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めぇでるコラム : 2017小学校受験: 2015年7月
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
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「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第4号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタート
でつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、
ご家庭で培われるものです。
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、
特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、
けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
長年、幼児教育に携わり教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影響
力には、計り知れないものがある」ということです。お母さん方の育児の姿勢
次第で、子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。そ
れほど、お母さん方は、絶対的な力を持っているのですが、お母さん方自身が、
このことをあまり意識されていないのには、唖然としたものでした。
最近、公立、私立校を問わず、「KYJTママ」といって、「空気読めない自
己中ママ」が増えていると聞きますが、そういったことを踏まえ、どういった
子育てが集団生活への適応力を育まないかを考えてみました。
◆チェックシート(1)
[チェック方法]
はいの場合[○] いいえの場合[×] どっちともいえない場合[?]
1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。 [ ]
2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。 [ ]
3.他人の子どもはちっとも可愛くない。 [ ]
4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。 [ ]
5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。 [ ]
6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。 [ ]
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、
いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、
おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
[1.過保護型のお母さん]
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも手伝いますか
ら、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力
が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集
団生活への適応力にも、不十分なところがありがちです。
[2.過干渉型のお母さん]
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の
言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちに
くく、何かをするときに、お母さんの指示を待つ消極的な子どもになりやすい
ものです。
[3.溺愛型のお母さん]
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不
安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見
る子になりがちです。大人の前ではよい子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱
い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
[4.自己中心型のお母さん]
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を
取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活
になじめず、孤立する恐れがあります。いわゆる「自己中心型」(自己中)の
お母さんです。
“KYJTママ”-空気読めない自己中ママ-という言葉があると紹介しまし
たが、小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。
[5.知育偏重型のお母さん]
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するた
めに、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に
取り組む意欲が表れにくい子になりがちです。お母さんは、「何回言ったらわ
かるの!」などの言葉が多くなるようです。
[6.付和雷同型のお母さん]
親が選んだ受験にもかかわらず、「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」
などいった怪情報に振り回され、「わが子をみてください」といった信念がな
いので、親子で受験地獄に陥りやすいといえます。「○○ちゃんは、できるの
に…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残すことに
なりがちです。
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てき
ましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お
母さん方の心の中に潜んでいるのではないかと思われる、“潜在的な欲求”を
表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるか
で、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のい
う育児の姿勢なのです。
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢
にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こう
いったお子さんに共通しているのは、社会性や協調性といった集団生活への適
応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心
がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つの
タイプに偏らない育児のことです。
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょ
う。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
今回は、○か×で判定してください。
1. ご両親であいさつをしていますか。[ ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[ ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。[ ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。[ ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。[ ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[ ]
