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴
き方を真似するのであり、習うということは、何回も練習し、失敗を重ねるこ
とであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
余談になりますが、ある年の夏に上高地へ行ったとき、大正池でうぐいすの親
子の鳴き声を聞きましたが、この話とそっくりで感激しました。
このように、幼児の教育は、勉強ではなくて学習ではないでしょうか。
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、そ
うあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何で
あんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでし
ょう!」
柳眉を逆立て抗議するお母さんの姿が目に浮かびます。
ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んで
いけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
「二足直立歩行」など気取った表現ですが、歩けない我が子を、無理やり歩か
せようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れ
る、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を
無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間をかけて見守った、あたたかい愛情があ
ったからではないでしょうか。
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗
り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、その
ために試行錯誤をいとわない意欲や行動力があったからです。
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備
えるためではないでしょうか。
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによ
って学習していきます。いわゆる「体験学習」です。記憶力も大切な能力です
が、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありませ
ん。
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。と
ころが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が
記憶している中枢神経系統に、記憶は大脳神経系統に属しているからだといわ
れています。学生時代に苦労して覚えた英単語、どこに隠れているのやら腹が
立ちませんか。
それはともかく、幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や近所の友達
との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的
な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ゲ
ームをやっていて、つまらないからやめるといった遊びとは違います。ですか
ら全力をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみ
ましょう。
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられてい
ます。
円谷監督も顔負けの映像が、リアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょ
う。
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人し
かわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方
法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰り
返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
しかも、だれも教えていません。
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力
で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものである
べきだと思います。
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学
んでいる教育のことです。赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、「体
験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるように
したとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
失敗しても怒らない、できるようになるまで「忍の一字」で待ってあげたはず
です。
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応
えて成長したのではないでしょうか。
受験準備も同じです。
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に
考えてあげましょう。
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、
苦痛になるだけです。
お母さんとの学習が面白ければ、そして楽しければ、お子さんは、一所懸命に
挑戦するはずです。
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
猛暑にも負けずに、近所の雑木林に蝉など昆虫採集に来る子ども達、水筒を持
っていますが、帽子をかぶっていない子がいます。お子さんはいかがですか。
外から帰ってきた時は、手洗い、うがいを励行してください。良い習慣は、毎
日の積み重ねから身につくものだからです。
(次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第4号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタート
でつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、
ご家庭で培われるものです。
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、
特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、
けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
長年、幼児教育に携わり、教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影響
力には、計り知れないものがある」ことです。お母さん方の育児の姿勢次第で、
子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。それほど、
お母さん方は、絶対的な力を持っているにもかかわらず、お母さん方自身が、
このことをあまり意識されていないのには、唖然としたものでした。
最近、公立、私立校を問わず、「KYJTママ」といって、「空気読めない自己中
ママ」が増えていると聞きますが、そういったことを踏まえ、どういった子育て
が集団生活への適応力を育まないかを考えてみました。
◆チェックシート(1)
[チェック方法]
はいの場合[○] いいえの場合[×] どっちともいえない場合[?]
1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。 [ ]
2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。 [ ]
3.他人の子どもはちっとも可愛くない。 [ ]
4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。 [ ]
5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。 [ ]
6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。 [ ]
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、
いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、
おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
[1.過保護型のお母さん]
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも手伝いますか
ら、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力
が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集
