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めぇでるコラム : 2017小学校受験 3ページ目

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第47号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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学校説明会で確かな情報を (3)
★紹介したい説明会でのエピソード(2) 
 
[入試情報]
早稲田実業学校初等部説明会
 日 時 2016年5月29日(日)
 第1回目 10:00~11:30
 第2回目 13:00~14:30
 ※1回目も2回目も内容は同じ。
 場 所 早稲田大学 大隈講堂
   最寄り駅 ・東京メトロ東西線 早稲田駅 下車 5分
        ・JR山手線 高田馬場より都営バス「早大正門」行き
          「早大正門」下車 徒歩1分
 予約不要 上履き不要
 
カトリック学校フェア 2016
 日 時 2016年6月5日(日) 9:30~15:00
 場 所 聖心女子大学 1号館、3号館 マリアンホール
     ・東京メトロ日比谷線 広尾駅 
     (2番 天現寺橋 聖心女子大学方面 出口 下車約3分)
     ・JR渋谷駅東口 または恵比寿駅より都バス
    「日赤医療センター前」行 終点「日赤医療センター前」下車約3分 
(注)場所は白金にある聖心女子学院(初等科 中・高等科)ではなく、広尾に
   ある大学です。
 「来場の際の注意とお願い」など詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報 立教小学校(6月9日)」
を紹介していましたが、これこそ「こんなことがあったんだな」とエピソード
の一つになってほしいものです。
 
震災に対していろいろと対応を考えている。
校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が校内
に流れるようになっている。
乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下には
井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パンを配り、
学生食堂では炊き出しをした。池袋周辺にいれば安全を確保できるので心配い
ただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急メールを準備してい
る。
大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放射能
値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心できる体制に
ある。
(緊急メールは、現在完備されている)
 
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありま
すが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかな
ければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もあ
りますから、子どもは退屈します。
 
ある年の説明会の会場で、後ろの所に子ども達が遊べるような空間があったの
です。そこで、子どもが走り回りはじめました。うるさいのですが、親が注意
をしません。
見かねた校長さんが、
「元気な子と不作法な子は違います」
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方
針と違うことをやっていることに気づかないのでしょうか。もっとも、出るに
出られなくなってしまったのかも知れません。
 
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊
下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないよう
に」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5
分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の
様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終っ
て廊下に出た時、何と同じ所にお母さんはいるではありませんか。約1時間半、
大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心のやさ
しい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
 
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
 
育児ないないづくし 
 暖房きかせて寒さがない        冷房きかせて暑さがない  
 おやつが過ぎて空腹がない       歩かせないので疲れがない 
 おもちゃのやり過ぎで興味がない    テレビの見過ぎで考えない 
 何でもホイホイ我慢がない       点数以外に関心がない   
 わかっているけど行わない       これではまともに育たない 
 
育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
 
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自する
お母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせ
ば、その根拠はここにあるのです。
 
次の話は、あるミッション系の学校でうかがった話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核
家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任で
はありません。しかし、バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、考えさせ
られてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、
むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
 
現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人といえ
ば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージが強くな
るばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる私たちの使命
です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かになり過ぎ、お金が
評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからです。教育の危機は、心
を大切にしないことから発しています。
 学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子が
少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与えるこ
とに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると過干渉にな
りがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は屈折してしまう
のです。
 
30年前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘しています。
これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではないでし
ょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をしていない
状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえません。
 
では、幼児期にふさわしい教育とは、立教小学校の田中司元校長の話を紹介し
ましょう。
田中先生は、平成17年に諸橋先生と交代されましたが、「本の読み聞かせ」
は、想像力を培う大切な方法と考え、授業に取り入れていた私に、大きな自信
を与えてくれた貴重なお話でした。
 
0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最も大
切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことをしっかり
とつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれることで、子
どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なものはありません。
対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で対話が成立する、これ
が育児でいちばん大切だと思います。
 
次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る想像
性が欠如していく気がします。読み聞かせる母親の、話しかける父親の言葉を
聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間にとっていちばん
重要な能力だと思います。イメージする力を育てることは、文学的な分野と考
えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータをもとに発展させ、それぞ
れの世界をイメージすることでできたわけです。分子や原子は、どんな格好を
しているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのようになっているか見た者はい
ません。わずかな情報から科学者が創ったイメージの世界です。読み聞かせは、
子どものイメージする力を育てるとともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊か
な時間でもあるのです。
 
3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が創っ
た自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと思います。
気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活することが可能な時代
になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、葉っぱ、虫、砂と
いった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じることが大切です。休日に、
森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って出かけ、自然って美しいな、
風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、石ころにはいろんな形があって面
白いな、何もプログラムを作らずに、ゆったりと、そこにいるだけで素晴らし
い、そういう自然の楽しみ方、それは非常に高い文化ではないかと思います。
 
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、お
母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと実行
していました。
お子さんの赤ちゃん時代です。
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。赤ちゃん言
葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。こういった姿は、無償のほほ笑み
と共に、この世で最も美しい姿といわれています。        
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがち
です。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
 
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止
しました。
昨年も男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、
思わず笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからで
す。運動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さ
ん方も何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
昨年の説明会では、田代教頭が脳科学者の話を例に、18歳を超えると脳の成
長の差はなくなり、それまでは女子の成長が速いので、小中高が別学で、大学
は共学が理想的な教育環境、「手前みそながら」と自慢されていましたが、な
るほどと納得できました。別学が禁止されていたアメリカでは、2006年に
法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるようになったそうです。
 
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開
催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方
への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
 
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイル
ームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講
堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓
である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感
期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、
次のように話されたのでした。
 
私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、面接
テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、お父さ
ま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それから年齢相
応に基本的な生活習慣が、これは、まだ、完全にできませんから、ある程度、
身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子さま、そういう
子ども達を期待しております。
 
いかがですか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、
幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親
の育児の集大成を判定しているということです。
 
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話し
ましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手
に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学
志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
 
甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。
「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない学校
があるなら、行かなくても一向に差し支えない」
というように考えられないものであろうか
 
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児に
ついての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われて
いることが、おわかりいただけたと思います。問題集だけを頼りにし、机の上
だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきま
す。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家
庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハ
ウの指導を受けても身につかないでしょう。
 
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊
敏性を求めるテストに対応できません。
 
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波小学校のような熊歩き(四足歩き)
をやれといってもできないでしょう。
 
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立った
ままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
 
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければなら
ない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことで
す。
 
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就
学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能
力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある
子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定さ
れているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
 
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て
方」や「おとうさん、おかあさんの受験対策 全26巻」(私のお勧めは慶應
義塾幼稚舎編)の一部を紹介したもので、説明会へ参加する前にお読み頂き、
万全の態勢で秋に向かってほしいと願っています。詳しくはめぇでる教育研究
所のホームページ、「出版物・問題集のご案内」をご覧ください。
 
北海道では夏日、沖縄より暑い日が続いているようですが、夏日になったり4
月中旬の陽気に戻るなど、梅雨入り前の不安定な天候が続いています。健康管
理には十分、注意してあげましょう。
(次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第46号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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学校説明会で確かな情報を (2)
 
★紹介したい説明会でのエピソード(1) 
 
説明会が始まりました。
学習院の学校説明会へ参加された方、「おかしもの約束」に気づかれたでしょ
うか。
体育館に行く廊下は、道路の下を貫通させたものですから、かなりの勾配にな
っており、しかも狭いため、「おさない・かけない・しゃべらない・もどらな
い」と混乱をさけるために4つの約束の語頭をつなげたもの。これは阪神・淡
路震災以後、消防庁による教育安全指導のガイドラインに紹介されたことから、
防災教育の標語として全国に普及したもので、当初は「おはし(おかし)」
(「は」は走らない)だったが、津波による避難の原則でもある「戻らない」が
追加されたそうです。  (synodos.jp/fukkou/10522 より))
早稲田実業学校初等部のホームページにも「「おかしもの約束を守り、警察署、
消防署の協力のもとに、子ども達が安全に避難できるように指導している」と
出ています。
沖縄のとよみ小学校では「おかしもちの約束」があり、「ち」は「近づかない」
だそうですが、海に囲まれているだけに切実な思いが伝わってきます。
自然災害だけは、何とか穏便に願いたいものですが、同時に、その時はどうす
ればよいか、子ども自身でできることは、普段からきちんと教えておく、これ
も親の大切な仕事です。
 
さて、今回からエピソードについてお話しますが、何と言っても四ツ谷の雙葉
小学校の説明会ですね。
開催されたのは、昭和61年9月のことでした。
やめていた説明会を再開した理由は、妙なうわさを学校側が否定することにあ
ったのです。
以来、平成元年まで続け、その後、実施していませんでしたが、同18年から
再開され、今年は7月15日(金)・16日(土)に行われます。
再開された時のことですが、「何か不祥事があったのでは!」と危惧していた
のですが、大勢の人々を収容する施設がなかったのが直接の理由で、新しく講
堂ができたために再開したとのことでした。
うわさといったものが、どういうものであるかを明白にしてくれた説明会でし
たから、当時のメモを紹介しましょう。
 
    雙葉小学校説明会
    日 時 昭和61年9月26日(金)
    場 所 小学校ホール 5階 参加者 約500名
 
およそ10年ぶりに再開された説明会でもあり、5階のホールは超満員で熱気
にあふれていました。(昭和50年代には説明会を開催していたことになりま
すが、当時、35歳の私は、某財団法人で新入社員教育をやっていました)
 
入学定員に対して多数の応募者があるため、心ならずもテストを行っている事
情を説明され、テストに関しては、特別に勉強しなくてもできる問題を作って
おり、総合的に判断して知能点だけではなく、「子どもらしく、一所懸命に頑
張る意欲のあるお子さん、コツコツ努力をするお子さん」を求めており、内向
的な性格でも頑張るお子さんであれば歓迎すると、雙葉小学校の求める子ども
像について、具体的に話されました。
 
ついで、悪質なうわさが広まっていることに関しては、雙葉学園はミッション
系の学校であり、キリストの精神に反するような不正入学が許されるわけがな
いと明言された後に、
 
 1 受験と宗教は別問題で、僧侶の娘さんも入学していること。
 2 学校関係者の紹介がないと不利とは、単なるうわさ。紹介者を通して面
   会することはあるが、それが考査に有利になることはない。
 3 お金を積むと入れるという裏口入学は、これもまったくの嘘。正規のお
   金(考査料)以外は、一銭も受け取らない。合格を発表する前に、考査
   料以外、頂くことはない。
 
この三点について強調され、つまらぬうわさに惑わされないようにとの注意が
ありました。
 
また、大学への進学率が高いことから、小学校の時に入れておけばと考える方
が多いのですが、授業に関して特別なカリキュラムはなく、たまたま、そのよ
うな結果が出ているだけですから、進学校とお考えにならないでくださいと述
べられました。
(この件については、毎年、説明会で力説されていますし、入学されたお母さ
ん方も「のんびりとした学校です」とおっしゃっています)
 
なお、登校時間は、年間を通して午前8時15分、四ツ谷駅のラッシュアワー
は8時からで、その時間に通学できるかどうか、慎重に考えてくださいとのこ
とでした。
 
裏口入学を策したお母さんが不合格になり、「どうなっているのか!」と、直
接、学校へ電話をしたことから事件が発覚し、驚いた学校側が事実無根と否定
するための説明会でもあったのです。
 
当時のうわさとして
「どこそこの神父さんの紹介状がなければダメ」
「信者の娘さん、絶対有利」
「合否は親の職業で決まり」
などがありましたが、今でも根強く残っているようです。 
再開された説明会でも、うわさに過ぎないと否定されました。
 
