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めぇでるコラム : 2017年8月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編4

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第61号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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面接編4
◆説明会情報◆
9月16日(土)
昭和学院小学校 第3回オープンスクール・入試説明会
 9:00~11:00 要予約
  
国府台女子学院小学部 学校説明会
 10:00~11:30 要予約
(9月6日(水)10:00~11:30に学校見学会もあります。 要予約)
 
日出学園小学校 学校説明会 
 10:00~12:00 要予約
 テーマ「入試のワンポイント」
  願書の入力・出願について
 
詳細は、HPをご覧ください。
 
今回は、ご両親の面接についてお話をしましょう。
 
◆お父さん◆
ほとんどの学校で、お父さん方には、志望理由と職業を尋ねられています。
ですから、合否の鍵を握っているのは、お父さん方といっても過言ではないで
しょう。
責任重大です、何しろお父さんは、一家を代表して面接に臨むわけですから。
「なぜ、この学校を選んだか」をきちんとおっしゃってください。
そして、私学の運営は、ご家庭に経済的な負担をかけることで成り立っていま
すから、学校側は、その基盤がしっかりと築かれているかを確認しなければな
りません。
職業を尋ねられるのも、このためです。
会社名と所属課、仕事の内容によっては簡単な説明も必要です。
しかし、専門家でなければわからない言葉を使うべきではありません。今では
普通に使っていますが、模擬面接で「システムアナリストです」と行ったお父
さんがいましたが、これだけでは不親切で、誠実とはいえません。簡単な説明
も必要です。
自営業の場合は、仕事の内容がわかるようにまとめておきましょう。
時には、営業年数、年商、従業員数など必要になる場合もあるかもしれません。
 
お父さんの応答で気になることがあります。
仕事柄、人と接する機会の多い方、営業関係の方は、話に如才のない分、長く
なりがちです。
面接は、限られた時間内で、手際よく済ませるべきです。
1分間で、相手にどのくらい情報を伝えることができるか、一度、録音し、聞
いてみましょう。
すると、聞く人には、どのくらい負担がかかるかがわかります。
そうすれば、簡潔明瞭な回答こそ、思いやりのある、誠実な態度であることが
理解できるはずです。
制限時間のあることを、常に頭に入れておきましょう。
 
最後に、お子さんの姿勢が崩れたときに、恐い顔をして「駄目!」を出すお父
さんもいますが、前にお話したお母さんのように、「やわらかくたしなめるサ
イン」を考えておきましょう。
 
◆お母さん◆
「上がって話せなかったらどうしよう!」
などと考える必要はありません。
参加しているお母さん全員が、同じ不安な気持ちでいるのですから。
そんな心配をせずに、「私は保護者です!」と言い聞かせることです。
男には、よくわかりませんが、「出産のことを考えれば恐いものなし」とおっ
しゃったお母さんがいました。
それはともかく、一生懸命、お話しできれば、道は開けます。
誠意です。
ただし、その学校を選んだことに自信がなければ、不安になり、緊張しますか
ら、上がります。
そこがポイントであり、全てです。
 
お父さんのところでも触れましたが、話がくどくて、長く、まとまりに欠ける
場合があります。それを避けるために、例えば、お子さんの長所、短所を話す
ことを想定して、話し言葉で文を書き、録音し、聞いてみましょう。
ご自身で聞き、長いと思えば、相手にとっては、とてつもなく長いものです。
質問事項にもよりますが、ご主人より長く話すのは、私学の求める「謙虚なお
母さん」にふさわしいでしょうか。
 
また、言葉遣いも、気になるところでしょうが、普段、あまりなじみのない敬
語や、「……参りました」「……存じます」などの謙譲語を使って話すのは、か
えって緊張のもとになりますから考えものです。
何事も、不自然な感じを与えない、自然体がいいのではないでしょうか。
ところで、最近、気になるのですが、若いお母さん方の中には、「そういった
こととかにィー、興味を持ち始めました」といったように、語尾をのばし、妙
なアクセントで話す方がいます。
お母さん同士ではかまいませんが、やはり、初対面の年配の方と話をするには、
ふさわしいとはいえません。
 
また、自分のことしか考えずに、お子さんやご主人が話されたことを、よく聞
いていないお母さん方がいます。
例えば、面接の先生に、
「お子さんの言っていることは、こういうことですか」と確認を求められるか
もしれませんし、「ご主人がおっしゃったことについて、どう思いますか」と
聞かれることもあるようです。
そんなときに困った顔をするようでは、保護者とはいえないでしょう。
質問事項を想定し、うまく言えるだろうかなどと心配していると、「心、ここ
にあらず」といった状態になり、お子さんやご主人の回答を聞き逃すことにな
りがちです。
お母さん自身も、気を静め、落ち着くためにも、しっかりと話を聞きましょう。
 
そして、お父さんが、例えば、間違ったことを言っても、即座に訂正しないこ
とです。「お子さんが、成長したと感じられることはありますか」といった質
問に、「去年の秋、予防接種に行ったとき、泣かずに頑張ったときのことです」
と答えたご主  人に、少し顔をしかめて、「パパ、今年の春でしょ!」と、
静かに、きっぱりと訂正したお母さんがいました。
ご主人は、気分を害されたような表情をして、お母さんの方を見ましたが、二
人の間に、なにやら気まずいムードが漂いはじめたのは、言うまでもありませ
ん。
予防接種の時期を間違えたから、育児に関心のない父親で減点などされるわけ
がないでしょう。
即座に訂正をしたお母さんの態度こそ問題です。
私学には、古い道徳観念が残っているとはいいませんが、やはり、初対面の人
の前で、どうでもいいようなことで、ご主人の間違いを訂正するのは、私学の
求める「謙虚なお母さん」としていかがでしょうか。
 
◆退室◆ 
「本日は、ご苦労さまでした」
「失礼します」
立ち上がり、礼をして退室するわけですが、やはり、お父さんが先頭で、お子
さん、お母さんという順が自然でしょう。
そして、出口で、立ち止まり、面接官の方を向いて、「失礼します」とあいさ
つをしましょう。
この時、お子さんは、一刻も早く外へ出たい気持ちから、あいさつどころでは
ありません。
しかし、ここは面接の最後の場ですから、「お世話になりました」といった気
持ちを伝えたいものです。
お父さんが一言、声をかけ、あいさつを促しましょう。
入室の時と違い、これから始まる面接にプレッシャーをかけるわけではありま
せんから、お子さんも、あいさつできるはずです。
「ごあいさつは」より「さよならしようね」といった言葉がけの方が、お子さ
んにも抵抗がなく、自然にできると思います。
最後に、お母さんがあいさつをし、ドアを閉めて、部屋を出ます。
 
これで終わったわけですが、うまく進んだ場合は、緊張から開放され、ほっと
されたお母さんから、
「ご苦労さまでした」
などと、ねぎらいの言葉がかかるのですが、結果が思わしくないときは、部屋
を出たとたんに、
「なぜ、私が願書に書いたとおりに言ってくれなかったの!」
などと、非難をする若い母親もいるそうです。
「壁に耳あり、障子に目あり」ではありませんが、先生方が見ていないとは限
りません。非難をしたければ、学校の外へ行ってからはじめなさい。
しかし、聞いているお子さんが、どんな気持ちになるかを考えられない母親で
あるなら、受験は止めるべきでしょう。
多くの場合、面接の後にお子さんの試験があり、もう一度、学校へ来るのです
から、悪い印象を与えると、同じ場所へ行きたがらないものです。
本番の入試にも影響しかねません。
 
また、お子さんが、うまく応答できなかったとしても、そのことには触れずに、
嘘でもいいですから、次につながる言葉がけを忘れないことです。
「初めての先生と、よくお話できていたね。お父さんもびっくりしたほどだっ
たよ。今度はね、一人でどんなことができるか、お友達と楽しく遊べるかを見
てくれるんだって。お父さんは来ないけれど、頑張るんだよ。ママ、今夜は、
ユキの好きな焼肉がいいね」ユキちゃんが、好んで挑戦した受験ではないこと
を、保護者は、決して、忘れてはなりません。
 
掛け持ち受験について、まだわかりませんが、10月に入ると、受験日と面接
の日が決まり、学校から通知も来ますし、出願してみなければわからなかった、
受験可能な学校も判明します。
どういったスケジュールになるか作戦を立てることになりますが、掛け持ち受
験は、お子さんにとって大変な負担になります。
精神的にも、肉体的にもタフなお子さんばかりとは限りません。
ご両親で、しっかりと話し合いましょう。
 
また、試験が早朝に当たる場合もあります。
少しずつ、起きる時間を早めてみるとか、ベストコンディションで臨めるよう
に工夫しましょう。
 
幼稚園も始まりました。元気に通っていますか。
生活のリズムが戻るまで、入学試験は忘れましょう。心身ともに健康第一です。
 
そして、お母さん方へ。妙なうわさなどに心を惑わされない、賢いお母さんに
なりましょう。
もうあとわずかです、頑張ってください。
(次回は、「鍵を握るのはお父さん方の志望理由」についてお話します)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 9

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第43
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面接ケース・スタディ編(9)   
「パパ、ママ、頑張ったね!」
 
 面接室から出てきた親子三人、顔を紅潮させています。
 お母さんが、お父さんに謝っています。
何があったのでしょうか。
 
「ごめんなさい、パパ、あがっちゃって。思っていたことの半分もいえなかっ
たわ。パパもケンちゃんも、きちんとお話できたのに。私が足を引っ張ったこ
とになるわ。ケンちゃん、ごめんなさいね」
「そんなことはないよ。ケンの性格なんか『私に似て、少しあわてんぼうのと
ころがあるけど、失敗にめげないで頑張るところは主人に似てよかったと思う』
なんて、僕を持ち上げたとこなんか、照れくさかったけど、落ち着いて話して
いたよ。ケンもがんばったし、よし、焼肉でも食べて帰るとしようか」
手をつなぎながら帰っていく後姿から、入試は、二人三脚で進められていたこ
とが、よくわかります。
 
こうあってほしいのです。
面接がうまくいかなかったといって、口論することがあると、お子さんは、ど
んな気持ちになるでしょうか。
しつこく繰り返しますが、
「ぼく、暁星幼稚園へ行きたい!」
「わたし、雙葉幼稚園へ行きたいの!」
で始めた受験ではないはずです。 
ご両親が、お子さんのためによかれと考えて、始めたことではありませんか。
 
実際に、ムッとした表情で、幼稚園の玄関から出られるご両親がいるそうです。
それどころか、園舎から園庭へ一歩出ると、
「『お父さんのおっしゃる志望理由と願書に書かれているものと違っています
ね。願書を記入されたのは、お母さんですか』、なんて聞かれたじゃない。何
で私が書いたとおりにいってくれなかったのよ!」
ご主人に食ってかからんばかりに責める母親もいるそうです。
そのそばには、ハラハラしながら見ているお子さんが、います。
目に入らないのです、お構いなしです。
いちばんつらい思いをし、傷ついているのはお子さん自身ではありませんか。
こういった考え違いをされているご両親は、受験するべきではないでしょう。
 
バスに乗ってきた親子の会話が、何気なく聞こえてきたことがありました。
「あんなに練習したのに、どうしたのよ。頭が悪いんだから!」
某有名幼稚園の停留所から乗ってきた親子です。
頭の悪いとは、どういうことでしょうか。
面接は、答え方の練習をし、訓練を積んで受けるものではありません。
こういう考え違いをしている母親は、面接会場でも、幼稚園側が嫌がる態度を
示しているはずですから、合格するわけはないのです。 
絶対に、お子さんだけの責任ではありません。
面接をする先生方の目は見逃しません。
 
