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めぇでるコラム : 2016幼稚園受験: 2015年6月

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー2

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第31号
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面接 ケース・スタディー編 (2)
「あれっ、あの人………?」
 
何が起こるかわからないのが、幼児の世界です。
今まで静かに待っていたユミちゃんは、係りの先生が呼びに来たので、立ち上
がりました。
面接室の前まで来たのですが、中をのぞいたところで、急に、お母さんの後ろ
に隠れてしまったのです。
何が起きたのでしょうか。
 
「幼稚園の先生とお話しをするだけだから、こっちへ出てきなさい!」
お母さんが、振り返るなり、ユミちゃんの手を強く引っ張ったのです。 
いやいやをしながら、今にも泣き出さんばかりです。
困ったことに、面接をする先生方からは、よく見える位置でした。
 
「パパと手をつないでいこうね!」
この一言で、先生方の前まで進みましたが、心は不安で、いっぱいです。
見かねた先生が、
「こんにちは、ユミちゃんですね!」
と声をかけてくれたのですが、返事をしたユミちゃんの声は、当然のごとく、
小さく、かぼそかったのです。
それこそ消え入るような声でいえたのがやっとでした。
「大きな声で答えなければ、先生方に聞こえないでしょう!」
きつい追い打ちです、何を考えているのでしょうか。
 
このような事態になったのは、実は、ユミちゃんがシスターを見るのは、初め
てだったからです。
それで、びっくりしてしまったのでした。
よく聞く話です。
気配りが足りません、あまりにも不用意ではないでしょうか。
 
入園説明会などは、
「小さなお子さんをお連れにならないでください」
といっていますし、普段、園内には入れません。
しかし、いくらでも方法はあります。
外からの見学は自由ですから、降園時などに行ってみましょう。
 
「一人っ子で、私が余りにも手をかけ過ぎたせいでしょう、初めての人と会っ
たり、初めてのところへ行くと、すっごく、用心深くなるんです。主人も『見
せておいたほうがいいよ』と心配し、それで、受験する幼稚園の周りを何回も
散歩とかにぃ、出かけました。
ある時、シスターが出てこられたのです。
娘は、予想通り、私の後ろに隠れ、スカートを力いっぱい握りしめているんで
す。
私は、『こんなチャンスはないわ!』と自分にいい聞かせ、意を決し、
『こんにちは!』
と、あいさつしました。
すると、シスターもあいさつしてくださったばかりか、娘に向かって、
『こんにちは、お嬢さん!』
と言葉をかけてくれたのです。
小さな声でしたが、娘もあいさつでき、力が入っていたスカートを握る手もゆ
るみ、
『ママ、だあれ?』
と聞かれ、私の説明に納得し、うなずいていました。
面接が終わったあとで、
『ママ、この間の、おばちゃまですよね?』
といった程度の認識なんですが、やはり、見せておいてといっては失礼ですが、
よかったと思います」
 
この気配りです。
シスターには悪いのですが、見たことのない子には、奇妙な感じを与えないで
しょうか。
怒られそうですが、映画で見るようなシスターとは違いますし、普段、見慣れ
ていないはずだからです。
当日が本番では、ユミちゃんのようになりかねません。
しかし、お母さん、「すっごく」や「散歩とかにぃ………」は、もう卒業しま
しょう、お子さんのためですよ。
 
また、幼児の初体験は、大人の想像を遥かに越えた大変なものです。
たとえば、園舎です。
校舎に比べれば小さい建物ですが、それでも幼児にとっては、相当、大きく見
えます。
それだけで、萎縮してしまうのが子どもです。
見慣れておくことも大切ではないでしょうか。
できれば試験前に、お父さんにはひげをそってもらい、当日、着ていくだろう
スーツを着、3人で出かけておきましょう。
初めての場所は、大人でも緊張しがちだからです。
 
まだ、あります。
入試当日は、大勢の親子が集まります。
お子さんは、そんな体験をしていないはずです。
「どうなっているのだろう?」
ほとんどの子は、驚いています。
「ママ、帰る!」
こういう子もいるそうです。
びっくりして、感情の揺れ動く気持ちを、しっかりと理解しておきましょう。
 
ましてや、動揺しているわが子に、
「聞こえないでしょう!」
と追い打ちをかけるようでは、母親、いや、保護者としていかがなものでしょ
うか。
私は、その資格なしだと思います。
見ているシスターの心も、おそらく怒りでふるえていたはずです。
こういう無神経な母親には、試験を受けてもらいたくないでしょうね。
合格するはずはありません。
 
幼い子どもの、微妙な心のざわめきを察知できないようでは、保護者とはいえ
ません。
幼稚園の受験の難しいことを、しっかりと心に刻んでいただきたいと思います。
 
梅雨に入りました。うっとうしい毎日を、子どもたちが楽しく過ごせるのは、
お母さんの笑顔です。気温の差が激しくなりがちな季節です。お子さんの健康
管理には、充分に気を付けてあげましょう。
(次回は、面接ケース・スタディー編 3についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー1

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第30号
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面接ケース・スタディー1
「ジッとしてなさいといったって……!」
 
これから紹介します話は、幼稚園を受験された方々からうかがった、面接に関
する話を中心にまとめたものです。例年、7月頃から配信していましたが、
「もう少し、早く知りたかった」とお母さん方から叱責を受けましたので、今
年は早々と掲載することにしました。共通していることは、保護者として、ど
のようなバックアップをしてあげればよいかを、真剣に考えていたことでした。
 
また、合格された方が意外にも、
「今だからいえますが、こんな幼い子に受験させていいものかと不安のあまり、
何回受験をあきらめようと考えたかわかりませんでした。そのたびに、『私ど
もの教室では、背伸びをさせる無理な受験準備は一切しません。ご両親の考え
が一つになれば、期待通りの結果が出ますから頑張りましょう』と励まされま
した。大切なのは、両親は迷わずに、幼児教室の先生の指導にお任せすること
ですね」
と笑いながら話してくれました。
まさに、2、3歳児の受験の難しさを表す言葉ではないでしょうか。繰り返し
申し上げますが、ポイントを握っているのは、ご両親なのです。
 
