月別 アーカイブ

HOME > めぇでるコラム > アーカイブ > 2016小学校受験: 2015年3月

めぇでるコラム : 2016小学校受験: 2015年3月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(2)言語に関する問題 (3)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
  現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
★★入試問題を分析する★★
[3] 数量に関する問題(3)
 
「城北・埼玉地域私立小学校合同相談会」が3月1日(日)、赤羽にある星美
学園小学校で行われましたが、急勾配の師団坂を上りきったところにある正門
の横に、「いかのおすし」のポスターがありました。これは防犯標語で、「い
か」は「いかない(知らない人についていかない)」。「の」は「乗らない(知
らない人の車や誘いにのらない)」、「お」は「大きな声で叫ぶ」、「す」は
「すぐ逃げる」、「し」は「知らせる(何かあったらすぐ大人に知らせる)」
の頭文字をとったもの。東京都教育庁と警視庁少年育成課が考えたもので、平
成16年から防犯用語として使用されているそうです。近所の小学生に聞いた
ところ知っていましたね。毎年、星美学園小学校の説明会に参加していて気付
かなかったのは、迂闊でした。
 
[量の問題]
辞書を引くと、「計って決められる、かさ、容積、軽重、大小、多少等」
(「岩波国語辞典」より)とありますが、これに、ひもや鉛筆、国旗を掲揚す
るポールなどの長短を加えれば、入試に対応できるでしょう。
 
また、実験です。
同じ形をした容量も同じコップを2個用意し、ジュースを片方に少し多めに入
れておき、「多い方、飲んでも、いいですよ」といったとき、サッと多い方に
手が出れば、量に関する概念も順調に発育しています。 数と同じように、直
感で見分けられることが大切です。 「直感力は、経験を積み重ねて培われる
力」であることを忘れないでください。    
                                 
こういった問題があります。        
             
(形も、大きさも、高さも、底面積も違うコップが3つ並んでいて、それぞれ
に、水が入っている絵がある)
◆水が、一番たくさん入っているコップに〇を、一番少ないコップに×をつけ
なさい。
 
これは難しいですね。                
ほとんどの子ども達が、たくさん入っているように見える底面積の狭い、細長
い背の高い形のコップに〇をつけ、少ししか入っていないように見える底面積
の広い、横幅の広いコップに×をつけがちです。
かさのある方が、たくさん入っているように見えるからですが、これも実験す
るしかありません。       
 
上の条件に合った3つのコップと同じ形のコップ3個、お茶など色のついてい
る水を用意し、同じ形のコップ3つに同じ量だけ水を入れ、入っている水の量
は同じことを確かめさせてから、条件の違うコップに、それぞれ入れ替えてみ
ます。
底面積の広いコップと狭いコップとでは、明らかな差がでます。
しかし、入っている水の量は全部、同じです。         
「不思議だな、お母さん。どうして、こうなるの?」             
底面積が広いほどたくさん水が入る、容量も大きくなることを説明してあげま
しょう。
これは「量の保存」といって、見た目は変わっていても、元々の量は保存され
ているからですが、「数の保存」と同様、言葉を教えることはありません。
       
このような問題もあります。
 
(3つのコップの中に、大きさの違う円いガラス玉が、1つずつ入っていて、
コップの水の量は、みんな一緒になっている絵が描いてある)
◆この中で一番たくさん水が入っているコップに〇、一番少ないコップに×を
つけなさい。
 
これなどは、子どもは見ているはずです、おふろに入ったときです。
「お父さんが入ると、どうして、お湯があふれるのかな?」
「……かな?」というアンテナを張っている子は、すぐわかります。
 
量も直感で多少を判断し、難しい問題は、必ず、実験で確かめることです。
これが、小学校へ入ると、リットル、デシリットルと正確に量を計る勉強に進
んでいくわけです。
ボールなどの大小、ひもなどの長短、旗を立てたポールの高低も同じです。
やはり、見た感じ、直感力で判断できることが大切です。
その違いを見極める力が、センチ、メートル、キロメートルと、正確に長さを
計る勉強に、軽重は、グラム、キログラムと量を正確に計る勉強につながって
いくわけです。
 