ちなみに、校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ
進まれた皇后陛下が、ご成婚(昭和34年4月10日)前に来校され、記念樹と
して贈られたメタセコイヤの苗木3本の内1本が、中高の校舎と頭を並べるほ
どに成長した姿を見ることができます。
 
平成13年に白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催したとき
も、何か不祥事があったのではと思いましたが、そういったことはなく、受験
されるご父母の強い要望によりとのことでした。
 
うわさは、単なるうわさに過ぎないと、惑わされない強い信念を持つことも大
切です。
それを支えるのはお父さんの役目ですから、きちんとサポートしてください。
お母さん方は、こういったうわさに弱いからです。
 
平成25年まで学校見学会だけやっていた横浜雙葉小学校は、26年から説明
会を再開しましたが、これは昭和60年代に開催していたときにうかがった話
です。本校の入学試験は、「一日体験入学方式」ともいわれ、昼休みにお弁当
を食べる時間が設けられていました。気が滅入るどころか、落ち込みましたね。
文言は正確ではありませんが、話の内容を再現すると、こうなるのです。
 
     「お弁当は、いつもお母さんが作ってくれるのですか」
     「ウウン、今日は特別なの」
     「そうですか、それでは、おいしいでしょうね」
     「うん、でも、残しちゃダメといわれたの」
     「どうしてですか」
     「残すと点数が悪くなるから」
     「……?」
 
残すと、どうして減点されるのでしょうか。
初めて来た所で、知らない子どもばかりの中で食べるのですから、緊張して残
す子もいるかもしれません。
それよりも、弁当を食べることで、子ども達はいろいろなサインを出している
と思います。
ご家庭の教育方針がどうなっているのか、これほどわかりやすいものはないで
しょう。
食事は三度のことですから、絶対に、つけ焼刃はききません。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを判定することも、小学校の
入学試験では、大切なポイントになっているわけです。
学校側が見たいのは、
「集団生活の中で、子どもはどうあるべきかを、親がしっかりと考えて、やさ
しく、あるいは厳しくしつけることを、ご両親の責任において教育しているか
どうか」
ではないでしょうか。
 
今の話と似ていますが、以前、紹介しましたが大切なことですから繰り返しま
す。
国立市にある桐朋学園小学校の説明会で、当時の校長であった鈴村先生が、た
またま会場に現われて、こういった話をされたのです。
本校は、仙川にある姉妹校、桐朋小学校と同様、面接をやっていませんが、そ
の理由として、
 
 「親御さんに『趣味は何ですか』とお尋ねしても、本当は、競輪、競馬が大
好きでも『読書と音楽鑑賞です』と取り繕うでしょう。でも、私どもでは、お
子さんを二日間預かりますから、どういった育児をなさっているかわかります。
ですから、私どもは面接をしません」
 
と、例によって文言は正確ではありませんが、こうおっしゃったのです。
試験を受けているのはお子さんですが、判定されているのはご両親であること
が、よくわかる話ではないでしょうか。
(次回は、「学校説明会で確かな情報を (3)」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (1)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第45号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
学校説明会で確かな情報を (1)
    
先週の土曜日は、立教女学院小学校の入試説明会、東洋英和女学院の学校説明
会、明日は青山学院初等部の学校説明会が開催されます。今年も、説明会の日
程が重なるようですから、きちんとスケジュールを立て、出来るだけ多く参加
し、わが子の学校選びに手抜かりがないようしてください、これは「親の仕事」
だからです。
 
小学校の受験で最も重視されるのは、「志望理由」です。
出身者の方には問題ありませんが、そうでない方々には、学校に関する情報、
たとえば、建学の精神や教育方針、その学校ならではの特色、主な年間行事や
クラブ活動、合宿などの校外活動、併設校への進学状況、併設校のない場合の
進学実績やそのための対策、通学時間やご主人の転勤にともなう復学制度など、
わからないことが多いと思います。そういったハンディキャップを解消するた
めに行われているのが学校説明会です。過去には説明会をやっていない学校も
ありましたが、現在では、ほとんどの学校で開催しています。
最近の傾向として、夏休み前に学校説明会を、休み後に入試説明会と2回行う
学校が増えたことでしょう。その先駆けは、学習院初等科ではなかったでしょ
うか。しかし、幼稚舎、雙葉小学校のように学校説明会だけ行っているところ
もあります。そして、事前予約の必要な学校が増えています。当日になって気
づいても手の打ちようがありませんから、注意してください。
 
東日本大震災後、多くの方が通学に不安を感じたのではないでしょうか。各学
校のホームページにも「災害対策」が掲載されていますが、大切なのは、「我
が家の震災対策」で、「登校・下校時に災害が起きた時の対策」です。学校側
が公表する震災対策を、わが子の通学に、どのように活かせるか、慎重に考慮
するのも保護者の義務です。今年もその説明があると思いますので、正しい情
報をもとに不安を解消しておきましょう。しかし、何といっても大切なのは、
お子さん自身の自立心と行動力です。そういった育児に徹することも親の仕事
ではないでしょうか。
 
また、学童保育、アフター・スクールに力を入れる学校が増えています。お母
さん方がお仕事をもっている場合、具体的にどのようになっているか、積極的
に参加し、情報を確認しておきましょう。
 
26年から説明会を再開した横浜雙葉小学校は、説明会は4月23日に実施、
見学会は5月12日に実施、オープンスクールは6月20日(土)午前中に開
催の予定ですが、予約が必要です。
 
日本女子大学附属豊明小学校は去年と同様、学校説明会は開催しませんが、学
校施設見学会を5月28日(土)に実施、授業見学会は6月16日(木)、そ
して学校見学相談会を9月10日(土)に実施します。詳細な情報は後日公表
とありますから、ホームページをご覧ください。
 
雙葉小学校は、昨年と同様、夏休み前の7月15日(金)、16日(土)に開催、
混乱を避けるために、事前に葉書で申し込む方法で行われます。5月16日
(月)から6月17日(金)までの消印有効。
聖心女子学院初等科は、「Web予約システム」による申し込み、早めに登録し
ておきましょう。Web予約が増えていますから、各学校のHPで確認してくだ
さい。
 
青山学院初等部の第1回説明会は、明日開催されますが、今年は事前申込制に
変更。
親子で校舎を見学できる「オープンスクール」は、6月25日(土)に10時~
11時30分と13時~14時30分に分けて実施予定。事前申込受付で、詳
細は5月中旬にHPで公表。説明会と同様、セキュリティの都合上、氏名や住
所を確認できる運転免許証や健康保険証を持参することになっています。詳し
くはホームページで確認を。
 
東洋英和女学院小学部の学校説明会、第1回目は終了、2回目は6月9日(木)
に。オープンスクールは7月6日(水)に。入試説明会は9月8日(木)に開催予
定です。詳しい情報、申し込み方法は、ホームページをご覧ください。
 
立教小学校は、今年は3回開催することになり、第1回目6月9日(木)は例
年通りオープンスクールと個別質問、第2回目の7月2日(土)は説明会と個
別質問、第3回目は9月10日(土)説明会だけ。「(1)(2)(3)はそ
れぞれ内容が異なる」と明記されています。事前の申し込みはありませんが、
対象は保護者のみとなっています。
 
慶應義塾幼稚舎は、例年通り2回ずつ計4回実施されます。
第1回 7月2日(土)午前9時30分より 第2回午後2時00分より
第3回 7月9日(土)午前9時30分より 第4回午後2時00分より
それぞれ1時間程度、自尊館(講堂)で行われますが、幼児同伴は不可。校内
見学はありますが、説明会会場以外の校内立ち入りはできません。都会では珍
しくなった土のグランドと真中に立つ大きな欅、毎年、七夕飾りを見ることが
できます。
 
成蹊小学校の説明会は、当初は、大学の合同授業などで使う大きな教室でやっ
ていましたが、やがて小学校の体育館になり、3年前まで学校の近くの武蔵野
市民文化会館で行っていました。26年からは学園内で開催しています。
初めて授業参観で校舎に入ったとき、何やらうなぎの寝床といっては失礼でし
ょうけれど、そんな感じがしましたが、新装成った校舎は、むかしの面影を一
新し、すばらしい環境になっています。
第1回説明会は6月4日(土)、成蹊学園本館大講堂、第2回は9月3日(土)、
成蹊大学4号館ホールで開催。オープンスクールは6月24日(金)に開催予定。
詳しい情報はホームページで確認を。
 
日出学園小学校は、昼間、参加できないお父さん方に「お父さんのための説明
会」を5月19日(木)と20日(金)に6時30分から開催します。6月
30日と9月24日(土)10時から学校説明会を、そして7月23日(土)
午前10時には親子体験会を実施します。本年から、いずれもWebでの予約制
になっています。詳しくはホームページをご覧ください。
小野学園小学校も6月24日(金)午後7時から8時に「ナイト 学校説明会」
を開催。夜の説明会は、5月26日(木)午後6時より行う東京女学館小学校
に続いて3校目になりました。
 
驚いたのは、暁星小学校で、今年は上智大学の10号館講堂で9月24日(土)
に開催。注意しておきたいのは、当日、会場での願書配布はなく、事前に購入
し、その一式を持参することです。配布は小学校事務室で、9月6日(火)か
ら9月26日(月)まで。会場の案内などはホームページに掲載されています。
 
まず、こういった説明会や公開授業などの日程を正確につかんでおくことが大
切です。
ホームページを利用すれば、説明会の開催日時や入試日程、学校の歴史や建学
の精神、参加できる学校行事などの他、学校によっては、「よくあるQ&A」も
用意されており、簡単に検索できますから大いに利用しましょう。
 
説明会では、学校案内や要覧などの配布があり、市販されているガイドブック
などからは得られない情報も公開され、そういった資料をもとに、学校の沿革
や教育内容などの詳しい解説が行われています。
9月以降の説明会では願書も配布され、具体的な入試日程の説明や願書記入上
の注意、健康調査書に関する諸注意、考査料の振込みに関する注意などを詳し
く解説する学校もあります。
 
また、立教小学校や立教女学院小学校、成蹊小学校のように、授業を公開する
オープンスクールを実施したり、ビデオを使って授業の様子や年間の主な行事
などを紹介する学校もあります。
 
説明会は5月から始まり、多くは9月以降に集中して開かれますが、最近は、
6月、7月に行う学校が増えていますから注意が必要です。こういった情報を
しっかりと確保しておくことも、ご両親の大切な役目です。学校によっては、
面接で説明会に参加した感想を聞かれたり、アンケート用紙に記入を求めたり
することもあります。
 
多くの学校では、質疑応答の時間を設けていますが、特別に時間を設定してい
ない学校もあります。しかし、説明会終了後、個人的に質問をする機会はあり
ますから、何か問題のある場合は、この時間を利用し解消しておきたいもので
す。「母子家庭は不利」「仕事を持つ母親は不利」「信者は有利」「出身者、
兄弟姉妹がいれば有利」など、いわゆる噂に心を痛めている方々は、直接、処
方箋をいただいて、つまらない悩みは解決しておきましょう。
 
学校によっては、「心配事がある場合は、電話で問い合わせてほしい」と、相
談の窓口のあることを説明しているほどです。しかし、電話で済ませるより、
説明会で直接、お聞きしておくべきでしょう。もしかすると、面接の時に再度、
お会いするかもしれないからです。
 
かつては、入学後、経済的な心配が起きた場合には、奨学金制度のあることを
公表している学校もありましたが、青山学院初等部のホームページのQ&Aの
欄にも、「学費等の支援給付制度が定められている」と発表しています。
 
