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めぇでるコラム : 2020小学校受験: 2019年2月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[5] 常識に関する問題 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第34
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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[5] 常識に関する問題 (2)
 
★説明会情報★
◆本年度の説明会、始まりました。
●日出学園小学校 第1回学校説明会
 日 時 3月2日(土) 9:30~11:00
  内 容 2018年実施の入学試験について
     校長講話「なおく・あかるく・むつまじく」
         校訓に基づく目指す児童の姿    
 場 所 学園 視聴覚室
※予約が必要です。詳しくはホームページをご覧ください。
本年度の各種説明会・見学会の日程を、既にホームページに公表しています。
  
★千葉県私立小学校フェアから★
○参加された方、配布された説明会等の日程を整理し、できるだけ参加するよ
うにしましょう。特に、お子さんが参加できる授業参観などは、お子さんのモ
チベーションをあげる絶好の機会です。「この学校へ行きたい!」、これにまさ
る志望理由はないからです。
 
○国府台女子学院小学部が、4月から隔週5日制を導入、具体的な方法はわか
りませんでしたが学校で弁当が買える「注文弁当」を開始。保護者からの要望
だそうです。   
 
[公衆道徳・躾に関する問題]
公園の中で、いろいろなことをしている子どもの絵を見て、やってはいけない
ことをしている子どもに×をつけたり、服を一人で着たり、後片付けができて
いない絵などから、自分一人でできた方がいいと思うものに〇をつけたりする
問題です。いうまでもありませんが、入学試験のために身につける知識ではな
く、しつけであり、マナーであり、基本的な生活習慣ですから、ご両親の育児
の姿勢、教育方針をみています。
 
変なお母さんが増えています。電車に乗ると、子どもは、なぜか、外を見たが
ります。それは、いいのです。しかし、靴を脱がない子がいます。お母さんの
言葉、ショックでした。
「○○ちゃん、お靴脱ぎますか、脱ぎませんか?」
「脱ぎたくないの」
「そうですか」
これで、おしまいです……!
おかしくありませんか。
着ている制服から、大学まである総合学園の幼稚園であることがわかります。
私の年代では、こういうことは考えにくいことです。親は、一貫教育制度のあ
る附属幼稚園に入れて、子どもの人生航路の設計図なるものを、小さい頃から
キッチリと引いてあげているにもかかわらず、他人様と共存して生きるために
最低限必要なルールは、子どもの判断に任せていいのでしょうか。
いいわけはありません、これは逆です。
人生航路は自分で開いていくものですが、しつけは親が責任をもって子どもに
身につけさせるものです。このような考え方を「子どもの自主性を認める」と
はいいません。放任です。親の責任を放棄していることに気づいてほしいので
すが、こういうお母さんが増えているようです。誰がかわいそうって、子ども
です。後で困るのは、子ども自身ですから。
 
試験で電車の中で悪いことをしている子に×をつけても、実際に電車に乗って、
靴を脱がずに外を見ているのでは、おかしいと思いませんか。これは常識であ
り、守るべきルールです。知識として知っていても「実際にはできない」、どう
いうことでしょう。
これは知識と知恵の差です。
知識は知っているだけで、知恵は知っていることを実行する心の働きです。幼
児期の知識の詰込みは、こういう結果になりがちではないでしょうか。こんな
本末転倒なことを許していると、幼児の世界も、おかしくなります。 
 
「三つ子の魂百まで」は、幼児期に身につけたことは、大人になっても、その
まま受け継いでいくことを戒めた先人の知恵です。良い習慣をきちんと身につ
けてあげるのは、お子さんにとっても幸せであり、大切な財産になると思いま
す。「習慣は第二の天性である」と古代ローマの政治家、哲学者であるキケロも
いっていますなどと、何も哲学者を出すこともありませんが、「大切だ」といい
たいのです(笑)。
 
[その他の問題]  
果物や野菜を、縦や横から輪切りにしたものから、何であるかを推理する問題
もあります。
これも体験でしょう。子どもは、見えないところを見たがるものです。りんご
やみかんを食べるとき、ただ、皮を剥くだけではなく、縦や横に輪切りにして、
見せてあげましょう。喜びます。
野菜なら、ピーマンなどを切ってみせると、不思議そうに見ています。ついで
に、匂いもかがせてみましょう。玉ねぎなどは、涙を流しても見たがります。
 
私が現役時代、「どうしてレンコンはあんなにたくさん穴があいているのか
な?」と聞かれ、絶句したことがありました。普段、そんなことを考えません
ね、大人は。こういう疑問には、即座に答えてあげなくては、子どもの信頼を
裏切ることになりますから、家内に電話して、すぐ調べてもらい、事なきを得
ました。「レンコンの住んでいるところは泥の中で空気がなく、あの穴の中に空
気を取り入れ、それで呼吸しているのだよ。その穴は水の上に出ている葉っぱ
とつながっていて、茎がちょうどシュノーケルの役をしているんだよ」と説明
できましたが、今はパソコンで簡単に調べられますから、お子さんが「なぜ?」
と聞いてきたときには後回しにせず、きちんと答えてあげましょう。 
 