[重さ比べ]
しかし、軽重、重さ比べは、直感で判断するのは難しいでしょう。
しかも、問題集だけで教えると、幼い推理力では、混乱しがちですから無理は
禁物です。
 
こういった問題です。
 
(パンダとくまとうさぎが、シーソーにのっている絵があり、パンダとくまで
はパンダの方が下がり、くまとうさぎではくまの方が下がっている)
◆一番重い動物に〇、一番軽い動物に△をつけなさい。
 
重さ比べの定番的な問題です。
「パンダとくまではパンダが重く、くまとうさぎでは、くまの方が重い。故に、
パンダが一番重くて、うさぎが一番軽い」と説明しても無理でしょうね。
 
まず、3つの重さの違うものを手に持って、重さの順番に並べてみます。
できれば、天びんばかりを作り、手で持って判断したものと、合っているかど
うかを確かめるとわかりやすいはずです。
AとBを比べるとAが重い。 A>B
BとCを比べるとBの方が重い。 B>C
ここでAが一番重くて、Cが一番軽いことがわかります。 A>B>C
しかし、BとCを比べてCの方が重かったら、AとCを比べて決着をつけます
から、これが面倒です。
さらに、比べる物が4つ、5つと増えてくると、難しくなります。
1つ1つ、順番に比べて、納得できるまで、根気よくやることです。
 
その納得させる方法ですが、軽重を勝ち負けに置き換えると、子どもは興味を
示します。
パンダとくまではパンダが重いからパンダの勝ちで○、くまは●。
くまとうさぎでは、くまの方が重いからくまの勝ちで○、うさぎは●。 
最後に、パンダとうさぎは、パンダの勝ちで○、うさぎは●。    
結果は、パンダは○○で2勝、くまは○●で1勝1敗、うさぎは●●で2敗。                 
好奇心を刺激してあげる、遊びの中での学習ですね。          
                  
おもしろい子がいました。
パンダ、コアラ、リスの3匹が重さ比べをする問題です。
「パンダが2回下がって、リスが2回上がっているから、パンダが一番重くて、
リスが一番軽いのです」 
お母さんに教わったそうです。
理屈はそうですが、こういう教え方は、どうでしょうか。
シーソーの上がり下がりだけ見て判断するのは、直感力ではなく、受験用のテ
クニックですね。
 
「そうか、こうだな! こういうこともいえるぞ!」
1つ1つ比べ、試行錯誤して、自分で見つけたのであれば問題ありません。
考える力もつき、考える楽しさも学習しているからです。
出発点で楽をすると、応用力は身につきませんし、小さいときから、簡単に答
えだけを見つける訓練は、やるべきではありません。
 
簡単な問題から難しい問題へ、ステップをきちんと踏んでいくことが大切です。
そして、正解であれば○を付け、それで終わらせずに、比較する段階を言葉で
いえるようにしておきましょう。
言葉で表現できる、これは、とても大切なことです。
きちんと理解できていれば、説明も適切なはずですから、発表力も身について
きますし、それが個別テストや行動観察のテストに対応できる力を身につける
ことにもなっているからです。
 
[空間の問題]
図形は、[6]の構成力で触れることにして、最後に、空間について説明しま
しょう。
これも難しいです。
 
上下、左右、前後の関係です。 
前後は、幼稚園でも整列することで学んでいますから、わからない子は、あま
りいないようです。  
こんな問題があります。
(各階に5つずつ部屋がある5階建てのマンションが描かれてある)
◆キリンさんは、三階の左から三番目のお部屋です。キリンさんのお部屋に○
をかきましょう。         
 
