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めぇでるコラム : 2017小学校受験 2ページ目

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よく受ける質問から

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第57号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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よく受ける質問から
 
やっと梅雨も明け、暑い夏休み、元気でお過ごしでしょうか。
この時期によくある質問からいくつかを紹介しましょう。
 
Q.慶應義塾幼稚舎の試験では、絵がうまく描けなければ合格しないそうです
  ね。
 
A.「うまく描けなければ」という文言は、大人の考える絵に対する評価でし
ょう。
この考えが、子ども達を苦しめているようです。
入試で絵を描かせるのは、絵の巧拙、上手、下手だけを見ているのでありませ
ん。
大人は自分の考えを相手に伝えるのに、言葉だけで足ります。
しかし、幼児は、言葉だけでは不十分です。
言葉で足りなければ、体全体で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの
方法で、絵もその一つです。
自分で思っていること、考えていることを絵で表現したいのです。
子どもの絵は写生ではなく、感じたことを描いていると思います。
ですから子どもは、絵の巧拙にこだわらず、思い通りに、せっせと描きます。
そばで見ていると、本当に楽しそうです。
以前、幼稚舎が、画家が絵を描くときに使うイーゼルを立て、絵を描かせまし
たが、舎長は、その目的を「子ども達の顔の表情を見たかった」とおっしゃっ
ていました。
ですから、一つの話を聞いたあとに、「この続きの絵を描いてみましょう」と
いった問題に発展させ、子どもの感性を見ているのではないでしょうか。
 
「うまい」に越したことはありませんが、それが、子ども自身の感性ではなく、
誰かに教え込まれたものであれば、評価されないと思います。
どなたがおっしゃったかわかりませんが、そういった絵を「大人の手垢のつい
た絵」というそうです。
「お子さんは、楽しく絵を描いていますか」
そうであれば、子どもらしい絵が描けていると思います。
学校の狙いも、そこにあるのではないでしょうか。
  
最近の傾向として、例えば、5~6人のグループに、模造紙1枚とクレヨン1
箱が用意され、「弁当の絵」「水槽の絵」などのテーマが与えられ、相談しな
がら描くといった形式で出題されていますが、使いたいクレヨンを他の子が使
っている場合、何もしないで使い終わるまで待っている子がいると聞きます。
ポイントは「相談して」にあるのですが、お子さんは積極的に参加できますか。
 
Q.1枚の絵を見て話を作るのが苦手なのですが、うまくなる方法はないでし
  ょうか。
 
A.「うまくなる方法」などありません。
技術的なことを教えても、お子さんは、おそらく理解できないと思います。
1枚の絵から話を作るのは、本当に難しいものです。
絵を見ても、自分で体験をしたことがなければ、話せないのが幼児です。
まず4枚ほどの絵からできている「お話作り」の問題からやってみましょう。
4枚の絵であれば、どういった状況か把握できるからです。
そこから話を作る方法を、自分なりに考え始めるものです。
最初は、つたない話になりがちです。
最後まできちんと聞いてあげ、できたことを褒め、それからおかしなところは、
「ママは、こう思うけれど、どうかな?」と、お子さんに考えるヒントを出して
あげることです。
「違うでしょ、こうなの!」では、お母さんの作品になってしまいます。
これを十分にやった後に、3枚の絵、2枚の絵に進み、そして1枚の絵に挑戦し
ましょう。
苦手なお子さんには、「お母さん(お父さん)、あのね!」方式がいいでしょう。
お母さんやお父さんに話しかけるように作ることです。
幼児の経験は、まだ狭いものですから、体験していないことを表現するのは苦手
です。
日常生活で、「ママ、あのね!」と話しかけてきたときは、必ず、聞いてあげま
しょう。
自分で体験したことを話す、これが話作りの基本でもあるわけです。
話すチャンスをたくさん作ってあげることが大切です。
なお、「お母さん、あのね!」方式は、某国立大学附属小学校で、作文の時間に
実践していた学習方法です。
 
Q.問題に取り組む時に時間がかかり過ぎるのですが心配ないでしょうか。
 
A.幼児には、問題集をやるときにも、さっさと答えるタイプと、じっくりと考
えて答えを出す二つのタイプがあるようで、イソップ物語の「ウサギとカメ」の
話から、前者を直感が働くウサギ型、後者をじっくりと考えるカメ型と考えるこ
ともできます。
難しい対称図形や回転図形の問題でも、ウサギ型は、4つの答えから正解を選び
出すのにも時間がかからず、カメ型は、慎重に取り組みますから時間がかかりま
す。一つ一つ検証して、答えを出しているからです。
おそらくお子さんは、カメ型のタイプではないでしょうか。
一つ一つ比べ、「これは、ここが違う」と納得しなければ、次の答えに手を出せ
ないのですから、むやみに急がすことはありません。
一度、仕組みや方法が理解できれば、スピードもアップします。
 
思考派のカメさん型は、中学年を過ぎる頃から、力を発揮し始めます。
考える力が育まれ、基礎学力がしっかりと身についているからです。
直感派のウサギさん型は、この頃に、一度つまずきますが、頭の回転の速さから
立ち直れます。
ですから、カメさんの場合は、時間がかかってもあせらせることなく、問題は時
間内に解くことを、少しずつ教えてあげましょう。
ウサギさんは、ひらめきだけに頼らず、正解であっても、他の答えはどうして駄
目なのか、その説明をさせましょう。
どちらもお子さんの大切な能力ですから、良いところを伸ばしてあげる、賢いお
母さんになってあげましょう。
  
Q.文字や数字の読み書きは、できた方がいいと友達は言うのですが、やった方
がいいのでしょうか。              
 
A.小学校の入学試験には、文字の読み書き、数字を使った計算はありません。
ただし、答えをイラストではなく、書いてある文字に印をつけるテストを実施し
ている学校もありますが、それは、その学校の方針ですから、受験する方は、そ
のための準備が必要です。
また、暁星小学校でも、年中行事と関係のある数字、例えば母の日は5月ですか
ら5に○をつける、記憶の問題でスクリーンに映った数字と同じものに○をつけ
る問題がありましたから、1月・正月、2月・節分、3月・雛祭り、4月・花祭
り、5月・子どもの日、母の日、6月・父の日、7月・七夕、9月・お月見、
11月・七五三、12月・クリスマスなど、その月と数字がわかるようにしてお
きましょう。
やっていると思いますが、毎朝、カレンダーを見て、「今日は8月16日、日曜
日」というだけで、月日と曜日も無理なく覚えるものです。
ただし、数字を書く必要はなく、読めればいいでしょう。
文字は問題用紙に氏名を書きますし、靴を脱ぎ、試験が終わった後で靴を履くと
きなど、書かれた名前を見て判断することもありますから、名前の読み書きはで
きるようにしておきたいものです。
 
年長になる頃から、文字と数字を書きたがるようになりますが、その場合は、正
しい書き順を教えましょう。
自己流で覚えると、直すのに苦労するからです。
文字を書くことの得意であった子が、小学校へ入ってからことごとく直され、自
信を失う話をよく耳にします。
数字は「0・5・7・8・9」、文字は「と・も・や・よ」、書きにくい「あ・お・そ・
ぬ・む・め」などです。
ただし、テストで数字や文字で答えては、得点にならないことを教え、約束して
ください。
 
ところで、お子さんは、ブツブツとつぶやきながら、昔話や童話の本を読んでい
ませんか。「話の読み聞かせ」の効果です。教えなくても、文字を読めるように
なっていくものです。本を読んであげるのは、大切な学習になっていることを忘
れないでください。
 
以上の「Q&A」は当研究所発行の「さわやかお受験オススメ 小学校受験 
Q&A」からピックアップしたものです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
暑い夏、本番を迎えました。
「夏を制する者は秋を制する」ともいわれています。
無理は禁物ですが、頑張りましょう。
  (次回は「願書の書き方」についてお話ししましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>今年の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第56号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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今年の説明会より
 
「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが、立教小学
校の田代教頭の話。今年は少し端折ったところがありましたから、ここ数年の
話を基にまとめてみました。教頭は、その容貌と話し方からして、大変な熱血
漢であるとの印象を受けますが、おそらく、子ども達から「金八先生」などと
親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
脳科学者の話で、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々
が教えていてもそれは感じる。
アメリカでは1932年に公立校の男女共学を禁止していた。しかし、2006
年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになった。
脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育したこと
に問題があるということで、別学が増えていく。
イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩しや
すいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ずか
しがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校では
今はやりの「リケジョ(理系女子)」ではないが、数学や科学を好む学生が増
えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのでは
といわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来
ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れて
いる中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な制度で、手前みそながら何ですか……」(会場から笑い声が起こり
ました!)
 
リケジョについては、国府台女子学院の平田史郎学院長も進学実績からその傾
向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学にす
る考えはありません」と力説していた学院長、やはり科学的な根拠があったわ
けです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外早
い時期に実現するかもしれませんね。
 
雙葉小学校の河野久美子校長の話。
学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び、助け合う場です。「先
生と子ども」「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の信頼関
係を築き、自分が愛されていることを感じながら、子どもの人間としての成長
を助けていくようにと考えています。一人ひとりの子どもが、人との関わりの
中で、自己表現をしながら、その人らしく生きることができるように祈ってい
ます。バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、
自分で自由に学び、決定することができ、責任をとれる人に育てていくといっ
たように、子ども達が、これからの世界を支えていく人に育ってほしいと願っ
ています。(中略)
 本学園は、それぞれ推薦入学で上級校へ進学する子ども達に、小学校と中学
校で同じ数の新入生を加え、新しい風を入れながら幼小中高と進んでいく一貫
教育校ですが、特別な進学体制をとっていません。
先程お話ししましたように、一人ひとりの子どもの人間としての成長を大切に
しているので、学習面だけに重きを置くのではなく、一貫教育の中で、のびの
びと能力を伸ばしてほしいと考えています。ですから、本校では保護者の方に、
このような学校の方針をご理解して頂き、学校と共に心を合わせ、手を携えな
がら、大切なお子さんを育てていこうとお願いしたいと考えています。
 
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく」、女子校らしいですね。「単純
で、雑駁で、ずぼらで、締まりがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯
事」、男子校らしく、これもいいですね。
 
