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めぇでるコラム : 2018幼稚園受験 4ページ目
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 私立幼稚園編(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第19号
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名門幼稚園の保育方針 私立幼稚園編(1)
私立の幼稚園に関する最新の情報は、各幼稚園のホームページをご覧ください。
ここで紹介する情報は、私が説明会へ参加したときのものや過去のホームペー
ジから得たものが中心になっています。
募集人員、入園説明会の日時は、本年度のものではなく、昨年(2017年度
入試)のものです。
[暁星幼稚園]
幼稚園には、女の子も若干名いますが、小学校からは男子だけの教育環境で、
宗教教育という特殊な保育をし、系列校は高校までの一貫教育校です。
★教育理念★
イエス・キリストの教えに基づいて、子どもたち一人一人の良さを伸長
し、豊かな人間性を育みます。友だちとの触れ合いを通して、互いを大切にす
る心、自ら行動できる力を育んでまいります。
★教育目標★
・幼児が主体的に環境に関わりあいながら、自立心、責任感を育てる。
・友達を受け入れ、相手の気持ちに気づき、人を大切にする心を育てる。
・自然や美しいものに感動する柔らかな感性を育む。
・自分で考え、物事を深くとらえる力を育む。
・神様を信じ、神に守られていることに気づき、祈る心を育む。
マリア様の教えが、ちりばめられています。宗教の倫理や教義を考えても、信
者でなければよくわかりませんが、こういう言葉に置き換えられると、「責任
感・思いやり・柔らかな感性・考える力・祈る心」といった保育の方針を理解
できます。HPに掲載されている園長挨拶でも、「『夢中になって思い切り遊
ぶ』『失敗してもくじけない』『また、挑戦してみよう』『何だろう?』『不
思議だな?』など、試したり、確かめたりしながら、好奇心を育み、探究心や
意欲・頑張る力をつける、友達やいろいろな人とのかかわりを通してコミュニ
ケーション力をつけて行きます」とおっしゃっていますが、わかりやすいです
ね。
以前、掲げられていた教育目標に気にかかるものがありました。
「幼児がみんなと力を合わせながら、一つのことをやりとげる喜びを学ばせる」、
このことです。もやしっ子をなくすために始めたサッカーが、今では全国高校
大会に出場するほど実力のあることは、よく知られています。サッカーは、
11人が力を合わせて戦う球技です。相手をできるだけ自分に引きつけ、そし
て味方の選手にボールをつなぎ、最後にゴールポストにけりこめる栄誉を与え
られるのは、一人だけです。ヒーローは一人で、全員が己れを捨て、最後の一
人に得点を託すスポーツです。個人の技術をチームワークでつないでいく、こ
こに暁星学園の基本的な教育方針があるとはいえないでしょうか。
高校までしかないことについては、
「幼稚園や小学校は、私たち親がよかれと考え選びますが、大学の選択は、自
分の人生の道標になるのですから、自身の力で挑戦すべきでしょう。そして、
大学受験を体験して、自分たちの生きる社会は、競争の社会であることを、社
会人となる前に、体で知っておくのも、いいと思いますね」
と、模擬面接でこうおっしゃるお父さんがかなりいます。
小学校の正門には、「困苦や欠乏に耐え 進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少
年以外は この門をくぐってはならない」と刻み込まれたプレートが掲げられ
ています。幼稚園とは逆の位置になりますが、説明会などでお出かけの折りに
は見ておきましょう。
闘志が盛んでも、けじめの無い子は駄目です。幼いながらも、幼いなりに、自
分の気ままを押さえて、自分のことは自分でやろうとする意欲の培われた子で
す。過保護、過干渉の育児からは、こういった子は、育たないのではないでし
ょうか。
ところで、過保護、過干渉の育児といわれても、少子化時代ですから、お母さ
ん方もよく分からない場合が多いのではないでしょうか。子ども達の成長する
過程を思い出してみましょう。
「ゼロ歳は条件反射の時期」といわれ、赤ちゃんは「これはママの声だ」、
「これはパパかな」といったように様々なことを、五感を通して学んできまし
た。
「2歳は模倣の時期」といわれ、何事もご両親のやっていることをみて、一所
懸命まねをし、身につけてきました。
「3歳は自立の時期」といわれ、自分で何事もやってみたいと挑戦を始めまし
た。この時期に入っても、手を貸し、口をはさんでいては、自立心は育ちませ
ん。手を貸してもいいのは、3歳までです。
ですから、子ども達のやっていることを見ていて、手を貸したくなれば過保護
であり、口をはさもうかなと思っただけでも過干渉だといえるのです。3歳過
ぎても、手を貸し、口をはさんでいては、いやな言葉ですが、超過保護であり、
超過干渉の育児なのです。3歳児のお子さんを持つお母さん方、いかがでしょ
うか。
併設の小学校の教育方針は「鍛える教育」ですが、その目標は、日本昔話のキ
ャラクターでもある「気は優しくて力持ち」です。男子校だけにわかりやすい
ですね。
【募集人員】2年保育 男児約40名 女児10名
【説明会】 2016年9月14日午後2時より暁星学園講堂で行われました。
講堂は園と隣接する中高の敷地内にあります。
【入試Q&A】
Q:昼食は給食ですか?
A:いいえ、給食ではなく、お家からのお弁当です。
Q:預かり保育(延長保育)はありますか?
A:いいえ、ありません。
Q:通園バスはありますか?
A:いいえ、ありません。
Q:車での通園はできますか?
A:いいえ、できません。
保護者の方に徒歩及び公共交通機関にて送り迎えをしていただきます。
Q:通園時間についての制限はありますか?
A:特にございません。
(注 一昨年までは「自宅から幼稚園まで徒歩及び公共交通機関で、通園時間が
1時間以内」となっております」でしたが変更されていました。遠方からの受験
者には朗報ではないでしょうか)
(平成29年3月現在のホームページより)
[青山学院幼稚園]
平成13年4月から3年保育だけになりましたが、今も以前と変わらず狭き門で
す。青山学院初等部は、ミッション系でも共学です。やはり、宗教教育を行い、
共学で、しかも大学まであることが魅力でしょう。
★保育理念★
青山学院幼稚園は、青山学院教育方針に基づき、豊かな自然の中でいろいろな人
と共に生活することにより、神様の恵みと守りを感じ、祈りと感謝と喜びの生活
が実現できる保育を目指すものです。
★保育目標★
青山学院幼稚園の保育は、
神様やまわりの人に愛される体験の中で、
祈りのうちに生活する。
自然の恵みの中で生活し、神様の存在を身近に感じ、
恵みとして与えられる環境を大切にする。
感謝と喜びのうちに生活し、まわりの人々に対する信頼感、思いやりの心をもつ。
意欲を持って生活し、よく聴き、よく観る、よく考える。
それぞれに与えられた力を十分に表し、
お互いをかけがえのない存在として認め合う。
ご両親の育児の姿勢と保育理念に違和感はないでしょうか。これが志望理由と直
結するからです。
ミッション系の幼稚園を受験する際に考えなければならないのは、宗教について
です。
たとえば、志望理由として、
「神様の恵みと守りを感じ、祈りと感謝と喜びの生活が実現できる保育の方針に
賛同いたしまして……」
といったとします。
これに対して、
「日常の育児にどのように取り入れていますか」
と質問されて返答につまるようでは、なぜ本園を選んだかの答えになりません。
保育の目標は、「祈りと感謝と喜びの生活」をわかりやすい言葉に置き換えたも
のです。
こういったことを育児の基本として大切にしていれば、キリストの教えを忠実に
実行していることになるとは考えられないでしょうか。これが幼稚園側のいう、
「ご家庭の育児の方針と幼稚園の保育の方針に共通認識がある、つまり、一致し
ていること」になるわけです。
倫理、教理と難しく考える必要はありません。信者でなければ、知らなくて当た
り前のことだからです。ただし、「無宗教」とか「無神論者」は、日本だけで通
じる話です。欧米諸国へ行って、「私は無宗教です」ということは、「人を殺し
てもいいという考えを持っている人」と解釈されるようです。信仰心とは、「人
を殺さないことを誓約する証拠」だそうです。
初等部は、ランドセルも通信簿もありません。ランドセルがないのは、勉強は学
校で、生活習慣、しつけは家庭でする、これも初等部が大切にしている教育方針
です。
また、一貫教育制度は、幼稚園から大学までエスカレーター式に進学できるので
はなく、同じ教育理念で指導を受けるシステムのことです。幼稚園を選ぶ場合、
併設校の教育方針や一貫教育制度について期待することを、きちんとまとめてお
くべきです。
ある年の説明会で聞いた話です。
「本園は、9時から9時15分までの登園です。バスなり、電車なり、歩きなり
で、その道を、お子さんが2年間、車なしで、雨の日でも、雪の日でも通える方
に受けていただきます」
まだ3年保育を開設していないときでしたから、現在では「お子さんが3年間云
々」となりますが、無理な通園は歓迎しないということでしょう。幼稚園の送迎
は、親の責任で行いますから、安易に考えると困ったことになります。
本年の大きな特徴の一つに、「一緒に遊ぼう会」があります。
一貫教育の流れの中で、初等部1、2年生と幼稚園の園児が交流の時を年に2回
持っています。年長児が初等部へ出かけ、初等部からは20名ほどの児童が1日、
年中組、年少組の子ども達と遊び、お弁当を食べたりしながら幼稚園の生活を味
わいます。平成14年から実施されていますが、同園出身者には、里帰りしてい
るようなものですから、和気あいあいと楽しみに過ごしているようです。