そして、野菜や果物を水の中に入れ、浮かぶか沈むか、実験してみましょう。
「すいかは、絶対に浮かばない!」と思い込んでいるお子さんが、かなりいま
す。見たことがないのです。丸ごと一個のすいかを買う機会は少ないでしょう
が、お子さんが疑問を持ったときには、説明するより見せることです。
 
動物の足の絵から、その動物が何かを考えたりする問題もあります。
かなり昔の話で、時効も成立しているはずですから紹介しましょう。とある国
立の名門大学の学生さんが、「鶏には足が4本ある」と真面目な顔でいい、話
題になったことがありました。見たことがないのです。
幼児には、見せるしかありません。動物園の出番です。
「今度の日曜日、ゴルフの予定もないから動物園に行くぞ!」
「……。」
お父さんの都合でお子さんに興味がない時に、動物園に行っても効果はありま
せん。
「お父さん、にわとりの足、どうなっているのかな?」
この「かな?」がついた時、子どもが興味を示した時が、絶好のチャンスです。
ジィーっと見ています、飽きもせずに。観察力だけではなく、集中力や持久力
もつきます。しかし、動物園に鶏、いるでしょうか、心配です。
 
我が家が川越へ越してきたのは、子どもたちが幼稚園に入る頃でしたが、近所
のお百姓さんの庭には、放し飼いにしていた鶏がいました。長男は何が面白い
のか、毎日出かけて行っては、ジッと見ているのです。「パパ、ニワトリさんは
鳥でしょう。どうして、空を飛べないのかな」、これが不思議だったんですね。
お百姓さんに話したところ、一番元気のよさそうな鶏を抱き上げ、空へ放り投
げてくれたものです。羽をバタバタさせて飛びますが、すぐに着地してしまう。
「太っているから飛べないんだ!」と嬉しそうに答えたものでした。黙ってお
百姓さんが実験して見せてくれたことが、どんなに子どもにとって貴重な体験
であるか、教えられたものです。
その逆ですが、テレビのコマーシャルでペンギンが空を飛ぶ映像が流れた時、
「先生、ペンギンは、空を飛べないんですよね」と怒った子がいました。子ど
もは自分が知っていることと違ったことが起きると、許せないんですね。最近
は、牛が胡坐をかいている映像があったのを見て、先生方は困っているのでは
と心配したことがありました(笑)。
 
最後に、絵を見て話をする問題です。
これは、たくさん本を読んでもらっている子は、得意です。たとえば、かぐや
姫の絵だとします。読んでもらったことのない子は、話せませんね。本を読ん
であげることは、前に説明しましたから止めますが、言語の学習から情操教育
まで、大変な学習になっています。話を聞く姿勢ができている子は、本を読ん
でもらうことが好きです。しかも、本人もお母さんも勉強をしているとは思っ
ていません。教えない教育の成果です。しっかり読んであげましょう。読んで
あげられるのも卒園までです。一人で読めるようになるのも、後わずかだから
です。読めるようになると、もう頼みにきません。そうなると、お母さんの読
書時間も増えます。親の本を読む姿は、最高の教材です。読書の好きではない
お子さんは、やはり、ご両親もあまり好きではないようですね。
 
テレビの内容にもよりますが、視聴時間の長さと教養の深さは、反比例するそ
うです。うまいことおっしゃった人が、いたものですね、感心しました。こう
いったお母さん方は、子どもたちに、
「ゲームばかりやっていないで、お勉強をしなさい、お勉強を!」
と言いがちではないでしょうか。これでは、説得力などありません。
 
絵を見て話をする問題については、言語のところでお話しましたから、もう一
度ご覧ください。「お母さん(お父さん)、あのね方式」です。   
 
その他に、新幹線やブルドーザーなどの絵を見て名称と用途、花の名前と咲く
季節などをたずねる問題があります。昔話に出てくる「きね」「うす」「いろり」、
雪国ではおなじみの「つらら」、「ほうき」「はたき」「ちりとり」といった昔の
掃除道具三点セットなど、普段、目にしなくなったものには、出会ったときに
きちんと説明しておきたいものです。
 
最後になりましたが、2017年2月、千葉県私立小学校フェアで伺った話を
紹介しましょう。
暁星国際学園の学園長、田川茂氏は91歳。「親は教育に哲学を持ちなさい」と
いう話は、説得力がありました。お子さんにどのような教育を受けさせたいか、
これは学校選びの基礎、基本であり、「はじめに学校ありきではなく、ご家庭の
教育方針ありき」であるべきだということですね。「教育の道は家庭の教えで芽
を出し、学校の教えで花が咲き、世の教えで実がなる」ともいわれています。
「どんな花を咲かせるか」、素直に肯けました。また「哲学を学ばない者は、先
生をしてはいけない」も痛烈でしたが、変な先生がいる時代、私学が歓迎され
る理由は、こういったことにもあるのではないでしょうか。
視力を失くしほとんど見えないとおっしゃっていましたが、御年93歳、今年
も元気いっぱい30分の講演、その情熱には心を打たれました。(感謝)
 