そして、今年も「親の祈り」の詩が同封されていました。
 
神様
もっと よい私にしてください。
子どものいうことを よく聞いてやり
心の疑問に親切に答え 子どもを よく理解する私にしてください。
理由もなく 子どもの心を傷つけることのないようないに お助けください。
子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
子どもの小さな間違いには目を閉じて 良いところを見させてください。
良いところを 心から褒めてやり 伸ばしてあげることができるように。
お与えください。
感情的に叱るのではなく 正しく注意してやれますように。
道理にかなった希望は できる限りかなえてやり
彼らのためにならないことは やめさせることができますように。
どうぞ 意地悪な気持ちを 取り去ってください。
不平を言わないように 助けてください。
こちらが間違った時には きちんと謝る勇気を与えてください。
いつも 穏やかな広い心を お与えください。
子どもと一緒に成長させてください。
子どもが 心から私を尊敬し慕うことができるよう
子どもの愛と信頼にふさわしい者としてください。
子どもも私も 神様によって生かされ 愛されていることを知り
他の人々の祝福となることができますように。
 
如何でしょうか。
こういったお母さんになれれば、志望校から招待状は頂けるでしょうし、「お
母さんに育てられてよかった!」と間違いなく尊敬されますね。難しいことで
すが(笑)。
 
最後に、幼稚舎の大島誠一舎長の話を紹介しましょう。
 
 戦後すぐに幼稚舎長を務め、今の幼稚舎の理念を作られた吉田小五郎先生が
おられたが、先生は次のように述べられている。
「神様は良くしてくださったもので、学校の成績が悪くても、他に優れたこと
をたくさん授けてくださっていることに気づかずにいる。例えば、ひょうきん
でお友達に人気がある。
図工や工作がうまいとか、けんかに強いとか、木登りが上手だとか、かけっこ
が速いとか、おばあさんに親切だとか、動物が大好きでよく世話をするとか、
言葉がきれいだとか、物事を熱心にやるとか、人の悪口を言わないとか、これ
だけで、もう立派なのですよ。成績が悪いだけで、そんなに劣等感を持つこと
はありません」
 
 この話を聞くたびに、劣等感を植え付けているのは、親自身ではないかと考
えさせられますね。昔からテストや通信簿の成績にこだわるのは、親ではない
でしょうか。テストの結果や成績が良くないことを知っているのは、子ども自
身であることに、気を使ってほしいですね。
 
 また、受験者の心構えとして、
「本来、5、6歳の幼い子ども達に入学試験を通して課題を与え、判断したく
ないが、志願者が多いため、選択せざるをえない。倍率の高いことを踏まえ志
願していただきたい。入学試験のために、5、6歳の幼児に、不自然な生活態
度を強いることは望んでいない」とおっしゃっていました。
 
加藤三明前舎長は、「親のエゴで子どもをスポイルしないでほしい」といってい
ましたが、夏休み過ぎ頃から、過熱気味になりやすいですから、冷静に考え、
対処してほしいと願っています。
 
梅雨があけませんね。不順な天候が続いていますが、休養も十分取り、頑張り
ましょう。
(次回は「よくある質問について」お話ししましょう) 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第55号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(2)
 
7月15日(金)、今年第1回目の雙葉小学校の説明会へ参加してきました。
ここ数年、45分ほどで終わってしまう、簡潔で、わかりやすい説明会。最近
は、どこの小学校もHPの内容は充実していますし、参加される皆さん方も先
刻、承知のはずですから、こういった形式でいいのではないでしょうか。今年
も「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。自分で
自由に学び、決定することができ、責任のある人に育てる」と河野校長はおっ
しゃっていましたが、学園の教育方針を端的に表現した、わかりやすいい文言
ではないでしょうか。
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
3.観る力をつける
(See)ではなく(Watch)です。
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほど知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいま
す。
本物を見せてあげてください。
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッ
コってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字が
ついたときは、何をさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と舎長はおっしゃっていました。
夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるか
らです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないものです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛
行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある
場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のと
き、
「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お母さん方はどう対処されますか。
「テレビのせいだわ!」と柳眉を逆立てる前に、とりあえず間違いではありま
せんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らな
い外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえるお母さんになってほしいの
です。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動
力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていく
ことが大切です。私が現役の時、もっとも印象に残っている答えは、「花火と
雪だるまは似ている」でしたが、どんな答えか想像してみてください。
 
さらに、朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過
程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づ
く目が育ちます。
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
手に持たせた時「沈む!」といったのは、野球の硬球とゴルフボールでした。
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビンなど、興味を示すは
ずです。
 
磁石にくっつくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」
となるはずです。砂場は、放し飼い動物の共同便所化したときもありましたが、
夕方にシートをかぶせるなど清潔になっているようですから、磁石を入れるの
も面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さな
いで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
前回の折り紙を磁石で持ち上げる問題ですが、折り紙の下にクリップなどを置
くと持ち上げることができます。
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
「絵は心の窓」ともいわれています。
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
5.ものを作る意欲を育てる
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
リップスティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を
省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な
分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみま
しょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズ
にできないと、制作は面白くないでしょう。
得意な子ども達は、お母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こ
まめに自分で扱う機会を作っていると思います。
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校では、5個作らせました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。(解答は最後にあります)
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。お父さんの出番です。目標を決めて、できるだけ長く
できるように挑戦させましょう。お父さんと共に頑張ったことが試験に出れば、
一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
また、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活で
は、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、
たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒
の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。スマホ
をほしがる小学生に聞くと、「ママだって、見てるもん!」と答える子が多く、
「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。「何が面白いの?」
と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲームなどするなと言い
たい。しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、
親が手本です。
 
そして、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
今までは、女子だけの別学の学校では、必修科目と考えましょうといってきま
したが、立教小学校では、ここ数年、音楽にあわせて身体表現をしましたから、
受験される方は準備をしておきましょう。
町内で盆踊り大会があると思いますが、お父さん、照れないでお子さんと一緒
異に踊ってください。男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切
ってあげましょう。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
 
夏休みの講習会、元気に頑張っていますか。楽しく通えることが第一で、そう
いった雰囲気を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、
家庭でも楽しくできるように、うまく利用することです。
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
東海地方まで梅雨も明けました。もう少しですね。不順な天候の続く毎日、健
康管理には、くれぐれも注意してあげましょう。
 
答え 花火と雪だるまの似ている点 
「花火は消えて、雪だるまはとける。形が残らない」(絶句!)
 
 丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等
分し
て丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一緒
にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれました。
 
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1に
なりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の
基本です。以前お話しました、「量の保存」を思い出してください。
(次回は、「今年の説明会 前半編」についてお話しましょう) 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第54号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(1)
 
★説明会情報★
15日(金)と16日(土)は、雙葉小学校の説明会です。
校庭には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた美智子皇
后陛下が、ご成婚を記念して植樹されたメタセコイヤの苗木3本の内、1本が
大きく成長し、中高の校舎と背比べをしています。幼稚園側の門から出る手前、
右側に校庭があり、その一番奥、修道院の裏側に見ることができます。
 
東京、横浜、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏を
制するものは秋を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否の鍵
があるといっても過言ではありません。大切な日々を有効に過ごすポイントは、
ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズムが
狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩
さないことです。1日のスケジュールを立て、それに従った、メリハリのある
生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールでは、
お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余裕を
持って、計画を立てることです。 そして、遊び時間をきちんと配慮してあげ
ましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安のある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもたくさ
んあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも、役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色に
なると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、そ
れは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じ年齢の子がい
る親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一所懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。遊びを
通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、忘れな
いようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で
「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃってい
ました。受験準備は、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り
組みたいものです。
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生からうかがっておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づか
なかったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお
子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、
「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初
めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」
からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉になって
いないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあげましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えて
いることに気づいてほしいのです。
 
★家庭でできる具体的な受験準備 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
1.聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
「本の読み聞かせと対話」の効果を、学校説明会で最初に主張されたのは、も
う十数年前になりますが、立教小学校の田中司元校長ですが、今年も田代教頭
が力説していました。
 
また、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげまし
ょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い表
現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言葉
のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」と言ったのも田中元校長でした。
含蓄のある言葉ではないでしょうか。「こうしなさい。それはダメ、こうする
の!」と、命令と強制の環境からは、自発性など育つわけがありません。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるからです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!」方式を採用してみましょう。話
す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話せ
るからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
「そんなのおかしいでしょう!」と言われたお子さんの自尊心は、傷つきます。
一所懸命に考えたことを否定されるからです。意欲もくじけ、やる気をなくし
ます。
 
また、言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験
に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、
お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
 
2.考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかい
てありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
カードを5枚並べ、一番多いもの、少ないもの、2番目に多いものなどの学習
もできます。
 
ところで、数え方ですが、例えば、ここに15個のリンゴがある場合、お子さ
んはどのように数えていますか。
 1. 1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
 2. 2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
 3. 3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
 4. 4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
 5. 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
15個のおはじきをばらばらに置き、やってみましょう。
 
5.の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、5個
の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわかり、
数え方は、一段とスピードアップします。しかし、いきなり5.の数え方を教
えず、きちんと段階を踏んであげましょう。大人が考えるほど簡単ではないか
らです。
2.を固守して譲らないお子さんもいます。お子さんに最も適した方法である
場合が多く、それはそれで良しとし、強制しないことも大切です。私の経験で
は、「5つ押さえて残りを6,7と数えれば早いよ」といって見せておけば、
早く数えたいですから、いつの間にか、ひそかに練習をして、自分のものにし
ているものです(笑)。「この方が早いのに!」などと押し付けずに、お子さ
んの数え方を認めてあげる、自尊心を傷つけない賢いお母さんになってくださ
い。繰り返しますが、お子さんは自尊心を傷つけられると、やる気をなくしま
す。お母さん方も「何回も同じミスをするんだから!」などとご主人に言われ
ると、腹が立つでしょう。それと同じです。
 
合成、分解は、○のシールを使い、下のような10のカードを作ると面白く学
習できます。
              ○○○○○○○○○○ 
マーク1つを指で押さえれば[1と9]、2つ押さえて[2と8]、3つ押さ
えれば[3と7]であることがわかり、指で押さえながら、[1と9]、[2
と8]、[3と7]と声を出しながらやっていると、自然と覚えてしまうもの
です。以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[○]が10個集まっているとわかれば、楽しく取り組めるはずで
す。
 
子ども達は、大きな象も小さな蟻も抽象化して、全て○で表し、正確に「数え
る」ことからはじめ、加減乗除の仕組みを学んでいます。それが小学生になっ
て数字を習い、記号を使った計算につながっていく基本的な学習になっている
のです。
 