【募集人員】 男児20名 女児20名 [3年保育のみ]
【説明会】 2016年7月16日(土)午前10時より、青山学院初等部の
米山記念礼拝堂で行われました。
【入試Q&A】
Q:行事や日常の保育を見学できますか。
A:できません。
Q:家族にキリスト教を信仰する者がいませんが、受験できますか。
A:受験できます。
聖書のことをご存じない場合も、入園後、聖書について学ぶ機会があります。
Q:通園時間に制限はありますか。
A:通園は公共の乗り物を使用します。自家用車での通園は禁止されていますの
で、お子様にとって通園可能かどうかは、ご家庭で判断してください。
Q:海外赴任など生じた場合はどうなりますか。
A:幼稚園には一時退園という制度があります。一年間のみの退園を認める制度
です。
したがって、ご家族の海外赴任に伴って、お子様が幼稚園に通えない場合、
一年間の退園となりますが、一年後には幼稚園生活を再開していただきます。
Q:家族や親族に卒園者がいることで、優遇されますか。
A:適性検査、保護者面接の2つの領域で総合的に合否を決めますので、優遇は
ありません。
Q:紹介状や推薦状の必要はありますか。
A:必要ありません。ご用意されても、考慮されません。
Q:受験に当たって青山学院への寄付金、入園予約金を払うことはありますか。
A:一切ありません。
(平成29年3月現在のホームページより)
かつて説明会は、青山キャンパス内のガウチャー記念礼拝堂で行われていましたが、
そのすぐ前に、学院の第二の校歌として親しまれている平岡精二さんが作詞、作曲
し、ペギー葉山さんの歌で大ヒットした「学生時代」の歌詞と直筆の楽譜が刻まれ
た歌碑が建てられています。平岡氏は学院出身で、昭和30年代のスウィング・ジ
ャズ時代に活躍された名ビブラホン奏者。学院の校歌も作曲していますが、ジャズ・
プレーヤーが校歌を作曲しているのは珍しいのではないでしょうか。記念礼拝堂は、
正門から入って右側、3つ目の建物です。説明会の帰りに訪ねてみませんか。
(次回は、学習院幼稚園、成城幼稚園についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 国立附属幼稚園編(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第18号
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名門幼稚園の保育方針 国立附属幼稚園編(2)
この他の国立附属の幼稚園は、以下のとおりです。
【東京学芸大学附属幼稚園 竹早園舎】
★教育目標★
本幼稚園では、いろいろな個性を持つ子どもたちの交流を通して、豊かな人間
理解を根底とする社会性の芽生えを培うことを基本とし、幼児が主体的に行動
できる環境を通して、自主性・創造性を育て、健康・明朗で個性豊かな民主的
人格の芽生えを培うことを目標とするものである。これを受けて竹早園舎では、
・自分なりのやり方で一生懸命に取り組む
・友達と共感しあう
・自分の役割を最後まで果たそうとする
を教育目標としている。
募集園児数は、男児15名・女児15名 計30名。
通園地域制限は、願書提出の時点で保護者とともに東京都23区内に居住し、
自宅から本園まで、幼児が徒歩または公共の交通機関を使用して35分程度ま
でで通園できる者で、入園後もこの地域内に保護者とともに居住する者。ただ
し、受験のための一時的な住所の変更(寄留)は一切認めないとなっています。
選抜方法は、抽選で第一次選抜合格番号発表、第二次選抜、発育総合調査、第
三次選抜で抽選。
平成27年度の入園調査の結果(平成28年4月入園)
募集人数 男女 各15名
応募数 男 266名 女 257名
第一次合格者数 男 25名 女 24名
抽選合格者数 男 15名 女 15名
(平成29年3月5日のホームページより)
【東京学芸大学附属幼稚園 小金井園舎】
★教育目標★
人や身近な環境にかかわる中で、自主性と創造性を持ち、明るくのびのびと自
己発揮する子どもを育てる。一人一人を生かす保育。
・感動する子ども
・考える子ども
・行動する子ども
募集園児数 3歳児 約50名 うち若干名は障害のある幼児とし、選考は別
枠で実施。
通園地域制限は、指定した通園区域内(小金井市の一部、国分寺市の一部、小
平市の一部)に願書提出当日に在住する者で、保護者または代わりの者が付き
添い、徒歩で通園できる者となっています。
選抜方法は、第一次検定は抽選、第二次検定は面接と観察。
なお、障害のある幼児の入園志願者募集については、ホームページに紹介され
ていますのでご覧ください。
ところで、東京学芸大学附属の小学校は、竹早小学校、大泉小学校、世田谷小
学校、小金井小学校と四校あって中学まで進めますが、高校は一校しかありま
せんので、それぞれの中学校から約五分の三しか進級できません。成績優秀な
生徒だけが集まりますから、合格実績がさん然と輝きます。
平成28年度は東大57名(57名)、慶大148名(54名)、早大177
名(46名)合格、( )内は進学者数。一時、高校進学辞退者もいて東大
の合格実績も下降気味と報道されていましたが、この実績が魅力になっている
のは間違いないでしょう。
【千葉大学教育学部附属幼稚園】
★教育目標★
・明るくすなおな子ども
・進んでとりくみやりぬく子ども
・考える子ども
・協力しあう子ども
募集人員は3歳児、男児約14名、女児約14名、4歳児、男児約14名、女
児約14名。
通園地域制限は、出願時現在、千葉市の下記指定地域に保護者とともに住居し
ている者。
中央区、稲毛区(園生町は京葉道路からJR総武線寄り)・花見川区・美浜区・
若葉区殿台町(高品交差点から千葉若葉消防署殿台出張所前を結ぶ道路以南)。
選抜方法は、第一次選考、第二次選考(抽選)。
なお、応募者の公表はありません。
【埼玉大学教育学部附属幼稚園】
★具体的目標★
子どもの自らのびる力を育てる。
・健康で明るくたくましい子ども
・自らすすんで人とかかわり友達と仲良く遊べる子ども
・のびのびと表現し、創造性豊かな子ども
募集人員は3年保育、男女計約20名、2年保育は、附属小学校の定員数の削
減により平成25年度(平成24年11月実施)から、男女計約10名に変更
されました。
通園地域制限は、通園区域内に、公示日現在、保護者と同居していて徒歩で通
園できる者。
さいたま市浦和区(常盤・高砂・元町)、南区(別所・鹿手袋)、桜区(西堀)、
中央区(大戸・新中里)など、詳細は募集要項をご覧ください。
選抜方法は、第一次検査、第二次抽選。
なお、応募者の公表はありません。
国立附属幼稚園の場合は、地域指定や通園方法にも徒歩などといった条件があ
り、平等を期すために考査前や合格後に抽選のあることがもどかしいところで
しょう。「抽選があるから」と早くから準備をされない方もいるようですが、
抽選で受験資格を得てからでは、せっかくのチャンスを無にすることになりか
ねません。ご両親には面接の対策を、子ども達には「お母さんのもとを離れて
も楽しいことがある」ことをきちんと体験しておく必要があります。
(次回からは、私立の幼稚園についてお話ししましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 国立附属幼稚園編(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第17号
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名門幼稚園の保育方針 国立附属幼稚園編(1)
今回から4月にかけて、名門幼稚園の保育方針などを紹介しましょう。
紹介する幼稚園は、国立附属を除き、筆者が入園説明会へ参加した幼稚園であ
ること、そして募集人員は平成28年秋に実施したもので、平成29年秋のも
のではないことをお断りしておきます。
最初に、悠仁様が通っていたお茶の水女子大学附属幼稚園から紹介しましょう。
ご存知のように悠仁様は、お茶の水女子大学附属小学校へ進学されました。
【お茶の水女子大学附属幼稚園】
国立のお茶の水女子大学、私立の日本女子大学といえば、我が国、女子教育の
最高学府。そのお茶の水女子大学の附属幼稚園で、自由保育の発祥の園です。
地下鉄丸ノ内線の茗荷谷駅から徒歩十分足らずの所にありますが、文京区の文
教地域だけに、朝などは幼稚園児から大学生で大混雑をします。お茶の水は幼
稚園から大学まで、東京学芸大学附属竹早は中学まで、筑波大学附属小学校、
そして跡見学園があるからです。
この幼稚園に入るのは大変です。例年、男子は倍率20倍、女子となると30
倍を越し、同附属の小学校の女子は例年70倍前後のようですから、まだ、い
いのかもしれませんが、この倍率を聞いただけで遠慮したくなります。
教育の目的、姿勢の中に、自由保育の真髄が述べられています。
★教育の目的★
お茶の水女子大学附属幼稚園は入園した幼児を保育して、心身の発達を助ける
事を目的としています。特に、次のような子どもに育てようとしています。
・からだがじょうぶで、元気がよい。
・自分のことは自分でする。
・友達と仲良く遊ぶ。
・ものごとにいきいきとした興味を持つ。
・思ったことをはっきりと話し、人の話をよく聞く。
・創意工夫したことを楽しんで表現する。
本幼稚園は、お茶の水女子大学の附属として幼児教育の理論と実際に関する研
究をします。本幼稚園は、お茶の水女子大学学生にとっての保育、教育の実習
と研究の場であります。本幼稚園は、研究や保育の実際を公開して、幼児教育
の進歩向上のために貢献します。
★教育の姿勢★
本園では、幼児期の特性を踏まえ、それぞれの子どもが自分でやりたいことを
見つけ、自分から人や物や環境にかかわって遊びに取り組んでいくことを重視
しています。従って一日の過ごし方は、その子どもの興味や関心によってそれ
ぞれに異なります。一人ひとりの思いに沿った生活の自然な流れを大切に考え、
同じ事を同じ時に、どの子どもにも教え込むようなことはしていません。その