子ども達には、上下は何とかなるのですが、左右が難しいですね。
年長になっても、左右の区別のおぼつかない子が、かなりいます。                                       
左の薬指にピンクのリボンつけていた女の子がいました。         
「先生、こっちが左ですよね!」
かわいいではありませんか。                     
お母さんの工夫した、やさしい気遣いが伝わってきます。           
                                  
左右の確認がきちんとできてから、問題集に取り組みましょう。
基本的な準備をせずに、プリントだけで「左から……、上から……」とやると
混乱しがちなのです。
 
□□□□□ こういった図を描いて、一番下、下から2番目(上から2番目)、
□□■□□ 一番上、左から(右から)何番目、左端、右端を確かめましょう。
□□□□□
少し難しいかもしれませんが、下の図のように、■を中心に左右、上下、左斜
め上、左斜め下、右斜め上、右斜め下を確認しておきましょう。
 □□□
 □■□
 □□□
 
幼児の学習は、生活と結びついていると、スムーズに対応できるものです。  
生活に必要なものであれば、喜んで挑戦するはずです。               
お手伝いをさせながら、学習できることがあります。          
たとえば、お子さん用の整理ダンスを利用して、たたんだ洗濯物を入れさせま
しょう。                 
「ハンカチは、一番上の左から二番目に、シャツは、上から三番目の右端にし
まってください」
女の子であれば、お母さんの手伝いをしながら整理の仕方を学ぶこともできま
す。
 
まだあります。毎日、幼稚園へ行くときに握手をしましょう。
「右手で握手!」といって、さっと右手を出してみましょう。
お子さんも右手でなくては握手できません。
間違えたときに、こっちが右手であると学習できます。
今日は右手なら、明日は左手と続ければ、いつのまにか習慣になります。
「サユウベンベツ(左右弁別)?」
大人でも首を傾げるような言葉を使っていると、混乱するだけでしょう。
幼児の学習は、生活の中で、楽しみながら身につけていくことが大切です。
(次回は「常識の問題」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(2)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第34号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(2)
 
[掛け算]
次は掛け算です。
「5人の子どもにリンゴを2つずつあげるには、いくつあればいいですか」
 
スケッチブックに○を5個書き、その下に○を2個ずつ書きます。
 
子どもの数      ○   ○   ○   ○   ○ 
与えるリンゴの数 ○○  ○○  ○○  ○○  ○○  合計10個
 
幼児は、[2×5=10]で解くのではなく、○を2個ずつ書き終えたところ
で○を数えて、リンゴ10個と答えがでます。
3個の場合は○を3個ずつ、4個の場合は4個ずつ書くわけです。
これが幼児の掛け算の解き方です。
 
[割り算]
次に2枚の皿を用意します。
「それじゃ、お母さんと同じ数に分けるには、どうしたら、いいの?」
18個のクッキーを、お母さんの皿、自分の皿と、1つずつ分ければ答えがで
ます。
「お母さん、9個ずつです」
「ピン、ポン! すごい! それじゃ、お父さんと3人で分けたら、いくつず
つになりますか」
もう1枚皿が必要になりますが、分け方は同じで、3枚の皿に1個ずつ分けま
す。
「お母さん、6個ずつですね」
こうなります。
これをスケッチブックに書いて解いてみましょう。
 
クッキーの数 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○  ○○ 
        ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○     ○
  合計9個
 
分ける時に 2人では2個、3人では3個ずつ、4人では4個ずつ減っていく
ことに気づかせます。
すると、2人で分ける時は2個ずつ、3人で分ける時は3個ずつ、4人で分け
る時は4個ずつ指で押さえ、1人分だけ○を書いていけば、答えの出ることが
わかります。
 
「12個あるクッキーを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
といった問題のときに、3個ずつ指で押さえながら、1人分だけ〇を書いてい
けば答えが出ます。
 