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
      □□□
      □■□
      □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
間もなく梅雨も明け、夏はこれからが本番です。お子さんには、しっかりと昼
寝をさせ、健康管理には、十分に注意してください。
(次回は、「夏休みにできる家庭学習 2」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第53号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
★説明会速報★
7月2日(土)、慶應義塾幼稚舎の説明会、第2回目(午後2時開始)に参加
してきました。幼稚舎が説明会を始めたのは平成10年で、就任された金子郁
容舎長は、時代の先端を行くITの専門家らしく茶髪、ロン毛でさっそうと登
場。その時に再開した面接は現在行われていませんが、説明会は今年で19年
目。会場の自尊館のロビーは、あまり広くないのですが、そこにパイプ椅子が
用意され、80名ほどの保護者の方が座っていたではありませんか。珍しく定
刻になっても始まらず、司会の田中主事から、「しばらくお待ちください」と
の断りがありましたが、これが原因だとは、退場するまでわかりませんでした。
ここ数年、受験者が減っていますが、会場へ入りきれないなど、初めてでした。
毎年、HPで公表している志願者数は、7月5日現在、掲載されていませんが、
会場で配布された資料には、
 2016年[2015年11月受験] ( )内は2015年の志願者数
 男子 897名(908名) 女子 605名(624名)
 合計 1,502名(1、532名)
となっていました。総数で30名減っていますが、もちろん、横浜初等部が新
設されたことを考慮すれば、単純に減っているとはいえません。しかし、ロビ
ーの補助椅子を見ると、今年も大変だなと実感せざるを得ませんでした。
 
なでしこジャパン、男子バレー、リオ五輪予選敗退しましたが、体力の差を痛
感させられましたね。アメリカの80歳になるトランペット奏者、ワイルド・
ビル・デビソン(YouTubeで見ることができます)と共演させて頂いた
ことがあるのですが、氏が40代に吹き込んだレコードと同じ高い音を、苦も
無く吹くので度肝を抜かれました。禁酒時代、暗黒街の顔役アルカポネが経営
するバーで演奏していたこともある歴史的な人物でしたが、「かなわないな!」
と思いましたね。録音したCDが残っていますが、私の唯一のお宝です(笑)。
 
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校で
す。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカ
ー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った
足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップを見ていても、「ここまで
やるか!」といったプレーが随所に見られました。ですから、イエロー・カー
ドやレッド・カードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守
って戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、
11人で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎり
ぎりのところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決める
チャンスを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」
ではありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェア
ーな戦いとチームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
 
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年
以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。以
前は小学校のエントランスに掲げてありましたから、校舎見学など以外には見
ることができませんでした。今年の説明会は上智大学で行われ、願書は当日発
売の予定はありませんから、小学校の事務室へ行くことになり、すべての方が、
「ご対面」ということになります。
 
昨年の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカー
に挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合格、
共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しました
が、よくわかる話でした。
 
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出
る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多
いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、
プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、こ
こがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないの
ではと考えます。
最近の説明会で佐藤校長は、暁星小学校の求める子ども像として、日本昔話の
キャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この比喩
はわかりやすいのではないでしょうか。
昨年の面接は、すべての方から伺ったわけではありませんが、志望理由や育児
の方針といった質問はなく、お子さんとゲームをしながら、その対応の仕方や、
そばで見ているお母さんにゲームの様子を聞くなど、従来の面接とは違った形
で行われました。今年はどうなるか予想はつきませんが、学校側の目的は、あ
りのままの親子の姿、家庭を見ることにあったのではないでしょうか。
 
青山学院初等部は、宗教教育を実施する学校は別学が多い中で、めずらしく共
学です。ランドセルも通信簿もありません。これが、青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、
「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、
3、4がなくて5も勉強です、現代っ子は。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につ
けなければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣や躾、言葉遣い、そ
して情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教育
を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表にな
りがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょ
うか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料の
ない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいい
という価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育ということでしょ
う。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
初等部のHPを開き、「教育」のところの「国内短期留学・止揚学園」をご覧くだ
さい。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味を
理解できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でもあ
るのです。大学生の不祥事が報道されましたが、初等部では、こういった教育
を実施しているだけに、残念です。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょ
うか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことか
ら、まとめてみましょう。
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ます。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さも
ありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードがありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の校是である「敬虔・勤勉・高雅」を身に
つけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳をみが
き、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい影響
を与えて善に導くこと」だそうです。となると、校是である「敬虔・勤勉・高
雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
たいへん難しい言葉ですが、わたくし流に考えると、こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつま
しく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできま
す。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親で
あれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、校是を俳句もどきに、
控えめで 慎み深く 雅やか
などとお母さん方に紹介したことがありました(笑)。
 
24年の説明会は、小学部、改築中のため中高の校舎内で行われ、そのおかげ
で素晴らしい「慈母観音像」を拝することができ、何とも優美なお姿に、しば
し見とれてしまいました。25年の説明会は新装なった寿光殿(講堂)で行わ
れましたが、ホールは中高の校舎と直結しているため、またしても、慈母観音
像にお会いできました。説明会に参加すればお会いできる、「七夕の彦星では
ないですか」と無礼を省みず思ってしまいました。こんなことを言っては罰が
当たるかもしれませんが、まさに、「控えめで 慎み深く 雅やか」でした(笑)。
余談になりますが、広隆寺(京都)や中宮寺(奈良)の弥勒菩薩を始め、日本
の仏像の優しいお顔と優美なお姿には、お粗末な言葉ですが、心が和みます。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
創立記念日に招かれ、講堂に案内されたとき、左手に数珠を持ち、私の左側に、
腰をかがめながら先導してくれた、児童のその姿が何とも優雅であったことが
印象に残っています。また、1年生が、きちんと挨拶をするのにも驚かされま
した。宗教教育は、形から入って心を作っていくものと思っていましたが、納
得したものです。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいない
ので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」とい
われ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。今年の説明会でも、
女子の理系に進む「リケジョ」現象は、右上がりで進んでいることを、入学実
績をあげ指摘していました。
 
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校まで
の一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「お
とうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックア
ップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたし流の考え」にすぎませ
ん。こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。そ
れは、幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策
化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ
理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉で
お話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと
思います。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立て
て、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張って
ください。
(次回は、「夏休みの過ごし方」についてお話ししましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第52号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)
 
★説明会速報★
6月25日(土)に行われた白百合学園小学校の説明会で、本年度の合格発表
は、11月2日(水)の午後、「簡易書留速達にて結果通知書を発送」に変更
と発表。昨年までは、「合格書類を受付にて手渡し」でした。毎年の受験者数
から考えても、大変な手間ではなかったでしょうか。私が現役の頃、不合格に
なったお母さん方の中には、「つらい思いをしました」とおっしゃっていたこ
とを思い出しました。やがてはWeb掲載になるかもしれませんね。ところで、
併設の幼稚園の説明会は、母子手帳持参でなければ入場できませんが、これも
何とか改善してもらいたいものです。情報担当者として、これが一番つらいこ
とですから。
 
明日は幼稚舎の1回目(9:30~)・2回目(14:00~1時間程度)の説明
会と立教小学校の第2回説明会(9:30~12:10)が行われます。立教小学
校、今回、授業参観はありません。いずれもHPで確認してからお出かけくだ
さい。
 
何やら、いかめしいタイトルで恐縮ですが、今回と次回に分け、建学の精神や
教育方針を、どのように理解しておかなければならないかについて、拙著の
「おとうさん、おかあさんの受験対策」 シリーズ(全25冊)から選んで、
お話ししましょう。 
模擬面接では、お父さんに志望理由をうかがうのですが、これでは本番で困っ
たことになるのではといった回答があります。それは、願書に書かれている志
望理由を、そのままおっしゃる場合です。
 
たとえば、白百合学園小学校でいえば、
「御校の校訓である『従順、勤勉、愛徳の三徳』が、我が家の育児の方針とあ
い通じるところがあり、心から賛同できますので志望いたしました」
と答えたとします。
「では、三徳について、具体的にどのようにお嬢さんに教えていますか」
と尋ねてみると、はっきりとした答えが返ってこないことが起きがちです。こ
れでは、志望理由になりません。説明会でも、三徳について簡単な説明があり、
配布されたパンフレットにも書かれています。
 
 従順 すすんでみがこう正しい心
 勤勉 すすんでなんでも一生けんめい
 愛徳 すすんで親切よろこんで
 
これを、このまま願書に書き、口頭で答えるのもどうでしょうか。
「従順は素直な心、勤勉は最後まで頑張る子、愛徳は思いやる心」と置き換え
れば、皆さんが育児で、大切にしていることではないでしょうか。
「私どもでは、素直な心、頑張る心、思いやる心を大切に育ててきました」と
答えることができれば、すなわち、「従順、勤勉、愛徳」の三徳を、育児の中
心にしてきたことになり、「心から賛同できる」となると思います。
こういったように、ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が、限りなく近けれ
ばいいのですから、やはり、育児の姿勢に一本の筋がなければ、あやふやな回
答になりがちです。
そして、学園全体のことも考慮されて、「宗教教育に何を期待しているのか」
「女子だけの教育環境になぜ、賛成なのか」「大学までの一貫教育制度に期待
することは何か」をまとめることです。
 
先週号で、併設の中高の進路状況を見ておきましょうとお薦めしましたが、大
学への進学状況を見ておくことも大切です。白百合学園の中学・高等学校のH
Pを開いてみると、そのまま大学へ進む生徒は少ないこともわかります。デー
タ中にGMARCHとあるのは、学習院・明治・青山・立教・中央・法政大学のこと
で、各校のイニシャルから命名されたものです。
 
ところで、平成25年の説明会で、校章の解説がありましたが、デザイン化さ
れたユリの花の中央は「従順」、左側が「愛徳」、そして右側が「勤勉」を表
しているそうです。校歌にジャンヌ・ダルクが出てきますし、白百合の目指す
女性像は、半端ではありません。
 
もう一例として、日本女子大学附属豊明小学校の「三綱領」についてお話しし
ましょう。
学校案内には、こう説明してあります。
 
 信念徹底(正しいと考えたことはやり遂げる)
 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
信念徹底とは、はじめたことは途中でギブアップしないで最後まで頑張る子。
自発創生とは、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子。
共同奉仕とは、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子。
こう考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
こういったことを大切に考え、子育てをしているご家庭は、日本女子大学附属
豊明小学校の教育方針と一致していると思いませんか。
それならば、願書に「三綱領に賛同いたしまして志望させていただきました」
とお書きになられても、では具体的にと尋ねられた場合、躊躇せずに話せるの
ではないでしょうか。
そして、「女子だけの教育環境」「大学までの一貫教育に期待すること」をま
とめるべきでしょう。
 
次は、面接をやっていない学校ですが、願書は提出しますから、やはり、志望
理由は明確にしておかなければなりません。
出願者が、もっとも多いといわれている慶應義塾幼稚舎です。
最初の頃に触れましたが、もう一度、紹介しておきましょう。
教育方針の中に掲げてある独立心と自尊心が「独立自尊」の精神です。
この言葉は、福沢諭吉翁の精神として、明治33年に発表された「慶應義塾修
身要領」の中で初めて使われた言葉です。
 
