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めぇでるコラム : 2018小学校受験: 2017年7月
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よく受ける質問から
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第56号)
年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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よく受ける質問から
★説明会情報★
22日(土)午後1時30分からの雙葉小学校説明会に参加してきました。河
野久仁子校長の話で、毎年、聞けたわかりやすい話、と言っても私の勝手な思
い込みですが、聞けませんでした。受験される方には参考になると思いますの
で紹介しましょう。例によって、文言は正確ではないことをお断りしておきま
す。
学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び、助け合う場です。「先
生と子ども」
「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の信頼関係を築き、自
分が愛されることを感じながら、子どもの人間としての成長を助けていくよう
にと考えています。一人ひとりの子どもが、人との関わりの中で自己を表現し
ながら、その人らしく生きることができるように祈っています。バラはバラら
しく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、自分で自由に学び、
決定することができる、責任の取れる人に育てていこうといったように、子ど
も達が、これからの世界を支えていく人に育っていくように願っています」
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる」、年甲斐
もなく好きなんですね、この文言が(笑)
やっと梅雨も明け、暑い夏休み、元気でお過ごしでしょうか。
この時期によくある質問からいくつかを紹介しましょう。
Q.慶應義塾幼稚舎の試験では、絵がうまく描けなければ合格しないそうです
ね。
A.「うまく描けなければ」という文言は、大人の考える絵に対する評価でし
ょう。
この考えが、子ども達を苦しめているようです。
入試で絵を描かせるのは、絵の巧拙、上手、下手だけを見ているのでありませ
ん。
大人は自分の考えを相手に伝えるのに、言葉だけで足ります。
しかし、幼児は、言葉だけでは不十分です。
言葉で足りなければ、体全体で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの
方法で、絵もその一つです。
自分で思っていること、考えていることを絵で表現したいのです。
子どもの絵は写生ではなく、感じたことを描いていると思います。
ですから子どもは、絵の巧拙にこだわらず、思い通りに、せっせと描きます。
そばで見ていると、本当に楽しそうです。
以前、幼稚舎が、画家が絵を描くときに使うイーゼルを立て、絵を描かせまし
たが、舎長は、その目的を「子ども達の表情を見たかった」とおっしゃってい
ました。
ですから、一つの話を聞いたあとに、「この続きの絵を描いてみましょう」と
いった問題に発展させ、子どもの感性を見ているのではないでしょうか。
「うまい」に越したことはありませんが、それが、子ども自身の感性ではなく、
誰かに教え込まれたものであれば、評価されないと思います。
どなたがおっしゃったかわかりませんが、そういった絵を「大人の手垢のつい
た絵」というそうです。
「お子さんは、楽しく絵を描いていますか」
そうであれば、子どもらしい絵が描けていると思います。
学校の狙いも、そこにあるのではないでしょうか。
最近の傾向として、例えば、5~6人のグループに、模造紙1枚とクレヨン1
箱が用意され、「弁当の絵」「水槽の絵」などのテーマが与えられ、相談しな
がら描くといった形式で出題されていますが、使いたいクレヨンを他の子が使
っている場合、何もしないで使い終わるまで待っている子がいると聞きます。
ポイントは「相談して」にあるのですが、お子さんは積極的に参加できますか。
Q.1枚の絵を見て話を作るのが苦手なのですが、うまくなる方法はないでし
ょうか。
A.「うまくなる方法」などありません。
技術的なことを教えても、お子さんは、おそらく理解できないと思います。
1枚の絵から話を作るのは、本当に難しいものです。
絵を見ても、自分で体験をしたことがなければ、話せないのが幼児です。
まず4枚ほどの絵からできている「お話作り」の問題からやってみましょう。
4枚の絵であれば、どういった状況か把握できるからです。
そこから話を作る方法を、自分なりに考え始めるものです。
最初は、つたない話になりがちです。
最後まできちんと聞いてあげ、できたことを褒め、それからおかしなところは、
「ママは、こう思うけれど、どうかな?」と、お子さんに考えるヒントを出し
てあげることです。
「違うでしょ、こうなの!」では、お母さんの作品になってしまいます。
これを十分にやった後に、3枚の絵、2枚の絵に進み、そして1枚の絵に挑戦
しましょう。
苦手なお子さんには、「お母さん(お父さん)、あのね!」方式がいいでしょう。
お母さんやお父さんに話しかけるように作ることです。
幼児の経験は、まだ狭いものですから、体験していないことを表現するのは苦
手です。
日常生活で、「ママ、あのね!」と話しかけてきたときは、必ず、聞いてあげ
ましょう。
自分で体験したことを話す、これが話作りの基本でもあるわけです。
話すチャンスをたくさん作ってあげることが大切です。
なお、「お母さん、あのね!」方式は、某国立大学附属小学校で、作文の時間
に実践していた学習方法です。
Q.問題に取り組む時に時間がかかり過ぎるのですが心配ないでしょうか。
A.幼児には、問題集をやるときにも、さっさと答えるタイプと、じっくりと
考えて答えを出す二つのタイプがあるようで、イソップ物語の「ウサギとカメ」
の話から、前者を直感が働くウサギ型、後者をじっくりと考えるカメ型と考え
ることもできます。
難しい対称図形や回転図形の問題でも、ウサギ型は、4つの答えから正解を選
