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めぇでるコラム : 2023年9月 2ページ目

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
「2024さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2024年度入試(2023年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第62号★
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★説明会情報★
 日出学園小学校
  学校説明会 9月16日(土) 10時~11時
 
 国府台女子学院小学部
  学校説明会 9月16日(土)10時~11時30分
  学院祭見学 9月23日(土)、24日(日)
   
     詳しくはホームページをご覧ください。
 
 
 
 ■ 面接編(3)
 
 
<お子さん編>
 
ほとんどの場合、質問は、お子さんから始まります。
緊張をほぐすために、名前や生年月日、幼稚園(保育園)のことなどから聞く
ようです。
しかし、住所や電話番号は、通常、あまり聞かれませんから、うまくいえない
場合があります。
そんな時、ほとんどの子ども達は、お母さんを見ます。
すると、お母さんは、
「東京都新宿区………」とやりがちです。
 
これはどうでしょうか。
 
住所や電話番号を、面接のために記憶させていると、こうなりがちです。
言えないと「減点される」と思っているのではないでしょうか。
ですから、答えなるものを、すぐに教えてしまうのです。
「ほら、迷子になったとき、どうする約束でしたか」などと、二人だけでわか
るヒントを出せるお母さんであってほしいのです。
遊園地やデパートなどで迷子になったとき、何が頼りになるでしょうか。
名前と住所を言えば、すぐに探してもらえることを知っていれば、お子さんも
覚えるはずです。
 
自然災害を含め、緊急事態が発生した場合、電話は連絡に欠かせないものです。
いずれも、面接のために覚えることではなく、自力で物事に対応しなければな
らない時のために、身につけておかなければならない知恵ではないでしょうか。
 
「幼稚園(保育園)は、楽しいですか。仲良しのお友達の名前を教えて下さい」
幼稚園や保育園が楽しく、友達がたくさんいれば、すぐに答えられるでしょう。
こういった質問からは、集団生活への適応力である社会性や協調性が育まれて
いるかがわかります。
 
幼児への質問は、日常の生活が中心となっていますから、難しい質問はないは
ずです。返答に詰まったときは、「答えられなくてもよい」とは言いませんが、
面接官が、ご両親の態度を見ていると思えばいいでしょう。
 
余計な口出しをせず、温かく見守り、お子さんがわかるヒントを出せる保護者
であってほしいのです。
その時には、面接官に、「よろしいでしょうか」と一言、確かめることもお忘
れなく。
 
絶対にやってほしくないのは、お子さんの回答を訂正することです。
 
親子面接の指導をしているときに、こういったことがありました。
「何人家族ですか」
「はい、5人です」
お父さんが、あろうことか、「えっ!」といって、少しですが、笑ったのです。
「違うでしょ、4人ですよ」
お母さんが、あわてて、恐い顔をしながら、間違いであることを指摘しました。
びっくりしたのは、答えたお子さんです。
これはまずいと思い、すぐに質問をしました。
「5人家族なのですね。では、どなたがいらっしゃるのかな」
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん……、ぼくと……、ポチです」
お母さんを気にしながら、小さな声で答えました。
ポチは、いうまでもなく犬ですが、みんなでポチを可愛がっている様子が伝わ
り、微笑ましいではありませんか。
犬を家族に入れたから、「常識外れで減点!」などと考えにくいことです。
あわてて訂正したお母さんこそ、「保護者として失格!」、マイナス点がつく
と思います。なぜなら、その質問を境に、お子さんはそわそわし始め、それま
での元気な姿が見られなくなったからです。
笑ったお父さんは、その後のお子さんの様子を見て、後悔したのは言うまでも
ありません。
 
お子さんは、質問の内容を理解し、自分の言葉で、堂々と答えたのですから、
うなずいてあげるべきです。
お子さんの回答を訂正することはもちろん、笑うなどとは、保護者としてする
ことではありません。
 
お父さんに関する質問で、お子さんが困った顔になるのは、お父さんの仕事で
す。
「お父さんは、どのようなお仕事をしているのですか」の質問に、「国家公務
員です」と「みんなのために役に立つお仕事です」との答えでは、どちらが子
どもの答えとして、ふさわしいでしょうか。
「サラリーマン」では、わかりません。
お子さんは、お父さんの仕事を、きちんと説明できますか。
こういった質問から、普段の親子関係がわかるとは言いませんが、仕事はご自
身の生きがいと考えれば、あだやおろそかに出来ないのではないでしょうか。
「お父さんは、ぼく達のために一生懸命に頑張っているんだ!」
と思っていないお子さんは、いません。
 