ご主人が転勤の可能性のある場合、復学できるか確かめておきましょう。今は
どうか不明ですが、単身赴任は歓迎できないと公表した学校もありました。
 
問題を抱え込まずに積極的に利用し、すっきりとした気持ちで秋を迎えたいも
のです。
 
ところで、説明会は、小学校の講堂や体育館で行われると思われがちですが、
外部でやっている学校もあります、早稲田実業学校初等部等と学習院初等科で
す。
 
早稲田実業学校初等部が第一回目の説明会を行ったときは、国立の初等部の校
舎は建築中で、大学の大隈講堂を使用しましたが、満員になるほど参加者が多
く、初等部内には収容できる施設はないようですから、ここで開催することに
なったのでしょう。入学式も、当講堂で行われました。建物が古くなったため
に改築されていた2年間は文京シビックの大ホールで開催されたこともありま
したが、今年も大隈講堂で開催されます。
 
思い出に残っているのは、学習院初等科の説明会です。
当初、男児と女児に分けて四ツ谷の迎賓館のすぐそばにある初等科の正堂(講
堂のこと)で行っていました。現在、初等科の建物は新築されましたが、当時
の校舎内はかなりの年月を経ており、歩く廊下はぎしぎしと音がし、質実剛健
を教育目標とする学校らしい雰囲気を感じたものです。また、正堂の正面には
菊の御紋が二つ蒼然と輝き、皇室の方々が通われる学校であることが伝わって
きたものでした。こういった学校の歴史や雰囲気を実感できたのは、私にとっ
ては貴重な体験でした。
参加者が多くなり、平成19年までは、目白のキャンパス内にある学習院創立
百周年記念会館正堂で、やはり男児と女児に分けて開催していました。同20
年からは、初等科の正堂で行われていましたが、9月の説明会は、再び目白の
学習院創立百周年記念会館正堂で開催。それだけ参加者が多いということでし
ょう。今年も学校説明会は5月21日(土)に初等科正堂で、入試説明会は9
月10日(土)百周年記念会館正堂で開催の予定です。
 
 ◆参加するときの注意点 
 
説明会へ参加するときに注意してほしいことをお話しましょう。
・筆記用具、メモ用紙を持参する。
 
・上履きが必要な場合がありますから、スリッパ、靴を入れる袋を持参するか
 どうかを確かめておく。学習院初等科、東洋英和女学院小学部、光塩女子学
 院初等科、日出学園小学校などは、昨年まで必要でしたが、ホームページで
 確認を。
 
・雨の日は、雨傘用のビニール袋を学校側で用意しているとは限りません。
 特に、梅雨にさしかかる時期ですから用意しておきましょう。
 
・ハイヒールで廊下を歩くとき、音に注意を。立教小学校は禁止しています。
 Q・なぜ、ハイヒールでの来校は禁止されているのですか。
 A・学校の校庭は人工芝になっています。その上をハイヒールなど、かかと
   の高い靴で歩くと、人工芝を傷つけてしまいます。また、ハイヒールな
   どかかとの高い靴で校舎内を歩くと、大きな音がする可能性が考えられ、
   授業などの学校生活に影響する可能性が考えられます。
   従って、ハイヒールなどかかとの高い靴での来校は、ご遠慮いただいて
   おります。もし、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いてこられた場合
   には、校内に入る際に、運動靴などにお履き替えいただきたいと考えて
   います。ご配慮をお願いいたします。
          (立教小学校ホームページ 「よくいただく質問」より)
 
・学校によっては、お子さんを連れてくることを遠慮してほしいという場合が
 ありますから確認を。
       
・お子さん同伴の場合は、むずかることもありますから、いつでも外に出られ
 るように、後方の出入口の席に座る気配りを。1時間から長いところでは2
 時間にもなりますから、退屈しない工夫を。
 学習院初等科の入試説明会は、大学内にある正堂で行われ、会場のロビーに
 テレビが設置されていますが、これなどは特別なケースでしょう。本年度の
 ホームページでは、「受験生ならびにお子様のご来場はお断りします」と明
 記されています。
 
・授業参観の場合は、同伴者と絶対に話をしないこと。生徒は授業中です。こ
 れが守られていません。「学校側では、ひそかにチェックしている」という
 ことはないとは思いますが、こういった怪情報は広めたいですね、生徒のた
 めにも。
 
最後のことについては、あきれてしまった経験があります。
昭和61年、雙葉小学校が説明会を再開した時でした。
会場は5階のホールでしたから階段を上ることになりますが、各階の踊り場に
立て札があり、そこには文言は正確ではありませんが、
「生徒は授業中です。静粛に願います」
と書かれてあったのです。
階段をおしゃべりしながら歩く、お母さん方の無神経さを理解できませんでし
た。生まれて初めて雙葉の校舎に入り、いささか興奮気味でしたが、この立て
札を見てがっくりしました。学校側に、先を読まれているのですから。今年も、
当ホールで開催されますから、友達と一緒に参加されるお母さん方、厳に慎ん
でください。
4年続けて階段を上りましたが、息が切れましたね。今年は、断固としてエレ
ベーターに乗るつもりです(笑)。
 
また、立教小学校など授業参観をかねている場合、始業時間前に集合しますか
ら、朝の交通状態を頭に入れておきましょう。
利用する交通機関は、ラッシュアワーで混雑していますし、時間も通常よりか
かります。
駅からタクシーでと思っていても、簡単に乗れるとは限りません。
もちろん、自家用車での来校は禁止されています。どこの学校にも、車を収容
する広い駐車場はないからです。
 
ところで、授業参観の場合、1年生の教室が人気の的になりがちですが、高学
年の教室は空いていますから、じっくりと見学できます。ある学校で、非常に
厳しい先生の態度に接し、「やるじゃないですか!」と感動さえ覚えたもので
す。見学者がいようがいまいが眼中にない先生の態度が、建学の精神そのもの
だったからです。
 (次回は、「説明会のエピソード」を紹介しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 運動

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第44号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
 
[入試情報]
5月 8日(日)神奈川県私立小学校フォーラム
        於 新横浜プリンスホテル 10:00~15:00
       (詳しくはHPをご覧ください)
 
5月 7日(土)10:00~立教女学院小学校(入試説明会)
        13:00~東洋英和女学院小学部
5月14日(土) 9:30~青山学院初等部
 
学校(入試)説明会が始まりました。ミッション系の学校が続いていますが、
信者でない方にお勧めしているのは、青山学院初等部の説明会です。チャプレ
ン(学校にいる牧師さんのこと)の行う開会礼拝、賛美歌を歌い、講話(聖書
の話)を聞き、アーメンと唱和し、それから部長の話が始まります。例年、賛
美歌を歌うのは信者の方か、お母さん方ですね。多くのお父さん方は歌ってい
ないようです、私もそうですが(笑)。この雰囲気に違和感がある場合は、考
え直した方がいいのではないでしょうか。
持参するものなど注意事項がありますから、必ず、ホームページで確認してか
らお出かけください。
 
[10] 運 動  
集団と個別があります。
 
[集団で行う運動]
先生と同じ体操を機敏にこなす模倣体操、タンバリンのリズムに合わせて行進
をしながらスキップやケンケン、ケンパー、グッパーなどをするもの。
左右の手を開いて、親指から順番に閉じたり、開いたりする指の屈伸、片足一
本で立つ片足バランスや登り棒、縄跳び、ボールをついたり投げたり、ドリブ
ルをするボール遊び、かけっこ、ジグザグ行進などを先生と一緒にします。
 
これは、試験ですが競争ではありません。
先生のやっていることをよく見て、その通りにできるかどうか、指示行動です。
スキップ、ケンケン、ケンパー、グッパーなどは、幼稚園でやっているはずで
すから得意ではないかと思っていたのですが、そうでもないようです。また、
友達とこういった遊びもしないのではないでしょうか。
少子化の影響で近所に同年齢の仲間がいない、また、不幸なことですが、幼児
を取り巻く屋外での環境は、決して安全とはいえず、家での一人遊びが増えて
いるようですが、やはり、不自然ですね。
 
でも、やってできないことはありません。
ご両親の出番ですね、お子さんも喜びます。
お父さんやお母さんと一緒にやってできるようになっていれば、教室でも簡単
にでき、先生方も余った時間を有効に利用できます。巧緻性と同様、教室や塾
にお任せだけでは、効率のよい受験準備はできません。そして、実際の入学試
験で、お父さんやお母さんと一緒にやった運動が出たとき、子ども達は間違い
なく一所懸命にやります。楽しい思い出が、残っているはずだからです。
 
かつて、このようなことがありました。
ボールを使う運動が出題される男子校の受験で、お父さんは海外へ単身赴任中。
通い始めてから3か月ほどたった時、少し太めであったお母さんがスリムにな
ってきたので、お子さんに聞いたところ、毎日のように近所の公園でボール遊
びをしているとのことでした。見事に合格しましたが、ご挨拶にみえた初対面
のお父さんが、一番うれしそうでしたね。直接、手を貸せなかったお父さんだ
けに、気持ちは痛いほどわかりました。その分、お母さんが一所懸命に代役を
果たし、それが楽しかったに違いありません。
 
逆に、苦しい思い出しか残っていない場合は、
「先生、これ試験ですか。試験でなかったらやりたくありません」
こうなるのではないでしょうか。
前にも紹介しましたが、説明会で聞いた本当にあった話です。
偏差値の高い学校でしたから、かなり厳しい受験準備に追われ、子どもの日常
生活のすべてが、受験に結びついていたのでしょう。
話をされた校長先生は、悲しそうにおっしゃっていましたが、帰るとき電車で
一緒になったお母さん方が、
「難しい問題が出るのだから、仕方がないでしょうに!」(この語尾、いやで
すね)
などと、なぜか高い偏差値の話で盛り上がっていました。
「準備に適切でないところがあるのでは、とお母さん方は考えないのでしょう
か」
といいたくなりましたが、偏差値だけをあげる準備に夢中になっているお母さ
ん方は、聞く耳を持たないものです。
ご両親が心を一つにして、受験に取り組んでいるとは、とても思えません。お
母さんだけが夢中になっているケースが、多いものです。しかし、子どもに自
身にとって負担になる準備は、やがて、壁にぶつかります。チック現象が出て
くるようでは、誰のための受験であるか、真剣に考えてほしいですね。
 
また、運動は知的な能力と関係ないからと無関心な方がいますが、それは間違
いです。
知育、徳育、体育の三つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育ってい
なければ、偏った発育をしがちです。
お薦めしたいのは、縄跳びやボールつきです。
縄跳び、これは全身運動ですから、体重計恐怖症のお母さん方にも効果があり
ます。
ボールつき、これも全身のバランスが必要ですから、贅肉を取り除いてくれ、
心地よい汗は、ストレスの解消にもなります。
サッカーが盛んですから、けるのは上手ですが、つくのは苦手ですね。 
親が見本を示して、一緒に汗を流しましょう。
繰り返しますが、第三者だけに任せるものではありません。試験に出るからで
はなく、これくらいの運動ができないようでは心配です。
 
中には、息切れする子がいますね。
スタミナ不足です。
最近、こういった男の子が増えているようですが、持久力を見るテストもあり
ます。
スタミナ不足は、取り組む意欲にも悪い影響を与えます。
お子さんと一緒に歩いてみましょう。
5分もしない内に、「パパ、おんぶ!」とせがむようでは、お子さんは運動不
足です。
 
「床にかかれた印に従いケンケンパーをしながら進み、乾いた雑巾で敷いてある
マットまで雑巾がけをし、そばに置いてあるかごに雑巾を入れ、箱からドッジボ
ールを取り出し、ラインの前で後向きになり、ボールをつきながら後向きで進み、
ボールを箱にしまい、車輪のついた丸い板に正座し、手でこぎながらジグザグに
かかれた線の通りに、置かれている椅子にぶつからないように進む」
 