び出すのにも時間がかからず、カメ型は、慎重に取り組みますから時間がかか
ります。一つ一つ検証して、答えを出しているからです。
おそらくお子さんは、カメ型のタイプではないでしょうか。
一つ一つ比べ、「これは、ここが違う」と納得しなければ、次の答えに手を出
せないのですから、むやみに急がすことはありません。
一度、仕組みや方法が理解できれば、スピードもアップします。
思考派のカメさん型は、小学校の中学年を過ぎる頃から、力を発揮し始めます。
考える力が育まれ、基礎学力がしっかりと身についているからです。
直感派のウサギさん型は、この頃に、一度つまずきますが、頭の回転の速さか
ら立ち直れます。
ですから、カメさんの場合は、時間がかかってもあせらせることなく、問題は
時間内に解くことを、少しずつ教えてあげましょう。
ウサギさんは、ひらめきだけに頼らず、正解であっても、他の答えはどうして
駄目なのか、その説明をさせましょう。
どちらもお子さんの大切な能力ですから、良いところを伸ばしてあげる、賢い
お母さんになってあげましょう。
Q.文字や数字の読み書きは、できた方がいいと友達は言うのですが、やった
方がいいのでしょうか。
A.小学校の入学試験には、文字の読み書き、数字を使った計算はありません。
ただし、答えをイラストではなく、書いてある文字に印をつけるテストを実施
している学校もありますが、それは、その学校の方針ですから、受験する方は、
そのための準備が必要です。
また、暁星小学校でも、年中行事と関係のある数字、例えば母の日は5月です
から5に○をつける、記憶の問題でスクリーンに映った数字と同じものに○を
つける問題がありましたから、1月・正月、2月・節分、3月・雛祭り、4月
・花祭り、5月・子どもの日、母の日、6月・父の日、7月・七夕、9月・お
月見、10月・お祭り、運動会、11月・七五三、12月・クリスマスなど、
その月と数字がわかるようにしておきましょう。
やっていると思いますが、毎朝、カレンダーを見て、「今日は8月16日、日曜
日」というだけで、月日と曜日も無理なく覚えるものです。
ただし、数字を書く必要はなく、読めればいいでしょう。
文字は問題用紙に氏名を書きますし、靴を脱ぎ、試験が終わった後で靴を履く
ときなど、書かれた名前を見て判断することもありますから、名前の読み書き
はできるようにしておきたいものです。
年長になる頃から、文字と数字を書きたがるようになりますが、その場合は、
正しい書き順を教えましょう。
自己流で覚えると、直すのに苦労するからです。
文字を書くことの得意であった子が、小学校へ入ってからことごとく直され、
自信を失う話をよく耳にします。
数字は「0・5・7・8・9」、文字は「と・も・や・よ」、書きにくい「あ
・お・そ・ぬ・む・め」などです。
ただし、テストで数字や文字で答えては、得点にならないことを教え、約束し
てください。
ところで、お子さんは、ブツブツとつぶやきながら、昔話や童話の本を読んで
いませんか。「話の読み聞かせ」の効果です。教えなくても、文字を読めるよ
うになっていくものです。本を読んであげるのは、大切な学習になっているこ
とを忘れないでください。
以上の「Q&A」は当研究所発行の「さわやかお受験オススメ 小学校受験
Q&A」からピックアップしたものです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
暑い夏、本番を迎えました。
「夏を制する者は秋を制する」ともいわれています。
無理は禁物ですが、頑張りましょう。
(次回は「願書の書き方」についてお話ししましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>今年の説明会より
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第55号)
年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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今年の説明会より
「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが、立教小学
校の田代教頭の話。今年は少し端折ったところがありましたから、ここ数年の
話を基にまとめてみました。教頭は、その容貌と話し方からして、大変な熱血
漢であるとの印象を受けますが、おそらく、子ども達から「金八先生」などと
親しまれているのではないでしょうか。
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
脳科学者の話で、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々
が教えていてもそれは感じる。
アメリカでは1932年に公立校の男女共学を禁止していた。しかし、2006
年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになった。
脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育したこと
に問題があるということで、別学が増えていく。
イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩しや
すいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ずか
しがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校では
今はやりの『リケジョ(理系女子)』ではないが、数学や科学を好む学生が増
えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのでは
といわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来
ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れて
いる中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な制度で、手前みそながら何ですか……」(会場から笑い声が起こり
ました!)