時々に、一人ひとりに合わせた指導を行って、個々の子どもの興味や意欲、自
ら考え行動する姿勢を育てようとしています。意欲を持って自分から始めた遊
びを十分行うことを通して、子ども達の中に充実感、満足感がもたらされます。
その充実感、満足感は、保育者との信頼関係、友達との様々な触れ合いなど、
人との関係の中でより大きなものになっていくと考えます。自然な生活の中で、
人と人が十分触れ合い、多様な感情を体験していくことが大事なことだと考え
ています。
国立附属の幼稚園だけに、誰でも入れるわけではありません、応募資格があり
ます。
保護者と同居し、幼稚園からおよそ半径3km内で、荒川区、北区、新宿区、
千代田区、台東区、豊島区、文京区と指定地域があり、徒歩または公共の交通
機関で通園できるものとし、上記の条件を満たしていない場合は、たとえ出願
しても入園資格はないものと決められています。
「保護者と同居」は、都内に住む祖父母の所へ、住所を移すだけでは受験でき
ないことであり、「出願しても入園資格はない」とは、上の条件を満たしてい
なければ、たとえ合格しても入園を認めないということです。
募集人員は3年保育、3歳児男女各約20名、2年保育、4歳児は男女各約
10名。
平成28年度は、3歳女児326名(約16,3倍)、3歳男児244名
(約12倍)、4歳女児256名(約26倍)、4歳男児156名(約16倍)
ですから、前年度より下回っていたとはいえ、まさに狭き門であるわけです。
(データは、平成28年秋に実施されたもので、平成29年2月25日現在の
同幼稚園のホームページより転載したものです)
さらに、選抜の方法が厳しいのです。
第一次検定が抽選です。
何とか受験資格の幸運に恵まれても、合格の保証はありません。
第二次検定は試験と親子面接を受けます。
抽選後、試験まで一週間ほど間があります。
現在は両親面接ですが、かつては保護者一人でしたから、お母さん方にはたい
へんな時代がありました。
そして第二次検定を通過しても、最後の関門が控えています。
第三次検定は、またしても抽選があり、当選者が入園候補者になります。
第二次検定は、行動観察と親子面接です。
行動観察といっても、子ども達は好きなおもちゃなどで遊びが中心ですから普
段着でいいわけです。
もちろん、初めての場所で遊びますからかなり緊張します。
しかし、幼児教室や塾へ通い、「お母さんのもとを離れても楽しいことがある」
ことを知っていれば、子ども達はすぐに対応できます。
問題は、お母さん方です。
両親面接といっても、多くの場合はお母さんが一人で参加しているようです。
「合否の鍵は、私の面接次第ではありませんか!」
気の弱いお母さんは、胃が痛くなるほどプレッシャーがかかるそうです。
抽選に当たってからの準備では、当然ですが間に合いません。
「抽選があるから」と安易に考えずによく研究をされ、心の準備をしてから願
書を出しましょう。
教育目標に書かれているのは、幼児教育に関していろいろな実験をし、その成
果を見に全国の幼稚園の先生方が見学に来ますし、幼稚園の先生を目指す学生
さんの担当する実習時間もあり、普通の幼稚園では考えられない保育があるこ
とです。
いろいろな実験とは、単純に考えるとデータがほしいわけです。
「こういう保育は、どうだろう?」
という理論に、どのような反応があるか知りたいのですから、積極的に応えて
くれる子ども達が歓迎されるというわけでしょう。
さらに、見学者が大勢やって来ます。
周りの雑音に左右されずに順応できる子でしょう。
過保護、過干渉な環境で育てられた子ども達には合わないでしょうし、神経質
な子だと、正直にいって疲れはてるのではないでしょうか。
やはり、心身共に健康な子ども達ということでしょう。
女の子にとっては、入園できれば本人の努力次第で、内部特別進学で天下のお
茶大に進める道もあるようですから、お母さん方が熱く燃えるのも無理のない
話ですね。
このように国立附属の幼稚園は、一般の幼稚園と同様に幼稚園教育を行うほか、
附属幼稚園として大学の連携のもと、学生の教育実習を行うと共に、幼稚園教
育の内容、方法について実証的、実験的教育を行う使命を持っていますから、
入園を希望するご両親は、この主旨をしっかりと理解し応募すべきですね。参
考までに、昨年の説明会の日時を紹介しておきましょう。
平成29年度説明会
日 時 平成28年7月9日(土)(時間は掲載されていません)
場 所 同女子大学講堂
式次第 1)園長挨拶
2)本園の歴史、教育の目的、使命について
3)本園の教育の基本的なあり方について
4)DVD「幼稚園の生活」上映
5)今後について
お願い 大学内には駐車場、駐輪所はありません。来校される際は、徒歩或い
は公共の交通機関をご利用ください。近隣の道路や車道への駐車は、地域の方
の迷惑になりますので、ご注意ください。
「子供同伴不可。園舎、園庭見学無し。質問不可。時刻厳守、定刻後の入場不
可」は削除されていますが、ホームページに掲載されますから、確認されてか
ら参加してください。
(平成29年2月25日現在のホームページより)
(次回は、この他の国立附属幼稚園を紹介しましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>お受験、少し怖いですね
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第16号
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お受験、少し怖いですね
3年保育の幼稚園へ行かせるとなると、入園テストは、毎年、秋に行われてい
ますから、早生れの子は、2歳で受験です。
まさに受験戦争の低年齢化です。
たとえば、かつて皇室の方が通われていた学習院幼稚園ですが、定員、男女各
26名、計52名に対して約10倍の応募者があったそうですから、500名
前後の受験生が集まったことになります。
合格者は10人に1人、名門の幼稚園の倍率は、10倍前後と考えられますか
ら、大変な難関を突破しなければなりません。
受験を考えているお母さん方は、偏差値教育の洗礼を受けてきた、バリバリの
元受験戦士が多いと思われます。
すると、倍率から察して、「合格イコール、何でもできる、頭のいい子!」と
考えないでしょうか。
大きな書店へ行くと、入園試験問題集が売られています。
「赤い花が、何本ありますか」
「赤い花と青い花ではどちらが多いですか」
などといった、いかにもテストらしい問題が掲載されています。
2、3歳の受験生ですから、試験の形式は、具体物や絵に描かれたものを使用
する口頭試問です。
こういった問題集を手に取ると、いきなり本番では、できるわけはないと考え
るのは当然でしょう。
さらに、幼稚園受験のための幼児教室もたくさんあります。
「○○幼稚園へ××名合格!」
などを見ればあおられます。
お母さん方の多くは、塾で鍛えられた経験の持ち主ですから、準備が必要だと
思わないわけがありません。
しかし、受験生は2歳、3歳の幼子です。
いろいろな能力の差など、はっきりと表れるものではないでしょう。
ですから、幼稚園で難しい試験をやるはずはありません。
なぜなら、子どもを見たら、どんな環境で育てられているかわかります。
子どもは、嘘をつきませんし、演技もできないはずです。
幼稚園側は、どういった子に育てられているかを知りたいわけです。
最近、電車に乗って感じるのは、しつけのできていない親子に会うことです。
お菓子を食べる子、走り回る子さえいます。
スマホを見ているお母さんは注意もしません。
お母さん方の名誉のために付け加えますが、本を読んであげたり、靴を脱がせ
て外を見させたり、混んでくるとお子さんをひざの上に乗せるお母さん方も、
たくさんいます。
普段のしつけ、生活習慣ではないでしょうか。
幼稚園の試験も、これだと思います。
字も読めない、書けない子どもの試験です。
試験は、遊びを通して行われています。
子どもの仕事は遊びですから、遊ばせて見れば、ほとんどのことはわかります。
例えば、遊びたいおもちゃが一つしかなければ、子どもは育てられている環境
で応えます。
お母さんのもとを離れて遊ぶ経験が少なければ、遊びに入っていけないでしょ
う。
答えは、すぐ出るのではないでしょうか。
テスト会場で、無心に遊ぶ子どもたちの一つ一つの動きから、表情から、無邪
気な反応から、笑顔から、ちょっと困ったなといった表情から、ご両親の育児
の姿勢が、はっきりと現れるものです。
過保護は過保護なりの、過干渉は過干渉なりの結果が、正直に顔を出します。
このことです……。
これは、受験準備のためだけに、無理やり培われたものではないはずです。
ご両親が手塩にかけて、大切に育ててきた根っこから芽生えた、小さな芽です。
そこを幼稚園は見たいのです。
無理に咲かされた花を見たいわけではないでしょう。
繰り返しますが、幼児期は花を咲かせるときではありません。
キチンとした花を咲かせるのに必要な、土台を作るときです。
促成栽培をすれば、たとえ花は咲いても、すぐに枯れてしまうでしょう。
自然に逆らっているからです。
そこを勘違いして、知識を詰め込む、いわゆる中高大の受験と同じような感覚
で準備をしたら、どうなるでしょうか。
子どもの体も頭も、まだ、そんな訓練に耐えるだけの発育をしていません。
入園テストの合否の比率は、親の面接8割、お子さんの成長度2割といわれて
います。
人間は、話をしてみるといろいろなことがわかります。
姿、形ではありません、人間性です。
学歴、職業、言葉遣い、服装などが合否のポイントなどと言われているのは、
単なるうわさに過ぎません。
ご両親の人間性です、育児の姿勢です。
今までの生きてきた姿が、取り組んできた育児の結果が全部、出ます、まだ中
間報告ですが。
絶対に、付け焼刃は効きません。
ご両親の育児の姿勢が、幼稚園の保育の方針と限りなく近く、共通認識があれ
ば、それが志望理由となり、幼稚園から歓迎されることになるわけです。
直接、試験を受けるのは、お子さんですが、採点されるのは、ご両親です。