「お子さんがわかるように、ご主人のお仕事を説明して下さい」といわれた場
合、どうお話ししますか。模擬面接でも戸惑うお父さん方が多いですね。「お
子さんがわかるように」が、難しいのです。お母さんにも同じ質問をしてみる
と、どうしたわけか、ご主人以上に説明ができませんね。「主人には感謝して
います」などといっても、空々しく聞こえるだけです。
ご両親共に、お子さんにわかるように説明しておきましょう。
 
姿勢の崩れるお子さんもいます。
 
質問を聞きながら、足をぶらぶらさせたり、手を机の上に乗せたり、女の子は、
スカートを握りしめるなど、落ち着かなくなり、姿勢の乱れる場合があります。
普段から、食事のときなど、だらしなく食べているお子さんは、その通りにし
ますから問題外として、心配なのは、緊張のあまり、本人が気づかずに、その
ようにふるまうことがあるのです。
 
姿勢の乱れた姿など見たこともないお母さんは、びっくりしてしまい、あわて
て手足をたたいたり、手を膝に戻したり、心配のあまり、膝をつねってしまう
お母さんもいます。もっとすごいお母さんになると、恐い顔をして、にらみつ
けます。
これもどうでしょうか。
本人は緊張しきって、無意識にそういった動作をしているにすぎないのです。
何もしなくてよいとは言いませんが、やはり、修正をしなくてはならないでし
ょう。
 
これはいいなと思ったお母さんがいました。
 
「タロウくん、足が笑っていますよ」
と、やさしくいったのです。
気づいた本人は、お母さんを見て、手で頭をかくような仕草をし、照れ笑いし
ながら、腰を少し前に進めて、足をしっかりと床につけ、手はお膝になりまし
た。
お母さんは、「申し訳ありません」といった気持ちを表すかのように、軽く会
釈をしたのです。
見事でした。
お子さんが緊張した場合、どのようなことをするか、よくわかっていて、椅子
に浅く腰掛けて訂正する方法を、親子で体験済みだったのでしょう。
これが保護者の役目ではないでしょうか。
 
また、本人の質問が終わり、ご両親の番になると、今度は緊張感から開放され、
退屈になり、姿勢の崩れることがあります。
模擬面接のときに、男の子には、「お父さんやお母さんがお話をしている間は、
手をひざに置き、背を伸ばして聞いているのが、一番、かっこいいのだよ」、
女の子には、「一番、かわいいのですよ」と話しています。
「じっとしているんですよ!」だけでは、ほとんど効果はありません。
親が話をしているとき、終わるまで静かに待てる方法を考えてあげましょう。
 
かつて、暁星小学校では、お父さんとお子さんがゲームをし、その様子を両親
に聞くといった形式で行いましたが、狙いは、3人が醸し出す雰囲気から、日
常生活の様子を判断したのではないでしょうか。つまり、面接のための定番的
な訓練は、「役に立ちませんよ」と言いたかったのだと思います。暁星小学校
ですが、今年も面接は保護者面接、また、保護者に作文の提出があります。
 
最後に一言。
 
家庭学習で苦手な問題にとり組む時には、細心の注意が必要です。
繰り返しますが、幼児がわからないといった時は、本当にわからないのです。
お子さんがわかるように工夫してください。
「何でできないの!」といった不用意な言葉がけは、今までの自信を崩すこと
にもなりかねません。
お子さんが萎縮するようなやり方だけは、絶対にやめましょう。
 
夏の疲れが出やすい時期です。健康管理には、十分に気をつけてください。       
 
   (次回は、「ご両親の面接」についてお話をしましょう。)
 
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さわやかお受験のススメ<保護者編>第12章 日本の神様でしょう 神無月(1)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2024さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第44号-
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第12章 日本の神様でしょう  神 無 月(1)
 