リケジョについては、国府台女子学院の平田史郎学院長も進学実績からその傾
向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学にす
る考えはありません」と力説していた学院長、やはり科学的な根拠があったわ
けです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外早
い時期に実現するかもしれませんね。
そして、どんな家庭のお子さんがほしいかについて、
「最後に、いつもお願いしていることだが、どんな家庭のお子さんがほしいか、
メモをとるような話ではないが、訓練によって鍛えられた子どもではなく、読
み聞かせや自然の中で五感を使った遊びの体験やお手伝いを重視する家庭。そ
れらを基にして、豊かな会話をもっている家庭、そういう日常生活を大切にし
ている家庭で、社会のルールを守る社会性や協調性を厳しくしつけられている
家庭の男の子が欲しい。なぜなら、学校は社会性を訓練する場、男が成長して
父親になった時、知性を発揮できるように、キリスト教の精神に基づき行える
心の豊かさ、自分に対して優しさという知性を身につける場であり、こういっ
たことを理解し協力してくれるご家庭の子、男の子なら誰でも結構」
学校選びの基本は、「ご両親がどんな男に育てたいのか、そのためにはどうい
った教育、環境が必要であるかではないでしょうか」とおっしゃっていました
が、「はじめにご家庭の教育方針ありき」と言ってきた私は、素直にうなずい
てしまいました。
以前、紹介しました「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲
き、世間の教えで実がなる」(明治時代、高等小学校から親に配られた「家庭
心得」)ではありませんが、そのとおりですね。某女性国会議員、「世間の教
え」をないがしろにした結果でしょう。今までの努力は何だったのだろうと、
他人事ながらもったいないと思いますね。
3年ぶりに参加した光塩女子学院初等科、新任の森影一裕校長の話の中で、初
めて耳にした言葉がありましたので紹介しますが、補聴器を通して聞いたもの
ですから、間違っているかもしれません。
「キリストの愛を伝える学校として、クリスチャンになるための修業をする場
として入学を希望する者も多かった。最初は『愛』という言葉は使われずに
『お大切』と表現されていた。これを『キリストの愛』と置き換えたのは光塩
ではなかったろうか。『人を愛することを教える学校』、これが私達の教育の
柱。私達一人ひとりが、神様から創られ、一人ひとりが違う存在、長所もあり
短所もあるが、神様から愛されているかけがえのない存在である」
47号でも紹介しました早稲田実業初等部の求める子ども像、こういった話です。
『どんな子どもに来てほしいか、いろいろとあるが主だったことを言うと、第
1に早実大好き、早稲田大学に進んで勉強したいと思う子。2つ目に規則正し
い生活ができる。もう一つ大切なことは、自分のことは自分でできるお子さん。
これができていないと宿泊学習が始まると辛くなる。中学で体験したことだが、
宿泊合宿のときの荷物作り、親御さんが詰めてしまう。忘れ物が出ても名前が
書いていないからわからないので処理するしかない。自分でやらないからわか
らない。3つ目は人の話を最後までしっかりと聞くことができる。4つ目は物
事に最後まで取り組むことのできる子を期待している。
基本的な生活習慣は、ご家庭で教えて頂きたい。しつけの問題になるが、教え
方に問題があるのではないか。ご両親共に子どもと接する時間が少なくて忙し
い。うまくできないと早くしなければならないから、お母さん方はすぐに手を
貸してしまう。そうではなく言葉をかける。言葉を理解し自分でやることが大
切。だから時間はかかる。手を貸すと「また貸してくれる」と子どもは考える。
その時はスムーズに通過できるが、後々それが癖になる。言葉を主体にして見
守り、時間をあげて言葉で考えさせて、自分でできることを中心に考え、でき
たところでしっかりと褒める。その繰り返しが大切。褒められると次に生きて
くる。また褒められたいという気持ちになる。そういうことを大切にしてほし
い。幼い時に身に付いたしつけ、習慣は、子どもにとって大切な宝物になる」
そして、モチベーションの上げ方について。
「学校見学会が9月2日(日)に行われるが、初等部を見学できるのはこの日
だけ。是非ともお子さんと一緒に来てほしい。お子さんが自分の目で見ること
が大事。私の願いは、お子さんが『この学校に来て学びたい、勉強したい、一
緒に友だちと遊びたい』と思うだけでも、これからの受験勉強の励みとなり、
お子さんのモチベーションも上がる。それを狙っている部分もあるので、『勉
強しなさい!』と言ってもモチベーションは上がらず、そのへんはなかなか難
しい。そのためにも是非、一緒に来てほしい」
(早稲田実業学校初等部 橋詰 敏長 校長)
最後に、幼稚舎の大島誠一舎長の話を紹介しましょう。
「幼稚舎教育を通じて、子ども達にどういった人になって欲しいかというと、
『人生を楽しむ人になってほしい』『社会を肯定的に見る人になってほしい』
『自分の能力を生かして人の役に立つ人になってほしい』と私は願っている。
人生を楽しむと言っても、ただ、その場その場を面白おかしく生きるというの
ではない。日々、辛い努力を積み重ねることも大切で、辛いことに辛抱するこ
とも大事だ。しかし、究極的には『自分の仕事を楽しむ』ことだ。
福澤諭吉が示した慶應義塾の目的に、『社会の先導者たらんとすることを欲す
るものなり』という語句がある。しかし、始めからリーダーになることを目指