○○○ ○○○ ○○○ ○○○
○   ○   ○   ○
 
〇を4つ書いたところでクッキーはなくなるので、答えは4個であることがわ
かります。
幼児の割り算は、[12÷3=4] と答えが出るのではありません。
書いた○を数え、そこで「4個」と答えがわかるのです。
これが幼児の割り算の解き方です。
 
このように数の問題は、数字や記号を使い、加減乗除の四則算で解くわけでは
ありません。
直感で数の多少を見極め、次に一つ一つを対応させ正確な違いを理解し、そし
て掛け算、割り算の基本的な解き方を学ぶ、これが幼児の数の学習です。
 
さらに、10は1と9、2と8、1と2と7といった数の合成、分解がありま
すが、難易度の高い問題になると、20までの合成分解が理解できていないと
解けないものもあります。
10は1と9、2と8と、単に記憶させようとするより、おはじきなどを10
個用意し、実際に分けさせてみると、その仕組みがわかるものです。
まだ、この時期では早いですが、やがてそういったことも学ぶことを覚えてお
いてください。
 
おはじきなどの具体物を使うと、難しいことも簡単に理解できます。
かつて、ある学校で「12個のミカンを何人で分けることができますか」とい
った問題がありました。
子ども達に挑戦させると、「2人、3人、4人、6人」と答え、12人で分け
られると答える子は、ほとんどいませんでしたが、おはじきを12個と皿を
12枚用意しておくと、1個ずつ分けることも理解できたものです。
この問題は、12の約数を見つけるのと同じですから、幼稚園児が、とんでも
ない難しいことを、平然とやっているのには驚かされますね。
もっとも子ども達は、約数の何だかを理解しているわけではなく、出題の意図
もそこにあるわけではありません。
面白がって、こじつけているだけですが(笑)。
 
また、数字は抽象的なものです。
[5]と数字だけでは、幼児には何のことだかわかりません。
「リンゴが5」となって、初めて、[5]という意味がわかるのです。
その心は、リンゴが5個、頭に描かれるからです。
前にもお話しましたが、抽象化した○をリンゴに置き換えると、物と数が一致
し、具体的になるわけです。 
 
小学校の算数は、○を数字で表すことから始まり、数字を使った計算は、「合
わせて」「多少」「全部で」「分ける」といった言葉の代わりに[+-×÷]
の記号を使い加減乗除を習うわけです。
ですから、幼児には、数字や記号を使った計算は必要ありません。
大切なのは、数の概念、意味であり、計算の仕組みがわかることです。
数と接する機会は、日常生活の中にたくさんありますから上手に使いましょう。
少し注意をすれば、教材は周りにいくらでもあります。 
 
最後に、幼児特有の考え方を紹介しておきましょう。
幼児にメロン5個とイチゴ5個を比べさせると、メロンの方が多いと答えたり、
ばらばらに置かれたリンゴ5個と一ヶ所にまとめて置いたリンゴ5個では、ば
らばらに置かれたリンゴの方が多いと答えることがあります。
前者はメロンの大きさにこだわり、後者は広がって置かれたことに目を奪われ
たからですが、「ものは同じ数であれば、大きさが違っていても、一ヶ所にま
とめて置かれていても、どのような位置や方向にばらばらに置かれていても、
数は変わらない」ことを教えてあげましょう。
これを「数の保存」といいますが、言葉はご両親が知っていればよいことで、
お子さんに教える必要はありません。
(次回は、「数量の問題 3」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(1)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第33号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(1)
 
数量の問題というと、「計算ですね!」と勘違いするお母さん方が、かなりい
るようです。確かに計算は算数の一部の領域ですが、それがすべてではありま
せん。学校側が求めている数量は、数や量の概念、図形や空間の分野まで広範
囲にわたっています。
 