7.何かお手伝いをさせていますか。[ ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[ ]
9.本を読んであげていますか。[ ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[ ]
11.指示はきちんと出していますか。[ ]
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。[ ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[ ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。[ ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[ ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。[ ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。[ ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。[ ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[ ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[ ]
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。
[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、
いかがでしょうか。今度は、どちらともいえない「?」のマークはありません
が、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中で、ご両親が
心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培
われ、学校側の歓迎するお子さんに育っていくものです。
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集
団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題が
ある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書で
すが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、この子に
何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを知らなくては
ならない。子どもが、今、成すべきこと、今、成し遂げるべきことを、自力で
させてあげることだ」
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社 刊)
という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や
集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できる
ように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こ
ういった適正能力は育まれません。
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッ
ソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、
なぜ、本学園の入学試験の難易度が高いかがわかるからです。
注 マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施
し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とし
た保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、モン
テッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
ウィキペディア フリー百科事典より
梅雨も開け、夏休みに入りました。
夏はこれからが本番です。通園中と同じようにタイムスケジュールをきちんと
守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しまし
ょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
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「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第3号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年
齢にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱
の5つが基本といわれています。
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増
えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれ
ば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、
口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児にな
りがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っ
ていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけな
いということではありません。
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間
に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室
の新学期が始まる、今年の11月を目安にして頑張ってみましょう。
目的は、自立心を養うことです。
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られ
ることもあるからです。
1.毎朝一人で起きられますか。
2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
4.衣服の着脱はできますか。
5.ボタンの掛け外しはできますか。
6.食事は一人でできますか。
7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
8.食事に時間はかかりますか。
9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやちり紙を使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かたむすび)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
※は無理をしないことです。
3.洗髪は、幼児にとっては大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男
の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけて洗ってあ
げると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰ってきたわが
子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからやらせなか
った場合が多いものです。
7.箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に
集団生活でも最も大切なことです。
立教女学院小学校の説明会で、教頭の吉田太郎先生は「今年も箸を使うような
問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っている
のではなく、生活習慣としてみせていただきます」とおっしゃっていましたが、
箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てています
から、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる
大切な生活習慣であり、適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はこ
こになるのです。
11.幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見
せることが大切です。
インフルエンザの防止のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習
慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な
習慣です。
13.整理整頓ですが、男の子は苦手ですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるよ
うになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けている
と、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいま
す。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いもの
です。
文句をいう前に、なぜできないか、その原因を考えてあげましょう。
そして、お父さん方にも一言、「置きっ放しにしないで! だらしがないんだ
から」などとお母さん方から苦情が出ていませんか。
お母さん方へ、お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わないで
ください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。
14.男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、
どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
15の手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るといった作業
は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、
自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるわけ
です。
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工
夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への
適応力を育むもとにもなっているのです。
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」
「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親
が率先して行うことで、きちんと身につくものです。
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定していま
す。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお
話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った友達の中に入り、
初めて会った先生のいうことを聞き、適切に対応できるか」を判定されること
であり、頼りになるのは自分自身だけで、誰も助けてくれません。
「子離れできないお母さん」「お母さん離れのできないお子さん」では、入学
試験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といって
いるのは、適応能力が身についているかを知りたいからです。
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、
知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むこ
とになるのです。
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視すること
は、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと
思います。
猛暑が続いていますが、お子さんの健康管理には十分に気をつけてください。
(次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>先手必勝といっても、あおっているのではありません
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「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
第2号
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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先手必勝といっても、あおっているのではありません
今回を含めて今年の10月まで、17回配信できますが、この間に家庭でやら
なければならないことをしっかりと行い、身につけることができれば、11月
から始まる幼児教室の新年長クラスでの学習は、お子さんにとって楽しい教場
となるはずです。
これから6つのことについてお話しますが、どれから始めるかといった優先順
位はありません。
子ども達は幼稚園や保育園で、国語、算数、社会といったように、教科別に時
間を区切って学習しているわけではありませんが、あらゆる事柄に、先生や友
達と様々な関わりを持ちながら学んでいますから、ご家庭でも臨機応変に取り
組んでいただきたいと思います。
★お子さんは、自力でどのくらいのことができますか。
基本的な生活習慣のことです。
朝起きてから夜寝るまで、お母さんはどのくらい手を貸しているでしょうか。
「自力でできることがたくさんあるお子さんの知的な能力は高い」といわれ
ています。
また、3歳過ぎてお子さんのやっていることを見て手を貸し、口を出すのは、
過保護、過干渉の育児といわれ、お子さんの自立を妨げます。
皆さん方はいかがでしょうか。
★お子さんは幼稚園や保育園へ通うことを楽しみにしていますか。
社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
光塩女子学院初等科の説明会では、社会性のお手本はご両親とおっしゃって
いました。
「少し元気がありすぎるようですね」などといわれていませんか。
「元気な子と無作法な子は違う」「明るい子とけじめのない子も違う」とも
いわれていますが、お子さんはいかがですか。
★お子さんはお母さんの目を見て話を聞き、話をしていますか。
話の聞ける子は相手の目を見ていますが、その瞳は輝いています。
話をする子の表情は、いつも楽しそうです。
幼稚園や保育園、外から帰ってきたときに、「ママ、あのね!」と話しかけ
てきますか。
そして、きちんと聞いてあげていますか。
後で詳しくお話ししますが、「小学校の入試でもっとも大切なこと」と覚え
ておいてください。
★折り紙やあやとり、点図形やお絵描きに興味を持っていますか。
色を塗る、紙を切る、折り紙を折る、紐を結ぶ、糊で貼る、箸で摘むなどの
手作業は、その年齢にふさわしい発達を遂げるもので、その時期を逃すと苦
手意識を持ち、手をださなくなるともいわれています。
また、点図形は、書写の基本練習にもなっており、多くの学校で出題されて
いる訳は、ここにあるのです。
絵は心の窓ともいわれ、描かれた1枚の絵からお子さんの情緒の発達状態も
わかります。
入試問題に絵を描かせる学校が増えていますが、絵はスケッチブックとクレ
ヨンを与えて、すぐ描けるものではありません。
また、「手は第二の脳」ともいわれ、知的な能力の発達と深い関わりを持っ
ています。
お子さんは、「塗る・切る・折る・結ぶ・貼る・摘む・書く・描く」といっ
た手作業に興味を示していますか。
★数量に関して直感力は働きますか。
入学試験というと数量の問題が重視されているようですが、子ども達は数字
を使い加減乗除で答えを出すわけではありません。