                              
神無月(かんなづき)は「かみなしづき」とも「かみなづき」ともいわれてい
ますが、そのいわれは、この月には、全国の神さまが出雲大社に集まり、男女
の縁結びの相談をすることから、神さまが留守になる「神無い月」というのが
わかりやすいですね。反対に、出雲地方では「神在月」となります。
これにも異説があり、「神嘗月(かんなめづき)」「神祭月(かみまつりづき)」
という説、おもしろいのには、10月は雷がならなくなるから「雷なし月」と
いうのもあるようです。
 
 
  ★★神無月、風流です (1)★★ 
 
何だか、おかしなテーマです。
神無月といえば、昔の十月の呼び名ではありませんか。睦月、如月、弥生、卯
月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、そして師匠も忙しく走
る師走ですが、何やら情緒があります。弥生賞、皐月賞というと、競馬の好き
な方には、おなじみでしょう。今まで紹介してきましたように、どの月も季節
感があります。詩情豊かで、こたえられません。1月、2月、3月よりも、睦
月、如月、弥生といった方が、何やら、雅やかな感じがしないでしょうか。
 
その一つの神無月。
 
先程もお話しましたが、読んで字のごとく「神さまのいない月」です。とにか
く、日本人ほど、神さまの好きな民族は、いないのではないでしょうか。「八
百万の神」といって、何しろ八百万人、いや、神さまは人ではありませんから、
八百万の神さまです。「やおよろずの神」と読みますが、八百万の神さまがい
るわけではなく、たくさんいらっしゃるという意味でしょう。それにしても豪
勢ではありませんか。
 
若いお父さんやお母さん方には、あまり縁がないかもしれませんが、一軒の家
の中にもいろいろな神さまが住んでいらっしゃったのです。「いらっしゃった」
と過去形になっているのは、最近では、神社にしか神さまはいないと思われて
いるからです。
                                
門には門神さま、家を守ってくれる家神さま、福の神と貧乏神がいらっしゃっ
たそうです。
台所に入ると、ガス、水道、電気のない時代ですから、あちらこちらに神さま
がいらっしゃって、火の神さま、水の神さま、かまどの神さま、井戸の神さま、
納戸の神さま、便所の神さまが、庭に出れば木の神さま、石の神さま、草の神
さま、花の神さま、外には山の神さま、川の神さま、森の神さま、まだいらっ
しゃいます、日の神さま、雲の神さま、風の神さま、雨の神さま、仏教でいう
ところの「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」をま
ねると、こんな言葉はないでしょうが、「神が宿る」と解釈して、「山川草木悉
皆宿神」でどうでしょうか。(悉皆“しっかい” ことごとく)
 
とにかく、どこにでも神さまがいらっしゃったわけです。人の集落がある所に
は、必ず、その土地を守る鎮守さまがあって、人々の生活と密接な関係をもっ
ていました。いろいろと取り上げてきた年中行事にも、こういった神さまが顔
を出し、大いに楽しませてくれます。四季折々の大きな祭りから村祭りや、家
ごとの祭りまで、主人公は、こういった神さま達です。ある時期まで、日本は
農耕社会でした。頼りは、自然ですから、神頼みにならざるをえません。でき
るだけ災害が起きないように、そして、秋には豊作を願い、神さまにお祈りを
したのも当然なのです。
 
仏教が盛んになった奈良時代に、日本の八百万の神さまは、菩薩さまを始め様
々な仏さまが化身して、日本の地に現れたものだと考えた本地垂迹説を唱え、
神さまと仏さまを一緒にお祀りしたこともあるのですから、元来争いごとは大
嫌いなんですね。仏教興隆に力をつくした聖徳太子の「和を以って貴しと為す」
は、神仏の世界まで浸透しているのですから、すごい話ではありませんか。
 
そして、日本の神さまは、他の国の神さまとは違います。昔の神さまは、いっ
てみれば人間と同居していたのです。ですから、願い事は、すごく現実的で、
日々の生活に密着していました。しかし、今の神さまは、怒っています。何し
ろ、困った時だけの神頼みですから。正月にしか顔を見せない人が、多いので
はないでしょうか。安いお賽銭で、厚かましく、いろいろと祈願しても、それ
は無理というものです。(笑)
 
神無月は、その神さま、八百万の神さまが、島根県の出雲大社にお集まりにな
る月で、盆暮れの民族大移動の比ではありません。何しろ、八百万の神さまで
すから、スケールが違います。
「神迎祭(かみむかえさい)」といい、集合日は旧暦の10月11日。場所は
稲佐浜(いなさのはま)、八百万の神さまは、竜蛇神(りゅうじゃしん)に導
かれ、海からお集まりになりまして、出雲大社へ向かわれます。滞在期間は、
17日までの7日間。神々のお宿は、境内の東西に並ぶ「十九社」、何とも素
朴な建物です。
 