それでは、ご両親の育児の姿勢や受験に対する考えが、どのように表れてくる
かを、面接のいろいろな場面を通して紹介しましょう。
 
面接が始まるまで、控室で待ちます。
ここで毎年、いろいろな光景が繰り広げられているようです。多くの場合、お
子さんはもちろんのことですが、両親にとっても、おそらく、生まれて初めて
入った場所でしょうから、緊張するのは当然です。しかし、ご両親は、自身で
選んだ道ですから、自力で解決できないようでは困ります。お子さんは、もっ
と、もっと緊張しています。子どもは、緊張しなくても、じっとしているのは
苦手です。控室で、座っていられなく、立ち上がったとしたら、どうしますか。
 
「ジッとしてなさい!」
この一言で、いろいろなことがわかります。
お子さんのことを少しも考えていない不用意な言葉です。
お子さんの緊張した状態を考えれば、こういった言葉を口には出来ないはずで
す。
困ったことにお母さんの顔は、恐い表情に変わってきています。
顔だけではなく、言葉も、声も怒っていると、お子さんは感じないはずはあり
ません。
これでは、ますます緊張するだけで、中には泣き出すお子さんさえいるそうで
す。そのような親子を見た幼稚園の先生方は、どう思われるでしょうか。
 
一歩でも家から外へ出れば、その時から、守らなければならないルールがあり、
マナーがあります。ルールやマナーは、その場で取り繕って、教えるものでは
ありませんし、ましてや、このお母さんのように言葉できつく叱責しても、お
子さんは静かに待つようになるものでもありません。
 
普段、図書館など公共の施設を利用した時や、電車やバスに乗った時など、ど
んなことに注意しているでしょうか。
静かに待つ工夫をしているのではありませんか。
大勢人が集まるところでのマナーは、小さい時から、年齢相応に教えているは
ずです。
 
静かに待つために、お子さんの好きな絵本を用意したり、混んだ電車では、お
子さんをひざに乗せたり、外を見る時は靴を脱がせるなどしていると思います。
こういったことは、受験のためにやってきたことではないはずです。一人の人
間として生きるために守らなければならないルールを教えてきたのではないで
しょうか。この積み重ねが、幼い子どもなりのマナーとなって身につくのです。
 
マナーは、肝心な時に表れます。
手抜きをしていると、抜いている分だけ、正直に、子どもは表現します。
そこで慌てても、手遅れです。
子どもの責任ではありません。
きつい言葉で注意を促されても、子どもは混乱するだけです。
 
このように、緊張を強いられるような場面で、お子さんが何よりも頼りにして
いるのは、お母さんのほほ笑みです。
お母さんは「保護者」です。
保護者は、弱いものを守る義務があります。
この控室へ連れてきたのは、ご両親ではありませんか。
上がってしまうようでは、お子さんに申し訳ないと考えましょう。
お子さんの小さな心臓は、ドキンドキンと激しく波打っているはずです。
その鼓動を聞いてあげられる余裕を持ちましょう。
上がっている暇などありません。
普段と変わらないお母さんが、そこにいれば、お子さんも安心して、いつもと
変わらないはずです。
 
お子さんが興味を持っている絵本など用意して、緊張をほぐしてあげましょう。
ただし、お子さんがいくら興味を持っているからといって、怪獣のおもちゃや
ぬいぐるみを持っていくのは、面接や試験を受ける控え室には、ふさわしくあ
りません。幼児教室へ通う時に、おもちゃなどを持っていく習慣がついている
と、試験当日だけ「駄目!」は、お子さんに通じないと心得ておきたいもので
す。
 
また、教室の控室などで、入室する前に、ジュースやお菓子を食べさせること
もあるようですが、幼児の場合は、こういった習慣がつくと、肝心な時に、お
菓子がないといってぐずる場合もあるようです。
こういった生活習慣のけじめも、きちんとつけておきたいものです。
 
お母さんと絵本を見ながら、静かに待っているお子さん。
ゆったりと構えて順番を待つお父さん。
育児にご自身の哲学を持ってほしいとは、こういうことなのです。
このような親子を、幼稚園が歓迎しないわけがありません。
 
育児に「付け焼刃はきかない」ことを肝に銘じておきましょう。
 (次回は、面接ケース・スタディー編2をお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の選び方 2

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第29号
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幼稚園の選び方(2)
 
前回は、「幼稚園の選び方9つのポイント」を紹介しましたが、今回は、その
チェックの方法についてお話しましょう。
9つのポイントを、以下のように並び替えてください。
 
(9) お子さんの長所と短所
(8) ご家庭の教育方針(保育の姿勢)
(7) 志望理由
(6) 健康状態
(5) 通園距離と所要時間
 
私たちの子どもには、こういった長所がある反面、こういった短所もある。
それは私たちが、こういう家庭の教育方針で育ててきたからだ。
そこで、いろいろな幼稚園を調べてみると、○○幼稚園の保育の方針と、よく
似ているところがある。
30分ほどかかるけれど、心身共に通園できるだけの成長をしているだろうか。
送迎は、家内が担当できる。
(もし、保護者のいずれかが送迎できない場合は、依頼できる人がいること)
 
そして、将来、どういった教育環境の学校を選ぶかについては、以下の条件か
ら検討してみましょう。
 
(1) 一貫教育制度
(2) 共学制度
(3) 別学制度
(4) 宗教教育
 
共学で大学までを希望すれば、学習院幼稚園(中高は別学)、成城幼稚園、桐
蔭学園幼稚部など。
 
共学で高校までを希望すれば、森村学園幼稚園、日出学園幼稚園、昭和学院幼
稚園(短大があります)など。
 
幼稚園は共学、小学校から別学で大学までを希望すれば、日本女子大学附属豊
明幼稚園、川村幼稚園など。
 
宗教教育で、共学で大学までを望むなら、青山学院幼稚園、玉川学園幼稚部、
淑徳幼稚園、聖学院幼稚園(中高は別学)など。
別学を望むなら白百合幼稚園、東洋英和幼稚園(幼稚園には若干名男の子も在
籍)、湘南白百合学園幼稚園など。
 