しかし、お子さんがかわいそうです。
親を選べないのですから。そうでしょう、お母さん!
さらにです。
一緒にいたお父さん、お子さんをかばってあげないのは、どういうことですか。
あなたは、保護者ではありませんか。
腹立たしい限りです。
 
「今日は、楽しく遊べてよかったですね。また、遊びに来てくださいね」
幼稚園側は、ここまで気を配ります。
「何だか知らないけれど、パパもママもうれしそうだな!」
 かくありたいものです。
 
 2、3歳の秋は、お子さまが成長する一つの通過点と考えられないでしょう
か。
 それで、お子さまの一生が決まるわけではないのですから。
 学歴から実力へ、社会は、確実に動いています。
 「育児に哲学を持ってほしい」などと、キザで恥ずかしいですが、このこと
なのです。
 
「ただ、一貫教育校の名門幼稚園に入れておけば」
などといった考えでは、どこの幼稚園からも歓迎されません。
 
ご紹介しました「面接 ケース・スタディ」を通して、幼稚園側は、どういった
お子さんを求めているかおわかりいただけたと思います。
やはり、もっとも大切なのは、ご両親の目指す育児の方針と幼稚園側の保育の方
針に矛盾がないことです。
お子さんは、日々、成長していきます。
その成長し、養われていく力を、面接会場で、試験場で、力一杯発揮できるよう
に指導するのが、私達、幼児教室の使命です。
それを、しっかりとサポートしていくのがご両親の役目です。
正念場を迎えるまで、あと、わずかです。
 
幼稚園側の合否の割合は、お子さんの成長度2割、ご両親の面接8割ともいわれ
ています。
面接がいかに重要な鍵を握っているか、ご理解いただけたと思います。
「たかが幼稚園の面接ぐらい!」
などと、安易にお考えでしたら、希望される幼稚園から招待状は、決して送られ
てきません。
模擬面接を受けられましたか。奥さんやお子さんがどういった反応を示すか確か
め、対策を考え、実行する、これはお父さんの大切なお仕事です。
 
何だかふてくされ気味の夏でしたが、まだ残暑が続くようです。疲れが出やすい
時期です。元気に乗り越えましょう。
(次回は、「志望理由のまとめ方」などについてお話しましょう) 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です 長月(4)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第43号-
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第11章  お月見です   長 月 4
 
祝 花咲徳栄高校 埼玉県勢、初の全国制覇!
やってくれましたね。最近、若い時ほど高校野球に関心がなくなりましたし、
川越に住んでいても、「東京の代表はどこかな」という県人意識の低い住人で
すが、それでも嬉しいですね。しかし、長打が出ますね。私も野球をやってい
たものですから、若い人のスイングの速さにびっくりしました。広陵の中村選
手といい、早実の清宮選手といい、楽しみです。王さんが報道関係者に、「や
さしく育ててください」と言っていましたが、王さんらしいですね。恥ずかし
い話ですが、「とくはる」と読めず、家内に笑われました。加須市、巻きずし
の旨い店があるので知っていましたが、「かぞし」です(笑)。
 
【九月に読んであげたい本】
なぜ、お月さまに、うさぎが住むようになったか、そのいわれを伝える話があ
ります。主役は、あの良寛さんです。原作は、良寛さんの略歴や性格などの説
明がありますが、ここでは、月とうさぎということで省略しました。
 
◆良寛と月とうさぎ◆   良寛 著
秋になると、お月さまの好きな良寛さまは、子ども達にこんな話をしました。
大むかし、猿ときつねとうさぎが、仲良く、助け合って住んでいると聞いた神
様は、本当かどうか知りたいと思いました。ある日、神様は、ぼろぼろの服を
着た老人に化け、三匹の住む林にやってきました。杖をつき、ひょろひょろと
歩いてきた老人は、長い間、何も食べていないので、食べ物を恵んでくれと言
うのです。
そこで、猿は木の実を少し見つけ、きつねは川魚を捕ってきましたが、うさぎ
だけは、何もとらずに戻って来ました。老人は、三匹は、心を一つにして暮ら
していると聞いたが、うさぎは、物を恵む心が薄いようだと言ったのです。
うさぎは、猿に芝を刈ってきてくれと頼み、きつねには、芝を燃してくれと、
悲しそうに言いました。
猿は芝を担い、きつねは、火をつけたのです。すると、うさぎは、「何もあげ
られないので、私の肉を食べてください」と、火の中へ飛び込み、死んでしま
ったのです。驚いたのは、神様です。かわいそうなことをしたと、泣き伏し、
猿も、きつねも、泣きました。立ち上がった老人は、「三匹は、感心なものだ。
中でもうさぎの心は、立派で、美しい」と言ったのです。
やがて、老人の姿は神様になり、杖でうさぎの体に触ると、もとの真っ白な体
になったのです。
しかし、うさぎは目をつむったままでした。
「お前を天の月の宮へ送ろう。お前は、これから、いつまでも、あの月ととも
に輝くのだ」と神様は言ったのでした。
「それだから、まるいお月さまを、よく見てごらん。お月さまの中で、うさぎ
が跳ねているのが、見えるだろう」と良寛さんは、子どもたちに話すのでした。
 少年少女・類別/民話と伝説-二九
  日本の心をうつ話 関 英雄 編著 偕成社 刊 
    
この話は、良寛さんが作ったのではなく、原作は、龍樹(リュウジュ 2世紀
に生まれたインド仏教の僧)の主著の一つ「大智度論」(般若経の百巻に及ぶ
注訳書)にあるものだそうです。修行中のお坊さまが、空腹でふらふらになっ
ているのを見た鳩が、焼き鳥になるから食べてくれといって火に飛び込み、涙
ながらに食べる話です。鳩は、お釈迦さまの化身という教えであり、インド、
中国を経て、日本へ伝わったもので、「今昔物語」の巻の五にも出ています。
それを良寛さんが、子ども達に話してあげたのでしょう。月の中で、うさぎが
跳ねていたり、もちをついたりしているように見て楽しむのと、月の表面のま
だらなクレーターが、そのように見えるだけと片付けてしまうのとでは、どち
らが子どもの感性を育むのでしょうか。
 
ところで、「月にむら雲、花に風」といいますが、これは名月には雲がかかり、
せっかくの月が見えず、満開の花には風が吹き、花を散らしてしまうことから、
「良いことはとかく邪魔が入りやすく、思うようにはいかないものだ」という
たとえですが、しかし、雲一つない夜空に、こうこうと輝く月よりも、一片の
雲のかかった月の方が趣もあり、月を肴に一献、かたむけたくなります。
      散る桜 残る桜も 散る桜
良寛さんの作品です。子ども達は、良寛さんの屈折する心を知っていたのでし
ょうかなどと、馬鹿なことを言っていますね、笑ってください。
 
うさぎといえば、童謡「うさぎとかめ」を思いださない方はいないのではないで
しょうか。夏目漱石の「吾輩は猫である」でも、くしゃみ先生の子どもが歌って
います。その二番の歌詞ですが、
二、なんと おっしゃる うさぎさん  そんなら おまえと かけくらべ
  むこうの 小山の ふもとまで  どちらが さきに かけつくか
とあります。私が子どもの頃に見た挿絵は、小山の天辺にゴールの旗が立ち、
そこでかめさんが、両手をあげて、ガッツポーズをしていましたね。歌詞と違
っているのではと、子ども心にも思ったものですが、今は、どうなのでしょう
か。
 
ところで、かめさんに負けたうさぎさんは、どうなったかご存知ですか、実は、
続きがあるのです。
負けたうさぎさんは、うさぎ村から追放されるのですが、「子うさぎをよこせ!」
と脅迫してきた狼を、知恵を働かせてやっつけ、名誉を回復し、うさぎ村へ帰
ることができたのです。「負けたうさぎ」で検索すると、「新潟県の民話 福
娘童話集」が出てきますが、これが傑作で、思わず1時間ばかり読んでしまい
ました(笑)。このイソップ物語、驚いたことに、明治時代の教科書に掲載さ
れたときの題名は、何と「油断大敵」とあるではないですか。(脱帽!)
 
次の話を読んでいると、外国の名作を思い出しませんか。
グリム作の「狼と七匹の子やぎ」です。子どもと鬼ばさのやり取りは、子やぎ
と狼のそれと、そっくりです。怒られそうですが、船戸与一氏風にいえば、思
わず「グスッ!」と、笑ってしまいます。
氏の「蝦夷地別件」(上中下3巻 新潮文庫)は、倭人と先住民アイヌとの戦
いを描いた作品ですが、アイヌの人々の憂いを秘めた目は、ここに原因がある
のだなと考えさせられたものです。アメリカの先住民インディアンと白人の戦
いは、日本にもあったわけで、映画「幌馬車」や「黄色いリボン」で、いつも
悪者にされていたインディアンは、白人が作った虚像でもあったのです。スペ
インの内戦を描いた「カディスの赤い星」などの著者、逢坂剛氏は、スペイン
内戦、ギターとフラメンコ、映画の西部劇に詳しい、大好きな作家ですが、シ
ベリア抑留の疑惑を追及した「牙をむく都会」(講談社 刊)に、これを実証
する話が載っています。
 
歴史とは、残念ながら、生きている間に真相を知り得ない事件が多いようです。
桓武王朝期、統一国家をめざし、坂上田村麻呂が蝦夷(えみし)征伐する経緯
を描いた澤田ふじ子さんの「陸奥甲冑記(みちのくかっちゅうき)」(中央文
庫 刊)といい、源頼朝が藤原一族の築いた陸奥の文化を抹殺する過程を描い
た梅原猛氏の「日本の深層」(集英社文庫 刊)といい、松前藩のアイヌ人を苛
酷なまでに搾取する「菜の花の沖」(司馬遼太郎 著 全6巻 文春文庫 刊)
といい、無知を叱責される思いで読んでいますが、「活字中毒症であればこそ」
と感謝しています。しかし、いくら国家成立の大義名分があっても、そこに住
む個人の命など、まるで虫けらのように切り捨ててしまう理不尽な行為が、な
ぜ許されるのか。運命を定める神がいるのなら、何を基準にしているのかと詰
問したい。(痛憤・激怒)
    
◆てんとうさまと金のくさり◆   おざわ としお 再話
むかし、あるところに、母さんと太郎、二郎、三郎の三人の子どもが住んでい
ました。
ある日、母さんは、「山へ仕事に行くから、だれが来ても戸を開けてはいけな
い」と言って出かけましたが、母さんは、鬼ばさに食われてしまいます。母さ
んに化けた鬼ばさは、家に来て、「戸を開けておくれ」と言うのですが、「母
さんはきれいな声なのに、がらがら声じゃないか」と開けません。鬼ばさは、
きれいな声のでる草を食べ、「開けておくれ」と言うと、太郎は、少し開けて
手を見ると毛むくじゃらなので、「母さんの手は、すべすべしてきれいだ」と、
閉めてしまいます。鬼ばさは、山芋を塗ってすべすべにし、いい声で「開けて
おくれ」と言うので、見ると、すべすべした手なので戸を開けたのです。鬼ば
さの化けた母さんは、三郎を抱き上げ、寝間へ入り寝てしまいました。
夜中に、太郎と二郎は、かじるような音で目を覚ますのです。
 「何を食べているの?」と聞くと、母さんは、三郎の指を投げたのです。
 「あいつは鬼ばさだ、三郎は食われた」と、二人は逃げ出しました。
夜が明ける頃、川に出ましたが渡れないので、木に登り隠れました。追いかけ
てきた鬼ばさは、川面に二人が写っているのを見つけ、「どうやって登ったの」
と聞くので、「木に油をつけて登ったのだ」と言うと、鬼ばさは、その通りに
しますが登れません。見ていた二郎が、「木に、なた目をつければ登れるのに」
と言ってしまうのです。鬼ばさは、なた目をつけて登ってきて、天辺まで追い
詰められた太郎は、「お天道さま金の鎖を下ろしてください」と叫びました。
すると、金の鎖が下がってきて、それにぶら下がり、天に登ったのです。
鬼ばさも、「鎖をよこせ!」と叫ぶと、腐った縄が下がってきて、それにぶら
さがりましたが、天に届く前に切れ、畑に落ちて死んでしまいました。鬼ばさ
の血で、そばの茎が真っ赤に染まったので、今でも、そばの茎は赤いのです。
天に登った太郎と二郎は、お星さまになったのでした。
    日本の昔話 3 ももたろう 
      おざわとしお 再話 赤羽末吉 画 福音館書店 刊 
    