(次回は、[6]推理・思考の問題についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[5] 常識に関する問題(1) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第33
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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城北・埼玉・千葉・茨城地区私立小学校合同相談会 
 日 時 3月3日(日) 10:30~15:00 
 場 所 聖学院小学校
      千葉県から千葉日本大学第一小学校が参加します。
       詳しくはホームページをご覧ください。
 
★説明会報告★
日本女子大学附属豊明小学校の第2回幼児教室対象学校説明会が、2月18日
(月)午前9時30分から11時まで行われました。
授業参観後、「目指す児童像」「三綱領」「育む学びの心」などの教育方針、説明
会の日程、入試要項などを紹介。途中で出身者の方の校歌などを披露。そして
「求める子ども像」、「求める家庭像」について、以下のような説明がありまし
た。
 
◯求める児童像
 *愛情豊かに育てられている子(過不足ない愛情)
 *基本的生活習慣がしっかり身についている子
 *心身共に健康な子(自分で通学でき、自分で日常生活が送れる)
 *集団性、社会性が年相応に発達している子
 *生き生きとした意欲のある子
◯求める家庭像
 *保護者がお互いに協力し合っている家庭
 *子どもに過不足のない愛情を注いでいる家庭
 *社会の基礎単位としての役割をしっかり果たしている家庭
 *学校のめざす方向に協力する姿勢を持っている家庭
 
光塩女子学院初等科の影森一裕学校長の話がホームページに掲載されています
が、「過不足のない愛情」とは、こういうことではないでしょうか。
「過保護も過干渉も自由放任も程度問題です。それらは程度を変えて個々の場
面で必要なものです。ある時は十分に甘えさせ、ある時は強制したり自由にし
たりする必要もあるのです。子育ては『あれか、これか』ではなく、『あれも、
これも』なのです。どこかに偏ってしまっているなと反省したら、柔軟に軌道
修正できる子育ての知恵が必要です」
「合格の二文字」に心を奪われると、とかく偏った育児になりがちです。光塩
初等科のホームページをクリックしてお読みになることをお勧めします。
 
また、聖心女子学院初等科と同様、学童保育「JWU ほうめいこどもクラブ」を
はじめましたが、今回、資料は同封されていましたが、説明はありませんでし
た。参加者の数を知りたかったのですが。
 
最後に、給食の試食がありましが、食事療法中のため外食ができずパスしまし
た。(残念)
 
[5] 常識に関する問題(1) 
文字通り、常識の分野です。
しかし、単なる知識ではなく、情操教育の領域から思慮分別まで入っています。
仲間分け、郵便屋さんとポストを結びつける職業に関するもの、道具や日用品
の名称と用途に関するもの、季節と行事に関するもの、公衆道徳やしつけに関
するもの、むかし話や名作物語の一部が描かれた絵を見て説明するものなどが
あります。
 
[仲間分け]
動物や昆虫、木や花、野菜や果物、乗り物、季節、文房具などの仲間を探す、
逆に仲間ではないものを見つける問題です。常識の問題だけではありませんが、
単に仲間に〇や仲間ではないものに×をつけ、「満点! 次に行きましょう!」
では、あまり有効な学習とはいえません。○や×をつけた理由を、自分の言葉
できちんと説明できるか確かめましょう。幼児の学習で大切なのは、自分で考
えたことを話せることです。つたない説明でもきちんと聞いてあげ、おかしな
ところは直してあげましょう。
 
こういった問題がありました。
 ◆(かき・くり・ぶどう・なし・すいかの絵が描いてある)
   かき・くり・ぶどう・なし・すいかの中で、仲間ではないものに×をつ
けなさい。
 
皆さん方は、何に×をつけるでしょうか。 聞き手に徹してみると、子どもた
ちは、実に、ユニークな発想の持ち主であることがわかります。
 
「すいかに×です。すいかは野菜で、他は果物です」
常識的な模範回答で、皆さん方は喜びます。
 
「すいかです。他のくだものは木になるけど、すいかは、地面になります」
すいか畑を見た経験があるのでしょう。
 
「すいかは、夏に食べますが、他は秋ですから、すいかに×です」
季節に違いを見つけましたが、季節感が希薄になっている中で偉いですね!
 
「すいかです。他は皮をむいて食べます」
またしても、すいかですが、食べ方の違いを見つけました。
 
「くりです。イガイガに入っていますから、手で触れません」
この子は、くり拾いに行ったことありますね、体験談です。
 
「くりです。そのままでは食べられません」
いいですね、くりご飯が好きなのでしょう。もしかしたら、生のくりをかじっ
たことがあるもかもしれません。
 
「ぶどうです。他は1個、2個と数えるけど、ぶどうは、そういうふうに数え
ません」
これも、いいですね、一房などといえなくても正解です。ぶどうの実は、1個、
2個・1粒、2粒と数えますが、全体を捉えて数えるときは、バナナと同様1
房、2房です。いつか、有島武郎が自分の子どもたちのために書いた「一房の
葡萄」を読んでほしいものです。
 
