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めぇでるコラム : 2017保護者 5ページ目
さわやかお受験のススメ<保護者編>12月に読んであげたい本
さわやかお受験のススメ<保護者編>何といっても、クリスマスと大晦日ですね
第2章(3) 何といってもクリスマスと大晦日ですね
さわやかお受験のススメ<保護者編>何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
第2章 (2) 何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師 走
クリスマスが近づきました。
お子さんへのプレゼント、手に入りましたか。娘がサンタに頼んだのは、リカ
ちゃん人形の2代目ボーイ・フレンド「藤原まさと君」。手に入らず、イブの
夕方に東京のデパートで見つけ、冷や汗をかいた経験があるからです、30数
年前の話ですが(笑)。
★★なぜ、七面鳥の受難日なのですか★★
これも、わかりませんでした。七面鳥は高価ですから、庶民はチキンで済ます
のではないでしょうか。私は焼き豚、それもタンの塩焼き、タン塩が好きです
が、関係ないですね。七面鳥、やはり訳ありでした。
オランダの清教徒が1620年に、メイフラワー号に乗ってアメリカのプリマ
ス港に着き、初めて食卓に乗せた肉が野性の七面鳥であった。清教徒は、キリ
スト教を布教するために苦労をしてアメリカを開拓したが、彼らの「生命の支
え」となってくれた七面鳥を神に捧げて感謝した。初心を忘れないようにする
ために、クリスマスには昔の苦労をしのんで七面鳥を食べるのである。もっと
も今日のアメリカでは七面鳥は感謝祭(11月の第4木曜日)に欠かせない料
理となり、クリスマスの食卓にはチキンが運ばれることが多い。
〔年中行事を「科学」する P247-248 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
日本でも、これに似た習慣がありました。「ありました」と、またしても過去
形になるのは、今では家で炊くこともないからです。「赤飯」、またの名を
「おこわ」ともいい、米に赤あずきを加えて蒸したもので、結婚式などのお祝
いの席でしか、お目にかかれません。この赤飯には、「初心を忘れるな」とい
う戒めがあったのです。米が大陸から日本に伝えられたときは、今のような白
米ではなく、赤米でした。あわやひえ、山芋が主食であったことを考えれば、
炊きたての白米は、本当においしかったに違いありません。どの民族も、同じ
ような経験を積んで、歴史を刻んでいることがわかります。若い皆さん方には
信じがたい話でしょうが、戦後の食糧難の時代、銀シャリ(麦も芋も何も入っ
ていない白米だけのご飯のこと)は、夢にまで見た憧れの食べ物でした。
敬老の日に町会から赤飯の折り詰めを二箱頂きましたが、前期高齢者の仲間入
りをした家内は、いささか憮然としていましたね(笑)。
★★なぜ、クリスマスにケーキを食べるのですか★★
ヴァレンタイン・デーのチョコレートは、何やらこじつけのような気配があり
ます。しかし、ケーキは、何か意味がありそうです。これも、訳ありでした。
クリスマスケーキは、はじめ薪(まき)の形をしていたため、ユール・ログ
(yule log)といわれていた。クリスマスの前夜、果物のなる木の丸太を暖
炉に入れ、前の年の燃え残りから火を移す。新たな火を暖炉にともされる儀
式は聖なるもので、新しい命が生まれると考えられていた。クリスマスの新
しい薪を燃やすことによって家は暖かくなり、家族全員集まって神を讃え、
喜びを分かち合うのである。クリスマス・ログは、公現祭(1月6日)間で
12日間、絶やさず燃やし続け、そのあとは灰を大切にとっておき、やけど
や害虫予防に用いた。聖なる薪を菓子にして喜びを分かち合うしきたりとし
たのが、クリスマスケーキのそもそもの始まりだったのである。
〔年中行事を「科学」する P247 永田 久 著
日本経済新聞社 刊〕
初代のケーキは、素朴な味がしたことでしょう。今のケーキは何代目かわか
りませんが、相当、派手になっています。何といっても「デコレーション・
ケーキ」ですから。やはり、感謝の気持ちをこめて食べなくてはいけません。
ちなみに、デコレーション・ケーキは和製英語で、正しくはfancy cakeだそ
うです。このケーキを顔にぶつけ合っておもしろがるギャグがありましたが、