「算数は計算」と考えると、文章題の苦手な子になりがちのようです。計算は
基本ですから、きちんと勉強しなければいけませんが、算数の学習の目標は、
四則算を応用し文章題を解く力を身につけることです。文章題は「文を読み取
る力、読解力」が求められていますから、国語力を充実させることが大切だと
思います。国語力とは、「読む力」「書くための力」「聞く力」「話すための
力」「総合的国語力」の5つの能力で、この能力を客観的に測るのが、2007
年にスタートした「国語力検定」です。
 
「年長さんでも、つるかめ算が解けます」というと、「ご冗談を!」と思われる
かもしれませんが、数感のところで紹介しました香川大学名誉教授の小林先生
から教わったもので、加減乗除ができなくても○とマッチ棒だけで解けるので
す。
 
つるとかめが合わせて5匹いて、足の数は16本です。つるとかめは、何羽、
何匹ずついるでしょうか。
 
スケッチブックに○を5個描き、マッチ棒(爪楊枝でも可)を用意しましょう。
幼児とのやり取りは、以下のように進めていきます。
(  )内は式で解く場合です。
 
  「つるは、何本足かな」
  「2本です」
  「では、○の下に2本ずつマッチ棒を置いてごらん」 (5×2=10)
  「先生、6本あまっちゃったよ」 (16-10=6)
  「あまったマッチ棒を上に2本ずつ置いてごらん」 (4-2=2)
  「先生、なくなっちゃったよ」 (6÷2=3)
  「足が4本あるのは」
  「かめさんだよ」   
  「何匹いるかな」(上下に2本ずつマッチ棒が置かれているのはかめ)
  「3匹だよ」
  「頭としっぽをかいてごらん」
  「先生、残っているのは足が2本だからつるですか」 (5-3=2)
  「ピンポン! 正解です」
     幼児とのやり取りを図にすると、こうなります。
 
        ∥ ∥ ∥
        ○ ○ ○ ○ ○
        ∥ ∥ ∥ ∥ ∥
 
幼児の数量の問題は、数字を用いた加減乗除で解けませんから、計算力よりも
読み取る力、読解力が大切なポイントになるわけです。
 
[数の問題]
「数の領域」から説明しましょう。
出題される内容は、
「全部でいくつあるか」(数える)
「どっちが多いか、少ないか」(多少)
「合わせるといくつ」(和)
「いくつ違うか」(差)
「いくつ必要か」(対応)
「分けるといくつずつになるか」(分割)
 
和・差・対応・分割などの言葉だけをみると、「加減乗除ですね!」となりそ
うですが、それも無理のないことかもしれません。入試問題を用いて、その解
き方を紹介しましょう。
 
「5個のリンゴと3個のミカンを合わせると、いくつになりますか」
     5+3=8ですから、これは足し算ですね。   
「5個のリンゴと3個のミカンでは、どちらがいくつ多いですか」
     5-3=2となりますから、引き算ですよ。   
「5人の子どもにリンゴを1つずつあげるには、いくつのリンゴが必要ですか」
     5×1=5ですから、これは掛け算ではありませんか?
「6個のリンゴを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
     6÷3=2、これは割り算、割り算ではないですか!
 
問題だけ読めば、こうなりがちではないでしょうか。しかし、このように考え
て指導するのは、幼児には適切ではありません。これでは加減乗除の計算を教
えることになりますから、理解できないでしょう。 
年長さんで、九九をそらんじている子もいますが、[2×3]と[3×2]の
違いを説明できなければ、単に記憶しているだけですから、掛け算を理解して
いるとはいえません。[2×3]は、たとえば、りんごが2個入っている皿が3
枚あることで、[3×2]は、りんごが3個入った皿が2枚あることで、答えは
同じでも皿に入っているリンゴの数は違いますから、掛け算の仕組みを理解し
ているとはいえないわけです。ですから、加減乗除の意味をきちんと学習する
ことが大切なのです。以前、「養ってほしい数感覚」でお話しましたが、復習
しておきましょう。
スケッチブックと鉛筆を使いますから用意してください。
 