「自分の自由独立を守るためには他人の自由を認め、またその人の独立をも尊
重しなければならない。人はすべて自主的、自発的に判断して行動する習慣を
つけなければならない」
 
つまり、あることに関して、他人の考えに左右されずに、自分の考えや判断を
最も尊ぶ心が自尊心であり、他人はどうあっても、自分はこうだという信念の
ある態度で生活することが大切であるということでしょう。
 
独立自尊については、この話がわかりやすいと思います。
新入生が入学したときに、三つの約束をします。
 
 一つ、嘘をつかない。
 二つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
 三つ、自分でできることは自分でする。
 
普段から、お子さんにいって聞かせていることを考えると、
「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」
「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。
そして、これらを破ると叱り、諭しているとします。
お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針と一致していることになりませんか。
この三つの教えは、先の諭吉翁の10ヵ条から成る「慶應義塾修身要領」の中
から、特に大切な項目を取り上げたもので、通信簿の第1ページにも記されて
います。
成績をみるよりも前に目を通してほしい大切な事項、という意味からだそうで
す。
 
第二は、幼少時の者には、身体の健康と品格に重きをおく、「先ず獣身を成し
て後に人心を養え」の教えですが、これは「福澤諭吉全集」第六巻257ペー
ジにあるもので、これをどう解釈するかでしょう。
「獣身を成す云々」は、この話がいいでしょう。
 
 「塾生皆泳というモットーを、日常の教育に文字通り実践しているのは幼稚
舎である。幼稚舎を卒業するまで、プールで千メートルを全員で泳ぎ切る見事
な成果は、先ず獣身を成せとの教えの端的な一歩であった」
 
卒業までに、千メートル皆泳です。
まだ、あります、冬の寒い時期の縄跳びです。
この二つのことに関しては、説明会でも舎長が力説されていました。
ところで、運動会場には入場門と退場門がありますが、幼稚舎の場合は、入り
口は「獣身門」で、出口は「人心門」となっていますが、今年の説明会でも見
ることができると思います。「陸の王者慶應」は、幼稚舎時代から鍛えられて
いるわけで納得できました。
 
毎年、「担任の6年間持ち上がり制度」について詳しい説明がありますが、こ
れも大切な教育方針であることはいうまでもありません。それに加え、「大学
までの一貫教育に期待すること」「共学の良さ」を考慮されてまとめられては
いかがでしょうか。
 
話を戻しまして、このように、建学の精神や教育方針とご家庭の育児の方針に、
どういった接点がうかがえるか、これを見つけだすのがポイントだと思います。
それがきちんと整理できれば、面接は、恐くありません。
小学校の受験は、「はじめにご家庭の育児の姿勢ありき」でなければいけない
といってきた理由は、ここにあるのです。
「絵に描いた餅」は、所詮、飾りもので役に立ちません。
面接に臨み、ご自身の考えを、ご自分のことばで話すには、やはり、「我が家
の育児の姿勢」が、しっかりとしていることが大切なのです。
 
夏休みの講習会は、心身ともに鍛える絶好の機会です。
「夏を制する者は秋に祝福を受ける」などとあおるようで気が引けますが、今
年の夏休みのスケジュールは、お子さん中心に過ごせるようきちんと立て、頑
張ってください。
また、お父さん、お母さん方へ、模擬面接をお受けになることをお勧めします。
お父さんはともかく、お母さんやお子さんは、どのくらい緊張するかを知って
ほしいのです。
後で悔やんでも始まりませんから、夏休み中には受けておきましょう。
市川まで遠いですが、私の模擬面接に挑戦されてはいかがでしょうか。お待ち
しています。詳しくはHPをご覧ください。
 
梅雨明けも間近、天候不順な日が続いています。健康管理には、手を抜かない
ように気を付けてください。
 
(次回は、暁星小学校、青山学院初等部、国府台女子学院小学部に関してお話
しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第51号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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志望校選びの10のチェックポイント(3) 
 
★説明会速報★
6月9日(木)の立教小学校説明会で田代教頭は、本年度の入学試験について、
受験番号4月2日生まれを1番とし4月1日生まれのお子さんが最後となる
(昨年と同じ)。
内容 昨年の問題 
 1日目 集団で絵本の読み聞かせ、テスターと一対一で内容について対話。
 2日目 集団(20名程度)知恵を見る作業考査や集団ゲームによる数量的
な能力、思考力、作業能力、走る運動を中心にした運動能力のテストを実施。
「本年度も、概ねこの方針に従いテストを実施する予定。1日目、2日目と内
容が前後することもあるが、従来通り、ペーパーテストは実施しない。今年度
の入試の方針も大きく変わることはない」と校長が伝えろと言われたのでお話
ししました(笑)。詳しくは、9月10日(土)の第3回目の説明会でお話し
する予定。
男子校らしい仕掛けのある本校、2016年は、夏に4,6年生を対象に28
名、立教英国学院で1週間合宿の予定。2017年度の目玉は、5年生の希望
者から何名かを選択し、1年間、立教英国学院へ留学の予定。1年間の留学で
す。聞き間違いはないと思いますが、さすが男子校、思い切った仕掛けにびっ
くり。
参加者は、第2会場の様子がわかりませんが、講堂は満員でしたから800名
を超えていたのではないでしょうか。
 
[七]志望理由
七番目は「志望理由」です。建学の精神や校訓、設立理念などを、どのように
解釈するかでしょう。それが、ご家庭の育児の方針と、どういった接点がある
かを、きちんと把握しておくべきです。学校側のいう「共通認識」です。母校
を受験される場合は、ご自身の経験されていることですから問題はありません
が、出身者でない場合は、重要なポイントになります。学校側も、なぜ、受験
されるのか、聞きたくなるのも当然ではないでしょうか。
 
雙葉小学校の校訓、「徳においては純真に、義務においては堅実に」について
考えてみましょう。
これについては、ある年の横浜雙葉小学校の説明会で聞いたもので、文言は正
確ではありませんが紹介しておきましょう。
 
「『徳においては純真に』というのは、『ママ、これを手伝ったら、何かを買
ってくれる?』と、見返りを考えるような子どもに育てるようでは、『徳にお
いては純真に』ではないということで、見返りを考えるような育児をしてはい
けません。『義務においては堅実に』は、4歳、5歳の子ができることを、お
母さんの手を借りなくてはできないようでは、『義務においては堅実に』とは
いえません。そういう子育てをしているご家庭のお子さんを、雙葉は歓迎しま
せん」
 
つまり、「思いやりのある、自分のことは自分でしっかりやろうとする子」が
ほしいということでしょう。
そういう育児をしていれば、志望理由を聞かれても、私どもの育児の姿勢と一
致しているから受験したと、自信を持っていえるのではないでしょうか。これ
が志望理由で、いちばん大切なことです。
 
ある学校の面接で、お子さんに、
「お母さんが作ってくれるお料理で、いちばん、おいしいのは何ですか?」
と尋ねたところ、
「電子レンジで、チィーンをするカレーライスです!」
と、元気に答えたのです。
そして、お母さんに、
「なぜ、本校を受験されたのですか」
との質問があったのですが、お母さんは、躊躇せずに、
「御校の手作りの教育方針に賛同して、受験させていただきました」
と答えたのでした。面接された先生も驚かれたでしょう。電子レンジで温める
料理と手作りの教育では、違和感がありますから。
 
「育児の方針」と「学校の教育方針」に矛盾があるような志望理由では、今紹
介したようなことになりかねません。絵に描いた餅のようなことをいっても、
説得力はないでしょう。学校と家庭の考え方に食い違いがあっては、教育は成
り立ちません。
 
コマーシャルになりますが、筆者が書いた、幼稚舎をはじめ25校の「志望理
由のまとめ方」を中心に解説した「おとうさん おかあさんの受験対策」と、
暁星小学校をはじめ28校分の建学の精神や教育方針を、説明会でどのように
解説されてきたかを中心にまとめたCD版「心を鍛える賢い子どもの育て方」
をお勧めします。詳しくは、めぇでる教育研究所のホームページをご覧くださ
い。
 
[八]ご家庭の教育方針
八番目は「ご家庭の教育方針」についてです。学校側がいう「ご家庭の教育方
針」とは、「ご両親の育児の姿勢」のことで、難しく考える必要はありません。
どんな時に褒め、どんな時に叱るか、箇条書きにしてみましょう。できあがっ
たものが、ご家庭の教育方針です。「嘘をついたら怒るよ」といえば、「嘘を
ついてはいけません」となるわけです。いろいろと出てくると思いますが、そ
の日の気分次第で叱って、また、あとで怒らなければよかったと後悔するのは、
教育方針ではありません。
ご両親で、別々に書いてみましょう。一致していれば、ご両親の子育ては、う
まく連携が取れているといえます。したがって、叱ることも少なくなっている
はずです。反対に、異なる点が多ければ、育児の姿勢に問題ありといえるでし
ょう。被害者は、お子さん自身であることを忘れてはいけないと思います。
 
[九]お子さんの長所と短所
九番目は「お子さんの長所と短所」についてです。お子さんの長所と短所を箇
条書きにしてみましょう。これも、ご両親で別々に書いてください。お父さん
方は、ほぼ客観的に見ることができますが、お母さん方は、やや主観が入りす
ぎる傾向にありますから、注意が必要です。育児でうまくいっているところが
長所で、そうでないところが短所として、表われているのではないでしょうか。
短所は、ご両親の育児の反省点として、修正していきましょう。子どもの短所
を叱る前に、そういう環境で育ててきたことに目を向けるべきです。また、ご
両親の性格を受け継いだ、いわゆる遺伝もあるかも知れませんから。
 
[十]テストの形式
最後に、テストの形式です。
小学校の入学試験は、ペーパーテストが中心になっていましたが、平成4年度
から導入された幼稚園教育要領で、保育の方針が、従来の一斉保育から自由保
育に変わりました。その結果、入学試験にも変化が見られ、ペーパーテストを
廃止して、行動観察型のテストをする学校がふえてきたのです。
 
テストの形式を簡単に説明しますと、ペーパーテストは、持ち点百点から始ま
り、できなかった問題の合計点を引く減点方式であり、行動観察型のテストは、
持ち点ゼロから始まり、できた問題の合計を加算していく加点方式といえると
思います。
大胆な表現ですが、一斉保育は、みんな同じ方向を向き、「こういったことが
できないから、できるようにしましょう」という保育であり、自由保育は、み
んな違った方向を向き、「子ども一人ひとりの個性をのばしましょう」という
保育と考えると、一斉保育は減点方式的であり、自由保育は加点方式の保育と
いえないでしょうか。このように考えると、学校側のテスト形式の変更も納得
できると思います。
 