本殿では、11日、15日、17日に「神在り祭(かみありさい)」が行われ
ます。本殿の高さは24メートル、大社造といわれ、わが国、最古の神社建築
様式で、神話でおなじみの「だいこくさま」と呼ばれている「大国主大神(お
おくにぬしのおおかみ)」が祀られています。
境内には、古代本殿の跡が発掘されており、何と柱の高さが8メートルもあり、
復元図を見ると、古の人々、平安時代の高度な建築技術に、たまげましたね。
驚くついでにもう一つ、拝礼を行う「拝殿」には、長さ7メートル、胴回り4
メートル、重さ1.5トンのしめ縄が、デーンと飾ってあります。このしめ縄
ですが、普通の神社で飾る向きと逆になっています。(これを覚えておいてく
ださい)
 
話題の中心は、何といっても自然災害回避、生産性向上、五穀豊穣、家内安全
です。
 
たとえば、雨の神さまには、「えこひいきせずに全国に万遍なく雨を降らせな
さい」とか、風の神さまには、「稲が花を咲かせ実をつけるころには、情緒不
安定にならないように配慮してほしい」とか、雲の神さまには、「日輪の神さ
まと仲良くしてほしい」とか、「下野の国の何々村は、信心深いので豊作にな
るよう心してほしい」などと話し合うのでしょう。
 
次に、何といっても神さまの大切なお仕事は縁結びです。
 
こういうところが好きですね。子孫を残さないと神さまの存在意義がなくなり、
寂しいからだと推察します。いろいろな神さまが、適齢期の男女の情報を交換
し合い、これがよかろうと縁組を決め、次々と赤いひもを結んでいく、これが
「赤い糸」の伝説です。
 
今はキリストの前で、愛を誓う方が多いように感じますが、昔は何といっても
神前結婚でした。神さまに、添い遂げることを誓ったのでした。成田離婚など
という言葉もかつて言われていましたが、赤い糸も頼りなくなり、神さまも首
を傾げているのではないでしょうか。何といっても情報過多社会です。もしか
したら、神さま方も混乱しているのではないでしょうか。そういえば、すっか
り酔っ払ってしまった神さまが、変な糸の結び方をしてもつれてしまい、三角
関係を作ってしまった落語があったと記憶しています。
 
誠に僭越な話ではありますが、普段、神さまは、どうやらお眠りになっていら
っしゃるのではないかと思える節があるのです。
 
神前で何かが始まるとき、必ず、大太鼓をドンドンと打ち鳴らし、神主さんも
「ゥ…………」と、これまた大音声を発します。仏さまも、鐘や木魚の音がお
好きのようです。日本の神さまだけではありません。教会でも、ミサの始まる
前に、パイプオルガンをガンガン奏(かな)で、いや、荘厳に演奏し、賛美歌
を歌います。いずれも、神さまにお目覚め頂くための儀式ではないかと思えて
なりません。
 
ところで、出雲の人々は、逆に「神在月(かみありづき)」ですから大変です。
何しろ八百万の神さまです。この間は、音曲、歌舞のたぐいは、一切禁止。神
さまの会議が無事終了するまで、ひたすら静かにひっそりと暮らします。神さ
まの中には、酔っ払って人に迷惑をかけるお方もいるかもしれません。何しろ
日本の神さまは、お酒の上での問題には、実にご寛容です。その証拠に、神事
にはお酒を欠かせませんし、神棚にはお神酒を差し上げます。
 
ですから、民話や昔話には、実に傑作な神さまがいらっしゃいます。どう考え
ても神棚から見下ろしている感じがしません。どこから、こういった発想が出
てくるのかと、しみじみ考えさせられる話が、たくさん残っています。夢があ
るのです。そうです、夢があるんですね。
 
夢や希望をもたせる、これも神さまの大切なお仕事です。
 
そして25日(原文のまま)は、神さまが出雲を去っていく日で、この日を神
去日(かんさらび)といい、その夜は明るいうちから戸を閉め、外の便所にも
ゆかなかったとか。その頃から吹き始める季節風、西南西(あなじ)が、あた
かも神さまが道路を駆け去って行く風の音と考えられ、恐ろしさに震えていた
そうです。
 (「菜の花の沖 2」P242 司馬遼太郎 著 文春文庫 刊より要約)
 