「くりです。種がありません」
ぶどうやすいかにも種のないものがありますが、これも正解ですね。
 
「かきとくりです」
「……?」
「『さるかに合戦』には、かきとくりが出てくるけど、むかし話に、他のもの出
てくるかな?」
さて、こうなるとわかりませんが、ぶどうとなしの出てくる話は、思い浮かび
ません。  
すいかはあります。老人が、意地悪をした商人から魔法を使い、すいかを取り
上げてしまう話で、今昔物語にも出ています。しかし、いいですね、発想がユ
ニークで。むかし話をたくさん読んでもらっているのではないでしょうか。
 
いかがでしょうか。子どもたちは、こんなにたくさんの違いを見つけました。
これはたいへんな学習になっています。子どもの観察力や発想は、大人と違う
ことがよくおわかりいただけたと思います。繰り返しますが、×をつけて終わ
りでは効果的な学習とはいえません。子どもの考えに耳を傾け、そして最後に、
「果物と野菜」「季節の違い」など設問の意図に従い、正解に導いてあげましょ
う。
 
自転車とオートバイの違いを話す問題で、例によって、とことん、追求の目が
途絶えるまで、発表をさせたときのことです。
「仮面ライダーは、オートバイに乗るけど、自転車には乗らない」といったお
子さんがいました。その子は、「仮面ライダーは、オートバイに乗り、かっこよ
く出てくるけれど、自転車に乗って出てこない」といいたかったのです。その
日は、授業参観でしたから、お母さんは、赤面してうつむいてしまいました。
とかく私たち大人は、構造や原理の違いや用途などから考えますが、こういっ
た考えのできるのが子どもなのです。もちろん、エンジンと人力で走らせる違
いに導きますが、なぜ、そういった考えが出てくるのか、子どもに聞いてみる
と、実に傑作な答えが出るものです。その答えに妥当性があれば、そういう考
え方もあると認め、しかし、「この問題の本当の目的は」と順を追って話をすれ
ば、子どもたちは納得し、授業にのめり込んできます。
なぜでしょうか……。
それは、自分の考えを認めてもらえたからです。うつむいてしまったお母さん
と違い、お子さんは積極的に授業に参加し、楽しんでいました。
「お子さんの話に耳を傾けてください」とお願いしておきましょう。
 
このように、幼児の知識は、似ているところや違うところを見つけることから
始まります。物事の「類似差異」に気づかせることです。しかし、これを大人
が机の上だけで教えこむのは、お勧めできません。五感を働かせ、自分で学習
することが大切なのです。教え込まれることは、記憶に頼りますから忘れがち
です。五感で体験したことは、何かの思い出と一緒に身体が覚えますから、忘
れにくいのです。記憶は脳神経系の仕事で忘れることも仕事ですが、体験は中
枢神経系の仕事で、一度覚えると体が忘れないそうです。英単語は使わないと
忘れがちですが、一度自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくてもす
ぐに乗れるようになる、この違いだそうです。「幼児期には、五感に刺激を与え
る自然と接する機会をたくさん作り、話をはずませ、楽しい思い出を残してあ
げましょう」という理由は、ここにあるわけです。
 
[季節と行事に関する問題]
四季を代表する花や行事、春であれば、桜、たんぽぽ、チューリップ、おひな
さま、入学式、鯉のぼり、柏餅などを結びつけたり、年間の主な行事を1月か
ら12月まで絵カードで並べたりする問題です。暦の上では立春から春ですが、
幼児の世界では、春は3月、4月、5月、夏は6月、7月、8月、秋は9月、
10月、11月、冬は12月、1月、2月で教えてあげましょう。
 
変な話を聞きました。
「1月は正月・門松・たこ上げ・羽子板、二月は節分・豆まき・柊・いわしの
頭・鬼……」 
試験に出るから憶えるそうです。しかし、季節折々の行事は、知識として覚え
るものではなく、家族そろって楽しむものです。楽しんでいれば、覚えようと
しなくても、思い出と一緒に記憶されるものです。 記憶だけに頼ろうとする
と、「勉強、イコール記憶」となり、次第に苦痛になるのではないでしょうか。
学生時代に覚えた英単語、あんなに苦労したのに、どこへ消えてしまったのか
と、しゃくにさわりませんか。それでも、皆さんは目的を持って覚えたのです
から、苦痛にも耐えられたわけでしょう。
子どもたちには、「受験のため」といった自覚はないはずですから、やっかいな
のです。
 
そうはいっても、現代っ子は、正月に、羽根つき、たこ上げ、カルタ取り、す
ごろくなどをやっているでしょうか。
節分に豆まきをして、いわしを食べているでしょうか。
女の子のいない家で、ぼんぼり、ひし餅、わかるでしょうか。
端午の節句に菖蒲湯に入る子も、少ないでしょう。
七夕は、幼稚園での年中行事で済ませていないでしょうか。
迎え火、送り火、精霊流し、やらないでしょうね。
中秋の名月を、すすきとだんごをお供えして、眺めているでしょうか。
大晦日に年越しそばを食べているでしょうか。
そばより、ラーメンやスパゲッティかもしれません。
「……でしょうか」ばかりで、何やら、落ち込みそうです。季節折々の行事を、
祝わない家庭が、増えているのでしょう。
 