これが幼稚園の受験です。
そして、お子さんは、親のもとを離れて、生れて初めて入った園舎で、初めて
会ったお友達と一緒に、初めて会った先生の言うことを聞き取り、答え、態度
で表すといった入園テストを受けることになります。
自力で判断し行動しなければなりません。
こういった経験をたくさん積んでおかなければ、テキパキと対応できないでし
ょう。
ご両親には、志望される幼稚園の情報を的確に伝え、お子さんには楽しく受験
準備をさせてくれる、幼児教室選びのポイントは、ここにあるのです。
記憶だけに頼った知識の詰め込みなら、おもしろくありませんから、簡単に忘
れてしまうでしょう。
高校、大学と散々苦しい思いをして覚えさせられた英単語、役に立っています
か。
幼児には、五感を刺激する体験が必要です。
覚えた知識の量より、体験して身についた知恵の量です。
記憶したことは、忘れやすいものです。
しかし、楽しく体験したことは、体が覚えています。
自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくても、すぐに乗れるようにな
ります。
この違いです。
記憶は、大脳神経系の仕事です。
大脳神経は、覚えることも仕事ですが、忘れることも仕事です。
体験は、中枢神経系の仕事です。
中枢神経は、体が覚えたことを忘れません。
全身で学習しているからです。
幼稚園や小学校の受験、早期教育を含めて、ご両親が教育に対して信念といい
ますか、きちんとした考えをお持ちでしょうか。
言葉を代えましょう、将来、どういった道を歩んでほしいとお考えでしょうか。
そのスタートラインに立つのが、幼稚園の選択にあたるわけです。
なぜ、その幼稚園を選ぶのでしょうか。
ご両親の育児の姿勢と、選ばれる幼稚園の保育の方針に、矛盾はありませんか。
希望される幼稚園への合否の鍵は、ここあるのです。
通っていらっしゃる幼児教室で、こういった指導を受けていると思います。
次回から、幼稚園の保育方針について、説明会で伺ったことを中心に紹介して
いきたいと思います。
最後に、「春一番」は立春後に初めて吹く南風ですが、気象庁は2月17日、
関東地方に春一番が吹いたと発表。川越市の郊外には名物の芋畑があり、砂埃
がすごかったですね。昨年は2月14日で、ちなみに最も早かったのは昭和
63年2月5日、最も晩かったのは昭和47年3月20日だそうです。春一番、
英語では“The first spring storm”
と言うそうですが、昨年の今頃は、「センテンス スプリング」が吹き荒れて
いました(笑)。
(拙著メルマガ「情操教育歳時記 日本の伝統行事と昔話」16号より)
〈次回は、有名幼稚園の保育方針1をお話しましょう〉
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備ですよ(7) 四季を楽しんでほしい(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第15号
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独り立ちの準備ですよ(7) 四季を楽しんでほしい(2)
南禅寺の掲示板の説教詩に、こういったものがあったそうです。
「そうです」と他人事のようで申し訳ないのですが、評論家、佐高信氏の作品
の中に紹介されていたからです。
花は黙って咲き
黙って散っていく
そうして再び枝に帰らない
けれどもその一時一処に
この世のすべてを托していく
一輪の花の声であり
一枝の枝の真である
永遠にほろびぬ命のよろこびが
悔いなくそこに輝いている
(講談社文庫「官僚たちの志と死」〈P148-149〉佐高 信 著 講談社 刊)
食卓にのった1匹の魚もそうです。
人間に食べられるために生きているわけではありません。
しかし、何もいわずに、黙って食べられています。
人間は、魚の世界では殺魚犯ですよ。
しかし、敵討にきません。
万物の霊長などと、何とも傲慢な考えでしょう。
感謝する気持ちを持たないと、罰が当たります。
私たちの生命、他の生き物の献身的な支えによって、何とか守られているのです。
謙虚にならないといけないのではないでしょうか。
生命、無駄にできません。
「蓮如 われ深き淵より」や「親鸞」などの作品を通して、宗教の世界をやさ
しく説いてくれる五木寛之氏は、こうおっしゃっています。
私たちは、いわしやさんまを食べるとき、うまいと思う反面、人間は何と
残酷な生き物だろう、お許しくださいと無意識のうちに考える感覚がどこ
かに残っている。しかし、ハンバーガーを食べているときは、そういった
感覚はほとんどない。ましてやカロリーメイトだったりすると、まったく
ありません。食生活がバーチャル・リアリティ化している。その結果、私
たちはまだしも、子供たちは、食生活の上でも、生命の重さとそれを消費
して生きている自分という存在の残酷さを実感するチャンスがなくなって
います。 (「他 力」五木寛之 著 講談社 刊 P144)
厳しさもあります。
鮭の回遊です。
海亀の産卵です。
きちんと季節を守って、遥か彼方の太平洋の海の底から、やってきます。
横着な鮭や海亀は、いるのでしょうか。
みんな必死です、生命をかけています。
子孫を残すためと考えているかどうかはわかりませんが、頭が下がります。
卵を産むときの鮭の顔、見たことありますか。
すごいです、恐いです。
海亀のお母さん、泪を流しながら卵を産んでいます。
種族保存の本能、と軽薄に片付けるわけにはいかないでしょう。
感動します、感激します。
人間も、きっちり生き抜かなければいけません。
ちょっと、顔が赤くなりますが、もう少しです、我慢してください。
季節は、いってみれば自然界の生命の変遷、そのものです。
生者必滅を、きっぱり、静かに、はっきりとみせています。
学ぶべきことが、たくさんあります。
幼児期には、難しい理屈はいりません。
五感で感じる感性を大切にしてほしいと思います。
季節折々の変化を、きちんと目に収め、音色やさざめく音を耳で聞き取り、生
命の息吹や香りを鼻でかぎとり、旬のものを口で味わい、感触を手で確かめ、
肌で、体で、心で感じ取ってほしいのです。
幼児期は、花を咲かせるときではありません。
大きくはばたくために、しっかりとした根を張るときです。
その根っこに、成長に必要なエキスを、たっぷり注ぐときです。
そのエキスは、知識を詰め込むことではありません。
好奇心や、疑問の目を育てることです。
「何だろう、これ?」
ここから、知ろうという気持ちがわきます。
意欲です。
やる気です。
幼児期は、これらを育てる時です。
ですから、机の上で、記憶に頼って、頭にだけ知識を叩き込むときではないの
です。
人より一歩先んじて、知識を身につけても、どうということもありません。
たとえ、加減乗除ができても、漢字の読み書きができても、それを日常生活で
使えなければ、どれだけの意味があるというのでしょうか。
目先の成果だけを追い求める時ではありません。
四季と、もっと仲良くしてほしいと思います。
四季ほど、よくできている教材はありません。
四季ほど、素晴らしい先生もいません。
しかし、四季は、お世辞をいいません。
人間におもねることもありません。
ですから、己れ自らが扉を叩かないことには、応えてくれません。
何やら、難しくなってきました。
「ルカによる福音書」に書かれていることですが、様になりませんから止めま
す。
四季やありがたし。
この言葉の方が自然です。
この気持ちを大切にしてほしい、私は心から、そう思います。
四季との交際マニュアルをご自身で作ってください。
そして、楽しい思い出を、たくさん残してあげましょう。
子どもは、当たり前のことですが、親を選べません。
お母さんは、子どもにとって、この世に生命を授けられて、ご対面した、その
時から、たった一人の「お母さん」です。
お父さんも同じですが……。
「ママに、育てられてよかった!」
こういわれるお母さんになってください。
お母さんなら、なれます。
何にもできなかった赤ちゃんを、ここまで育ててきたのは、お母さんではあり
ませんか。
自信をもってください。
よいお手本を見せてあげればいいのです、よいお手本を。
難しく考える必要はありません。
育児をしながら、育自をすることです。
自分を磨くことです、心を、です。
子どもを育てるのではなく、子どもに育てられると考えましょう。
そうすれば、お子さんも、お母さんの期待に応えてくれます。
お父さんも同じです。
男は黙ってとはいいませんが、よいお手本を見せましょう。
不言実行です。
それが育児の基本ではありませんか、私は、そう思います。
幼児期は、お父さんやお母さんの人生にとっては、まさに、ゴールデン・アワ
ーです。これほどまでに二人が力を合わせて何かをする時は、もうないかもし
れません。
ですから、お受験にしても早期教育にしても、二人で力を合わせて本気で取り
組んでほしいのです。
特に、お父さんの協力がないと、お母さんは、曲がりがちです。
それで、だれが被害者になるのでしょうか。
お子さん自身です。
子どもは、幼児期に体験したことを、そのまま背負って生きていくことを、肝
に銘じておきましょう。
「三つ子の魂、百まで」は、けだし名言ではないでしょうか。
注 ルカによる福音書〔第11章 1-13節〕
「求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開
かれん」
(次回は、「お受験、少し恐いですね」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(6) 四季を楽しんでほしい(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第14号
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独り立ちの準備ですよ(6) 四季を楽しんでほしい(1)
日本には、四季があります。
しかし、日常生活には四季の気配が希薄になってきました。