朝の散歩に出かけると、秋の気配を感じるようになりました。今年はまだ赤と
んぼは見ていませんが、コスモスの仲間は咲きはじめました。
 
 
 (次回は、神無月、風流です(2)についてお話しましょう)
 
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】
 
 
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さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(3)養ってほしい数感覚 1 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第9号>
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(3)養ってほしい数感覚 1           
 
 
[数感はアバウトの感覚から]
   
奇妙なタイトルだと思われるかもしれませんが、「話の記憶」と共に、ほとん
どの学校で出題されている「数量」の問題に対処するには、語感と同様に数感
を養っておくことが大切です。
 
受験準備となると、すぐに問題集を使用した勉強と考えられがちですが、幼児
の場合は、その前にやらなければならないことがあります。
 
物を使った具体物での学習です。
 
これをきちんと体験しておかないと、「お勉強は覚えるもの」、記憶に頼るも
のとなり、幼児にとっては、つらい受験準備となりがちだからです。
前にもお話しました「学習と勉強の違い」を思い出してください。
特に、年中から年長にかかる時期には、教える人、特にお母さん方は、「すず
めの学校の先生」にならない注意が必要です。
 
トランプを用意してください。
トランプはさいころと共に、数感を養うすぐれた教具です。
 
問題集に取り組む前に、数に関する感性、数感を鍛えておきましょう。
「数感教育」の大切なことを教えてくれたのは、香川大学名誉教授の小林一宏
先生でした。
後で紹介しますが、「幼稚園の年長さんでもつるかめ算を解けますよ」と、実
に衝撃的な学習の仕方を教えてくれた先生です。
 
その時のことです。
「2歳の幼児でも数がわかるよ」と、2つのさいころを使った、面白い遊びを
見せてくださったのです。
 
幼児が、さいころをふると6が出ました。
次に先生がふると3が出たのです。
すると先生は、
「キミの勝ちだよ」
といって、幼児に勝ったことを教えます。
最初は、きょとんとしていましたが、数回続けているうちに、どうやら、たく
さん黒丸のある方が勝ちであることが、幼児にもわかってきました。
しばらくすると、先生がいわなくても、
「ぼくの勝ち?」
といい始めました。
 
数字を使った引き算ができなくても、「数の多少」を理解できるのです。
1と6であれば、●と●●●●●●であり、2と3のときは●●と●●●で、
子どもの頭の中は、おそらく、「6の方に黒い丸がたくさんあるぞ!」であり、
2と3のときは、「3の方が少しだけ多いかな?」といった、おおよその見当、
推量であり、「アバウト(about)の感覚」なのです。
見た感じで「どっちが多いかな」と直感で判断するわけです。
 
大切なのは、この直感力を培うことです。
       
例えば、2枚のお皿にクッキーを5個と4個に分けて入れておき、お子さんに、
「多い方をとっていいよ」
といったときに、数えずに5個入ったお皿をとれば、直感力は順調に発達して
いるといえます。
おやつの時に試してみましょう。数の多少を見分ける力が身についているかが
わかります。
       
この直感力を鍛える遊びを紹介しましょう。
 
数えなければ不安で、答えを出せない子ども達と、よく一緒に遊んだゲームで
す。
トランプは、4種類のマークの数と同じ数字が書かれていますから、これを利
用します。
まず、1から10までのカードを用意してください。
1はA、エース(ACE)のAとマークが1個しかありませんが、1個だけ書かれ
ていますから、1と説明します。
そして、マークの数を数えながら、1から10まで並べ、マークの数と数字は
同じであることを確かめます。
この時の数え方は、「イチ、ニ、サン」と漢語読み、音読みにします。11・
12・13と10以上の数え方にも対応できるからです。なお、7は掛け算を
思い出してください、「シチ」です。
 
最初は、ハートのマーク1組でいいでしょう。
よくきって積み上げ、ジャンケンで順番を決め、1枚ずつめくり、勝ち負けを
争います。
例えば、お子さんが先にめくり、8が出たとします。
お母さんがめくると4が出たとします。
そこで、どちらが勝ったかお子さんに聞きます。
そのとき、[8-4=4]でお子さんの勝ちとするわけではありません。
また、ハートの数を数えて、8個と4個ですから、多い方の8のカードを4個
押さえ、8の方が4個多いとするのでもありません。
 