このような年中行事は、自然への感謝と家族の幸せを願い、とりわけ、子ども
の健やかな成長を祝う、一つの節目になっています。
たとえば、端午の節句、この言葉も「子どもの日」といわなければ、通じない
でしょうが、なぜ、鯉のぼりを飾るのでしょう。疑問に思わないようです、現
代っ子は。 なぜ、くじらやさめのぼりでは、駄目なのでしょうか。くじらは
大きく、さめは見るからに強そうですが、代役を務めることはできません。鯉
は、非常に生命力が強い魚ですから、鯉のように強くて、たくましい子に育っ
てほしいという親の願いがこめられているのです。五月晴れの空に、雄大に泳
ぐ鯉のぼりの姿、あまり見かけなくなりました。
 
こういった行事は、いってみれば「家庭の文化」ではないでしょうか。家庭の
文化は、ご両親が作るものです。子どもは、ご両親の作った文化の中で育って
いきます。ご両親が、季節折々の行事の意味を子どもに教え、一緒に祝い、楽
しい思い出として心に残してあげる。そのお祝いが、思い出が、子どもの情操
を培っていくのではないでしょうか。団地のベランダに、小さな鯉のぼりが泳
いでいると、「頑張っているな!」と声をかけたくなります。
 
小学校の入学試験に出るからといって、問題集で教え込み、ましてや記憶させ
るなどは、本末転倒な話です。なぜ、こういった問題が出るのでしょうか。学
校側も、知識として知っているかではなく、家庭の文化を見ていると思います。
季節折々の行事を楽しんでいれば、問題集は、チェックシートの役割をはたし、
知識の整理になります。幼児の学習は、知識を詰め込むのではなく、たくさん
の経験を積ませ、そこから得た知識、知恵であることが大切です。
 
私事で何ですが、当教育研究所で配信していますメールマガジン「さわやかお
受験のススメ 保護者編 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」では、季
節折々の行事の由来を説明し、それに関係のある昔話を紹介していますので、
お読みになっていただければ幸いです。
 
「春一番」は、立春後に初めて吹く南風ですが、気象庁は2月4日、北陸地方
に最速の春一番が吹いたと発表。豪雪に悩まされている地方に春一番、不思議
な気がしますね。英語では“The first spring storm”というそうですが、一
時、「センテンス スプリング」が吹き荒れました(笑)。メルマガが配信され
る頃には、吹いているかもしれませんね。
 (拙著メルマガ 「日本の年中行事と昔話」 16号より)
   (次回は、常識の問題(2)についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(3) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第32
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★  [4] 数量に関する問題(3)
     
[相談会情報]
 千葉県私立小学校フェア
  日 時 2月24日(日) 9:40~13:40
  場 所 昭和学院伊藤記念ホール
      参加校、イベント、スクールバスの時刻など、詳しくはホー
      ムページをご覧になってか  らお出かけ下さい。
      今年も13:40までです。
各校のミニ講演会、昭和学院小学校がトップで9:40から、10:40
の暁星国際の田川茂学園長の話、今年も楽しみにしています。
 
[量の問題]
辞書を引くと、「計って決められる、かさ、容積、軽重、大小、多少等」(「岩波
国語辞典」より)とありますが、これに、ひもや鉛筆、国旗を掲揚するポール
などの長短を加えれば、入試に対応できるでしょう。
 
また、実験です。
同じ形をした容量も同じコップを2個用意し、ジュースを片方に少し多めに入
れておき、「多い方、飲んでも、いいですよ」といったとき、サッと多い方に手
が出れば、量に関する理解力も順調に発育しています。数と同じように、直感
で見分けられることが大切です。「直感力は、経験を積み重ねて培われる力」で
あることを忘れないでください。
 
こういった問題があります。
 
(形も、大きさも、高さも、底面積も違うコップが3つ並んでいて、それ
ぞれに、水が入っている絵がある)
◆水が、一番たくさん入っているコップに〇を、一番少ないコップに×
をつけなさい。
 
これは難しいですね。
ほとんどの子ども達が、たくさん入っているように見える底面積の狭い、細長
い背の高い形のコップに〇をつけ、少ししか入っていないように見える底面積
の広い、横幅の広いコップに×をつけがちです。かさのある方が、たくさん入
っているように見えるからですが、これも実験するしかありません。
 
上の条件に合った3つのコップと同じ形のコップ3個、お茶など色のついてい
る水を用意し、同じ形のコップ3つに同じ量だけ水を入れ、入っている水の量
は同じことを確かめさせてから、条件の違うコップに、それぞれ入れ替えてみ
ます。
底面積の広いコップと狭いコップとでは、明らかな差がでますが、入っている
水の量は全部、同じです。         
 「不思議だな、お母さん。どうして、こうなるの?」
底面積が広いほどたくさん水が入る、容量も大きくなることを説明してあげま
しょう。
これは「量の保存」といって、見た目は変わっていても、元々の量は保存され
ているからですが、「数の保存」と同様、言葉を教えることはありません。
       