団生活への適応力にも、不十分なところがありがちです。
[2.過干渉型のお母さん]
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の言葉
が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちにくく、
何かをするときに、お母さんの指示を待つ消極的な子どもになりやすいものです。
[3.溺愛型のお母さん]
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不
安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見
る子になりがちです。大人の前ではよい子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱
い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
[4.自己中心型のお母さん]
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を
取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活
になじめず、孤立する恐れがあります。いわゆる「自己中心型」(自己中)のお
母さんです。
“KYJTママ”-空気読めない自己中ママ-という言葉があると紹介しま
したが、小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。モンスターペアレント、
最近では、モンペア、モンペともいうそうですね(笑)。
[5.知育偏重型のお母さん]
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するた
めに、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に
取り組む意欲が表れにくい子になりがちです。お母さんは、「何回言ったらわか
るの!」などの言葉が多くなるようです。
[6.付和雷同型のお母さん]
親が選んだ受験にもかかわらず、「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」な
どいった怪情報、噂などに振り回され、「わが子をみてください」といった信念
がないため、親子で受験地獄に陥りやすいといえます。「○○ちゃんは、できる
のに…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残すこと
になりがちです。
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てき
ましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お
母さん方の心の中に潜んでいるのではないかと思われる、“潜在的な欲求”を表
したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるかで、
お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のいう育
児の姿勢なのです。
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢に
ふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こうい
ったお子さんに共通しているのは、社会性や協調性といった集団生活への適応
力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心が
けた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つのタ
イプに偏らない育児のことです。
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょ
う。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
今回は、○か×で判定してください。
1. ご両親であいさつをしていますか。[ ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[ ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。[ ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。[ ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。[ ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[ ]
7.何かお手伝いをさせていますか。[ ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[ ]
9.本を読んであげていますか。[ ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[ ]
11.指示はきちんと出していますか。[ ]
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。[ ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[ ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。[ ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[ ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。[ ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。[ ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。[ ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[ ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[ ]
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。
[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、いか
がでしょうか。今度は、どちらともいえない「?」のマークはありませんが、
是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中で、ご両親が
心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培
われ、学校側の歓迎するお子さんに育つものです。
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集団
生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題があ
る」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書で
すが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、こ
の子に何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを
知らなくてはならない。子どもが、今、成すべきこと、今、成し遂げる
べきことを、自力でさせてあげることだ」
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社 刊)
という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や
集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できる
ように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こう
いった適正能力は育まれません。
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッ
ソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、
なぜ、本学園の入学試験の難易度が高いかがわかるからです。
注 マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚
教育を実施し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困
層の健常児を対象とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育
法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子ども
の家」と呼ばれるようになった。 ウィキペディア フリー百科
事典より
猛暑日が続いていますが、夏はこれからが本番です。夏休みになっても、通園
中と同じようにタイムスケジュールをきちんと守り、楽しく生活できるよう心
がけましょう。
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しまし
ょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第3号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年齢
にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱の
5つが基本といわれています。
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増
えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれ
ば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、
口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児にな
りがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っ
ていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけな
いということではありません。
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間
に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室
の新学期が始まる、今年の11月を目安にして頑張ってみましょう。
目的は、自立心を養うことです。
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られ
ることもあるからです。
1.毎朝一人で起きられますか。
2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
4.衣服の着脱はできますか。
5.ボタンの掛け外しはできますか。
6.食事は一人でできますか。
7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
8.食事に時間はかかりますか。
9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやティッシュペーパーを使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かた結び)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝、決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
※は無理をしないことです。
3.洗髪は、幼児には大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男
の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけてすばやく
洗ってあげると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰って
きたわが子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからや
らせなかった場合が多いものです。
7.箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に
集団生活でも最も大切なことです。
立教女学院小学校の説明会で、教頭の吉田太郎先生は「今年も箸を使うような
問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っている
のではなく、生活習慣としてみせていただきます」とおっしゃっていましたが、
箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てています
から、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる
大切な適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はここにあるのです。
11.幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見
せることが大切です。
インフルエンザの予防のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習
慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な
習慣です。
13.整理整頓ですが、男の子は苦手ですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるよ
うになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けている
と、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいま
す。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いもの
です。
文句を言う前に、なぜできないのか、その原因を考えてあげましょう。
我が家の長男も片付けが苦手でしたが、長女が「こうするのよ!」と言っては
やらせていました。女の子は、小さい時からお母さんをしっかり観察して、真
似をしていますね。ままごと遊びをしているお子さんを見て、赤面することは
ありませんか(笑)。
そして、お父さん方に一言、「置きっ放しにしないで! だらしがないんだから」
などとお母さん方から苦情が出ていませんか。出ている場合は、反省してくだ
さい。
お母さん方へも一言。お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わ
ないでください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。言われたお父
さんより、聞いている子ども達の方が、大いに傷つくことを忘れないでくださ
い。
同様に、お父さん方、お母さんに乱暴な言葉を投げつけるのは、やめましょう。
14.男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、
どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
15.こういった手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るとい
った作業は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、
自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるので
す。
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工
夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への
適応力を育むもとにもなっているのです。
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「た
だいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親が率先し
て行うことで、きちんと身につくものです。
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定していま
す。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお
話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った同じ年の子ども達の
中に入り、初めて会った先生の言うことを聞き、適切に対応できるか」を判定
されることであり、頼りになるのは自分自身だけで、誰も助けてくれません。
「子離れできないお母さん」「お母さん離れのできないお子さん」では、入学試
験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といってい
るのは、「適応能力」が身についているかを知りたいからです。
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、
知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むこ
とになるのです。
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視すること
は、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと
思います。
猛暑が続いていますが、夏の本番は、これからです。梅雨明け後の不安定な気
候も今しばらくでしょう。お子さんの健康管理には十分に気をつけてください。
(次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>先手必勝といっても、あおっているのではありません
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第2号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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先手必勝といっても、あおっているのではありません
創刊号を含めて10月まで17回配信できますが、この間に家庭でやらなけれ
ばならないことをしっかりと行い、身につけることができれば、11月から始