かつて、ある名門校で実施された運動テストです。
学校側の出題意図を考えてみましょう。
通学時間に1時間かかる場合、これで息切れするようでは、「無理ではないで
しょうか!」となるのは当然です。
 
ところで、以前、巧緻性のところでお話したことですが、お子さんは筆記用具
をきちんと持って、しっかりとした線を書いていますか?弱々しく頼りない線
を引いているようでは、腕の筋肉の発達不足、つまりは運動不足が考えられま
す。チェックしてみましょう。
 
[個別で行う運動]
跳び箱、平均台、マットなどを使った運動をいくつか組み合わせて、先生の模
範演技を見てから一人ひとり行うものです。
 
★「先ず、ケンパーで平均台の側まで行き、平均台を渡り、真ん中
で後向きになって進みます。下りたところの円の中で『止め!』
といわれるまでボールをつきます。次に跳び箱にのぼり、元気に
飛び下り、最後にマットの上で芋虫ゴロゴロをしてマットの外に
出て、得意のポーズをやって終わりです。先生のやるのを、よく
見ていてください」
 
かなり、きついです。
しかも、しっかりと模範演技を見ていないと、どうにもなりません。
指示の理解と積極的に挑戦する意欲、行動力を見ているのでしょう。
こういったことを、いきなり本番でやるのは無理ですし、「お父さんの出番で
す」などといわれても、マットの代用品はありますが、跳び箱、平均台は、家
にないからできないのではと思われがちですが、その心配はありません。
普段から、体を動かし、筋肉に刺激を与えていれば、対応できます。
基礎体力さえついていれば、順応性の高い子どもには、難しいことではありま
せん。
 
ところで、素朴な疑問ですが、途中で忘れてしまったら、どうすればいいので
しょう。 
先生に聞いても、いいのでしょうか。
最初の挑戦者は、こういう心配もありますね。
聞くのはまずいでしょうが、自分で覚えているとおり、堂々とやるべきでしょ
う。
 
また、途中で平均台から落ちてしまった場合、やり直ししてもいいのでしょう
か。
いいと思いますね。
チャレンジャー精神です。
失敗を恐れる子など、子どもらしくありません。
落ちて泣く子もいるそうです。
なぜ、泣くのでしょうか。
たかだか平均台から、落ちただけではありませんか。
泣くのは、落ちたら駄目、失敗したら減点されることを知っているからでしょ
う。
悲しくなりますね、こういうことで泣き顔をみせるのは……。
小さいときから失敗するのは、悪いことだなどと教え込まれたら、「失敗は成
功のもと」とはいえなくなるではありませんか。
苦手なことが増えるのは、失敗を恐れるからではないでしょうか。
 
平均台から落ちても、
「先生、やりなおしてもいいですか!」
笑っていえる子、絶対に合格すると思います。
信じていますよ、試験監督の先生方!
 
やはり、体を動かすことは、第三者だけに任せっぱなしは、よくないと思いま
す。    
ゴルフは年を取ってからでもできますが、幼児期は、二度と戻ってきません。
夏休みは、体力づくりにも考慮してください。頑張りましょう。
スキンシップですよ、お父さん、お母さん。
 
(次回は、「説明会」についてお話ししましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 構成力・観察力に関する問題(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第43号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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 [入試情報]
立教小学校の説明会、今年は3回開催されます!
 第1回 2016年(平成28年)6月9日(木)
      受付開始 8:00 AM
      参観開始 8:25 AM
      説明会開始予定時刻 10:40 AM
      個別質問の時間 11:30~12:30 AM
      内容 学校の施設見学及び授業参観 本校の教育、入試について
 第2回 2016年(平成28年)7月2日(土)
      受付開始 9:00 AM
      説明会開始予定時刻 9:30 AM
      個別質問の時間 11:10~12:10 AM
      内容 立教小学校の各教科の特徴について 等
 第3回 2016年(平成28年)9月10日(土)
      受付開始 9:00 AM
      説明会開始予定時刻 9:30 AM
      終了予定時刻 11:20 AM
      内容 立教学院一貫連携教育・入試について 等
ご案内 ※事前のお申し込みは必要ありません。
    ※上履きは必要ありません。但しヒールの高い靴はご遠慮ください。
    ※説明会の対象者は保護者のみとさせていただきます。
    ※説明会(1)(2)(3)はそれぞれ内容が異なります。
立教小学校は、2014年から6月と9月、2回開催となりましたが、本年度
は3回。参観授業は1回目のみ、個別質問は1回目と2回目だけです。詳しく
はホームページをご覧ください。
 
★★入試問題を分析する★★
[8]構成力・観察力に関する問題(3)
 
[模倣の問題]
積み木やブロック、パネルなどを使って、お手本と同じものを作る問題です。
個別テスト向きでしょう。
 
★お手本(▽ ▽の上に長四角の積み木があり、その上に家の形がある)
・これと同じものを作りなさい
 
「三角の積み木を逆さまにして、できるかな?」
積み木で遊んだことがないと、こうなりがちです。できますが、コツがありま
す。これは、やってみないとわかりません。
 
最近のおもちゃは、完成品が多いようですが、一概に悪いとはいいません。
それを利用して遊ぶことも、大切な仕事です。しかし、積み木やブロックは、
自分で設計し組み立てる遊びです。
設計図を引くには、何が必要でしょうか。そのものを知ること、熟知すること
で、大切なのは観察力です。子どもは、自分の好きなものとなると、目つきが
変わり、真剣、そのものですから、大人が気づかないところまで見ています。
そこまで夢中にさせるのは、好奇心です。模倣は、観察力と表現力を見る問題
ですが、そのもとになる好奇心が旺盛かどうかを見極めることもできます。
 
積み木を使った面白いゲームがあります。
実際に出題された問題で、積み木をできるだけ高く積むゲームで、「高く積む」
がポイントになります。長四角を立てないで横に置くと、高さが違ってしまい
ます。これに気づかないと、少し心配です。問題は三角で、置き方によっては、
そこでゲームセットになります。
 
積み木を持っていないお子さんには、買ってあげましょう。
前にもお話しましたが、積み木で遊んだ後に、きちんと収納する習慣がつくと、
身辺の整理整頓にも影響がでると思います。おもちゃや絵本などの片づけが苦
手な子は、こういった遊びをやっていないのではないでしょうか。玄関の靴の
整理も同じで、ご両親がきちんとそろえて脱いでいれば、お子さんも真似をす
るはずだからです。
 
[同図形、異図形発見の問題]
同図形発見(お手本と同じもの)と異図形発見(違っているもの)があり、知
能指数をはかる問題でよく出題されています。
 
★「お手本と同じものを見つけ、○をつけましょう」
 
子どもの、好きな問題です。
ゲームやクイズ感覚でできるからではないでしょうか。これもコンピュータ方
式を採用しましょう。お手本と1つ1つ比べて見つけることです。あっちを見、
こっちを見るやりかたでは、いたずらに混乱するだけです。手順の大切なこと
を学んだ子は、左から右へ、または上から下へ順番に比べる方が、正確に、速
くできることを知っています。こういう知恵は、やはり、経験から身につける
ことが大切で、最初から教える必要はありません。
自分で見つけられれば、最高の学習になるからです。どうやっても、うまくい
かない様子が見えたら、そこでアドバイスしてあげましょう。まず、自分で体
験することですね。
それから解決方法を教えられれば、納得でき、身につくものです。
 
そして、問題ができたから花丸をつけて、次の問題に移るだけでは、あまり効
果的な学習とはいえません。たとえば、同図形発見の場合、手本とどこが、ど
う違うかを説明させることです。すると、異図形の発見にもなります。
さらに、試験官と話すように丁寧な言葉できちんといえる習慣がつくと、個別
テスト、行動観察のテストにも対応できる学習になるからです。言葉で表現す
る訓練は、こういった遊びの感覚で、楽しみながら身につけることが大切で、
小学校へ入ってから、学力を伸ばす大きな力になることは間違いありません。
 
しつこく、繰り返しますが耳ではなく心で聞いてください。
幼児の知能開発で大切なのは、五感をフルに活動させて、同じところ(類似)
や違うところ(差異)を見つけ、「あれっ…、なんだ?」と考えることから始
まります。
「どうしてなの……?」 
「なぜなの……?」
うるさいほど、遠慮なしに聞いてきます。これも疑問の芽というアンテナがと
らえた情報を解決したいのです。もうしばらくの辛抱です。小学生も低学年の
内は、まだ聞きに来ますが、中学年になると、聞いてほしいと思っても来ませ
んから、頑張ってください。
 
しかし、そのつど懇切丁寧に説明するのも考えものです。
時には、質問の内容を吟味して、ある程度はわかっていることであれば、
「あなたは、どう思うの?」
と切り返すのも大切ですね。
自分で知っている範囲を、考え、考え、話すはずです。これが、素晴らしい学
習になっています。十分に理解できていないことを言葉で説明するのですから、
子ども達にとっては、しんどいことになりがちです。時には、支離滅裂なこと
をいうかもしれませんが、ここは我慢のしどころです。お子さんが何を聞きた
いのかは、聞いている内にわかります。
話が一通り終わったら、
「ケンちゃん、お母さんに聞きたいことって、こういうことなのかな?」
と、まとめてあげましょう。
質問をしているお子さんも、
「なんだ、そうなのか!」と納得することで、言語の学習になっているのです。
言葉は、知っているだけでは役に立ちませんし、使わなければ生きてきません。
まとめてあげることで、わかっていないところを補足したことになるのです。
 
まだ、あります。
前にもお話しましたが、お母さんがまじめに話を聞いてあげると、お子さんは
人の話はきちんと聞かねばならないことを、ごく自然に学んでいるのです。子
どもにとって、親が真剣に話を聞いてくれるのは、本当にうれしく、これほど
快感を味わえるものはありません。
お母さんが、しつこく、
「きちんと話を聞きなさい!」
といわなくても、話を聞く姿勢が、自然と身につきます。「子は親の背を見て
育つ」といわれていますが、昔の人は無駄なことをいわないものです。いや、
真実だから語り継がれているのではないでしょうか。
前回に紹介しました「子どもが育つ魔法の言葉」にも、「子は親の背を見て育
つ」の外国版「子は親の鏡」があります。
 
      子は親の鏡
 けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
 とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
 不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
 「かわいそうな子だ」といって育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
 子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる 
 親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
 叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
 励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
 広い心で接すれば、キレる子にはならない
 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
 見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
 分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
 親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
 子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
 やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
 守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
 和気あいあいとした家庭で育てば、
 子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
    子どもが育つ魔法の言葉 ドロシー・ロー・ノルト 著
                PHP研究所 刊
 
発売後、数年たっている本を読みたい場合は、図書館を利用しましょう。図書
館にあるかないかは、パソコンを利用すれば自宅でも検索できるところもある
からです。
 
ところで、第38号で紹介しました聖徳大学附属小学校のホームページ【過去
問に挑戦しよう】について、4月21日(木)に幼児教室対象の説明会があり
ましたので確かめてきました。
 
・次の絵の中に1つだけ種類の違うものがあります。その絵をクリックしてみ
 ましょう。
   菱餅  兜  七夕飾り  十五夜(すすき・団子・月)
 
正解は、何んと七夕飾り。「五節句に入っていないから十五夜では?」となり
ますが、校長先生に伺ったところ、「設問に誤りがあり、正しくは、七夕飾り
に使うものに○」とのことでした。入学後「礼法」の授業で五節句を学ぶとは
いえ、園児には難しいのではと思っていたのは考えすぎでした(笑)。
忘れるところでしたが、本校も今年度を目標に、インターネット出願を検討中
だそうです。
(次回は「運動に関する問題」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 構成力・観察力に関する問題(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第42号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★入試情報★
○学習院初等科 学校説明会
日時  5月21日(土) 
第1回  9:30~11:30
第2回 13:00~15:00
 