このような問題もあります。
 
(3つのコップの中に、大きさの違う丸いガラス玉が、1つずつ入って
いて、コップの水の量は、みんな一緒になっている絵が描いてある)
◆この中で一番たくさん水が入っているコップに〇、一番少ないコップ
に×をつけなさい。
 
これなどは、子どもは見ているはずです、おふろに入ったときです。
 「お父さんが入ると、どうして、お湯があふれるのかな?」
 「……かな?」というアンテナを張っている子は、すぐわかります。
 
量も直感で多少を判断し、難しい問題は、必ず、実験で確かめることです。
これが、小学校へ入ると、リットル、デシリットルと正確に量を計る勉強に進
んでいくわけです。
ボールなどの大小、ひもなどの長短、旗を立てたポールの高低も同じです。や
はり、見た感じ、直感力で判断できることが大切です。
その違いを見極める力が、センチメートル、メートル、キロメートルと、正確
に長さを計る勉強に、軽重は、グラム、キログラムと量を正確に計る勉強につ
ながっていくわけです。
 
[重さ比べ]
しかし、軽重、重さ比べは、直感で判断するのは難しいでしょう。
しかも、問題集だけで教えると、幼い推理力では、混乱しがちですから無理は
禁物です。
 
こういった問題です。
 
(パンダとくまとうさぎが、シーソーにのっている絵があり、パンダとく
まではパンダの方が下がり、くまとうさぎではくまの方が下がっている) 
◆一番重い動物に〇、一番軽い動物に△をつけなさい。
 
重さ比べの定番的な問題です。
 「パンダとくまではパンダが重く、くまとうさぎでは、くまの方が重い。故に、
パンダが一番重くて、うさぎが一番軽い」と説明しても無理でしょうね。
 
まず、3つの重さの違うものを手に持って、重さの順番に並べてみます。
できれば、天びんばかりを作り、手で持って判断したものと、合っているかど
うかを確かめるとわかりやすいはずです。
  AとBを比べるとAが重い。 A>B
  BとCを比べるとBの方が重い。 B>C
  ここでAが一番重くて、Cが一番軽いことがわかります。 A>B>C
しかし、BとCを比べてCの方が重かったら、AとCを比べて決着をつけます
から、これが面倒です。
さらに、比べる物が4つ、5つと増えてくると、難しくなります。
1つ1つ、順番に比べて、納得できるまで、根気よくやることです。
 
その納得させる方法ですが、軽重を勝ち負けに置き換えると、子どもは興味を
示します。
パンダとくまではパンダが重いからパンダの勝ちで○、くまは●。
くまとうさぎでは、くまの方が重いからくまの勝ちで○、うさぎは●。 
最後に、パンダとうさぎは、パンダの勝ちで○、うさぎは●。    
結果は、パンダは○○で2勝、くまは○●で1勝1敗、うさぎは●●で2敗。
好奇心を刺激してあげる、遊びの中での学習ですね。
 
おもしろい子がいました。
パンダ、コアラ、リスの3匹が重さ比べをする問題です。
 「パンダが2回下がって、リスが2回上がっているから、パンダが一番重くて、
リスが一番軽いのです」 
お母さんに教わったそうです。理屈はそうですが、こういう教え方は、どうで
しょうか。シーソーの上がり下がりだけ見て判断するのは、直感力ではなく、
受験用のテクニックですね。
 
 「そうか、こうだな! こういうこともいえるぞ!」
1つ1つ比べ、試行錯誤を積み重ねて、自分で見つけたのであれば問題ありま
せん。考える力もつき、考える楽しさも学習しているからです。出発点で楽を
すると、応用力は身につきませんし、小さいときから、簡単に答えだけを見つ
ける訓練は、やるべきではありません。
 
簡単な問題から難しい問題へ、ステップをきちんと踏んでいくことが大切です。
そして、正解であれば○を付け、それで終わらせずに、比較する段階を言葉で
いえるようにしておきましょう。言葉で表現できる、これは、とても大切なこ
とです。きちんと理解できていれば、説明も適切なはずですから、発表力も身
についてきますし、それが個別テストや行動観察のテストに対応できる力を身
につけることにもなっているからです。
 
[空間の問題]
図形は、[6]の構成力で触れることにして、最後に、空間について説明しまし
ょう。
これも難しいです。
 
上下、左右、前後の関係です。 
前後は、幼稚園でも整列することで学んでいますから、わからない子は、あま
りいないようです。  
こんな問題があります。
(各階に5つずつ部屋がある5階建てのマンションが描かれている)
◆キリンさんは、三階の左から三番目のお部屋です。キリンさんのお部
屋に○をかきましょう。         
 