すのではない。仕事に喜びを感じ、自分の好きなことをやっている内によい仕
事ができる。その結果として周りに支えられリーダーになっていくという考え
だ。もちろん、自分が嫌なこともやらなくてはならないだろう。しかし、やっ
ていることが楽しくなければ継続することは難しく、ましてやよい仕事ができ
るとは思わない。楽しいからこそ人から見れば辛いことも、たいして辛いと思
わずにできるのだろう。会社の組織の中で高い位置につくことができなくても、
あるいは先導者となり得なくても、年老いた時に、『自分の人生はよかった』
と思えるような生き方を私は大切にしたいと考えている。
こういった考えは、福澤諭吉の生き方そのものだと思う。福澤の生き方は、最
初から立身出世位を目指したものではない。「知りたい、見てみたい、やって
みたい」という気持ちが凝縮した人生だったと思う。幼稚舎という学校を理解
して頂くには、ここで私がくどくど申すより、福澤が自らの人生を振り返った
『福翁自伝』を読んで頂ければご理解頂けるものだと考える。是非、一読され
ることをお薦めしたい。そして『福翁自伝』は、幼稚舎を受験するだけではな
く、自分の生き方を考える上でも素晴らしい書物だと思っているので、多くの
方々に読んでほしいと思っている」
『福翁自伝』はわかりませんが、明治初期に発売された「学問のすすめ」は、
300万部以上売り上げ、超ベストセラーになっています。ちなみに、世界一
のベストセラーは「聖書」で、約3880億冊だそうです。
(「マナビゲート 2016」P39 大学通信 発行より)
21日、22日は雙葉小学校の説明会です。21日は間に合いませんでしたが、
校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた皇
后陛下が、ご成婚の記念に植樹されたメタセコイヤの3本の内の1本が、校舎
と頭を揃えるほどに成長した姿を見ることができます。
梅雨があけませんね。夏休みに入り、夏期講習会も始まりました。元気に通っ
ていますか。猛暑が続いていますが、休養も十分取り、頑張りましょう。
(次回は「よくある質問について」お話ししましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第54号)
年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(2)
7月8日(土)、雙葉小学校の説明会の申し込みの返信が届きました。今年は
7月22日(土)の13時30分からの回に参加します。午前の部だと、ラッ
シュアワーにぶつかり後期高齢者としては、かなりキツイものですから、ホッ
としました。(笑)
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
3.観る力をつける
(See)ではなく(Watch)です。
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほど知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいま
す。
本物を見せてあげてください。
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッ
コってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字が
ついたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と舎長はおっしゃっていました。
夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるか
らです。
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないものです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛
行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある
場合は、正解です。
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のと
き、
「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お母さん方はどう対処されますか。
「テレビのせいだわ!」と柳眉を逆立てる前に、とりあえず間違いではありま
せんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らな
い外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえるお母さんになってほしいの
です。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動
力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていく
ことが大切です。私が現役の時、もっとも印象に残っている答えは、「花火と
雪だるまは似ている」でしたが、どんな答えか想像してみてください。
さらに、朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過
程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づ
く目が育ちます。