高校までの一貫校で別学を望むなら、田園調布雙葉小学校附属幼稚園、幼稚園
は共学ですが男子では暁星幼稚園、女子では雙葉幼稚園、光塩女子学院幼稚園
など。
 
小学校まで共学、中高は別学となれば桐朋幼稚園、宝仙学園幼稚園。
 
幼少一貫教育で中学受験となると国立学園附属かたばみ幼稚園。
 
ところで、併設校のない幼稚園で、名門小学校への進学実績を上げているとこ
ろもたくさんありますから、説明会へ参加され、きちんと情報をつかんでおく
ことをお薦めいたします。
 
以上の条件から、幼稚園選びが出来上がるはずです。
これは、あくまでも理想ですから、こういった観点からお子さんに相応しい幼
稚園を選んであげる参考資料としてお考え下さい。
 
しかし、(6)から(9)までが、きちんと出来上がっているか、あるいは、
将来の設計図として描かれたものがない場合、幼稚園選びは、お子さん中心と
はなっていないと思います。
勿論、これからどんどん成長していく2、3歳児のことですから、まだ、明確
に表れていないところがたくさんあると思いますが、キーポイントは、やはり、
ご両親の育児の姿勢ではないでしょうか。
「どういった子どもに育ってほしいか」といった青写真が描かれていれば、実
現のために環境を整え、育児に専念していると思います。
 
小学校受験の場合に、「はじめに学校ありきではなく、ご両親の育児の姿勢あ
りき」であるべきだといっていますが、幼稚園選びも、「はじめに名門校附属
の幼稚園ありき」ではなく、「ご両親の育児の方針ありき」であるべきだと思
います。
名門という名前だけにこだわるようでは、うわさなどに惑わされ、いわゆる
「受験地獄」なるものに陥りかねませんから、慎重に選んであげてほしいので
す。
 
ところで、問題は、通園時間と通園方法でしょう。
ここで紹介した幼稚園では、ほとんど通園バスはありません。
送迎は、保護者の役目です。
最初は、みなさん、真面目に、お子さんの手を取って通われるそうですが、そ
うでない場合もあるようです。
慣れてくると、自家用車で送迎が始まるそうです。
説明会で、傑作な話を聞いたことがあります。
かなり年月がたっており、園長さんも引退していますから、紹介してもさしつ
かえないでしょう。
こういうことです。
 
「子どもさんは、本当に嘘がつけないのですよ。ある時から、私がその子のそ
ばに行くと、何となく落ち着かなくなり、ちらっと見ては、視線を外すのです。
『○○ちゃん、どうしたのかな?』
と声をかけると、本当に、いいづらそうに、こういったのです。
『先生、ママはいってはいけないといったのだけど、今、お車で通っているの。
本当はいけないのでしょ?』
『あら、いつも、ママと手をつないできているではありませんか』
『車を預けて、そこから歩いてくるの……』
近所にある駐車場に止めてくるのですね。
それが、お子さんの心に、大きな負担となっているのでした。
なぜなら、私どもの幼稚園は、ミッション系ですから、『嘘を言ってはいけま
せん』と教えています。
お母さまがこの約束を破っているわけですね。
幼稚園の先生も好きだけれど、まだ、ママが大好きな時期です。
お子さんの気持ちを考えてあげるお母さまなら、こういったことは絶対になさ
らないはずです」
 
慣れてきても、こういうことは、やめるべきです。
何のためにミッション系の幼稚園を選んだのでしょう。
これでは、宗教教育に、何にも期待していないことになりませんか。
宗教教育を基本とする幼稚園を選ぶ場合は、こういったこともきちんと守って
登園するお母さんでなければ、幼稚園の教育方針は生きてきません。
無理な通園時間から、教育の方針を守れないようでは、何のための受験だった
のでしょうか。
こういったこともきちんと考えて、選んでほしいと思います。
 
お子さんは、通っている教室の講習会などを通して、いろいろと体験学習を積
んでいかれることと思います。
お子さんの受験準備については、それぞれの幼児教室の先生方にお任せして、
次回からは、面接試験で考えられる、いろいろな場面を想定して、どのように
対応すればよいかについて、お話しましょう。
なお、入室から退出までの留意点は、拙著の「面接 ここがポイント」(めぇ
でる教育研究所 刊)を参考にしていただければ幸いです。
 
朝夕の寒暖の差が激しい今日この頃です。体調を崩さないように、健康面にも
留意しましょう。
(次回からは、面接ケーススタディーを紹介しようと思います)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の選び方 1

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第28号
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(28)幼稚園の選び方 1
 
幼稚園の受験は、
「ぼく、暁星幼稚園へ行きたいの!」
「私は、白百合幼稚園へ入りたいの!」
といったように、お子さんの希望で始まったわけではありません。
もっとも、お兄さんやお姉さんがいれば、同じ幼稚園に行きたいとなる場合も
ありますが、多くの場合は、ご両親が、お子様の将来を考えて始める受験です
から、きちんとバックアップ体制を整えて望まなければ、希望される幼稚園か
ら招待状は届かないでしょう。
 
さて、幼稚園の受験で、もっとも重視されるのは、「なぜ、その幼稚園を選ん
だか」という志望理由です。出身者の場合は問題ありませんが、そうでなけれ
ば、「わが子のためによかれと選んだ理由」が明確でなければ、幼稚園側を納
得させるのは難しいと思います。ご両親が、まず、取り組まなければならない
のは、どういった考えで幼稚園を選ぶかということです。9つのチェックポイ
ントがありますから、メモ用紙を用意され、ご両親で、別々にご自身の考えを
書いてみましょう。
 
1. 一貫教育制度に何を期待しますか。
「幼稚園から大学まである学校に入れてしまえば受験は一回で済むから」とお
っしゃったお母さん方がいました。中・高・大と受験をするようなことがある
と、本人は勿論、付き合う親も大変です。一貫教育校の幼稚園受験が過熱気味
なのは、こういう考えがあるからでしょう。
一貫教育校に入れば、受験に費やすエネルギーを学問や余暇に利用できます。
しかし、「受験、結構、やらせます!」と考えるお父さん方も、たくさんいま
す。暁星幼稚園や雙葉系の幼稚園は高校までしかなく、「大学は自分で選び、
挑戦しなさい」といっています。
しかし、一貫教育制度は、入ってしまえばエスカレーター式に大学までいける
制度ではありません。上級校が定めた一定の条件を満たさない場合は、進級で
きない場合もあります。ただ、言えることは、幼稚園で、「白」と習ったこと
は、大学へいっても「白」と教わるのが、一貫教育制度のよいところでしょう。
また、受験勉強をすることなく、ゆとりを持って学校生活を送れます。 
一貫教育制度に、何を期待しますか。 
 