四季折々の変化を演じてくれる自然に、本当に申し訳ないと思います。
日本の伝統のある行事も、四季折々の節目として、祝っていたのですが……。
最近、祝祭日に国旗を掲げる家を、ほとんど見かけなくなりました。
若い人は、元日に、朝祝いもしないと聞きます。
雑煮の代わりに、ハンバーガーとコーヒーで済ませ、それでも初詣には出かけ
るようです。
日本の神さまは、建国以来、和食派です。
洋食を食べて願をかけて、神様は聞いてくれるのでしょうか。
しかし、ひな祭り、端午の節句や七五三などには、お金をかけて盛大に祝って
います。
年中行事も、私の子どもの頃と違ってきました。
自然への素朴な感謝ではなく、豪華なセレモニーになったように思います。
言わずもがなですが、バレンタインデーにクリスマス、ハロウィンは、日本の
オリジナル行事ではありません。
クリスマスは子どもの夢ですから許せますが、バレンタインデー、あれはチョ
コレート会社の陰謀ではないでしょうか。
ところで、お祝いには欠かせない飾り物があります。
たとえば、正月の門松一つとっても、懐かしい思い出が浮かんできます。
これは、父から、よく聞いた話ですが、なぜ、門松は、松、竹、梅で飾るのか……、
このことです。
「松は常緑樹で、一年中、葉の色は緑色だから、元気で、健康であることを表
している。竹は、まっすぐに伸び、強い風にあおられても、逆らうことなくゆ
ったりとしのいでいる。雪が積もっても枝は苦しそうだが、しなって耐えるか
ら、雪は滑り落ちてしまう。他の木のようにポキンと折れない我慢強さがある。
しかも、竹の中は空っぽで、五月の空に泳ぐこいのぼりのように、腹に一物も
なく正直で、『竹を割ったような性格』は、ここから出ている。梅は、寒風に
さらされても、リンと咲く。あの小さなつぼみが、いい。強くて、しかも咲く
姿は、清らかだ。このように門松には、健康で、我慢強く、清く、強く生きる
願いが込められている」
と教わったものです。
季節折々の行事は、自然に対して感謝する気持ちを表したものでした。
そして、家族の幸せを願って、家族みんなで祝ったものです。
いろいろな行事の意味を、親が子どもに教え、楽しく祝い、思い出として心に
残してあげ、自分が親になったときに、その楽しい思い出を子どもに伝える、
そんなしきたりがありました。
しかし、これだけ季節感が希薄になってくると、季節折々の行事も、しっくり
しないのも無理のないことかもしれません。
冬にすいかを食べられるのですから、季節に対する感覚が、おかしくなるのも
当然でしょう。
便利になると、その分、失うものも出てくるといわれていますが、その通りで
はないでしょうか。
品質改良、温室栽培、冷凍技術、そして輸送手段などの進歩は、目覚しいもの
がありますが、季節は、そんなことに一切、こだわりません。
きちんとけじめをつけてくれているのですから、感謝して、それに応えなくて
は、罰が当たると思います。
食べ物には、旬があります。
魚介類、野菜、果物など、いちばん味のよい時期があります。
鰹のたたきが、真冬に出てくると、気持ちが悪くなります。
秋刀魚の塩焼きを、桜の花を見ながら食べるなど許せません。
鰹は初夏、もっとも戻り鰹という旨いものもありますが、秋刀魚は秋に食べな
いと、魚に申し訳ないと思っています。
しかし、現代っ子は、好んで魚を食べないようです。
魚は、体にもよく、頭のよくなる養分も入っているのですが……。
はしを、うまく使えないのではないでしょうか。
煮魚や焼き魚を食べるのは、はしさばきが容易ではありません。
しかし、手先の器用な子の知的な能力が高いのも、事実です。
はしをきちんと使って食事ができるように心がけているお母さん、少ないので
はありませんか。
幼児期は、机の上で記憶力だけに頼る勉強より、手を使う作業の方が大切であ
るといっても信じてもらえないようですが、科学的にも実証されています。
「手は第二の脳」といわれているのですが……。
小さい時は、お母さんが、食べやすく、ほぐしてあげましょう。
さばのみそ煮、おいしいですよ。
お母さん方も魚の料理は、生臭いし、面倒ですから、苦手ではないでしょうか。
一匹の魚を三枚におろせるお母さん、少ないでしょうね。
スーパーへ行けば、そんな手間を、みんな省いてくれますから。
便利になった分、横着になっていませんか。
旬の魚は、しっかりと季節を示してくれています。
話は違いますが、筆記用具の持ち方のおかしな学生さん、かなり、います。
はしをきちんと持って食事をしていないと思います。
これは、書道の先生からうかがった話ですが、試してみましょう。
ご飯を食べるように、はしを1膳持ち、1本、抜き取ってください。
筆記用具を持つ形になっていますね。
残ったはしは、鉛筆を持つように、きちんと、正しく、美しく持てていれば、
はしをきちんと持って食事をしていることになるのです。
おかしなはしの持ち方をして、ご飯を食べている若い人、よく見かけます。
これも、しつけです。
小さい時に、はしをきちんと持って食事をしていなかったのでしょう。
食事は、日に三度のことです。
形は心を作るともいわれています、「心」をです。
「鉛筆の持ち方一つで、育児の姿勢がわかる」という人もいますが、納得でき
ますね。
平成28年の立教女学院小学校の説明会で、教頭先生は、こうおっしゃってい
ました。
「今年も、はしを使った問題が出たとしても、はしで物を運ぶ速さを競ってい
るのではなく、日本の文化である正しいはしの持ち方ができているかを見るも
のです」
賢いお母さんになってほしいですね。
ところで、肉に季節の感覚はあるのでしょうか。
熊、猪、鴨などは、きちんと季節感を誇示していますが、野生の名残をしっか
り持っていますから、味に癖があります。
ですから、子どもの好みに合いません。
牛や豚、鳥の肉は、どうでしょう。
一年中、顔をみせています。
子どもたちの好きなハンバーグステーキやカレーライスに、旬はあるのでしょ
うか。
私は、肉より魚ですから、よくわかりませんが、ないでしょうね。
作られている方には申し訳ありませんが、みんな同じ味がします。
聞いただけで胃がもたれる感じのする年ですから、聞き流してください。
しかし、ブロイラーや卵を見ていると、日本の教育の縮図を見せつけられてい
るような気になります。
「個性を伸ばしてあげたい!」といって、スーパーで惣菜を買って済ませるよ
うでは、みんな同じ物、同じ味の物を食べていることにならないでしょうか。
何百羽といる鶏小屋で、ひたすら卵を産む鶏と重なりませんか。
野菜、これは旬の塊ですが、キャベツは、今は一年中食べられます。
きゅうりやなす、トマトやかぼちゃは、夏の風物詩です。
私は、もぎたてのきゅうりの味が忘れられません。
母が、大ざっぱに皮をむき、パラパラと塩をかけるだけですが、これがおいし
かった。
今、食べているきゅうりには悪いのですが、お日さまの味がしません。
しかし、風物詩、この言葉、死んでいます。
風鈴の音色で、いざこざが起こるのですから。
風物詩どころではありません。
音色、「ねいろ」……、いい言葉ですね。
果物、これは、完全に季節を無視されているものがあります。
いちごなどは、一年中、ショートケーキと仲良しです。
ちょっと不節操ではないかと責めるわけにはいきませんね。
人間が、勝手にやっていることですから、いちごに責任はありません。
いちごは、温室に責任を取ってもらいたいでしょうね。
しかし、自然の中で育っている果物は、頑張っています。
みかん、ぶどう、柿、梨などには、季節感があります。
花は、どうでしょう。
純粋な心を持つ正統派の野生の花は、きっちり筋を通しています。
梅と桜は、狂い咲きしない限り、季節に従順です。
入学式にコスモスでは、いくら漢字で「秋桜」と書いても、様になりません。
紫陽花は梅雨に欠かせませんし、朝顔や向日葵は、聞いただけで汗が出ます。
菊となると秋です。
私は、小さな野菊が好きで、香りも馥郁(ふくいく)として、こたえられませ
ん。
しかし、あの大きな菊ですが、愛好者には申し訳ありませけれど、「私、咲い
ているの!見て! ちゃんと見なさい!」とばかりに、辺りをにらみつけてい
る感じがして、何やら恐い感じがします、偏見ですが。
コスモスもいいです、あのたおやかな感じが何ともいえません。
しかし、強いのです。
豪雨に叩きつけられても、しばらくすると立ち直ります。
そのけな気なところが好きですね。
ちょっとキザですが、季節は、何やら崇高な哲学者の雰囲気を持っています。
たとえば、花です。
きれいですが、短命です。
子どもに何か教えられませんか。
力いっぱいに咲くことの素晴らしさと、生命の大切さなどです。
小さな、弱々しいスミレにしても、精一杯に咲いています。
しかし、人間に、「きれいな花だこと!」などと思われたくて、咲いているわ
けではないでしょう。
でも、本当にきれいです。
なぜでしょうか。
自然だからではないでしょか。
与えられた生命を真っ正直に生きている感じがします。
咲いている様子を評価されると思っていないからでしょうね。
教えられます。
(次回は、独り立ちの準備ですよ7 四季を楽しんでほしい(2)について
お話しましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(5)知識を詰め込むより情操教育です
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第13号
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独り立ちの準備
(5)知識を詰め込むより情操教育です
情操教育、これも絶対に手を抜くことはできません。
分化されてきた情緒に、知的な刺激を与えてあげる、方向付けです。
何だか、難しい言葉が並びましたが、心配はありません。
わたし流に解釈すると、こういうことではないかと思います。
善いことをするとこうなるとか、悪いことをしたり弱いものをいじめていると、
このようになるとか、お母さんのように怒ってばかり、訂正、お母さんではな
く、怒ってばかりいると情緒不安定になるとか、要するに、心を育てていくこ