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
手に持たせた時「沈む!」といったのは、野球の硬球とゴルフボールでした。
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビンなど、興味を示すは
ずです。
磁石につくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」
となるはずです。砂場は、放し飼い動物の共同便所化したときもありましたが、
夕方にシートをかぶせるなど清潔になっているようですから、磁石を入れるの
も面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さな
いで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
前回の折り紙を磁石で持ち上げる問題ですが、折り紙の下にクリップなどを置
くと持ち上げることができます。
4.絵を描くことに興味を持たせる
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
「絵は心の窓」ともいわれています。
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
5.ものを作る意欲を育てる
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
リップスティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を
省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な
分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみま
しょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズ
にできないと、制作は面白くないでしょう。
得意な子ども達は、お母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こ
まめに自分で扱う機会を作っていると思います。
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校では、5個作らせました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
ここで問題です。
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。(解答は最後にあります)
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。お父さんの出番です。目標を決めて、できるだけ長く
できるように挑戦させましょう。お父さんと共に頑張ったことが試験に出れば、
一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
また、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活で
は、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、
たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒
の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。スマホ
をほしがる小学生に聞くと、「ママだって、見てるもん!」と答える子が多く、
「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。「何が面白いの?」
と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲームなどするなと言い
たい。しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、
親が手本です。
そして、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
今までは、女子だけの別学の学校では、必修科目と考えましょうといってきま
したが、立教小学校では、ここ数年、音楽にあわせて身体表現をしましたから、
受験される方は準備をしておきましょう。
町内で盆踊り大会があると思いますが、お父さん、照れないでお子さんと一緒
に踊ってください。男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切っ
てあげましょう。
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
夏休みの講習会も始まります。楽しく通えることが第一で、そういった雰囲気
を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家庭でも楽
しくできるように、うまく利用することです。
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
九州地方の豪雨災害、何とか穏便に収まって欲しいものです。
猛暑が続いていますが、健康管理には、くれぐれも注意してあげましょう。
答え 花火と雪だるまの似ている点
「花火は消えて、雪だるまはとける。形が残らない」(絶句!)