さらに、平成12年度から、東京女学館小学校が、親子面接だけというAO型
入試(アドミッション オフィス)を導入、一般入試と2つの方法で入試を行
っています。誤った情報から、親子が過激な受験準備に落ち込まないためにも、
画期的な方式として評価され、その成果が注目されています。29年度募集人
員は、一般入試35名、AO型入試45名(内約3名 国際枠)となっていま
す。
 
このように、学校によってテスト形式が違っていることにも目を向け、適切に
対応すべきだと思います。
 
 テスト形式                                  
・ペーパーテスト中心
 雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、立教女学院小学校、   
 光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部など。
・行動観察    
 慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等部、成城学園初等学校、
 立教小学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校、川村小学校など。
・個別テスト
 成城学園初等学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校、青山学院初等部など。
・体験入学方式
 横浜雙葉小学校
・AO方式
 東京女学館小学校(一部)
 
[10項目のチェックの方法]
 
  [一]一貫教育制度        [六]健康状態
  [二]共学制度          [七]志望理由
  [三]別学制度          [八]ご家庭の教育方針
  [四]宗教教育          [九]お子さんの長所と短所
  [五]通学距離と所要時間     [十]テスト形式
 以上の十項目を、以下のようにチェックしてみましょう。
 
  [九]お子さんの長所と短所
  [八]ご家庭の教育方針
  [七]志望理由
  [五]通学距離と所要時間
  [六]健康状態
  [一]一貫教育制度
  [二]共学制度
  [三]別学制度
  [四]宗教教育
 
私たちの子どもには、こういう長所があり、こういった短所がある。
それは私たちが、こういう家庭の教育方針で育ててきたからだ。
そこで[一][二][三][四]のチェックポイントを基に、学校を調べると、
○○小学校が、わが子にはふさわしい教育環境であることがわかる。
一時間以上かかり、電車を二回乗り換えるけれど、自力で通学できるか。
このような答えが出てくると思います。
 
参考までに、[一]~[四]のチェックポイントに該当する学校の一部を紹介
しておきましょう。いずれも筆者が説明会へ参加している学校であることをお
断りしておきます。
 
共学で大学までを希望すれば慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、早稲田実業学校
初等部、成蹊小学校、成城学園初等学校、千葉日本大学第一小学校、桐蔭学園
小学校、慶應義塾横浜初等部など。
昭和女子大学附属小学校と聖徳大学附属小学校は、中高大は別学。
 
共学で高校までの学校は、森村学園初等部、日出学園小学校など。
 
共学で短大まである学校は、昭和学院小学校(姉妹校の昭和秀英は中高一貫教育)
 
別学で大学までならば、日本女子大附属豊明小学校、川村小学校など。
東京女学館大学は2016年3月で廃校のため、別学で高校までの学校になります。
 
宗教教育がいいとなれば、共学で大学までならば青山学院初等部、玉川学園小
学部、聖学院小学校、淑徳小学校など。
 
別学の男子で高校までを望むなら暁星小学校、大学までなら立教小学校。
 
女子では高校までならば、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、
光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部など。
 
短大までなら立教女学院小学校など。(条件付きですが立教大学への推薦枠は
大幅増加)
 
大学までとなると白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初
等科など。
 
小学校だけなら国立学園小学校。
桐朋小学校(仙川)、桐朋学園小学校(国立)は、小学校は共学ですが、中高は別学。
 
ただし、白百合学園小学校の説明会で根本副校長も「併設中学には、ほとんど
進学していることを一言申し添えておきます」とおっしゃっていましたが、一
貫教育制度だからといって、無条件に進学できるわけではなく、お子さんの努
力しだいとなります。
また、聖心女子学院初等科の説明会で、「私どもの学校は文系ですから、理系
に進む場合は受験になりますが、最近、増える傾向にあります」とおっしゃっ
ていました。理系女子(リケジョ)のことですが、大学に学びたい学部がなけれ
ば、高校までの学校と同様、受験することになります。さらに、中学進学の際
に他校へ受験するケースも多く、併設校への進学と外部受験の状況については、
小中高のホームページに詳しく掲載されていますので、ご覧になることをお勧
めします。
 
なお、聖心女子学院は4-4-4制の導入により中学での募集はなくなりまし
たが、ファーストステージは1クラス32名3学級で96名、セカンドクラス
は1クラス40名3学級で120名編成のため、不足となる24名は、5年生
の転入・編入試験で募集しています。(入学試験は平成29年1月14日(土)、
応募資格は「原則国公立小学校在籍」です。詳しくはホームページをご覧くだ
さい)
 
最後に結論として、[六]から[九]までが、きちんとできあがらなければ、
学校選びは、お子さん中心になっていないと思います。特に、[六]の健康状
態、心身共に健康でなければ、小学校の受験は、無理であると断言しておきま
しょう。
 
さらに、これは私立を受験される方には、いわずもがなのことですが、公立の
学校は、無理のない時間内で、幼稚園や近所の友達と一緒に通えますが、私立
の場合は、友達と別れて、時間をかけ、しかもたいへんなお金をかけて通学さ
せるわけです。本当に、お子さんのことを考えて選んだのでしょうか。自信を
持ってうなずけるご両親であるように、よく話し合ってほしいと思います。そ
して、しつこく繰り返しますが、ご家庭の教育方針と学校の教育方針に違和感
のないことが、ベストの学校選びとなるのです。
 
次回から2回に分けて、志望理由の決め手となる学校の建学の精神や校訓、教
育方針について簡単な解説をしてみたいと思います。
 
うっとうしい日が続いています。夏が来る前に体調を崩さないよう、健康管理
には十分に気を付けて下さい。
 
(※編集者注:文中、高校や大学までの一貫校でご紹介している学校の中には、
実際には外部に進学される方の多い学校もあります。)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(2)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第50号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
志望校選びの10のチェックポイント(2)
 
★説明会情報★
 6月22日(水)10:00~昭和学院小学校
         13:00~国府台女子学院小学校
 6月24日(金) 8:30~立教女学院小学校(授業参観あり)
          8:30から始まる「朝の礼拝」の少し前に、礼拝堂の
         前で生徒たちの様子を見ておきましょう。ただし、8時以
         前には入校できません。
 6月25日(土)10:00~白百合学園小学校 参加票(パソコンからダウ
         ンロード)持参。
    (詳しくは、各学校のHPで確認をしてからお出かけください)
 
[四]宗教教育について
 第四は「宗教教育に、何を期待しているか」です。
 
「宗教教育について、よく分からないのですけれども」とか「信者にならなけ
ればいけないのでしょうか」とおっしゃる方がいます。宗教教育、例えば、キ
リスト教の場合は、キリストの教えに基づいた教育が行われますから、入学試
験に際しても、信者でなければ不利といった噂のもとになっているようです。
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教することを目的としていますが、だ
からといって、信仰を強制することはありません。「在学中に洗礼を受けなけ
ればならない」といった怪情報もあるようですが、それも単なる噂に過ぎませ
ん。
 
説明会でも、
「信者でなくても結構ですし、お坊さんや神主さんのお子さんもいます。国籍、
宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、日本語がわかる
ことです」
とおっしゃっています。
 
入学後、お子さんは、キリストの教えにしたがった生活を始めます。例えば、食
事の際にお祈りをしますが、その時に、「私は知らん」と、勝手に食事をしても
らっては困るということであり、学校の行事は、イースター、みこころ祭のよう
に、宗教が中心となっていることを了解してほしいといったことなのです。また、
信者でない方のために「宗教講座」などを設けて、親子で学んでほしいといって
いますから、何ら心配はありません。
 
それよりも大切なのは、宗教教育を通して、お子さんに何を学ばせたいかなので
す。
皆さんは、普段から、
「嘘をついてはいけません」
「自分のことは自分でしなさい」
「人に迷惑かけてはいけないよ」
「ありがとうという気持ちを大切にしようね」
と言っているのではないでしょうか。これは全て宗教教育の基礎、基本です。キ
リスト教にしても、イスラム教にしても、仏教にしても、全ての宗教に共通して
いる教えです。キリスト教は愛を、イスラム教は施与(施し与えること)を、仏教
は慈悲の心を教えると考えるとわかりやすいでしょう。こういったことを大切に
していれば、学校側の指摘している「ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が一
致していること」になるのです。
 
最近では、価値観の多様化する世の中で、小さい時から絶対的な価値観、例えば、
幼稚園で、「これは白色です」と教わったことは、大学へ行っても変わらない指
導を受けられる教育、「心の教育」といいますか、そういったブレのない建学の
精神に基づいた教育を受けさせたいと考えるご両親が増えていることも確かです。
知識だけを詰め込む知育偏重型から、感情と意志を育む情意育成型の教育、これ
が私学の大きな特徴でもあるわけです。
     
宗教教育について、非常にわかりやすい話があります。あるミッション系の学校
の説明会で聞いた話で、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
この学校は日記指導に力を入れているのですが、ある年のこと、一年生が絵日記
に、 
「昨日、お父さんとお母さんがけんかして、私は、さみしかったです」
と書いてきたそうです。読んだ先生は、一年生の子が「さみしかった」と表現し
たことに感激して、五重丸の花丸をつけて返しました。喜んだ子どもは、家に帰
って来て、
「ママ、見て!」
と嬉しそうに見せたものです。ほめられると思っていた子どもは、お母さんから、
「あなたは、なぜ、こんなことを書いたの!」
と怒られてしまいました。日記を書くもう一つの目的は、「嘘をついてはいけな
い」ことを教えることなのです。日記を通して、宗教教育を実践しているわけで
す。
「昨日、帰ったら、ママに叱られました」
と、子どもは、あくまでも正直に書くわけです。すると、もっと大きな花丸がつ
いて返ってきたので嬉しいのですが、お母さんには、もう見せません。怒られる
とわかっていますから。
後日の父母会の折り、お母さんは先生から、こう言われたそうです。
「この間、こういうことがあったのではないでしょうか。実は、私たちは、作文
を通して、子どもに嘘をいってはいけないと教えています。正直に書いたお子さ
んを叱るのは、お母さんが、『都合の悪いことは嘘をついてもいいのよ』と教え
ているのと同じではありませんか。『嘘をついてはいけない』というのが私達の
教育の基本ですから、ご家庭でも、きちんと守ってください」
 
いかがでしょうか、これはわかりやすい話だと思います。宗教教育は、学校の礼
拝堂や日曜学校の教会でお祈りをして讃美歌を歌うといった表面的なことではな
く、日常生活に、限りなく密着しているわけです。
                  