[多少(引き算と足し算)]
ここに10個と8個のクッキーがあるとします。
「多い方、食べても、いいよ」
というと、子どもは「1つ、2つ、3つ……」と数えずに、アッという間に多
い方を取るのではないでしょうか。より多くのものを食べたいと思うのは本能
ですから、直感で見分けるわけです。このように直感で多少を見分けることが、数の概念を理解する出発点です。
 
しかし、現代っ子は食べ物の取りっこなどしないでしょう。一人っ子では争い
ようがありません。おやつの時にもお母さんがきちんと分けていませんか。こ
れは止めてお子さんに取らせましょう。
数に関しては、数える作業や数の違いを見つける経験をたくさんさせることで
す。そこで磨かれるのが直感力です。
 
「クッキー、8個、食べてもいいですよ」
8個、自分で数えなければなりませんから、数えることを覚えます。
「お母さんは、これだけ取りましたよ」
わざと多めに、10個ぐらい取ってみましょう。
「お母さん、ずるい。ぼくより多いよ!」
直感力は順調に育っています。
 
「お母さんとあなたとでは、いくつ違いますか?」
[10-8=2]と数字を使った計算は、子どもには無理ですし、その必要も
ありません。「数感を磨こう」」でやりましたが、忘れていた場合は、
「違いを見つける方法、やったことがありますよ」
一言つぶやき、考えさせることです。思い出せない場合は、以下のようにやっ
てみましょう。
 
下のように二列に並べられると、数の違いを見つけることができます。これを
スケッチブックに描き、線を引いて比べてみましょう。 
 
 
   ○○○○○○○○○○(お母さんのクッキー)
   ||||||||
   ●●●●●●●●  (お子さんのクッキー)
         
「お母さんの方が、2個多いよ」
「ごめんね、取りすぎたわ。お母さんとあなたのクッキーを比べると、あなた
は、いくつ少ないの?」
「2個でしょう」
とわかるはずです。
1つ1つ対応させて数の違い、多少を見つける「1対1対応」で、これが幼児
の引き算の方法です。
 
「全部で、いくつありますか」といって数えさせると、合計が出ます。お母さ
んのクッキー10個を覚え、自分のクッキーを11個,12個、……18個と
数えます。多い方の数を覚え、少ない方の数を数える、これが幼児の足し算の方法です。
このように物を数えるときは、必ず数詞をつけるようにしましょう。
 
数詞は言語のところでも触れましたが、難しいですから再度、お話ししておき
ます。
鉛筆を数えてみましょう。本は本ですが、「いっぽん、にほん、さんぼん」と
全部、違いますし、人は「ひとり、ふたり、さんにん、よにん、ごにん」と
「ひ・ふ・よ」は訓読みで、「さん・ご」は音読みと、実に複雑な読み方にな
っています。皿、手袋、鯨、はし、服、テレビ、とにかく日本語は難しいです
から、数詞をつけて数え慣れるようにしましょう。 
数詞には、1個、2個と量を測る基数詞と、1番、2番と順序を表す序数詞が
ありますが、お父さん、お母さんが知っていればいいことで、お子さんに教え
ることはありません。
(次回は、「数量の問題 2」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(2)言語に関する問題 (2)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第32号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
★★入試問題を分析する★★
                 
★入試情報速報★
本年度の小学校合同相談会が始まります。
◇中央線沿線小学校合同相談会
 2月15日(日)  10:00~15:00  於 国立学園小学校
            成蹊小学校、桐朋学園小学校他14校
 
◇城北・埼玉・茨城地区私立小学校合同相談会
 3月1日(日)  11:00~15:00  於 星美学園小学校
            日本女子大学附属豊明小学校他10校
 
◇千葉県私立小学校合同相談会
 2月22日(日) 11:00~15:00  於 市川グランドホテル
            国府台女子学院小学部他8校
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
[3]話に関する問題
話を聞き、設問に答える問題で、「話の記憶」といわれ、ほとんどの学校で出
題されています。
 