兄弟が七人で、全員、空に登れて、お月さまのそばで、七つの兄弟星になり、
鬼は、すすきの原に落ちて死んだために、今でも、すすきの根が赤いという話
もあります。2月に紹介しました「まめをいるわけ」と「ヘンゼルとグレーテ
ル」の話といい、あまりにも似ているので、びっくりさせられます。グリムの
「狼と七匹の子やぎ」を読んでみましょう。思わず、「グスッ!」と、笑いた
くなるはずです。
    
もう一つ紹介しておきましょう、これも世界中の子どもたちに親しまれている
話とそっくりです。
 
◆ぬかふくとこめふく◆
むかし、あるところに、母親と二人の娘が住んでいました。妹のこめふくは実
の子で、姉のぬかふくは、ままっ子でした。
ある日、こめふくには小さい袋を、ぬかふくには穴の空いた大きな袋を渡し、
「栗をとってこい」と言われ出かけました。ぬかふくは、いくら拾っても穴か
ら落ち、それをこめふくが拾いますから、間もなくいっぱいになり、帰ってし
まったのです。しばらくすると、大きな栗が落ち、拾おうとすると亡くなった
母親が現れ、穴を縫い、何でも出してくれる宝の小袋を授けました。その小袋
に「栗よ、出ろ!」というとたくさん出たので、袋に入れて家に帰ったのです
が、今頃まで何をしていたと怒られ、つらい仕事ばかりさせられる毎日が続き
ます。
祭りの日、母親と妹が見にいった芝居を見たいと思っていると、尼さんが来て、
「芝居がもう一幕で終わるところで帰ってきなさい」と言うのです。ぬかふく
は、宝の小袋に頼んで、着物や帯、かんざしを出し、出かけました。ぬかふく
が、きれいなので、人々は見とれました。こめふくが見つけて、「ぬかふくで
はないか」と言いますが、母親は信じません。ぬかふくは、もう一幕で終わる
ことに気づき、あわてて帰ったために、片方の足袋が脱げ、そのまま家へ帰っ
たのです。尼さまが、仕事を片付けてくれたので、汚い着物に着替え、仕事を
していました。帰ってきた母親は、まったく気づきません。
ところで、足袋を拾ったのは、村の大旦那の息子で、嫁にほしいと、作男たち
が足袋を持って探しにきたのです。こめふくにはかせましたが合いません。ぬ
かふくにはかせてみると、ぴったり合うのですが、母親は、「この子は、お祭
りには行っていない」と言いはります。
そこで、お盆の上に皿、皿の上に塩を盛り、塩の上に松葉をさして、歌の詠み
比べをして決めることになりました。見事な歌を詠んだぬかふくが嫁に決まり、
小袋から嫁入り衣装を出して着飾り、かごに乗って若旦那のところへ嫁いだの
でした。     
おばばの夜語り(平凡社6 名作文庫) 新潟の昔話  
水沢 謙一/水野庄三・絵 平凡社 刊 
シャルル・ペロー作の「シンデレラ」ですね。
魔法使いのお婆さんが尼さまに、ガラスの靴の代わりに足袋が、午前零時の刻
限の代わりに、芝居の最後の一幕前に帰る約束、傑作ではありませんか。最後
の決着の方法が「歌の詠み比べ」であるのも、日本人らしいですね。
こめふくの詠んだ歌は、
 よんべな こいた ねこのくそ  水けだった 毛だった
 今朝 こいた ねこのくそ  息 ほやほや
何やらに臭ってきそうな歌に対し、ぬかふくは、
 ぼんさらや さらさら山に 雪ふりて
 雪を根として そだつ松かな
ときれいに決め、作者の意図に拍手を送りたくなります。ぬかふくに、宝の小
袋を渡すのが、生みの親であるところも泣かせます。日本のむかし話、すばら
しいではありませんか。
 
ちなみに、シンデレラ型の類似話は、ヨーロッパだけでも五百を越えるそうで
す。口伝え話をシャルル・ペローが「過ぎた昔の物語ならびに小話」の中に
「サンドリヨン、または小さなガラスのくつ」として再話したもので、グリム
兄弟の作品にも「灰かぶり」があります。「シンデレラ」が有名になったのは、
どうやら、ディズニーのアニメが世界的にヒットしたためだと言われているそ
うです。
「シンデレラの本名はエラ(ELLA)」という記事を見た記憶があるのです
が、その真偽は定かではありません。
 注 再話 昔話・伝説などを、言い伝えられたままではなく、現代的な表現
   の話に作り上げたもの。
 
ところで、「おしん」といえば橋田壽賀子さんの名が浮かびますが、坪内逍遥
にも「おしん物語」があります。
 
“おしんという少女は、ある町の商家のむすめで、十歳の時、実の母に死に別
れた。運わるくも、後の母は、善くない人であった。おこまという連れ子と二
人で、おしんを憎み、父が留守になると、いろいろと無理を言って、いじめる。
裁ち縫いから、拭き掃除、流し元の仕事、走り使いまで、おしんに言いつけ、
髪も結ってやらず、粗末な着物を着せて、下女も同じように遂(お)い使う。
おこまは、それに引きかえて、常普段、絹物ぐるみで、我儘勝手に遊び暮らし
ている。それでも、心だてのよいおしんは、少しも怨まず、すなおに、言う事
を聞いて、仕えていた“
と、冒頭の数行から見れば、おわかりのように、これは私たちがよく知ってい
るシンデレラのお話にほかならない。シンデレラがおしんだって「坪内先生も
シャレているね」と、ほほえましい。坪内逍遥の苦心はさらに細部に行きわた
り、おしんを助けてくれる魔法使いは弁天様、ガラスの靴は扇に変わり、閉じ
た扇の絵柄を正確に当てることがおしんの確認方法となっている。
 明治三十三年発行 国語読本 高等小学校用・巻1より
  (「物語風土記」 阿刀田 高 著 P353~354 集英社 刊)
 
同種の話は、東日本を中心に数十話を超えて分布しているそうですが、逍遥版
シンデレラが教科書にあるのがいいですね。代表作「小説神髄」「当世書生気
質」、「シェークスピアー戯曲の翻訳」などで知られていますが、こういった
しゃれた作品があるとは、全く知りませんでした。早稲田大学校内の記念演劇
博物館前に胸像が立っていますが、とても想像・・・、いや、さすがですね。
 
鬼と並んで「やまんば」は、むかし話に欠かせません。
山姥(やまうば)のことで、地方によって、さまざまな呼び名があります。共
通しているのは、山に住み、その容姿は、髪の毛を長く伸ばし、ぼさぼさで、
口は耳までさけており、背は高くて、力持ちということでしょう。恐いのです
が、親しみの持てる話が多く、これもその一つです。そして、面白いことに、
兄の「だだ八」、弟の「ねぎそべ」、おばあさんの「あかざばんば」という妙
な名前を、たちどころに覚えてしまう子がいます。興味を持ったことは、即座
に記憶してしまうようですね。
 
 ◆ちょうふく山のやまんば◆   今村 素子 著
むかし、ちょうふく山のふもとに小さな村がありました。ある年の十五夜の晩、
お月見の最中に、突然、激しい雨風となり、
「やまんばが、わらしこを持った。もちをついて持ってこい。こなければ、人
も馬も殺すぞ!」
と叫びながら、何者かが屋根を飛び回るのでした。声が聞こえなくなると、も
との月夜となったのです。夜が明け、もちをつきましたが、届ける人がいませ
ん。そこで庄屋さんが、普段から威張っている、だだ八とねぎそべ兄弟に役を
いいつけ、道案内に、あかざばんばを付けてもらい、届けることにしました。
三人とも、やまんばに殺されると思いながら、山を登って行ったのですが、途
中で、血なまぐさい風が吹き、兄弟はおびえてしまい、再び強風が吹くと、も
ちを放り出し、逃げてしまったのでした。ばんばは、もちを届けなければ、人
も馬も食われる。寿命も近いのだから、村人のために役立とうと、登っていき
ます。
やまんばの家に着くと、
 「もちを食いたくなり、ガラを使いにやったが、村人達が迷惑をしたのでは
と心配していた。やまんばは、恐ろしいものではない」
と言うのです。ガラは、四、五才になる子どもで、放り出したもちを取ってこ
いというと、アッという間にかついできますし、すまし汁を作るから、くまを
捕ってこいというと、捕まえてきます。村で暴れたガラだと、ばんばも納得し
たのです。夕方になり、帰るというと、手伝いする者がいないので、二十一日
だけ助けてほしいと頼まれ、暮したのでした。帰る日が来ると、いくら使って
も、もとの一ぴきにもどる不思議な錦をくれたのです。
家に着くと、何と、ばんばの葬式をしていたのですが、元気な姿をみてお祝い
となりました。貰った錦を分けてあげましたが、次の日には、もとの一ぴきに
戻っていたのです。   
その後、村には悪い病気も流行らず、楽しく暮らしたのでした。
  日本むかしばなし 7
  おにとやまんば 民話の研究会 編  松本 修一絵 ポプラ社 刊
 
「さばうりとやまんば」「山んばの桐のはこ」「もちのすきなやまんば」など
も読んであげたい本です。
この本の挿絵では、やまんばは優しい顔をしたお母さんだったと記憶していま
す。なぜ、やまんばは、恐ろしい容貌になってしまったのか、その経緯を述べ
た話が、澤田ふじ子さんの作品にありました。引用文を読むと遠慮したくなり
ますが、全編、肩の凝らない傑作な事件簿です。
 
公家達は、己の腕を顕示するのを欲せず、武士とは逆に、秘匿するのを心得と
していた。それが日本人だけではなく、東洋の文化の精髄というべきだろう。
今でもこの気風は、京都市民の中に脈々と受け継がれている。
その精神を一言でいえば、すべてにおいて世間から目立つことをはばかるのが
それで、知者は山に隠れて〈仙人〉となり、意識的女性は〈山姥〉となるのだ。
山姥は山に住み、怪力を発揮するという伝説的な女。鬼女とも考えられている
が、図様として描かれている山姥が、童子(金太郎)を伴っているのは、知恵
の伝承や再生を願う意味が、そこに込められているからである。
近世から近代に及ぶ民俗学的考察の誤りが、山姥を醜悪で凄惨な女性として決
め付けてしまった。長澤蘆雪の代表作、厳島神社に蔵されている〈山姥図〉
(重文)は、美術史研究の中で、今もこうとしか捉えていないのだ。
(祇園社神灯事件簿 四 お火役凶状 P278-279 澤田ふじ子 著
  中央文庫 刊)
(引用者注 長澤芦雪 江戸時代の絵師、丸山応挙の高弟)
 