2. 共学について
学習院幼稚園、青山学院幼稚園、日出幼稚園などを選ぶ理由として、小学校も
共学であることでしょう。
義務教育は共学であり、多くの方は、共学の経験があるはずですが、男女別学
の環境で教育を受けられた方が、お子さんには共学を勧める場合、その理由に
ついてしっかりと話し合っておきましょう。
 
3. 別学について
幼稚園から女のお子さんしかいないのは、白百合学園幼稚園と田園調布雙葉小
学校附属幼稚園です。なぜ、こういった特殊な教育環境を選ばれるのか、それ
なりの理由がなければ、面接のときに困ったことになります。白百合学園幼稚
園は19年間、田園調布雙葉は14年間、女の園ですから。
また、暁星幼稚園には女のお子さんが、雙葉、東洋英和、豊明幼稚園、湘南白
百合学園幼稚園には男のお子さんもいますが、小学校からは別学になります。
毎年、受験者が多いのも、いずれも伝統ある学校ですから、教育方針や校風が、
圧倒的に支持されている証拠でしょう。
別学の経験のないご両親の場合、なぜ、別学の学校を選ぶのか、ここが問題で
しょう。
 
4. 宗教教育について
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教する目的をもっていますが、だから
といって信仰を強制することはありませんし、在学中に洗礼を受ける義務があ
るなども、単なる噂にすぎません。
入園説明会でも「信者でなくても結構ですし、僧侶や神主のお子さんも在籍し
ています。国籍、宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、
日本語がわかることです」とおっしゃっています。
大切なことは、宗教教育を通して、何をお子さんに学んでほしいか、なのです。  
皆さんは、毎日の育児を通して、「嘘をついてはいけませんよ」「自分のこと
は自分でできるように頑張ろうね」「ありがとうという気持ちを大切にしよう
ね」と、常々、おっしゃっているのではないでしょうか。
これは、すべて宗教教育の基礎、基本です。キリスト教の愛、イスラム教の施
し、仏教の慈悲などは、すべての宗教に共通している教えです。
こういったことを育児で大切にしていれば、幼稚園側のいう「ご家庭の育児の
方針と園の保育方針に共通認識がある、一致している」ことになるのです。
「全人教育に賛同いたしまして」といっても、その意味を理解していなければ、
絵空事になってしまいます。
育児で大切にしていることを考えてみましょう。
※全人教育 知識・感情・意思のいずれにも片寄らない、全ての方面が円滑に
発達することを目標とする教育(「新明解国語辞典」より)
 
5. 通園距離と所要時間
国立附属幼稚園の場合は、地域指定や通園時間に制限がありますが、私立では
桐朋幼稚園が通園可能な範囲を公表し、立教女学院短期大学附属幼稚園天使園
も40分以内としていますが、多くの幼稚園の場合は、30分前後、徒歩、も
しくは公共の交通機関を使って通園できる方、後は、ご父母の判断に任せると
いっています。幼稚園への送迎は親の役目といえども、やはり通園できる範囲
は、おのずから決まってくるのではないでしょうか。きちんと把握しておくこ
とです。
幼稚園が都心であればラッシュアワーであり、バスは渋滞路線を走ることにな
ります。
なお、通園に使用するのは普通電車、乗り換えや、最寄りの駅まで歩く時間は、
子どもの足でかかる時間です。
東日本大震災以降、緊急事態が発生した場合のお迎えが、速やかにできること
も条件になっているようです。
 
6. 健康状態
身体だけではなく、心身ともに健康であることです。
幼稚園の受験は、簡単にいえば、「初めての場所で、初めて会った同世代の子
どもの集団に入り、初めて会った先生の指示を聞き、理解し、年齢相応に対応
する」ことです。
自分だけが頼りの戦いです。
 ・初対面の友達のグループに入り、一緒に何かをすることができますか。
 ・やってみようとする意欲はありますか。
 ・お母さんの手を借りずにどのくらいのことができますか。
育児が過保護、過干渉な環境になっていると、こういったことが苦手ではない
でしょうか。
基本的な生活習慣は、まだ、十分に身についていませんが、しかし、自分でや
ろうとする意欲が培われていればいいのです。
しつこいほど繰り返していいますが、結局は、「お母さんのもとを離れても、
楽しいことがあることを知っているかどうか」と言えるでしょう。
 
7. 志望理由
附属の幼稚園を選ぶ場合、建学の精神や校訓、設立理念などを、どのように理
解するかでしょう。
それがご家庭の育児の方針と、どういった接点があるかを理解しておくことで
す。
そのために、主な幼稚園の保育の方針を紹介しましたが、幼稚園の説明会には、
必ず参加され、ご自身で確かめておきましょう。
説明会をやっていない雙葉幼稚園の場合は、小学校の説明会で伺った、校訓の
「徳においては純真に、義務においては堅実に」について、以下のように考え
てみるとわかりやすいと思います。
 
「『ママ、これを手伝ったら何かを買ってくれる』と、見返りを考えるような
子どもに育てては『徳においては純真に』とは言えません。就学前のお子さん
ならできなくてはいけないことを、お母さんの手を借りているようでは、『義
務においては堅実に』とは言えません。こういった子育てをしているご家庭の
お子さんを雙葉は歓迎しません」と。
これを、2、3歳児の発育状態に下げて考えてみましょう。
 
このように、建学の精神、保育の方針などは、毎日の育児の様子から考えてみ
ることが大切です。
 
8. ご家庭の教育方針
どんな時に褒め、叱るか、箇条書きにしてみましょう。
出来上がったものが、ご家庭の教育方針です。
ただし、その日の気分で怒ったり、後で怒らなければよかったと後悔するのは
教育方針ではありません。
ご両親で一致していれば、子育てはうまく連携が取れているはずですし、叱る
ことも少なくなっていると思います。
 