最低です。食べ物がなくて餓死する人々が、世界中にどれほどいるか知らな
いわけはないでしょう。こんなことは、絶対に止めてほしい。
ところで、食べ物を残さない習慣は、幼児期にきちんと身につけるべきです。
私が戦後の食料難を経験した昭和15年(1940)生まれのせいでしょうか。
飽食は、忍耐力を育てない気がしてなりません。そして、食事の際には、
「いただきます」と手を合わせ、食べ物に感謝する気持ちを、しっかりと身
につけておきたいものです。「蓮如 われ深き淵より」や「親鸞」などの作
品を通して、宗教の世界をやさしく説いてくれる五木寛之氏は、こうおっし
ゃっています。
私たちは、イワシやサンマを食べるとき、うまいと思う反面、人間は何と残
酷な生き物だろう、お許しくださいと無意識のうちに考える感覚がどこかに
残っている。しかし、ハンバーガーを食べているときは、そういった感覚は
ほとんどない。ましてやカロリーメイトだったりすると、まったくありませ
ん。食生活がバーチャル・リアリティ化しているのです。その結果、私たち
はまだしも、子供たちは、食生活の上でも、生命の重さとそれを消費して生
きている自分という存在の残酷さを実感するチャンスがなくなっています」
(「他 力」 五木寛之 著 講談社 刊 P144)
バーチャル・リアリティ(virtual reality)
コンピュータの作り出す仮想空間を現実であるかのように知覚させること。
(広辞苑)
イワシやサンマにとって、人間は殺魚犯です。感謝の気持ちを忘れたときか
ら、人は傲慢になるようです。
★★なぜ、サンタさんは、世界共通なのですか★★
白いひげを生やし、丸々と太った、明るく、笑顔のやさしい、とっても善良
なおじいさんで、プレゼントをいっぱい積んだトナカイの引くそりに乗り、
雪の上どころか、空まで飛んでみせ、なぜか、煙突から入ってくるサンタさ
んのイメージは、世界共通です。これも、訳ありでした。
サンタクロースは、1822年に、聖書学者、アメリカのクレメント・クラ
ーク・ムーアー(1777ー1863)が作った、
[ 'T was the Night before Christmas](クリスマスイブのこと)
の詩の中で生まれた。聖ニコラウスを原像としたサンタクロースは、ムーア
ーの詩の中で、白い鬚を生やし、丸々と太った明るい善良なおじいさんとし
て生まれたのである。(中略) 1863年にアメリカの風刺画家、トーマス
・ナスト(1842―1902)による絵が評判をよんで、白い鬚、赤い帽
子に赤い服、長靴をはき、大きな袋をかついだサンタクロースというイメー
ジが定着したのである。
〔年中行事を「科学」する P242・248 永田 久 著
日本経済新聞社 刊〕
サンタさんのモデルである聖ニコラウスは、十二使徒の一人で、毎年、クリ
スマス・プレゼントを配りにやってきますが、本来の意味は、キリスト自身
が、この世の光として、神様から人々に、プレゼントされたのです。それが、
いつ頃かわかりませんが、キリストからの贈り物となって、サンタさんが配
達人となり、さらに、サンタさんに自分の欲しいものを頼めば、直接、枕元
まで配達してくれるようになったのです。親が、サンタさんの代理人とわか
り、がっかりするまで、長い子では、もの心ついてから小学校の高学年ぐら
いまで、夢を与え続けるのですから、これはすごいものです。
親が困るのは、サンタさんにお手紙を書きたいとせがまれることでしょう。
私は、知りませんでしたが、サンタさんの本部は、フィンランドにあります。
1961年に、フィンランドの郵政省は、正式にサンタさんの住所を、次の
とおりに決めたのです。「サンタのおじさん、日本語、わかりますか?」、
心配ありません。ただし、返信用の切手を同封しなければ、返事はもらえま
せん。これが、サンタさんの現住所です。
MR.SANTA CLAUS
Santa Claus Arctic Circle 96930 Rovaniemi Finland
(Yahoo Japan 知恵袋より)
手紙を出される場合は、パソコンで検索してお確かめてください。お子さん
の夢を破ることのないようにお願いします。
★★なぜ、サンタさんは、煙突から来るのですか★★
こう聞かれて、困ったことはありませんか。これも、やはり訳ありでした。
北欧では、長い冬を前にして、心地よく暖かい日を送るために、煙突掃除が
必要欠くべからざるものであった。サンタクロースが煙突からやってくるこ
とによって子供たちに煙突掃除を手伝わせる大義名分が立ち、子供たちも喜