また、説明会で、讃美歌を歌い、牧師さんの講話(聖書の話)を聞き、お祈りをし、
「アーメン」と唱和する学校があります。教会へ一度も行ったことがなく、ミッ
ション系の学校を希望されるお父さん方に、是非とも参加してほしいのです。
それは、青山学院初等部の説明会です。
第2回目の学校説明会は、9月3日(土)に米山記念礼拝堂で午前9時30分から
行われますが、 セキュリティーの都合上、運転免許証、健康保険証など氏名と
住所を確認できるものを持参することになっています。違和感を覚えたら、志望
校選びを真剣に考え直すべきでしょう。
 
最近では、立教小学校も「開会(閉会)礼拝」を行っていますが、「アーメン」
と唱和される方は少ないですね。今年は2階席の右側にいましたが、私の周り50
名ほどの参加者で、手を合わせ唱和された方はいませんでした。前任のチャプレ
ンは、「宗教の香りのする学び舎」と言っていましたが、説明会会場の上にある
礼拝堂で、しばし時間を過ごすと、何となく思いは伝わってきます。今年は例年
になく多くの方が参加していましたが、実感されたのではないでしょうか。
 
かつて、あるミッション系の説明会で校長先生は、「信者でない方々に宗教上の
儀式、お祈りなどを強制するのはいかがなものか考え、私どもはやりません」と
おっしゃったことがありました。宗教の香りは、入学後から、ほのかに漂ってく
るのが自然ではないでしょうか。
 
[五]通学距離と所要時間
次は、「通学距離と所要時間」についてです。
 
国立大学附属小学校の場合は、地域指定や通学時間に制限がありますから、条件
を満たさない場合は、受験できません。 
私立でも、桐朋小学校は通学地域を指定し、所要時間は60分以内、乗車時間は
40分程度、乗り換えは2つまで、桐朋学園小学校も60分程度、雙葉小学校、
立教女学院小学校は1時間以内、入学後引越しされてもこの条件を守ることにな
っていますが、多くの私学の場合、通学時間、距離は、ご父兄の判断に任せてい
ます。
 
通学に1時間かかるとして考えてみましょう。8時までに登校するには、遅くと
も7時前には家を出ます。その前に食事、着替えなどの準備が必要ですから、お
子さんは6時に起床、お母さんは、朝食の支度のため5時半には起きることにな
るでしょう。週五日制が徹底されても、毎週五日間、この時程が繰り返されます。
さらに、学校が都心にあれば、ラッシュアワーに通学ということも考えられます。
心身共に健康でなければ、通い切れません。
 
ここで、三つだけ質問しておきましょう。
その一、お子さんは、十分ぐらい歩くと、「おんぶして!」と言いませんか。
その二、遊園地などで迷子になった時に、係の人に名前と住所を聞かれたら言え
ますか。
その三、電話をかけられますか。
私が担当している模擬面接で、住所も、電話番号も言えるお子さんに、
「ディズニー・ランドへ行ったとき、迷子になったらどうしますか」
と聞くと、答えられない場合があります。こういったちぐはぐなことが、入試準
備として行われているようです。迷子になったら、制服を着ている係の人に、住
所と名前を言えば、場内に放送して、親に知らせてくれます。何のために住所や
電話番号を覚えておくかを教えずに、面接のために記憶させているから、言える
けれども、それを使って何をするかがわからないのです。これが、記憶だけに頼
る受験準備のマイナス点ではないでしょうか。目的が分からないで知識だけを詰
め込んでしまうと弊害が起きるもとだと思います。「覚えさせておけば事足りる」
といって教え込んだことは、幼児期には余り役に立たないものです。
 
かつて、ある学校の説明会で、「登下校中に、関東大震災級の地震が起きた場合、
学校としては、とるべき手段がありません」と言ったことから、「学校の近くに
住む子が有利、遠方からの通学者は不利」といった噂が流れました。東日本大震
災以降、安全に通学出来ることも、学校選びの重要な条件になったようですが、
近くに住む子が有利といった噂が、再び流れ始めているそうです。9日の立教小
学校の説明会でも、田代教頭から「震災対策」の話がありましたが、私学の小学
校へは、多方面から時間をかけて通学するのですから、各校も万全の体制で臨ん
でいます。
 
そんな噂に心を惑わされる前に、そういった災害が起きた場合を想定し、もし、
電車やバスに乗っている時はどうしたらよいかなど、幼い子どもなりに対処出来
る、そういった育児をしっかりと心がけ、自立心を育てるべきではないでしょう
か。
以前にも紹介しましたが、早稲田実業学校初等部は、保護者が同伴できるのは、
入学式と翌日の始業式だけで、三日目から一人で通学します。安全のために出来
る限り保護者の同伴を望む傾向にあるようですが、それはともかくとして、子ど
も達の自立を妨げる過保護、過干渉の育児は、絶対に止めるべきです。
                        
通学距離、所要時間は、単に物理的な距離、時間ではなく、こういった精神的な
面も考慮すべきではないでしょうか。
 
[六]健康状態
「健康状態」についてですが、これは小学校受験で、もっとも大切なことです。
健康といっても体だけではなく、心身共に健康であることです。
小学校受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入り、
初めて会った先生の指示を聞き、理解し、即座に対応する」ことです。自分だけ
が頼りの戦いです。
 
まず、話を聞く姿勢が身についているかです。
前にもお話しましたが、小学校の試験は、中高大学の試験と比べて、著しく異な
ることがあります。
ペーパーテストを考えてみましょう。通常、テストには、設問があり、それを読
んで答えるわけです。ところが、小学校のテストには設問がなく、逆に、答えが
全部、出ています。後は、スピーカーから流れてくる先生の指示を聞いて解答し
ていきます。
中高大の試験では、やっているうちに、「あぁ、これは苦手だから飛ばそう。時
間が余ったら後でやろう!」と自分のペースで挑戦出来ますが、小学校の試験は、
これが出来ません。「用意、ドン!」ではありませんが、始まればそのまま流れ
ていきます。途中であっても、「ハイ、そこまで!」と言われれば、そこでやめ
ないと、次の設問の説明が始まりますから、ついていけなくなります。マイペー
スは、認められません。
話を聞く力を身につける、これは試験だけではなく、何かを学習するためにもっ
とも必要な基本的な態度です。話を聞けなければ、何事も始まりません。話を聞
く姿勢は、親子の対話から、話の読み聞かせから、指示をきちんと出すことから
身についてくることを、くどいほどお話してきた理由は、ここにあるのです。
 
次に、お母さんの手を借りないで、どのくらいのことが出来るかです。
お子さんの一日の行動をチェックしてみましょう。お母さんが、どのくらい手を
貸しているかを知ってほしいのです。衣服の着脱、歯磨き、洗顔、食事、排便、
身辺の整理など、就学前には身につけておかなければならない「基本的な生活習
慣」ですが、いかがでしょうか。こういった生活習慣が身についていることは、
子ども自身が、試行錯誤を積み重ねながら学習をした結果です。幼児期は、この
試行錯誤こそ大切な学習なのです。試行錯誤は、工夫をすることから起こります。
手作業の得意な子の知的な能力が高いのは、試行錯誤を積み重ね、その手順を、
きちんと学習し、覚えているからです。単なる記憶ではありません。
自分の頭と体を使って、
「こうしたらこうなるぞ、こうしたらまずいかな、こうやったらうまくいったぞ!」
と学習しているのです。
オーバーに言えば、「誰にも頼らず、一人で生きていくための生活の知恵」を学
んでいるのです。
 
小学校の受験は、問題集を買って、勉強して、「合格!」とはなりません。その
ことを、ものの見事に表現した言葉があります。この話も何回も紹介しましたか
ら、もう耳にたこができているかも知れませんね。ある年のミッション系の学校
の校長先生のおっしゃったことです。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、こ
と足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気付いてほしい」
日常生活での積み重ねが、5歳か6歳の秋に表れるのです。つまり、ご両親の育
児の姿勢が、そのまま表れます。これが小学校の受験なのです。
 
最後に、社会性や協調性といった集団生活への適応力が培われているかです。
これは幼稚園や保育園の先生方に聞けば、すぐにわかります。先生方は、お母さ
ん方に遠慮して、なかなか本当のことを言ってくれませんが、例えば、
「うちの子、集団生活ではどうでしょうね」
と尋ねたとき、
「多少、問題があるようですよ」
といった返事が返ってきたときは、ものすごく問題があると考えて、日常生活を、
きちんとチェックすべきです。多くの場合、集団生活に問題が起きるのは、ご家
庭の育児の姿勢に原因があります。繰り返しますが、過保護、過干渉の育児です。
 
3歳を過ぎてもお子さんのやっていることを見て、手を貸したくなれば過保護で
あり、口を出したくなれば過干渉の育児と言われています。過保護な育児からは、
わがままで、我慢のできない子に、過干渉の育児からは、消極的で引っ込み思案
な性格の子になりがちです。こういった環境で育てられていると、集団生活への
適応力は、育まれません。困るのは、お子さん自身です。
ちなみに、最近の脳科学者の研究によれば、集団生活への適応力の基本は、6歳
頃までに身につくもので、その時期を逃すと臨界期といって、どうにも修正が効
かなくなり、社会性や協調性を身につけるために、本人が非常に苦労すると言わ
れています。
 
夏休みには「お泊り保育」があると思いますが、どういった状態であったか、必
ず聞くようにしてください。親の元を離れたお子さんの本当の姿を見ることが出
来るからです。最近、行動観察型のテストで、集団生活への適応力を判定する問
題が増えていますが、学校側は、何を見たいのか、おわかりいただけたのではな
いでしょうか。
 
お子さんの心身の健康状態は、いかがですか。
梅雨に入ってやっと雨が降りましたが、関東地方のダムの貯水量が心配な状態に
なっているようです。自然相手では手の打ちようもありませんが、日常生活は、
心がけ次第でコントロールできます。受験準備に無理は禁物、心身共に健康であ
ることに留意し、頑張りましょう。
 
しかし、おかしな言い訳を考えるものですね。「不適切だが違法ではない」、庶
民をコケにした上からの目線。今度は「記憶にない」、「羞恥心」などかけらも
ない。お子さんはどう思っているかな。
(次回は「志望校選びの10のチェックポイント3」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(1)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第49号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
志望校選びの10のチェックポイント(1)
 