パソコンで検索して見ましたが怖い絵で、なぜか、西洋の魔女に似ていて、子
ども達が読む絵本から描いていた山姥のイメージと異なり、意外に思いました。
澤田さんの人気シリーズの一つである「足引き閻魔帳 第4巻 山姥」の表紙が、
長澤芦雪の〈山姥図〉です。アップになっていましたが、すさまじい形相で、
子ども達には見せられません。
 
赤とんぼが姿を表しました。しかし、まだ油断はなりませんね。
(次回は、「日本の神様でしょう 神無月」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2019さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            第8号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (2)
 
前回お話しましたように、話の読み聞かせは、「語彙」を増やし、「イメージ
をふくらます空想力や想像力」、「話を聞く力」、「構成力や思考力」、「表
現力」、「物事に取り組む意欲」といった能力の開発に、はかりしれない影響
を与えています。
しかも、誰かに命令され、要求されて、やっているわけではありません。
子どもは、自発的に、積極的に楽しみながら能力を培っているのです。
        
これだけではありません。
さらにもっとすばらしい能力の開発に貢献しているのです。
しかもそれは、小学校の入学試験で、重要なものばかりなのです。
 
「竜宮城って面白い所だな。絵に描いてみようかな?」
となると、絵画の領域です。
ファンタジーの世界で夢もふくらみます。
絵を描こうとする動機は純粋です。
幼児にとって、この「……かな?」と思ったときが、好奇心の芽を育む、絶好
のチャンスなのです。
「小学校の入学試験に、絵を描かせる学校があるから、絵画教室へ行きましょ
う」
これでは、動機が不純です。
絵を描くことが好きになれるとは思えません。
これは何も絵だけではなく、ピアノや英会話といった早期教育にも同じことが
いえるのではないでしょうか。
応接間の飾りものになっているピアノを見かけますが、ショパンやリストの名
曲を弾いてほしいと、怒っているかもしれませんね。
 
ところで、最近、絵を描くことを、嫌がる子どもが増えていると聞きます。
その原因は、想像力が培われる前に、大人の求める望ましい上手な絵を描くこ
とを、期待するからではないでしょうか。
感性が磨かれていなければ、絵は描けません。
 
[(環境+五感が受けた刺激)×(好奇心+観察力)÷そしゃく力=描かれた絵]
 
妙な式らしきものですが、冗談です。
専門家の先生方に、叱り飛ばされますね。
でも、感性は、子ども自身が、与えられた環境の中で、自らの力で養ってきた
自前の性能ではないかといいたいのです。
親が、注文をつけ始めると、面白くない絵になると思います。
そこには、子どもにはない、大人の感性が入り込むからではないでしょうか。
どなたがおっしゃったのかわかりませんが、大人の手垢のついた絵です。
 
まだ、あります。
昔話をはじめ、子どもの読む本は、善いことを勧め、悪いものを懲らしめる
「勧善懲悪」から成り立っています。
正義は、必ず勝ちます。
倫理、道徳、善悪について、襟を正して教えなくても、きちんと学習していま
す。
いってみれば、お子さま用の「修身、道徳講座」です。
「情操教育の基礎、基本」を学習しています。
このことです……。
    
これからは、わたし流の勝手な解釈ですから、深く詮索なさらずに、さらっと
読み流してください。
3歳頃から、自立が始まります。
そして、毎日、いろいろな経験をしながら、さまざまな感情も培われてきます。
これが、情緒です。
未分化であった情緒が、5歳頃から分化されます。
 
今までは、いってみれば、玩具箱の中に乱雑に入れられていた玩具が、「自動
車はここ」、「縫いぐるみはこっち」、「ままごと道具はあっち」というよう
に、次第に整理される状態になるのです。
まだ、整然とはいきませんが。
つまり、未分化だった情緒が分化され、大人にみられる情緒が表われてきます。
喜び、悲しみ、怒り、恐れ、心配、快いといった情緒です。
ついこの間までは、嬉しくても、悲しくても、お腹がすいても、泣くしか表現
できなかったことを思えば、格段の進歩です。
 
ですから、いろいろな話を聞き、喜怒哀楽など心の動きを誘い起こされ、幼い
なりに、自我を作っていると思います。
大胆にいえば、正しいこと、悪いことの分別を学習しているのです。
修身、道徳講座のシミュレーション学習ではないでしょうか。
 
まだ、あります。
これがもっとも大切だと思います。
お母さんが感情をこめて読んであげると、子どもは真剣に聞きます。
気持ちをこめて聞くものです。
そこから、人の話を静かに、行儀よく聞く姿勢が身につきます。
これは、小学校へ入って勉強するために、きちんと身につけておきたい「基本
的な学習態度、心構え」です。
話が聞けないようでは、いくら漢字が読めても、足し算や引き算ができ、九九
をそらんじていても、学習効果をあげることはできません。
小学校の先生方に聞いてみると、みなさん、そうおっしゃっています。
それほど、話を聞く姿勢を身につけることは、大切なのです。
 
小学校の入学試験も、同じです。
大切なことですから繰り返しますが、ペーパーテストには、答えは書いてあり
ますが、どこにも設問はありません。
話を聞いていなければ、何も答えられません。
行動観察型や他の試験も同じです。
話をきちんと聞き、理解していなければ、どうにもなりません。
合否の鍵は、「話を聞く姿勢ができているかどうか」にかかっているのです。
 
それを、あまり本を読んであげずに、
「人の話は、きちんと聞きなさいと、いつもいっているでしょう、お母さんは!」
恐い顔をして、厳しく、何十回いっても、無駄です。
子どもは、自分の好きな本を読んでもらい、静かに聞くことで、話を聞く姿勢
を、意識することなく、身につける訓練になっているのです。
話を聞けない子になる原因の一つに、話を聞きたがる大切な時期に、読み聞か
せが少なかったことも、あるのではないでしょうか。
 
さらにすごいと思うのは、前にも少し触れましたが、
「言語能力を高めるためのお勉強ですよ!」
といった意識は、お母さんにも子どもにも、まったくないはずです。
自主的に、積極的に、しかも楽しく学習しています。
これこそ「教えない教育」のもっとも効果的な方法ではないでしょうか。
「教えない教育」とは、誤解を恐れず、わたし流にいえば、「本人は勉強だと
思わないのに、ものすごい勉強をしている」ことです。
何かを学ぼうとする気持ち、「学習意欲」が身につきます。
 
しつこいですけれども、まだ、あります。
お母さんの表情豊かな、優しい語りかけが、何よりのスキンシップとなります。
ですから、子どもの好きな本をたくさん読んであげるお母さんは、子どもに慕
われます。
それは、お母さんとお子さんが、同じ土俵に上がり、同じ気持ちで、物語の世
界を楽しんでいるからです。
お母さん方は、こんな荒唐無稽な話などありえないと思っても、また、少し抵
抗を感じる言葉があっても一切、無視して、子どものレベルに合わせて読んで
あげています。
視線は同じ高さですから、心が通うのです。
視線の高さが違ってくると、命令と忍従の関係になりがちで、そこには、教え
てあげるという姿勢が表われ、子どもがもっとも嫌う母親に変身するからです。
 
しかし、一つだけいっておきましょう。
いくら本の読みきかせがすばらしいといっても、お子さんが興味を示さない本
では、あまり効果はありません。
「少年少女 世界名作全集 全十巻」など買いそろえても、無駄かもしれませ
んね。   
「本当は、『かちかち山』の話をしてほしかったのに……」
こういったずれは、小さいときからありがちです。
気をつかってください、無神経は駄目です。
 
一緒に図書館へ行って、最初は、お母さんが選んであげ、あとは、お子さんに
任せてみましょう。
そして、お子さんが選んだ本は、たとえ年齢にふさわしくない幼い内容であっ
ても、いやな顔をせずに読んであげ、自分で選べたことをほめましょう。
それから、お母さんの勧める本を選んであげる、こういった手続きも必要です。
読書の芽は、自主的に育まれなければ、親が期待するように育たないからです。
 
また、図書館には、紙芝居がたくさんあります。
本に興味を示さない場合は、これを利用しましょう。
ビデオと違い紙芝居は、親子で向き合いますから、お子さんの表情がよく見え、
話を理解しているかだけではなく、どういったことに感情が刺激されるか、何
に興味があるかなどがわかるからです。
 
このように幼児期は、知識を詰め込み、文字や数字を使った計算を教えるより、
心をこめて本を読んであげ、心の通った会話がたくさんできる環境を作るべき
です。
そういう時期なのです。
 
小学校受験でもっとも重視されるのは、「話を聞く姿勢ができているかどうか」
なのです。
そこから、ご両親の育児の姿勢がわかります。
普段から、会話が弾み、本をたくさん読んであげる環境であれば、自ずと培わ
れてくる能力だからです。
これは、塾や幼児教室だけに任せて身につく力ではありません。
ご両親が、ご家庭で育てていくものです。
  
小学校受験の第一歩は、ここから始まり、合格を勝ち取る力となることを忘れ
ないでいただきたいと思います。
 
幼稚園も始まります。健康管理には十分、注意してあげましょう。
(次回は「数感をみがこう」についてお話しましょう)
 
拙著のメールマガジン「さわやかお受験のススメ 保護者編 情操教育歳時記
 日本の年中行事と昔話」は現在41号まで配信されています。ご家庭で年中
行事と昔話を楽しんでいただくことを目的に手がけたもので、11月から新版
を配信する予定ですので、参考にしていただければ幸いです。  

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>お子さん編

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第60号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★説明会情報★
 
9月9日(土)
東洋英和女学院小学部 午後1時 出願者対象の説明会
 
立教小学校(第3回目)  9時30分開始
 
光塩女子学院初等科 (第2回目) 10:15~11:30
          公開授業は8時から 上履き持参
 
9月10日(日)
学習院初等科 入試説明会 10:00~11:00
       入学試験要項(当日も販売)・参加票持参 
       場所は学習院創立百周年記念会館正堂(目白)
 
成城学園初等学校 (第2回目)10時開始  要 予約
 
9月13日(水)
田園調布雙葉小学校(第2回目) 10時開始 要 予約
 
※HPで、予約の有無、日時、持参するものなどを確認してお出かけください
 
お子さん編
ほとんどの場合、質問は、お子さんから始まります。
緊張をほぐすために、名前や生年月日、幼稚園(保育園)のことなどから聞く
ようです。
しかし、住所や電話番号は、通常、あまり聞かれませんから、うまくいえな
い場合があります。
そんな時、ほとんどの子ども達は、お母さんを見ます。
すると、お母さんは、
「東京都新宿区………」とやりがちです。
これはどうでしょうか。
住所や電話番号を、面接のために記憶させていると、こうなりがちです。
言えないと「減点される」と思っているのではないでしょうか。
ですから、答えなるものを、すぐに教えてしまうのです。
「ほら、迷子になったとき、どうする約束でしたか」などと、二人だけでわ
かるヒントを出せるお母さんであってほしいのです。
遊園地やデパートなどで迷子になったとき、何が頼りになるでしょうか。
名前と住所を言えば、すぐに探してもらえることを知っていれば、お子さん
も覚えるはずです。
自然災害を含め、緊急事態が発生した場合、電話は連絡に欠かせないもので
す。
いずれも、面接のために覚えることではなく、自力で物事に対応しなければ
ならない時のために、身につけておかなければならない知恵ではないでしょ
うか。
 