9. お子さんの長所と短所
育児でうまくいっているところが長所で、そうではないところが短所として表
れているはずです。
短所は、ご両親の育児の反省点として直すように心がけましょう。
ご両親の性格を受け継いだ遺伝であるかもしれませんから。
まだ、2、3歳のお子さんですから、長所や短所が、はっきりと表れていない
ところもあるでしょうが、発育状況から客観的に判断してみましょう。
 
(次回は、「9つのチェックポイントの判定の仕方」についてお話しましょう) 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園説明会について

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第27号
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(27)幼稚園説明会について
 
今回から入園試験実践編に入りますが、まず入園説明会からお話しましょう。
入園説明会は、文字通り、幼稚園についての説明会で、入園試験の内容につい
ての説明は、全くといっていい程ありません。
 
例えば、白百合幼稚園の場合、第1回説明会は5月9日(土)に学園講堂で行わ
れ、終了後、見学会も実施、第2回見学会は、5月13日(水)に行われました。
今年も防犯上、会場に入る際に母子手帳を提示しました。第2回目の説明会は、
9月5日(土)に実施予定、見学会はありませんが、「詳細はあらためて更新さ
せて頂きます」とホームページに出ていました。昨年は第1回目が5月11日で
あったため見落としてしまいました、申し訳ありません。言い訳させて頂ければ、
平成22年から母子手帳がないため参加できないので、興味を失ってしまってい
ることもあります。
 
入試に関しては、募集要項や願書の配布日、出願の日、出願の方法(幼稚園へ直
接持参するか、郵送する)、面接や試験、合格発表の日時、願書記入上の留意点
などの説明にとどまり、大半は建学の精神や保育方針、年間の行事などの説明が
行われています。
最近は、ビデオを使って年間の行事などを紹介することで、建学の精神や教育の
特長などをわかりやすく説明する幼稚園もあります。
 
また、淑徳幼稚園や聖学院幼稚園などのように公開保育を行っている幼稚園や、
学習院幼稚園のように、説明会終了後、希望者には施設見学会を実施していると
ころもあります。公開保育の場合は、お子さんの服装や靴など用意していくもの
がありますから、必ず、事前に連絡を取り確認しておきましょう。施設見学の場
合は、上履きと靴を入れる袋を持参します。最近は、事前に予約が必要となるケ
ースが増えていますから、ホームページで確かめておきましょう。
 
そして、ほとんどの幼稚園では「お子さんを連れてこないでほしい」といってい
ます。
説明会については、ホームページで簡単に知ることができますから、必ずアクセ
スし確認しておきましょう。 
なお、普段、部外者は、絶対に園内には入れませんから、できるだけ幅広く見学
することをお勧めいたします。
 
といっても、幼稚園の中で説明会をやっていないところもあります。
学習院幼稚園は、目白の大学のキャンパス内にある学習院創立百周年記念会館正
堂で行っています。
白百合学園幼稚園や暁星幼稚園は学園内の講堂、豊明幼稚園は大学キャンパス内
の成瀬記念講堂で行っています。大勢の参加者があり、小さな施設の幼稚園です
から収容できないからです。
青山学院幼稚園も大学内の礼拝堂で行っていますが、今年は初等部の礼拝堂で行
 
われます。入った瞬間に、何とも言えない宗教の香りを肌で感じることができま
す。宗教教育の経験のないご両親は、是非とも参加してほしいと思います。参加
されて違和感があるようでしたら、幼稚園選びを考え直す必要があるでしょう。
 
最近では、家にいて幼稚園に関する詳しい情報も得ることができます。先にもお
話しました、ホームページを利用することです。各幼稚園共に演出をこらし、素
晴らしい画面を見ることができます。幼稚園が決まっていない場合は、出来るだ
け多くの幼稚園の情報に接しておきましょう。
 
保育の方針などを紹介する幼稚園の入園説明会、公開保育の日程は、以下の通り
です。
平成27年5月10日(日)現在 Yahooで検索したもので、まだ、発表し
ていない幼稚園もありますが、その場合は、前年度の日時を掲載してありますの
で、後日確認し、お間違えのないようにお願いします。なお、上履き持参の場合
は、幼稚園によっては用意している場合もありますが、必ず、靴を入れる袋も持
参してください。
 
[東京都]
暁星幼稚園 (※5月10日現在未定のため これは昨年のものです)
9月10日(水)14:00-15:00 暁星中学校・高等学校講堂 
              幼児同伴不可
      9月17日(水)園舎見学 14:00~15:00
 
白百合学園幼稚園 第2回 9月5日(土)  
       詳細は後日発表    
         
ホームページで「モンテッソーリ教育」と、実際に取り組んでいる園児達の「お仕
事」を動画で紹介しています。すっかり度肝を抜かれた、カタカナで書かれたア
フリカの国名を地図の上に置いていくお仕事のさわりも見ることができます。 
 
雙葉小学校附属幼稚園 説明会なし 
園庭開放 6月15日(月)~6月26日(金)
      午後1:00~1:30 [22日(月)及び土日は除く]
  
東洋英和幼稚園 7月18日(土)/9月3日(木)
        両日共10:00-12:00 両日とも内容は同じ
        9時より願書発売
        幼児同伴不可 上履き持参
        
日本女子大学附属豊明幼稚園 施設見学会 5月16日(土)
        10時00分-11時30分 豊明幼稚園
        お子様も参加できます。
        園舎見学の際、室内履き、靴袋が必要。子どもはスリッパ不可
          園庭見学の際は、園庭が痛むためヒールの低い靴を。
          親子で遊べる服装でお越しください。
          園庭で遊ぶ方は帽子をご持参下さい。
          幼稚園施設見学参加票を持参(詳細はホームページを)
 
   ※昨年の入園説明会は9月6日(土)でした。
 
成城幼稚園 6月7日(日)午前(開始時刻は決まりしだいお知らせします)
      9月12日(土)14:00~ 於 幼稚園ホール
            幼児同伴不可 上履き持参
    幼稚園園舎見学会 6月15日(月)・7月6日(月)・9月18日(金) 
         見学時間 14:30-15:30 電話等での予約が必要
  (予約の連絡は5月7日(木)以降の月~金曜日の午前10時から午後3時半) 
 
田園調布雙葉小学校附属幼稚園 9月16日(水)14:00-15:00 
本学園記念講堂 (車での来園禁止) 
終了後、園舎見学あり 上履き持参 
               幼児同伴不可
 