○白百合学園小学校 学校説明会
 日時 6月25日(土) 午前10時~11時  受付 午前9時30より 
・場所 白百合学園講堂(上履きの必要なし)
・保護者対象 
詳しくは各学校のホームページをご覧ください。
 
★★入試問題を分析する★★
 [8] 構成力・観察力に関する問題 (2)
 
今回は複雑な分割です。三角形、四角形、円形の、二分の一、四分の一とい
った分割は、基礎トレーニングで理解できているはずです。問題は、複雑な
分割です。
大人でも、「ナヌ……?」と考え込んでしまう問題もありますね。
ですから、これもいきなり問題集を使うのは、止めた方がいいでしょう。
混乱するだけです。
「ブンカツ! 聞いただけで頭が痛くなるわ!」
算数嫌いになりかねません。小学校の勉強は、1年生から何といっても国語
と算数が基本ですから、スタートでつまずくと大変です。
 
問題集を買い、複雑に分割してある問題を、お子さんが、かつて愛読してい
た絵本などを使い、その通りに線を引き、切り、それを使ってやってみまし
ょう。
昔の愛読書ですから、覚えているでしょうし、忘れていても思い出します。
それに形が大きいですから、しっかりと学べます。
3分割ぐらいから始めましょう。
「お母さん、これ『桃太郎』でしょう!」
笑顔を浮かべながら取り組むお子さんの姿を想像できますね。
絵本には、いろいろな思い出が残されていますから、面白がって取り組むは
ずです。
表ができたら、裏も使えます。
1枚の絵で、二通りの学習ができます。
コツが理解できれば、白紙で挑戦、 絵で一回学習していますから、最初は
楽勝ですね。
これでやる気を育て、複雑な問題に挑戦できるようにしてみましょう。 
 
できない問題があっても、心配はありません。
問題集を読んでいて、「こんなの、時間内にできるのかな?」と思える問題
があると、学校側の狙いは何だろうと考えてしまいます。難易度の高い問題
があると、「できないと、合格しない!」と考え、無理やり教えこんでしま
うお母さんがいると聞きます。何といってもお母さん方は、偏差値教育を受
けてこられた元受験戦士ですから、やりますね。
しかし、考えてみましょう、受験生は5、6歳の幼児です。学校側は、構成
力、プラスやる気、意欲、これを見ているのではないでしょうか。
あせらず、時間をかけ、できるようにしてあげましょう。 
      
このように心がけていると、例えば、試験場で難しい構成の問題に出合った
時、「わかんない…!」と泣き出してしまう子と、できなくても最後まで挑
戦し、時間がきたら、「やっぱり、できないな!」といって、きちんと止め
る子とでは、泣き顔のお子さんからは「何でもできなくてはいけないと考え
る満点主義の教育ママの顔」が、頑張ったお子さんの場合は「一所懸命に頑
張ってできなければ仕方がないでしょう」とあたたかく励ますお母さんの笑
顔が浮かんでくるといった評価も生まれるものではないでしょうか。先生方、
期待していますよ(笑)。
 
オロオロ、キョロキョロと辺りを見るようでは、「できなきゃいけない!」
という価値観が、お子さんをがんじがらめにしていることになりかねません。
小さい時から、「何でもできなくては駄目だ」と教えるのは、いいことでは
ないと思います。できないことがあるから、できるように勉強するのが学校
教育の目的です。できないことが悔しかったら、それをバネにして挑戦する
気持ちの方が、大切です。 幼児期は、結果を競い、結果だけを求める時で
はありません。やはり、やる気、挑戦する意欲を見ていると思います。
家庭学習でも、こういった面を育ててほしいですね。
 
プリントでの分割の問題は、当てはまらないもの、おかしいものを消してい
く消去法がいいでしょう。その時に、なぜ必要ではないのかをお子さんに説
明させると、効果はさらに上がります。自分の考えをいう、言葉で表現する
のは、本当に難しいですね。
「これは、ここが違うから、当てはまらないわ」
「そうですね、角度が違うわね」
「角度って、なあに?」
「開き具合ですよ」
これは教え込むのではなく、「……?」と興味を持たせることです。関心を
持てば、記憶されるものです。
知的な刺激を与えてあげましょう。
 
構成の問題に限りませんが、たとえば、答えが違っていたとします。前にお
話しましたが、そんな時に、やってはいけないことがありますね。子どもの
前で、間違いを指摘しないことです。
「これ違っていますよ!」
「それならこれかな?」
「違います!」
「じゃ、これかな?」
「何で、考えないの、あなたという子は!」
こうなりがちです、そうではないでしょうか。
最後は、顔色も変わり、話す口調に怒気さえ含んでいます。子どもは怒られ
たくない一心で、ひたすら残っている答えを指差すだけです。偶然に答えが
合うことを祈って、です。考える時間を与えていません、お母さんは。
「勉強って、つらいものだな!」
このような気持ちにさせてしまっては、小学校へ入る前から、勉強の嫌いな
子になりがちです。
 
わからなかったら、コピーをとり、それを切らせ、組み立てることです。 
怒られて、おどおどしながらやっているお子さんの気持ちを考えてあげまし
ょう。 かわいそうだと思いませんか。お子さんが、お母さんの顔色を気に
しはじめたら、気分転換をはかることですね。お互いの精神衛生のためです。
難易度の高い問題に取り組むときこそ、あたたかい配慮が必要です。
 
閑話休題。
問題の解説は一休みして、お母さんの「育児の姿勢」をチェックしてみまし
ょう。これは、かつて、皇太子さまが記者会見で披露された詩です。日本で
もベストセラーとなった「子どもが育つ魔法の言葉」(PHP研究所 刊)
の著者、ドロシー・ロー・ノルトの作ですが、お読みになったお母さん方は、
この本の冒頭にある「子は親の鏡」の詩には、納得されたのではないでしょ
うか。ここで紹介するのは、確か、スウェーデンの中学生用の教科書にあっ
たものだと記憶していますが、資料が見つからないもので、間違っていたら
お詫びいたします。
私どもも教室の入り口に掲示していますが、「育児しながら育自する」お母
さん方が大切にしている心構えではないでしょうか。
        
      子ども  ドロシー・ロー・ノルト 作
 批判ばかりされた 子どもは 非難することを おぼえる
 殴られて大きくなった 子どもは 力にたよることを おぼえる
 笑いものにされた 子どもは ものを言わずにいることを おぼえる
 皮肉にさらされた 子どもは 鈍い良心の もちぬしとなる
 しかし、激励をうけた 子どもは 自信を おぼえる
 寛容にであった 子どもは 忍耐を おぼえる
 賞賛をうけた 子どもは 評価することを おぼえる
 フェアプレーを経験した 子どもは 公正を おぼえる
 友情を知る 子どもは 親切を おぼえる
 安心を経験した 子どもは 信頼を おぼえる
 可愛がられ 抱きしめられた 子どもは 世界中の愛情を 感じることを おぼえる
 
いかがでしょうか。
お子さんは、ご両親の作る環境で育っていくことを、忘れてはいけないと思
います。受験されるお子さんは、同世代のほんの一部の子ども達の一人です。
ほとんどの子ども達は、こういった受験準備をせずに、小学生になります。
算数を例に取れば、加減乗除から分数の領域まで、数字も記号も使わずに学
習し、「話の記憶」では、中高学年で習う「長文の読解」を文字も使わずに
学習するわけですから、家庭学習は、そのことを理解した上で、無理のない
ように進めていただきたいのです。
お子さんが嫌がるときは、スパッと止めましょう。
そして、寝静まった頃に、お子さんの寝顔を見ることですね。
お母さんの気持ちも、切り替えられると思います。
大切なのは、お子さん自身の将来、歩むべき道ですから……。
 
年長さんになりましたが、元気に通っていますか。
集団生活への適応力をきちんと身につけるのも、合否の鍵となる大切なポイ
ントです。
楽しく過ごせるように心がけてください。
少しでもお兄さん、お姉さんらしくなったところが見えたときは、ほめてあ
げましょう。
第40号でもお話ししましたが大切なことですから繰り返します。「さすが
お兄さん(お姉さん)!」は、子どもに自信を持たせ、「お兄さん(お姉さ
ん)なんだから!」は、不満をつのらせがちで、賢いお母さんの口にする言
葉ではありません。
子ども達は、お母さんの何気ない言葉にも、敏感に反応していることを忘れ
ないでください。
 
「地震、雷、火事、台風」、自然の前に何とも人間は無力な存在であること
を、またしても痛感させられました。余震が異常ですね。これ以上被害が出
ないように、何とか穏便に収まってほしいものです。幼児は自分で身を守る
すべを知りません。しっかりと教えておくのも親の大切な仕事です。今回も
飲料水の不足が深刻のようです。「我が家の防災対策」、チェック済みと思
いますが、油断大敵です。肝に銘じておきましょう。
(次回は、「構成力・観察力(3)」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 構成力・観察力に関する問題(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第41号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★説明会情報★
○立教女学院小学校
日時 5月7日(土)10:00~11:30 於:聖マリア礼拝堂
保護者対象 予約不要
 
○東洋英和女学院小学部
日時 5月7日(土)13:00~
保護者対象 予約不要
終了後 校内見学/質問コーナーあり(参加は自由)
 
○青山学院初等部
日時 5月14日(土)9:30~
終了後、校内見学
事前申込受付を行う場合には、4月中にホームページで通知。
 
○日出学園小学校 お父さんための説明会
日時 5月19日(木)・5月20日(金)18:30~
要 申し込み (1か月前より受付開始)
 
いずれも詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
★★入試問題を分析する★★
[8]構成力・観察力に関する問題(1)
 
基本は図形ですが、その他に模倣や同図形、異図形の発見などがあります。
 
[図形合成の問題]
三角形、正方形、長方形、菱形、円形などの形についての理解力を問う問題で
す。
これも、かなり難しいですね。
 
◆プレート合成
★(数枚のプレートが置かれている)
「三角のプレートを使って、お手本と同じものを作りなさい」 
 
難しくて、どこがどうなっているのか、わからないものがあります。とにかく
プレートを持って悩んでいても始まりません。しかも時間は限られています、
45秒程ですから、迅速な対応が求められます。
 
問題集でやる場合、プレートがついていれば、それを切り取り利用できますが、
ない場合は、少し厚手の紙で同じ物を作ってあげましょう。そして、問題集に
取り組む前に、お子さんにいろいろな形を作らせて遊ばせ、「おもしろいな!」
と興味を持たせることが大切です。プレート構成の意味が理解できてから、挑
戦しましょう。
 
◆分割合成
★(5つに切り離されたプレートが、バラバラに置かれている)
「プレートをうまく組み合わせて、もとの円い形にしましょう」
 
三角形、正方形、長方形、円形が4つから5つに分割されたものを、元の形に
復元する問題で、ジグソー・パズルのように、絵が描かれている場合は、かな
りできますが、真っ白なパネルでは、苦労しますね。
お子さんにさせてみるとわかりますが、「△とは、□とは」と、定義を前提に
せずに、どんどんと作っていきます。
言うまでもありませんが、円は、外は曲線です。
三角は、3本の線で囲まれて、角は3つです。
四角は、4本の線で囲まれて、角は4つです。
しかし、子ども達は、これを無視して取り組みますが、しばらくすると、「で
きました!」となるのですから、やはり、遊びの感覚ですね。図形の定義を抜
きにした構成力で、本当に不思議なものです。
ただし、完成した時には、△、□、○などを言葉でいえるようにしておきまし
ょう。
三角形は「さんかく」、正方形は「ましかく」、長方形は「ながしかく」、円
形は「まる」でいいでしょう。
 