「幼稚園(保育園)は、楽しいですか。仲良しのお友達の名前を教えて下さい」
幼稚園が楽しく、友達がたくさんいれば、すぐに答えられるでしょう。
こういった質問からは、集団生活への適応力である社会性や協調性が育まれ
ているかがわかります。
幼児への質問は、日常の生活が中心となっていますから、難しい質問はない
はずです。返答に詰まったときは、「答えられなくてもよい」とは言いませ
んが、面接官が、ご両親の態度を見ていると思えばいいでしょう。
余計な口出しをせず、温かく見守り、お子さんがわかるヒントを出せる保護
者であってほしいのです。
その時には、面接官に、「よろしいでしょうか」と一言、確かめることもお
忘れなく。
 
絶対にやってほしくないのは、お子さんの回答を訂正することです。
親子面接の指導をしているときに、こういったことがありました。
「何人家族ですか」
「はい、5人です」
お父さんが、あろうことか、「えっ!」といって、少しですが、笑ったので
す。
「違うでしょ、4人ですよ」
お母さんが、あわてて、恐い顔をしながら、間違いであることを指摘しまし
た。
びっくりしたのは、答えたお子さんです。
これはまずいと思い、すぐに質問をしました。
「5人家族なのですね。では、どなたがいらっしゃるのかな」
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん……、ぼくと……、ポチです」
お母さんを気にしながら、小さな声で答えました。
ポチは、いうまでもなく犬ですが、みんなでポチを可愛がっている様子が伝
わり、微笑ましいではありませんか。
犬を家族に入れたから、「常識外れで減点!」などと考えにくいことです。
あわてて訂正したお母さんこそ、「保護者として失格!」、マイナス点がつ
くと思います。なぜなら、その質問を境に、お子さんはそわそわし始め、そ
れまでの元気な姿が見られなくなったからです。
笑ったお父さんは、その後のお子さんの様子を見て、後悔したのは言うまで
もありません。
お子さんは、質問の内容を理解し、自分の言葉で、堂々と答えたのですから、
うなずいてあげるべきです。
お子さんの回答を訂正することはもちろん、笑うなどとは、保護者としてす
ることではありません。
 
お父さんに関する質問で、お子さんが困った顔になるのは、お父さんの仕事
です。
「お父さんは、どのようなお仕事をしているのですか」の質問に、「国家公
務員です」と「みんなのために役に立つお仕事です」との答えでは、どちら
が子どもの答えとして、ふさわしいでしょうか。
「サラリーマン」では、わかりません。
お子さんは、お父さんの仕事を、きちんと説明できますか。
こういった質問から、普段の親子関係がわかるとは言いませんが、仕事はご
自身の生きがいと考えれば、あだやおろそかに出来ないのではないでしょう
か。
「お父さんは、ぼく達のために一生懸命に頑張っているんだ!」
と思っていないお子さんは、いません。
 
「お子さんがわかるように、ご主人のお仕事を説明して下さい」といわれた
場合、どうお話ししますか。模擬面接でも戸惑うお父さん方が多いですね。
「お子さんがわかるように」が、難しいのです。お母さんにも同じ質問をし
てみると、どうしたわけか、ご主人以上に説明ができませんね。「主人には
感謝しています」などといっても、空々しく聞こえるだけです。
ご両親共に、お子さんにわかるように説明しておきましょう。
 
姿勢の崩れるお子さんもいます。
質問を聞きながら、足をぶらぶらさせたり、手を机の上に乗せたり、女の子
は、スカートを握りしめるなど、落ち着かなくなり、姿勢の乱れる場合があ
ります。
普段から、食事のときなど、だらしなく食べているお子さんは、その通りに
しますから問題外として、心配なのは、緊張のあまり、本人が気づかずに、
そのようにふるまうことがあるのです。
姿勢の乱れた姿など見たこともないお母さんは、びっくりしてしまい、あわ
てて手足をたたいたり、手を膝に戻したり、心配のあまり、膝をつねってし
まうお母さんもいます。もっとすごいお母さんになると、恐い顔をして、に
らみつけます。
これもどうでしょうか。
本人は緊張しきって、無意識にそういった動作をしているにすぎないのです。
何もしなくてよいとは言いませんが、やはり、修正をしなくてはならないで
しょう。
 
これはいいなと思ったお母さんがいました。
「タロウくん、足が笑っていますよ」
と、やさしくいったのです。
気づいた本人は、お母さんを見て、手で頭をかくような仕草をし、照れ笑い
しながら、腰を少し前に進めて、足をしっかりと床につけ、手はお膝になり
ました。
お母さんは、「申し訳ありません」といった気持ちを表すかのように、軽く
会釈をしたのです。
見事でした。
お子さんが緊張した場合、どのようなことをするか、よくわかっていて、椅
子に浅く腰掛けて訂正する方法を、親子で体験済みだったのでしょう。
これが保護者の役目ではないでしょうか。
 
また、本人の質問が終わり、ご両親の番になると、今度は緊張感から開放さ
れ、退屈になり、姿勢の崩れることがあります。
模擬面接のときに、男の子には、「お父さんやお母さんがお話をしている間
は、手をひざに置き、背を伸ばして聞いているのが、一番、かっこいいのだ
よ」、女の子には、「一番、かわいいのですよ」と話しています。
「じっとしているんですよ!」だけでは、ほとんど効果はありません。
親が話をしているとき、終わるまで静かに待てる方法を考えてあげましょう。
 
昨年は、暁星小学校が、お父さんとお子さんがゲームをし、その様子を両親
に聞くといった形式で行われましたが、狙いは、3人が醸し出す雰囲気から、
日常生活の様子を判断したのではないでしょうか。つまり、面接のための定
番的な訓練は、「役に立ちませんよ」と言いたかったのではと考えますが、
さて、今年はどうなるでしょうか。
 
最後に、苦言を一言。
家庭学習で苦手な問題にとり組む時には、細心の注意が必要です。
繰り返しますが、幼児がわからないといった時は、本当にわからないのです。
お子さんがわかるように工夫してください。
「何でできないの!」といった不用意な言葉がけ、今までの自信を崩すこと
にもなりかねません。
お子さんが萎縮するようなやり方だけは、絶対に止めましょう。
 
幼稚園も始まります。夏の疲れが出やすい時、健康管理には、十分に気をつ
けてください。
(次回は、「ご両親の面接」についてお話をしましょう。)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 8

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第42
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面接ケース・スタディ編(8)
    「違うでしょって、何が……?」
 
面接の中で、お子さんにパズルや積み木の模倣構成(手本を見て同じ物を作る
問題)をさせる場合があります。パズルなら3分割、積み木も3個から5個ぐ
らいです。
 
こういうお母さんがいました。
「先生が作ったのと同じものを作りましょう」
お子さんが、チラッとお母さんを見ます。
「早くやらなくては駄目でしょう!」
お母さんの顔は、そういっています。
言葉に出さなくてもわかります。
お子さんはお母さんの顔を時々見ながら、不安そうに取り組んでいるからです。
完成したのですが、1つだけ積み木が裏返しになって、私の方から色が見えま
せん。
「どこか、おかしくありませんか?」
こう聞こうとした、その時です。
裏返しになっている積み木を指差しながら、
「ほら、左の積み木、先生から色が見えないでしょ!」
年長さんでも、左右をはっきり理解できていないお子さんがいます。
先生方の面前で間違いを指摘したことと合わせて、このお母さんを、どう思わ
れますか。
 
こういうテストの目的は、先生の指示を聞き取る力、お手本をしっかり見る観
察力、構成力、そして、自分自身の力で取り組む意欲など、2、3歳児にふさ
わしい能力が培われているかを見るわけです。
極端にいえば、やってみようとする意欲です。
とにかく、初めての場所で、初めて会った先生の指示を聞き行動できるかどう
かでしょう。
 
できないと泣き出す子もいます。
お子さんは、頑張ったではありませんか。
自分で一所懸命に取り組めたのにもかかわらず、「何ですか、お母さんは」と、
叱りたくなります。
この一言で、普段の育児の姿勢がわかるではありませんか。
「子どもの自主性を尊重した育児を心がけて……」
とおっしゃっても、信じられませんね。
メッキが、はげただけではないでしょうか。
幼児の知的能力とは、記憶された知識の量ではなく、体験を通して身につけた
知恵の量です。
知恵は、試行錯誤を積み重ねながら、身体全体で覚えるものです。
そこには、自分で考えながら取り組める、たのしい環境があるはずです。
うまくできなくても、失敗しても、
「そこまでできたのだから、頑張ってごらん!」
と励まされていれば、頑張るのが子どもです。
何とかしようと考えることから工夫力が、夢中になって取り組むことから集中
力が、できたことから次の課題に挑戦する意欲などが培われます。
 
「違うでしょう、こうでしょ!」
口を出し過ぎ、手を貸し過ぎていると、過保護、過干渉になりがちで、
「ママがやってくれるからやめよう!」
「間違えると怒られるからやぁめた!」
となりがちです。
自分からやろうとせずに指示を待つ子が増えているのは、こういった育児の姿
勢や、環境が、大きく影響しているのではないでしょうか。
お母さん方の大好きな考える力や、できるまで頑張る意欲や集中力、お母さん
の手助けを嫌う自主性などが育たないことを知ってほしいですね。
 
幼児のテストは、結果だけを評価するのではありません。
どのように取り組んだか、その過程、プロセスを見ている場合が多いものです。
結果だけにこだわるお母さん方には、幼児期に培う大切なものを失っているこ
とに気づいてほしいといいたいですね。
 
「ボクが、気づくまで教えないで!」
そんな叫び声が聞こえませんか。
聞こえていたら、絶対に手を出しませんし、口をはさまないと思います。
 
しつこく繰り返しますが、3歳になっても、お子さんのやっていることを見て、
口を出したくなるのは過干渉、手を貸したくなるのは過保護と考えましょう。
年長さんになっても、口を出し、手を貸すお母さんがいる時代です。
いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉ですね。
まだ、危険なことをしますから、監視の目は緩めてはいけませんが、あたたか
く見守ってあげ、待ってあげるお母さんになってほしいと思います。
モンテッソーリ教育を解説した相良敦子氏の著書に「ママ、ひとりでするのを
手伝ってね!」(講談社 刊)がありますが、3歳は、そういう時期に入って
いるからです。
 
夏の疲れが出る頃ですね。お子さんの昼寝には、お母さんも付き合いましょう。
(次回は「ケース・スタディの最終回」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です 長月(3)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第42号-
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第11章  お月見です   長 月(3)
  
★★菊花の約★★
突然、文学の世界に入りますが、“エニシング・ゴーズ”、何でもありの歳時
記です。
上田秋成(1743ー1809)の著作「雨月物語」に、“菊花の約(ちぎり)”があり
ます。 約束した帰国する日を守るために、自ら命を絶ち、霊魂となって百里
の道を帰ってきた話ですが、その約束の日が、9月9日の重陽の節句でした。
義兄弟の盟をした比左門と赤穴が、再会を約束する場面は、
  『重陽の佳節をもて帰り来る日とすべし』
菊の花を飾り、お酒の用意をして待っていますから、この日を忘れないでくだ
さいと、あります。
義兄弟の男の約束ですから、菊が似合います。桜や桃の花では、いささか華や
かすぎて霊魂になって帰れない雰囲気があります。この「菊花の約」の序が好
きでした。
 
『青々たる春の柳、家園(みちの)に種ゆることなかれ。交わりは軽薄の人と
結ぶことなかれ。
楊柳茂りやすくとも、秋の初風の吹くに耐めや。軽薄な人は交わりやすくして
亦速なり。楊柳いくたび春に染れども、軽薄の人は絶えて訪ふ日なし』
 (「雨月物語」巻之一 菊花の約 上田秋成集 
  日本古典文学大系 56 岩波書店 刊)
          