◆「桃太郎」の話をテープで聞いたり、ビデオで見た後、
・おじいさんは、どこへ、何をしに行きましたか。正しい絵に〇をつけなさい。
・桃太郎の家来に□をつけなさい。
 
こういった設問があって、10秒から20秒の間に、絵の描かれている解答用
紙に、指示された○や□などをつけて答えます。狙いは、「話を聞く姿勢と理
解する力が身についているか」、このことです。これから始まる小学校での勉
強の基本であって、最も大切な学習態度です。いくら、九九を諳んじ、難しい
漢字の読み書きができても、人の話を聞けないようでは、あまり意味がありま
せん。
学校の勉強は、幼稚園の自由保育と違って一斉授業ですから、話を聞いていな
ければ、訳のわからないことになります。話を聞く姿勢を身につけるには、話
の読み聞かせや対話が、いかに大切であるかについて、すでに触れましたので、
ご理解いただけ、実行されていると思いますが、少し、復習しておきましょう。
 
「話の記憶の問題」は、単に記憶力を見ているわけではありませんから、問題
集を買い、それだけで訓練して鍛え、身につけるものではありません。それは
本末転倒な話です。話をキチンと聞く姿勢は、普段の会話や読書を通して培わ
れるものです。一朝一夕に身につくものではなく、やはり毎日の積み重ね、育
児の結果として表れてきます。ですから、どこの学校でも実施しているわけで
す。
 
しかし、本当に話の聞けない子がいます。その子の育てられている環境は、わ
がままな言動が許されている場合が多いものです。 かわいい、かわいいで、
子どもを悪くしています。やはり、子どもの責任ではありませんね。
 
話の記憶の問題には、長編と短編があります。
といっても、400字詰め1枚程度から3枚ほどの長さですが、皆さんはどち
らが難しいと思いますか。短い方が記憶しやすいと思われるのではないでしょ
うか。やってみるとわかりますが、物語風になっていると、案外、想像力が働
き、イメージ化しやすいようです。短編は、あっという間に終わってしまい、
想像力が働かない場合があります。あらかじめ短編であるとわかっていれば、
それなりに対処できますが、聞いてみなければわからないだけに、難しいです
ね。
 
そして、やっかいなのは文字を使えませんから、文章を読み直すことも、答え
の絵に、○や△、□といった記号の指示をする設問も、聞き直すこともできま
せん。ですから、聞き逃すと答えようがないことです。さらに、クレヨンで指
定された色で記号をかくこともあります。子ども達は、よくぞパニックになら
ないものだと感心してしまいます。「長文読解だな!」などと簡単に済ませる
ほど、やさしい問題ではありません。
 
普段から、お子さんとの対話を大切にし、お子さんの話に耳を傾けましょう。
対話の反対は沈黙と思いがちですが、立教小学校の元校長であった田中司先生
は、「命令と要求」とおっしゃっていました。「命令と要求」が多くなれば、
対話など成り立ちませんね。僭越ながら、非常に的を射た指摘だと思います。
 
そして、お父さん、お母さん、お子さんに読書をしている姿を見せてください。
これが何よりの手本になるからです。さらに、お子さんがいるときに、ワイド
ショーなどを見るのは止めましょう。お断りしておきますが、すべてのワイド
ショーが駄目だといっているわけではありません。お子さんと一緒のときに見
なくていいものは止めてほしいといいたいだけです。どなたがおっしゃったの
か忘れましたが、「テレビを見る時間と教養は反比例する」そうですよ、内容
にもよりますが。海外に住み帰国されたお母さん方が驚かれるのは、あまりに
もテレビが、生活の中に入り込んでいることだそうです。
 
また、お子さんが読書に集中しているときは、「お使いに行きますよ!」など
と、中断することは避けてあげましょう。夢中になって取り組んでいるときこ
そ、素晴らしい学習時間になっているからです。あらかじめ伝えておく、やさ
しいお母さんになってほしいですね。
 