と、こう考えれば間違いないでしょう。
それには、本を読んであげる、これが最も良い方法だと思います。
ほとんど絵だけの本から、少し字が増えた絵本に変わってきていませんか。
まだ、話は短いですが、短いなりに物語風になってきているのではないでしょ
うか。
面白い話には、表情も和みます。
恐い話になると、恐そうな顔になります。
悲しい話になると、女の子は涙ぐみます。
幼いなりに、いろいろな情緒が育ってきていることがわかります。
これに刺激を与えてあげれば、いいのではないでしょうか。
絵のきれいな絵本、夢を与えるような本がいいと思います。
注意をしながら読んでみると、幼児の読む本も、理路整然とはいきませんが、
いつ(when)どこで(where)だれが(who)なにを(what)なぜ(why)
どのように(how)という、[5W+1H]から成り立っているものです。
もちろん、幼児が、「いつ、どこで」などと意識をしながら聞いているわけ
ではないでしょう。
しかし、「ノンタンは、なぜ、泣いているのだろう?」などと考えながら話
を聞いているに違いありません。
話を筋道立てて聞く練習になっています。
しかも、無意識の内に学んでいます。
これは、すごいことではないでしょうか。
そして、話の構成は、「起承結」と「転」がありません。
流れがスムーズですから、聞きやすくなっています。
さらに、「序破急」と「話のテンポ」が速いですから、短時間にのめり込め
ます。
もちろん、幼児の話を聞く持久力、スタミナも配慮されており、話は、簡潔
明瞭で、リズミカルです。
これが、いいですね。
話を聞きながら、わからない言葉が出てくると、
「ママ、ニジって、なあに?」
虹の意味を、絵本を見ながら、お母さんがわかりやすく説明します。
そこで新しい言葉を覚えます。
語彙が増えます。
話が、おもしろければ覚えます。
まだ、字は読めないにもかかわらず、ブツブツいいながら絵本を見るように
なります。
あれは、読んでもらった本の文章を覚えていて、絵を見ながら思い出してい
るのではないでしょうか。
ところが、なかなか覚えきれません。
その証拠に子どもは、同じ本を何度も何度も、飽きもせずに、読んでくれと
せがみます。
「うちの子、頭が悪いのかしら?」
などと心配されるお母さんがいますが、そんなことはありません。
話がおもしろいから、一所懸命に覚えようとしているのです。
そこから記憶力が培われます。
この記憶ですが、同じ本を何度も読んでもらうことで、1本の弱々しい木が、
しっかりと根を張り、枝に葉を茂らせて、大きな木に生長するように、話は、
一層、明確に再現されていきます。
言葉のイメージ化です。
言葉が完全にイメージ化され、映像と共に記憶されていくのですから、これ
は、すごい学習です。
そして、話は「勧善懲悪」から成り立っています。
よい子は、必ず、報われます。
悪いことをすると、必ず、罰せられます。
やって善いこと、悪いことを、話を聞きながら学んでいます。
たとえば、子どもたちに人気のあるウルトラマンと怪獣の戦いも同じです。
ウルトラマンが負けてしまっては、収拾のつかないことになります。
正義の味方は、必ず勝ちます。
倫理、道徳、善悪、説教をしなくても、きちんと学習しています。
そこから幼いなりに、自前の判断力も培われていくのではないでしょうか。
まだ、あります。
これが最も大切だと思います。
お母さんが感情こめて読んであげると、子どもは、真剣に聞きます。
気持ちをこめて聞きます。
そこから、人の話を静かに、行儀よく聞く姿勢が身につくのです。
これは、幼稚園の受験でも、大切なポイントになります。
お母さん以外の人の話を聞けなければ、テストになりません。
こういった努力を怠っていると、テスト当日に、テスト会場に入れずに、泣い
て終わりといった結果になりかねません。
入園テストは、「お母さんのもとを離れて、お母さん以外の人の話を聞いて、
いろいろなことをしなければならない」からです。
ご家庭できちんと話を聞く姿勢を作ることは、とても大切なのです。
通っている教室の先生方から、そういった指導を受けていると思いますが、い
かがでしょうか。
さらに、「語彙を増やし、言語能力を高め、記憶力をつけ、話を聞く姿勢を身
につけるお勉強です!」という意識は、お母さんにもお子さんにも、全くない
はずです。
無意識の内に、自ら、積極的に、しかも楽しく学習しています。
これが、「教えない教育」のねらいです。
「何ですか、教えない教育って?」
質問が出そうですが、私流に解釈すると、本人は勉強だと思っていないにもか
かわらず、ものすごい勉強をしている教育のことです。
そこから、話を聞く姿勢が身につきます。
しつこいですが、まだ、あります。
子どもに本を読んでとせがまれた時は、たとえ心配ごとがあっても、心にしま
って、話の世界に入っていきます。
お母さんの、表情豊かな、やさしい語りが、何よりのスキンシップになってい
ます。
子どもと同じ土俵に上がっているからです。
赤ちゃん時代の「無償のほほ笑み」と同じです。
最後に、図書館を大いに利用しましょう。
図書館には、幼児用の本がたくさんあります。
最初は、お母さんが選んであげましょう。
そして、雰囲気にも慣れ、お子さんが選ぶようになれば、選んだ本は、読んで
あげてください。
「こんな幼稚な本を」とか「まだ、無理ですよ」といわずに、選んだ本は読ん
であげ、あとはお子さんの判断に任せましょう。
少しずつですが、どういった本が読みたいかわかってきます。
また、紙芝居がたくさんあります。
あれは、いいですね。
なぜなら、紙芝居は、親子で向き合ってしますから、子どもの表情が、よくわ
かり、どのようなことに心が動かされ、興味があるかがわかるからです。
これは、やってみる必要があると思います。
紙芝居の文章は、絵がある分、簡潔に練りあげられていますから、感情をこめ
て読まなければ、絵とナレーションは、生きてきません。
難しいですから、お母さんの勉強にもなり、声を出すことで、お母さん自身の
気分転換にもなります。
ところで、図書室で、本を読んであげているお母さんがいますが、混んでいる
ときは、やはり遠慮しましょう。
こういった配慮は、公共施設を利用する場合のルールです。
子どもは教わらなくても、そういった親の姿勢から、公衆道徳を学習できるか
らです。
今の時期は、「幼稚園入園テスト問題集」を買い込んで勉強をするより、心の
通った会話や、心をこめて本を読んであげることが大切だと思います。
知識を詰め込むことに心を奪われると、お子さんの心は歪み、情緒不安定な子
になりがちです。
教え込もうという意識が働くからです。
情緒の安定したお母さんのもとで、情緒の安定した子が育つのではないでしょ
うか。
情緒の安定したお母さんは、心がやさしいです。
ですから、幼い心に思いやりの心を育むことになるのです。
お父さんにも言っておきましょう。
お母さんの情緒が不安定になるもとを作らないことです。
お母さんは、お父さんが頼りなのですから。
幼児期の情操教育は、お子さんの性格を築く礎になるものともいわれています。
知識を詰め込むより、豊かな心を育むことに目を向けましょう。
今、お子さんは、そういった時期にさしかかっているからです。
(次回は、独り立ちの準備ですよ(6)四季を楽しんでほしいについてお話し
ましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(4)家事、やらせなさい(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第12号
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独り立ちの準備
(4)家事、やらせなさい(2)
名門の小学校の入学試験には、親子で受ける面接試験がありますが、まだ、お
子さんは小さいですから、質問の内容も簡単なものです。
ある小学校の面接試験で、
「お母さんの得意なお料理はなんですか」
と聞かれたお嬢さんが、こう答えたそうです。
「電子レンジでチーンするカレーです」
レトルト食品、おいしくなりましたから一概には言えませんが、それでも手を
抜いていると、こんなことになりかねません。
そして、志望理由を聞かれたお母さんが、
「御校の手作りの教育に賛同いたしまして受験させていただきました」
と答えたそうで、先生方も驚かれたのではないでしょうか。
しかし、笑えません。
お母さんは、真剣に、真面目な顔をして答えたそうですから。
料理は、材料を揃えることから手際よい手順、味付けまで、大変な作業です。
楽しく台所の仕事に取り組む姿を見せてあげましょう。
女の子には、とても大切なお手本です。
ままごと遊びが始まると、お子さんの鋭い観察眼に驚くことがあります。
お手本は、お母さん自身になっているからです。
年齢にふさわしい家事に参加させ、お手伝いさせるのは、とても大事なことで
す。
出来ることから、無理なくさせてみましょう。
何かと物議をかもし出す給食廃止問題。
こういったことはないと思いますが、もし、お母さんが、弁当を全く作ったこ
とがなかったとしたら、子どもも親になったときには、弁当を作らないでしょ
う。
しかし、お母さんの弁当が楽しみだった経験があれば、作ります。
この差ではないでしょうか。
この弁当作りは、毎日のことですから、本当に大変です。
書店に行くと弁当の献立に関する本が、たくさんあることからもわかります。
お母さんが、
「お弁当、おいしかった?」
などと聞かなくても、子どもは、いろいろなことを学んでいます。
献立の苦心、食べる本人が、一番よく知っているからです。
お母さんの真心、絶対に通じています。
男の勝手な思い込みかもしれませんが、おふくろの味は、無償の愛ではないで
しょうか。
1940年生まれの私でさえ、戦後の食料のない時代であったにもかかわらず、
母親の作ってくれた、貧しい弁当の味をしっかりと覚えています。
話は変わりますが、横浜雙葉小学校の入学試験に、お弁当を食べる時間があり
ます。
入学試験に、です。
何を見ているのでしょう。