んで手伝いをするというわけである。
〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
北欧は、なにしろ北極の近くですし、冬ともなれば、お日さまは南の方へ行
ってしまいますから、昼は短いし、夜は長いし、とにかく寒いし、冬は長い
し、何やら「……し、」ばかりで、元気が出なくなります。そんな長い冬を
、暖かく、快適に過ごすには、何といっても暖炉です。熱効率を妨げるのが、
煙突にへばりつく、煤(すす)です。そうです、煙突掃除は、冬の生活に備
えて、欠かせない仕事でした。
「サンタさんが、気持ち悪がって入れませんよ、こんなに汚れていては!」
子どもは、必死で、快く、真面目に、掃除を手伝います。それはそうでしょ
う、自分の家だけサンタさんが来なかったら大変です。寒い地方に住む人々
の、生活の知恵でしょう。これは、嘘をついてだますのではなく、問題意識
を持たすことです。日本には、煙突のある家は少ないですから、あまり心配
はありませんけれど。
問題意識、育児でも大事です。命令と指示と強制だけでは、子どもは動きま
せん。子ども自身に意識的にやろうとする意欲をもたせる方が大切で、それ
には、ご両親が良いお手本を見せることです。「率先垂範」、響きのいい言
葉ですね。四字熟語は、悠久の時の流れがしみ込んでいるような気がします。
ちなみに英語では、“example by leadership”だそうです。
(四字熟語データバンクより)
ところで、サンタさんは、夜に来るのがいいですね。
「パパ、今晩は寝ないで、サンタさんの来るのを見るのだから!」
こういう頃の子どもは、本当に、かわいいものです。マンションでは、ベラ
ンダから入ってくることになっているようですが、窓際で寝込んでしまった
子を見ましたけれど、あどけない寝顔が印象的でした。「施し」、あまり響
きのいい言葉ではありませんが、ボランティアと同じように、贈り物という
好意は、密かに行われるところに意義があるのですから、夜更けに、そっと
来るのが、いいですね。
★★クリスマス・カードのルーツ★★
最後に、クリスマス・カードですが、これは、外国の人には、とても楽しみ
のようです。
日本の年賀状にあたるのでしょうか。しかし、「謹賀新年」とか「賀正」し
か書かれていない年賀状は、味気ないものです。「メリー・クリスマス」と
しか書かれていないクリスマス・カードもあるのでしょうか。メールに変わ
っているかもしれません。
1843年に、イギリスのヘンリー・コールが、知人の画家ホーレスーに絵
を描かせ、クリスマスを祝して知人に送ったのが始まりという。そして、イ
ギリスのヴィクトリア女王が3年後の1846年にクリスマス・カードを送
ったことをきっかけとして、この習慣が世界中に広まったといわれている。
〔年中行事を「科学」する P243 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
ところで、日本でクリスマスが始まったのは、何と永禄4年(1561)。
といってもピンとこないかもしれませんが、上杉謙信と武田信玄が川中島で
戦った年です。ポルトガルの宣教師ビレラが、大阪の堺から本国に送った手
紙に、「堺のキリシタンらは、大いなる喜びと満足とをもって、クリスマス
を祝したり」とあり、これがクリスマスに関するもっとも古い文献といわれ
ています。今のように、人々の間に広がるのは、大正時代まで待つことにな
ります。
★★サンタさんは、お父さんの愛情です★★
子どもの夢を破るのは、いい年をした大人のやることではありません。これ
を先生がやってしまった話を池波正太郎の随筆にあったと12月4日の第5
号で紹介しましたが、こういう話です。
「サンタクロースは、本当はいない。プレゼントは、君のお父さんとお母さ
んが入れておいてくれるのだ」などと、余計なことをいって、(先生が)子
どもの夢をぶち壊してしまうのだそうな。「まったく怪しからん話です」と、
友人は憤慨した。(中略) 平常は会社の激務に追いまくられ、それを癒す深
酒で、帰宅が深夜におよぶ父親がクリスマスの夜には、サンタクロースのプ
レゼントを決して忘れずに、会社の帰りに一人息子のプレゼントを買ってく
る。これを子どもの枕元の靴下へ入れてやるときの友人の姿を思いみれば、
口が腐っても「サンタクロースはいない」とはいえまい。この世、このとき、
彼はサンタ翁そのものであって、他の何者でもないのだ。なればこそ、「サ