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分
して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一
緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれました。
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1に
なりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の
基本です。以前お話しました、「量の保存」を思い出してください。
(次回は、「今年の説明会 前半編」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第53号)
年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(1)
◇説明会情報◇
慶應義塾幼稚舎の2018年度1年生の入学試験は、2017年11月1日
(水)より8日(水)に実施。実施内容の詳細は、「2018年度1年生入学
試験募集要項」にて説明。「募集要項」は、2017年9月11日(月)から
10月3日(火)幼稚舎事務所で頒布。1部 1.000円。
大島舎長は、文言は正確ではありませんが、こうおっしゃっていました。
「最後に、受験に対する保護者の心構えのようなものを申し上げたいと思いま
す。本来、5,6歳の幼い子どもに入学試験を通して、課題を与えて、判断し
たくはありません。しかし、冒頭に申し上げましたように、志願者は多く、男
子約10倍、女子約14倍の倍率を示しています。そのために何らかの試験を
行い選抜せざるを得ません。横浜初等部を開校し、幼稚舎の定員数は増えまし
たが、合格する志望者もいれば、不合格になる志望者もいます。およそ10人
に1人の割合になります。こういう競争にあることを踏まえ、志願して頂きた
いと考えています。入学試験のために、5、6歳の幼い子ども達に、不自然な
生活態度を強いることを望んでいません」
東京、神奈川、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏
を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否
の鍵があるといっても過言ではありません。
大島舎長ではありせんが、不自然な生活態度を強いることなく、大切な日々を
有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズムが
狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩
さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリハリの
ある生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールで
は、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余
裕を持って、計画を立てることです。遊び時間をきちんと配慮してあげましょ
う。
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもたくさ
んあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも、役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色に
なると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、そ
れは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢
の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。遊びを
通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、忘れな
いようにしてほしいのです。
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で
「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃってい
ました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆっ
くり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
(私の記憶に誤りがなければの話ですが、今年の説明会で紹介されたスライド
の入学式に、加藤先生が出席されていました)
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生から伺っておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づかなか
ったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお子さ
んもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、
「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初
めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」
からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉、自由放
任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあ
げましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えて
いることに気づいてほしいのです。
★家庭でできる具体的な受験準備
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
1.聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
「本の読み聞かせと対話」の効果を、説明会で最初に力説されたのは、平成14
年に就任した立教小学校の田中司校長で、今年も田代教頭が力説していました。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげま
しょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い
表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言
葉のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中校長でした。含
蓄のある言葉ではないでしょうか。
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるものです。
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話
せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかしら?」
などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験
に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、
お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
2.考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかい
てありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いも
のなどの学習もできます。
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのよ
うに数えていますか。
a. 1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
b. 2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
c. 3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
d. 4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
e. 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
eは最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえる
のは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確
に数えられます。
15個のおはじきをばらばらに置き、からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお(十)
と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。これを
理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応できま
す。
15の場合10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで14
個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、それに
余った1を加えれば15となることを教えます。
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理
解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並
び替えて挑戦してみましょう。
以下、同じように、c,dにも取り組みたいのですが、cをマスターできれば
最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理をさせ
ないで下さい。
そして、eの5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、
5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわ
かります。いきなりeの数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげましょう。
大人が考えるほど簡単ではないからです。
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわ
かります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわ
かります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずで
す。
3個の合成、分解について、遊びながら学ぶ方法を紹介しましょう。
おはじきを5個、横に並べます。
1個指で押さえて左へ少し移動させ、次に、左から2番目のおはじきを1個左
に動かすと[〇・〇・〇〇〇]となり、以下同じように、左から3番目のおは
じきを1個左へ動かすと[〇・〇〇・〇〇]、4番目のおはじきを左へ動かす
と[〇・〇〇〇・〇]となり、これをスケッチブックにかいておきます。
元に戻して、最初に2個左へ動かす組み合わせの場合は、[〇〇・〇・〇〇]
[〇〇・〇〇・〇]となります。
これもスケッチブックにかいておきます。
再び、元へ戻し左へ3個動かす場合は、[〇〇〇・〇・〇]しかできません。
これもスケッチブックにかいておきます。
a[〇・〇・〇〇〇]
b[〇・〇〇・〇〇]
c[〇・〇〇〇・〇]
d[〇〇・〇・〇〇]
e[〇〇・〇〇・〇]
f[〇〇〇・〇・〇]
aとcとf、bとdとeは同じ組み合わせであることがわかりますから、
[〇・〇・〇〇〇]と[〇・〇〇・〇〇]の二通りの組み合わせになることが
わかります。
興味を示した時は、6,7,8,9,10、それぞれ何通りずつできるか、お
子さんと遊びながら探してみましょう。ただし、嫌がる場合は、絶対にさせな
いで下さい。できないと、合成、分解の問題に、苦手意識を持ちがちだからで
す。あくまでも、「遊び」として挑戦することが大切です。
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
□□□
□■□
□□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
7月に入りました。
間もなく梅雨も明け、猛暑が待っています。夏はこれからが本番です。頑張り
ましょう。
(次回は、「夏休みにできる家庭学習2」についてお話しましょう)
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