★「左の形を作るには、右の長四角の中の、どれを使えばよいです
か。3つずつ探して○をつけなさい」
 
先程、パネルでやった問題を、プリントで答える応用問題となります。いきな
り問題集をやると、直ぐにお手上げになりかねませんから、プレートを使い、
基礎トレーニングを十分積んでから挑戦しましょう。その基礎トレーニングで
すが、またしても折り紙の登場です。形がそろわないとうまく構成できません
から、きちんと折り、丁寧に切ることが大切です。角を合わせて2回折ると4
個の三角ができますから、それをお子さんに切らせます。
 
2枚使って三角を作ります。
次に四角です。
この四角を作るときに、角と角を合せて蝶々を作ることを覚えると、4枚で真
四角を作るときに役に立ちます。
平行四辺形もできますが、名称は、覚える必要はありません。
今度は、4枚で三角と四角と長四角を作ります。
三角は二通りできます。
 
ここで、お母さん、挑戦しましょう。お子さんが三角4枚で作った四角を使い、
それより大きな四角を作ってください。かつて、東京女学館小学校で出題され
た問題ですが、頭が固いとできません。
 
今度は、四角を折ってみましょう。
上下の辺を合わせて折り、広げて折っていない方を同じように折ると四角が4
つできます。三角は、何回切っても三角に変わりはありませんが、四角は、長
四角と四角の繰り返しですね。
 
次に、円形です。コンパスがなくても、茶わんを使えば描けます。
半分に折ると扇形ができます。さらに、半分に折ると4個の扇形ができます。
バラバラにして組み立てられれば、円と扇形の構成がわかります。
 
ところで、○の分割で、ケーキを3人、5人、6人で分けるといった問題があ
りますが、子ども達には難問です。○を三等分、五等分、六等分に分けたもの
を作り、それを切り取り、形を覚えておきましょう。
この問題を解くときに、器用に分けられる女の子がいるものです。
「ママが、ケーキを切るのを見て、粘土でまねをしたの!」
お手伝いをしながら、5つ、6つに分けたのを見て、
「ママ、すごい!」
と驚き、実験して覚えたそうです。やはり、体験学習は、貴重な財産になって
いますね。
 
同じ体験ですが、「丸い粘土の固まりを使い、同じ大きさの玉を3個作りなさ
い」といった問題で、粘土の固まりを板の上にのせ、手でゴシゴシとこすり、
細長い棒状に伸ばして、それを三等分し、3個の玉を作った子がいました。
「ママとクッキーを作ったとき、こうすれば同じ大きさに作れると教わったの!」
と嬉しそうに話してくれたものです。こういった日常生活での体験が、大きな
知恵となっていることがよくわかります。生活体験、学校側の狙いもここにあ
るわけです。
 
少し脱線しますが、3個に分けた玉を一つに丸めて、「○が3個でも1個にな
る」という子ども達がいるものです。つまり、1+1+1=3ではなく1だと
いうわけです。3個の玉を、もとの固まりに丸めると1つの固まり[○]になり
ますから、確かに[1]になります。
これは、「ある量のものをいくつに分けても、もとの量は変わらない」という
「量の保存」のことですが、量と数の違いは、粘土で説明するとわかりやすい
でしょう。
私がお預かりした子ども達の中にも何人かいました。いずれもペーパーテスト
をしない難関校に入りましたが、こういったことにこだわるお子さんには、き
ちんと説明してあげることが大切です。小学校4年生で習う分数の基本です。
 
最後に、作った形を真四角、長四角、三角、円といった形でまとめてみましょ
う。どこかで見たことはないでしょうか。そうです、積み木の箱です。一つの
形を作ってきちんと収納されていませんか。 図形の基本ですね。
三角2つで四角が、四角2つで長四角、長四角2つで四角、扇形4つで円がで
きます。積み木を片付けながら図形の構成を学習しているわけです。スケッチ
ブックなどにそれぞれの形を描き、その枠内にしまう練習もやってみましょう。
 
積み木は、頭脳のトレーニングになる遊びです。
遊んでいる子どもには玩具の一つですが、幼児期の図形学習や構成力、観察力
や立体感覚を養うために欠かせない大切な教具です。巧緻性のところでお話し
た「手は第二の脳」を思い出してください。手を使う作業は、目でとらえた情
報を脳に伝え、それをいかに行動に表すかを脳が考え、正しい指示を出し、手
先が適切に作業をする、体と脳の共同作業だとお話しました。
 
こういった共同作業をスムーズにできる子の知的な能力が高いといわれるのは、
それだけ試行錯誤を積み重ね、苦労をしながら、自発的に学習し、理解したも
のであり、先天的な能力だけではないと思います。しかも、子ども自身は、
「図形や構成力のお勉強!」などと思って、取り組んでいるわけではないので
すが、構成力がつくだけではなく、夢中になって取り組むことで、集中力や学
習意欲も培われます。
 
子どもは、単に記憶にだけ頼るのではなく、身体全体を使い、学習をしていま
す。子どもの遊びは、すべて、何らかの学習につながっているのです。「遊び
はいけないこと」と考えるお母さん方がいると聞きますが、それは間違いです。
幼児期の遊びは、工夫する力を培う大切な作業であり、学習の場と考えましょ
う。考え行動することから、自発性が養われていくからです。
 
これで基礎トレーニングは、終わりです。基礎をしっかり理解してから、問題
集に挑戦しましょう。三角形、四角形のパネルつきのゲーム感覚の教材を選ん
でください。図形の問題に強くなると、考える力がつきます。複雑な問題にな
ると時間もかかりますから、集中力や持久力もつきます。 
 
スムーズにできないと、苛立つお母さん方がいるようです。
「……! ……? ……こうやるのかな!」などと、お子さんが一所懸命に考
えている時には、口を出さないことです。
「お母さん、これ、どうなっているのかな……?」
などと助け舟を求めてきたときにアドバイスしてあげましょう。お母さんにも
根気が必要です。その心構えが、お子さんの持久力や取り組む意欲や自発性を
育てるからです。
 
先程の、お子さんが作った□を使って、それより大きな□を作る問題ですが、
中心に集まっている4つの頂点を、底辺を軸に、それぞれ左、右、上、下へ裏
返しにします。お子さんの作った□の外側に、4つの三角の屋根ができ、大き
な□となるはずです。仕掛けがわかると何でもないように思えますが、「コロ
ンブスの卵」と同じですね。日能研のキャッチフレーズではありませんが、
「□(シカク)いアタマを○(マル)くする」、子どもとの付き合いで大切なのは、
親の既成概念、思い込みを押しつけないことです。
      (次回は、「構成力 観察力2」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   記憶に関する問題

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第40号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
 
◆入試情報◆
早稲田実業学校初等部 
学校入試説明会 
日時 5月29日(日)
   1回目 10:00~11:30  2回目 13:00~14:30
   会場 早稲田大学 大隈講堂  予約不要 上履き不要
学校見学会
   日時 9月3日(土) 9:00~12:00
   予約不要 上履き不要 学校案内・願書頒布
                    (初等部ホームページより)
 
成蹊小学校
  第1回 学校説明会 日時 6月 4日(土)時間未定
  第2回 学校説明会 日時 9月 3日(土)時間未定
  オープンスクール  日時 6月24日(金) 10時40分~12時15分
                    (小学校ホームページより)
※いずれも詳しくは、ホームページで確認してお出かけください。
 
めぇでる教育研究所のホームページの
「お受験情報・リンク」https://www.medel.jp/link/
を開き、各学校
のアドレスをクリックすると、説明会の日程など詳しく知ることができますの
でご利用ください。
 
 [7] 記憶に関する問題
 
プロジェクターを使って、スクリーンに映し出された映像を何十秒か見て、ど
れだけ覚えているかをみる問題です。映像は、イラスト、色、図形、位置など
があります。
 
上映されている間、問題用紙は裏返しにし、本人には見えないようになってい
ます。問題がスクリーンに映っている間に、覚えなくてはならないのですが、
裏返しにされている答案用紙を、そっと見る子がいるそうです。そんな暇はな
いのですが……。
こういった態度には、どんなチェックが入るのでしょうか。まさか、「カンニ
ングの行為でマイナス5点!」などはないでしょう。ただ、不安なのです。不
安の種は、どうやら子どもの頭に浮かぶお母さんの顔のようです。
できないと、怒られるからなのでしょうか。
もし、そうだとすれば、こういったところに、普段の育児の姿勢である「満点
主義の教育ママ」の顔が、表われかねませんね。結果ばかりにこだわらないで、
どうしてできないのだろうと、そのプロセスを考えてあげるお母さんになって
ほしいのです。
 
「私どもは、試験でさえもプロセスを大切に見極めています」
文言は正確ではありませんが、かつて、桐朋小学校の説明会で聞いた話です。
「プロセス重視」、これは家庭学習で忘れてはならない大切な心構えです。 
 
◆絵の記憶
公園で動物たちが遊んでいる絵を20秒ぐらい見て、うさぎがいたところに○、
たぬきがいたところに×、りすがいたところに△をつける問題です。
スクリーンをボーッと見ていたら、
「動物が遊んでいたなぁ……!」
でおしまいですね。
 
◆色の記憶
四角や、三角、丸などの図形に、三色から多くても五色ぐらいの色を塗ったも
のを見て、それと同じところに同じ色を塗る、同じ色のシールを貼るなどの問
題です。
「きれいだな!」
気持ちはわかりますが、感心している場合ではありません。
あっという間に終わります。
集中力です。
 
◆形の記憶
☆△□○といったように、形が並んでいるものを見た後に、下の中から同じも
のを選んで印をつける問題です。
形は、難しいですね。
抽象的で、つかみどころがないからです。
 
◆ 位置の記憶
ます目の中に、動物や昆虫、花や果物、記号や図形がかかれているものを見て、
右側の解答用紙の同じ所に印をつけたり、おはじきを置いたり、シールを貼っ
て答える問題です。
動物や花などは、覚えやすいようですが、図形は抽象的だけに難しいのです。
 
◆音の記憶
例えば、太鼓が6回たたかれた音を聞き、その数だけ○を書くとか、テレビを
使って、動物たちが順番に楽器を鳴らし、だれが、どの楽器であったか、動物
と楽器を線で結ぶ問題などがあります。
 
記憶の問題は、やった経験がなければ、ほとんどできないでしょう。
テストは、このように行われるからです。
 
(スクリーンには、動物たちが公園で遊ぶ様子が映されています)
★スクリーンを見てください。………………………(20秒経過)
「くまさんがいたところに○、うさぎさんのいたところには×をかきましょう」
      
「記憶の問題です」などといった説明もなく、スクリーンに問題が映り、しば
らく沈黙が続きます。
「スクリーンを見てください」といっていますから、説明なしとはいえません
が、ボーッと見ていたら、それまでですね。人間の脳は、「覚えなさい!」と
の明確な指示があって、初めて記憶する作業が始まりますから、これは、心構
えが必要です。
 
登場する動物も多く、公園の様子も複雑な問題がありましたね。
子どもは、どのようにして覚えるのでしょうか。
大人は、「ブランコにくまがいて、滑り台にパンダが、砂場にはうさぎが……」
と理詰めに記憶しようとしますから、これでは覚えきれません。
ところが、子どもは、全体をパシッと頭に収めてしまうそうです。
カメラを考えれば、いいようです。
全体を、頭に写し撮ってしまうらしいのです。
子どもの頭は柔軟ですから、記憶できるそうです。
 