ンタクロースは実在する……」のである。「ね、だから、やっぱりサンタク
ロースはいるのだよ。そうだろう」と、私がいうと、友人は泪ぐんだ。
(日曜日の万年筆 P287-288 池波正太郎 著 新潮社 刊)
全国のお父さん方は、この日は子どもの夢をかなえてあげるサンタさんです。
これこそ見返りを考えない親心ではないでしょうか。「無償のほほえみ」は、
お母さん方の専売特許ではありません。余計なことですが、「泪」、いい字
ですね。
★★なぜ、冬至に柚子(ゆず)湯に入り、かぼちゃを食べるのですか★★
「12月25日はローマの冬至祭にあたり、この日を境に短かった昼間が次
第に長くなる、不滅の太陽が生まれ変わる日」と紹介しましたが、日本では
「物事が悪いことから善い方へ向かっていく」と考えられ、冬至のことを
「一陽来復」という別名があります。神社では「一陽来復」のお札を配りま
すが、私が子どもの頃には、早稲田大学の近くにある穴八幡神社のお守りに
は「金銀融通のご利益がある」といわれ賑わっていましたが、今はどうでし
ょうか。
この日柚子湯に入ると風邪をひかない、かぼちゃを食べると中風(ちゅうぶ
う 半身不随、腕または足の麻痺する病気)にかからないともいわれていま
す。柚子湯は体が温まり、風邪や神経痛などに効くことや、柚子にはビタミ
ンCとカルシュームを多く含むため、食べても風邪の予防になり、かぼちゃ
はビタミンAが多く含まれ、目や体の健康に役立つと科学的にも立証されて
いる優れものです。また、語尾に「ん」のつくたべもの、にんじん、れんこ
ん、ぎんなん、かんてん、なんきん(かぼちゃのこと)、みかん、きんかん、
ぽんかんなどには、食物繊維やビタミンが多く含まれ、野菜不足になる冬の
食材、果物として欠かせません。これも昔から受け継がれてきた生活の知恵
でしょう。子ども達にはハロウイーンでおなじみになったかぼちゃですが、
食べる方はどうでしょうか。
「12月に読んであげたい本」は、構成の都合上、来春の始めになりますの
で、クリスマスに関する話を紹介しておきましょう。
さすがに、日本の昔話には登場しませんが、外国には、ご存知の「マッチ売
りの少女」など、子どもたちの心を揺さぶる話がたくさんあります。王さま
や大金持ちが頼んでも鳴らなかった教会の鐘が、幼い兄弟の善意から鳴る話
は、仏さまの教えを学ぶ進学教室の子ども達にも大いに受け、毎年、紙芝居
で紹介していました。以前、お話ししましたが、紙芝居には素晴らしい作品
がたくさんあります。アニメーションと違い動きがない分、自力でイメージ
をふくらまさなければならないだけに、想像力を培う優れ物です。図書館で
探して、やってみましょう。きっと、お子さんの喜ぶ姿を見ることができる
からです。
(次回は、「大晦日1」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<保護者編>何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
第2章 (1) 何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師 走
暦の上では、12月から冬です。
物の本によると、冬という読み方は、「冷(ひ)ゆ」からといわれていますが、
他にも、冬が威力を「振るう」、寒さに「震(ふる)う」、動物の出産の時期
である「殖(ふ)ゆ」の意との説もあるようです。
師走(しわす)のいわれは、文字通り、1年の終わりである12月は、何かと
あわただしい日が続き、普段、どっしりと構えている師匠といえども趨走(す
うそう ちょこちょこ走る意)するので、師趨となり、これが「師走」となっ
たという説が有力だそうです。
季節の読み方と陰暦のいわれについては、
「子どもに伝えたい年中行事・記念日 萌文書林 編集部 編 萌文書林 刊」
を参考にさせていただきました。
12月といったら、何といっても大晦日です。「ちょっと待った!」と、さえ
ぎる声が聞こえそうです。
クリスマスですね、わかっています。子ども達が、最も楽しみにしている日で
すから。しかし、クリスマスはキリスト教の祭りで、12月だけ、にわか信者
になってお祝いするのも、おかしな話ではありませんか。バレンタイン・デー
や最近のハロウィーンほどではないでしょうが、何やら商業主義の笛に踊らさ
れているような気がします。そう考えるのも、私にはクリスマスの思い出が、
ほとんどないからかもしれません。戦争中、キリスト教は敵性宗教ですから、