はしの持ち方から食事のマナーまで、みんなわかります。
もちろん、お母さんの料理の腕前も。
しかし、いくら腕前がよくても骨や野菜の食べられないものが残るのと、食べ
やすい大きさに作った、食べかすが残らない弁当では、どちらがいいでしょう
か。
コンビニエンス・ストアで買って間に合わせるお母さんは、いないと信じます
が、当世気質では、疑問の余地ありかもしれませんね。
やはり、弁当は、愛情です。
多くの方が目指される幼稚園、暁星幼稚園、雙葉小学校附属幼稚園、白百合学
園幼稚園、東洋英和幼稚園、田園調布雙葉小学校附属幼稚園、日本女子大学附
属豊明幼稚園、青山学院幼稚園、学習院幼稚園、成城学園幼稚園などは、すべ
て給食なしで、弁当です。
なぜでしょう。
制服のない幼稚園もあります。
味覚と同じように、服装のセンスも、小さいときから身につくのではないでし
ょうか。
昔のように、服を作ってあげなさいとは言いません。
しかし、ブランド製品で着せ飾るのは、お母さんの趣味でしょう。
でも、センスが悪いと、そのまま受け継ぎます。
こういう子もいます。
着ているもの全部、高級ブランド品です。
しかし、古い言葉ですが、中身は大和撫子です。
でも、今の若い子たち、読めるでしょうか。
「ダイワブシ」などと読まれたら、日本の国籍を返上してもらいたくなります。
しかし、心は育つのでしょうか。
高いのでしょ、ああいうのは。
プライドだけ高くなりませんか。
心は、形に現れるといいますけれど……。
金銭感覚は、どうなるのでしょう。
「ぜいたくは敵」にも「消費は美徳」にも戻りたくありません。
でも、
「これ、イブ・サン・ローランよ、おじちゃん!」
「……?」
返事のしようがないです、私の世代では。
女子大といえば、国立ではお茶の水女子大、私立では日本女子大が思い浮かぶ
方が多いと思われますが、その日本女子大学附属豊明幼稚園には、制服はあり
ません。
制服にあこがれて受験をする女の子がいるといわれるほど魅力のあるものだと
いわれているのですが、なぜでしょうか。
「女子を婦人として教育する」学校の附属幼稚園が、です……。
保育の方針も、他の幼稚園が一斉保育をやっていたときから自由保育です。
個性の尊重ということでしょうか。
話は変わりますが、制服は、全員一緒、「何事もみなさんで、全員集合!」と
いった雰囲気がありませんか。
日本人は、団体行動が好きです。
集団では、すごい力を発揮します。
企業戦士という集団になると、ものすごいことをやります。
だから、日本の企業は栄えたのでした。
ところが不景気になると、情け容赦なく、リストラでお役ご免となり、会社は
赤の他人になります。
終身雇用制度は、幻の制度となりつつあるようです。
「あんなに会社のために働いたのに……!」
お父さんの愚痴、お母さんと似ていませんか。
「手塩にかけて育ててあげたのに……!」
ご主人の仕事も、ご両親の育児も、これだけはさけたいものです。
服装のセンスは、味覚のセンスとともに、小さい時に、きちんとお子さんに伝
えなさいということではないでしょうか。
繰り返しますが、お手本はお母さんです。
これも大事だと思います。
「お母さんの作ってくれるお料理で好きなものは何ですか」
「お味噌汁です」
模擬面接で、こう答えた女の子のうれしそうな顔と、笑顔で応えていたお母さ
んの姿を忘れることができません。
面接で大切なのは、かっこいい受け答えではなく、こういった家庭の雰囲気、
育児の姿勢が、自然と現れるところにあることを記憶しておいていただきたい
と思います。
来週は節分です。孫が3歳のときでしたが、「パパが、お鬼の面をかぶって出
てきたら、怖がって泣き出してしまいました」と長女は笑いながら電話をよこ
したことを思い出します。若い皆さん方は、豆まきをしなかったのではないで
しょうか。子どもの頃は、「物より思い出」が大切です。お父さん、頑張って
ください!
(次回は、独り立ちの準備(5)知識を詰め込むより情操教育です、につい
てお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(4)家事、やらせなさい(1)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第11号
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独り立ちの準備
(4)家事、やらせなさい(1)
三歳過ぎから旺盛になってくる好奇心、これを上手に利用したいものです。
女の子は、お母さんのお手伝いを始めます。
手伝わせましょう。
洗濯物などを一緒にたたみ、自分の物をしまわせる、女の子はやります。
しかも、楽しそうです。
台所にも、顔を出します。
包丁を使っていると、やりたそうに見ているでしょう。
一人で包丁を持たせるのは危険です。
しかし、興味を持ったときがチャンスです。
三歳になれば、はしを使って食事をし、はさみも使えるようになります。
かなり、手先も器用になるはずです。
子ども用の包丁があります。
それで練習すれば、いいのではないでしょうか。
禁止や命令だけ出していると、お母さんのいないときに、そっとやります。
果物などを洗わせるのも、いいでしょう。
これなら男の子もやりたがります。
いちごやみかんは、水に浮くのはわかるのですが、かぼちゃは、沈むはずだと
思っている子、います。
すいかなどは、絶対に浮かないと言い張ります。
見た経験がないからです。
私の子どもの頃は、冷蔵庫といっても、今のように電気で冷やすのではなく、
氷の冷気で冷やしていました。
氷が溶けてしまうと、温蔵庫に代わる不思議な代物です。
そういった冷蔵庫でも高根の花、贅沢品でしたから、縄でしばって井戸に放り
込んで冷やしていたので、すいかは沈まないものだと知っていました。
今は、すいかを丸ごと一個買うでしょうか。
半分か四分の一でしょう。
水に浮かばせる機会もありません。
名門小学校の入学試験に、こんな問題があります。
水槽の中に、いろいろなものが浮かんだり沈んだりしている絵があって、その
中でおかしいものに×をつける問題です。
年長さんでさえ、沈んでいるすいかを見ても、不思議に思わない子がいます。
こういったことを、入学試験用の問題集を買ってきて、机の上で教えるのです
から、子どもも大変です。
こんなことばかりやっていると、暗記することが勉強だと思わないでしょうか。
この種の問題は、一回見せてあげれば理解できます。
学校側も、知識として知っているかを見ているわけではないでしょう。
生活体験です。
家事の手伝いをしていると、こういう経験をするはずです。
そこを見ていると思います。
「受験用の知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、事足
れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい」と、ある
名門小学校の校長先生が、学校説明会でおっしゃっていました。
やがて皆さんも、入園説明会へ足を運ぶことになりますが、多いところでは、
何と五百名以上のご父母が集まります。
「泥縄式、その言やよし」ですね。
泥棒を捕まえてから、縛る縄をなうのですから、後手、後手です。
こんなことして、合格するわけはありません。
いろいろなことを泥縄式にさせられて、困るのはお子さん自身です。
受験のためではなく、ご両親は信念を持ってお子さんを育てることが大切です。
ところで、お手伝いでも、上手にできない場合があります。
たとえば、ガラスのコップをテーブルの上に運んでいる時に、落として割った
とします。
お母さんは、どうしますか。
「危ないから、じっとしていなさい!」
第一声は、これでしょう。
子どもは、びっくりしています。
やさしくいわないと、こんな時、何をするかわからないのが子どもです。
頭の中は真っ白になっていますから、何はさておき、じっとさせることですね。
手早く割れたコップの破片を取り除き、後始末です。
それから、落とした原因を聞きます。
子どもなりに考えます。
「ぬれていたので、すべってしまったの!」
それもあるでしょう、いろいろあります。
それで、いいのです。
考えることで、次に同じ失敗をしなければ、いいのですから。
駄目なお母さんは、ここで怒ります。
「ちゃんと持たないと駄目だといっているでしょう、何を聞いているの、この
子は!」
「この子は」は、余計です。
駄目押ししているのです。
顔も、キッチリ駄目を出しているのですから、子どもは恐がっています。
こうやってしまっては、もう手を出さなくなります。
意欲をなくします。
いいではありませんか、コップの一つや二つ。
次からきちんとできれば、安いものでしょう。
お母さんも、こんな経験をしたことはありませんか。
お母さんは、家事のプロフェッショナルですが、お母さんも人間ですからたま
には失敗する時もあるでしょう。
たとえば、本当に、たとえばの話ですが、お父さんが大切にしていたコーヒー
カップを割ったとします。
訳を話して謝った、その時に、
「あなたは慌て者だから、気をつけないと駄目だと、いつも言っているだろう!」
などと言われたら、お母さんは、どんな気持ちになりますか。
「フン、何、言っているの! わざと割ったのではありません。滑ってしまっ
たの!」
ふてくされ、いや、気分が悪くなりませんか。
子どもも同じです。
失敗した時、むやみに怒らないことです。
正しく状況を判断して、怒る理由があるときは、キッチリと怒りなさい。
それからでも遅くないのですから。
そうしたら、冷静に怒れます。
「冷静に怒れる?」、何やらおかしな言葉ですね。
冷静とは、その場の感情に動かされないことです。
冷静であれば、怒るでしょうか。
怒りませんね。
「叱る」と「怒る」の違いです。
そうすると、状況を客観的に把握でき、感情的にならずに対応できます。
これは、とても大切なことです。
なぜなら、単に失敗しただけでは叱らないという「叱る基準」が、きちんと決
まっているからです。
けじめのある子になります。
これが、名門幼稚園側のいう育児の姿勢、ご家庭の教育方針です。