子ども達には、上下は何とかなるのですが、左右が難しいですね。
年長になっても、左右の区別のおぼつかない子が、かなりいます。
左の薬指にピンクのリボンつけていた女の子がいました。
 「先生、こっちが左ですよね!」
かわいいではありませんか。お母さんの工夫した、やさしい気遣いが伝わって
きます。           
                                  
左右の確認がきちんとできてから、問題集に取り組みましょう。
基本的な準備をせずに、プリントだけで「左から……、上から……」とやると
混乱しがちなのです。
 
□□□□□  こういった図を描いて、一番下、下から2番目(上から2番目)、
□□■□□  一番上、左から(右から)何番目、左端、右端を確かめましょう。
□□□□□
少し難しいかもしれませんが、下の図のように、■を中心に左右、上下、左斜
め上、左斜め下、右斜め上、右斜め下を確認しておきましょう。  
□□□
□■□
□□□
 
幼児の学習は、生活と結びついていると、スムーズに対応できるものです。  
生活に必要なものであれば、喜んで挑戦するはずです。お手伝いをさせながら、
学習できることがあります。          
たとえば、お子さん用の整理ダンスを利用して、たたんだ洗濯物を入れさせま
しょう。                 
「ハンカチは、一番上の左から二番目に、シャツは、上から三番目の右端にし
まってください」
女の子であれば、お母さんの手伝いをしながら整理の仕方を学ぶこともできま
す。
 
まだあります。毎日、幼稚園へ行くときに握手をしましょう。
 「右手で握手!」といって、さっと右手を出してみましょう。
お子さんも右手でなくては握手できません。
間違えたときに、こっちが右手であると学習できます。
今日は右手なら、明日は左手と続ければ、いつのまにか習慣になります。 
 「サユウベンベツ(左右弁別)?」
大人でも首を傾げるような言葉を使っていると、混乱するだけでしょう。
 
幼児の学習は、生活の中で、楽しみながら身につけていくことが大切です。 
 
寒い日が続いていますが、お子さんは元気に幼稚園、保育園へ通っていますか。
川越はほとんど積もりませんでしたが、近くの公園の砂場を覆ったシートには、
積もった雪が溶け、氷が張っていました。手を真っ赤にした子どもたちが、面
白そうに遊んでいましたが、3人ほどしかいません。小学生はもっといるはず
なのですが、暖かい部屋でゲームをやっているのでしょうか。「子どもは風の子」
ではなくなっているようです、残念!
お子さんは、いかがですか。
   
(次回は「常識の問題」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(2) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第31
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(2)  
 
[相談会速報]
中央線沿線 私立小学校合同相談会
  日時 2月17日(日) 午前10:00~15:00
  会場 国立学園小学校(JR国立駅下車 徒歩10分)
参加校、イベントの内容、アクセスの方法など、詳しくはホーム
ページをご覧ください。
 
「第34回 東京都私立小学校作品展 ほら、できたよ」へ行ってきました。
今年は、うっかりしてメモを間違って破棄してしまい、学校名がわかりません。
学校名は抜きです。
・「ツイッター」には、びっくり。画用紙に紐で顔をつくり、目鼻を書き、外側
へつぶやきを。プライバシーを尊重して、文言はカットしますが、小学生の
世界まで浸透しているんですね。情報機器の正しい使い方を、親がきちんと
教えないといけないのではと痛感しました。お断りしておきますが、この作
品を非難しているのではありません。大学生が掲示板で事件に遭遇するほど
ですから、親の責任で与えるべきではといいたかったのです。でも、内容は
面白かったですね(笑)。
・節分の鬼の面、粘土で作った天使のコーラス像、それぞれ個性が表れていて
傑作。
・模造紙に区分けされた街に、マッチ棒のような棒をのりで貼って作った建物
など90程でできていましたが、連携プレーが見事。
・岡本太郎氏が絶賛した火焔型縄文土器を思わせる力作もあり、今年も楽しま
せてもらえました。この学校名は説明会でVTRを見てわかっているのですが
カットします。
学習院初等科のHPには、早々と今年の作品が紹介されています。
もう10数回参加していますが、毎年、子どもの感性には脱帽しますね。(感謝)
 
ところで、2月14日はバレンタインデー。3世紀頃のローマでは、戦士の戦
意に影響があると考えられ若者の結婚を禁止。それを哀れと思ったバレンタイ
ンは、密かに結婚をさせていたのが発覚し、処刑された日が2月14日。その
殉教の日がバレンタインデー。チョコレートを送る習慣の発祥地はイギリス。
日本では、1936年に神戸のモロゾフ洋菓子店が、1958年に新宿の伊勢
丹が「バレンタイン・セールス」のキャンペーンを行ったが、結果は今一。広
まったのは1970年頃からだそうです。(「言語由来辞典」より要約)
1970年、私は30歳ですから、チョコレートをやり取りする習慣はなかっ
たわけで、思い起こすと、家内からではなく、長女から貰ったのが初体験でし
た(笑)。
 