信者は非国民扱いでした。「え、ウッソー! 信仰は、個人の自由でしょ!」
とは軽薄な言い方で嫌いですが、こんな声が聞こえてきそうです。若いお母さ
ん方には、信じられないでしょう。為政者が、その気になれば、宗教まで法律
で規制できるのですから、恐いことです。
一時、クリスマス・イブは、どんちゃん騒ぎをする日でしたが、今は、健全な
ホーム・パーティーになっているようです。質素に祝うのが、本来の在り方で
す。しかし、毎年思うのは、あのデコレーション・ケーキです。翌日になると、
ぐっと値が下がります。翌日がクリスマスですから、25日に豪勢にとは、や
はり、駄目なのでしょう。子どもの夢ですから、財布のひももゆるみます。
ところで、「26日のクリスマスケーキ」という言葉を聞いたことはあります
か。結婚適齢期があった頃の話ですが、26歳になると「誰も手を出さない」
という意味で使っていたそうです。封建時代の婦道(女性の守るべき道)の名
残で、今どき、こんなことをいったら、袋叩きにあいますね。
それはさておき、北は北海道から南は沖縄まで、全国的に展開され、いや、世
界的な規模でのお祝いですが、キリスト生誕のことは、遠慮しておきましょう、
日本は、仏教と神道の国ですから。何やら、殊勝な態度のようですが、キリス
ト教について、よく知らないだけの話です。
しかし、なぜ、なぜ、どうしてと思う素朴な疑問は、数々あります。
★★12月25日は、キリストの誕生日ではない!?★★
「ナヌ……!?」
この歳時記には、筆者の不勉強から「……!?」が再三、姿を見せますが、第
1号は、キリストの誕生日です。読んだときはびっくりしました。例の、とい
っては不敬に当たると思いますが、馬小屋でお生まれになったあのお話は、ど
うなるのでしょうか。いろいろと探っていく内に、何と小さなお子さん用の歳
時記に、実にわかりやすく、説明されているではありませんか。
クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝うお祭りですが、聖書の中では、
キリストの誕生日は特定されていません。4世紀頃、キリスト教が広まるにつ
れて、統一された聖誕祭が必要となりました。その頃、力を持っていたミトラ
教のお祭りに対抗するために、12月25日に決められたといわれています。
(えほん百科 ぎょうじのゆらい 講談社 刊)
ミトラ教とは、ユーラシア大陸(ヨーロッパとアジアの総称 亜欧州)で信仰さ
れていた太陽の神、ミトラスのことで、12月25日はローマの冬至祭にあた
り、この日を境に短かった昼間が次第に長くなる、不滅の太陽の生まれ変わる
日と考えられていました。4世紀になり、この慣わしを取り入れ、「キリスト
こそ、私達の太陽」とあがめ、キリストの誕生日として祝うようになったので
す。信者の皆様方には不敬になるのをお詫びしながら申し上げますが、「イエ
ス・キリストが、この世に生まれたことをお祝いする日」であり、「キリスト
が、神からこの世に送られてきたことを感謝する日」なのですね。「きよし、
この夜」は、やはり、心静かに感謝の心を込めて過ごす日なのです。
ところで、我が国にも馬小屋の前で生まれた方がいらっしゃいます。厩戸皇子
(うまやどのみこ)こと、聖徳太子です。厩戸の名前の由来は、お母さまが宮
中を見回っていた時に産気を催し、馬小屋の前で出産したからだそうですが、
当時(574年 敏達3年)、キリスト教の一派であった景教が、既に中国に
来ていたため、日本にもその話が伝わり、キリスト降誕説話と同じ伝説が生ま
れたのでした。この話は、黒岩重吾の歴史小説を読み覚えているのですが、出
典名は思い出せません。(陳謝)
★★なぜ、クリスマスには「赤、緑、白」の三色になるのですか★★
このことです。どうしてクリスマスになると、「赤、緑、白」の三色になるの
でしょうか。12月になると、ジングルベルのメロデイーが流れ、この三色が
街にあふれます。デパートでこの色にお目にかからない売場は、ほとんどあり
ません。私は子ども達に、「赤はサンタさんの着ている服の色、緑はクリスマ
ス・ツリーの樅の木、白は雪です」といい加減な説明をしていました。ハワイ
で見たサンタさんは裸足でしたし、常夏の国ですから「白は雪」とはいえませ
ん。これも、当然のごとく訳ありでした。
クリスマスの色は、赤と緑と白である。キリストが人類のために十字架に流し
た血の色は赤である。キリストの純潔を表す色は白、そしてキリストの永遠の
命を象徴する色が緑である。