青山学院幼稚園 9月12日(土)10:00より 
米山記念礼拝堂(青山学院初等部内)
        幼児同伴不可 園舎見学あり スリッパ持参 
        整理券が配布され、その番号に従って所定の区画に着席する。
 
(青山学院の第二の校歌と親しまれている、平岡精二 作詞作曲の「学生時代」
の歌碑が、ベリーホール本部礼拝堂前にあります。昨年までは大学内で行われて
いたので、帰りに見ることができたのですが、残念)
 
学習院幼稚園 9月12日(土)11:00から(1時間半程度の予定) 
学習院創立百周年記念会館 正堂 
       説明会終了後、園庭及び保育室、遊戯室内の見学可
       募集要項(9月7日より発売)にある「説明会出席票」にあらかじ
       め記入して持参。受付を円滑にするため。
 
桐朋幼稚園 第1回 5月16日(土)10:00-11:30 お子さん同伴可
      第2回 7月26日(日)10:00-11:30 お子さん同伴不可
      第3回 7月26日(日)13:30-15:00 お子さん同伴不可
      第4回 9月 5日(土)10:00~11:30 お子さん同伴不可
※なお、5月16日(土)の説明会は、お子様お連れの方もそうでない方も、一緒の会場となる。
 
場所 学園内:幼稚園図書室(当日、案内板で掲示)
幼稚園内の施設見学あり。
筆記用具持参。
上履き(スリッパ等持参)
ご案内の都合から予約制。説明会の参加はお1人様1回限り。
自動車による来園は禁止
応募方法 
4月20日正午より予約画面から申込受付開始。
先着順(募集人数になり次第締め切り)
      
淑徳幼稚園 5月27日(水)9:00-9:10受付 9:20開会予定(約1時間)
      6月24日(水)
      9月30日(水)
      説明会、公開保育とも事前予約が必要。ホームページをご覧ください。
 
聖学院幼稚園 9月5日(土)10:00-11:00  
       公開保育6月23日(火)
体験入園7月17日(金)7月18日(土)
についてはホームページをご覧ください。
  
光塩女子学院幼稚園 5月14日(木) 6月10日(水)9月18日(金)
          いずれも9:30から1時間程度(9:10から受付開始)
          車での来園禁止 上履き、靴入れ持参。 
          お子様はなるべくお連れにならないように。
          園庭開放あり、満3歳児保育「ことり組」 未就園児保育「そら組」についてはホームページを参照 
 
立教女学院短期大学附属幼稚園天使園 
(※5月10日現在未定 これは昨年のものです)
          ※9月6日(土) 10:00-12:00
          立教女学院 聖マリア礼拝堂
          幼児同伴不可 スリッパ持参
 
国立学園附属かたばみ幼稚園
第1回目 6月6日(土)(9:30-12:00) 於 幼稚園ホール
  この回は「お子様をお預かりします」ので、ご希望の方は、事前に連絡してください。
     第2回 9月3日(木)(9:15-12:00) 於 幼稚園ホール
              上履き持参
     幼稚園見学 6月8日(月)以降、要申し込み
               (詳しくはホームページを参照)
 
川村幼稚園 見学会兼説明会 6月6日(土)10:30-11:00(園舎)
説明会 9月5日(土)11:00-11:30(園舎)
          要 予約
         「幼稚園であそぼう」要予約(詳しくはホームページを参照)
 
[神奈川県]
桐蔭学園幼稚部 
6月12日(金)第1回 学校説明会・公開授業 
9:00受付開始 上履き持参
        第2回9月5日(土) 13:00受付開始 
        上履き持参 於 桐蔭学園シンフォニーホール
 
湘南白百合学園幼稚園 (※5月10日現在未定 これは昨年のものです)
        9月10日(水)13:30 約1時間
        上履き持参 幼児同伴不可
 
森村学園幼稚園 
第1回 5月23日(土) 9:30 受付開始 10:00開会
      第2回 9月 5日 (土) 10:30 受付開始 11:00開会
            第3回10月10日 (土)  9:30 受付開始 10:00開会
 
 幼稚園ミニ説明会、公開見学会、保護者見学会あり、詳しくはホームページを参照。
 
[千葉県]
日出学園幼稚園 未定(※5月10日現在 未定 これは昨年のものです)
9月21日(金)説明会 10:00-11:30
上履き持参 できるだけ保護者のみで
 
昭和学院幼稚園 未定(※5月10日現在 未定 これは昨年のものです)
※6月12日(金) 見学会 9:30-11:00
※10月3日(金) 説明会 9:30-11:00
 
資料は、ホームページで検索したものです。参加される場合は、必ず、確認を
取ってからお出かけください。
(次回は、「幼稚園の決め方(1)」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>お受験、少し怖いですね

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第26号
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お受験、少し怖いですね
 
3年保育の幼稚園を選ぶ場合、入園テストは毎年、秋に行われていますから、
早生れの子は、2歳で受験です。
まさに受験戦争の低年齢化です。
たとえば、かつて、皇室の方が通われていた学習院幼稚園ですが、定員、男女
各26名、計52名に対して、約10倍の応募者があったそうですから、ざっ
と計算しても500名前後の受験生が集まったことになります。
合格者は、10人に1人で、9人は落ちることになります。
大変な難関を突破しなければなりません。
 
受験を考えているお母さん方は、偏差値教育の洗礼を受けてきた、バリバリの
元受験戦士が多いと思われます。
すると、倍率から察して、「合格イコール、何でもできる、頭のいい子!」と
考えないでしょうか。
大きな書店へ行くと、入園試験問題集が売られています。
「赤い花が、何本ありますか」
「赤い花と青い花ではどちらが多いですか」
などといった、いかにもテストらしい問題が掲載されています。
2、3歳の受験生ですから、試験の形式は、具体物や絵に描かれたものを使用
する口頭試問です。
こういった問題集を手に取ると、いきなり本番では、できるわけはないと考え
るのは当然でしょう。
 
さらに、幼稚園受験のための幼児教室もたくさんあります。
「○○幼稚園へ××名合格!」
などを見ればあおられます。
お母さん方の多くは、塾で鍛えられた経験の持ち主ですから、準備が必要だと
思わないわけがありません。
 