ご家庭と幼稚園の教育方針が、限りなく近いことが、幼稚園を選ぶポイントに
なります。
もっとおかしなお母さんがいます。
「また割られると困るから、ガラスのコップは止めて、アルミのコップに代え
ましょう。これなら落としても割れませんから」
こんなことをすると何回も割りますし、無神経な、がさつな子になります。
教育の意味がわかっていません。
教育とは、読んで字のごとく、教え育てることです、しかも、意図的に。
絶好のチャンスを逃しています。
小学生になると、給食の時間に食器を乱暴に扱うようになるでしょう。
多くの場合、給食に使う食器類、ガラスや瀬戸物ではありませんから。
最後に一言。
以前、ある青少年犯罪係の偉い方が講演会で、「家事の好きな女の子に、非行
少女は、いません」とおっしゃったことがありましたが、一理あると思います。
お母さんが、いいお手本を見せているはずだからです。
きょう日のお母さん、こういいます。
「お手伝いなんかしなくていいの。そんな暇があるのなら勉強をしなさい!」
中学や高校受験になると、こうなるようです。
はっきりいって、これは間違いです。
味覚や服装のセンスは、母親が子に伝えるものです。
特に、料理です。
「おふくろの味」というではありませんか。
お母さんと一緒に台所に立って、お母さんの手さばきや料理の段取りを見て、
実地研修しながら、味付けを覚えたのではなかったでしょうか。
これも、一朝一夕に身につくものではありません。
お母さんは意図的に教え、子どもは習い、学ぶものです。
お子さんが大きくなった時には、きちんと教えてあげましょう。
1時間も2時間も台所に入りびたりになるのではありませんから。
これは勉強ではなくて、習い学ぶこと、学習です。
その心は、お母さんのようになりたい、そうではないでしょうか。
学習について、わかりやすい話があります。
キリスト、マホメット、お釈迦さまと共に世界の4大聖人の一人である孔子さ
まは、「論語物語」にある「うぐいすの声」でこういっています。
「『ホーホッケキョ!』ときれいに鳴く親鳥と、『ケキョ?』と不器用にしか
鳴けないひな鳥の声を聞きながら、ひな鳥は、親の鳴き声を一所懸命に聞き、
繰り返し、繰り返し練習をして、今に一人前に鳴けるようになる。その心は親
鳥のように鳴きたい。これを学習といって、『習い学ぶ』のは素晴らしいこと
だ」
と、息子に教える話です。
よいお手本を見て、一所懸命に学ぶ、これが幼児期の大切な学習です。
しかし、「お母さんのようになりたくない!」などと言われたら、これは、お
母さんの重大な責任です。
早期教育やお受験などで、知的な能力を高めることだけにこだわっていると、
こうなりがちではないでしょうか。
かつて、城山三郎氏の小説に「素直な戦士たち」(新潮社 刊)がありました。
中学受験を目指すお母さんは、典型的なマニュアルタイプで、ものすごい子育
てをしますが、そういったお母さんにならないでほしいと思います。
気になることがありましたら、ぜひ、この本をお読みになって下さい。
二十数年前に発売された本ですが、いま読み返しても考えさせられてしまいま
す。
(次回は、独り立ちの準備 (4)家事、やらせなさい(2)についてお話し
ましょう)
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(3)あいさつも大事です
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第10号
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独り立ちの準備
(3)あいさつも大事です
あいさつも大事です。
しつけと同じで、習慣です。
日常の積み重ねですから、小さい時から、絶対に手を抜かないことです。
聞いてみましょう。
お母さん、朝、お父さんと目を合わせたとき、「おはようございます!」と、
元気よくあいさつをしていますか。
お父さんも、きちんと答えていますか。
やっていれば、お子さんもあいさつは、できているはずです。
お父さんに聞きましょう。
食事の時は、「いただきます」「お代わり」「ご馳走様」と元気よくやってい
ますか。
新聞片手に、ボソボソ食べて、ニューッとお茶わんだけ出して、お代わりをし
ていませんか。
それだけは、止めましょう。
テレビも消したいものです。
お子さんの生活習慣に、よくありません。
テレビを見ながらご飯を食べていると、集中力に欠けますから、ポロポロとこ
ぼしますし、ダラダラと時間もかかりがちです。
幼稚園へ行っても、同じことをします。
手のかかる子は、幼稚園でも歓迎されません。
会社へ行く時や外出する時に、「行ってくるよ」、帰ってきたら、「ただいま」
と、やっていますか。
「お休み」をいってから寝ていますか。
「ありがとう」と感謝の気持ち、大切にしていますか。
やっているのなら心配ありません。
あいさつ、礼儀作法は、何といってもご両親がお手本、親の率先垂範です。
できない子どもに、責任はありません。
これこそ、絶対に付け焼刃は、ききません。
小さい時からの積み重ねです。
「まだ、小さいし、その内できるようになるから無理をしない」とは、一見理
にかなっているようですが、手抜きをしていると、後で後悔することになりま
す。
基本的な生活習慣やしつけに関しては、何もせずに、その内できることなどは
ありません。
外で、ご近所の方と会った時は、少しばかりオーバーになって、「こんにちは」
とあいさつをしましょう。
だからといって、子どもがあいさつの出来ない時に、「ゴアイサツハ!」と強
制するのは、止めた方がいいですね。
条件反射になって、いわれなければできなくなることもあるからです。
もっと、すごいお母さんになると、「ごあいさつしなさい!」といって、頭を
グイッとばかりに押さえ込みにかかります。
頭を押さえられている子どもの気持ちになってみましょう。
これは、恥ずかしいものです。
2、3歳頃までは、無邪気に頭を下げて、あいさつをしていたと思います。
「おう、坊や、偉いな!」
「さすが、お嬢ちゃんだね。女の子は、これだからかわいい!」
褒められて嬉しいですから、あいさつをしていたのでしょう。
しかし、何やら妙な意識が働いて、そう単純にいかない場合もあります。
今までなかった戸惑いとでもいうのでしょうか。
本人は、「あいさつをしなくては」と思っていることは思っているらしいので
すが、タイミングの合わないこともあります。
そこで頭を押さえつけられて、さらに、「ゴアイサツハ!」と命令されるので
すから、子どもにとって面白いはずがありません。
子どもの自尊心、プライドは、どうなりますか。
「子どもに自尊心があるのですか?」
冗談は抜きにしてください。
あります、いろいろな情緒が芽生えてくる時期です。
これを認めないと、お子さんの心は曲がっていきます。
3歳に入ると自立が始まるといいましたが、自立が始まると共に、様々な感情
も、いろいろなことを経験することにより、一緒に培われてきます。
それが、情緒です。
この情緒が、五歳頃になると、分化されていくといわれています。
今までは、言ってみれば、おもちゃ箱の中に、おもちゃが雑然と入っていたの
が、「自動車は、ここ」、「ぬいぐるみは、こっち」、「ままごと道具は、あ
っち」というように、きちんと整理されて入っていく状態になるらしいのです。
まだ、整然とは、いきませんが。
未分化だった情緒が分化して、大人に見られるような情緒が現れてくるそうで
す。
はにかみ、恐れ、心配、怒り、嫉妬、失望、不快、愛情、望み、喜び、快いと
いった「情緒」です。
あいさつができなくなるのも、羞恥心といった、はにかむ心の表れとは考えら
れないでしょうか。
そこで、頭をグイッとばかりに押さえられてごらんなさい。
お子さんは恥をかかされ、頭に来て、不快感の塊になっています。
自尊心は、グチャグチャです。
はえ叩きで、ハエを叩き殺すのと同じです。
言うに事欠いて、はえ叩きとは古すぎますが、でも、一発で仕留めるのですか
ら、必殺技です、強烈です。
あいさつだけではありません。
結構、親は、はえ叩きのようなことをしています。
胸に手を当てて考えてみましょう。
思い当たることがありませんか、それもかなりです。
特に、気分が悪くて、イライラする時があるでしょう。
普段は、腹の立たないことで怒り散らさないですか。
後で後悔することがあると思います……、それです。
原因がわからないで怒られるほど、不愉快なことはありません。
子どもも、ムッとなります。
でも、力関係で逆らえませんから、我慢せざるをえないのです。
お母さん方も、こういった経験はありませんでしたか。
会社から帰ってきたお父さん、何やらご機嫌がよろしくないのです。
お母さんは、心配ですから気をきかせて聞くと、
「うるさいな、何でもないんだから!」
こういわれたら、腹も立つでしょう。
子どもも同じです。
因果関係がウヤムヤで、感情的になられるのは、いやなものです。
4、5歳になると、こういった情緒も分化してきます。
3歳は、こういう時期を迎える準備期間でもあるのですから、ストレスがたま
るように仕向けないことです。
あいさつができなかったら、ただ「ごあいさつは」と強制するだけではなく、
「どうしてできなかったのかな」と考えてあげましょう。
「考えてあげる」、これは思いやりです。
思いやりを欠かしては、心のやさしい子には育ちません。
しかし、思いやりと、ベタベタした親に都合のよい身勝手な過剰な愛情とは違
います。
ベタベタは、お子さん自身にとっても、うとましくてやりきれないようになり
ます。
子どもは、お母さんの所有物ではありません。
幼いといえども、意志と感情を持つ、独立した生き物です。
さめた目で、わが子を見つめることも大切ではないでしょうか。
お子さんは、そういう時期にさしかかっているのです。
未分化であった情緒の分化が始まっていること、忘れないでほしいと思います。
(次回は、独り立ちの準備(4)家事、やらせなさいについてお話しましょう)
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