「柳は庭に植えるな、軽薄な人とはつきあうな、といったむかしの人がいまし
た。柳という木は、春の若葉こそ青々しく美しいものですが、秋風がふくとた
ちまち葉を落としてしまい、紅葉を楽しむひまもありません。
軽薄な人間も、気やすく近づいてきて、はじめのうちはまるで親友のようです
が、はなれていくのもはやく、いざというときのたよりにはなりません。
柳の木は、春がめぐってくると、また若葉の美しさを見せてくれますが、軽薄
な人は二度と戻ってこないでしょう。そんな人とはつきあいたくないものです。」
  [少年少女古典文学館 20 雨月物語(9頁)
   佐藤 さとる 著  株式会社 講談社 刊]
 
柳1本で、これだけのことを学べます。
古典は、その民族の歴史であり、歳月とともに培われ、伝えられてきた教養で
あり文化です。お子さんが世に出る頃は、学歴ではなく品格を備えた知性や教
養が重視されていると思います。そのためにも、「古典に親しみましょう」な
ど、小賢(こざか)しいことを言うのではありません。ご両親は、ご自身の教
育観を持つことが大切で、それを礎に子ども達は育っていくからです。
 
「模倣犯」で活躍したフリーライターの前畑滋子が、再び登場する宮部みゆき
さんの「楽園」には、両親に殺されてしまう茜(あかね)という少女がでてき
ますが、小説の世界だけの話ではないと考えさせられました。
 
「わたしがちゃんとできないのは親が愛してくれないから。先生が不親切だか
ら。環境が良くないから。みんな言い訳ですよ。(中略)何でもかんでも自分が
自分がと主張するくせに、悪いことやまずいことだけ他人のせいにするなんて、
正しい日本人の考えではありません。
輸入者の思想です。昔から日本人は、まず我が襟を正すという生き方をしてき
たのです」 
((楽 園) 下巻 宮部 みゆき 著 文春文庫 刊 P296-298) 
 
華道の先生に言わせるところがいいですね。
「襟を正して生きる」ではないでしょうか。汚れている襟に気が付かない親が
多くなりました。気持ちは分からなくありませんが、わが子だけかわいいでは、
後々困ったことになるのは子どもたち自身です。「KYJM(空気読めない自
己中ママ)、何でも人のせいにして責任を取らないママ」のことだそうですが、
そういった母親に育てられるとどうなるか、その答えは、いろいろな形で表れ
ているのではと思います。「自己を主張できるが、責任を取らない子」は、幼
児期の育児が過保護であったのではないでしょうか。何でも母親が尻拭いをし
ていては、困難にぶつかった時にどうすればいいかわかりませんから、逃げ出
すことになります。信頼関係など生まれるわけがないのです。同級生とさえう
まく関われない若者が増えているようですが、ポケットに手を突っ込んで、ボ
ーッとしていて友達なんかできないでしょう。
友とは、己れの存在を認めてくれ、共有できる価値観を持ち、共に生きる共生
の素晴らしことを教えてくれる、有り難い存在です。本当に、「在り難い」の
です。己れを認めてくれる教養を身につけ、品格を磨くべきで、自己中では友
はできません。どのような襟を持つか、それが育児の姿勢ではないでしょうか。
 
大阪で起きたとんでもない育児放棄事件(2010年8月)、襟を正すべき母
親が、襟を正さないとどうなるか、どんな母親であったかは知りませんが、新
聞で見た桜子ちゃんと楓ちゃんの笑顔が、哀れで、悲しくて、情けない。何も
食べ物がない冷蔵庫を開ける桜子ちゃん、その刹那を思うと……、最後につぶ
やいた言葉は、「ママ?」ではなかったか。(合掌)    
(2012年3月 無期懲役の判決が出ました)
 
放映された宮部さんの「ペテロの葬列」は、ご存知のように「誰か」「名も無
き毒」(トラブルメーカー、原田いずみには仰天!)に続く杉村三郎シリーズ
の第3作です。キリストの弟子であることを三度否認したペテロですが、杉村
氏は二作とも「理解されない人」になり、三作目でも理解されない人として、
とんでもない結末を迎え、唖然とさせられました。宮部さんの作品には、いつ
もドギマギさせられながら読んでいますが、クリスマスの未明、一人の中学生
の転落死、殺人か自殺か。学校内裁判の始まり、「ソロモンの偽証」、文庫本
で6巻、読ませてくれました。映画化されましたから見た方も大勢いるのでは
ないでしょうか。6巻の最後、20年後の偽証、「負の方程式」、何だと思い
ました(笑)。
 
閑話休題。
「雨月物語」は、9つの話から成り立ち、前の話が後の話のテーマになってい
ます。一時、ホラーブームなどで、奇怪な映画が、若者たちに受けていたよう
ですが、この「雨月物語」こそ、知的怪異小説ですね。しかも、現実に起きそ
うなことだけに、そら恐ろしい気持ちになります。200年前の江戸時代の人
々の恐怖感は、大変なものだったと想像できます。
「浅茅が宿」は、死んだ妻に再会し、翌日、それが幽霊だった話。
「吉備津の釜」は、真心を裏切られた魂が、悪鬼となって復讐する話。
「蛇性の婬」は、中国の「白蛇伝」と同じで、東映のアニメでみた記憶があり
ますが、2匹の蛇が、これでもかと追いかける恐い話です。熊猫のようなパン
ダにお目にかかったのは、この映画ではなかったかと思います。
現代人が、とかく忘れがちな人間の情愛が、科学的な冷静な目で否定しがちな
不可思議な現象、とはいっても何もわかりませんが、怪異の世界でしっかりと
生きていることが、何とも新鮮な感じがします。「物足りて、心を失う」です
か……、科学って、何なのでしょうね。
 
ところで、秋成のもう一つの代表作「春雨物語」には、紹介したい話がありま
す。それは、「捨石丸」で、読まれた方なら直ぐに、菊地寛の「恩讐の彼方」
と同じ題材だとわかります。耶馬蹊(大分県北西部にある渓谷)の岸壁を掘り
抜く話は、実話に基づくもので、その岩穴の道は「青の洞門」と呼ばれ、今も
残っています。また、昔話にも「捨て石丸物語」として語り伝えられています。
耶馬蹊の命名者は、第1章で「京都五条の帯屋の娘」で紹介しました江戸時代
の儒学者、頼山陽といわれています。
 
★★江戸時代の時の数え方★★
何かないものかと探していましたら、やはり、ありました。
江戸時代の「時の数え方」です。当時は、午前零時、午後零時(正午)を「九
つ」といい、「2時間を一時(いっとき)」とし、そこから2時間ずつ、ずら
して八つ、七つ、六つ、五つ、四つという数え方をしていました。面白いこと
に、「九つ」から始まって、「八つ」 「七つ」と減っていくのですから、現
代人の感覚だと戸惑います。しかし、これにはきちんとした理由があるのです。
掛け算の九九のお出ましです。
 
まず、鐘を9つ打つ時刻、午前零時、午後12時を「九つ」どきとして、次に
9の2倍の18を打つのですが、真夜中に18も鐘を打たれては、おちおち寝
ていられません。18では多すぎるので、十の位を除いて、2時間後の午前2
時に8つ打ち「八つ」として、以下、
  9×3=27で、十の位を除いて午前4時に7つ打ち「七つ」、
  9×4=36で、十の位を除いて午前6時に6つ打ち「六つ」、
  9×5=45で、十の位を除いて午前8時に5つ打ち「五つ」、
  9×6=54で、十の位を除いて午前10時に4つ打ち「四つ」、
元に戻って、午前12時が「九つ」、午後2時が「八つ」、午後4時が「七つ」、
午後6時が「六つ」、午後8時が「五つ」、午後10時が「四つ」、そして午前零時
が「九つ」と、こういう仕掛けなのです。
 
素朴な疑問ですが、なぜ10から始めなかったのでしょうか。
その理由は、陰陽思想では十を完全な数として数の頂点と考え、十は最上のた
め満ち足りると次はなくなってしまう、満月が欠けていくのと同じで、九を陽
(奇数)の最上、八を陰(偶数)の最上の数と考え神聖視していたことによる
ものです。
余談になりますが、聖徳太子の「十七条の憲法」は陰と陽の最上の数を足した
もので、陰陽思想の影響を受けてできたと言われているそうです。
 
また、時刻の決め方も世界標準時間などない頃ですから、こういったことで決
めていました。
 
江戸の時刻は、太陽の上るのを明(あけ)六ツとして、日没を暮六ツとして、
その間を六等分して昼の一刻を決める。夜は日の入りから翌朝の日の出までを
やはり六等分して夜の一刻は決められた。従って、夏は日が長いので、昼の一
刻が夜の一刻より実際には長くなった。
(御宿かわせみ 16 八丁堀の湯屋 P250 平岩弓枝 著 文春文庫 刊)
 
ところで、東京地方の民謡に、この時を表した「お江戸日本橋」があります。
「七つ」を現代の時刻7時と考えると、おかしな歌になってしまいます。東海
道五十三次を歌った長い歌で、全部残っている資料もあるそうで、興味のある
方、パソコンでご覧ください。
 
   お江戸日本橋 七つ立ち
   初のぼり
   行列そろえて アレワイサノサ
   コチャ 高輪`
   夜明けて 提灯(ちょうちん)消す
   コチャェ コチャェ
              
大名の参勤交代の行列を表した歌で、七つ(午前4時)に日本橋を出発し、「下
に~、下に~」の掛け声でゆっくりと進み、高輪で明け六つ(午前6時)を迎え
て提灯の火を消す、のんびりとした行列であることがわかります。正月恒例の
箱根駅伝、スタートの有楽町から高輪まで、あっという間ですから。歌詞に
「初のぼり」とありますが、江戸時代は京都へ行くのを上りといい今とは逆に
なっています。当時の都は京都で、明治に東京へ遷都されて東京が都となり、
東京へ行くのが上りになりました。
日本橋は現在のコンクリートの橋を架けてから、平成23年10月で百年にな
りましたが、橋の上を高速道路が走り、窮屈で無残な姿になっています。あの
関東大震災や東京大空襲にも耐えた橋であり、親柱には「東京市の守護神・獅
子像」と「15代将軍徳川慶喜の揮毫(きごう)した銘板」が設置されている
由緒ある橋で、もっと優しく保存してあげるべきではないでしょうか。
 
ところで、小江戸と呼ばれる川越には、江戸時代の風情を今に残す蔵造りの家
並みを見下ろすように、「時の鐘」がそびえたっています。鐘楼の高さは
15.9メートル、トタン屋根三層作りの木造で、階段はありますが上れませ
ん。毎日6時、正午、15時、18時の4回、時を告げ、平成4年(1996)
に環境庁主催の「残したい日本の風景百選」にも選ばれています。
時の鐘は、今から400年前に創建されたといわれ、現在建っているのは4代
目。明治26年に起きた川越大火災後に再建されたもので、耐震診断の結果、
「倒壊の恐れあり」と判明。完成は今年の12月、明治27年の再建当時の姿
に戻す復元工事も実施されるので、ある期間シートで覆うため姿を消すことに
なりました。塔の下で売っている名物の焼き団子、何とも香ばしい匂いに、素
通りできません(笑)。
 
最近、きかれなくなった落語に、「時そば」と題した噺があります。
ちょうど九つどきに、屋台のそば屋で勘定を払う男が、細かい銭で済まないが
と、数えながらおやじさんに渡します。
「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ」
ここまできたとき男が、いきなり、時間を聞きます。
「何どきだい?」
「へぇ、ここのつで…!」
とおやじがいうと、九文目を払わないで、
「とお、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろ
く、ごちそうさん!」
と、九をうまくとばして、お客さんが一文、見事にごまかします。 
これをまねた男が、今度は時を間違えて、多く払うはめになる話です。この噺
は、関西では「時うどん」になりますが、薄く透き通った関西風の味も、こた
えられません。やはり、この時の数え方も、訳ありでした。
 
「ひい、ふ、みい」は、漢字の訓読みですが、これを覚えておくと、日付の読み
方に役に立ちます。
一日を除き、「ふつか、みっか、よっか、いつか、むいか、なのか、ようか、
ここのか、とおか」となっています。十一日、十二日、十三日と音読みになり、
十四日は「じゅうよっか」と音訓読みになり、二十日は「はつか」となり、幼児
には、難しい読み方になっています。「ついたち」は、一月に紹介しました
「十二支の話」を思い出してください。毎日、カレンダーを見ながら、「今日
は、9月4日、金曜日」とやっていると、無理なく覚えらます。以前、「日づ
けの歌」を紹介しましたが、お役に立ちましたか。お読みにならなかった方、
YouTubeで見ることができます.
 