子どもの記憶力には、驚かされることがあります。
電車の好きな子が、東海道線の全部の駅の名前を覚えた話など聞きませんか。
 車博士から鉄道博士、昆虫博士と、よくぞ覚えたものだと感心させられます。
そういえば、3年間分のカレンダーを覚えている年長の子に会ったことがあり
ました。
「平成〇○年の12月31日は、何曜日?」
「水曜日!」
なぜか、去年と今年と来年分の3年間なのです。話を聞いてみると、お父さん
のもらってきた手帳が、余ったのでもらったそうです。そのカレンダーを見て
いて覚えたらしいのです。前後3年間というのも面白いですが、どの年の、月
日と曜日を尋ねても、ピタリと当たるものですから不気味でしたね。 どうな
っているのでしょうか、子どもの頭は。              
しかし、記憶の範囲は前後3年間であることから仕組みがわかりました。来年
の12月31日は水曜日と当てるのですが、再来年の1月1日は、何曜日かが
わからないのです。次の日、翌日のことです。素晴らしい記憶力には感心しま
したが、単に覚えているだけでは、余り役に立たないということです。
 
こういった問題があるからといって、問題集を買い、ひたすら繰り返し訓練す
るのは、考えものです。第一、面白くありません。20秒ぐらい絵を見せられ
て、サッと隠して、
「今、何がありましたか!」
「こんなことして、何になるの、お母さん?」
こういわれて説得できなければ、やっている親の立場がなくなりますね。
お気に入りの絵本の、1ページに描かれている情景をいわせてみると、驚くほ
ど細部にわたり記憶しているものです。こういったものを利用しながら、記憶
するという意識を刺激してみましょう。
トランプを使った「神経衰弱」なども、絶好の教材となります。
こういったステップを十分に踏み、それから問題集を利用すれば、お子さんも
やる気十分に挑戦するはずです。問題意識が芽生えないと、興味を示しません
から、意欲もわきません。
 
記憶は、本当に気ままなものです。 
自分の好きなことは覚えますが、嫌いとなると、もういけません。
やはり、出発点は好奇心ですね。 
そこから、注意力や集中力が働いて、記憶するのでしょう。
普段から、注意力の散漫な子は、やはり、覚えるのも苦手ではないでしょうか。
身辺の整理ができない、おもちゃ箱が乱雑な子も、どうでしょうか。
過保護、過干渉な育児も駄目でしょうね。
何でも自分でやらなければ、段取りがわかりません。
段取りは、前にやった時の経験が生きてきます。
経験は記憶されますから、自分でやることが大切です。
記憶力も試行錯誤の繰り返しで身につくもので、子どもの生活体験と深い関わ
りがあります。
自発性にとみ、自立心の身についている子の記憶力は、すぐれているはずです。
それは、いろいろなことに自力で挑戦しているからです。
 
小学校側も、単に記憶する能力をみているのではないでしょう。
五感を刺激されていれば、記憶力もつきます。
このことです。
ですから、机の上で、問題集でたたき込まれただけの知識は、あまり役に立ち
ません。
単に、大脳神経の回路を刺激して記憶するだけですから、忘れやすいのです。
しかし、頭と体が一体となって覚えたものは、忘れません。
それは、知識ではなく知恵だからです。
身についた知恵の主語は、自分自身です。
詰め込まれた知識の主語は、多くの場合、第三者やお母さん、お父さんではな
いでしょうか。
 
記憶力を培うのは、五感に刺激を与える環境だと思います。
お子さんが、夢中になって取り組む遊びはありますか。
好奇心の旺盛な子は、やはり、記憶力も順調に発達しているといえるのではな
いでしょうか。
(次回は、「構成力・観察力1」についてお話しましょう)
 
幼稚園、始まりましたか。
年長さんになり、少し戸惑っているかもしれませんね。お兄さんやお姉さんに
なりましたから。「さすがお兄さん(お姉さん)!」とプライドをくすぐり、
自信を持たせましょう。「お兄さん(お姉さん)になったのだから!」は、賢
いお母さんのいう言葉ではありません。

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第39号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
(4) 推理・思考に関する問題(3) 
 
◆入試情報◆
◎神奈川私立小学校フォーラム
日時 5月8日(祝)10:00~15:00
場所 新横浜プリンスホテル5F
横浜雙葉小学校他29校参加 幼児広場開催予定。
詳しくは「神奈川私立小学校フォーラム」のホームページをご覧ください。
 
◎横浜雙葉小学校 
学校説明会 4月23日(土)午前中 (申し込み不要)
学校見学会 5月12日(木)午前中 (要 事前の申し込み)
オープンスクール 6月25日(土)午前中 (要 事前の申し込み)
詳細は、4月1日以降、本校ホームページに掲載。
 
[科学性の問題]
(風の吹く向き、影や水に映っている絵を見て)
◆ 下の絵で、おかしなところに×をつけなさい。
 
問題集に取り組む前に、以下の実験をしておくと、好奇心の触角となる「ナゼ、
ナゼ、ドウシテ?」の探査用アンテナを張りはじめます。
風の吹く様子は、ぶら下げたひもにドライヤーで風をあててみましょう。
影は、お日さまの出番ですが、懐中電灯でもわかりやすいでしょう。
水に映る様子は、前回の実験で使った画用紙を縦にして半分に折り、上の部分
に矢印↑や▲を描いてみましょう。そして、色を塗り、重ねて、よくこすりま
す。どのように写るかががわかれば、直ぐに理解できるでしょう。
 
磁石にくっつくもの、水に浮くもの、沈むもの、これも同じです。磁石を持た
せて、十分も遊んでみると、わかります。おもちゃ箱には、いろいろなものが
入っていますし、部屋の中にも、実験用の教材は豊富です。しかし、うっかり
コンセントに近づけると危険ですから、よく説明しておき、絶対に一人ではや
ってはいけないと約束し、実験中も監視の目をゆるめないことです。 
缶はアルミ製とスチール製を用意しましょう。「エッ!」となるはずです。 
砂の中に磁石を入れると面白いのですが、最近の砂場は衛生上、問題がありま
すから勧められません。砂場で砂鉄を採集し、紙の上にのせ、下から磁石をあ
ててみましょう。これは、子どもにとっては、驚きの現象となるはずです。
少し難しいかもしれませんが、どうすれば折り紙を磁石で持ち上げることがで
きるか、挑戦してみましょう。ヒントは、クリップなど磁石にくっつくものを
利用することです。
 
コップや空き缶は、どんなときに浮き、沈むのでしょう。  
ジュースの入ったビンは、浮くでしょうか。
水をいっぱい入れたビンと、少し空気を入れたビンでは、どうなるでしょうか。
1円玉、10円玉は、どうですか。
紙は、条件で変わります。
輪ゴムも面白いですね。
さつま芋は浮くでしょうか。
すいかも面白いのですが、今は、丸ごと買いませんから、ピンチヒッター、メ
ロンでどうでしょう。
 
ところで、昔、大関に小錦という大きなお相撲さんがいましたが、プールで泳
いでいるのをtれビデ見て、「どうして、あんなに大きなお相撲さんが、水に
浮くのですか?」と真剣な顔をして質問した子がいました。皆さんは、どのよ
うに説明しますか。
 
その他に、植物の成長の段階や昆虫の生育状態を、絵を並べて答える問題もあ
ります。
朝顔やひまわり、チューリップなど家で栽培できるものを、お子さんと一緒に
育てながら、観察絵日記をつけるのも、効果がありますね。
おたまじゃくし、めだか、やごなどは、川にはいくらでもいましたが、今は、
その気になって出かけて探しても、いません。
♪春の小川は さらさらいくよ♪
などという風景は、どこにあるのでしょうか。
本物に勝るものはありませんからお勧めできませんが、図鑑などで説明するし
かないでしょう。
「手に入らない、見ることができない」といっても、興味や関心の芽は育てて
おきたいものです。
 
文部省唱歌「春の小川」の情景は、どこにあったかご存知でしょうか。
渋谷を流れていた河骨川だそうで、今はコンクリートで固められた汚れた川、
宇田川と呼ばれ、東急東横線の渋谷駅前の歩道橋から見ることもできますが、
あまり見栄えのよい景色ではありませんから、お勧めできません。歌碑は、小
田急線の代々木八幡駅付近の線路沿いに建てられています。
ところで、平成25年3月から東急東横線の渋谷駅は地下にもぐって副都心線
と乗り入れになり、川越から元町・中華街まで乗り換えなしに行けるようにな
り、横浜雙葉小学校の説明会に出かけましたが、地下鉄を利用するたびに思う
ことは、すべて電気が頼りですから、電気が止まると、後期高齢者は、あの階
段を上り下りできませんね。停電の場合、どうなるのでしょうか。蛇足ながら、
目下、渋谷駅周辺は、再開発事業が進行中、46階建ての高層ビルが建つそう
で、街の様子が変わってきました。
 
[鏡映像]
これも勘違いしやすい問題ですね。
「左と右が、反対に映るんですよ!」
理論上は、そうですが、子どもには難しい問題です。
「お母さん、どうして左と右が反対になっているのに、上と下は変わらないの?」
こうなると、収拾がつきません。
鏡の前で、いろいろなポーズをとって、遊んでみましょう。右手を上げると鏡
の中の自分は、左手を上げていることに気づかせます
 
わかってきたら、子どもと向き合って、「鏡ゲーム」で遊びましょう。お母さ
んが鏡になり、子どもが右手をあげたら、どちらの手を上げますか。左手です
ね。お母さんのいうとおり、左右が反対に映っているのですが、理論的なこと
は、どういうふうに映るかが、よくわかってからにしましょう。
 
ところで、実際に出題されたかどうかわかりませんが、問題集にこのようなも
のがありました。
 
(子どもが、鏡の前で右手を上げている)
◆どのように映っているか4枚の絵から選びなさい。
 
鏡は手前にあり、どのように映っているかわからない仕掛けになっています。
子どもの絵を180度回転させなければわかりませんが、「鏡ゲーム」でやっ
てみると、右手に歯ブラシを持っている子は、鏡の中では左手に持っているこ
とがわかります。
 
ところで、鏡は不思議です。
左右が逆になるのに、なぜ、上下は、そのまま映るのでしょうか。      
「そんなこともわからないの。壁に掛かっているからだよ。足元に置いたら、
先生の姿は、逆さまになっているでしょ!」
こういって、鏡を私の足元に置いた子がいましたが、お父さんがお母さんの使
っている等身大の姿身を床に置いて見せてくれたそうです。
幾何学的にいえば、逆転しているように見えるのは、左右ではなく前後(奥行
き)だそうですが、理屈抜きです。このお父さんのように、実際にどう映って
いるかを見せることが大切で、幼児の学習は、これに限ります。難しい原理や
定理は、大きくなって学力がつき、疑問に思ったその時に、自分で調べること
ができるからです。
 
[四方図形]
最後は、四方図形です。
真ん中に、旗を持ったくまの縫いぐるみの人形があり、それを前後左右から見
ると、どう見えるかを答える問題です。
 
これも実験です。
大きめのコーヒーカップをテーブルの上に置いて、前、右、後、左と、回り方
はどちらからでもいいのですが、スケッチブックに描いてみると、すぐにわか
ります。
前から見るのと後ろから見るのとでは、逆になります。
右側から見えた持つところは、左側からは見えません。
これがわかれば理解できます。
 
しかし、積み木の四方図形は難しいですね。
二等辺三角形を上から見ても、横から見ても長方形に見えるのですが、これが
なかなか理解できないようです。傾斜を平面としてとらえるのは難しいですね。
底辺が四角の場合は四角に、長四角の場合は長四角に見えることを、よく確か
めておきましょう。
円柱もそうですね。
上から見ると○ですが、横から見た場合は、長さにより違いますが、四角や長
四角にも見えます。
扇形も、見る位置を変え、上から見ると長四角に見えます。
積み木をいろいろな角度から見て、スケッチブックに描いてみましょう。傾斜
が平らに見えるのは、描いてみると「なるほど!」と理解できます。
 