しかし、受験生は2歳、3歳の幼子です。
いろいろな能力の差など、はっきりと表れるものではないでしょう。
ですから、前にもお話ししましたが、幼稚園で難しい試験をやるはずはありま
せん。
なぜなら、子どもを見れば、どんな環境で育てられているかわかるからです。
子どもは、嘘をつきませんし、演技もできないはずです。
幼稚園側は、どういった子に育てられているかを知りたいわけです。
 
最近、電車に乗って感じるのは、しつけのできていない親子に会うことです。
お菓子を食べる子、走り回る子さえいます。
お母さん方の名誉のために付け加えますが、本を読んであげたり、靴を脱がせ
て外を見させたり、混んでくるとお子さんをひざの上に乗せるお母さん方も、
たくさんいます。
普段のしつけ、生活習慣ではないでしょうか。
 
幼稚園の試験も、これだと思います。
字も読めない、書けない子どもの試験です。
試験は、遊びを通して行われています。
子どもは遊ばせてみれば、たいていのことはわかります。
たとえば、遊びたいおもちゃが一つしかなければ、子どもは育てられている環
境で応えます。
お母さんのもとを離れて遊ぶ経験が少なければ、遊びに入っていけないでしょ
う。
答えは、すぐ出るのではないでしょうか。
テスト会場で、無心に遊ぶ子ども達の一つ一つの動きから、表情から、無邪気
な反応から、笑顔から、ちょっと困ったなといった表情から、ご両親の育児の
姿勢が、はっきりと表れるものです。
過保護は過保護なりの、過干渉は過干渉なりの結果が、正直に顔を出します。
このことです……。
 
これは受験準備のためだけに、無理やり培われたものではないはずです。
ご両親が手塩にかけて、大切に育ててきた根っこから芽生えた、小さな芽です。
そこを幼稚園は見たいのです。
無理に咲かされた花を見たいわけではないでしょう。
繰り返しますが、幼児期は花を咲かせるときではありません。
キチンとした花を咲かせるのに必要な、土台を作るときです。
促成栽培をすれば、たとえ花は咲いても、すぐに枯れてしまうでしょう。
自然に逆らっているからです。
 
そこを勘違いして、知識を詰め込む、小学校のお受験と同じような感覚で準備
をすると、どうなるでしょうか。
子どもの体も頭も、まだ、そんな訓練に耐えるだけの発育をしていません。
 
入園テストの合否の比率は、親の面接8割、お子さんの成長度2割ともいわれ
ています。
人間は、話をしてみるといろいろなことがわかります。
姿、形ではありません、人間性です。
学歴、職業、言葉遣い、服装などが合否のポイントなどといわれているのは、
単なる噂にすぎません。
ご両親の人間性です、育児の姿勢です。
今までの生きてきた姿が、取り組んできた育児の結果が全部、出ます、まだ中
間報告ですが。
絶対に、付け焼刃はききません。
ご両親の育児の姿勢が、幼稚園の保育の方針と限りなく近く、共通認識があれ
ば、それが志望理由となり、幼稚園から歓迎されることになるわけです。
直接、試験を受けるのは、お子さんですが、採点されるのは、ご両親です。
これが幼稚園の受験です。
 
そして、お子さんは、親のもとを離れて、生まれて初めて入った園舎で、初め
て会ったお友達と一緒に、初めて会った先生のいうことを聞き取り、答え、態
度で表すといった入園テストを受けることになります。
自力で判断し行動しなければなりません。
こういった経験をたくさん積んでおかなければ、テキパキと対応できないでし
ょう。
ご両親には、志望される幼稚園の情報を的確に伝え、お子さんには楽しく受験
準備をさせてくれる、幼児教室選びのポイントは、ここにあるのです。
 
記憶だけに頼った知識の詰め込みなら、おもしろくありませんから、簡単に忘
れてしまうでしょう。
高校、大学と散々苦しい思いをして覚えさせられた英単語、役に立っています
か。
幼児には、五感を刺激する体験が必要です。
覚えた知識の量より、体験して身についた知恵の量です。
記憶したことは、忘れやすいものです。
しかし、楽しく体験したことは、体が覚えています。
自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくても、すぐに乗れるようにな
ります。
この違いです。
 
記憶は、大脳神経系の仕事です。
大脳神経は、覚えることも仕事ですが、忘れることも仕事です。
体験は、中枢神経系の仕事です。
中枢神経は、体が覚えたことを忘れません。
全身で学習しているからです。
 
幼稚園や小学校の受験、早期教育を含めて、ご両親が教育に対して信念といい
ますか、きちんとした考えをお持ちでしょうか。
言葉を代えましょう、将来、どういった道を歩んでほしいとお考えでしょうか。
そのスタートラインに立つのが、幼稚園の選択にあたるわけです。
 
なぜ、その幼稚園を選ぶのでしょうか。
ご両親の育児の姿勢と、選ばれる幼稚園の保育の方針に、矛盾はありませんか。
希望される幼稚園への合否の鍵は、ここあるのです。
通っていらっしゃる幼児教室で、こういった指導を受けていると思います。
次回から、「入園試験 実践編」と題して、合格の二文字を獲得するために、
どのような道を歩んでいくかについて、お話をしましょう。
〈次回は、「入園説明会」についてお話しましょう〉
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の求める子ども像

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第25号
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幼稚園の求める子ども像
 
前回まで、国立大学や一貫教育校の附属幼稚園の保育方針を紹介しましたが、
どういったお子さんを求めているのか、そのためにご両親は、どのような育児
を心がければよいのか、おわかりいただけたと思います。
こういえるのではないでしょうか。 
 
1.3歳過ぎたら、過保護、過干渉の育児にならないようにし、自主性を育てる
  ように心がける。
2.「できる、できない」と結果だけにこだわらず、プロセスを見極めてあげる。
3.失敗しても叱らずに、飛躍の機会と考え、励まして頑張る意欲を育てる。
4.叱るより褒める育児に徹し、自信を育てる。
5.うるさいほどの「なぜ、どうして?」の質問にも、頑張って答えてあげる。
6.促成栽培的な発想を持たずに、じっくりと時間をかけて育てる見識を持つ。 
7.親が管理するのではなく、夢中になって遊べる環境を作り、遊びながら学べる
  体験学習の機会を増やしてあげる。
8.偏らずに、いろいろな遊びに参加する機会を与え、一人だけではなく、仲間遊 
  びのできる環境を作ってあげる。
9.お母さんのもとを離れても、楽しいことがたくさんあることを教えてあげる。
10.常に、あたたかいスキンシップを欠かさないこと。
 