★カトリックフェア2016より★
「今年の暁星小学校の学校説明会は、9月24日(土)10時より上智大学10
号館で開催、当日、願書の販売はしません」とHPに掲示されていますが、そ
の理由を尋ねたところ、「昨年までの会場であった中高の講堂改築のため」で、
願書の販売は小学校の事務室で9月6日(火)から26日(月)まで販売する
そうです。毎年、片山善次郎先生の温かく、そして厳しく叱責する心に沁みと
おる詩集「まごころの泉」も、今年は手に入らないようです。
 
白百合学園小学校の校長挨拶が、昨年以来、HPに登場しないわけを聞きたか
ったのですが、大変混雑していたのでパス、説明会で確かめることにしました。
昨年の説明会は、中高の校長が話をしていましたから、兼任ということでしょ
うか。
 
キャンパス内には、きれいなバラが咲いていましたが、創設者ソフィア・バラ
をあがめるためでしょうか。しかし、バラは日本語ですから、これは私のこじ
つけでしょうね(笑)。旧久邇宮(くにのみや)家跡だけに、他の大学では味
わえない雰囲気が漂っていました。
 
今回から3回に分けてお話します「志望校選びの10のチェックポイント」は、
めぇでる教育研究所から発売されている、拙著の「さわやかお受験 面接 こ
こがポイント 小学校編」の第一章に、PDF版「面接克服 ここがポイント」
の第1章に紹介してあるもので、読んでいただければ、必ず、お役に立つと自
負しています。詳しくは、めぇでる教育研究所のホームページをご覧ください。
 
模擬面接で「この学校を選んだ理由、志望理由をお聞かせください」といった
質問に、ただ、その学校の建学の精神や校訓、教育目標などを、そのまま、淡
々とおっしゃる方がいます。 
「それでは、校訓をどのように育児に取り入れていますか」と尋ねると、具体
的な回答がない場合があります。校訓や教育方針とご家庭の育児の姿勢に共通
点がなければ、なぜ、その学校を選んだのかがわかりません。
これでは、学校側を説得するのは難しいのではないでしょうか。
「なぜ、わが子に、この学校を選んだのか」、ご両親できちんと考えていただ
く基礎資料として、ここでは、10のポイントについてお話しましょう。
 
小学校の受験に際し、もっとも重視されるのは、なぜ、その学校を選んだかと
いう「志望理由」です。
 
出身者の場合は、ご自分の体験から選ぶわけですから問題はありませんが、そ
うではない場合は、学校に関する情報、例えば、建学の精神や教育方針、その
学校ならではの特色、年間行事や課外活動、学童保育(アフタースクール)、
併設校への進学状況などについて、わからないことが多いわけです。そういっ
たハンディキャップを解消するために開かれているのが学校説明会です。
過去には説明会をやっていなかった学校もありましたが、私学のディスクロー
ジャーではありませんが、今はほとんどの学校で説明会が行われています。
平成10年には慶應義塾幼稚舎が、同11年には日本女子大附属豊明小学校が、
同12年には白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催しました。
雙葉小学校も平成17年に、学園講堂で説明会を再開しました。昭和60年代
には説明会をやっていましたから、16年ぶりということになります。その時
は小学校の5階のホールで行われましたが、平成25年からその小ホールに移
り、5階までの階段が、かなり厳しくなりました(笑)。
 
既に、早稲田実業学校初等部、立教小学校(第2回目は7月2日・土)は終了
しましたが、これから白百合学園小学校、成蹊小学校、7月には慶應義塾幼稚
舎、同横浜初等部(事前に申し込みが必要で6月22日 水曜日からウエブサ
イトで受け付け開始)、雙葉小学校(はがきで申込受付中)などの説明会が行
われます。
説明会は、こういった貴重な情報公開の場ですから、必ず参加されて、これか
らお話しする10項目のチェックを行い、お子さまにもっともふさわしい学校
を選んであげていただきたいと思います。
 
[一]一貫教育制度について
最初に考えてほしいのは、「一貫教育制度に、何を期待しているか」です。
 
併設校のない幼稚園があります。幼稚園だけなのですが、不思議なことに人気
があり、入園することが、大変、難しいといわれています。
若葉会幼稚園、枝光会附属幼稚園に入園される方の目的は、慶應義塾幼稚舎、
青山学院初等部、聖心女子学院初等科、東京女学館小学校などへの入学でしょ
う。例えば、こういった幼稚園の入園テストの倍率が、仮に1.5倍前後だと
しても、その数字よりも限りなく重い1.5倍なのです。名門校への合格実績
も折り紙付きですから、受験される保護者の期待を十分にかなえられているこ
とがわかります。
 
幼稚園と小学校だけの学校があります。
国立市にある国立学園です。西武が設立した学校で、小学校しかありませんか
ら、ほとんどの生徒が中学受験に挑戦します。6年の間に実力をつけ、中学の
名門校に入り、中高一貫教育で大学受験を考えている保護者が多いのでしょう。
学校案内の最後のところに、過去5年間の進学状況の一覧表があり、麻布、開
成、武蔵という、いわゆる中学校御三家をはじめ、いろんな学校に何名入って
いるといった情報が紹介されています。教育方針の一つに、クラスを能力別に
分けて指導していく「習熟度別クラス編成」があります。説明会で、その指導
の内容を知ることができます。
 
高校までしかない学校もあります。
暁星小学校、桐朋学園小学校、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小
学校、光塩女子学院初等科、日出学園小学校、国府台女子学院小学部などです。
大学へは、12年間で培われた実力でチャレンジしなさいというのが、こうい
った学校の教育方針の一つです。
また、保護者の立場からいえば、小学校は、お父さん、お母さんが選びレール
を敷いてあげるが、後の進路は、自分で決めるという制度に賛成しているとい
うことです。社会へ出る前に、大学受験というハードルをクリアする関門が待
ち受けています。つまり、厳しい競争の社会に出る前に、大学受験という戦い
を経験しておくべきだと考える保護者に支持されているということでしょう。
 
横浜雙葉小学校は説明会を再開しましたが、以前の説明会で、雙葉系の学校は、
幼子にキリスト教を教えるために創立された学校で、12年間、学んできたこ
とを、よその大学へ行って布教することを目的としているので、大学を設立す
る方針はないといった話を聞いたことがありました。こういった学校から大学
への進学率は、ほぼ百パーセントであり、東大をはじめ有名校で占められてい
ることは、よく知られています。
しかし、だからといって、「名門大学への進学率が高いから高校までの学校で
いい」という志望理由には、賛成できません。雙葉小学校では、進学校ではな
く、そういった体制になっていないと説明会でも言っています。
なぜ、進学率が高いのか、教育方針やその内容をしっかりと把握する必要があ
ります。
 
それから、学習院、青山学院、白百合学園、東洋英和、豊明、立教女学院(立
教大学への推薦枠が条件付ですが増えました)といったように、幼稚園から短
大、大学、大学院まで、慶應義塾幼稚舎、成蹊小学校、聖心女子学院初等科の
ように幼稚園はありませんが、高校、大学までといったように一貫教育制度を
とる学校があります。なお、東京女学館小学校の大学は25年度より募集はせ
ず、同27年度末に廃校を発表、高校までの学校になりました。
 
「幼稚園から大学まである学校に入れてしまえば、受験戦争は一回限りで済む」
というお母さんがいました。幼、小、中、高、大学と、そのたびに受験するこ
とはないでしょうが、もしそういうことがあったとしたら、受験する本人も、
付き合う親も大変なのは事実です。幼稚園受験が過熱気味なのも、こういった
考えが根底にあるとすれば、それは、過保護ではないでしょうか。
しかし、受験に費やすエネルギーはたいへんなものですし、精神的な戦いもす
さまじいものがあります。そこを回避して、受験勉強をしない分、精神的にも、
時間的にも余裕があるわけですから、それを学問や趣味にと考えるのは親心で
しょう。
しかし、一貫教育制度は、入ってしまえば、エスカレーター式に、大学まで行
けるという制度ではないことも忘れてはなりません。それなりに厳しいもので
す。
 
幼稚園のない学校があります。
慶應義塾幼稚舎、聖心女子学院初等科(開設していた時代あり)、東京女学館小
学校、成蹊小学校、立教小学校には幼稚園はありません。(立教女学院短期大
学附属天使園は、推薦入学制度を導入しましたから、立教女学院小学校は幼稚
園のある学校になりました)
四谷と田園調布の雙葉には幼稚園はありますが、横浜雙葉にはありません。
同じ系列校でありながら、調布にある桐朋小学校の方には桐朋幼稚園がありま
すが、国立にある桐朋学園小学校にはありません。
では、どうして幼稚園はないのでしょうか。
これも一つの教育方針だと考えられないでしょうか。
たとえばの話ですが、幼稚園時代から、同じ環境で保育を受けた集団よりも、
違った環境で、さまざまな保育を受けてきた、いろいろな子どもを集めて教育
を始めましょう。つまり、義務教育と同じ狙いがあるのではないでしょうか。
 
学校を選ぶときに、こういった制度の目的を考えてみると、建学の精神の一端
がわかるかも知れません。
 
[二]共学制度について
二番目に、「共学制度」について考えてみましょう。
共学の学校といえば、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等科、成蹊
小学校、成城学園初等学校、玉川学園小学部、桐朋小学校、桐朋学園小学校、
日出学園小学校、昭和学院小学校などで、桐朋、桐朋学園などは、中高は別学
になりますが、こういった学校を選ぶ理由としては、義務教育は共学であり、
共学が自然であることでしょう。
多くの方は、共学の経験があるはずですが、私立校へ進まれた方には、共学の
経験がないかも知れません。
男女、別学の環境で教育を受けられた方が、お子さんには共学を選ぶ理由、こ
れについて、しっかりと話し合ってみることです。
 
参考までに、共学の良いところ、悪いところをあげておきましょう。
良いところは、小さいときから、自然に男子は女子を、女子は男子を理解する
ようになり、男子は男らしさ、女子は女らしさを身につけることができます。
つまり、お互いに助け合い、特性を生かして、それぞれの領域を分担すること
で、競争心が芽生え、負けないように頑張ることができることでしょう。
悪いところは、男子にやさしさが育まれる反面、男子を厳しく指導したくても、
女子がいることで、徹底しにくい点や、女子は、言葉がきつくなり、敬語や丁
寧語があまり使われなくなるといったことでしょう。
受験に際し女子がいると学力が低下して邪魔になるといったお父さんがいまし
たが、柳眉を逆立てるお母さんがいらっしゃるかも知れませんね。
 
[三]男女別学制度について
三番目は、「別学制度」についてです。
男子では、暁星小学校、立教小学校の二校、女子では、ミッション系の学校は、
ほとんど女子だけで、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、
聖心女子学院初等科、国府台女子学院小学部などへは、毎年、多くの応募者が
集まり、高い倍率を示しています。いずれも伝統のある学校であり、その教育
方針や校風が、圧倒的に支持されている証でしょう。
 