まる幼児教室の新年長クラスでの学習は、お子さんにとって楽しい教場となる
はずです。
これから6つのことについてお話しますが、どれから始めるかといった優先順
位はありません。
子ども達は幼稚園や保育園で、国語、算数、社会といったように、教科別に時
間を区切って学習しているわけではありませんが、あらゆる事柄に、先生や友
達と様々な関わりを持ちながら学んでいますから、ご家庭でも臨機応変に取り
組んでいただきたいと思います。
★お子さんは、自力でどのくらいのことができますか。
基本的な生活習慣のことです。
朝起きてから夜寝るまで、お母さんはどのくらい手を貸しているでしょうか。
「自力でできることがたくさんあるお子さんの知的な能力は高い」といわれ
ています。
また、3歳過ぎてお子さんのやっていることを見て手を貸し、口を出すのは、
過保護、
過干渉の育児といわれ、お子さんの自立を妨げます。
皆さん方はいかがでしょうか。
★お子さんは幼稚園や保育園へ通うことを楽しみにしていますか。
社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
光塩女子学院初等科の説明会では、社会性のお手本はご両親とおっしゃって
いました。
「少し元気がありすぎるようですね」などといわれていませんか。
「元気な子と無作法な子は違う」「明るい子とけじめのない子も違う」とも
いわれていま
すが、お子さんはいかがですか。
★お子さんはお母さんの目を見て話を聞き、話をしていますか。
話の聞ける子は相手の目を見ていますが、その瞳は輝いています。
話をする子の表情は、いつも楽しそうです。
幼稚園や保育園、外から帰ってきたときに、「ママ、あのね!」と話しかけ
てきますか。
そして、きちんと聞いてあげていますか。
後で詳しくお話ししますが、「小学校の入試でもっとも大切なこと」と覚え
ておいてくだ
さい。
★折り紙やあやとり、点図形やお絵描きに興味を持っていますか。
色を塗る、紙を切る、折り紙を折る、紐を結ぶ、糊で貼る、箸で摘むなどの
手作業は、
その年齢にふさわしい発達を遂げるもので、その時期を逃すと苦手意識を持
ち、手をだ
さなくなるともいわれています。
また、点図形は、書写の基本練習にもなっており、多くの学校で出題されて
いる訳は、
ここにあるのです。
絵は心の窓ともいわれ、描かれた1枚の絵からお子さんの情緒の発達状態も
わかります。
入試問題に絵を描かせる学校が増えていますが、絵はスケッチブックとクレ
ヨンを与え
て、すぐ描けるものではありません。
また、「手は第二の脳」ともいわれ、知的な能力の発達と深い関わりを持っ
ています。
お子さんは、「塗る・切る・折る・結ぶ・貼る・摘む・書く・描く」といっ
た手作業に興
味を示していますか。
★数量に関して直感力は働きますか。
入学試験というと数量の問題が重視されているようですが、子ども達は数字
を使い加減
乗除で答えを出すわけではありません。
直感で多少を見極めることから始め、○を使って答えを求めます。
お子さんに、クッキーが3つと5つの入った皿を見せ、「多い方を食べてい
いですよ」と
いったとき、数えることなく5枚のクッキーの入った皿を取ることができる
でしょうか。
また、容量が同じ2つのコップの一方に、少しだけ多く入れておき、「多い
方を飲んで
いいですよ」といったとき、さっと多い方のコップを取れるでしょうか。
これは、決して卑しいことではなく、「about(アバウト) おおよそ
の感じ=直感
力」で判断した結果で、数量に関しては、まず、こういった直感力が働くこ
とから始ま
ります。
お子さんは、いかがでしょうか。
★5分も歩かないうちに「おんぶ!」などといいませんか。
現代っ子は、スタミナ不足といわれています。
なぜ、赤ちゃんは「はいはい」を繰り返し、繰り返しするのでしょうか。
ご存知のように、やがて歩き始めるための筋肉の鍛錬になっているのです。
幼児期には、敏感期といわれる「もっとも著しく発達する時期」があります。
言葉の敏感期を逃すと、映画に出てくる動物に育てられた子供のように話の
できない人間になってしまいます。
筋肉も同じで、身体全体を使い、遊ぶことで発達するものです。
小学校に入ると余分なエネルギーをかけない省エネ運動を覚えますが、幼稚
園、保育園時代は全力で身体を動かします。
お子さんは、部屋で一人だけで遊ぶ省エネ運動に入っていませんか。
以上6つの項目を挙げてみました。
問題がなければ、ご両親の育児の姿勢にぶれはなく、お子さんは順調に育って
いるといえます。
「入学試験を控えている子どもにとって、知的な能力を鍛える項目がないよう
に思えますが」と心配なさる方もあるかもしれません。
ご安心ください。
こういったことがきちんとできるお子さんの知力は、十分に発達しているもの
です。
なぜなら、こういったことはすべて、自力でやらなければ身につかないことば
かりで、そのためには、試行錯誤を積み重ね、考え、工夫し、自発的に挑戦し、
自分のものにしているからです。
「自分のものにする」、これは幼児が自力で身につけた知恵です。
その知恵を土台にして、知的な能力は発達していくものです。
お母さん方も得意な料理は、レシピを見ないで、調味料も計量カップを使わず
に、作っているのではないでしょうか。
試行錯誤の結果、ご主人やお子さんが好む料理にできあがっているはずです。
それと同じです。
知的な訓練だけを先行させるのは、ともすると、その時期に必要な成長を支え
る、大切な手順を抜くことになり、なかなか理解できないことが起きがちで、
そこから苦手意識が幅を利かせることになるのです。
「プロセスの重視」、幼児の学習は育児と同様、プロセスをなおざりにするこ
とはできません。
かつて桐朋小学校の説明会で、「私どもは試験といえどもプロセスを重視して
います」とおっしゃったことがありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
来週から、6つの領域の基本的な学習のプロセスについてお話していきたいと
思います。
九州地方の豪雨災害、いっときも早い復興を願わざるを得ません。私も被災の
経験があり、泥流、土石流、流木、どれも恐ろしいものです。現地の消防団、
警察官、自衛隊員の方々、頑張ってください。「空き巣がいる」と報道されて
いましたが、人の災難につけ込むとは許せない!(激怒)
(次回は、「基本的な生活習慣」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>創刊号
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「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
創刊号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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2020 さわやかお受験のススメ
現年中児 今から始める小学校受験 創刊号
「教育の道は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、社会の教えで
実がなる」
古い話で恐縮ですが、明治6年の頃、文部省から高等科(現在の5,6年生)
の家庭に配布された「教育の心得」だそうです。
受験を考えられている皆さん方は、今まで手塩にかけて育てられてきた我が子
の小さな芽に、どういった花を咲かせ、そのためにはどういった教育が必要で
あるか、それを的確に見極め、レールを敷いてあげたいと思っているのではな
いでしょうか。
小学校から高校、大学まである学校がいいのか、共学校か別学校か、宗教教育
がふさわしいのか、出身者でなければ、わからないことが多いわけです。バブ
ル経済全盛期の頃のように、何が何でも私学志向が強かったときは、ブランド
志向、いわゆる名門校に憧れ受験する方が多く、こういった基本的な条件を無
視し、そのために無理な準備も行われていたようです。
しかし、現在では、受験生が減ったにもかかわらず、私立小学校は増え、学校
の選択の幅も広がり、しっかりと準備をすれば、お子さんにふさわしい花を咲
かせる機会は増えていることも事実です。
「しっかりとした準備」というと「受験勉強」といったイメージを持ちがちで
すが、そこから出発すると、希望する小学校から、招待状、合格通知はいただ
けません。
あるミッション系の説明会で校長先生は、こうおっしゃっていました。
「受験に必要な知識や礼儀作法、言葉遣いなどを詰め込み、受験準備、こと足
れりとお考えになるのは誤りであることに気づいてほしい」
では具体的に、どういった受験準備が求められているかと言えば、最近の説明
会でよく聞く話ですが、「当たり前のことが当たり前にできる子」に育てること
なのです。もっと簡単にいえば、「自分のことは自分でできる子」なのです。
「何だ、そんなことで名門小学校へ入れるのか」と言われるかもしれませんが、
「そんな事」の実態を理解することが大切なのです。
本メールマガジンは、長年にわたり、小学校受験について、情報を提供してき
ました。そのために学校説明会にはできるだけ参加し、「受験に必要な“そんな
事”」を紹介してきました。そのノウハウをもとに、出発点は年中の7月とし、
10月までの4カ月に、最も大切な“そんな事”を身につけ、そこから本格的
な受験に必要な知識を学ぶ面白さを紹介していきます。ご両親には、「どんな
花を咲かせたいのか」、「それにふさわしい学校はどのように選ぶのか」など
について、具体的なアドバイスをしたいと考えています。
「無理なく、楽しく準備をする」、一緒に挑戦してみませんか。
微力ながら応援させていただきます。
平成30年7月
めぇでる教育研究所 所長 藤本 紀元
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