[掛け算]
次は掛け算です。
「5人の子どもにリンゴを2つずつあげるには、いくつあればいいですか」
 
スケッチブックに○を5個書き、その下に○を2個ずつ書きます。
 
 子どもの数     ○   ○   ○   ○   ○ 
 与えるリンゴの数 ○○  ○○  ○○  ○○  ○○  合計10個
 
幼児は、[2×5=10]で解くのではなく、○を2個ずつ書き終えたところで
○を数えて、リンゴ10個と答えがでます。
3個の場合は○を3個ずつ、4個の場合は4個ずつ書くわけです。
これが幼児の掛け算の解き方です。
 
[割り算]
次に2枚の皿を用意します。
「それじゃ、お母さんと同じ数に分けるには、どうしたら、いいの?」
18個のクッキーを、お母さんの皿、自分の皿と、1つずつ分ければ答えがで
ます。
「お母さん、9個ずつです」
「ピン、ポン! すごい! それじゃ、お父さんと3人で分けたら、いくつず
つになりますか」        
もう1枚皿が必要になりますが、分け方は同じで、3枚の皿に1個ずつ分けま
す。
「お母さん、6個ずつですね」
こうなります。
これをスケッチブックに書いて解いてみましょう。
 
 クッキーの数 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○  ○○ 
        ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○     ○
 合計9個
 
分ける時に 2人では2個、3人では3個、4人では4個ずつ減っていくこと
に気づかせます。
すると、2人で分ける時は2個ずつ、3人で分ける時は3個ずつ、4人で分け
る時は4個ずつ指で押さえ、1人分だけ○を書いていけば、答えの出ることが
わかります。
 
「12個あるクッキーを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
といった問題のときに、3個ずつ指で押さえながら、1人分だけ〇を書いてい
けば答えが出ます。
 
○○○ ○○○ ○○○ ○○○
○   ○   ○   ○
 
〇を4つ書いたところでクッキーはなくなるので、答えは4個であることがわ
かります。
幼児の割り算は、[12÷3=4] と答えが出るのではありません。
書いた○を数え、そこで「4個」と答えがわかるのです。
これが幼児の割り算の解き方です。
 
このように数の問題は、数字や記号を使い、加減乗除の四則算で解くわけでは
ありません。
直感で数の多少を見極め、次に一つ一つを対応させ正確な違いを理解し、そし
て掛け算、割り算の基本的な解き方を学ぶ、これが幼児の数の学習です。
 
さらに、10は1と9、2と8、1と2と7といった数の合成、分解がありま
すが、難易度の高い問題になると、20までの合成分解が理解できていないと
解けないものもあります。
10は1と9、2と8と、単に記憶させようとするより、おはじきなどを10
個用意し、実際に分けさせてみると、その仕組みがわかるものです。
まだ、この時期では早いですが、やがてそういったことも学ぶことを覚えてお
いてください。
 
おはじきなどの具体物を使うと、難しいことも簡単に理解できます。
かつて、ある学校で「12個のミカンを何人で分けることができますか」とい
った問題がありました。
子ども達に挑戦させると、「2人、3人、4人、6人」と答え、12人で分けら
れると答える子は、ほとんどいませんでしたが、おはじきを12個と皿を12
枚用意しておくと、1個ずつ分けることも理解できたものです。
この問題は、12の約数を見つけるのと同じですから、園児が、とんでもない
難しいことを、平然とやっているのには驚かされますね。もっとも子ども達は、
約数の何だかを理解しているわけではなく、出題の意図もそこにあるわけでは
ありません。面白がって、こじつけているだけですが(笑)。
 
また、数字は抽象的なものです。
[5]と数字だけでは、幼児には何のことだかわかりません。 「リンゴが5」
となって、初めて、[5]という意味がわかるのです。その心は、リンゴが5個、
頭に描かれるからです。前にもお話しましたが、抽象化した○をリンゴに置き
換えると、物と数が一致し、具体的になるわけです。
 
小学校の算数は、○を数字で表すことから始まり、数字を使った計算は、「合わ
せて」「多少」「全部で」「分ける」といった言葉の代わりに[+-×÷]の記号
を使い加減乗除を習うわけです。
ですから、幼児には、数字や記号を使った計算は必要ありません。
大切なのは、数の概念、意味であり、計算の仕組みがわかることです。
数と接する機会は、日常生活の中にたくさんありますから上手に使いましょう。
少し注意をすれば、教材は周りにいくらでもあります。 
 
最後に、幼児特有の考え方を紹介しておきましょう。
幼児にメロン5個とイチゴ5個を比べさせると、メロンの方が多いと答えたり、
ばらばらに置かれたリンゴ5個と一ヶ所にまとめて置いたリンゴ5個では、ば
らばらに置かれたリンゴの方が多いと答えることがあります。
前者はメロンの大きさにこだわり、後者は広がって置かれたことに目を奪われ
たからですが、「ものは同じ数であれば、大きさが違っていても、一ヶ所にまと
めて置かれていても、どのような位置や方向にばらばらに置かれていても、数
は変わらない」ことを教えてあげましょう。
これを「数の保存」といいますが、言葉はご両親が知っていればよいことで、
お子さんに教える必要はありません。
 
  (次回は、「数量の問題3」についてお話しましょう)

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