では、別学の学校の長所を考えてみましょう。
まず、なんといっても男女の特性を生かした教育ができることで、共学とは違
った意味での男らしさ、女らしさが身につき、異性がいないことから、男子は
女子に憧れる気持ちが、女子には男子を尊敬する気持ちが育まれやすい環境に
あることでしょう。
また、共学では体験できないこと、例えば、男子がする仕事を女子がしなけれ
ばならないことから、体験の幅が豊かになるとも考えられます。
その反面、女子が、あるいは男子がいない不自然さは否めないでしょう。
また、同性同士ということから、男女がお互いに何かをすることがありません
から、助け合う気持ちが育ちにくく、羞恥心が欠けがちで、男の悪さ、女の悪
さが出やすい環境にあるともいえるでしょう。
 
白百合学園へ三年保育で幼稚園に入って大学まで行くと19年間、女の園です。
田園調布雙葉も幼稚園から入ると、高校までですが、14年間、女の子だけで
す。
これについて、お父さんはどうお考えでしょうか。
模擬面接などで、ご両親に別学の経験がない場合、
「お父さん、別学についてどう思いますか」
と聞いてみると、
「私は、共学の方が自然でいいと考えていますが、家内が賛成ですから」
などとおっしゃるのですが、「それでは、共学の学校へどうぞ」となるだけで、
適切な学校選びとはいえません。
なぜ、別学を選ぶのか、よく話し合っておくことが大切です
例年、立教小学校の説明会で田代教頭は、「男子に比べ女子の成長が早く、何
かにつけて差が出るので、男子だけの方がいい」といっていますが、2年前か
ら、「脳の大きさは18歳頃で止まり、差がなくなるといわれている。小中高
と別学で学び、大学で共学になるのは、手前味噌ながら理想的な教育環境であ
り、皆さまのお目は高い」とおっしゃっています。
 
幼稚園だけが共学、幼稚園が共学というのもおかしいですが、四谷の雙葉幼稚
園には男の子がいます。
暁星幼稚園には女の子が、東洋英和幼稚園には男の子がいます。
面白いのは日本女子大学附属豊明幼稚園で、昨年から3年保育だけに切り替え
ましたが、女の子が60名に対して男の子が24名います。
そこに入った男の子は、小学校は受験になります。
雙葉や暁星、英和に入った男の子、女の子は、近所にミッション系の幼稚園が
ないために、無理して通わせるケースもありますが、幼稚園の送迎は、保護者
がついていきますから、多少の無理はききます。目的は、ミッション系の小学
校へ入学させたいと考える方が多いようです。幼稚園を選ぶ場合は、こういっ
たことも考えておく必要があると思います。
 
関東地方も「梅雨入りしたとみられます」とはっきりしない宣言。昨年より2
日遅く、平年より3日早いそうです。北海道で雪が降ったり、日光では50年
ぶりに霜が降ったりとか。昔だと、「自然の異変は神の怒り」と考えられてい
ましたが、厚顔無恥な政治屋に、神さまも見放して頂きたいと切望する、今日
この頃です。(怒り心頭!)
 
(次回は「志望校選び10のチェックポイント (2)」についてお話しまし
ょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よく受ける質問

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第48号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
★説明会速報★
早稲田実業学校初等部 学校説明会
○どんな子どもに来てほしいか。
 ・早実、大好きな子。
 ・早稲田大学へ行って勉強をしたい子。
 ・規則正しい生活のできる子。
 ・人の話を最後までしっかりと聞ける子。
 ・自分のことは自分でできる子。
 ・基本的な生活習慣、しつけの身に付いている子。
「9月3日(土)の学校見学会に、ぜひ、お子さん同伴で参加してほしい。私
の願いは、お子さんがこの学校へ来て、学びたい、勉強したい、友達と遊びた
いと思っていただけることです。これだけでお子さんのモチベーションが上が
るからです」
橋詰敏長、初等部校長の話です。見学して、モチベーションが上がり、「早実、
大好きな子」になってくれれば、親として、これほどありがたいことはないの
ですが。 
(5月29日〈日〉午後1時~2時30分 於 大隈講堂より)
 
昨年は6月3日に梅雨入り。今年はかなり遅れそうです。季節の変わり目は、
とかく陽気も不順となりがちです。夏を迎える前に体調を崩さないよう、健康
管理にも十分気を配ってください。
さて、今回は、皆さんからこの時期によく受ける質問を、紹介しましょう。
 
Q「折り紙をする時、折り方が雑できちんと出来上がらないのですが、どのよ
 うなことに注意すればよいのでしょうか」
 
A「折り紙は、一枚の紙から立体を作り出す大変楽しい作業ですが、一つ一つ
 きちんと折らなければ、本に出ているような作品にならないだけに、子ども
 達の失望も大きいようです。
 まず、折り紙を半分に折り、長四角を作ってみましょう。
 その時に、合わせる辺と辺をきちんと重ね、左手の親指と人差し指で摘むよ
 うに持ち、右手の親指と人差し指で、折った部分の真ん中をしっかりとつか
 み、折り目をつけます。
 それをテーブルの上に置き、右人差し指で真ん中をしっかりと押さえ、押さ
 えた指のところへ左手の人差し指を並べ、左端まで指を滑らし、折り目をつ
 けます。 
 次に、左人差し指を真ん中に戻し、しっかりと押さえ、右人差し指で右端ま
 で指を滑らしながら、折り目をつけます。
 それを広げ、90度回転させ、同じ作業をし、正方形が4つできるように折
 ります。
 次に、今使った折り紙の角と角を合わせ三角形に挑戦しましょう、作業手順
 は同じです。
 
 文章にすると、敬遠したくなりますが、お母さん方がお手本を示してあげれ
 ば、難しいことではありません。
 折り紙がうまくできない原因は、こういった基本の折り方がきちんとできて
 いない場合にあるようです。
 いきなり作品に挑戦せずに、四角と三角の折り方の基本をマスターすると、
 折り紙も楽しくなると思います。
 何事も基本が大切ですが、その作業は退屈でつまらないことが多いものです。
 それにまじめに取り組むのが、技術を身につけるコツであることは、皆さん
 方も経験されていることではないでしょうか。
 「ゆっくり、じっくり、丁寧に」、これしかありませんね。
 
Q 糊を使うのを嫌がるのですが。
A 現代っ子のもっとも苦手とする作業ではないでしょうか。
 ご家庭では、セロハンテープやリップ・スティック型の糊を使っていると思
 います。
 最近は、入試でもこういった接着剤を使用することもありますが、今の段階
 では、ふたのついた、つぼ型の容器に入った、幼児用の糊を使ってほしいも
 のです。
 これには、いろいろと教育的な配慮がされているからです。
  
 ふたを開けるにも、左右の微妙な力のバランス感覚を学べます。
 そして、使う量、適量を指に取るには、目分量、勘が必要です。
 多ければベタベタ、少なければはがれます。
 さらに、つけ方です。
 糊が、全体に滞りなく行き渡るには、かなりの練習が必要です。
 そして、貼ります。
 これだけのことをやり、作業が終わると手を拭き、ふたをして片付けるので
 すから、面倒に思うのも無理はないかもしれませんが、ここで手抜きすると
 不器用になるのではないでしょうか。
 
 もっとも厄介なのは、適量を取り、貼ることです。
 はじめは、折り紙を4分の1に切ったものを使い、上の真ん中に少しつけ、
 スケッチブックなどに貼る練習をしましょう。
 次に、四隅に糊をつけて貼り、それができれば糊を真ん中に縦に伸ばしてつ
 け、左右に伸ばす練習をしましょう。  
 ステップを踏んでいけば、必ずできるようになります。
 「不器用なのね!」などと、絶対にいわないことです。
 
 ところで、私が現役時代、制作などで他の接着剤を使わなかったのは、手が
 汚れないからです。
 「汚れたらきれいにする」は、幼児期に身に付けておかなければならない、
 大切な、大切な生活習慣だからです。
 砂場で遊ばせない母親と真面目にけんかしたのも、同じ理由からです。
 そういう元気な時もありました(笑)。
 
 つぼ型の糊には、教育的な配慮がしてあるという理由は、こういったことな
 のですが、いかがでしょうか。
 
Q 早生まれなのですが、幼い絵しか描けません。上手になるでしょうか。
A 入試を控えると、こういった心配をするお母さん方が増えているようです
 が、お子さんの絵の描き方を思い返してみましょう。
 2歳は点や線の殴り書きで、3歳から円や四角らしきものが描け、ある時、
 突然、頭から手足がニョキニョキと出ている人間を描いたと思います。
 やがて、頭と体が分かれ人間らしくなりますが、手は電信柱のようにまっす
 ぐ伸びたままで、やっと年中の終り頃に手も下に降り、人間と認められる絵
 になったのではないでしょうか。
 このようになるまで4、5年かかる子もいますから、幼児にとって絵を描く
 のは、大変な仕事でもあるのです。
  
 そして、基本的な生活習慣と同じように、絵を描く作業は、速成も、いろい
 ろなテクニックを駆使しての促成もできません。
 お子さんの成育史が、そのまま姿を現すものではないでしょうか。
 ご両親の遺伝もあるかもしれません。
 お子さんは、楽しく絵を描いていますか、そうであれば心配ありません。
 お子さんが描いている絵は、現時点で最高の作品であることを認めてあげま
 しょう。
 そして、幼い絵でも、描きたい目的があるのですから、そこを見つけて褒め
 ることです。
 他の子ども達と比べて評価するのは、賢いお母さん方のすることではありま
 せん。
 ましてや、早生まれの子ども達にとっては、大変迷惑な話です。
 楽しく描ける雰囲気を作ってあげることが大切です。
 
ところで、最近、4,5人のグループで1枚の絵を描かせる学校が増えてきま
したが、共同作業ですから、お互いにコミュニケーションが図れるかも大切な
ポイントになっています。使いたいクレヨンが1本しかない場合、「それが使
えるようになるまで何もしないお子さんがいる」と聞きますが、学校側は、社
会性や協調性といった集団生活への適応力を見ているのではないでしょうか。
引っ込み思案の多い男の子、通っている教室の先生に聞いてみましょう。
 
5日(日)は、「カトリック学校フェア 2016」が、聖心女子大学で開催
されます。
雙葉小学校は、昨年まで学校で行われる説明会では、質疑応答の時間は設けて
ありませんでしたが、プログラムによれば、個別相談校として参加しています。
相談事のある方、参加されてはいかがでしょうか。
(次回は、「志望校の決め方」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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