★★防災の日★★
9月1日は防災の日です。
ご存知のように、大正12年(1923)に、関東大震災が起きた日です。
「災害は、忘れた頃にやってくる」と言いますが、3年前に東日本大震災が起
きました。当時、防災非常袋などに、飲料水や非常食、着替え、乾電池などを
用意し、万が一に備えていた方は、少なかったのではないでしょうか。用意し
た飲料水などの消費期限(Use by date)をチェックし、想定外の災難に遭わ
ないように心がけましょう。幼稚園や小学校でも避難訓練をやっていますが、
小さい子ども達は、自分で身を守るすべを知らないものです。幼稚園、小学校
にいる場合は、万全の態勢で臨んでいますから心配ありませんが、一人で外に
いる場合どうしたらよいか、しっかりと教えておきたいものです。
 
東日本大震災が起きるまでの学校選びは、「子どもの足で通える学校」でした
が、「子どもが安心して通える学校」となりつつあるようです。私立小学校が
1校しかなかった埼玉県は5校に増え、神奈川県では、慶應義塾横浜初等部
、日本大学藤沢小学校が開校し30校に、茨城県では、つくばみらい市に開智
小学校が開校し7校になりました。千葉県の7校の内3校は、新装改築し教育
環境の充実をはかっています。ちなみに東京は54校です。
就学児童が減っている中で開校する学校側の狙いは、「安心して通える地元の
学校」ではないでしょうか。「教育は国家百年の計」ともいわれていますが、
地方の教育が充実するのは、長い目で見れば、わが国の教育のためにも歓迎す
べきことだからです。
 
最後になりましたが、今年の二百十日(立春から数えて210日目)は9月1
日。この時季に、稲は花開き実を結びますが、台風が日本列島を襲い、農作物
が被害を受けるため、お百姓さんには厄日といわれ、奈良県大和神社の「風鎮
祭」、富山県の「おわら風の盆」など、各地で台風に暴れられないように、風
雨を鎮めるお祭りが行われています。
なお、二百十日は。2020年まで、ずっと9月1日で、閏年(うるうどし)
だけ8月31日になるそうです。
 
かまびすしい蝉の声が、静かになり、「秋、近し」。実感しています。
  (次回は、「9月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2019さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            第7号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 (1)
 
本を読んであげる「話の読み聞かせ」は、とても大切です。
ビデオやDVDなどで見る「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」
などのアニメの作品は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛りあげる音楽や
効果音まで駆使し、瞬く間に物語の世界へ誘い込まれ、楽しいものです。
これほど便利なものはありませんが、反面、幼児が疑問を抱いても、教えてく
れない不便な点もあります。
幼児には、ご両親の生の声が何よりです。
5歳頃になると、絵が主役であった絵本から、字の多い絵本に変わり、話も筋
道立てて進む物語になっていると思います。
 
ここで、お母さんに本を読んでもらっていることを少し考えてみましょう。
読んでもらっているときの子どもの頭の中は、どうなっているのでしょうか。
絵を見ながらですから、お母さんの読んでくれる言葉を絵に置き換える、映像
化するといった作業が、フルスピードで進んでいるのではないかと思います。
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が浮かんでいるのでしょう。
ところが、聞いたことがない言葉が出てくるとストップがかかります。
「お母さん、オニタイジって、どういうこと?」
やさしいお母さんは、お子さんの言葉に置き換えて説明します。
そこでお子さんは意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚え、「語彙」が増え
ます。
 
そして、一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツと言
いながら絵本を見ています。
あれは、本当に不思議ですね。
おそらく、読んでもらった本が面白かったから、お母さんの言葉を思い出しな
がら確かめているのだと思います。
絵を見ながら、記憶した言葉をもとに映像を描き、イメージ化しているのです。
考え、想像しているのです、しかも「言葉」でです。
これは、すごいと思いませんか。
それが証拠に子どもは、とかく同じ本を何回も繰り返し、飽きもせずに読んで
くれとせがみます。
それも読んでいる途中に、
「ママ、ありがとう。そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
そのところを忘れてしまったのかどうかわかりませんが、話が進まなくなり、
イメージ化が中断してしまうのです。
読んでもらってつながったから、そこまででいいのでしょう、あとは覚えてい
ますから。
話を一所懸命に覚えようとしているのに違いありません。
そこから「記憶力」がつきます。  
 
さらに繰り返し読んでもらうことで、描かれた映像は、より鮮明になり、そこ
から、「空想力や想像力」が培われるのではないでしょうか。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
昔話だけではありませんが、幼児の読む本は、「起承結」で成り立っているの
ではないでしょうか。
「起承転結」の「転」はなく、話は複雑になっていません。
 
江戸時代の漢学者、頼 山陽が、漢詩を説明するために「京都西陣帯屋の娘」
と題して、面白い例を残しています。
 
   京都西陣帯屋の娘   (起)
   姉は十八、妹は十六  (承)
   諸国の大名は刀で殺し (転)
   姉妹二人は目もとで殺す(結)
 
「ショコクノダイミョウって、ナンですか?」
余計なものが入ってくると、すっきりしなくなります。
帯屋の娘の話は、帯屋の娘で終わらなければ、子どもは承知しません。
桃太郎が、鬼退治をしたついでに、海賊までやっつけるとはなりません。
すっきりと終わって、「めでたし、めでたし」が、昔話には欠かせない決まり
です。
 
さらに物語は、「序破急」と快適なテンポで進みます。
浦島太郎の竜宮城で過ごしたひと時が、何十年であっても何ら差し支えありま
せん。
話は快く聞けるように仕組まれていますし、単純明快ですから、「話を理解す
る力」がついてきます。
 
しかも、話は、
「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」
で始まります。
「むかし、むかし」は、「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかり
ません。 
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もさだ
かではありません。
みんな「あいまい」です。
その「あいまい」なままに、話は、「何を」「なぜ」「どのように」と展開し
ます。
これも考えてみると大変なことです。
 
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合なことはあり
ません。
奈良時代であろうが平成時代であろうと、北海道だろうが沖縄であろうと、み
んな、「むかし、むかし、あるところで」で済ませてしまいます。
時代考証も、場所の設定も、登場する人物像をイメージ化する面倒な説明もあ
りませんから、すっきりとした気持ちで話に入っていけるのです。
 
これを仮に、
「江戸時代の元禄十五年、大晦日をむかえる二日前の朝、上総の国は蒲郡、大
字蒲、字大和村の一本杉の近くに、四代目の山之上太郎左衛門というじいさま
と花というばあさまが住んでいました」
とやられては、聞いてみようかなという気持ちにもなれないでしょう。
「ママ、もう眠いから……」
こうなるに違いありません。
 
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   なにを(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
といった[5W+1H]から成り立っていますが、これは文章を書くときや情
報を伝える時の基本で、小説や新聞、テレビのニュースなども、この形式(フ
ォーム)で構成されています。
ということは、話を聞きながら[5W+1Hのフォーム]を、小さいときから
学んでいることになります。
これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
もちろん、子ども達が、「いつ、どこで、だれが」などと意識して聞いている
わけではないでしょうが、理路整然とセオリーどおりに話は進んでいきますか
ら、楽しく話を聞き、その話を覚えることで、筋や物事を考える、「思考力や
構成力」が、おのずと身についてきます。
 
そして、子どもは、話を覚えると話したがります。
誰かに聞いてもらいたいのです。
それには、自分自身が話をよく理解しなければできませんから、そのための訓
練が、自発的に始まります。
それが、「表現力」につながります。
しかも、「覚えなさい!」といわれて覚えたのでもなく、「話してみなさい!」
といわれて訓練したものでもありません。
自ら、積極的に努力して得た力です。
 
こんなに大切な能力開発を、誰にもいわれずに挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『桃太郎』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。桃太郎が猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治にいく話
だろう!」
と無造作に応じてしまっては、せっかく積んできたトレーニングの成果を試せ
ません。
子どもは、話したいのです。
成果を試したいのです。
 
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」
とやさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
そして話し終えた時には一言、「よく覚えたな、偉いぞ!」とほめてあげるこ
とです。
お父さんにほめられて、不愉快になるはずはありません。
「よし、今度は『カチカチ山』を覚えるぞ!」
となり、新しい話に挑戦します。
記憶力どころか、「物事に取り組む意欲」を培うことになります。
しかも「自発的」にです。
 
台風一過の猛暑はどこへいったのやら、涼しい日が続いていますが、お子さん
の健康管理には十分に気を付けてください。
(次回は、「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(2)」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第59号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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面接編(2)
 
説明会情報
暁星小学校の説明会は、今年も上智大学で開催されますが、当日、願書の発売
はありません。願書は、9月5日(火)から22日(金)まで、小学校の事務
室で、9時から15時まで(土日祝日を除く)発売されます。
なお、初日の5日の受付時間は13:00~15:00で、この日だけ校舎見
学ができます。1階の宗教の香りの漂うチャペルを訪ねてみましょう。お子さ
んの見学も可能です。希望される方、スリッパを持参してください。
 
9月2日(土)
早稲田実業初等部学校見学会 9:00~12:00
       ミニ説明会(5月28日大隈講堂で行われた要約版、当日参加
       できなかった方を対象)
        9:15~、  10:15~、 11:15~
        要予約 
       詳しくはホームページをご覧ください。
 
成蹊小学校 午前の部10:00~2時間程度
      午後の部14:00~2時間程度
      於 成蹊大学4号館ホール 校舎内見学、相談会あり
      来場者記録用紙を持参(パソコンから印刷)
 
青山学院初等部(第2回目)
      午前9時30分開始(受付は9時から)
      場所 米山記念礼拝堂
      参加者は事前申込が必要です。受付は9月1日(金)午後4時まで。 
      HPから申し込み、受付票を印刷して持参。
      詳しくはHPをご覧ください。
  昨年の賛美歌は、よく知られている「いつくしみ深き(友なるイエスは)」
  ではなく「われをもすくいし」に変わりました。初見でも歌える歌が多いの
  ですが、難しかったですね。今年はどうでしょうか。
 