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
★★なぜ、クリスマス・ツリーは、樅の木ですか★★
日本では、松の木でしょう。常緑樹は、いつも、みずみずしい姿ですから縁起
物には欠かせません。門松もその一つです。では、なぜ樅の木になったのでし
ょうか、これも訳ありでした。
クリスマス・ツリーは不滅のシンボルとして永遠の生命を表す常緑の木である。
12月24日は「アダムとイブ」の日といわれている。アダムは楽園を追われ
たとき、生命の木から実を一つとってきた。その実から木が育ち、キリストの
十字架が作られたという。クリスマス・ツリーはアダムの持ってきた「善意を
知る木」であり、キリストを表す不滅の生命の木である。
〔年中行事を「科学」する P244 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
クリスマス・ツリーは、アダムが楽園から持ってきた実から生まれたとは、こ
れまた驚きです。真冬にも枯れることなく青々と緑を茂らせ、花を咲かせる常
緑樹であることから、「厳冬に耐える生命力にあやかりたい」などと考えるの
は、やはり、不謹慎なわけですね。では、いつ頃からクリスマス・ツリーは、
飾られるようになったのでしょうか。
プロテスタントでは、クリスマス・ツリーは、マルティン・ルーテル
(1483~1546)が、初めて採用したのです。1529年のクリスマスの
前夜、ルーテルが凍りついた雪の道を歩きながら、澄み切った夜空を見上げる
と、無数の星が、美しく輝いていた。この星の輝きを、キリストの愛と感じた
ルーテルは、樅の木を一本切り取り、木の枝にたくさんのろうそくを灯し、感
激した夜の情景を家の中に再現したのである。ギリシャ正教ではケルラリウス
によって、1054年にクリスマス飾りとして採用された。
〔年中行事を「科学」する P244~245
永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
都会の空では無理ですが、清里の高原で見た星空は、まさに、星が降ってきそ
うな感じでした。陳腐な表現で申し訳ないのですが、神秘的でしたね。「神秘
的…」、この言葉も、影が薄くなってきたようです。
当時のクリスマス・ツリーは、どのようなものだったのでしょうか。
樅の木は、はじめは、ろうそくと林檎(りんご)で飾られていた。人々は、キ
リストの光を表すろうそくと、豊穣を示す林檎によって、明日の命、永遠の命
を讃え、祈った。さらに樅の木は天使が飾りつけをする意味を象徴して、一本
の銀の糸を「天使の髪」といって、飾りつけの最後に何気なく木にかけておく
習わしがある。 (ルビは引用者)
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
本来の飾りは、ろうそくとりんごだけで、質素なものでした。今の樅の木は、
華やかです。靴までぶらさげ、物欲の権化のようになってはいますが、子ども
の夢ですから仕方がないでしょう。
ところで、樅の木の天辺に飾ってある星は、キリストが生まれたときに輝いた
星といわれ、「ベツレヘムの星」と呼ばれていますが、それがどの星に当たる
かは、定かではないそうです。
★★なぜ、クリスマス・リースは、柊なのですか★★
クリスマスといえば、樅の木が主役だと思っていましたが、玄関やプレゼント
の飾りつけにするクリスマス・リースも外せません。しかし、あれは柊(ひい
らぎ)の葉です。柊は、日本では鬼から身を守る魔除けの一つですが、これも
訳ありでした。
クリスマスシーズンに赤い実をつけ、緑の葉を持つ柊(holly)は、古くか
ら、ローマ人によって魔除けとして、また長寿の木として、サトゥルナリア、
冬至祭にも用いられていたが、キリスト教がこの習慣を引き継ぎ、棘(とげ)
はキリストの受難、赤い実はキリストの血という解釈を与え、クリスマスの愛
の木としたのである。英語で(holly)がholy(神聖な)に通じる縁起もある
のだろう。
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
サトゥルナリアは、12月17日から25日まで祝われた古代ローマの祭りで、
農耕神サトゥルナリアを祀り、闇を追い払う冬至祭のことです。ただし、リー
スに使う柊は「ひいらぎもち(Chinese holly)」と呼ばれ、赤い実をつけ、
葉っぱもトゲの形も異なり、節分に使う柊とは同じではありません。
ところで、クリスマスのテーマソングのような