数の多少を、見た感じ、直感で決めることを約束します。
初めは戸惑いもあるでしょうが、やっている内に、トランプのマークの並び方
に、ある決まりがあることがわかるはずです。
それに気づけば、瞬時に判断できるようになるでしょう。
 
間違えたときは、「ブッ、ブー」と警告をします。
答を教える必要はありません。カードは2枚ですから、すぐわかります。勝者
が2枚のカードをもらえます。これを繰り返していると、直感で見分けられる
ようになり、数えなくては不安であったことも解消できます。 
 
終わったところで、お互いのカードを2段に並べて比べます。
 
 お子さんのカード □□□□□□
          ││││
 お母さんのカード □□□□
 
1対1対応で差が出ますから、計算しなくても、その差が答えになります。
 
直感で判断することに慣れれば、カードを増やしましょう。
ハートとダイヤといった組合せがいいでしょう。
マークの色が違うと混乱する場合もあるからです。
10枚増えると5回戦から10回戦になり、慣れてくればスピードもあがりま
す。
 
次に、スペードとクローバーでやってみましょう。
形や色が違っても、数は同じであることがわかれば、いよいよ4組のカードを
使います。
40枚で争いますからゲームとしても面白くなり、スピードがあがれば集中力
も働き、俊敏な判断力もついてきます。
 
40枚になると、結果を判定するのに、横に並べるのも大変ですから、一工夫
します。 
お互いに自分で取ったカードを1枚ずつ置きながら、5枚単位で段を作ります。
5枚で一固まりに分ける習慣がつくと、数の合成、分解にも役立ちますし、算
数の足し算、引き算の計算に、すぐに対応できます。
 
手持ちがなくなったときにストップをかけ、そこから「1枚、2枚」と数え勝
負を決めます。
下の図のように、■のカードの部分で、8対0でお子さんの勝ちとなります。
 
 お子さんのカード        お母さんのカード
 □□□□□ □□□□□      □□□□□ □□□□□ 
 □□□□□ □■■■■      □□□□□ □
 ■■■■
 
5枚の固まりに分けるのに慣れれば、10の固まりで数えてみましょう。
算数の勉強で最初につまずく、繰り上がりや繰り下がりの計算にも、スムーズ
に対応できます。
 
余談になりますが、このカードの並べ方を、あまり手先の器用ではないお子さ
んにさせると、面白がってやることから優れたトレーニングになり、器用にな
るといった効果も期待できます。
 
本題に戻って、過去の入試問題集などで、例えば
「みかん10個と8個の絵があり、多い方に○をつけなさい」
といった多少の判定をする問題が5問あり、制限時間は15秒であれば、1つ
1つ数えていては、とても時間内に終わりません。
学校側が知りたいのは、計算して答えを出すのではなく、「直感力が養われて
いるか」ではないでしょうか。
 
数の多少だけではありません。
2枚のハンバーグや2つのコップに入ったジュースを見て、
「ぼくの方が小さいじゃん!」
「私の方が少ないわ!」
とこだわるのは、アバウトの感覚で「量の違い」を見分けているのであり、決
して卑しいのではなく、直感力が順調に養われている証(あかし)ですから心
配ありません。
 
この違いを小学校へ入ってから「数」は加減乗除で、「量」はデシリットル
(dL)、リットル(L)、「重さ」はグラム(g)、キログラム(kg)、
「長さ」はセンチメートル(cm)、メートル(m)、キロメートル(km)
と正確な計算、単位として学んでいくわけです。
 
年中から年長の頃は、直感で見分ける機会をたくさん持つことが大切です。
なぜなら、「直感は、経験の積み重ねで養われる力」だからです。
 
室外と室内との温度差に体も驚くでしょうから、体調には気をつけてください。
 
 
   (次回は、「養ってほしい数感覚 2」についてお話しましょう)
 
 
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メールマガジン「さわやかお受験のススメ 保護者編」も配信します。
ご家庭で年中行事と昔話を楽しんでいただくことを目的に編集したもので、
11月から配信予定ですので、参考にしていただければ幸いです。  
 
 
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