遠慮もなく、たくさん出しました。
こういったことを「完璧にやりなさい!」などといわれては、「エッ!」とな
りかねませんね、お母さん。でも、心配ありません。「過保護、過干渉の育児」
さえしなければ、大丈夫です。
繰り返しますが、「3歳過ぎても、お子さんのやっていることを見て、手を貸
したくなるようでは過保護、口を出したくなるようでは過干渉な育児」で、い
やな言葉ですが、手を貸してばかりいれば超過保護であり、口を出しているよ
うでは超過干渉の育児となりがちです。自立の時代に入っているのですから、
自ら挑戦しようとする意欲、自発性を育む機会を与えましょう。
 
そのためには、発育に応じて、
「ダメ! イケマセン! コウシナサイ!」 
といった禁止や制限、命令などの指示を、少しずつ減らし、自由を与えましょ
う。
「自由を与える」といっても放任ではありません。
お母さんが手を貸し、口を出していたことを、お子さんに少しずつさせるので
す。
まだ、危ないことをしますから、用心しなければいけません、特に男の子は。
当然のごとく失敗します。そこで叱ったり責めたりすると、自発性も意欲も育
ちません。この時にものをいうのは、お母さんの励ましやあたたかい眼差しで
す。小さな失敗を上手に利用し、自力でできるように仕向けてあげ、できたこ
とで自信をつけさせましょう。
 
「ぼく、できない!」と、直ぐにあきらめる、手伝ってもらうなど、自分でや
ろうとする意欲のあまりない子は、失敗の経験が少ないか、失敗してはいけな
いと思いこんでいる場合が多いものです。時間がかかっても心配ありません。
ゆっくりでもいいから、自分でやることが、どんなに大切かを教えてあげまし
ょう。
 
そして、結果だけにこだわらずに、あたたかく見守ってあげてください。結果
だけを気にするお母さん方は、プロセスを大切にしていません。結果は、プロ
セスの積み重ねです。
何事も、いきなりできるようになるわけではありません。
お母さん方の得意とする料理が完成するまで、どのくらいの手間暇をかけたで
しょうか。
レパートリーの増えた今、いちいちレシピを見ながら作っていないと思います。
試行錯誤を積み重ねたことで、調味料の適量やもっともおいしい料理の仕方、
手順を、きちんとマスターしているはずです。
お子さんの成長過程も、毎日取り組むお母さんの料理と同じです。
 
一つのことをマスターするためには、いかにプロセスが大切かを知っているお
母さんは、「怒らず、あせらず、あたたかく」応援します。ですから、お子さ
んは、伸び伸びと挑戦し、階段を一段、一段、確実に上るように成長するわけ
です。       
これは、お子さんが赤ちゃん時代に、やっていたことではなかったでしょうか。
おむつを取ったとき、スプーンで食事をはじめたとき、「忍の一字」であった
頃を思い出しましょう。
 
例によって、赤面しながらいわせてもらいます。 
「できる、できない」だけにこだわり、促成栽培的な不自然な育児をしている
と、子どもは、お母さんの顔色をうかがうようになります。
ですから、「自分で考え、判断し、行動する」という自発性は育ちません。
自分でやる機会を与えず、経験を十分に積ませないで、お母さんが結果ばかり
気にしていると、こうなりがちです。
自発性は、自立を支える大切な能力であると考えましょう。
 
そして、遊びは、子どもの発育を促す大切な仕事です。
夢中になって遊ぶ子どもの頭の中は、アイデアでいっぱいです。
工夫をしていますから、夢中になって遊べるのです。
そこから、さまざまな新しい能力が開発されていきます。
そして、一人遊びも大切ですが、仲間遊びも大切です。
最初は並行遊びでも、そこに友達がいるだけで十分なのです。
それが刺激になり、新しい遊びが始まります。
二人いることで、社会性や協調性が育ちます。
友達にできて自分ができなければ、悔しさから挑戦しようとする意欲も育ちま
す。
いってみれば、友達同士が教材であって、何か課題を持ち寄って遊びながら、
さまざまな能力を開発している、それが子どもの遊びです。
偏った遊びにだけに夢中になっていると、やはり、偏った考え方をしがちです。
一人遊びだけが得意な子は、やはり我慢のできない、協調性の欠けた、わがま
まな子になりがちではないでしょうか。
 
3歳過ぎれば、お母さんという母港から離れて、独り立ちする準備が始まると
きです。
少しずつお母さんのもとを離れて、干渉や保護を嫌う行動が現われているはず
です。それを強引に連れ戻すのは、お子さんの自立を妨げることになります。
あたたかいスキンシップとは、親に都合のよい、過剰な愛情をかけることでは
ありません。自立にともなう不安を取り除いてあげる、励ましの愛情です。
このことです……。
 
幼稚園は、お子さんが生まれて初めて、お母さんのもとを離れても、楽しいこ
とがいっぱいあることを知る場所です。ですから、年齢にふさわしい成長をし
ていることが大事なのです。その基礎、基本が、さっきお話した10項目にな
ると思います。こういったことを幼稚園側は、テストを通して見たいのではな
いでしょうか。
 
ですから、受験に必要な知識なるものを詰め込むだけの準備は、必要ありませ
ん。幼児期には、詰め込まれた知識より、体験を通して得た知恵の方が大切で
す。お母さんのもとを離れ、先生や友達と楽しいひとときを過ごしながら、い
ろいろな体験を積み重ね、その一つ一つが受験に必要な学習と結びついている
こと、私どもの教室では、これを理想的な幼児教育と考え、そこに狙いを定め、
必要なカリキュラムを作り上げ、指導をしています。
 
幼い子ども達には、楽しい環境であることが、何よりも学習の場になるのです。
「お子さんは、お母さんのもとを離れても、楽しいことがあること」を知って
いますか。
幼稚園受験の合否のポイントは、この体験の有無にあるといっても過言ではな
いからです。
(次回は、「お受験、何を求められているのでしょうか」についてお話しましょう)

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