[Silent Night, Holy Night]、日本では「きよし、この夜」
ですが、いいですね。「静かで、神聖な夜」では、ぶち壊しでしょう。日本の
英語教育って、こんなことをやっていたのではないでしょうか。だから、実用
的な英語力が身につかなかったのではと、偉そうなことはいえませんが。
「……いた」と過去形にこだわったのは、2002年度の指導要領改定で、公立の
小学校でも英語の授業が始まり、2018年から「読む英語 “reading”
から、話す英語“speaking”」と実践的な英語教育を目指すことになり、
その効果に期待したいものですが、これも本人の努力次第です。
上智大学名誉教授、英語文法史の大家、渡部昇一氏は、「留学、結構だが、卒
論はきちんとした英語で書かなければならないから大変だよ」とおっしゃって
いましたが、“writing”の難しいことは、皆さんも英作文で苦労され
たのではないでしょうか。卒論は英作文と違い論文ですから、日本語を駆使で
きなければ書けません。このことを承知していないと困ったことになるのでは。
留学に憧れる若者の気持ちはわかりますが、生半可な気持ちではだめだと思い
ますね。
古い話になりますが、ウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズが
共演した映画 “Love is a many splendid thing” を「慕情」と訳した方が
いましたが、これなども、うならされませんか。また、名女優、キャサリン・
ヘップパーンの演じた“Summer time in Venice”は「旅情」です。わずか二
文字の漢字に刺激を受け、映画館へ足を運んだものでした。
最近の映画は、題名が横文字のままのものが多くなっているようですが、映画
を見てから「なるほど!」と納得させられるようなタイトルが少なくなってい
るようで、残念な気がします。至る所で、横文字が大きな顔をしていますが、
日本語、捨てたものではありません。もっと大切に使うべきだと思いますね。
外国語を深く読み切る力が衰えているのではないでしょうか。
司馬遼太郎の「胡蝶の夢」(新潮文庫 刊 全4巻)などの作品は、幕末から
明治にかけ、オランダ語や英語を苦心惨憺して翻訳した人々の世界を活写した
もので、その大変な努力に、ただ、ただ、頭が下がるだけですが、私たちは、
今、その恩恵を受けていることに感謝しなければいけないのではと思いますね。
“reading”が果たした役目、これも日本の文化を支えてきた原動力の一つで
あることは間違いないでしょう。
漢字仮名交じり文は、私達の祖先が英知を結集して、中国から伝わってきた漢
字から、カナ、ひらがなを作り、完成させた素晴らしい表記法であり大変な文
化財です。あまり知られていないようですが、アジア・アフリカ諸国では、数
学や物理、化学など自然科学を学ぶには、英語やフランス語を習得しなければ
出来ません。日本の高校生は微分、積分を日本語で学んでいますが、それを可
能にしたのは日本の漢字文化なのです。母国語で自然科学を学び研究出来るの
は、世界でも奇跡に近いことでもあるのです。今週ノーベル賞の授賞式が行わ
れましたが、3人の受賞者が生まれたのも、勿論、ご本人の努力のたまもので
すが、自然科学を母国語で学べる素晴らしい教育環境であることも、子ども達
にきちんと教えるべきではないでしょうか。
(「日本の科学教育は大丈夫か」
内科医 西岡昌紀 著 WILL 2014年12月号より 抄訳)
今週はノーベルウイーク。子ども達に、日本語で勉強するのが当たり前だと思
っている数学や物理、化学など自然科学を、母国語で学べない国もあることを
話し、授賞式を見て拍手喝采するだけではなく、日本語の素晴らしさを教えて
はいかがでしょうか。
(次回は、クリスマスの2についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<保護者編>季節の行事、これも欠かせません
さわやかお受験のススメ<保護者編>話の読み聞かせ (2)
さわやかお受験のススメ<保護者編>本を読んであげてください 〔1〕
さわやかお受験のススメ<保護者編>-事の始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした-
さわやかお受験のススメ<保護者編>創刊号
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