9月3日(日)
東京女学館小学校 午前10時より 一般入試・AO型入試説明会
 
※HPで、予約の有無、日時、持参するものなどを確認してお出かけください。
 
今回は、面接当日のお話をしましょう。
 
[学校へ到着]
★緊張する様子が見えたら★ 
面接の日でも、多くの人が集まりますが、試験当日は、その比ではありません。
それを見ただけで、しり込みをするお子さんも出てきます。こういった経験が
ないからです。そのためにも、公開模擬テストなどを受けるのがいいでしょう。
知らない友達の中に入って、いろいろなことを経験できるからです。 
また、過保護に育てられていると、こういった時に拒絶反応を示しがちです。
手をかけ過ぎていると、自分でやることが少なく、失敗の経験が少ないですか
ら、こういった事態に対処できません。過干渉な環境では萎縮してしまい、
「ママ、助けて!」となりがちです。
何度も繰り返しますが、小学校の受験は、お子様の成育史、言い換えれば、ご
両親の育児の姿勢が、そっくり出てくるものです。 
普段、元気いっぱいのお子さんでも、大勢の人をみてびっくりする場合もある
でしょう。その時は、お子さんが、いちばん安心する様子を、お子さんに示し
てあげることです。世界で一番強いと思われているお父さんの出番です。たく
ましいお父さんであってください。間違っても、
「しっかりしなさい!」
などと言わないことです。それだけでパニックに陥ってしまうお子さんもいま
す。
しゃがんで目を合わせ、
「いつもの教室でやるのと同じだから、心配することはないんだよ」
と、やさしく教えてあげましょう。
 
★所定の手続きを的確に★ 
何事も初めてとなると、緊張しがちです。
しかし、心配はありません。学校側も、全員、初めての受験を想定して、マニ
ュアルを作ってありますから、難しい手続きはありません。落ち着いて取り組
めば、何でもないことです。
ミスをしがちなのは、指定された時間間際に来て、手続きをする時でしょう。
気持ちに余裕がありませんから、どうしてもあせりがちで、ミスも起きがちで
す。そんな時は、おそらく、普段、お子さんが見たこともないご両親の姿にな
っていると思います。それを見たお子さんは、どのような心境になるでしょう
か。
面接は、まだ、ご両親がそばにいますから、ショックも少ないでしょうが、試
験当日は、そこから一人で行動しなければなりません。普段どおり、というわ
けにはいかないでしょう。
余裕を持って出かけ、こういった気持ちにさせないのも、ご両親の大切な役目
です。
 
[控室]
★静かに待つ工夫を★ 
幼児にとって、静かに待つのは、大変、苦手なものです。
ここでも、普段の育児の姿勢が姿を現します。ましてや、緊張していますから、
いつもよりテンションもあがり、舞い上がってしまうお子さんもいます。普段
のしつけが大切です。 
最近、よく見かけますが、幼児用の図書室で、大きな声でしゃべったり、走り
回ったりする子もいます。親も注意しません。お菓子を食べている子さえいま
す。
また、電車などでも親同士が話に夢中になり、子どもが騒いでいても、知らん
顔をしています。こういうことが許されていて、面接に来たときは、
「静かにしなさい!」
では、無理というものです。 
 
面接当日は、しばらく待つ時間がありますから、退屈させない工夫をしましょ
う。
お子さんの好きな本を控室で読むわけにはいきませんから、自分で読める本が
いいでしょう。そういう本であれば、気に入っているはずですから、静かに待
てることになります。
一人で静かにできる折り紙やあや取りなどもいいでしょう。手先を使って遊ぶ
折り紙やあや取りは、手順を間違えると遊びは成り立ちません。楽しみながら
脳に刺激を与えるすぐれもので、口頭試問の準備運動にもなるはずです。
 
お子さんが気にいっているからといって、ぬいぐるみの人形や恐竜のおもちゃ、
ゲーム類はどうでしょうか。5、6歳の幼い子ですが、それなりの自立ができ
ているはずですから、公の場に人形を持ち歩くのは、よい印象を与えないもの
です。また、おもちゃやゲーム類は、他のお子さんに迷惑がかかりますから、
持ち込むことすら常識を疑われます。 
 
しかし、何と言っても大切なのは、ご両親の落ち着いた悠揚迫らぬ態度です。
お子さんの学校選びが確かであれば、面接に臨んでも、何ら心配はないはずで
す。そして、保護者としての自覚があれば、そこから余裕が生れ、お子さんに
安心感を与えるものです。
 
[入室] 
面接会場は、学校によって設定が異なりますから、一概には言えませんが、ド
アが閉まっている時はノックをして、ドアが開いている場合でも、開いている
ドアをノックして、カーテンの場合は、「失礼します」と声をかけて、様子を
見ましょう。
そして、「どうぞ、お入り下さい」といった返答があってから、「失礼します」
といって入ります。こういった余裕を持ってほしいのです。
お父さん、お子さん、お母さんの順で入るのが自然でしょう。主人公は、お子
さんです。
お父さんが露払いをし、お母さんはお子さんをしっかりガードして入るべきで
す。
 
お母さんが先頭になって入るのでは、母親主導型の家庭と見られるので、よい
評価を得られないとは言いませんが、お子さんのためです、この際、ご主人を
立てましょう。ただし、外国生活が長く、レディーファーストが身についてい
る場合、普段の生活もそうなっていると思いますが、「郷に入っては郷に従え」
とも言われていますから、ご両親でよく話し合って決めましょう。
 
また、入室の時にお子さんが、
「失礼します」ということがありますが、これもどうでしょうか。日常生活で、
盛んに使われている言葉とは思いません。不自然ですから、こういった言葉は
教えこまないことです。「おはようございます」や「こんにちは」で十分です。
模擬面接でも、白百合学園小学校を受験する場合、「ごきげんよう」という女
の子もいますが、入学後でいいのではないでしょうか。普段、幼稚園などで、
そういったあいさつをしていなければ、やはり、とってつけたようで、さまに
なっていない場合が多いからです。考え直した方がいいのではとアドバイスは
しますが、お母さん方が不満げな態度をしがちですから、後はお父さんにお任
せしています。 
 
入室の際に、あいさつのできないお子さんが、かなりいます。
特に、男の子は、できません。
するとお母さんが、
「ごあいさつは!」と催促をしがちです。
すごいお母さんになると、言葉だけではなく、頭を押さえつけるようにして、
あいさつをさせようとします。これもどうでしょうか。  
あいさつができなかったから、マイナス何点などと採点するはずはないと思い
ます。
お子さんが、初めての所へ来て、初めて会う人の前に立っているのですから、
それだけ緊張しきっています。あいさつができなくても、当たり前ではないで
しょうか。
それを考えずに、あいさつを無理強いするのは,保護者としてふさわしい態度
とは思えません。あいさつができなかったら、お母さんが面接官に黙礼して、
静かに謝っておけばいいのではないでしょうか。お母さんの態度を見ていると
思います。
 
そして、入室しても、いきなりテーブルもしくは椅子が置かれているところま
で直進せずに、入った所で横一列に並び、次に指示を待ちます。あわてること
はありません。
「お父さんは、こちらへ」などの指示に従い、三人がそろったところで、お父
さんから、「失礼します」といって席に着きましょう。
お父さんを見て、お子さんも座り始めます。
お母さんは、お子さんが着席するまで見守り、それから座りましょう。
 
お子さんには、椅子に浅く腰をかけさせ、両足をきちんとそろえ、手を膝に置
くようにすれば、座る形も決まり、姿勢も崩れにくくなります。わずか、これ
だけのことですが、普段の生活習慣が見事に現れます。食事の時、いい加減な
姿勢で、テレビなどを見ながら食べていると、だらしのない座り方になり、座
れても、すぐに姿勢がくずれがちです。
 
言うまでもないことですが、お母さん方へ一言、長い髪は、お辞儀をするとき
に、バサッと前に落ちてきます。これも感じのいいものではありませんから、
きちんとまとめておきましょう。また、ミニスカートでは、膝が気になり、面
接どころではなくなりがちですから、止めた方がいいと思います。 
そして、着席後は、お子さんの様子を見守るために、視線の中に入れておきた
いものです。お子さんが不安そうにお母さんを見たときなど、知らん顔をせず
に、笑顔で応じてあげましょう。これが何よりの精神安定剤になるからです。
 
台風一過後の猛暑が嘘のようで、涼しいですね。夏休みも後半に入りました。
あせらずに、ゆったりとした気持ちで、家庭学習を続けてください。
(次回は、「面接編3 子ども編」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 7

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第41
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面接 ケース・スタディ編(7)
       「タイクツダナァ……!」
 
お子さんへの質問が終わると、今度はご両親の番です。
面接が終わると、お子さんだけ他の部屋へいって遊ぶような場合は心配ありま
せんが、親の面接が続く場合は、こういったことも十分に考えられます。
模擬面接でも、よくあるからです。
 
じっと座っていたお子さんが、足をブラブラしはじめました。
その時です。
お母さんが、手で制し、キッとにらみつけたのです。
子どもでなくても、びっくりします。
ハッとして、うつむいてしまいました。
テーブルをはさんでの面接ですから、直接、先生方には見えません。
おそらく、お母さんが、テーブルの下で足をおさえつけたのでしょう。
顔が、そういっています。
もっとすごいお母さんになると、手を叩くそうです。
どう思いますか。
 
ご両親の面接になると、お母さんもご主人の話を真剣に聞いています。
「いま、ご主人のおっしゃったことについて、どう思われますか」
などと質問されることもあるからです。
しかし、お子さんは退屈しはじめます。
足をブラブラさせるどころか、手をテーブルの上に置いたり、頭を触ったり、
とにかくじっとしていられません。
それどころか、椅子から立ち上がって歩き始めるお子さんもいます。
「お座りしていなさい」
といいながら、ほとんどのお母さんは、強引に手で引っ張り、座らせようとし
ます。 
これもどうでしょうか。
 
こういった経験をされたお母さんから、聞いた話です。
ミキちゃんは、じっとするのが苦手で、3分間が限界だそうです。
でも、それが幼児です。
30分間も、じっと座っている子がいたら、気持ちが悪くなりませんか。
面接当日、心配したとおりミキちゃんは、椅子から立ち上がろうとしました。
「ミキちゃん、もう少し頑張ってね!」
期待に応えて、少し頑張りました。
しかし、もう限界です。
でも、今度は、お母さんは止めませんでした。
そして、
「先生、すみません。このままでよろしいでしょうか?」
と尋ねてみました。
「もう少しですから、お母さんのおひざで待ちましょうね」
こうおっしゃってくれたそうです。
ミキちゃんの一番心の休まる場所ですから、静かに待てて、無事、面接を終え
たばかりか、合格しました。
 
2、3歳児にとり、静かに座って待つことは、大変に難しいものです。
とにかく、じっとしていないのが幼児です。
口だけで強制するのは、無理です。
このお母さんのように、強引に手を引かずに、先生に聞いてみることも大切で
はないでしょうか。
お母さんが聞けたのは、ミキちゃんの性格をよく知っているからです。
ミキちゃんの不安な気持ちが、立ち上がるしぐさに表われています。
子どもの置かれている状態を考えて、子どもの気持ちになって行動しようとす
るお母さんであることもよくわかります。
 
普段、お子さんと静かに過ごす時間を作っていますか。
お子さんの好きな絵本を、読んであげていますか。
お子さんの話をちゃんと聞いてあげていますか。
好きな話を読んでもらい、話を聞いてもらっていると、静かに待つ姿勢も身に
つきます。
 
「ここで立ち上がったからマイナス10点!」
幼稚園側が、そんな採点をするわけはありません。
その時のお母さんの取った態度が、採点の対象になるはずです。
強引に座らせ、叱責するだけでは、保護者とはいえません。
くどいようですが、繰り返します。
お母さん方は、保護者です。
お子さんが、初めての場所や、初対面の人には、どのような態度をとりがちか、
一番よく知っているのは、お母さん方ではありませんか。
起こりえるケースをいろいろと想定し、どのように対処すべきか、考えておく
べきではないでしょうか。
 
台風一過の猛暑が嘘のように、9月の平年気温と、不順な天候が続いています。
コンディションをくずさないよう健康管理には、十分に注意して下さい。
(次回は、ケース・スタディ編8についてお話しましょう)
 

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