直感で多少を見極めることから始め、○を使って答えを求めます。
お子さんに、クッキーが3つと5つの入った皿を見せ、「多い方を食べてい
いですよ」 といったとき、数えることなく5枚のクッキーの入った皿を取
ることができるでしょうか。
また、容量が同じ2つのコップの一方に、少しだけ多く入れておき、「多い
方を飲んでいいですよ」といったとき、さっと多い方のコップを取れるでし
ょうか。
これは、決して卑しいことではなく、「about(アバウト) おおよそ
の感じ=直感力」で判断した結果で、数量に関しては、まず、こういった直
感力が働くことから始まります。
お子さんは、いかがでしょうか。
★5分も歩かないうちに「おんぶ!」などといいませんか。
現代っ子は、スタミナ不足といわれています。
なぜ、赤ちゃんは「はいはい」を繰り返し、繰り返しするのでしょうか。
ご存知のように、やがて歩き始めるための筋肉の鍛錬になっているわけです。
幼児期には、敏感期といわれる「もっとも著しく発達する時期」があります。
言葉の敏感期を逃すと、狼に育てられた少年のように話のできない人間にな
ってしまいます。
筋肉も同じで、身体全体を使い、遊ぶことで発達するものです。
小学校に入ると余分なエネルギーをかけない省エネ運動を覚えますが、幼稚
園時代は全力で身体を動かします。
お子さんは、部屋で一人だけで遊ぶ省エネ運動に入っていませんか。
以上6つの項目を挙げてみました。
問題がなければ、ご両親の育児の姿勢にぶれはなく、お子さんは順調に育って
いるといえます。
「入学試験を控えている子どもにとって、知的な能力を鍛える項目がないよう
に思えますが」と心配なさる方もあるかもしれません。
ご安心ください。
こういったことがきちんとできるお子さんの知力は、十分に発達しているもの
です。
なぜなら、こういったことはすべて、自力でやらなければ身につかないことば
かりで、そのためには、試行錯誤を積み重ね、考え、工夫し、自発的に挑戦し、
自分のものにしているからです。「自分のものにする」、これは幼児が自力で
身につけた知恵です。
その知恵を土台にして、知的な能力は発達していくものです。
お母さん方も得意な料理は、レシピを見ないで、調味料も計量カップを使わず
に、作っているのではないでしょうか。
試行錯誤の結果、ご主人やお子さんが好む料理にできあがっているはずです。
それと同じです。
知的な訓練だけを先行させるのは、ともすると、その時期に必要な成長を支え
る、大切な手順を抜くことになり、なかなか理解できないことが起きがちで、
そこから苦手意識が幅を利かせることになるのです。
「プロセスの重視」、幼児の学習は育児と同様、プロセスをなおざりにするこ
とはできません。
かつて桐朋小学校の説明会で、「私どもは試験といえどもプロセスを重視して
います」とおっしゃったことがありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
来週から、6つの領域の基本的な学習のプロセスについてお話していきたいと
思います。
はっきりとしない天気が続いていますが、お子さんの健康管理には十分に気を
付けてください。
(次回は、「基本的な生活習慣」についてお話しましょう)
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ここ数年、私立小学校への受験者は減る傾向にあるようです。
もっとも受験者の多い慶應義塾幼稚舎でも、2015年度(2014年11月
受験)は、男子908名(987名)、女子624名(620名)、
計1,532名(1,607名)で75名減、慶應義塾横浜初等部は、
男子650名(728名)、女子514名(529名)、計1,164名
(1,257名)で93名減、多くの小学校で受験者が減っているのは事実で
しょう。(カッコ内は2013年11月受験者数)
ところが、こういった現象にもかかわらず、私立小学校は増えています。全国
の私立小学校は213校、東京都53校と一番多く、神奈川県31校【日本大
学藤沢小学校 4月に開校】、埼玉県5校、千葉県9校、茨城県7校【開智望
小学校 4月に開校】の105校で、関東1都4県で全体の48%、約5割を
占めています。
受験者が減り学校が増えたことから、私学のお受験も楽になったと考える方が
増えていると聞きます。しかし、難関校は相変わらず難関校であり、年中から
2年間かけて慎重に準備しなければ、合格の二文字を得ることは出来ません。
事実、自宅学習を積み重ね、夏休みの講習会から幼児教室に通い、志望校への
合格を目指す保護者も増えているようですが、あと一歩及ばず、「もう少し早
く準備をしておけば……」と後悔する話をよく耳にするようになりました。何
が足りなかったのでしょうか。
思い出すのは、バブル経済全盛期に、私立小学校への受験が過熱気味で、一人
で何校も受験するのが当たり前の風潮になり、マスコミが「受験戦争の低年齢
化」と騒ぎ立てた時、あるミッション系の学校説明会で校長先生は、「入試に
必要な礼儀作法や知識を泥縄式に詰め込み、『受験準備、事足れりと』お考え
になるのは、誤りであることに気づいてほしい」とおっしゃったものでした。
小学校の入学試験は、速成は出来ないことを的確に表現した言葉です。「なぜ、
速成出来ないか」、それは私立小学校の望む子どもとは、「知力、徳力、体力
が年齢相応に育った気力のある子」で、試験を通してこれらを判定しているか
らです。
知力といえば、知的な能力と早合点される方が多く、勿論、理解力・判断力・
記憶力・推理思考力・観察力・思考力などをテストを通して判定しますが、こ
の知力の中には、幼児独特の成長の証である基本的な生活習慣や手先の巧緻性
なども含まれ、そこから自立心が培われているかもわかるのです。
徳力は、社会性や協調性といった集団生活への適応力が身に付いているか、つ
まり自律心が培われているかを判定します。自由保育では一斉に何かをする機
会が少ないせいでしょうか、現代っ子は、試験場でグループを組み、何かに挑
戦することが、どうやら苦手のようです。
体力は、持久力や耐久力、行動力、そして機敏性や俊敏性を問われる運動能力
を判定しますが、こういったことは日常生活で鍛えていくものですから、生活
環境がわかるのです。
そして、気力とは、耐久力や持続力があり、思いやりの心や譲る心が培われ、
そして明朗で快活な性格であるかをみているわけで、育児が過保護や過干渉で
ないことがわかるのです。
試験の方法も変わってきました。
平成4年から幼稚園の保育の方法が、これまでの一斉保育から自由保育になり、
ペーパーを使わない行動観察型の試験が増えてきました。詳しくは本文でお話
ししますが、「一人ひとりの個性を育てる」自由保育の方針が、試験の方法に
影響を与えた結果で、ペーパーテストでは判定出来なかったことが、行動観察
型の試験で可能になったのです。ペーパー試験しかやっていなかった立教小学
校は、今ではペーパーテストをやめ行動観察型に切り替え、男の子達が苦手な
ダンスまで試験に取り入れていますが、学校は何を判定しているか考えてみま
しょう。
また、あるミッション系の校長先生は、「人は躾や言葉遣い、挨拶や礼儀作法
を刷り込まれて生まれてくるわけではありませんから、私どもでは、子ども達
が嫌がっても強制的に教えます」とおっしゃっていましたが、そういったこと
がなおざりにされている子はいりませんということです。
さらに、自己中な風潮に対し、「訓練されていない個性は野性である」と言い
切った校長先生もいます。
こういったことを総合的に判定するのが小学校の入学試験です。集団生活の中
で、お子さんはどうあるべきか、親がしっかりと考え、やさしく、あるいは厳
しくしつける、ご両親の責任において、しっかり育児をしているかをみている
のです。基本的な生活習慣やしつけ、集団生活への適応力は、小学校生活をス
ムーズに過ごすための基礎、基本です。試験を受けるのはお子さんですが、判
定されているのはご両親です。こういったことは、付け焼刃では身につきませ
んから、速成は絶対に不可能なのです。
「ゆっくり、じっくり、的確に進めていく」、これが小学校受験のキーポイン
トです。年中の7月から10月にかけて、ご家庭でしっかりとやるべきことが
たくさんあり、この4カ月の地道な努力が、知力アップにもつながり、合格へ
の道を確実に歩めるのです。
来年の秋、希望する小学校から招待状を頂けるように、お役に立つ情報をお届
けいたします。頑張りましょう! 応援します。
平成27年7月
めぇでる教育研究所 所長 藤本 紀元
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