もう一押ししておきましょう。
対称図形でやった矢印です。
これを切り抜いて、お母さんが持って、子どもの前に立ち、
「お母さんから見たら、この矢印、どっちに向いていますか?」 
「(ぼくから見ると左向きだから、お母さんから見ると逆だな。)
お母さん、右向きでしょ!」
「ピン、ポン!」
しっかりと理解している証拠です。
 
しかし、こんなにややこしい四方図形などを、どうして出題するのでしょう。
毎年、出題している小学校があります。「これは思うに」などと気取ることでも
ありませんが、物は、見る方向によって、いろいろな形に見えますから、ある方
向からだけ見るのではなく、いろいろな方向から見ることが大切なのだといって
いるのではないでしょうか。 
子どもも、同じです。
子どもの能力をある方向から、たとえば、知的な能力だけで判断してはいけない
ということですね。子どもの持つ様々な能力を、きちんと見極めてあげるのが、
親の大切な仕事ではないでしょうか。
ところで、出題頻度の高い小学校は、愛子さまの通っていた学習院初等科で、掲
げる教育目標は、「視野の拡大と個性の尊重」ですが、学校にお伺いしなければ
わかりませんが、考え過ぎでしょうね(笑)。
 
いかがでしたか。
推理思考の問題は、やってみると、子どもの日常生活と、深くかかわりを持って
いることがわかります。幼児の試験ですから、判じ物のような試験をするわけは
ありません。問題集だけで知識を教え込むのではなく、子どもの周りには、たく
さんの教材がありますから、これを利用することが大切です。好奇心をそそるよ
うに仕向けていくのが、賢明な方法であり、問題意識を持たせることです。
「なぜ、どうして?」という疑問の芽を育ててあげましょう。そういった疑問を、
小学校に入ってから系統立てて勉強していくわけです。
 
問題集を広げ、鉢巻きを絞めて、机の上でガンガン、ビシビシと教え込むだけが
受験準備ではありません。前にもお話しましたが、記憶力は学習効果を高める大
切な能力の一つですが、記憶力だけに頼るのは、やはり、拙いのではないでしょ
うか。本物の力は、体験を伴った学習から培われるものです。疑問の芽を育てる
環境から、子どもの意欲は培われることを肝に銘じておきたいものです。この意
欲こそ、あすの学習につながるからです。
 
思い出してください。子どもが「わからない!」といったときは、本当のわから
ないのです。理解できない問題は決して無理をせず、お母さんも考え一緒に悩ん
でください。お父さんもお母さんに任せるだけではなく、共に学んでください。
そして、「あしたは、今日より、きのうより」の気持ちを大切に頑張りましょう。
 
桜、満開ではないでしょうか。桜といえば昔話の「花さかじじい」を思い出しま
す。「花さかじじい」「桃太郎」「さるかに合戦」「舌切り雀」「かちかち山」
は日本の五大昔話ですが、お子さんに読んであげているでしょうか。また、それ
ぞれ歌がありますが、「かちかち山」の作曲は瀧廉太郎で、YouTubeで視
聴できます。お子さんと一緒に歌ってみましょう。特に男の子、歌うことを苦手
としがちですが、お母さんと一緒に歌っていないからではと思います。ここ数年、
立教小学校では、歌や踊りを取り入れていますが、昨年は早稲田実業学校初等部
でも同じような課題がありました。学校側の狙いは……? 考えてみましょう。
(次回は、(5)「記憶に関する問題」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第38号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(4) 推理・思考に関する問題(2)
 
◆受験情報◆
聖徳大学附属小学校の資料「Q&A」編が大幅に改定されましたが、その中に
自家用車での通学の件が明記されていました。川越市にある星野学園小学校も
自家用車での送迎を認めていますが、入学後、子どもの方から、友達と通学す
るといって止めるケースが多いそうです。その聖徳大学附属小学校のホームペ
ージには、入学試験の問題の一部が掲載されていますが、これは本校だけでは
ないでしょうか。
【過去問題に挑戦しよう】
・次の絵の中に1つだけ種類の違うものがあります。その絵をクリックしてみ
 ましょう。
    菱餅  兜  七夕飾り  十五夜 (すすき・団子・月)
いかがでしょうか。正解は最後に紹介しましょう。
 
[図 形]
重ね図形、回転図形、対称図形などですが、かなり難しいですね。問題集を買
ってきて、「さぁ、やるぞ!」方式は失敗しがちです。まず、お母さんがやっ
てみましょう。やってみるとわかりますが、折り紙やセロハン紙、それとA4
位のビニールでできている袋や書類入れ、画用紙などを用意しておくと役に立
ちます。遊びの感覚を忘れないことが大切で、特に女の子は、推理の問題を苦
手としがちですから注意しましょう。
 
★重ね図形
2枚の絵を重ねるだけですから問題なさそうですが、何事も実験することが大
切です。
1枚の紙にひまわりの花を描いて、それを透明な書類入れに挟み、今度は茎と
葉っぱを、その上に描かせます。
書類入れに挟んだ紙を引き出して比べると、2枚の絵に分かれていることがわ
かります。
これを理解した後に、自分の好きな絵を、同じ要領で描かせます。 
面白がって描くはずで、上下左右、そのままに重なることがわかれば問題ない
でしょう。
 
★回転図形
言葉で説明すると、難しいですね。
こういった矢印[↑]を描いて、時計回りで実験すると、わかりやすいでしょ
う。
  a ↑ a がお手本です。これを90度回すと、
  b → b になります。
  c ↓ b を90度回すとc になり、
  d ← c を90度回すとd になり、  
      d を90度回すとa に戻るわけです。
 
もちろん、幼児の世界ですから、90度といっても理解できません。ですから、
90度、1回転は「グルリ」で、180度、2回転は「グルリ、グルリ」と繰
り返します。回転図形にはかなり難しい問題がありますから、理解できるまで、
こういった矢印や上下の形が違っているものを使って、子どもと一緒にゲーム
の感覚でやることです。チューリップの花などを描かせてやってみるのも、い
いでしょう。
 
問題によっては、錯覚を起こしやすいですから、その場合は切り抜いて、条件
に合わせて動かし、どのように変化していくか、その様子をしっかりと確かめ
させましょう。大切なことは、上下、左右がどうなるかを見極めることです。
プリントをぐるぐる回す子がいますが、初めのうちはいいのですが、これが習
慣になると、推理する力はつきません。ただ、変化する様子を見つけているだ
けです。
この種のテストの目的は、推理・思考する力が、年齢にふさわしく培われてい
るかを判定する問題ですから、仕掛けが理解できれば、プリントを回すことは
やめて、考える力を養いましょう。
 
★対称図形
正直にいって難しいです。
大人でも音をあげたくなる問題があります。問題集先行型は、失敗しがちです。
折り紙の出番ですね。はさみも使いますから、手先も器用になります。1枚の
折り紙を半分に折った背の側(山折りになっている側)に、図形などが描かれ
ており、それを広げた場合にどうなるか、それを推理する問題です。
 
半分に折った折り紙に、何回も描いては切る、この実験を繰り返し、対称を理
解することですね。
折った背の側に描かなければ、形はできてもバラバラ事件になります。まず、
これに気づかせます。雪だるま、クリスマスツリー、チューリップなど左右が
対称の絵から始めて、図形に移っていくのが無理のない方法です。
マスターできたら、四分の一に切った折り紙を使い、いろいろな対称図形を切
り取り、その両方をスケッチブックに貼りましょう。この貼り方にも、工夫が
必要です。
「手は第二の脳」でも詳しくお話しましたが、糊の使い方は難しいものです。
最初は、折り紙の上部左右の二ヶ所に、切り取ったものには上のところの一ヶ
所に、ほんの少しだけ糊を付け、貼る練習をしましょう。
繰り返し練習をすることで、糊の適量も、全体に薄くのばすこともわかってき
ます。これは、とても大切な作業ですから、家でしっかりと身につけてくださ
い。こういったことまで教室で指導を受けるのは、時間の無駄遣いと考えまし
ょう。
うまく貼れない場合は、箸の使い方、ボタン掛けなどの基本的な生活習慣にも、
影響が出ているのではないでしょうか。繰り返しますが、幼児の手作業は、脳
と運動機能の連携作業であることを思い出してください。制作の問題で、のり
を使うケースもあります。使い終わって手を拭く指示もあります。出題の意図
は、どこにあるか、明確ですね。
 
難しい問題もありますが、これも実験で克服できます。
半分に折った画用紙と、はっきりと色のつくクレヨン、赤色か黒色を用意しま
す。
折った画用紙の左側中央に矢印←を描いて、しっかりと色を塗ります。
そして、上の左端に三角▲、下の折り線のそばに四角□■を書きます。
きちんと塗らないと実験は成功しません。
そして、点線から半分に折って重ね、上からゴシゴシと擦ります。
これも、しっかりと擦らないと写りません。
そして、ひろげます。
まったく逆向きになるはずです。
矢印は→、上の左端の三角は右端に、下の□■は■□と、これも逆になっていま
す。
折り線に近い■は、逆になっても線に近く、線から遠い□は線から離れています。
この実験で、位置や向きが逆になることを確かめて、問題に挑戦しましょう。
難しい問題は、半分に折った紙に、黒色か赤色で問題と同じように線を引き、重
ねて擦ります。
そして、どのようになったかを、子どもに説明させましょう。
口でいえないときは、まだ十分に理解していませんから、再び、実験です。
 
同じことですが、半分に折った紙に矢印を描いて、はさみで切って広げてみまし
ょう。 
左右が逆になっていることを確かめられます。
手先も器用になりますし、後で出てくる巧緻性にもつながっていきます。
これを十分に理解してから、問題に取り組みましょう。
「右側に折って重ねるのだから、左と右が逆になるの!」
こんな乱暴な説明をするお母さんはいないと思いますが、言葉だけで説明しても、
わかりません。
まだ、左右の弁別もあやしいのですから、とにかく、実験を繰り返すことです。
 
スタンプの問題や湖に映った逆さ富士のように、水に映るとどうなるかといった
問題と一緒です。特に、スタンプの問題は、大人でも錯覚しやすいですから、し
っかりと実験をし、どのように変化するかを見極めることが大切です。
 
推理の問題は、いきなり問題集でやるのは、やめた方が賢明で、いたずらに混乱
するだけではないでしょうか。まず、ご両親で学習し、理解をしておくことです
ね。そして、実験、実験の繰り返しです。実験は、疑問を解決する楽しい学習で
あり、遊びの感覚で取り組めますから、子どもたちも喜ぶはずです。 このこと
を忘れないでほしいですね。
 
「過去問題に挑戦しよう」、正解は、「十五夜」で、五節句(正確には五節供)に
入っていないからではないでしょうか。五節句は、1月7日、人日(じんじつ)
七草の節句、3月3日上巳(じょうし)桃の節句、5月5日端午(たんご)菖蒲
の節句、7月7日七夕(しちせき)笹の節句、9月9日重陽(ちょうよう)菊の
節句です。その理由は、本校の学習の特色の一つでもある「礼法教育」で、五節
句を学ぶカリキュラムがあるからです。五節句、お子さんはわかりますか。人日、
上巳ではわかりませんが、桃の節句、菖蒲の節句で説明するとわかるのではない
でしょうか。でも、難しいですね。「お月見、十五夜の日はないから」、「かぶ
と、子どもの日でお休みだから」、「七夕、他の日は菱餅、柏餅、団子を食べる
から」などの答えが出るのではと思いますが、4月21日に説明会があるので確
かめてきましょう(笑)。
 
(次回は、「推理・思考に関する問題(3)」 についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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