寝る前に本を読んであげる、これも大切です。毎日続けることで、間違いなく
言語能力を育むことができるからです。昨年6月に横浜雙葉小学校は説明会を
再開しましたが、挨拶に立たれたシスター田中順子学園長は、「添い寝をしな
がら本を読んであげることが少なくなっているのではないでしょうか」と懸念
されていました。DVDなど素晴らしい作品もありますが、幼児期にはお父さ
ん、お母さんの生の声が、何と言っても大切なのです。
 
会話を弾ませ、話を読んであげることから話を聞く姿勢は身についてきます。
小学校の入学試験は、文字を使用しないだけに、話を聞く姿勢が身についてい
なければどうにもならないからです。
 
最後に、「話の記憶」が苦手なお子さんへ、こういったことをやってみましょう。
私が現役のときに、この方法で苦手意識を取り除くことができたからです。お
子さんがよく知っている話を使います。
 
Q「『浦島太郎』の話を知っていますか。では、先生がいくつか尋ねますから
教えてくださいね。
浦島太郎は、子ども達がいじめていた動物を助けてあげました。何を助けたの
ですか」
A「亀さんです」
Q「そうですね。そのお礼にどこへ連れて行ってもらいましたか」
A「竜宮城です」
Q「そこにいたお姫様の名前は何といいましたか」
A「乙姫様です」
Q「たいやひらめもいて楽しく過ごしました。そして、帰ることになりお土産
をもらいました。何をもらったのですか」
A「玉手箱です」
Q「そのとき、浦島太郎と乙姫様は、何か約束をしましたね」
A「開けてはいけないと約束しました」
Q「そうですね。また、亀さんに送られて家に帰りましたが、両親はいました
か」
A「いいえ、いませんでした」
Q「近所の人々やお友達はいましたか」
A「誰も知っている人はいませんでした」
Q「知っている人は誰もいない。浦島太郎は、どんな気持ちになったでしょう
か」
A「寂しくなりました」
Q「そう、寂しくなったんだね。では、ここからが問題です。では、なぜ、浦
島太郎は、約束を破って玉手箱を開けたのでしょうか。あなたは、どう考えま
すか」
 
いろいろな答えが出てきますが、自分の考えを言えたことを褒め、評価はしま
せん。
たとえば、「何が入っているか知りたかったから開けました」と子どもが言えば、
それを認めてあげ、
「そうじゃないでしょう。寂しくなったからでしょう」などと大人の考え方を押
し付けないことです。「寂しい経験」をしなければ、この言葉は出てきません。
 
ところで、この方式に子ども達が興味を持ち始めると大変でした。話の筋を覚
え、質問を作らなければならないからです。お母さん方にお子さんの愛読書を
聞き、質問を作ったものでした。最も苦労したのは「アルプスの少女 ハイジ」
や「フランダースの犬」で、わが子が小さい頃、テレビで見ていた記憶はあり
ますが、実際に本を読んだことがないからです。
 
しかし、子ども達は興味を持つことで、確実に力をつけました。おかしかった
のは、子ども達は、次週に使う教材となる本を、繰り返し、繰り返し読んでも
らい、準備をしていたそうです(笑)。私も大変
でしたが、お母さん方も苦労したようです。子ども達が夢中になって取り組ん
だのも、勉強ではなく「Q&A」を、ゲーム感覚で楽しんでいたからではなか
ったでしょうか。
 
こういった苦労は、楽しい思い出となって残るだけではなく、お母さん方から、
「読書の好きな子になっています」と聞くたびにうれしくなったものでした。
 
受験準備は、楽しくやりたいものです。
(次回は、「数量に関する問題1」についてお話しましょう)
 

1

« 2016小学校受験: 2015年2月 | メインページ | アーカイブ | 2016小学校受験: 2015年4月 »

このページのトップへ

テスト案内 資料請求